本発明に係る一態様の無線通信デバイスは、通信用の第1の周波数を有する高周波信号を送受信するための無線通信デバイスであって、基材と、前記基材に形成されたアンテナパターンと、前記アンテナパターンが形成された前記基材の同一面上に形成され、前記アンテナパターンの延伸方向に沿って前記アンテナパターンの両側に配置されたループ状の導体パターンと、を備え、前記導体パターンの物理的周長は、前記アンテナパターンの物理的な全長よりも短い。
この態様の無線通信デバイスは、アンテナパターンの物理的な全長よりも短い物理的周長を有するループ状の導体パターンが配置されている。アンテナパターンの全長は、通信用の第1の周波数の電波を受信するために設計されている。アンテナパターンの全長より短い周長の導体パターンは、通信用の第1の周波数の電波を受信するためのアンテナ長から外れているので、アンテナパターンによる通信用の高周波信号の送受信を妨げない。
また、無線通信デバイスは、通信用の第1の周波数よりも高い周波数の帯域の電磁波に照射されると、ループ状の導体パターンが磁界アンテナとして磁界を発生させる。第1の周波数よりも高い周波数の帯域の電磁波を受けるアンテナパターンの近接した位置で、磁界アンテナが形成される。これにより、アンテナパターンは、第1の周波数よりも高い周波数帯域でのアンテナ放射効率が劣化し、アンテナパターンが受信するエネルギーを低減させることができる。この結果、無線通信デバイスが付された商品における発火の危険性を防止することができる。
なお、アンテナパターンは直線形状、曲線形状、および、直線形状と曲線形状との組合せのいずれでもよい。
また、導体パターンのループ状とは円形状に限らない。導体パターンの始点と終点とが接続されて連続していれば、楕円、凸形状、凹形状、矩形など、どのような形状でもよい。
前記導体パターンの電気的周長は、前記第1の周波数の高周波信号の1波長よりも短くてもよい。
前記導体パターンの電気的周長は、前記第1の周波数の高周波信号の2分の1波長よりも短くてもよい。
前記導体パターンの電気的周長は、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数の高周波の波長の整数倍ではなくてもよい。
前記導体パターンの電気的周長は、前記第2の周波数の高周波の2分の1波長よりも長くてもよい。
前記アンテナパターンはミアンダ形状に延び、前記導体パターンの少なくとも一部は、ミアンダ形状のアンテナパターンの折り返し部分よりもミアンダの振幅方向外側方に配置されていてもよい。
それぞれ周長の異なる前記導体パターンが、前記基材の外縁部の長手方向に沿って配置されていてもよい。
前記導体パターンは、ミアンダの振幅方向において外方から内方に向けて突出する突出部を有し、前記アンテナパターンの隣り合う前記折り返し部分の間に、前記導体パターンの前記突出部が配置されていてもよい。
ループ状のシールドパターンが、前記基材の外縁部の幅方向に沿って配置されていてもよい。
前記第1の周波数は、UHF帯の周波数であってもよい。
前記第1の周波数は、HF帯の周波数であってもよい。
前記第2の周波数は、電磁波加熱に用いられる周波数であってもよい。
以下、本発明に係る無線通信デバイスの具体的な例示としての実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、実質的に同じ機能、構成を有する部材については同一の符号を付して、明細書においてはその説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものであり、本発明がこの構成に限定されるものではない。また、以下の実施の形態において具体的に示される数値、形状、構成、ステップ、ステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施の形態において、各変形例における構成も同様であり、各変形例に記載した構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
本発明に係る無線通信デバイスが付される商品としては、例えば「コンビニエンスストア」や「スーパーマーケット」などの販売店において取り扱われる全ての商品が対象である。なお、以下の実施の形態において説明する電磁波加熱装置としては、誘電加熱を行う「電子レンジ」を例として説明するが、本発明おける電磁波加熱装置としては誘電加熱を行う機能を有する加熱装置が対象となる。本発明においては、同じ構成を有する無線通信デバイスが全ての商品に対して付される商品販売システムに関するものである。
なお、アンテナ基材の比誘電率εr>1の場合、アンテナパターン及び導体パターンの電気的長さは物理的長さに対して長くなる。本明細書において、物理的長さとはアンテナ基材に形成された線路長のことである。また、電気的長さとは、比誘電率や寄生リアクタンス成分による波長の短縮や延長を考慮した長さである。
(実施の形態1)
まず、本発明に係る無線通信デバイスであるRFIDタグ1の概略構成について説明する。
図1は、本発明に係る実施の形態1の無線通信デバイスであるRFIDタグ1を示す平面図である。図中において、X−Y−Z座標系は、発明の理解を容易にするものであって、発明を限定するものではない。X軸方向はRFIDタグ1の長手方向を示し、Y軸方向は幅方向を示し、Z軸方向は厚さ方向を示している。X、Y、Z方向は互いに直交する。
RFIDタグ1は通信周波数(キャリア周波数)を有する高周波信号で無線通信(送受信)するよう構成されており、広い周波数帯域で無線通信可能な構成である。RFIDタグ1は、アンテナ基材3と、RFICチップ5と、RFICチップ5と電気的に接続されるループパターン7と、ループパターン7と直接接続されるアンテナパターン9と、アンテナパターン9の外側方に配置されたループ状の複数の導体パターン11とを備える。なお、アンテナ基材3は、図1に示すような矩形に限らず、楕円形や円形であってもよい。
アンテナパターン9は、ループパターン7の第1接点7aから長手方向外方に向けて延びる第1アンテナパターン9aと、ループパターン7の第2接点7bから第1アンテナパターン9aと逆方向に延びる第2アンテナパターン9bとを有する。アンテナパターン9は、第1及び第2アンテナパターン9a、9bによりダイポール型アンテナとして構成される。第1及び第2アンテナパターン9a、9bは、それぞれアンテナ基材3の略中心に対して点対称な位置関係で配置されている。
アンテナパターン9の全長、すなわち、第1及び第2アンテナパターン9a、9bの長さをそれぞれ足し合わせた電気的全長は、少なくとも、通信用の第1の周波数の高周波信号の2分の1波長の長さを有する。アンテナパターン9の電気的および物理的全長は、通信用の第1の周波数の高周波信号を受信するために設計されている。
アンテナパターン9の延びる方向に沿って、導体パターン11が配置されている。導体パターン11は、アンテナパターン9の延びる方向に沿って、アンテナパターンの両側に配置されたループ状の第1導体パターン11aと、アンテナパターン9の先端部を囲むように配置されたループ状の第2導体パターン11bとを有する。
また、第1及び第2導体パターン11a、11bのそれぞれの周長は、アンテナパターン9の物理的全長よりも短い。これにより、導体パターン11は、通信用の第1の周波数に対してアンテナパターン9よりも電界アンテナとして機能が劣るので、アンテナパターン9の第1の周波数に対する電界アンテナとしての特性を妨げない。
図2は、実施の形態1の無線通信デバイスが物品に付された例示を示す図である。物品として例えば弁当に、RFIDタグ1が貼り付けられている。RFIDタグ1は、物品17に対してどの向きに貼り付けてもよい。
