明 細 書 先端 S 'J磁極を備えた薄膜磁気 ッ ド及びその製造方法 技術分野
本発明は、 磁気ディ スク装置、 磁気テープ装置等に用いられる薄 膜磁気ヘ ッ ドに係り、 よ り詳細には、 独特の形状をもつ先端副磁極 を備えた薄膜磁気へッ ドとその製造方法に関する。
H景技術
磁気デ ィ ス ク装置、 磁気テープ装置等に使用される磁気ヘッ ドと して、 誘導型記録再生薄膜へッ ドゃ、 誘導型記録へッ ドと磁気抵抗 効果型素子を用いた再生へッ ドとを組み合わせた複合型磁気へッ ド 等が知 られている。
図 1 は典型的な複合型磁気へッ ドの構成を一部切り欠いて示した ものである。 磁気へッ ドの内部を見易く するため、 最上位層の保護 層の図示を省略し、 また記録へッ ド W Rについてはその右半分を切 除 している。
図示の複合型磁気へッ ドは、 半導体基板 (ウェハ) 1 と、 この基 板 1 の上に形成された基板保護膜 2 と、 この基板保護膜 2の上に形 成された再生へッ ド R E と、 この再生へッ ド R Eの上に形成された 記録へッ ド W R と、 この記録へッ ド W Rの上に形成された保護層 1 7 (図示せず) とを備えている。
再生へッ ド R Eは、 下側磁気シール ド層 3 と、 この下側磁気シ一 ル ド層 3 の上に形成された第 1 の非磁性絶縁層 (下側ギヤ ップ層) 4 と、 こ の第 1 の非磁性絶縁層 4上に形成された磁気 ト ラ ンスデュ ーサ 5 と、 この磁気 ト ラ ンスデュ ーサ 5 の両端に形成された 1 対の
端子 6 (図示の例では一方のみ示される) と、 磁気 ト ラ ンスデュー サ 5 及び 1 対の端子 6 の上に形成された第 2の非磁性絶縁層 (上側 ギャ ッ プ層) 7 と、 この第 2 の非磁性絶縁層の上に形成された上側 磁気シール ド層 8 とを有している。 この上側磁気シール ド層 8 は、 記録へ...ッ ド W Rの下部磁極と兼用されている。
記録へッ ド W Rは、 下部磁極 8 と、 記録ギヤ ップ層 9 と、 この記 録ギャ ッ プ層 9 に配置された渦巻き状の記録コイル 1 2 と、 こ の記 録コ イ ル 1 2 を覆う第 3及び第 4 の非磁性絶縁層 1 0 , 1 1 と、 こ れら非磁性絶縁層 1 0 , 1 1 の上に形成された上部磁極 1 6 とを有 している。 なお、 渦巻き状の記録コイル 1 2の中心部領域 1 3 には 記録コイルは存在しておらず、 この中心部領域 1 3 において上部磁 極 1 6 は窪んで下部磁極 8 に接続されている。 また、 上部磁極 1 6 は、 記録媒体 2 0 に向かつて先細り形状となっており、 この部分を 特に上部磁極のポール 1 6 a と称している。
このよ う に、 図 1 に示す複合型磁気へッ ドは、 再生へッ ド R Eの 背部に記録へッ ド W Rを付加する ピギーバッ ク構造を有している。 なお、 磁気へッ ドの各要素の位置関係を明確にするため、 図示のよ う に上部磁極 1 6 の浮上面を X方向、 浮上面から見て磁気へッ ドの 奥行き方向を Y方向、 磁気へッ ドの積層方向を Z方向とする。
また、 再生ヘッ ド R Eの磁気 トラ ンスデューサ 5 と しては、 例え ば異方性の磁気抵抗効果素子 (M R素子) 、 典型的にはス ピンバル ブ磁気抵抗効果素子のような巨大磁気抵抗効果素子 ( G M R素子) 等が使用され得る。 磁気 ト ラ ンスデューサ 5 の両端には、 1 対の端 子 6 が接続され、 読み取り動作時には一定のセ ンス電流がこの端子 6 を介して磁気 ト ラ ンスデューサ 5 に流される。
このよ う に複合型磁気へッ ドは、 磁気ディ スクのような記録媒体 2 0 に対して僅かな距離 (浮上量) だけ離れて対向して位置決めさ
れ、 記録媒体 2 0 に対し トラ ッ ク長手方向 (ビッ ト長方向) に沿つ て相対的に移動しながら、 記録媒体 2 0 に記録されている磁気記録 情報を再生へッ ド R Eによって読み取り、 また記録へッ ド WRによ つて記録媒体 2 0 に対し情報を磁気的に書き込んでいる。
図 2..Λ及び図 2 Bは図 1 の複合型磁気へッ ドにおける記録へッ ド W Rを更に詳しく説明する図である。
図 2 Bに示すように、 記録へッ ドは、 微小な記録ギャ ップ層 9 を 挟んで 2つの磁極 (下部磁極 8 と上部磁極 1 6 ) が相対する構造を 有している。 記録媒体 2 0 の走行方向から、 下部磁極 8 は、 最初に 記録媒体 2 0上の ト ラ ッ クに出会う磁極となるためリ ーディ ン グ側 磁極と呼ばれ、 他方、 上部磁極 1 6 は、 記録媒体 2 0上の トラ ッ ク が遠ざかる方向の磁極となるため ト レ一 リ ング側磁極と呼ばれる。 下部磁極 8 と上部磁極 1 6の間には、 非磁性絶縁層 1 0 , 1 1 で取 り囲まれた渦巻き伏の記録コイル 1 2が存在する。
記録へッ ド WRでは、 記録コイル 1 2 に電流を流すと上部磁極 1 6及び下部磁極 8 が磁化され、 記録ギヤ ップ層 9の両側の上部磁極 1 6 のポール 1 6 a と下部磁極 7の浮上面 ( A B S : Air Bearing Surface ) 側で、 記録媒体 2 0 に書き込むための記録磁界 (漏れ磁 界) が発生する。 記録へッ ド WRでは、 この漏れ磁界により記録媒 体 2 0 が磁化され、 情報の記録が行われる。
記録媒体 2 0 に印加される磁界強度 Hは媒体抗磁力 H c の 2倍程 度が適切と考えられており、 最近の記録媒体の媒体抗磁力 H e は 3 0 0 0 ( 0 e : ェルステツ ド〕 近いこ とから、 記録時の磁界強度 H は 6 0 0 0 〔 O e〕 程度あるこ とが望ま しい。
