明 細 書 ァシルォキシアル力ンスルホン酸の製造方法 技術分野
本発明は、 ァシルォキシアル力ンスルホン酸及びその塩の製造法に関するもの である。 詳しくは、 ァシルォキシアルカンスルホン酸が温和な条件で製造可能な ァシルォキシアル力ンスルホン酸塩の製造法に関するものである。 背景技術
イセチオン酸 (2—ヒ ドロキシエタンスルホン酸) 等のヒ ドロキシアルカンス ルホン酸脂肪酸エステルのナトリウム塩は耐硬水性が石鹼に対して格段に強く、 皮膚にマイルドであり、 その泡の性質は豊満感がある。 又、 合成石鹼又は複合石 鹼の素材として成形時に比較的熱可塑性がある等の特徴があり、 合成石鹼又は複 合石験の素材、 シャンプーやボディ一清浄剤の成分、 繊維精練剤や染色助剤等と して古くから使用されている。
また、 "hapPi, 92, 1995"によれば、 P P G社はイセチオン酸ヤシ油脂肪酸エス テル の対イオンをナトリゥムイオンからアンモニゥムイオンに変えることによ り、 水溶性が室温において 3 0 %を上回ることを見出し、 マイルドで環境に優し く、 高い泡立ち性を有する活性剤として紹介している。 一般にアンモニゥム塩は ナトリウム塩より水溶性が高いことは知られているが、 イセチオン酸ヤシ油脂肪 酸エステルのアンモニゥム塩は前例がないほどの違いがあり、 経口毒性も低くほ ぼ無害であり、 生分解性は OECD 301Dのガイ ドラインである 1 5日で 6 5 %を越 えているという記載があり、 今後期待される界面活性剤の一つである。
これらのイセチオン酸脂肪酸エステル塩等のァシルォキシアル力ンスルホン酸 塩の通常の製造方法は以下の通りである。 以下、 イセチオン酸を代表例として説 明する。
即ち、 イセチオン酸と脂肪酸を直接反応させる方法 (米国特許第 3, 151, 136号、 特開平第 2- 1454号) がある。 あるいはまた、 イセチオン酸塩を任意の方法で、 例 えば亜硫酸水素ナトリウムゃ亜硫酸水素アンモニゥムのような亜硫酸水素塩とェ
チレンォキサイ ドとから製造し、 次いで得られたイセチオン酸塩と脂肪酸とをェ ステル化することにより製造される (以下直接エステル化法という) 。
上記米国特許第 3, 151, 136号では、 脂肪酸を減圧下に 1 0 0〜1 2 0 °Cに熱し てからイセチオン酸を加え、 1 1 0 °C、 続いて 1 3 5 °Cに維持してエステル化反 応を完結している。 また特開平第 2- 1454号においては、 イセチオン酸と脂肪酸を 1 1 0〜1 2 0 °Cで反応させ、 次いで 1 3 5 °Cで後撹拌することが開示されてい る。
特開平第 2-1454号では、 ャシ脂肪酸とイセチォン酸などからイセチォン酸脂肪 酸エステルナトリウム塩を得ているが、 反応が最高温度 1 3 5 °Cでなされている ため不純物が生じ、 得られるイセチオン酸脂肪酸エステル塩は、 純度が低く、 水 溶性に劣る。 このことは、 ナトリウム塩のように水溶性が要求されない塩ではさ ほど問題にはならないが、 高 、水溶性が要求される塩では実用性に欠けることを 意味する。
直接エステル化法による他の例としては、 たとえば、 W0 95/01331及び W0 95/1 1957には、 亜硫酸水素アンモニゥムとエチレンォキサイ ドとからイセチオン酸ァ ンモニゥム塩を生成し、 得られたイセチォン酸ァンモニゥム塩とャシ油脂肪酸か らイセチオン酸ヤシ油脂肪酸アンモニゥム塩を製造する方法が記載されている。 このような直接エステル化法では食塩は副生しないが、 反応に 2 0 0 °C近い高温 が必要であり、 そのため副反応物の生成、 色相劣化や着臭の問題がある。 エステ ル化反応に際し脱水を行うが、 減圧による発泡が著しいため、 反応に長時間を要 し、 反応容器も生成量に対して大容量のものを使用しなければならない。 W0 95/ 01331及び W0 95/11957の方法は、 イセチオン酸塩の製造時にエチレングリコール 等の不純物を減少させることに主眼があるため、 この点は改善がない。