実施の形態1のRFIDタグ1は、通信用の第1の周波数を有する高周波信号を送受信するための無線通信デバイスである。RFIDタグ1は、アンテナ基材3と、アンテナ基材3に形成されたアンテナパターン9と、アンテナパターン9が形成されたアンテナ基材3の同一面上に形成され、アンテナパターン9の延伸方向に沿ってアンテナパターン9の両側に配置されたループ状の導体パターン11と、を備える。アンテナパターン9は、導体パターン11の間に配置されている。導体パターン11の物理的周長は、アンテナパターン9の物理的な全長よりも短い。
第1の周波数よりも高い周波数の電波がRFIDタグ1に照射されると、アンテナパターン9に誘導電流が流れる。導体パターン11はアンテナパターン9の延伸方向に沿ってアンテナパターン9の両側に配置されているので、導体パターン11はアンテナパターン9と磁界結合されている。したがって、アンテナパターン9に流れる誘導電流によって発生する磁界により、導体パターン11にも誘導電流が流れる。導体パターン11に流れる電流により磁界がさらに発生し、アンテナパターン9から発生する磁界と導体パターン11から発生する磁界とが打ち消し合う。
このようにして、アンテナパターン9に照射される電界エネルギーが損失されるので、アンテナパターン9に照射される電界エネルギーが蓄積されるのを防止することができる。また、導体パターン11の物理的周長はアンテナパターン9の全長よりも短いので、導体パターン11による第1の周波数の高周波信号での送受信の妨害が低減されている。
(実施の形態2)
図3は、本発明に係る実施の形態2の無線通信デバイスであるRFIDタグ21を示す平面図である。図4は、RFIDタグ21の構成を示す分解斜視図である。RFIDタグ21は、例えば、UHF帯の通信用の周波数を有する高周波信号で無線通信するよう構成されている。ここでUHF帯とは、860MHzから960MHzの周波数帯域である。また、UHF帯の通信周波数は本発明における「通信用の第1の周波数」の一例である。
RFIDタグ21は、誘電体であるアンテナ基材23と、後述するRFICパッケージ25と、アンテナパターン27と、導体パターン45とを含む。アンテナ基材23として、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのような可撓性を有するフィルム材料が用いられる。アンテナ基材23は、略矩形状であるが、楕円形や円形であってもよい。
アンテナ基材23の表面には、アルミニウム箔や銅箔などの導電材料の膜体により作製されたアンテナパターン27が形成されている。なお、アンテナパターン27として、金属材料以外でカーボン系の材料など金属より導電率の劣る材料を用いてもよい。
アンテナパターン27には、RFICパッケージ25と接触して電気的に接続するための2つのランドパターン33(33a、33b)が設けられている。これにより、RFICパッケージ25の有するRFICチップ37とアンテナパターン27が電気的に接続されている。なお、電気的に接続とは、高周波信号が伝達され、動作可能なように互いが接続あるいは結合されていることを意味し直流的に接続されていることに限定されるわけではない。
図4に示すように、RFIDタグ21は、アンテナ基材23の下面に両面テープ等の粘着剤を介して貼り合わされるベース基材29と、アンテナパターン27を保護する保護シート31とを備える。
ベース基材29は、アンテナ基材23よりも難燃性を有し、例えば、耐熱200℃程度の難燃性を有する。ベース基材29は、例えば、PET系フィルムである。アンテナ基材23の厚みは、例えば、38μmである。ベース基材29の厚みは、例えば、25〜50μm程度である。
保護シート31は、アンテナ基材23の上面に両面テープ等の粘着剤を介して貼り合わされる。保護シート31は、例えば、PET系のフィルムラベルである。
このように、アンテナ基材23上に形成されたアンテナパターン27は、アンテナ基材23、ベース基材29、及び保護シート31に挟まれているので、それぞれの誘電率に影響される。実施の形態2では、アンテナ基材23、ベース基材29、及び保護シート31はそれぞれ比誘電率ε=3程度のPET系フィルムであるので、これらに挟まれたアンテナパターン27の比誘電率εも3程度となる。
図3に示すように、アンテナパターン27は電界放射型のアンテナパターンであり、RFICパッケージ25が実装されたランドパターン33から複数の折り返し部分27cを有して蛇行するミアンダ状の第1アンテナパターン27aおよび第2アンテナパターン27bを有する。アンテナパターン27は、第1アンテナパターン27aおよび第2アンテナパターン27bによりダイポール型の電界アンテナを構成している。第1アンテナパターン27aと第2アンテナパターン27bとの違いは、互いに基板の中心部に対して点対称な位置関係に配置されている点であり、その他の構成は同一である。
第1アンテナパターン27aは、略線状の形状パターンを有している。第1アンテナパターン27aは、第1ランドパターン33aからミアンダ状に延びて、アンテナ基材23の長手方向(+X方向)の一方の端部に向かって延びている。第1アンテナパターン27aの延設方向の先端部27eはアンテナ基材23の長手方向の一方の端部に位置している。
第2アンテナパターン27bは、略線状の形状パターンを有している。第2アンテナパターン27bは、第2ランドパターン33bからミアンダ状に延びて、アンテナ基材23の長手方向(−X方向)の他方の端部に向かって延びている。第2アンテナパターン27bの延設方向の先端部27eはアンテナ基材23の長手方向の他方の端部に位置している。
第1及び第2アンテナパターン27a、27bの線幅は、例えば、125μmである。線間パターン47の線幅は、第1及び第2アンテナパターン27a、27bよりも細く、例えば、100μmである。
図5は、アンテナパターン27のランドパターン33(33a、33b)上に実装されるRFICパッケージ25の構成を示す分解斜視図である。図5に示すように、実施の形態2におけるRFICパッケージ25は、三層からなる多層基板で構成されている。具体的には、RFICパッケージ25の多層基板は、ポリイミド、液晶ポリマなどの樹脂材料から作製されており、可撓性を有する三つの絶縁シート35A、35B、35Cが積層されて構成されている。絶縁シート35A、35B、35Cは、平面視が略四角形状であり、実施の形態2においては略長方形の形状を有している。図5に示すRFICパッケージ25は、図3に示したRFICパッケージ25を裏返して三層を分解した状態を示している。
図5に示すように、RFICパッケージ25は、三層の基板(絶縁シート35A、35B、35C)上において、RFICチップ37と、複数のインダクタンス素子39A、39B、39C、39Dと、アンテナパターン27に接続される外部接続端子41(41a、41b)と、が予め定められた位置に形成されている。
外部接続端子41(41a、41b)は、最下層(アンテナパターン27に対向する基板)となる第1絶縁シート35Aに形成されており、アンテナパターン27のランドパターン33(33a、33b)に対向する位置に形成されている。4つのインダクタンス素子39A、39B、39C、39Dは、第2絶縁シート35Bおよび第3絶縁シート35Cに2つずつ分かれて形成されている。即ち、最上層(図4においては最も下に記載されている層)となる第3絶縁シート35Cには第1インダクタンス素子39Aおよび第2インダクタンス素子39Bが形成されており、中間層となる第2絶縁シート35Bには第3インダクタンス素子39Cおよび第4インダクタンス素子39Dが形成されている。
実施の形態2におけるRFICパッケージ25においては、外部接続端子41(41a、41b)および4つのインダクタンス素子39A、39B、39C、39Dは、アルミニウム箔、銅箔などの導電材料により作製される導体パターンにより構成される。
