JPWO2020179387A1 - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板およびその製造方法を開示する。本開示の熱延鋼板は、所定の化学組成を有し、面積率で焼戻しマルテンサイトを90%以上含有し、長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトの含有量が70%以上であり、円換算直径8〜15nmのV含有炭化物が30個/μm2以上の個数密度で析出している。本開示の製造方法は、スラブを1100℃以上に加熱する工程、仕上げ圧延の終了温度が850〜1050℃である熱間圧延工程、350℃以下まで40℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する工程、350℃以下で巻き取る工程、並びに400℃超480℃未満の焼戻し温度Tで15000<(T+273)×(log(t)+20)<17000を満たす時間t(秒)にわたって焼戻す工程を含む。

Description

本発明は、熱延鋼板およびその製造方法に関し、より詳しくは自動車等の構造部材に使用される熱延鋼板であって、引張強度が1180MPa以上の高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車業界では、燃費向上の観点から車体の軽量化が求められている。一方で、衝突安全性に関する規制の強化により、車体骨格における補強部品の追加などが必要となり、重量の増加につながっている。車体の軽量化と衝突安全性を両立するためには、使用する鋼板の高強度化が有効な方法の一つであり、このような背景から高強度鋼板の開発が進められている。
また、自動車業界では、車体の軽量化に加えて、耐衝突性能のさらなる改善が求められており、それゆえ衝突時のエネルギー吸収能に優れた高強度鋼板に対するニーズがある。例えば、強度−延性バランスが低い部材では、衝突時の破断に伴い衝撃吸収エネルギー量が著しく低下するという問題がある。
特許文献1では、質量%でC:0.10〜0.25%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.5%、N:0.010%以下およびV:0.10〜1.0%を含み、かつ(10Mn+V)/C≧50を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、焼戻しマルテンサイト相の体積率が80%以上で、粒径:20nm以下のVを含む炭化物が1000個/μm3以上析出し、かつ該粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下である高強度熱延鋼板が記載されている。また、特許文献1では、自動車構造部材用薄鋼板の高性能化には従来あまり積極的に利用されることがなかったVを活用することにより、強度−延性バランスに優れ、かつ引張強さが980MPa以上の高強度熱延鋼板を得ることができると記載されている。
特許文献2では、質量%でC:0.10〜0.25%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.5%、N:0.010%以下およびV:0.10〜1.0%を含み、かつ(10Mn+V)/C≧50を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、1000℃以上に加熱後、粗圧延によりシートバーとし、ついで仕上げ圧延出側温度:800℃以上の条件で仕上げ圧延を施したのち、仕上げ圧延完了後3秒以内に、平均冷却速度:20℃/s以上の速度で、400℃未満の温度域まで冷却して、巻取り、ついで400℃以上、Ac1変態点以下の温度域において、11000−3000[%V]≦Tb(20+logt)≦15000−1000[%V](ここで、Tbは焼戻し温度(℃)、tは保持時間(s)、[%V]はVの含有量(質量%))を満足する条件で焼戻し処理を施すことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法が記載されている。また、特許文献2では、特許文献1の場合と同様に、自動車構造部材用薄鋼板の高性能化には従来あまり積極的に利用されることがなかったVを活用することにより、強度−延性バランスに優れ、かつ引張強さが980MPa以上の高強度熱延鋼板を得ることができると記載されている。
一方で、引張強度が980MPaまたはそれを超えるような高強度鋼板を自動車用部材として適用する場合には、一般的に、鋼板における水素脆化割れ(遅れ破壊などともいう)の問題を解決する必要がある。水素脆化割れとは、使用状況下において高い応力が作用している鋼部材が、環境から鋼中に侵入した水素に起因して突然破壊する現象である。一般に、水素脆化割れは、鋼板の強度が上昇するほど発生し易くなることが知られている。これは、鋼板の強度が高いほど、当該鋼板を成形した後の部材に残留する応力が増大し、このような残留応力の集中部に水素が集積し易いためと考えられている。
特許文献3では、質量%で(以下、化学成分について同じ。)、C:0.03〜0.30%、Si:3.0%以下(0%を含む)、Mn:0.1%超2.8%以下、P:0.1%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下、Al:0.01〜0.50%、V:0.001〜1.00%を含み、残部が鉄および不可避的不純物からなる成分組成を有し、焼戻しマルテンサイトが面積率で50%以上(100%を含む)を含み、残部がフェライトからなる組織を有し、前記焼戻しマルテンサイト中における析出物の分布状態が、円相当直径1〜10nmの析出物は、前記焼戻しマルテンサイト1μm2当たり20個以上で、円相当直径20nm以上のVを含む析出物は、前記焼戻しマルテンサイト1μm2当たり10個以下であることを特徴とする高強度冷延鋼板が記載されている。また、特許文献3では、焼戻しマルテンサイトの面積率および該焼戻しマルテンサイト中に析出したVを含む析出物の分布状態を適正に制御した上記の高強度冷延鋼板によれば、耐水素脆化特性を確保しつつ、伸びフランジ性をも改善することが可能となると記載されている。さらに、特許文献3では、Vを含む析出物の分散状態の制御に加えて、焼戻しの際にマルテンサイト中に析出したセメンタイト粒子のサイズと存在数を制御することで、伸びと伸びフランジ性をともに向上させることができると記載されている。