また別法として、 得られたイセチオン酸塩と脂肪酸クロライ ドを反応させて、 脂肪酸イセチオン酸エステルを製造する方法がある (以下酸クロライ ド法という) 。 しかしながら、 この酸クロライ ド法では、 1 0 0 °C以下程度の比較的低温で製 造することができるが、 食塩が副生するという難点がある。
さらにまた、 得られたイセチオン酸塩と脂肪酸メチルエステルをエステル交換 反応させることにより製造する方法もある (以下エステル交換法という) 。 この エステル交換による場合も、 反応に 2 0 0 °C近い高温が必要であり、 そのため副 反応物の生成、 色相劣化や着臭の問題がある。 また、 脂肪酸メチルエステルの調
製が不可避であり、 操作性、 コスト面で劣る。
ところで、 イセチオン酸ヤシ油脂肪酸エステルのナトリウム塩は、 水溶性が室 温において数%以下とァニォン活性剤としては低いため用途が限定されていた。 また、 アンモニゥム塩は水溶性では比較的優れているが、 高 p H側では臭いの問 題があり、 同等以上の水溶性や起泡性等の物性を有するイセチォン酸脂肪酸エス テル塩が要求されている。 ところが、 亜硫酸水素塩として工業的に入手できるの はナトリウムとアンモニゥム塩程度であり、 亜硫酸水素塩とエチレンォキサイ ド とからイセチオン酸塩を製造する際にも、 イセチオン酸塩と脂肪酸を直接エステ ル化する際にも対イオンの置換はないので、 イセチオン酸脂肪酸エステルの対ィ オンの種類がナトリウムとアンモニゥム程度に限定されることになる。 任意のも のを製造するには、 イセチオン酸脂肪酸エステルのナトリゥム塩又はアンモニゥ ム塩をエステル交換等より所望の塩に交換しなければならず、 各種の塩を工業的 に製造するのは容易でない。 イセチオン酸脂肪酸エステルが得られれば、 これを 所望の対塩基で中和すればよいので、 エステル交換をする必要もなく、 容易に各 種の塩を工業的に製造できるので、 その製造方法の開発が待たれていた。
本発明の目的は、 温和な条件で反応し、 そのため副生成物が少なく、 色相や臭 いが改良され、 又発泡が少なく反応系からの減圧脱水が容易に行えるため反応時 間の短縮化が図れ、 更に各種対イオンの塩が容易に製造することができ、 また、 極性溶媒などへの溶解性に優れた、 ァシルォキシアルカンスルホン酸又はその塩 の製造方法、 及びその塩の極性溶媒溶液を提供することにある。 発明の開示
すなわち本発明においては、 脂肪酸及び 又は脂肪酸アルキルエステルとヒ ド ロキシアルキルスルホン酸よりァシルォキシアル力ンスルホン酸を製造する方法 において、 脂肪酸及び Z又は脂肪酸アルキルエステルとヒ ドロキシアルキルスル ホン酸のエステル化反応の最高温度が 1 3 0 °C以下で行われることを特徴とする ァシルォキシアル力ンスルホン酸の製造方法を提供するものである。
また本発明は、 上記のようにして得られたァシルォキシアル力ンスルホン酸に 塩基を反応させることを特徴とするァシルォキシアル力ンスルホン酸塩の製造方 法を提供するものである。
さらにまた本発明は、 上記の方法により得られたァシルォキシアル力ンスルホ
ン酸塩からなる界面活性剤を提供するものである。
さらにまた本発明は、 上記の方法により得られたァシルォキシアル力ンスルホ ン酸塩の、 極性溶媒溶液、 乳化液、 又は分散液を提供するものである。 発明を実施するための最良の形態
本発明において、 ヒ ドロキシアルキルスルホン酸のヒ ドロキンアルキル基は、 炭素数 2〜4の範囲が適当であるが、 本発明は特にヒ ドロキシアルキルスルホン 酸が 2—ヒ ドロキシエタンスルホン酸 (イセチオン酸) である場合に最も優れた 効果を奏する。 したがって、 以下にイセチオン酸を代表例として本発明を説明す る。