図5に示すように、RFICチップ37は、最上層である第3絶縁シート35C上に長手方向(図5におけるX方向)の中央部分に実装されている。RFICチップ37は、シリコンなどの半導体を素材とする半導体基板に各種の素子を内蔵した構造を有する。第3絶縁シート35C上の一方側(図5においては+X軸方向)において渦巻き状に形成されている第1インダクタンス素子39Aは、RFICチップ37の一方の入出力端子37aにランド39Aaを介して接続されている。第3絶縁シート35C上の他方側(図5においては−X軸方向)において渦巻き状に形成されている第2インダクタンス素子39Bは、RFICチップ37の他方の入出力端子37bにランド39Baを介して接続されている。
中間層である第2絶縁シート35B上の一方側(図5においては+X軸方向)には、渦巻き状の第3インダクタンス素子39Cが形成されており、第2絶縁シート35B上の他方側(図5においては−X軸方向)には、渦巻き状の第4インダクタンス素子39Dが形成されている。渦巻き状の第3インダクタンス素子39Cの外周側の端部と、渦巻き状の第4インダクタンス素子39Dの外周側の端部は直接接続されている。一方、第3インダクタンス素子39Cの内周側の端部(ランド39Ca)は、第2絶縁シート35Bを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第3絶縁シート35C上の渦巻き状の第1インダクタンス素子39Aの内周側の端部(ランド39Ab)に接続されている。また、第3インダクタンス素子39Cの内周側の端部(ランド39Ca)は、最下層となる第1絶縁シート35Aを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第1絶縁シート35A上の第1外部接続端子41aに接続されている。
第4インダクタンス素子39Dの内周側の端部(ランド39Da)は、第2絶縁シート35Bを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第3絶縁シート35C上の渦巻き状の第2インダクタンス素子39Bの内周側の端部(ランド39Bb)に接続されている。また、第4インダクタンス素子39Dの内周側の端部(ランド39Da)は、最下層となる第1絶縁シート35Aを貫通するスルーホール導体などの層間接続導体を介して、第1絶縁シート35A上の第2外部接続端子41bに接続されている。
第1絶縁シート35A上の第1外部接続端子41aは、アンテナ基材23上に形成された第1アンテナパターン27aの第1ランドパターン33aに接続されるよう配設されている。また、第1絶縁シート35A上の第2外部接続端子41bは、アンテナ基材23上に形成された第2アンテナパターン27bの第2ランドパターン33bに接続されるよう配設されている。
また、中間層である第2絶縁シート35Bには、第3絶縁シート35C上に実装されたRFICチップ37が収容される貫通孔43が形成されている。RFICチップ37は、半導体材料により形成されており、第1インダクタンス素子39Aと第2インダクタンス素子39Bとの間、および第3インダクタンス素子39Cと第4インダクタンス素子39Dとの間に配設されている。このため、RFICチップ37がシールドとして機能しており、第1インダクタンス素子39Aと第2インダクタンス素子39Bとの間における磁界結合および容量結合が抑制されており、同様に、第3インダクタンス素子39Cと第4インダクタンス素子39Dとの間における磁界結合および容量結合が抑制されている。その結果、実施の形態2におけるRFICパッケージ25においては、通信信号の通過帯域が狭くなることが抑制されており、通過帯域を広いものとしている。
実施の形態2では、RFICパッケージ25がアンテナパターン27上に実装された形態を例示したが、RFICチップ37を直接アンテナパターン27上に実装してもよい。また、このとき、RFICパッケージ25において複数のインダクタンス素子39A、39B、39C、39Dと構成されていたインダクタを、ループ状のパターンとしてアンテナ基材23上に構成してもよい。
再び、図3を参照する。第1及び第2アンテナパターン27a、27bは複数の折り返し部分27cを有する。アンテナパターン27の折り返し部分27cとは、アンテナパターン27の延びる方向が反転する箇所である。
アンテナ基材23の表面には、アンテナパターン27と導体パターン45との両方が形成されている。導体パターン45の少なくとも一部は、ミアンダ形状のアンテナパターン27の折り返し部分27cよりもミアンダの振幅方向外側方に配置されている。このように、導体パターン45は、蛇行しながらX方向に延びるミアンダ状のアンテナパターン27の両側(Y方向)に配置されている。導体パターン45は、アンテナパターン27の延伸方向に沿って両側に配置されている。ここで、ミアンダ形状のアンテナパターン27の延伸方向とは、蛇行しながら延びるX方向とする。導体パターン45の間に蛇行しながら延びるアンテナパターン27が配置されている。アンテナパターン27と導体パターン45および線間パターン47との間隔は、例えば、150μmである。
第1及び第2アンテナパターン27a、27bは、直線部分27dを有する。直線部分27dは、例えば、アンテナ基材23の幅方向(Y方向)と平行で、ミアンダの振幅方向に延びる。第1及び第2アンテナパターン27a、27bのそれぞれの隣り合う直線部分27dの間に線間パターン47が形成されている。線間パターン47は、第1及び第2アンテナパターン27a、27bのそれぞれの対向領域である直線部分27d間に配置されている。
導体パターン45及び線間パターン47は、アンテナパターン27と同様に、アルミニウム箔、銅箔などの導電材料により形成されている。アルミニウム箔で形成する場合、導体パターン45及び線間パターン47の厚みは、例えば、6μmである。また、導体パターン45及び線間パターン47は、ループ状に形成されている。
導体パターン45は、それぞれ周長の異なる、第1導体パターン45a、第2導体パターン45b、第3導体パターン45c及び第4導体パターン45dを有する。
第1導体パターン45aは、第1または第2アンテナパターン27a、27bの先端部27eを囲む凹部45aaと、第1または第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cに沿って延びる凹部45abと、を有する。さらに、第1導体パターン45aは、長手方向(X方向)において最も外方の第1または第2アンテナパターン27a、27bの直線部分27dの外方に沿って凸状に延びる凸部45acと、第1または第2アンテナパターン27a、27bにおいて隣り合う2つの折り返し部分27cの間に側方から凸状に延びる凸部45ad及び凸部45aeと、を有する。
第2導体パターン45bは、第1または第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cに沿って延びる凹部45baと、折り返し部分27cの一部に沿って延びる凹部(L型部)45bbと、を有する。さらに、第2導体パターン45bは、第1または第2アンテナパターン27a、27bにおいて隣り合う2つの折り返し部分27cの間に側方から凸状に延びる凸部45bcを有する。
第3導体パターン45cは、第1または第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cに沿って延びる凹部45caと、第1または第2アンテナパターン27a、27bにおいて隣り合う2つの折り返し部分27cの間に側方から凸状に延びる凸部45cbと、を有する。第3導体パターン45cの凸部45cbの直線部45cbaと第2導体パターン45bの凹部45bbとで折り返し部分27cの外方を囲むように配置されている。