特開2006−183141号公報 特開2011−102434号公報 特開2010−018862号公報
特許文献1および2では、980MPaの引張強度を有し、衝突時のエネルギー吸収能に関連して強度−延性バランスが改善された高強度熱延鋼板について記載されているものの、耐水素脆性の向上という観点からは何ら十分な検討はなされていない。したがって、特許文献1および2では、高強度鋼板、特に自動車用部材に供される高強度鋼板の特性向上に関して依然として改善の余地があった。
また、自動車部品などの加工では、プレス機械による打ち抜き工程が含まれることが多いが、とりわけ、高強度鋼板を打ち抜き加工する場合には、鋼板の高強度化に起因して打ち抜き端部において割れ(打ち抜き割れ)が発生し易いという問題がある。特許文献1および2では、高強度熱延鋼板の打ち抜き性を改善することについて検討がなされていない。
特許文献3では、上記のとおり、焼戻しマルテンサイトの面積率および当該焼戻しマルテンサイト中に析出したV含有析出物の分布状態を適正に制御することで、高強度冷延鋼板の耐水素脆化特性を確保できることが記載されているものの、当該高強度冷延鋼板の打ち抜き性を改善するという観点からは何ら十分な検討はなされていない。
そこで、本発明は、新規な構成により、高強度、特には引張強度が1180MPa以上の高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、熱延鋼板の化学組成および組織について検討した。その結果、本発明者らは、鋼板中に焼戻しマルテンサイトを面積率で90%以上含有させ、さらに鋼板中のSi含有量を所定の範囲内に制御することで高強度、具体的には1180MPa以上の引張強度を達成できることを見出した。また、一般的に、自動車が衝突した際のエネルギー吸収能を高めるためには、鋼材の降伏強度または降伏比を高めることが有効であり、それにより少ない変形量でも効率よく衝突時のエネルギーを吸収させることができる。そこで、本発明者らは、熱延鋼板の組織についてさらに検討し、鋼板中のSi/V比を所定の範囲内に制御して当該鋼板中にV含有炭化物を析出させるとともにそれを適切に制御し、これに加えて焼戻しマルテンサイト中のセメンタイトを適切な形態に制御することで、得られる熱延鋼板の降伏比を高めて衝突時のエネルギー吸収能を向上させ、さらには耐水素脆性および打ち抜き性をも向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、上記の知見に基づき完成したものであり、具体的には下記のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.15〜0.30%、
Si:0.50〜4.00%、
Mn:2.00〜4.00%、
P:0.100%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.010〜0.500%、
N:0.010%以下、および
V:0.20〜1.00%
を含有し、Si/V比が10.0以下であり、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
面積率で焼戻しマルテンサイトを90%以上含有し、
前記焼戻しマルテンサイト中に含まれるセメンタイトのうち、長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトの含有量が70%以上であり、
前記焼戻しマルテンサイト中に円換算直径8〜15nmのV含有炭化物が30個/μm2以上の個数密度で析出していることを特徴とする、熱延鋼板。
(2)さらに、質量%で、
Nb:0.01〜0.10%、
Ti:0.01〜0.10%、
B:0.0001〜0.0050%、
Cr:0.005〜1.000%、
Mo:0.005〜0.500%、
Cu:0.50〜3.00%、及び
Ni:0.25〜1.50%
の1種または2種以上を含有し、
CrおよびMoの1種または2種を含有する場合は、Cr、MoおよびVの含有量が(2Cr+Mo)/2V≦2.0の関係を満足する、
上記(1)に記載の熱延鋼板。
(3)上記(1)又は(2)に記載の化学組成を有するスラブを1100℃以上に加熱する工程、
加熱されたスラブを仕上げ圧延することを含む熱間圧延工程であって、前記仕上げ圧延の終了温度が850〜1050℃である熱間圧延工程、
得られた鋼板を350℃以下まで40℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する工程、
前記鋼板を350℃以下の巻取温度で巻き取る工程、並びに
前記鋼板を400℃超480℃未満の焼戻し温度Tで、下記式(1):
15000<(T+273)×(log(t)+20)<17000 ・・(1)
を満たす時間t(秒)にわたって焼戻す工程
を含むことを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、引張強度が1180MPa以上の高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板を得ることができる。
<熱延鋼板>
本発明の実施形態に係る熱延鋼板は、質量%で、
C:0.15〜0.30%、
Si:0.50〜4.00%、
Mn:2.00〜4.00%、
P:0.100%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.010〜0.500%、
N:0.010%以下、および
V:0.20〜1.00%
を含有し、Si/V比が10.0以下であり、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
面積率で焼戻しマルテンサイトを90%以上含有し、
前記焼戻しマルテンサイト中に含まれるセメンタイトのうち、長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトの含有量が70%以上であり、