原料として用いられるイセチオン酸の製造方法は特に限定されない。 例えば、 米国特許第 4910, 330号にみられるようにメルカプトェタノールを酸化する方法、 特開平 4- 275270号にみられるように亜硫酸水素ナトリウムとエチレンォキシドか らイセチオン酸ナトリウム塩を製造後、 電気透析によりナトリウムを除去する方 法、 米国特許第 4, 499, 028号にみられるように乾燥したイセチォン酸ナトリウム 塩に濃塩酸を作用させて得る方法、 米国特許第 4, 696, 773号にみられるようにィ セチオン酸ナトリウム塩と塩酸及びエタノールから得る方法、 米国特許第 5, 053, 530号にみられるようにイセチオン酸ナトリウム塩に修酸を作用させて得る方法、 特開平 3-66659号にみられるようにイセチオン酸ナトリウム塩と塩酸及びエタノ ールから得る方法等が挙げられるが、 メルカプトエタノールを過酸化水素で酸化 する方法が現状では安価な製造法を提供でき有利である。
エチレングリコールのように、 脂肪酸とのエステル化物が水不溶性になる化合 物の存在は、 イセチオン酸脂肪酸エステル塩の水溶性を低下させ、 透明化温度を 上昇させる原因となるので好ましくない。 メルカプトエタノールを酸化して製造 する方法では、 2 , 2 ' —ジチオジェタノ一ル及び S— S結合が保たれたまま酸 素が付加したスルホキシド等のイセチォン酸への酸化中間物等が問題となるが、 それらの含有量は 7 0 %イセチオン酸水溶液に対して 1 %以下が望ましい。 メル カプトエタノールを酸化して製造する場合には、 酸化剤を過剰に使用して十分に 酸化処理することにより不純物量を低減できる。 その外、 これらの副生成物は必 要に応じてイオン交換、 吸着剤処理、 酸化処理、 蒸留、 ストリツビング等により 除去精製することができる。 たとえば、 ストリ ツビングする場合は、 5 0〜1 0
0 °C、 1 0〜3 O mmH gで窒素ガスを吹き込みこれを行うことができる。
イセチォン酸脂肪酸エステル塩を製造する場合、 イセチォン酸単独でも実施で きるが、 イセチオン酸とイセチオン酸塩の混合物でも実施できる。 イセチオン酸 とイセチオン酸塩の混合物中のイセチオン酸塩の割合が高くなるに従ってエステ ル化反応に必要な温度は高くなるので、 本法の目的を達成するためには、 イセチ オン酸塩の割合は 7 0 %以下であることが望ましい。 また、 対イオンの置換は起 こらないので、 目的とするイセチオン酸脂肪酸エステル塩を考慮の上、 イセチォ ン酸塩の対イオンの種類を決定する。
イセチォン酸塩はイセチォン酸に塩基を反応させ部分中和して得ることができ る。 使用する塩基の対イオンは、 特に限定されない。 例えば、 アルカリ金属 (ナ トリウム、 カリウム、 リチウム等) 、 アルカリ土類金属 (マグネシウム、 カルシ ゥム等) 、 アンモニゥム、 アル力ノールアミ ン (エタノールアミ ン、 ジエタノー ルァミン、 トリエタノールァミン、 イソプロパノールァミン、 ジイソプロパノ一 ルァミン、 トリイソプロパノールァミン及びエチレンジアミンテドラ (プロピレ ングリコール) 等) の各イオンが対イオンである塩基を使用できる。 また、 塩基 の濃度、 液量は特に限定されない。 また、 例えば、 イセチオン酸塩は亜硫酸水素 塩とエチレンォキサイ ドから合成することもできる。
脂肪酸は飽和及び不飽和脂肪酸のいずれでも用いることができる。 脂肪酸の炭 素数は 6〜2 2、 特に望ましくは 8〜1 8である。 ヤシ油脂肪酸、 パ一ム核油脂 肪酸、 ラウリン酸、 ォレイン酸、 ステアリン酸、 イソステアリン酸等が例として 挙げられる。 脂肪酸アルキルエステルは飽和及び不飽和脂肪酸のアルキルエステ ルであればいずれでも用いることができる。 脂肪酸の炭素数は 6〜2 2、 特に望 ましくは 8〜1 8である。 ヤシ油脂肪酸、 パーム核油脂肪酸、 ラウリン酸、 ォレ イン、 ステアリ ン酸、 イソステアリ ン酸等が例として挙げられる。 これにエステ ル結合するアルキル基は特に限定されず、 メチル基、 ェチル基などが使用出来る。 イセチオン酸及び 又はその塩と脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルの エステル化の際のイセチォン酸及び 又はイセチォン酸塩に対する脂肪酸及び/ 又は脂肪酸アルキルエステルの仕込モル比は 0 . 9 5〜: L . 1が望ましい。 この脂 肪酸及び Z又は脂肪酸アルキルエステルの比が 1 . 1より多いとエステル化後、 脂肪酸及び Z又は脂肪酸アルキルエステルが残存し、 又、 水不溶性のエステル化 合物が生成するため、 中和した塩の水溶性が低下し、 水溶液の透明化温度が上昇