第4導体パターン45dは、折り返し部分27cの一部に沿って延びる凹部45daを有する。第1導体パターン45aの凸部45ae、直線部45aeaと第4導体パターン45dの凹部45dとで折り返し部分27cの外方を囲むように配置されている。
また、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれの物理的周長は、第1アンテナパターン27aおよび第2アンテナパターン27bの合計の長さであるアンテナパターン27の全長よりも短い。
さらには、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれの電気的周長は、例えば900MHz帯の通信用の第1の周波数の高周波信号の1波長よりも短い。また、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれの電気的周長は、例えば900MHz帯の第1の周波数の高周波信号の2分の1波長よりも短い。また、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれの電気的周長は、例えば900MHz帯の第1の周波数よりも高い、例えば電磁誘導加熱に用いられる第2の周波数の高周波の波長の整数倍ではない。また、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれの電気的周長は、例えば、電磁誘導加熱に用いられる第2の周波数の高周波の2分の1波長よりも長い。
第1導体パターン45aの凸部45ae、第2導体パターン45bの凸部45bc、及び第3導体パターンの凸部45cbは、ミアンダ状の第1または第2アンテナパターン27a、27bにおける隣接する折り返し部分27c間にそれぞれ容量が発生するように配置されている。隣接する折り返し部分27c間に容量が発生するように導体パターンが配置されることで、隣接する折り返し部分27c間での放電の発生が防止される。
また、第1導体パターン45aの凸部45adは、第1または第2アンテナパターン27a、27bにおける折り返し部分27cと先端部27eとの間にそれぞれ容量が発生するように配置されている。折り返し部分27cと先端部27eとの間に容量が発生するように導体パターンが配置されることで、折り返し部分27cと先端部27eとの間での放電の発生が防止される。
線間パターン47は、アンテナ基材23の幅方向(Y方向)において長さの異なる、線間パターン47a、47b、及び47cを備える。線間パターン47a、47b及び47cの周長は、例えば、電磁波加熱に用いられる周波数の1/4波長以下に形成されている。アンテナパターン27のミアンダの振幅方向(Y方向)において、第1アンテナパターン27aの長さは線間パターン47a、47b、47cのそれぞれのY方向の長さよりも長い。線間パターン47は、閉じたループパターンで構成されている。したがって、磁界アンテナとして動作する場合、アンテナコイルのQ特性は悪くなっており、磁気損失により磁界エネルギーを熱に変換する作用がある。
ランドパターン33の周囲には、ループ状の第1シールドパターン49が形成されている。第1シールドパターン49は、アンテナパターン27と同様に、アルミニウム箔、銅箔などの導電材料により形成されている。第1シールドパターン49は、完全に閉じたループ状である。
この第1シールドパターン49には、アンテナパターン27及びランドパターン33a、33bとの間に電流が流れることにより発生する磁界を打ち消す方向に電流が流れる。第1シールドパターン49は、線間パターン47aに比べて形状がより正方形に近いので、このパターンで構成されるインダクタンス素子のQ特性は、線間パターン47a−47cで形成されるインダクタンス素子のQ特性より高くなり、磁気損失による発熱や発火を抑えやすくなる。第1シールドパターン49は、アンテナ基材23の長手方向中央部に配置されているので、通信周波数より高い周波数の帯域の電磁波が照射されても、断線に至るような渦電流による発熱はない。
第1ランドパターン33aから延在する第1アンテナパターン27aの延在部27aaと、第2ランドパターン33bから延在する第2アンテナパターン27bの延在部27baとは互いに平行で反対方向に延びるように配置されている。
アンテナ基材23の長手方向において最も外方のアンテナパターン27aの直線部分27dの外方に、第2シールドパターン51がアンテナパターン27aの直線部分27dに沿って配置されている。第2シールドパターン51により、アンテナパターン27のミアンダ形状の振幅方向と垂直な方向からの電波による影響を低減することができる。
上記のように構成された、アンテナ基材23の表面に形成されたアンテナパターン27、導体パターン45、線間パターン47、および、シールドパターン49においては、電界の集中を防止する形状を有しており、特に屈曲部分および外周部分の縁部分においては鋭角の部分はなく、全て緩やかな曲面で構成されている。
実施の形態2のRFIDタグ21は、使用される商品として、例えばコンビニエンスストアにおける弁当などを対象としている。したがって、RFIDタグ21が、例えば、調理用の電磁波加熱装置である「電子レンジ」等により誘電加熱される場合が想定される。「電子レンジ」において用いられている電磁波であるマイクロ波の使用周波数は、通信周波数より高い周波数の帯域である2.4〜2.5GHzの周波数の帯域である。
図6は、通信周波数より高い高周波数(2.4GHz)の電磁波を受信したときに、図2に示すアンテナパターン27a、導体パターン45、第2シールドパターン51に流れる電流の方向を示す説明図である。図7は、図6の部分拡大図である。図8は、通信周波数(920MHz)の電磁波を受信したときに、図2に示すアンテナパターン27a、導体パターン45aに流れる電流の方向を示す説明図である。
図6及び図7に示すように、アンテナパターン27に通信周波数より高い周波数の帯域の電磁波が照射されると、アンテナパターン27と導体パターン45とは磁界結合により、導体パターン45内に電流の向きが反転する反転ポイントPAを有する渦電流が流れる。また、この渦電流を原因として導体パターン45から磁界が発生する。この磁界の発生により、アンテナパターン27に給電された電力の一部は磁界エネルギーとなり、導体パターン45の磁気損失により熱を発生して徐々にエネルギー損失する。このようにして、通信周波数より高い周波数の帯域のエネルギーを減衰することができる。
また、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれにおいて、誘導電流の向きが逆方向になる反転ポイントPAは、第1〜第4導体パターン45a〜45dそれぞれのパターン上を時間の経過と共に移動する。この反転ポイントPAの移動は、アンテナパターン27に発生する定在波の誘導電流に影響を及ぼす。
図6の点PBで示す位置が、アンテナパターン27aに発生する誘導電流の定在波の節の位置になる。点PBは誘導電流の節の位置であるので電流値はゼロであり、点PBを境として誘導電流の向きが逆向きになる。導体パターン45上を反転ポイントPAが移動することにより、アンテナパターン27a及び27bから発生する定在波の振幅が変化する。これにより、2つのアンテナパターン27a及び27bから放射される電界が同期していないので、互いの電界が相殺し合うことで、アンテナ基材23から放射される電界強度が低減される。
実施の形態2のRFIDタグ21においては、例えば、1.1GHzより高い周波数帯域を減衰させる。特に、商品である弁当などを加熱する「電子レンジ」において用いられている加熱用電磁波の周波数(2.4〜2.5GHz)を、大幅に減衰させる。