前記焼戻しマルテンサイト中に円換算直径8〜15nmのV含有炭化物が30個/μm2以上の個数密度で析出していることを特徴としている。
先に述べたとおり、本発明者らは、鋼板中に焼戻しマルテンサイトを面積率で90%以上含有させ、さらに鋼板中のSi含有量及びSi/V比を所定の範囲内に制御して当該鋼板中にV含有炭化物を析出させるとともにそれを適切に制御し、これに加えて上記焼戻しマルテンサイト中のセメンタイトを適切な形態に制御することで、得られる鋼板において1180MPa以上の引張強度を達成するとともに、衝突時のエネルギー吸収能を向上させ、さらには耐水素脆性および打ち抜き性をも向上させることができることを見出した。なお、本発明において、V含有炭化物とは、炭化バナジウム(VC)だけでなく、NbやTiなどの元素とVとの複合炭化物、例えば(V,Ti)Cといった複合炭化物も包含するものである。
より詳しく説明すると、焼戻しマルテンサイトは、マルテンサイト組織を適切な温度で加熱および保持して(すなわち焼戻して)セメンタイトを析出させることにより得られる組織であるが、このような焼戻しによる組織回復の進行具合は温度および時間を変数とした下記焼戻しパラメータPで一般的に整理されている。
P=(T+273)(log(t)+273)
式中、Tは焼戻し温度(℃)であり、tは焼戻し時間(秒)である。焼戻し後の硬さはこの焼戻しパラメータPの関数として一般に表すことができ、それゆえ焼戻し温度および焼戻し時間から焼戻し後の鋼板の硬さや引張強度を予測することが可能である。
ここで、焼戻しの進行とともに組織中の転位密度が小さくなることから、引張強度は一般に低下する。したがって、過度の焼戻しは高強度の鋼板を得るという観点からは必ずしも望ましくない場合がある。しかしながら、焼戻しの進行具合は合金元素の添加によっても大きく変化することが知られており、特定の合金元素を適切に添加することで同じ焼戻しパラメータPの値であっても鋼板の引張強度を向上させることが可能である。また、炭化物形成元素を添加して焼戻しマルテンサイト中に炭化物を適切に析出させることで、鋼板の降伏比を高めて衝突時のエネルギー吸収能を向上させることが可能である。数ある炭化物の中でも、特にV含有炭化物は水素トラップサイトとしても機能するため、このような炭化物を利用することで鋼板の耐水素脆性をも向上させることが可能となる。
そこで、本発明者らは、上記の合金元素としてSiに着目しそして上記の炭化物形成元素としてVに着目して熱延鋼板の化学組成および組織について検討した。その結果、本発明者らは、熱延鋼板中のSi含有量を0.50%以上とすることで焼戻しを遅らせることができ、したがって同じ焼戻しパラメータPの値であっても熱延鋼板の引張強度を向上させることが可能となることを見出した。また、本発明者らは、熱延鋼板中のSi含有量がV含有量との関係でV含有炭化物の析出駆動力に大きく影響することを見出した。具体的には熱延鋼板中のSi/V比を10.0以下とすることでV含有炭化物を多く析出させることができるとともに、V含有炭化物を微細化することができることを見出した。さらに、本発明者らは、焼戻しを低温で行うことでVの拡散が遅くなるため、V含有炭化物の粗大化が抑制され、その結果として焼戻しマルテンサイト内にV含有炭化物を微細かつ多量に分散させることができ、このような微細なV含有炭化物の分散による粒子分散強化によって熱延鋼板の降伏比を高めて衝突時のエネルギー吸収能を向上させることができること、そして当該微細なV含有炭化物を水素トラップサイトとしても利用することで熱延鋼板の耐水素脆性についても向上させることができることを見出した。
加えて、本発明者らは、上記のように低温で焼戻すことで焼戻しマルテンサイト中のセメンタイトの粗大化及び球状化を抑制することができ、その結果として微小でかつアスペクト比が比較的高いセメンタイトを焼戻しマルテンサイト中に比較的多く含有させること、より具体的には焼戻しマルテンサイト中に含まれるセメンタイトのうち長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトを70%以上含有させることで、打ち抜き時に微小クラックが入りづらくなり、熱延鋼板の打ち抜き性が向上することを見出した。その結果として、本発明によれば、引張強度が1180MPa以上の高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板を提供することが可能となる。以下、本発明の実施形態に係る熱延鋼板およびその製造方法についてより詳しく説明する。
まず、本発明の実施形態に係る熱延鋼板およびその製造に用いるスラブの化学組成について説明する。以下の説明において、熱延鋼板およびスラブに含まれる各元素の含有量の単位である「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。
[C:0.15〜0.30%]
Cは、鋼板の強度確保のために必須の元素である。0.15%未満では所要の高強度が得られないため、C含有量は0.15%以上とする。C含有量は0.16%以上、0.18%以上または0.20%以上であってもよい。一方、0.30%を超えると、成形性や溶接性が低下するため、C含有量は0.30%以下とする。C含有量は0.28%以下、0.26%以下または0.25%以下であってもよい。
[Si:0.50〜4.00%、Si/V比:10.0以下]
Siは焼戻しを遅らせる効果がある元素である。0.50%未満では所要の焼戻し遅延効果が得られないため、Si含有量は0.50%以上とする。Si含有量は0.60%以上、0.80%以上、1.00%以上または1.50%以上であってもよい。一方、Si含有量が4.00%を超えると、加工性が低下するため、Si含有量は4.00%以下とする。Si含有量は、3.50%以下または3.00%以下であってもよい。また、Si/V比が10.0を超えると、V含有炭化物の析出駆動力が低下するため、Si/V比は10.0以下とする。Si/V比は9.5以下、8.0以下、7.0以下または6.0以下であってもよい。なお、Si/V比の下限値は、特に限定されないが、例えば0.5、0.8または1.0であってもよい。
[Mn:2.00〜4.00%]