する原因となる。 またこの比率が 0 . 9 5より少ないと、 エステル化反応が不完 全となり好ましくない。
イセチオン酸及び Z又はその塩と脂肪酸及び Z又は脂肪酸アルキルエステルの エステル化の際に用いる触媒は通常必要としないが、 後述のように、 イセチオン 酸脂肪酸エステル及び Z又はその塩をを予め添加すると反応時間が短縮化され好 ましい。
イセチオン酸及び 又はその塩は通常水溶液として得られるため、 これと脂肪 酸及び Z又は脂肪酸アルキルエステルとのエステル化反応の初期は相互溶解せず 2層の不均一反応となり、 反応が進行しイセチオン酸脂肪酸エステル又はその塩 が生成すると均一系となる。 予めイセチオン酸脂肪酸エステル又はその塩を適当 量添加してからエステル化すると反応初期より均一系となり、 反応時間の短縮化 がはかれ好ましい。 この時のイセチオン酸脂肪酸エステル又はその塩の添加量は、 イセチオン酸及びノ又はその塩と脂肪酸及び/又は脂肪酸アルキルエステルの合 計量に対して 5〜2 0 %が望ましく、 これより少ないと均一系にならず、 多いと コスト的に不利になる。 仕込んだイセチオン酸及びノ又はその塩と脂肪酸及び 又は脂肪酸アルキルエステルの混合物を反応温度まで昇温し、 減圧 ·脱水すれば エステル化反応が進行する。
反応温度は 5 0〜1 3 0 °C、 望ましくは 6 0〜1 2 0 °Cが良好である。 これよ り高温ではその必要がないばかりでなく、 副反応や着色 ·臭いが起こり好ましく ない。 これより低温では反応速度が遅くなるか進行しない。 また、 エステル化反 応の全反応を通じて、 最高温度は、 1 3 0 °C以下、 好ましくは 1 0 0 °C未満であ る。 これ以上の温度にしてしまうと、 副反応や着色 ·臭いが起こり、 本発明の目 的を達せられない。 このように、 本法では低温度で反応できるが、 これはイセチ オン酸自身が触媒の働きをするためと考えられる。
本発明では発泡による減圧の制約が少ないので、 エステル化により生成した水 分及び溶媒としての水分を、 従来方法よりも急速に、 減圧度を高め脱水すること ができる。 この結果、 従来方法よりも短時間で反応を終了することができ、 それ により、 副生物の生成が抑制され、 従来方法によるものより水溶性に優れたイセ チオン酸脂肪酸エステルを得ることができる。
本発明によれば、 エステル化反応率は実施例で示すように 9 0 %以上が達成で さる。
W イセチオン酸脂肪酸エステル塩を製造する場合は、 エステル化後、 さらに所望 の塩基を反応させる。 この時、 酸性下又はアルカリ性下で高温で水と長時間接触 すると、 生成したエステルが加水分解し、 極性溶媒溶液が濁り透明化温度が上昇 する原因となるので、 塩基の極性溶媒溶液を加え、 局所的に高 p Hにならないよ うに撹拌するのが好ましい。 なお、 極性溶媒は、 特に限定されない。 例えば、 水、 低級アルコール、 グリコール類、 グリセリンなどがあげられ、 また、 それらの混 合物であることもできる。 最終 P Hはエステル結合の加水分解を防ぐため 6〜 8、 望ましくは 6 . 5〜7 . 0に調整する。