第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれの物理的周長は、第1アンテナパターン27aおよび第2アンテナパターン27bの合計の長さであるアンテナパターン27の物理的な全長よりも短い。そのため、通信周波数より高い周波数の帯域において、第1〜第4導体パターン45a〜45dは磁界アンテナとして機能する。ループ状の導体パターン45は、アンテナパターン27の外縁部に沿って配置されている。このように、電界放射型アンテナの近傍に加熱用電磁波の周波数で磁界アンテナとなる閉じたループ状の導体パターン45が配置されることで、加熱用電磁波の周波数における電界放射アンテナのアンテナ放射効率を大幅に減衰させ、加熱用電磁波のエネルギーを受信しにくくしている。
ここでループ状の導体パターン45の物理的周長は通信に使用されるUHF帯の周波数の高周波の1波長より小さい。これにより、UHF帯の周波数より高い周波数において磁界アンテナとして振る舞い、UHF帯の周波数より高い周波数の帯域における放射効率を減衰させることができる。また、ループ状の導体パターンの周長と通信に使用されるUHF帯の周波数の1/2波長の差に比べて、ループ状の導体パターンの周長と加熱用電磁波の周波数の1/2波長の差が小さくてもよい。これにより、UHF帯の周波数近傍に比べて、加熱用電磁波の周波数近傍における放射効率を減衰させることができる。
導体パターンの動作原理についてさらに詳しく説明する。図3に示すように、実施の形態2のRFIDタグ21においては、複数のループ状の導体パターン45がアンテナパターン27の折り返し部分27cの外方に配置されることで、それぞれの導体パターン45がアンテナパターン27と磁界結合されている。
また、それぞれの導体パターン45の電気的長さは、「電子レンジ」において用いられている加熱用電磁波の周波数(2.4〜2.5GHz)の1/2波長(λ/2)より短くなるように設定されている。2.4〜2.5GHz帯の広い帯域で磁界アンテナとして動作する事で、電界アンテナとして動作する第1アンテナパターン27aの近傍に複数の磁界アンテナを構成する。これにより、電界アンテナパターンである第1アンテナパターン27aのアンテナ放射特性が急激に劣化する。また電界アンテナパターンである第1アンテナパターン27aの受信エネルギーは、磁界アンテナで熱に消費される。これにより、電界アンテナパターンの電磁波の受信レベルを減衰させており、また発熱箇所の分散を行っている。
図9は、実施の形態2のRFIDタグ21において、UHF帯の通信周波数(920MHz)の信号を受信したときのアンテナパターン27から放射される電界の強度分布について、シミュレーション実験により得られた図である。図10は、「電子レンジ」で使用される加熱周波数(2.4GHz)の高周波を受信したときのアンテナパターン27から放射される電界の強度分布について、シミュレーション実験により得られた図である。
図9に示すように、UHF帯の電界が照射されると、アンテナパターン27からも電界が放射され、アンテナパターン27がアンテナとして機能していることが理解される。アンテナ基材23の周囲には電界領域Ea1、Ea2、Ea3、Ea4が発生しており、アンテナ基材23から離れるにつれて電界強度が弱くなる。すなわち、電界領域Ea1〜Ea4において、電界領域Ea4での電界強度が一番強く、電界領域Ea1の電界強度が一番弱い。
また、図10に示すように、2.4GHzの電界が照射されると、アンテナパターン27から放射される電界強度はUHF帯の電界が照射されたときよりも小さい。アンテナ基材23の周囲には電界領域Ea3、Ea4が発生していない。したがって、アンテナパターン27のアンテナとしての機能がUHF帯の電界が照射されたときよりも著しく低減していることが理解される。
図11は、実施の形態2のRFIDタグ21に関して行ったシミュレーション実験の結果を示す周波数特性図である。図11に示すアンテナ放射効率の周波数特性図において、▽m1で示す0.95GHzの周波数では、給電レベルが−2.7DBであった。また、「電子レンジ」において用いられている加熱用電磁波の周波数である、▽m2で示す2.4GHzの周波数では、−34dBであり、▽m3で示す2.5GHzの周波数では、−24dBであり、大幅に減衰されていることが理解できる。また、2.4〜2.5GHzに限らず、通信周波数より高い周波数の帯域を減衰することも理解できる。例えば、約1.2GHz以上の周波数に関して、−10dB以上に減衰されている。
上記のように、実施の形態2のRFIDタグ21においては、UHF帯の通信周波数(900MHz帯、例えば950MHz)を有する高周波信号(無線信号)が送受信可能な周波数帯域であり、電磁波加熱装置である「電子レンジ」で使用される加熱周波数(2.4〜2.5GHz)では給電レベルが大幅に減衰(約−24〜−34dB)される周波数帯域であることが理解できる。これは電磁波加熱装置1000Wのパワーが4W〜0.4W以下に減衰されている事を示し、急激な過熱が起こりにくく発火しにくい事を示している。
このように、実施の形態2のRFIDタグ21では、「電子レンジ」で使用される加熱周波数(2.4〜2.5GHz)が大幅に減衰(約−24〜−34dB)されるが、給電レベルとしては完全にゼロではない。したがって、実施の形態2のRFIDタグ21が「電子レンジ」により商品と共に誘電加熱されたとき、アンテナパターン27(27a、27b)には微小な電流が流れる。この微小電流は、容量結合によりアンテナパターン27から線間パターン47に伝達され、磁界アンテナを形成する線間パターン47の磁気損失により熱を発生して徐々にエネルギー損失していく。
図12は、実施の形態2のRFIDタグ21に関する全方位に対する利得を示す図である。図12におけるX方向は、RFIDタグ21におけるRFICパッケージ25の長手方向を示している。図12および図13に示すように、RFIDタグ21は、Y方向およびZ方向における利得が高くなっており、Y方向およびZ方向においては広い指向性を有している。なお、RFICパッケージ25においては、その長手方向(X方向)のみが他の方位に比べて利得が多少低いが、全体的に広い指向性を有している。
以上のように、実施の形態2のRFIDタグ21は、例えば900MHz帯の通信用の第1の周波数を有する高周波信号を送受信するための無線通信デバイスである。RFIDタグ21は、アンテナ基材23と、アンテナ基材23に形成されたアンテナパターン27と、アンテナパターン27が形成されたアンテナ基材23の同一面上に形成され、アンテナパターン27の延伸方向に沿ってアンテナパターン27の両側に配置されたループ状の導体パターン45と、を備える。導体パターン45の物理的周長は、アンテナパターン27の全長よりも短い。これだけの構成により、通信用の周波数よりも高い第2の周波数の電磁波がRFIDタグ21に照射されても、導体パターン45が磁界アンテナとして磁界を発生させるので、アンテナパターン27の第2の周波数での放射特性を劣化させる。したがって、第2の周波数ではアンテナパターン27がアンテナとして機能しなくなるので、第2の周波数の電磁波のエネルギーがアンテナ基材23に蓄積されるのを低減することができる。この結果、商品が燃え上がるのを防止することができる。
RFIDタグ21が電磁波加熱装置で誘電加熱されたとき、導体パターン45に誘導電流が流れる。これにより、この導体パターン45が電磁波加熱装置の周波数では小型の磁界アンテナとなり、電磁波加熱装置が放射する電界エネルギーを反射して受信しにくい構成である。この結果、RFIDタグ21では、電磁波加熱装置により発火しにくく、更に受電した電界エネルギー(電力)を磁界エネルギーとして反射または損失できる構成となっている。したがって、実施の形態1のRFIDタグ21においては、誘電加熱時において給電レベルを大幅に減衰できる構成となる。