また、 一般に記録媒体 2 0 に磁化の反転が起こる下限の磁界強度 Hは媒体抗磁力 H c の 1 / 2 (すなわち 1 5 0 0 〔 0 e〕 ) 程度で ある と考えられている。 従って、 記録しょう とする ト ラ ッ クの範囲
外に媒体抗磁力 H e の 1 Z 2を超える磁界が存在する と、 当該 トラ ッ クに隣接する トラ ッ クで磁化反転 (記録にじみ) が発生し、 へッ ド走行方向 卜 レー リ ング側での磁化反転 (記録減磁) が起こ り、 記 録媒体の高記録密度化の障害となる。
高記録密度化を実現するためには、 通常、 トラ ッ ク密度を上げる 必要がある。 このためには、 上部磁極のポール 1 6 aの端部のコア 幅と下部磁極 8 の端部のコア幅を狭く し、 発生する記録磁界の幅を 狭める必要がある。 上述した複合型磁気へッ ドでは、 記録へッ ド W Rの下部磁極 8 は、 再生へッ ド R Eの上側磁気シール ド層 8 と兼用 されているこ とから、 磁気シール ドの機能を確保する観点からその 形状に一定の制約がある。 すなわち、 下部磁極 8 のコア幅は、 磁気 シール ドの機能を兼用する必要上、 上部磁極 1 6 のコア幅よ り もか なり広く 形成されていた。 このため、 両磁極 8, 1 6 間に形成され る記録磁界は ト ラ ッ ク幅方向に広く 分布するこ とになり、 広い記録 磁界では記録媒体 2 0 の ト ラ ッ ク ピッチを狭めるこ とは困難であつ た。
これに対処するための技術の一例と して、 例えば、 特開平 7 — 2 2 5 9 1 7号公報 (対応米国特許出願第 1 9 2 6 8 0号) が知られ ている。 この技術では、 下部磁極 8及び上部磁極 1 6 に対しそれぞ れコア幅の狭い下部磁極端素子及び上部磁極端素子 (各磁 端素子 は 「先端副磁極」 と もいう。 ) を付加的に形成し、 それによつてコ ァ幅方向の記録にじみを低減している。
図 3 A及び図 3 Bは、 この従来技術に係る先端副磁極を備えた薄 膜磁気へッ ドの構成を示す。 図 3 Aは図 2 Bに対応する図であり、 図 3 Bは浮上面 A B Sから各磁極側を見た図である。 図 3 Aに示す よう に、 下部磁極 8 の上部磁極 1 6側の浮上面 A B S近傍に下部磁 極端素子 (下部先端副磁極) 2 1 が形成され、 また上部磁極 1 6 の
下部磁極 8側の浮上面 A B S近傍に上部磁極端素子 (上部先端副磁 極) 2 2が形成されている。
二の従来技術では、 図示のように、 各先端副磁極 2 1 , 2 2が矩 形状に形成されたものが示されているだけであり、 各先端副磁極の 形状や配置場所、 或いは薄膜磁気へッ ドの性能や特性については、 何ら議論されていない。
このよ うな先端副磁極を備えた薄膜磁気ヘッ ドでは、 下部磁極 8 と上部磁極 1 6 にそれぞれ先端副磁極 2 1 , 2 2を設け、 各先端副 磁極によ ってコア幅を実質的に狭く 規定するこ とで、 狭いコア幅を 有する先端副磁極間の記録ギャ ップ層 9 を介して記録磁界を生じさ せるこ とができる。
本発明者は、 薄膜磁気ヘッ ドに先端副磁極を設けるこ とは、 上記 の利点に加えて、 以下の(1 ),(2) の点で将来性のある技術であると 考えている。
( 1 ) コア幅を狭く する技術と して、 精密な寸法精度が得られる点 で優れている。 しかし現状では、 他の加工技術、 例えばイオン ミ リ ン グゃ集束イオン ビーム (F I B : Fo cu s e d I on Beam)等、 を利用し た上部磁極のポールの整形では、 上部磁極先端部をサブ · ミ ク ロ ン のォーダ一の寸法精度で整形するこ とができない。
C 2) 先端副磁極の材料を、 所望に応じて、 上部磁極と下部磁極と で異なる材料にするこ とができる。 しかし上記の従来技術 (特開平 7 — 2 2 5 9 1 7号公報) では、 このような先端副磁極を備えた薄 膜磁気へッ ドに関して、 要求される高周波特性等については何ら議 論されていなレ、。
こ こに、 高周波特性の良いヘッ ドとは、 「周波数が高く なるにつ れてへッ ドコアの透磁率が低下した場合でも、 記録媒体にかかる記 録磁界がそれ程減少しないへッ ド」 を指す。 言い換えると、 高周波
特性が良く ないへッ ドでは、 へッ ドコアの透磁率の低下とともに記 録磁界が減少する と、 へッ ドのオーバ一ライ ト特性が悪化する。
このオーバーライ ト特性は、 記録コイルに流す電流を増加させて 起磁力を増加するこ とによ り或る程度改善するこ とができる。 こ こ で、 へッ ドコアの透磁率が低い時に合わせて起磁力を大きめに設定 した状態で、 透磁率が高く なつた時 (つま り、 低周波数の信号を書 き込む時) 、 記録磁界が必要以上に増大する と記録にじみ幅や記録 減磁幅 (サイ ド · ィ レ—ズ幅) が増大し、 記録媒体上の対象 トラ ッ クに隣接する 卜 ラ ッ クに対し悪影響を及ぼす恐れがある。 従って、 透磁率が十分に高い時 (低周波の時) に、 記録媒体にかかる磁界強 度があま り増大しないこ とが必要である。
他方、 本出願人は、 先端副磁極を設けるのではなく 、 他のァプロ ーチによってコア幅を狭くする技術を以前に提案した (特願平 1 0 — 1 8 4 7 8 0号 : これは、 1 9 9 8年 6月 3 0 日に出願されてい るが、 本出願時点で未だ公開されておらず、 公知技術ではない) 。 図 4 A及び図 4 Bはこの提案した技術を簡単に説明する図である。 この技術では、 図 4 Bに示すように、 上部磁極 1 6 のポール 1 6 a の両端に対し集束イオン ビーム ( F I B ) による ト リ ミ ングを施し て、 そのコア幅を狭く している。 なお、 F I Bによる ト リ ミ ングを 以下、 単に 「 F I B ト リ ミ ング」 と称する。