Mnは焼入れ性元素である。2.00%未満では焼戻し処理前のマルテンサイト量を確保できず、ベイナイト変態やパーライト変態が起こり、粗大セメンタイト量が増加する。このため、Mn含有量は2.00%以上とし、2.10%以上、2.20%以上または2.30%以上であってもよい。一方、Mn含有量が4.00%を超えると、PやSの共偏析を助長し、加工性を著しく劣化させるため、Mn含有量は4.00%以下とする。Mn含有量は、3.50%以下、3.00%以下または2.80%以下であってもよい。
[P:0.100%以下]
P含有量は低いほど好ましく、0.100%超含有すると、成形性や溶接性に悪影響を及ぼすとともに、疲労特性も低下させるため、0.100%以下とする。好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.030%以下である。P含有量は0%であってもよいが、過剰な低減はコスト上昇を招くため、好ましくは0.0001%以上とする。
[S:0.005%以下]
Sは、鋼中でMnS等の非金属介在物を生成し、鋼材部品の延性の低下を招く元素である。このため、S含有量は0.005%以下とし、好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.002%以下である。S含有量は少ないほど好ましく0%であってもよいが、精錬工程において極低化するためには、精錬に要する時間が多くなり、コストの大幅な増加を招く。このため、下限を好ましくは0.0001%以上または0.0005%以上とする。
[Al:0.010〜0.500%]
Alは、脱酸剤として作用し、脱酸工程で添加することが好ましい。こうした効果を得るには、Al含有量を0.010%以上にする必要がある。Al含有量は、0.020%以上、0.030%以上または0.040%以上であってもよい。一方、0.500%を超えると粗大なAl酸化物が生成し、冷間成形性の低下を引き起こす。このため、上限を0.500%以下とする。Al含有量は、0.400%以下、0.300%以下または0.100%以下であってもよい。
[N:0.010%以下]
Nは、加工性劣化や溶接時のブローホール発生にも寄与するため少ない方が良い。0.010%を越えると加工性が劣化してくるので、0.010%を上限とする。N含有量は、0.005%以下または0.004%以下であってもよい。N含有量は0%であってもよいが、過剰な低減はコスト上昇を招くため、好ましくは0.001%以上とする。
[V:0.20〜1.00%]
Vは、炭化物の形態制御に有効な元素である。V含有炭化物、例えば炭化バナジウム(VC)は水素のトラップサイトとして作用し、鋼板の耐水素脆性の向上に役立つ。また、微細分散して析出したV含有炭化物は、鋼板を粒子分散強化し、降伏強度および降伏比を高める。本発明において、0.20%未満では、V含有炭化物の析出量が小さく、耐水素脆性、降伏強度および/または降伏比の向上が不十分であるため、下限を0.20%以上とする。V含有量は0.25%以上、0.30%以上または0.40%以上であってもよい。一方、Cと結合するV量は化学量論比によって定まるため、過剰なV含有量はコストの増加およびV含有炭化物の粗大化を招く。したがって、上限を1.00%とする。V含有量は、0.80%以下、0.70%以下または0.60%以下であってもよい。
本発明の実施形態に係る熱延鋼板およびその製造に用いるスラブの基本成分組成は上記のとおりである。さらに当該熱延鋼板およびスラブは、必要に応じて、以下の任意元素の1種または2種以上を含有していてもよい。なお、任意元素は含有されなくても良く、その場合の含有量は0%である。
[Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.10%、B:0.0001〜0.0050%の1種または2種以上]
NbおよびTiは、Vと同様に炭化物の形態制御に有効な元素である。またTiは、Nと優先的に結合することにより、焼入れ性向上のためにBを添加する場合には、BのNとの結合を抑制する効果がある。しかし、多量に添加しすぎると、VCよりもNbおよび/またはTiを含んだV炭化物の方が溶解度が低いため、熱間圧延工程および焼戻し工程でこれらが析出して粗大化し、固溶炭素濃度を減らすため、微細なV含有炭化物が得られない場合がある。したがって、NbおよびTi含有量はそれぞれ0.10%以下とし、0.08%以下または0.05%以下であってもよい。一方、TiおよびNbを添加する場合には、各々の含有量を0%超としてもよいが、各々の含有量の下限値を0.01%とすることが好ましい。Bは、熱処理工程において、オーステナイトの粒界に偏析することにより、フェライト変態を抑制する元素である。B含有量は0%超であってもよいが、より高い効果を得る観点から、B含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、B含有量が0.0050%を超えると、フェライト変態抑制効果が飽和するので、0.0050%を実質的な上限とすることが好ましい。B含有量は、0.0030%以下または0.0020%以下であってもよい。
[Cr:0.005〜1.000%、およびMo:0.005〜0.500%の1種または2種を(2Cr+Mo)/2V≦2.0を満足する範囲で含有]
CrおよびMoの1種または2種を含有する場合において、(2Cr+Mo)/2Vが2.0を超えるとV含有炭化物の組成がMoおよび/またはCrリッチになり、その結果、析出物が粗大化し易くなり、強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性が低下する場合がある。(2Cr+Mo)/2Vの値は1.5以下であってもよく、1.0以下であってもよい。また、(2Cr+Mo)/2Vの値は0であってもよく、0.01以上であってもよい。なお、CrおよびMo含有量はそれぞれ0%超であってもよいが、(2Cr+Mo)/2Vの値が上記範囲内となるように、Cr:0.005〜1.000%およびMo:0.005〜0.500%の範囲から適切なCrおよびMo含有量を選択することが好ましい。
[Cu:0.50〜3.00%]