使用する塩基の対イオンは特に限定されない。 例としてはアルカリ金属 (ナト リウム、 カリウム、 リチウム等) 、 アルカリ土類金属 (マグネシウム、 カルシゥ ム等) 、 アンモウム、 アルカノールァミ ン (エタノールァミ ン、 ジエタノールァ ミ ン、 トリエタノールァミ ン、 イソプロパノールァミ ン、 ジイソプロパノールァ ミン、 トリイソプロパノ一ルァミン及びエチレンジアミンテトラ (プロピレング リコール) 等) の各イオンを対イオンとする塩基が使用できる。 使用する塩基と してアル力ノールァミンを対イオンとするものを用いて得られるアル力ノールァ ミン塩は、 ナトリウム塩、 アンモニゥム塩に比して配合性、 起泡性、 水溶性、 使 用時の感触等に優れる。 特にアルカノールァミン塩はアンモニゥム塩に比べて水 溶液粘度が格段に低下し水溶性良好である。 そのため他の活性剤との配合性が良 好である。 さらにこのアルカノールァミン水溶液の粘度は、 本来水溶性の良くな ぃナトリウム化合物等の添加により増加するので、 水溶液の粘度調整が容易であ る。 使用する塩基の濃度や液量は特に限定されない。
生成したイセチォン酸脂肪酸エステル又はその塩の水溶液に着色と着臭の問題 がある時には、 過酸化水素処理が有効な場合がある。 例えば、 3 0 %過酸化水素 をイセチオン酸脂肪酸エステル塩水溶液に 0 . 0 1〜1 %添加し、 5 0〜1 0 0 °Cで処理することにより、 着色と着臭が改善される。
得られたイセチオン酸脂肪酸エステルは、 イセチオン酸エステル塩の製造、 各 種樹脂の改質剤等の用途に使用できる。 また、 得られたイセチオン酸脂肪酸エス テル塩は従来法によるものと同様の用途に使用できる。 即ち、 ァニオン性界面活 性剤として各種の用途に使用できる。 例えば、 極性溶媒に溶解させ、 乳化させ、 又は分散させて、 例えば、 合成石鹼、 複合石鹼、 シャンプ一、 全身洗浄剤、 繊維 精練剤、 染色助剤、 防鳍剤、 潤滑剤、 樹脂改質剤等に使用できる。 特にアルカノ
—ルアミン類の塩又はアンモニゥム塩ではシャンプー ·ボディ一清浄剤の主成分 として使用できる。 前記の場合、 ナトリウム塩の場合に比べて、 配合性、 起泡性 及び使用時後の感触等が改良される。 実施例
以下、 実施例を挙げて本発明を更に説明するが、 本発明はその要旨を越えない 限り、 これらの実施例に限定されるものではない。
また、 反応の分析は — NMR法により行った。 即ち、 脂肪酸の反応率の分 析は、 カルボニル炭素に隣接したメチレン基のシグナルが、 脂肪酸の場合 (52. 22 p pm、 エステルでは 52.29 ρ p mに各々出現することから、 ジメチル スルホキシド (DMSO) に溶解したサンプルについて、 日本電子製 J NM— L A400型 FT— NMR装置を用いて (52.22 p pmと S 2.29 p pmのシグ ナル強度を測定し、 両者のシグナル強度比より求めた。 又、 イセチオン酸の反応 率は、 スルホン酸基に隣接したメチレン基のシグナルがイセチオン酸の場合 S 2. 72 p pm、 エステルでは 52.82 ρ pmに、 また、 酸素原子に隣接したメチ レン基のシグナルがイセチオン酸の場合 53.69 p pm、 エステルでは S 4.2 4 p pmに各々出現することから、 各々のシグナル強度比から反応率を求め平均 値を算出した。
また、 副生物である 2, 2' —ジチオジェ夕ノール及びそのスルホキシドは 13 C— NMRを用いて標準添加法により定量し、 硫酸はイオンクロマトグラフ法に より求めた。
また、 イセチオン酸脂肪酸エステルの各塩の極性溶媒 (水) 溶液は、 濁りが出 るまで冷却し、 再び徐々に昇温して透明になる温度 (透明化温度) を、 目視によ り、 求めた。 また、 色相を目視により検定した。 臭いは官能検査により調べた。 粘度は B型粘度計により測定した。 起泡性は 50°C、 0.2%水溶液について口 ス · マイルス法により調べた。
表 1において、 直後、 5分後とは、 それぞれ各表に記載の塩基と水を加えて得 られた塩を、 さらに 0.2%水溶液とした直後と 5分後の起泡性を示し、 その数 値単位は泡の高さ (mm) である。
実施例 1