この提案した技術では、 上部磁極のコア幅を F I B ト リ ミ ングに よって狭く した薄膜磁気へッ ドに関して、 高周波特性の議論は行わ れていない。 しかし、 その後、 本発明者は、 この薄膜磁気へッ ドに ついて高周波特性の評価を行ったところ、 後で図 5 に関連して説明 するように、 良好な特性が得られるこ とが判明した。
そこで、 本発明者は、 技術的に将来性があると考えられる先端副 磁極を備えた薄膜磁気へッ ドを評価するため、 高周波特性の評価を
行った。 比較の対象は、 本出願人が先に提案した、 先端副磁極を持 たない薄膜磁気ヘッ ドと した (以下、 「比較例」 という) 。
図 5 は比較例の評価結果を示し、 他方、 図 6 は特開平 7 - 2 2 5 9 1 7号公報で紹介されたような先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの評価結果を示している。
■ ヽ
各々 の評価は、 記録コ イ ルに流す記録電流 (起磁力) mm f を横 軸にと ったものと、 記録媒体に加わる記録磁界 ( ト ラ ッ ク長手方向 磁界成分) H Xを縦軸にとったものとの関係を、 3次元の磁界解折 フ フ トを用いてコ ンビュ 一夕 ■ シ ミ ュ レーショ ン した結果を表して いる。 なお、 3次元の磁界解折ソフ ト と しては、 日本国所在のエル フ社から商業的に入手し得る磁界解析ソ フ ト 「M A G I C」 を利用 している。
先ず、 図 5 に示す比較例の評価結果を参照すると、 起磁力 mm f = 0 . 4 A Tの時、 透磁率 = 3 0 0 (即ち、 高周波時) の記録磁 界 (△データ) と 二 1 0 0 0 (即ち、 低周波時) の記録磁界 (拿 データ) の比 R ( ζ 3 0 0 / u 1 0 0 0 ) は、 R ( 3 0 0 /〃 1 0 0 0 ) = 0. 9 4 となる。 これに対し、 図 6 に示す先端副磁極を 備えた薄膜磁気へッ ドの評価結果では、 同じ条件 (起磁力 mm f = 0 . 4 八丁) で1¾ (〃 3 0 0 // 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 となる。 上述したように、 薄膜磁気ヘッ ドは、 「周波数が高く なるにつれ てへッ ドコアの透磁率が低下した場合でも、 記録媒体にかかる記録 磁界がそれ程減少しないへッ ド」 が良好とされる。 比 R ( 3 0 0 / a 1 0 0 0 ) は、 低周波 si = 1 0 0 0 ) 時の記録磁界 H Xに対 する高周波 (〃 = 3 0 0 ) 時の記録磁界 H xの比を示している。 従 つて、 比 R ( p. 3 0 0 / 1 0 0 0 ) の値は大きい方が好ま しい。 こ こでは、 比較例の R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) の方が、 先端副磁 極を備えた薄膜磁気へッ ドの R ( a 3 0 0 Z 1 0 0 0 ) より も大
きいという結果となった。 ' 次に、 図 5 に示す比較例の透磁率 = 1 0 0 0 (低周波時) の記 録磁界特性 (秦デ一夕) において、 起磁力 mm f = 0. 2 A Tの時 と 0 . 4 Α Τの時における記録磁界 Η χの比 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T.).、を求める と、 R ( 0. 2 A TZ 0. 4 A T) = 0. 8 8 と なる。 これに対し、 図 6 に示す先端副磁極を備えた薄膜磁気ヘッ ド の評価結果では、 同じ記録磁界特性 (會データ) において R ( 0 . 2 A T/ 0 . 4 A T ) = 0. 8 0 5 となる。
上述したように磁気へッ ドは、 予め起磁力 mm f を大きめに設定 した状態で低周波数となつた時、 記録磁界 H Xが必要以上に増大す るこ とは好ま しく ない。 従って、 a = \ 0 0 0 における比 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T) は、 低周波時の起磁力変動に対応する磁界変 動の追従性を表し、 比 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T) は大きい方が 好ま しい。 こ こでは、 比較例の R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T) の方 力 、 先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの R ( 0. 2 A TZ 0. 4 A T) よ り も大きいという結果となつた。
以上から、 比 R ( χζ 3 0 0 / 1 0 0 0 ) と比 R ( 0. 2 A T/ 0 . 4 A T) のいずれについても、 先端副磁極を備えた薄膜磁気へ ッ ド (図 6 ) は比較例 (図 5 ) に比べて磁界変動が大き く、 即ち、 磁気へッ ド特性に関して悪い傾向にあるこ とが判明した。
このように、 先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドは、 将来性のあ る技術でありながら、 透磁率の低下に伴う記録磁界の低下や起磁力 の増加に伴う記録磁界の変動といった問題をかかえている。 前者の 問題は高周波におけるオーバーライ 卜特性の悪化につながり、 また 後者の問題は低周波における記録にじみ特性の悪化につながり、 そ れぞれ改善の余地がある。
発明の開示
本発明の目的は、 上述した従来技術における問題点を解消し、 良 好なオー バラィ ト特性及び記録にじみ特性を呈示する新規な先端副 磁極を備えた薄膜磁気へッ ド及びその製造方法を提供するこ とにあ る。