Cuは、焼戻し過程において、単独で析出し、強度上昇に有効に寄与する。また、V含有炭化物の微細析出を促進する。Cu含有量は0%超であってもよいが、より高い効果を得る観点から0.50%以上とすることが好ましい。Cu含有量は、0.80%以上または1.00%以上であってもよい。一方、Cu含有量が3.00%超となると、上記の効果が飽和するだけでなく、鋼板強度が顕著に増大し成形性の劣化を招く。このため、Cu含有量は3.00%以下とし、2.80%以下または2.50%以下であってもよい。
[Ni:0.25〜1.50%]
Niは、Cu添加時に鋼板表面に発生する表面欠陥の防止に有効であり、Cuを添加する場合に必要に応じて含有させることができる。その場合に、Ni含有量はCu含有量に依存し、およそCu含有量の半分程度、すなわち0.25〜1.50%程度とすることが好ましい。Ni含有量は0%超であってもよいが、より高い効果を得る観点から0.25%以上とすることが好ましく、0.30%以上または0.50%以上とすることがより好ましい。また、Ni含有量は1.40%以下または1.20%以下であってもよい。
本発明の実施形態に係る熱延鋼板において、上述成分以外の残部はFeおよび不純物からなる。不純物とは、熱延鋼板を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明の実施形態に係る熱延鋼板に対して意図的に添加した成分でないもの(いわゆる不可避的不純物)を包含するものである。また、不純物とは、上で説明した成分以外の元素であって、当該元素特有の作用効果が本発明の実施形態に係る熱延鋼板の特性に影響しないレベルで当該熱延鋼板中に含まれる元素をも包含するものである。
次に、本発明の実施形態に係る熱延鋼板の組織の限定理由について説明する。
[焼戻しマルテンサイト:90%以上]
マルテンサイトは炭素および合金元素が過飽和に固溶し、また高密度の転位が存在した微細組織であり、炭化物の核生成サイトが豊富に存在し、焼戻した際に炭化物が多量に分散して析出できる組織である。組織回復とともにセメンタイトやV含有炭化物が多量に析出しうるために、焼戻しマルテンサイトの下限を面積率で90%以上とし、例えば、面積率で95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または100%であってもよい。
焼戻しマルテンサイト以外の残部組織は0%であってもよいが、残部組織が存在する場合には、当該残部組織は、例えばベイナイト、フェライト、パーライト等であってもよい。なお、残部組織は、例えば、面積率で10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下であってもよい。
[焼戻しマルテンサイト中に含まれるセメンタイトのうち、長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトの含有量が70%以上]
焼戻しで生成するセメンタイトは微細であるほど、打ち抜き性に優れ、また細長い形状であれば、亀裂の進展抑制に優れる。したがって、長径が400nm以下で、アスペクト比が3〜5のセメンタイト含有量が70%以上とする。好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上とする。長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイト含有量の上限値は、特に限定されず100%であってもよいが、一般的には95%以下または90%以下である。本発明において、焼戻しマルテンサイト中にアスペクト比が5超のセメンタイトが含まれていてもよいし、アスペクト比が3未満のセメンタイトが含まれていてもよい。なお、本発明において、アスペクト比とは、セメンタイトの最も長い径(長径)とそれに直交するセメンタイトの径のうち最も長い径(短径)との比を言うものである。
[焼戻しマルテンサイト中に円換算直径8〜15nmのV含有炭化物が30個/μm2以上の個数密度で析出]
焼戻しマルテンサイト中に微細なV含有炭化物が多く析出すること、より具体的には円換算直径8〜15nmのV含有炭化物が30個/μm2以上の個数密度で析出することで、これらの析出物が可動転位の運動に対する抵抗となり、析出強化を発現させて熱延鋼板の降伏強度および降伏比を高めて衝突時のエネルギー吸収能を向上させることができる。さらにまた、V含有炭化物、例えばVCだけでなく、Nbおよび/またはTi等とVとの複合炭化物も水素のトラップサイトとして作用するため、上記の微細なV含有炭化物を多く析出させることで熱延鋼板の耐水素脆性も向上させることができる。母相に対するV含有炭化物の体積率が同じ場合、数が多いほどV含有炭化物の大きさが微細になり降伏強度および降伏比が増加するとともに、耐水素脆性も向上する。これらの効果を得るため、本実施形態の熱延鋼板は、焼戻しマルテンサイト中に円換算直径8〜15nmのV含有炭化物を30個/μm2以上の個数密度で含有する。上記の個数密度は、好ましくは32個/μm2以上、さらに好ましくは35個/μm2以上である。
[焼戻しマルテンサイトの同定方法および測定方法]
焼戻しマルテンサイトの同定は、板厚方向断面をナイタール試薬により腐食し、鋼板の表面から板厚の1/4の位置を中心とする1/8〜3/8厚(鋼板の表面から板厚の1/8〜3/8の位置)の範囲を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)により3000倍の倍率(視野面積:1370μm)で観察し、組織の内部に含まれるセメンタイトの位置とバリアントとを観察することにより行う。具体的には、焼戻しマルテンサイトは、マルテンサイトラスの内部にセメンタイトが生成するが、マルテンサイトラスとセメンタイトとの結晶方位関係が2種類以上あるため、生成したセメンタイトは複数のバリアントを持つ。これらセメンタイトの特徴を検出することにより、焼戻しマルテンサイトを同定し、面積率を算出する。
[セメンタイトの同定方法および測定方法]
またセメンタイトの同定は、板厚方向断面をナイタール試薬により腐食し、鋼板の表面から板厚の1/4の位置を中心とする1/8〜3/8厚の範囲を、走査型電子顕微鏡(SEM)による2次電子像(10000倍、視野面積:123μm)を用いて観察することにより行うことができる。2次電子像で明るいコントラストで撮影された領域をセメンタイトとし、視野内のすべてのセメンタイトについて測定を行い、長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトの含有量を測定する。