また、RFIDタグ21は、ループ状の導体パターンである線間パターン47a−47cを複数個備えることで、アンテナパターン27においても、アンテナパターン27の周囲に照射されるエネルギーをさらに低減することができる。また、隣り合う線間パターン47aと47bおよび47bと47cのそれぞれの周長が異なるので、線間パターン47a−47cは、それぞれの磁界アンテナの周波数が異なり、全体として2.4GHzから2.5GHz帯域以上の広帯域な磁界アンテナを構成する。
また、導体パターン45の電気的周長は、例えば900MHz帯の通信用の第1の周波数の高周波信号の1波長よりも短い。これにより、導体パターン45には、第1の周波数の高周波信号の定在波が形成されない。したがって、アンテナパターン27は、通信用の周波数の高周波信号の送受信を妨げない。
また、導体パターン45の電気的周長は、例えば900MHz帯の第1の周波数の高周波信号の2分の1波長よりも短い。これにより、導体パターン45に第1の周波数の高周波信号による誘導電流の方向が反転する反転ポイントが発生しない。したがって、アンテナパターン27に発生する定在波への影響を低減することができる。
また、導体パターン45の電気的周長は、例えば900MHz帯の第1の周波数よりも高い、例えば電磁誘導加熱に用いられる第2の周波数の高周波の波長の整数倍ではない。これにより、導体パターン45に第2の周波数の定在波が発生しないので、第2の周波数の電磁波により導体パターン45にエネルギーが蓄積されるのを低減することができる。
また、導体パターン45の電気的周長は、例えば、電磁誘導加熱に用いられる第2の周波数の高周波の2分の1波長よりも長い。これにより、導体パターン45に、電流の向きが反転する反転ポイントとなる節を有する誘導電流が発生する。導体パターン45の電気的周長は第2の周波数の高周波の1波長よりも短いので、導体パターン45に第2の周波数の定在波が発生することができない。したがって、この反転ポイントは時間の経過と共に導体パターン45上を移動する。この結果、アンテナパターン27上に発生する誘導電流の定在波にも影響を及ぼして、アンテナパターン27から放射される電界を低減することができる。
また、アンテナパターン27はミアンダ形状に延び、導体パターン45の少なくとも一部は、ミアンダ形状のアンテナパターン27の折り返し部分27cよりもミアンダの振幅方向外側方に配置されている。これにより、導体パターン45は、ミアンダの振幅方向からの第2の周波数の電磁波がアンテナパターン27に受信するのを低減することができる。
また、それぞれ周長の異なる導体パターン45a、45b、45c及び45dが、アンテナ基材23の外縁部の長手方向に沿って配置されている。周長の異なる導体パターン45a、45b、45c及び45dが配置されているので、各導体パターン上を移動する反転ポイントの相対位置が時間の経過とともにずれるので、複数の導体パターンから発生する異なる位相の磁界からの影響により、アンテナパターン27に発生する誘導電流の定在波をより平均化して低減することができる。
また、導体パターン45aは、ミアンダの振幅方向において外方から内方に向けて突出する凸部45aeを有し、アンテナパターン27の隣り合う折り返し部分27cの間に、導体パターン45aの凸部45aeが配置されている。隣り合う折り返し部分27cのそれぞれと導体パターン45aの凸部45aeとが容量結合するので、第2の周波数の電磁波が照射された際に、隣り合う折り返し部分27c間で電界の集中が抑制され、放電が発生するのを防止することができる。
また、ループ状の第2シールドパターン51が、アンテナ基材23の外縁部の幅方向に沿って配置されている。これにより、アンテナパターン27のミランダの振幅方向と垂直な方向から伝播する第2の周波数の電磁波を第2シールドパターン51が磁界アンテナとして受信する。したがって、アンテナパターン27が受信する第2の周波数の電磁波のエネルギーを低減することができる。
上記のように構成されているので、実施の形態2のRFIDタグ21が付された商品を電磁波加熱装置(電子レンジ)において誘電加熱した場合においても、RFIDタグ21における放電の発生が大幅に抑制されており、商品における発火の危険性を防止することができる。
次に、実施の形態2の変形例1を説明する。図14は、実施の形態2の変形例1における無線通信デバイス(RFIDタグ)の構成を示す平面図である。実施の形態2の変形例1におけるRFIDタグ61は、実施の形態2のRFIDタグ21から第2シールドパターン51を省略した構成である。また、第1導体パターン45aの凹部45aa及び凸部45acが省略されている。その他の構成は実施の形態2のRFIDタグ21と実質的に同じである。
RFIDタグ61において、第2導体パターン45bの凹部45baは、第1または第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cの一部に沿って延びている。また、第2導体パターン45bの凹部45bbは、第1または第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cに沿って延びている。さらに、第2導体パターン45bは、第1または第2アンテナパターン27a、27bにおいて隣り合う2つの折り返し部分27cの間に側方から凸状に延びる凸部45bdを有する。
RFIDタグ61において、第3導体パターン45cの凹部45caは、第1または第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cの一部に沿って延びている。第2導体パターン45bの凸部45bdの直線部と第3導体パターン45cの凹部45caとで折り返し部分27cの外方を囲むように配置されている。
ミアンダ状の第1及び第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cの外側方に導体パターン45が配置されている。これにより、ミアンダの振幅方向からの第2の周波数の電磁波がアンテナパターン27に受信するのを低減することができる。なお、RFIDタグ61の第1及び第2アンテナパターン27a、27bはミアンダ状のアンテナパターンであるので、アンテナパターン27のアンテナ特性は、ミアンダの振幅方向(Y方向)の指向性が支配的になる。したがって、RFIDタグ61は、第2シールドパターン51を有していないので、実施の形態2のRFIDタグ21よりも放射特性は低下するものの、放射特性の影響は限定的である。
次に、実施の形態2の変形例2を説明する。図15は、実施の形態2の変形例2における無線通信デバイス(RFIDタグ)の構成を示す平面図である。実施の形態2の変形例2におけるRFIDタグ71は、実施の形態2の変形例1のRFIDタグ61から線間パターン47を省略した構成である。その他の構成は実施の形態2の変形例1におけるRFIDタグ61と実質的に同じである。
RFIDタグ71は、RFIDタグ61と同様に第2シールドパターン51を有しておらず、さらに、線間パターン47も有していない。したがって、RFIDタグ71は、実施形態2のRFIDタグ21よりも第2の周波数の電磁波の影響をいくらか受けやすくなるが、ミアンダ形状の第1及び第2アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cの外側方に導体パターン45が配置されているので、ミアンダの振幅方向からの第2の周波数の電磁波がアンテナパターン27に受信するのを低減することができる。
次に、実施の形態2の変形例3を説明する。図16は、実施の形態2の変形例3における無線通信デバイス(RFIDタグ)の構成を示す平面図である。実施の形態2の変形例3におけるRFIDタグ81のアンテナパターン83は、第1アンテナパターン27aと第2アンテナパターン83bとを有する。第2アンテナパターン83bは、ミアンダ形状ではなく平板形状を有する。