上記目的を達成するために、 本発明の一つの形態によれば、 下部 磁極と、 前記下部磁極に対向して配置された上部磁極と、 前記下部 磁極及び上部磁極の間で両磁極から離間して配置された記録コイル と、 前記上部磁極の前記下部磁極側で浮上面近傍に設けられた上部 先端副磁極とを具備し、 前記上部先端副磁極は、 その本体部分のコ ァ幅か浮上面でのコア幅より大き く なるように形成されている、 薄 膜磁気へッ ドが提供される。
また、 本発明の他の形態によれば、 下部磁極を形成する工程と、 前記下部磁極の上方に、 第 1 のレジス トを所定の形状にパ夕一ニン グして、 該第 1 のレジス トの形状に従い浮上面から離れるにつれて そのコア幅が拡がる上部先端副磁極を形成する工程と、 前記第 1 の レジス トを除去した後、 前記下部磁極を部分的に ト リ ミ ングして下 部先端副磁極を形成する工程と、 前記下部磁極の ト リ ミ ングされた 部分と前記上部先端副磁極の上にアル ミ ナ層を形成する工程と、 前 記アル ミ ナ層及び前記上部先端副磁極に対して膜厚方向に表面を研 磨して平坦化を行う工程と、 平坦化された前記アル ミ ナ層の上に非 磁性絶縁層で周囲を面んだ記録コィルを形成する工程と、 平坦化さ れた前記上部先端副磁極の上に、 第 2のレジス トを所定の形状にパ ターニングして、 該第 2のレジス トの形状に応じた上部磁極を形成 する工程と、 前記第 2 の レ ジス 卜を除去した後、 ウェハから切り出 して最終仕上がり線まで機械的に研磨する工程とを含む、 薄膜磁気 へッ ドの製造方法が提供される。
更に本発明によれば、 上記の薄膜磁気へッ ドを用いた記録へッ ド と、 磁気抵抗効果型素子を磁気 ト ラ ンスデューサと して用いた再生 へッ ドとを具備し、 前記記録へッ ドと前記再生へッ ドが一体的に形 成されている、 複合型磁気へッ ドが提供される。 図面の簡単な説明
図 1 は典型的な複合型磁気へッ ドの構成を一部切り欠いて示した 斜視図であり ;
図 2 A及び図 2 Bは図 1 の複合型磁気へッ ドにおける記録へッ ド を更に詳しく 説明するための図であり ;
図 3 A及び図 3 Bは従来技術に係る先端副磁極を備えた薄膜磁気 へッ ドの構成を示す図であり ;
図 4 A及び図 4 Bは本出願人が先に提案した、 F I B ト リ ミ ン グ によ り コア幅を狭く した薄膜磁気へッ ドの構成を示す図であり ; 図 5 は図 4 A及び図 4 Bの薄膜磁気へッ ドの評価結果を示すグラ フであり ;
図 6 は図 3 A及び図 3 Bの薄膜磁気へッ ドの評価結果を示すグラ フであ り :
図 7 A〜図 7 Cは本発明の一実施例に係る独特の形状をもつ先端 副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの構成を示す図であり ;
図 8 は図 7 A〜図 7 Cに示される薄膜磁気へッ ドに関して副磁極 形状パラ メ一夕 「先端凸部高さ S H」 の評価結果を示すグラ フであ り ;
図 9 は図 7 A〜図 7 Cに示される薄膜磁気へッ ドに関して副磁極 形状パラ メ ータ 「先端副磁極コア幅の拡がり△ S W」 の評価結果を 示すグラ フであり ;
図 1 0 は図 7 A〜図 7 Cに示される薄膜磁気へッ ドに関して副磁
極形状パラ メ 一タ 「先端副磁極の長さ S L」 の評価結果を示すグラ フであり ;
図 1 1 は図 7 A〜図 7 Cに示される薄膜磁気ヘッ ドに関して副磁 極形状パラ メ ータ 「先端凸部高さ S H」 、 「先端副磁極コア幅の拡 がり zV W」 及び 「先端副磁極の長さ S L」 を所望の範囲内と した 時の評価結果を示すグラフであり ;
図 1 2 A〜図 1 2 Hは図 7 A〜図 7 Cに示される薄膜磁気へッ ド の製造方法を工程順に従って示すフローチ ヤ 一 トであり ;
図 1 3 A〜図 1 3 Dはウェハ面に対しイオン ミ リ ングによる ト リ ミ ン グ'を行った場合の製造工程を示す図であり ;
図 1 4 A〜図 1 4 Cはウェハ面に対し F I B ト リ ミ ングを行った 場合の製造工程を示す図であり ;
図 1 5 A及び図 1 5 Bは浮上面に対しイオン ミ リ ングによる ト リ ミ ングを行った場合の製造工程を示す図であり ; そして
図 1 6 A及び図 1 6 Bは浮上面に対し F I B ト リ ミ ングを行った 場合の製造工程を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明に係る薄膜磁気へッ ド及びその製造方法について、 添付図面を参照しながら具体的な実施例を用いて詳細に説明する。 なお、 各図面を通して同一の構成要素に対しては同じ参照符号を付 して重複した説明を省略する。
① 先端副磁極の整形
本発明者は、 先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの先端副磁極の 形成位置や形状等を最適化するこ とにより、 高周波特性を改善し得 るか否か、 また記録にじみ特性を改善し得るか否かを検討した。 こ こ で、 改善の効果の有無の判定基準は、 図 6 に関連して説明し
た従来技術に係る先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの評価結果ど 比較して、 以下の通り とする。
(A 比 R ( 3 0 0 / a 1 0 0 0 ) が増大している時、 ォ一バラ ィ ト特性に関して、 改善の効果有り と判定する。
(B : R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T ) が増大している時、 記録に じみ特性に関して、 改善の効果有り と判定する。
(C) 比 R (〃 3 0 0 /〃 1 0 0 0 ) 及び比 R ( 0. 2 A T/ 0.