(1) メルカプトエタノールを過酸化水素で酸化することにより 71.5%ィ
セチオン酸水溶液を得た。 副生物である 2, 2'——ジチオジェタノ一ル及びその スルホキシドは合計 0.7%であった。 また硫酸は◦.1 %であった。 この 71. 5%イセチオン酸水溶液 127 g (イセチオン酸 0.72モル) とラウリン酸 (中和価 28 OmgKOHZg) 144 g (0.72モル) を四つ口フラスコに とり、 窒素気流下 100°Cまで昇温した。 100°Cで 30分間保持してから発泡 状況を考慮しつつ徐々に減圧した。 この時発泡は少なく、 減圧開始から約 30分 間で常圧から 10〜3 OmmH gとできた。 このまま、 10〜30mmHgにて 2時間、 溶媒としての水分とエステル化により生成した水分を減圧除去し、 本発 明の、 イセチオン酸ラウリン酸エステルを得た。
本実施例の場合の脂肪酸のエステル化反応率は 98%、 イセチオン酸のエステ ル化反応率は 97%であった。
(2) 次いで、 得られた反応物に、 pH6.5、 固形分濃度 30%になるよう に表 1の実施例 1 a〜l hに示す各塩基と水を加え、 本発明のイセチオン酸ラウ リン酸エステルの各塩の水溶液を得た。 これらについての透明化温度、 色相、 臭 い及び起泡性についての測定結果を、 加えた塩基とともに表 1に示した。
表 1
臭いの判定基準
+ + 強く感じる
+ 感じらる
土 殆ど感ない
一 感じない
実施例 2
(1) 実施例 1で用いた 71.5%イセチオン酸水溶液 127 g (イセチオン 酸 0.72モル) 、 ヤシ油脂肪酸 (中和価 257mgKOH/g) 157 g (0. 72モル) 、 及び、 予め合成したイセチオン酸脂肪酸エステル 28 g (水溶液に 対して 10%) を四つ口フラスコにとった。 混合物は撹拌と共に均一になった。 これを窒素気流下 80°Cまで加熱した。 80°Cに達したら直ちに発泡状況を考慮 しつつ徐々に減圧した。 この時発泡は少なく、 減圧開始から約 30分間で常圧から 10〜3 OmmHgとできた。 このまま、 10〜 3 OmmHgにて 3時間、 溶媒 としての水分とエステル化により生成した水分を減圧除去し、 イセチオン酸ヤシ 油脂肪酸エステルを得た。
減圧脱水反応中の発泡は、 後記する比較例 1の場合に比べて極めて少なく、 操 作性は良好であった。 反応物の — NMR法によるヤシ油脂肪酸のエステル化 反応率は 95%、 イセチオン酸のエステル化反応率は 95%であった。
(2) 次いで、 反応物を、 ρΗ6.6、 固形分濃度が 31%になるように、 表 2の実施例 2 a〜2 gに示す各塩基と水を加え、 本発明のイセチオン酸ラウリン 酸エステルの各塩の水溶液を得た。 これらは若干着色していた。 そこで、 30% 過酸化水素を水溶液に対して 0.4%添加し、 8(TCで処理した。 その処理後の 生成物についての測定結果を、 加えた塩基とともに表 2に示した。
表 2
実施例 塩基 透明化 色相 起泡性(mm) 粘度 温度 APHA No 直後 5分後 cPs
2 a 28 %了ンモニ了水溶液 15°C 250 士 21 9 218 570
2 b エタハル了ミン水溶液 5°C以下 240 土 224 224 9
2 c 卜リエタハルアミン水溶液 5°C以下 230 224 224 8
2 d イソフ 'πパ ル了、:ン水溶液 5°C以下 240 228 228 10
2 e トリイソプロパハルアミン水溶液 5°C以下 240 225 225 6
2 f エチレンジ了ミンテトラ(フ ·πビレンダリ
コ-ル)水溶液 5°C以下 230 土 227 227 6
2 g 水酸化ナ ゥム水溶液 ゲル化 土 21 6 216
実施例 3
(1) メルカプトエタノールを過酸化水素で酸化することにより 74.5%ィ セチオン酸水溶液を得た。 副生物である 2, 2' —ジチオジェ夕ノール及びその スルホキシドは 1.3%、 硫酸は 0.3%であった。 このイセチオン酸水溶液を 1