アンテナパターン83の第2アンテナパターン83bは、第2ランドパターン33bから導出してアンテナ基材23の長手方向の他端に向かって直線状に延設される延在部83cを有し、延在部83cの延設方向の先端部には平板部85が形成されている。この平板部85は、物品の金属面に貼り付けられる部分である。図17に示すように、平板部85が、例えば缶製品のように外面に金属面を有する物品14に貼り付けられると、物品14の金属面はアンテナの一部として機能する。
平板部85の外周の全長または対角の長さは、通信用の第1の周波数よりも高いある特定の周波数の波長の1/4波長以下に短く設計されている。例えば、電磁波加熱装置(電子レンジ)の周波数の波長の1/4波長以下に短く設計する場合、平板部85の大きさは、アンテナ基材23の長手方向(X方向)の長さが10mmであり、幅方向(Y方向)の長さが18mmである。
また、アンテナ基材23には、アンテナ基材23の長手方向に沿って平板部85の外側方に、第5導体パターン45e、第6導体パターン45f、第7導体パターン45g及び第8導体パターン45hが配置されている。第5導体パターン45e〜第8導体パターン45hは、それぞれ導電材料によりループ状に形成されている。
このように、RFIDタグ81によれば、実施の形態2の変形例3の効果に加えて、物品が金属製であっても、通信用の第1周波数において通信することができる。また、RFIDタグ81が金属製の物品14ではなく、弁当などの物品17に貼り付けられる場合もある。この場合でさらに電子レンジにより加熱される場合でも、平板部85の長手方向に沿って両側に配置されている第5導体パターン45e〜第8導体パターン45hにより、照射される電磁波のエネルギーがRFIDタグ81に蓄積されるのを低減できる。
次に、実施の形態2の変形例4を説明する。図18は、実施の形態2の変形例4における無線通信デバイス(RFIDタグ)の構成を示す平面図である。実施の形態2の変形例4におけるRFIDタグ91の第1導体パターン45aは、実施の形態2の変形例1の第1導体パターン45aと第4導体パターン45dとを1つに結合した形状を有する。
RFIDタグ91の第1導体パターン45aは、凸部45ad、凸部45ae、及び凸部45afと、3つの凸形状のパターン部を有する。また、RFIDタグ91の第1導体パターン45aは、アンテナパターン27a、27bの折り返し部分27cに沿って延びる凹部45ab、凹部45agと、2つの凹形状のパターン部を有する。
RFIDタグ91の第1導体パターン45aは、ランドパターン33から延びるミアンダ状の第1または第2アンテナパターン27a、27bの延伸方向(X方向)片側の全ての折り返し部分27cの外側方に位置するように形成されている。RFIDタグ91は、このような大きさの導体パターンを備えていても、第2の周波数の電磁波に対して磁界アンテナとして磁界を発生させるので、アンテナパターン27の第2の周波数での放射特性を劣化させる。
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の無線通信デバイスであるRFIDタグ101について、図19を参照して説明する。図19は、実施の形態3のRFIDタグ101の構成を示す平面図である。
実施の形態3のRFIDタグ101に関しては、実施の形態2のRFIDタグ21との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態3の説明において、前述の実施の形態2と同様の構成、作用および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
また、実施の形態2のRFIDタグ21は、第1アンテナパターン27aおよび第2アンテナパターン27bのそれぞれの長さが等しいので、アンテナパターン27は対称型ダイポールアンテナであった。これに対して、実施の形態3のRFIDタグ101のアンテナパターン103は、非対称型ダイポールアンテナである。すなわち、アンテナパターン103を構成する第1アンテナパターン103aおよび第2アンテナパターン103bのそれぞれの長さが異なる。第1アンテナパターン103aの長さは、第2アンテナパターン103bの長さよりも短い。
RFIDタグ101において、第1導体パターン45aは、第1または第2アンテナパターン103a、103bの先端部103eを囲む凹部45aaと、第1または第2アンテナパターン103a、103bの折り返し部分103cの一部に沿って延びる凹部45abと、を有する。さらに、RFIDタグ101の第1導体パターン45aは、長手方向(X方向)において最も外方の第1または第2アンテナパターン103a、103bの直線部分103dの外方に沿って凸状に延びる凸部45acと、第1または第2アンテナパターン103a、103bにおいて隣り合う2つの折り返し部分103cの間に側方から凸状に延びる凸部45adを有する。
RFIDタグ101において、第3導体パターン45cは、凸部45cbに加えて、第2アンテナパターン103bにおいて隣り合う2つの折り返し部分103cの間に側方から凸状に延びる凸部45ccを有する。
また、RFIDタグ101において、第4導体パターン45dは、凹部45daに加えて、第2アンテナパターン103bの折り返し部分103cの一部に沿って延びる凹部45dbを有する。第4導体パターン45dの凹部45dbとシールドパターンの直線部とで折り返し部分103cの外方を囲むように配置されている。また、第4導体パターン45dは、第2アンテナパターン103bにおいて隣り合う2つの折り返し部分103cの間に側方から凸状に延びる凸部45dcを有する。
RFIDタグ101において、アンテナパターン103はミアンダ形状に延び、導体パターン45a−45dの少なくとも一部は、ミアンダ形状のアンテナパターン103の折り返し部分103cよりもミアンダの振幅方向外側方に配置されている。これにより、導体パターン45a−45dは、ミアンダの振幅方向からの第2の周波数の電磁波がアンテナパターン103に受信するのを低減することができる。
図20は、RFIDタグ101のアンテナパターン103の回路を説明する説明図である。非対称型ダイポールアンテナを有するRFIDタグ101では、アンテナパターン103側のインピーダンスZ1とループパターン105側のインピーダンスZ2とを整合させることで、アンテナパターン103の放射特性を最適化することができる。ループパターン105は、インダクタンス素子39A、39B、39C、及び39Dから構成されている。
インピーダンスZ1は、ループパターン105が無い状態における、第1アンテナパターン103aと接続する第1ランドパターン33aと、第2アンテナパターン103bと接続点する第2ランドパターン33b間のインピーダンスである。
インピーダンスZ2は、アンテナパターン103が無い状態における、ループパターン105とそれぞれ接続する第1ランドパターン33a及び第2ランドパターン33b間のインピーダンスである。
インピーダンスZ1は、第1アンテナパターン103aと第2アンテナパターン103bとを非対称にすると増大する。そこで、例えば、第1ランドパターン33aと第2ランドパターン33b間のRFICチップ37を経由しないループパターン105の長さ、より具体的には、インダクタンス素子39C及び39Dの長さを長くすることでインピーダンスZ2を増大させることができる。このようにして、増大したインピーダンスZ1に、インピーダンスZ2を整合させることができる。
インピーダンスZ1及びZ2の整合の条件は、電圧定在波比(VSWR)が3以下、または、リターンロスが6dB以上であれば、アンテナパターン103の放射特性を最適化することができる。