4 A T ) の両方が増大している時、 オーバライ ト特性及び記録にじ み特性の両方に関して、 改善の効果有り と判定する。
また、 図 5 に関連して説明した比較例 (先端副磁極を持たない薄 膜磁気へッ ド) の評価結果と比較して、 比 R ( 11 3 0 0 / p. 1 0 0 0 ) と比 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T) の両方が減少している時、 最終的な目標が達成されたこ ととする。
次に、 本発明者は、 先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの先端副 磁極の形成位置及び形状に関して、 以下の(a),(b), (c) の点を検討 する こ とに決定した。
(a) 記録媒体から上部磁極のみを少し下げ、 先端副磁極を下部磁 極と面合わせし、 先端副磁極を少し突出する形状とするこ と。
(b) 先端副磁極については、 浮上面 (A B S ) でのコア幅は所望 の小さい寸法にするが、 その本体部分は相対的に大きい寸法とする こ と。
(c) 先端副磁極の厚さの最適値を求めるこ と。
なお、 前述したように記録へッ ドの下部磁極は再生へッ ドの上側 磁気シール ド層と兼用されており、 その形状に一定の制約があるた め、 これまで F I B ト リ ミ ングによる上部磁極の整形を中心に検討 されてきた。 従って、 本実施形態についても、 上部磁極に形成され る先端副磁極の形状等を中心に検討するこ とと した。 そして、 その
後で必要に応じて、 上部磁極の先端副磁極の最適形状を、 下部磁極' にも同様に適用するこ とと した。
図 7 A〜図 7 Cは本発明の一実施例に係る独特の形状をもつ先端 副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの構成を示す。 特定的に、 図 7 Aは 薄膜磁 へッ ドにおける記録へッ ド WRを基板上面 (ウェハ面) か ら見た磁極先端付近の平面構造を示し、 図 7 Bは磁極先端付近の断 面構造を示し、 図 7 Cは浮上面 A B Sから見た磁極先端部を示して いる。 こ こ に、 浮上面 A B Sは、 記録媒体 2 0 と対向する磁極先端 面と して定義される。 また、 上部磁極 1 6 の先端部に付加的に設け られた先端副磁極 2 2 は、 先端から数 m離れたところを境に浮上 面 A B Sでのコア幅 S W 1 はほぼ一定で、 その反対側 (本体部分) は拡大されたコア幅 S W 2 をもつ平面形状を有している。
こ こで、 先端副磁極 2 2の形成位置及び形状を定量的に特定する ため、 以下のように幾つかの形状パラ メ一夕を選定した。
先ず図 7 A及び図 7 Bに示されるように、 制約のある下部磁極 8 に対し制約のない上部磁極 1 6 の位置を少し下げ、 上部磁極上の先 端副磁極 2 2の効果を最大限に発揮できるよう にする。 但し、 先端 副磁極 2 2 は、 その主面が下部磁極 8 の面に対向するよう に形成す る と共に、 浮上面 A B Sから離れるに従いそのコア幅が大き く なる よ う に形成する。 そこで、 先端副磁極 2 2の浮上面 A B Sでのコア 幅 S W 1 が一定となっている部分、 すなわち先端副磁極 2 2のコア 幅が拡がり始める位置を、 「先端凸部高さ S H」 と して定義する。 また、 図 7 A及び図 7 Cに示されるように、 先端副磁極 2 2の浮上 面 A B Sでのコア幅 S W 1 と本体部分のコア幅 SW2 の差を、 「先 端副磁極のコア幅の拡がり △ S W」 と して定義する。 また、 図 7 B 及び図 7 Cに示されるように、 先端副磁極 2 2の膜厚を、 「先端副 磁極の長さ S L」 と して定義する。
以上のよう に、 先端副磁極 2 2の形成位置及び形状を特定するた め、 S H、 A S W及び S Lを形状パラ メ一夕 と して選定した。
② 副磁極形状パラ メ 一夕 ( S H、 A S W, S L ) の評価
- S Hの評価
先ず.、 副磁極形状パラ メータ 「先端凸部高さ S H」 の評価を行つ た。 すなわち、 他の 2つの形状パラ メ一夕 (先端副磁極のコア幅の 拡がり Δ S Wと先端副磁極の長さ S L ) を固定した条件下で、 先端 凸部高さ S Hを変えてその影響を調べた。 なお、 固定された形状パ ラ メ 一夕については、 A S W= 2. 0 ^ m. S L = 1 . 5 mと し 図 8 は、 先端凸部高さ S Hを 0 (ゼロ) から 2 〃 mまで変化させ た時 (横軸) の、 記録媒体に加わる磁界 H Xの変化率 (縦軸) を示 したグラ フである。 図中、 破線 (秦デ一夕) は、 透磁率〃 = 3 0 0 の記録磁界と / 1 0 0 0 の記録磁界の比 R ( 3 0 0 1 0 0 0 ) を示し、 実線 ( デ一夕) は、 起磁力 mm f = 0 . 2 A Tと 0 . 4 Α Τにおける記録磁界の比 R ( 0 . 2 A T/ 0 . 4 A T) を示 す。
図 8 の評価結果の特性によ り、 形伏パラ メ一夕 S Hを変化させる こ とで比 R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) 及び比 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T ) を制御し、 オーバライ ト特性及び記録にじみ特性を共に改 善し得るこ とを確認した。
効果有無の判定基準は、 図 6 に関連して説明したよ うに、 従来技 術に ί系る先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドと し、 前者の比につい ては R ( " 3 0 0 / 1 0 0 0 ) 二 0. 8 8 と し (破線で表示) 、 後者の比については R ( 0. 2 A Τ/ 0. 4 A T ) = 0. 8 0 5 と する (実線で表示) 。
従来の薄膜磁気へッ ドを基準に判定すると、 比 R ( 3 0 0 /
1 0 0 0 ) のデータ (譬破線データ) は、 S H≥ 0. 3 mの範囲 で基準値 R ( u 3 0 0 / 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 を上回るこ とが判 明した。 一方、 比 R ( 0. 2 A TZ 0. 4 A T) のデータ (△破線 データ) は、 S H≥ 0. l 〃 mの範囲で基準値 R ( 0. 2 A T/ 0 . 4 八丁 ) = 0. 8 0 5 を上回るこ とが判明した。
従って、 比 R ( a 3 0 0 / 1 0 0 0 ) のデータが基準値を上回 るのは、 S H≥ 0. l mの範囲である。 言い換える と、 従来の薄 膜磁気ヘッ ドと比較して、 先端凸部高さ S Hを 0. 1 m〜 2. 0 mの範囲とするこ とによ り、 オーバライ ト特性が改善されるこ と が判明した。
また、 比 R (〃 3 0 0ノ〃 1 0 0 0 ) のデ一夕及び比 R ( 0. 2 A TZ O . 4 A T) のデータの両方が基準値を上回るのは、 S H≥ 0 . 3 mの範囲である。 従って、 先端凸部高さ S Hを 0. 3 〃 m 〜 2. 0 mの範囲とするこ とによ り、 オーバライ ト特性及び記録 にじみ特性の両方が改善されるこ とが判明した。