00°C、 10〜3 OmmH gで窒素にて 2時間ストリツビングした。 このストリツ ビング後の 74.5%イセチオン酸水溶液 122 g (イセチオン酸 0.72モル) にラウリン酸 144 g (0.72モル) を加え、 窒素気流下 100°Cまで昇温し た。 100°Cで 30分間保持してから発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。 こ の時発泡は少なく、 減圧開始から約 30分間で常圧から 10〜30mmHgとで きた。 このまま、 10〜3 OmmH gにて 2時間、 溶媒としての水分とエステル 化により生成した水分を減圧除去し、 イセチオン酸ラウリン酸エステルを得た。 反応物の iH— NMR分析によるラウリン酸のエステル化反応率は 95%, ィ セチオン酸のエステル化反応率は 95%であった。
(2) 次いで、 得られた反応物に、 pH6.7、 固形分濃度が 32%となるよ う 28%アンモニア水溶液と水を加え本発明のイセチオン酸ラウリン酸エステル のアンモニゥム塩の水溶液を得た。 水溶液の透明化温度は 20°Cであった。
実施例 4
(1) 実施例 1で用いた 71.5%イセチオン酸水溶液 127 g (イセチオン 酸 0.72モル) とォレイン酸 (中和価 197mgKOHZg) 225 g (0.7 9モル) 及び (予め合成した) イセチオン酸ォレイン酸エステルを 35 g (水溶 液に対して 10%) を四つ口フラスコにとった。 混合物は撹拌と共に均一になつ た。 混合物を窒素気流下 70°Cに加熱した。 70°Cに達したら直ちに発泡状況を 考慮しつつ徐々に減圧した。 この時発泡は少なく、 減圧開始から約 30分間で常圧 から 10〜3 OmmH gとできた。 このまま、 10〜 30 mmH gにて 4時間、 溶媒としての水分とエステル化により生成した水分を減圧除去し、 イセチオン酸 ォレイン酸エステルを得た。
反応物の !H— NMR分析によるォレイン酸のエステル化反応率は 93%、 ィ セチオン酸のエステル化反応率は 90%であった。
(2) 次いで、 得られた反応物に、 pH6.8、 固形分濃度が 32%となるよ うに、 28%アンモニアと水一エタノール (4 : 1) 溶液を加え、 本発明のイセ
チオン酸ォレイン酸エステルのアンモニゥム塩の水一エタノール (4 : 1) 溶液 を得た。
実施例 5
(1) 実施例 1で用いた 71.5%イセチオン酸水溶液 127 g (イセチオン 酸 0.72モル%) に 28%アンモニア水溶液 22 g (0.36モル) を冷却しな がら加えて中和し、 イセチオン酸の 50%アンモニア中和物を得た。 これにラウ リン酸 150 g (0.75モル) を添加し、 窒素気流下 120°Cまで昇温した。
120°Cに達したら発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。 この時発泡は少なく、 減圧開始から約 30分間で常圧から 10〜3 OmmHgとできた。 このまま、 10 〜3 OmmH gで 2時間、 溶媒としての水分とエステル化により生成した水分を 減圧除去し、 イセチオン酸ラウリン酸エステルの部分アンモニゥム塩を得た。 反 応物の — NMR分析によるラウリン酸のエステル化反応率は 94%、 イセチ オン酸のエステル化反応率は 97%であった。
(2) 次いで、 得られた反応物に、 pH6.7、 固形分濃度が 31%となるよ う 28%アンモニア水溶液と水を加え、 本発明のイセチオン酸ラウリン酸エステ ルのアンモニゥム塩の水溶液を得た。 水溶液の透明化温度は 17°Cであった。 色 相は APHANol 50であった。
比較例 1