[V含有炭化物の円換算直径および個数密度の測定方法]
V含有炭化物の円換算直径および個数密度は以下のようにして決定される。まず、鋼板表面から1/4位置における、直径3.0mmの円形領域の抽出レプリカサンプルを、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて6万倍の倍率(視野面積:4.5μm)で3視野観察し、各視野においてエネルギー分散型X線分光法(EDX)によりVが検出される析出物について、画像解析装置を用いて各析出物の面積を求め、これを円換算直径に換算する。次いで、当該円換算直径が8nm以上15nm以下のV含有炭化物の個数を算出してこれを観察視野の面積で除した値を求めて各視野におけるV含有炭化物の個数密度を算出し、これを上記の3視野で行い、得られた相加平均を円換算直径8〜15nmのV含有炭化物の個数密度として決定する。
[機械特性]
上記の化学組成および組織を有する熱延鋼板によれば、高い引張強度、具体的には1180MPa以上の引張強度を達成することができる。引張強度を1180MPa以上とするのは、自動車における車体の軽量化の要求を満足させるためである。引張強度は、好ましくは1200MPa以上であり、より好ましくは1300MPa以上である。
<熱延鋼板の製造方法>
本発明の実施形態に係る熱延鋼板の製造方法は、上で説明した化学組成を有するスラブを1100℃以上に加熱する工程、
加熱されたスラブを仕上げ圧延することを含む熱間圧延工程であって、前記仕上げ圧延の終了温度が850〜1050℃である熱間圧延工程、
得られた鋼板を350℃以下まで40℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する工程、
前記鋼板を350℃以下の巻取温度で巻き取る工程、並びに
前記鋼板を400℃超480℃未満の焼戻し温度Tで、下記式(1):
15000<(T+273)×(log(t)+20)<17000 ・・(1)
を満たす時間t(秒)にわたって焼戻す工程
を含むことを特徴としている。
[スラブの加熱工程]
まず、上で説明した化学組成を有するスラブが熱間圧延前に加熱される。スラブの加熱温度は、V炭窒化物等を十分に再固溶させるため、1100℃以上とする。加熱温度が1100℃未満であると、V含有炭化物が熱間圧延中に析出して粗大化し、微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができなくなり、結果として十分な降伏比や耐水素脆性が得られなくなる場合がある。したがって、スラブの加熱温度は1100℃以上とし、例えば1150℃以上または1200℃以上であってもよい。加熱温度の上限値は特に規定しないが、一般的には1300℃以下または1250℃以下であってもよい。また、上記加熱温度での保持時間は、特に限定されないが、一般的にはスラブ中心部まで所定の温度にするため、30分以上とすることが好ましく、一方で過度のスケールロスを抑制するため、180分以下が好ましく、120分以下がより好ましい。なお、使用するスラブは、生産性の観点から連続鋳造法において鋳造することが好ましいが、造塊法または薄スラブ鋳造法によって製造してもよい。
[熱間圧延工程]
(粗圧延)
本方法では、例えば、加熱されたスラブに対し、板厚調整等のために、仕上げ圧延の前に粗圧延を施してもよい。粗圧延は、所望のシートバー寸法が確保できればよく、その条件は特に限定されない。
(仕上げ圧延)
仕上げ圧延の終了温度は850℃以上1050℃以下である。仕上げ圧延の終了温度を前記範囲内にすることにより、仕上げ圧延直後のV含有炭化物の析出を抑制することができる。一方で、加熱温度が850℃未満であると、V含有炭化物が仕上げ圧延中に析出して粗大化し、微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができなくなり、結果として十分な降伏比や耐水素脆性が得られなくなる場合がある。例えば、加熱温度は900℃以上であってもよく、および/または1000℃以下であってもよい。
[冷却工程]
仕上げ圧延によって得られた熱延鋼板は、次に冷却工程において冷却される。この冷却は、350℃以下まで40℃/秒以上の平均冷却速度で行われる。好ましくは45℃/秒以上、さらに好ましくは50℃/秒以上である。平均冷却速度を40℃/秒以上にすることにより、V含有炭化物の析出をより抑制することができる。一方、平均冷却速度が40℃/秒未満であると、十分に焼入れされないために最終組織において所望の焼戻しマルテンサイト面積率を達成できない場合がある。また、V含有炭化物が冷却時に析出し、これが焼戻しの際に粗大化する虞がある。さらには、十分な焼戻しマルテンサイト量が得られないために、V含有炭化物の核生成サイトも少なくなり、その結果、最終組織において所望のV含有炭化物の個数密度を達成できない場合がある。平均冷却速度の上限は特に限定されないが、冷却ムラの発生の抑制や設備能力を考慮すると、1000℃/秒以下であることが好ましく、より好ましくは200℃/秒以下であり、さらに好ましくは100℃/秒以下である。
[巻取工程]
冷却工程の後、熱延鋼板を巻き取る。巻取温度は350℃以下とする。巻取温度を350℃以下にすることによって、Vを固溶状態とすることができ、巻取工程でのV含有炭化物の析出を抑制することができる。巻取温度が350℃を超えると、V含有炭化物が巻取圧延中に析出して焼戻しの際に粗大化し、微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができなくなり、結果として十分な降伏比や耐水素脆性が得られなくなる場合がある。したがって、巻取温度は350℃以下とし、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらにより好ましくは100℃以下である。巻取温度の下限値は特に限定されないが、生産性の観点から室温(約25℃)程度であってよい。
[焼戻し工程]