• Δ S Wの評価
次に、 副磁極形状パラ メータ 「先端副磁極のコア幅の拡がり 厶 S W」 の評 ffiを行った。 すなわち、 他の 2つの形状パラ メータ (先端 凸部高さ S Hと先端副磁極の長さ S L ) を固定した条件下で、 先端 副磁極のコア幅の拡がり Δ S Wを変えてその影響を調べた。 なお、 固定された形状パラ メータについては、 S H = 1 . 0 〃 m、 S L = 1 . 5 〃 mと した。
図 9 は、 先端副磁極のコア幅の拡がり △ S Wを 0 (ゼロ) から 8 mまで変化させた時 (横軸) の、 記録媒体に加わる磁界 H Xの変 化率 (縦軸) を示したグラ フである。 図中、 破線 (秦データ) は比 R (〃 3 0 0 /〃 1 0 0 0 ) を示し、 実線 ( デ一夕) は比 R ( 0 . 2 A TZ 0. 4 A T) を示す。
図 9 の評価結果の特性によ り、 形状パラ メ一夕 Δ S Wを変化させ るこ とで比 R ( 3 0 0 / fi 1 0 0 0 ) 及び比 R ( 0. 2 A T/ 0 . 4 A T ) を制御し、 ォ一バライ ト特性及び記録にじみ特性を共に 改善し得るこ とを確認した。
効果. 無の判定基準は、 同様に従来技術に係る先端副磁極を備え た薄膜磁気へッ ドと し、 前者の比については R ( pi 3 0 0 / 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 と し (破線で表示) 、 後者の比については R ( 0 . 2 A T/ 0 . 4 A T) = 0. 8 0 5 とする (実線で表示) 。
従来の薄膜磁気へッ ドを基準に判定すると、 比 R ( n 3 0 Q / a 1 0 0 0 ) のデータ (秦破線デ一夕) は、 A S W≤ 3. 2 〃 mの範 匪で基準値 R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 を上回るこ とが 判明した。 一方、 比 R ( 0. 2 A TZ 0 . 4 A T) のデータ (△破 線データ) は、 Z\ S W 6 . 2 〃 mの範囲で基準値 R ( 0. 2 A T ノ 0. 4 A T ) = 0. 8 0 5 を上回るこ とが判明した。
従って、 比 R ( 0. 2 A T/ 0 . 4 A T) のデータが基準値を上 回るのは、 A S W≤ 6. 2 mの範囲である。 言い換える と、 従来 の薄膜磁気へッ ドと比較して、 先端副磁極のコア幅の拡がり Δ S W を 6 . 2 / m以下の範囲とするこ とによ り、 記録にじみ特性が改善 される こ とが判明した。
また、 比 R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) のデータ及び比 R ( 0. 2 A TZ 0 . 4 A T) のデ一夕の両方が基準値を上回るのは、 A S W ≤ 3 . 2 mの範囲である。 従って、 先端副磁極のコア幅の拡がり △ S Wを 3. 3 m以下の範囲とする こ とによ り、 オーバライ ト特 性及び記録にじみ特性の両方が改善されるこ とが判明した。
- S Lの評価
更に、 副磁極形状パラ メ一夕 「先端副磁極の長さ S L」 の評価を 行った。 すなわち、 他の 2つの形状パラ メ一夕 (先端凸部高さ S H
と先端副磁極のコア幅の拡がり Δ S W) を固定した条件下で、 先端 副磁極の長さ S Lを変えてその影響を調べた。 なお、 固定された形 状パ ラ メ 一夕については、 S H = 1 . 0 〃 m、 Δ S W= 2. 0 u m と した。
図 し q は、 先端副磁極の長さ S Lを 0 (ゼロ) から 8. 0 〃 mま で変化させた時 (横軸) の、 記録媒体に加わる磁界 H Xの変化率 ( 縦軸) を示したグラフである。 図中、 破線 (秦データ) は比 R ( 11 3 0 0 / u 1 0 0 0 ) を示し、 実線 (△デ一夕) は比 R ( 0. 2 A T / ϋ . 4 A Τ ) を示す。
図 i 0 の評価結果の特性により、 形状パラ メ ータ S Lを変化させ るこ とで比 R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) 及び比 R ( 0 . 2 A TZ 0 . 4 A T) を制御し、 オーバライ ト特性及び記録にじみ特性を共に 改善し得るこ とを確認した。
効果有無の判定基準は、 同様に従来技術に係る先端副磁極を備え た薄膜磁気へッ ドと し、 前者の比については R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 と し (破線で表示) 、 後者の比については R ( 0 . 2 A T/ 0. 4 A T) 二 0. 8 0 5 とする (実線で表示) 。
従来の薄膜磁気へッ ドを基準に判定すると、 比 R ( u 3 0 0 / 1 0 0 0 ) のデ一夕 ( ·破線データ) は、 S L ≤ 3. 6 〃 mの範囲 で基準値 R ( p. 3 0 0 / u 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 を上回るこ とが判 明した。 一方、 比 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T ) のデータ (△破線 データ) は、 S H≤ 8 . 0 〃 mの範囲で基準値 R ( 0 . 2 A T/ 0 . A T ) = 0. 8 0 5 を上回るこ とが判明した。
従って、 比 R ( 0. 2 A T / 0. 4 A T) のデータが基準値を上 回るのは、 0 く S L ≤ 8 . 0 〃 mの範囲である。 言い換える と、 従 来の薄膜磁気ヘッ ドと比較して、 先端副磁極の長さ S Lを 8 . 0 a m以下の範囲とするこ とによ り、 記録にじみ特性が改善される こ と
か判明した。 ' また、 比 R ( n 3 0 0 / 1 0 0 0 ) のデータ及び比 R ( 0 . 2 A T / 0 . 4 A T) のデータの両方が基準値を上回るのは、 0 < S L ≤ 3. 6 mの範囲である。 従って、 先端副磁極の長さ S Lを 3 . 6 〃.m以下の範囲とするこ とにより、 オーバライ ト特性及び記録 にじみ特性の両方が改善されるこ とが判明した。
以上から、 先端副磁極の各形状パラ メ一夕の範囲が次のように決 定された。
• S Hについて : 0 . l 〃 m≤ S H≤ 2. 0 〃 m、 望ま し く は 0 . 3 m≤ S H≤ 2. 0 m。
• △ S Wについて : 0 く A S W≤ 6. 2 m、 望ま しく は 0 く Δ S W≤ 3. 2 m。
• S Lについて : 0 く S L ≤ 8. 0 m、 望ま しく は 0 く S L ≤ 3. 6 m。
このよ う に、 先端副磁極の形成位置及び形状を特定するためのパ ラ メ 一夕 ( S L、 S H及び A S W) に関して、 従来の薄膜磁気へッ ドの特性 (図 6参照) を上回る範西が決定された。
③ 最良の先端副磁極形状
次の段階で、 形状パラ メータ S H、 △ S W及びS Lに関して、 比 R ( 3 0 0 / 11 1 0 0 0 ) のデータ及び比 R ( 0 . 2 A T/ 0 .