実施例 1で用いた 71.5%イセチオン酸水溶液 122 g (0.69モル) に 2 8%アンモニア水溶液 42 g (0.69モル) 加えて pH5に調整し、 イセチォ ン酸アンモニゥム塩を得た。 これに実施例 2で用いたヤシ油脂肪酸 151 g (0. 69モル) 、 触媒としてメタンスルホン酸 0.25 g、 次亜リン酸 0.42 gを加 え、 窒素気流下 130°Cに加熱後、 発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。 この 時発泡が激しく、 減圧を開始して 60分経過しても 140〜15 OmmHg以上 の減圧は困難で、 10〜3 OmmH gとすることができたのは、 10時間後であ- た。
比較例 2
比較例 1と同様にして、 イセチオン酸アンモニゥム塩、 ヤシ油脂肪酸、 メタン スルホン酸、 次亜リン酸を加え、 窒素気流下 170°Cに加熱後、 発泡状況を考慮 しつつ徐々に減圧した。 この時発泡が激しく、 減圧を開始して 60分経過しても 140〜15 OmmHg以上の減圧は困難であった。 さらに 5時間反応させたが、
このときの減圧度は 100〜14 OmmHg程度であった。 さらに 100〜 14 OmmH gで 3時間生成した水分を減圧除去して、 イセチオン酸ヤシ油脂肪酸ェ ステルアンモニゥム塩を合成した。 反応物の — NMR法によるヤシ油脂肪酸 のエステル化反応率は 83 %であつた。
次いで、 反応物を、 ρΗ6.9、 固形分 32%となるよう、 28%アンモニア 水溶液と水を加えた後、 30%過酸化水素を永溶液に対して 0. 1%添加し、 6 0°Cで 3時間処理した。 この処理後の結果を表 3に示す。 この水溶液の色相はガ —ドナー No5で、 色相、 臭いは処理により若干改善されたが、 実施例 2に比して、 まだ、 色相は劣り、 臭いは強かった。 この比較例との対比で判るように、 本発明 の方法は色相、 臭い
とも優れている。
表 3
実施例 3で用いた 74.5%イセチオン酸水溶液 122 g (0.72モル) 、 ャ シ油脂肪酸酸 166 g (0.76モル) を四つ口フラスコにとり、 窒素気流下 1 60°Cに加熱した。 160°Cに到達後徐々に減圧し、 10〜30111111^1 にて1 時間生成した水分を減圧蒸留して除去し、 イセチォン酸ャシ油脂肪酸エステルを 合成した。 反応物の — NMR分析によるヤシ油脂肪酸のエステル化反応率は 84%であった。 反応物を、 pH6.7、 固形分 31%となるよう 28%アンモ ニァ水溶液と水を加え、 水溶液を調整した。 水溶液の透明化温度は 60°C以上で あり、 色相はガードナー No5であった。 この比較例との対比で判るように、 本発 明の方法は透明化温度、 色相とも、 非常に優れている。
比較例 4
ヤシ脂肪酸 157 g (0.72モル) を 110°Cに加熱し、 水流ポンプで減圧 した (50〜7 OmmH ) 。 実施例 1で用いた 71.5%イセチオン酸 127 g (0.72モル) を滴下し、 溶媒と反応水を留去しつつ、 110°Cで 30分及 び 135°Cで 30分間撹拌し、 イセチオン酸脂肪酸エステルを得た。 減圧脱水反 応中の発泡は各実施例と同程度であつたが、 反応物の 1H— NMR法によるヤシ 油脂肪酸のエステル化反応率は 79%であった。
さらに、 得られた反応物に、 pH6.8、 固形分濃度が 32%となるように 2 8%アンモニア水溶液と水を加え、 イセチオン酸ラウリ ン酸エステルのアンモニ ゥム塩を得た。 得られた水溶液は、 透明化温度 60°C以上、 色相はガードナー No 4であった。 この比較例との対比で判るように、 本発明の方法は透明化温度、 色 相とも、 非常に優れている。 産業上の利用の可能性
本発明により、 温和な条件で反応し、 そのため副生成物が少なく、 色相や臭が 改良され、 又発泡が少なく反応系からの減圧脱水が容易に行えるため反応時間の 短縮化が図れ、 更に各種対イオンの塩の製造に供することができ、 また、 極性溶 媒などへの溶解性に優れた、 イセチォン酸脂肪酸エステル又はその塩の製造方法、 及びその塩の極性溶媒溶液が提供される。