巻取工程の後、熱延鋼板は400℃超480℃未満の温度で焼戻され、焼戻しマルテンサイトを形成するとともに、当該焼戻しマルテンサイト中に微細なV含有炭化物を析出させる。焼戻し温度を400℃超480℃未満にすることにより、微細なV含有炭化物を十分に析出させるとともに、セメンタイトの粗大化を抑制することができ、降伏強度、降伏比および耐水素脆性を増加させることができる。一方、焼戻し温度が400℃以下であると、V含有炭化物の析出に必要なVの拡散が十分に起こらず、結果としてV含有炭化物が十分に析出しないか又は全く析出しない場合がある。さらに、焼戻し温度が480℃以上であると、セメンタイトが粗大化して所望のアスペクト比が得られず、打ち抜き性が低下する虞がある。また、V含有炭化物が粗大化するため、微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができなくなる虞がある。焼戻し温度は410℃以上もしくは420℃以上であってもよく、および/または470℃以下もしくは460℃以下であってもよい。
さらに、焼戻し温度および焼戻し時間を変数とした下記焼戻しパラメータPを15000超17000未満とすることでV含有炭化物の核生成および成長を十分に進行させつつ、その粗大化を抑制することができる。
P=(T+273)(log(t)+20)
式中、Tは焼戻し温度(℃)であり、tは焼戻し時間(秒)である。一方、焼戻しパラメータが15000以下であると、V含有炭化物の析出および成長が十分に進行せず、粒子分散強化や水素トラップサイトとしての機能が十分に得られないため、所望の降伏比や耐水素脆性を達成することができない場合がある。また、焼戻しパラメータが17000以上であると、V含有炭化物が粗大化して微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができなくなり、結果として十分な降伏比や耐水素脆性が得られなくなる場合がある。焼戻しパラメータPは、好ましくは16000以上、さらに好ましくは16200以上である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例では、本発明の実施形態に係る熱延鋼板を種々の条件下で製造し、得られた熱延鋼板の機械特性について調べた。
まず、連続鋳造法により表1に示す化学組成を有するスラブを製造した。次いで、これらのスラブから表2に示す加熱、熱間圧延、冷却、巻取および焼戻し条件により板厚2.5mmの熱延鋼板を製造した。なお、表1に示す成分以外の残部はFeおよび不純物である。また、製造した熱延鋼板から採取した試料を分析した化学組成は、表1に示すスラブの化学組成と同等であった。
Figure 2020179387
Figure 2020179387
[引張強度(TS)、降伏強度(YS)および降伏比(YR)の測定]
このようにして得られた熱延鋼板から圧延方向に直角な方向からJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z2241(2011)に準拠して引張試験を行い、引張強度(TS)および降伏強度(YS)を測定し、降伏比(YR)を算出した。なお、YRはYSをTSで除した値とした。
[V含有炭化物の円換算直径および個数密度の測定]
V含有炭化物の円換算直径および個数密度は以下のようにして決定した。まず、鋼板表面から1/4位置における、直径3.0mmの円形領域の抽出レプリカサンプルを、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて6万倍の倍率(視野面積:4.5μm)で3視野観察し、各視野においてエネルギー分散型X線分光法(EDX)によりVが検出される析出物について、画像解析装置を用いて各析出物の面積を求め、これを円換算直径に換算した。次いで、当該円換算直径が8nm以上15nm以下のV含有炭化物の個数を算出してこれを観察視野の面積で除した値を求めて各視野におけるV含有炭化物の個数密度を算出し、これを上記の3視野で行い、得られた相加平均を円換算直径8〜15nmのV含有炭化物の個数密度として決定した。
[打ち抜き性の評価]
得られた熱延鋼板のサンプルを円盤上に打ち抜き加工し、光学顕微鏡にてせん断面を観察し、2次せん断面の有無を確認した。2次せん断面が生じなかったものを合格(○)、2次せん断面が生じたものを不合格(×)とした。
[耐水素脆性の評価]
耐水素脆性を測定するにあたっては、上記の各熱延鋼板を板厚1.4mmに研削したうえで、幅6mm×長さ68mmの試験片を切り出し、四点曲げ試験にて降伏応力相当の歪を付与した後、pH3の塩酸に100h浸漬し、割れの発生有無で耐水素脆性を評価した。割れなかった熱延鋼板は合格(○)とし、割れた熱延鋼板は不合格(×)とした。
TSが1180MPa以上であり、YRが87%以上であり、耐水素脆性および打ち抜き性の評価が○である場合を、高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板として評価した。結果を下表3に示す。
Figure 2020179387
比較例5は、仕上げ圧延の終了温度が850℃よりも低かったため、VC等のV含有炭化物が仕上げ圧延中に析出して粗大化し、円換算直径が8〜15nmのV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができなかった。このため、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例14は、仕上げ圧延後の平均冷却速度が40℃/秒より低かったため、十分に焼入れられず、最終組織で所望の焼戻しマルテンサイト面積率を達成できなかった。また、VC等のV含有炭化物が冷却時に析出して、焼戻し熱処理時に粗大化した。さらにこの熱処理時に焼戻しマルテンサイトを母相としないため、V含有炭化物の核生成サイトが少なく、最終組織において所望のV含有炭化物の個数密度を達成できなかった。したがって、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例16は、巻取温度が350℃よりも高かったため、巻取時にベイナイト変態しながらVC等のV含有炭化物が析出し、その後の焼戻し熱処理時に粗大化した。したがって、最終組織において所望のV含有炭化物の個数密度を達成できず、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。さらに、巻取工程で生成したセメンタイトが大きかったため、打ち抜き性が劣化した。