4 A T) のデータの両方が基準値を上回る とされた各範囲 (上記の 「望ま し く は」 とする範囲) を全て満足する先端副磁極を備えた薄 膜磁気へッ ドについて、 評価した。 なお、 評価した薄膜磁気へッ ド の各形状パラ メ 一夕は、 S H = 1 . 0 〃 m、 Δ S W= 2. 0 〃 m、
5 L = 1 . 5 〃 mである。
図 1 1 は本実施例に係る薄膜磁気へッ ドに関して各形状パラ メ一 夕 S H、 A S W及び S Lをそれぞれ所望の範囲内と した時の評価結
果を示している。 図中、 横軸は起磁力 mm f 、 縦軸は記録磁界 H x' を表しており、 また破線 (參データ) は比 R ( 3 0 0 Z 1 0 0 0 ) を示し、 実線 (▲データ) は比 R ( 0. 2 A TZ 0. 4 A T ) を示している。
効果有無の判定基準と しては、 この薄膜磁気へッ ドは既に図 6 に 関連して説明した基準値、 すなわち従来の薄膜へッ ドの R ( u 3 0 0 / 1 0 0 0 ) = 0. 8 8 及び R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T ) = 0 . 8 0 5 を満足している範囲内で形成されている。 従って、 図 5 に関連して目標である と説明した比較例 (先端副磁極を持たない薄 膜磁気へッ ド) との間で、 比較する こ とにした。 比較例では R ( 3 0 0 / 1 0 0 0 ) = 0. 9 4 , R ( 0. 2 A TZ 0. 4 A T ) = 0 . 8 8 である。
これに対し、 図 1 1 に示す形状パラ メ一夕 S H、 △ S W及び S L の各範囲を全て満足する先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドでは、 R ( // 3 0 0 / i l 0 0 0 ) = 0. 9 2、 R ( 0. 2 A T/ 0. 4 A T ) = 0 . 8 6である。 結局、 図 1 1 に示す評価結果では、 比較 例に比べて、 比 R ( a 3 0 0 / a 1 0 0 0 ) 及び比 R ( 0. 2 A T / 0 . 4 A T ) のいずれに関しても、 磁界変動が小さいこ とが判明 した。 つま り、 オーバライ ト特性及び記録にじみ特性の両方に関し て、 改善されている こ とが判明した。
④ 製造方法
- 先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ド
図 1 2 A〜図 1 2 Hは、 本実施例に係る先端副磁極を備えた薄膜 磁気へッ ドの製造方法を工程順に従って示したものである。 これら の図は図 7 Bに相当 し、 先端副磁極の作製過程の基板 (ウェハ) の 側面図である。 なお、 図 1 に関連して説明した再生へッ ド ( R E ) については既に形成済みと して、 説明を行う。
先ず最初の工程では (図 1 2 A参照) 、 再生へッ ド R Eの第 2の 非磁性絶縁層 7 (図 1 参照) の上に、 再生ヘッ ド R Eの上側磁気シ 一ル ド層 8 と兼用される記録へッ ド W Rの下部磁極 8 を形成する。 この下部磁極 8 は、 典型的には N i F e系合金又は C 0系合金から なり、 . (列えば、 N i (50) F e ( 50)、 N i (80 ) F e (20)、 C o N i F e、 F e Z r N等であってもよい。 予め、 スパッ 夕法或いは蒸着法 によ り メ ツキベース層 (図示せず) を形成し、 次に電解メ ツキによ り数 m程度の膜厚に形成する。 下部磁極 8 をスパッ 夕法で成膜す る場合には、 F e系合金、 C 0系合金 ( C 0 Z r等) が用いられ、 この場合にはメ ツキべ一ス層は不要である。
次いで、 下部磁極 8 の上に記録ギャ ップ層 9 を形成する。 この記 録ギャ ッ プ曆 9 は、 例えば、 A 1 2 0 3 、 S i 0 2 等からなる。 そ の後のエツチング工程での記録ギヤ ップ層の膜厚'减少を防止するた め、 必要に応じて、 記録ギャ ップ層の上に保護層 (図示せず) を設 けてもよい。
次いで、 記録ギャ ップ層 9 の上に、 例えば感光性フ オ ト レジス ト 3 0 をス ピンコー ト法で被着し、 このレジス ト 3 0 を、 後の工程で 形成される先端副磁極の形状に応じた形状にパターニングする。 こ の時、 先端副磁極の形状パラ メ一夕の 1 つである 「先端副磁極のコ ァ幅の拡がり A S W」 が画定される。
次の工程では (図 1 2 B参照) 、 レ ジス ト 3 0 をマスクにして上 部先端副磁極 2 2 を形成する。 この上部先端副磁極 2 2 は、 典型的 には下部磁極 8 と同じ材料で構成されてもよい。 予め、 スパッ 夕法 又は蒸着法によ り メ ツキべ一ス層 (図示せず) を形成し、 次に電解 / ツキによ り形成する。 上部先端副磁極 2 2 をスパッ 夕法で成膜す る場合には、 F e系合金、 C o系合金 ( C o Z r 等) が用いられ、 この場合にはメ ツキべ一ス層は不要である。 上部先端副磁極 2 2 を
形成した後、 レ ジス ト 3 0 を除去する。 ' 次の工程では (図 1 2 C参照) 、 ギャ ッ プ深さ (図 7 B参照) に 基づいて上部先端副磁極 2 2 の一端を規定し、 この先端副磁極 2 2 が形成されている部分以外の領域における記録ギヤ ップ層 9及び下 部磁 ¾ .8 をイオン ミ リ ングによ り ト リ ミ ングする。 これによつて、 下部磁極 8 において凸状に残った部分が下部先端副磁極 2 1 を構成 する。
次の工程では (図 1 2 D参照) 、 上部先端副磁極 2 2 と露出した 下部磁極 8 を覆う よう にアル ミ ナ層 3 2を形成する。
次の工程では (図 1 2 E参照) 、 ラ ッ ビング(l a p p i n g ) やポリ ッ シ ン グ(p o l i s h i n g ) 等によりアル ミ ナ層 3 2 と上部先端副磁極 2 2 の表面を研磨し、 平坦化を行う。 かかる平坦化を行う意図は、 基板 上の凹凸を無く すこ とで後の工程における レジス ト被着時の位置合 わせ精度を確保し、 上部磁極等のパターニングの精度向上を図るこ とにある。 この時、 先端副磁極の形状パラ メ ータの 1 つである 「先 端副磁極の長さ S L」 か画定される。
次の工程では (図 1 2 F参照) 、 アル ミ ナ層 3 2の上に、 非磁性 絶縁層 1 0 , 1 1 で包囲された記録コイル 1 2を形成する。 このェ 程は、 本発明に直接関係しないので簡単に説明する。 先ず、 フ ォ ト レ ジス トを被着して適宜パターニングを行い、 熱硬化して、 記録コ ィル 1 2 より下方部分の絶縁層 1 0 を形成する。 この後、 渦巻き状 の記録コイ ル 1 2を形成し、 更に、 フ ォ ト レ ジス トの被着、 ノ タ一 ニ ン ク''、 熱硬化等を経て、 記録コイル 1 2の周囲及び上方に絶縁層 1 1 を形成する。 この時、 渦巻き状の記録コイル 1 2の中心部領域 (図 1 において 1 3で示す部分) に相当する部分を除去して孔を形 成する。 この孔は、 後の工程で上部磁極 1 6 が形成された時に当該 孔を介して下部磁極 8 と接続するためのものである。
次の工程では (図 1 2 G参照) 、 上部先端副磁極 2 2及び非磁性 絶縁層 1 1 の上にメ ツキベース層 (図示せず) を形成し、 更に、 感 光性フ ォ 卜 レ ジス ト 3 3 をス ピンコー ト法で被着し、 この レ ジス 卜 3 3 を、 後の工程で形成される上部磁極の形状に応じた形状にバタ 一二ン "する。
最後の工程では (図 1 2 H参照) 、 レジス ト 3 3 をマスクにして 非磁性絶縁層 1 1 及び上部先端副磁極 2 2の上に、 電気メ ツキによ り数 mの厚さで上部磁極 1 6 を形成する。 更に、 レジス ト 3 3 を 除去した後、 上部磁極 1 6以外で露出している メ ツキベース層をィ オ ン ミ リ ン グによ り除去する。 その後、 磁気 トラ ンスデューサ 5 の 両端の端子に接続する電極パッ ド (図示せず) や記録コイル 1 2の 電極パ ッ ド (図示せず) を形成する。
最後に、 複数の磁気へッ ドが同時に形成されたウェハから個々の 磁気へッ ドを切り出し、 各磁気へッ ドを浮上面 A B Sから最終仕上 がり線まで機械的に研磨する。 この最終仕上がり線はギャ ップ深さ (図 7 B参照) によ り決められ、 この時、 先端副磁極の形状パラ メ 一夕の 1 つである 「先端凸部高さ S H」 が画定される。
以上に説明した図 1 2 A〜図 1 2 Hの工程により、 本実施例に係 る迚特の形状をもつ先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドを製造する こ とができる。
• 追加的な上部磁極自体の成型方法
図 1 2 A〜図 1 2 Hの工程により製造された薄膜磁気へッ ドに対 し、 必要に応じて、 本出願人が以前に提案したよう に (特願平 1 0 一 1 8 4 7 8 0号) 上部磁極 1 6のポール 1 6 aを ト リ ミ ングして 所望の形状に整形するこ とで、 特性の更なる向上を図るこ と も可能 である。
図 1 3 A〜図 1 3 Dはウェハ面に対しイオン ミ リ ングによる ト リ
ミ ングを行った場合の製造工程を示している。 先ず図 1 3 A及び図' 1 3 Bに示されるように、 基板 (ウェハ) 上に上部磁極 1 6 まで形 成した後、 上部磁極 1 6 の ト レー リ ング · エッ ジ近傍のみに窓があ く よう にパターニ ングされた保護膜 3 4或いは保護用のレジス トを 被着し、 イオン ミ リ ングにより ト リ ミ ングを行う。 こ のイオン ミ リ ン グは、 図 1 3 Cに示されるように、 ウェハを回転させながら所定 角度 ( 0 ) で揺動させて、 浮上面側から研磨加工する ものである。 この方法により、 上部磁極 1 6 の上面がそれ程削られるこ とな く 、 側面を所望の程度研磨するこ とができる。 そして図 1 3 Dに示され るよう に、 保護膜 3 4 を除去した後、 ウェハから切り出し、 浮上面 から最終仕上がり線まで研磨加工する。
図 1 4 A〜図 1 4 Cはウェハ面に対し F I B ト リ ミ ングを行った 場合の製造工程を示している。 先ず図 1 4 A及び図 1 4 Bに示され るよう に、 基板 (ウェハ) 上に上部磁極 1 6 まで形成した後、 上部 磁極 1 6 の ト レー リ ング · エッ ジ近傍に焦点を定めた集束イオン ビ ー厶 ( F I B ) により ト リ ミ ングを行う。 そ して図 1 4 Cに示され るよう に、 ウェハから切り出し、 浮上面から最終仕上がり線まで研 磨加工する。
図 1 5 A及び図 1 5 Bは浮上面に対しイオン ミ リ ングによる ト リ ミ ングを行った場合の製造工程を示している。 図示のように、 ゥェ ハから各々 の磁気へッ ドを切り出し、 浮上面からの研磨加工を施し た後 (つま り、 スライ ダ加工を施した後) 、 浮上面上において上部 磁極 1 6 のサイ ドエッ ジ近傍のみに窓があく ようにパターニ ングさ れた保護膜等 (図示せず) を被着し、 イオン ミ リ ングによ り ト リ ミ ングを行う。
図 1 6 A及び図 1 6 Bは浮上面に対し F I B ト リ ミ ングを行った 場合の製造工程を示している。 図示のように、 ウェハから各々 の磁
気へッ ドを切り出し、 浮上面からの研磨加工を施した後 (つま り、 ' スライ ダ加工を施した後) 、 浮上面上において上部磁極 1 6 のサイ ドエツ ジ部に焦点を定めた F I Bによ り ト リ ミ ングを行う。
以上説明したように、 本実施例に係る薄膜磁気へッ ド及びその製 造方法によれば、 先端副磁極を備えた複合型磁気へッ ド或いは誘導 型記録再生薄膜へッ ドにおいて、 高周波オーバーライ 卜特性の悪化 の原因となる透磁率低下に伴う記録磁界の低下、 或いは低周波記録 にじみ特性の悪化の原因となる起磁力増加に伴う記録磁界の増大と いった問題を解消するこ とができる。 これにより、 良好な高周波特 性と記録にじみ特性を持った薄膜磁気へッ ドの作製が可能となり、 先端副磁極を備えた薄膜磁気へッ ドの当初の目的である、 ト ラ ッ ク 幅の規定、 記録にじみの低減を達成するこ とができ、 高記録密度化 を実現するこ とが可能となる。