比較例18は、焼戻し温度が400℃以下であったため、VC等のV含有炭化物の析出に必要なVの拡散が起こらず、V含有炭化物が析出しなかった。したがって、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例20は、焼戻し温度が480℃以上であったため、セメンタイトが粗大化して所望のアスペクト比が得られず、打ち抜き性が低下した。また、V含有炭化物が粗大化したため、微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができず、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例26は、焼戻しパラメータが15000以下であったため、VC等のV含有炭化物の析出および成長が十分に進行せず、粒子分散強化や水素トラップサイトとしての機能が十分に得られなかったため、YRおよび耐水素脆性が低下した。比較例28は、焼戻しパラメータが17000以上であったため、VC等のV含有炭化物が粗大化し、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例30は、熱間圧延前の加熱温度が1100℃より低かったため、熱間圧延中にV含有炭化物が析出し、その後の熱処理で当該V含有炭化物が粗大化したため、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。
比較例37は、C含有量が低かったため、引張強度TSが不足した。比較例38は、Si含有量が低かったため、焼戻しの遅れ効果がなく、TSが不足した。比較例39は、Mn含有量が低かったため、焼入れられず、V含有炭化物の微細多量析出に必要な母相転位密度が得られず、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例40は、Mn含有量が低かったため、V含有炭化物の微細多量析出に必要な母相転位密度が得られずセメンタイトが粗大化し、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例41は、Mn含有量が低く、焼き戻し温度が480℃以上であったため、セメンタイトが粗大化して所望のアスペクト比が得られず、打ち抜き性が低下した。また、V含有炭化物の微細多量析出に必要な母相転位密度が得られず、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例42は、V含有量が低かったため、V含有炭化物の析出量が少なく、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。比較例43は、V含有量が高かったため、V含有炭化物が粗大化し、十分なYRおよび耐水素脆化性が得られなかった。比較例44は、Si/V比が高かったため、V含有炭化物の析出駆動力が下がり、微細なV含有炭化物を所望の個数密度で析出させることができず、十分なYRおよび耐水素脆性が得られなかった。
これとは対照的に、本発明に係る全ての実施例において、熱延鋼板の化学組成および組織を適切に制御することにより、高強度でかつ衝突時のエネルギー吸収能、耐水素脆性および打ち抜き性に優れた熱延鋼板を得ることができた。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.15〜0.30%、
    Si:0.50〜4.00%、
    Mn:2.00〜4.00%、
    P:0.100%以下、
    S:0.005%以下、
    Al:0.010〜0.500%、
    N:0.010%以下、および
    V:0.20〜1.00%
    を含有し、Si/V比が10.0以下であり、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
    面積率で焼戻しマルテンサイトを90%以上含有し、
    前記焼戻しマルテンサイト中に含まれるセメンタイトのうち、長径が400nm以下でアスペクト比が3〜5のセメンタイトの含有量が70%以上であり、
    前記焼戻しマルテンサイト中に円換算直径8〜15nmのV含有炭化物が30個/μm2以上の個数密度で析出していることを特徴とする、熱延鋼板。
  2. さらに、質量%で、
    Nb:0.01〜0.10%、
    Ti:0.01〜0.10%以下、
    B:0.0001〜0.0050%以下、
    Cr:0.005〜1.000%、
    Mo:0.005〜0.500%、
    Cu:0.50〜3.00%、及び
    Ni:0.25〜1.50%
    の1種または2種以上を含有し、
    CrおよびMoの1種または2種を含有する場合は、Cr、MoおよびVの含有量が(2Cr+Mo)/2V≦2.0の関係を満足する、
    請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の化学組成を有するスラブを1100℃以上に加熱する工程、
    加熱されたスラブを仕上げ圧延することを含む熱間圧延工程であって、前記仕上げ圧延の終了温度が850〜1050℃である熱間圧延工程、
    得られた鋼板を350℃以下まで40℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する工程、
    前記鋼板を350℃以下の巻取温度で巻き取る工程、並びに
    前記鋼板を400℃超480℃未満の焼戻し温度Tで、下記式(1):
    15000<(T+273)×(log(t)+20)<17000 ・・(1)
    を満たす時間t(秒)にわたって焼戻す工程
    を含むことを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。
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