また、第1アンテナパターン103aと第2アンテナパターン103bとが非対称であるので、アンテナパターンの長い第2アンテナパターン103bを物品の金属面に貼り付けることで、金属面を放射素子として利用することができる。したがって、RFIDタグ101であれば、非金属製及び金属製の両方の物品に対して用いることができる。
以下、本発明に係る実施の形態3の変形例1に係る無線通信デバイスであるRFIDタグ111について、図21を参照して説明する。図21は、実施の形態3のRFIDタグ111の構成を示す平面図である。
実施の形態3の変形例1のRFIDタグ111に関しては、実施の形態3のRFIDタグ101との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態3の説明において、前述の実施の形態3と同様の構成、作用および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態3の変形例1のRFIDタグ111は、実施の形態3のRFIDタグ101から、第2シールドパターン51から省略されている。また、RFIDタグ111が備える第9導体パターン117は、1つのL型部117aと1つの凸部117bとを有する。L型部117aは、アンテナパターン103の折り返し部分103cと対向して、折り返し部分103cの外方に配置されている。凸部117bは、アンテナパターン103のある折り返し部分103cとその隣の折り返し部分103c間および折り返し部分103cと先端部103eとの間に配置されている。
また、ランドパターン33の周囲には、第1シールドパターン49と、ループ状ではあるが一部が途切れている第3シールドパターン115が配置されている。第3シールドパターン115は、第1シールドパターン49と同様に導電材料により形成されている。
第3シールドパターン115にも、第1アンテナパターン113a及びランドパターン33a、33b間に電流が流れることにより発生する磁界を打ち消す方向に電流が流れる。しかしながら、第3シールドパターン115は一部が途切れているので、通信周波数より高い第1の周波数の帯域の電磁波が照射されると、この途切れている部分で放電が発生する。これにより、アンテナ基材23の放電箇所のアンテナ箔が局部的に昇華する。この昇華する位置の近傍に第2アンテナパターン113bのアンテナパターンがあるので、アンテナ基材23が昇華すると同時に近傍の第2アンテナパターン113bのアンテナパターンを断線させる機能を有する。
実施の形態3の変形例1の構成によっても、RFIDタグ111は、通信用の周波数より高い第2の周波数の電磁波を受信すると、線間パターン47a、47bおよび47cに渦電流が発生し磁界が発生するので、給電された電力の一部は磁界エネルギーとして損失する。
以下、本発明に係る実施の形態3の変形例2の無線通信デバイスであるRFIDタグ121について、図22を参照して説明する。図22は、実施の形態4のRFIDタグ121の構成を示す平面図である。
実施の形態3の変形例2のRFIDタグ121に関しては、実施の形態3の変形例1のRFIDタグ111との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態3の変形例2の説明において、前述の実施の形態3の変形例2と同様の構成、作用および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態3の変形例1のRFIDタグ111の第1及び第2アンテナパターン103a、103bは、ランドパターン33a及び33bからそれぞれ第3シールドパターン115の周りに沿って延びていた。これに対して、実施の形態3の変形例2のRFIDタグ121の第1及び第2アンテナパターン103a、103bは、ランドパターン33a及び33bからそれぞれ第3シールドパターン115の一部が途切れている辺に沿って延び、さらに、第3シールドパターン115の幅方向外側に配置された第1シールドパターンの周りに沿って延びている。これにより、RFIDタグ111よりもRFIDタグ121の第1及び第2アンテナパターン103a、103bの方が長く形成することができる。その他の構成は実施の形態3の変形例1のRFIDタグ111と実質的に同じである。
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の無線通信デバイスであるRFIDタグ131について図23を参照して説明する。図23は、実施の形態4のRFIDタグ131の構成を示す平面図である。
実施の形態4のRFIDタグ131は、実施の形態1のRFIDタグ1のアンテナパターン9がミアンダ形状の非対称型ダイポール型アンテナを構成しており、実施の形態1と実施の形態3との組合せの形態である。実施の形態4のRFIDタグ131に関しては、実施の形態3のRFIDタグ101との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態4の説明において、前述の実施の形態3と同様の構成、作用および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態4におけるRFIDタグ131は、第1アンテナパターン103a及び第2アンテナパターン103bの基部側と接続されるループパターン133を有する。ループパターン133は、RFICチップ5が実装されるランド133a、133bを有する。ループパターン133の内部には、2つのループ状のシールドパターン137がアンテナ基材23上に配置されている。
アンテナ基材23の幅方向において、ループパターン133のそれぞれの外方には第10導体パターン135が配置されている。また、アンテナ基材23の長手方向において、ループパターン133のそれぞれ外方には第1シールドパターン49が配置されている。
また、実施の形態3のRFIDタグ101の第1及び第2アンテナパターン103a、103bのそれぞれの先端部103eが、アンテナ基材23の幅方向(Y方向)においてそれぞれ逆側に配置されていた。これに対して、実施の形態4のRFIDタグ131の第1及び第2アンテナパターン103a、103bのそれぞれの先端部103eが、アンテナ基材23の幅方向においていずれか一方側に配置されている。
実施の形態4におけるRFIDタグ131においても、アンテナパターン103はミアンダ形状に延び、導体パターン45a−45dの少なくとも一部は、ミアンダ形状のアンテナパターン103の折り返し部分103cよりもミアンダの振幅方向外側方に配置されている。これにより、導体パターン45a−45dは、ミアンダの振幅方向からの第2の周波数の電磁波がアンテナパターン103に受信するのを低減することができる。
以下、本発明に係る実施の形態4の変形例1の無線通信デバイスであるRFIDタグ141について、図24を参照して説明する。図24は、実施の形態4のRFIDタグ141の構成を示す平面図である。
実施の形態4の変形例1のRFIDタグ141に関しては、実施の形態4のRFIDタグ131との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態4の説明において、前述の実施の形態1と同様の構成、作用および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態4のRFIDタグ131は、ループパターン133の内部に、ループパターン133の内縁形状に沿った2つのシールドパターン137が配置されていた。これに対して、実施の形態4の変形例1のRFIDタグ141は、ループパターン133の内部に、シールドパターン137よりも周長の短いシールドパターン145が配置されている。
また、RFIDタグ141のループパターン133のそれぞれの外方には第11導体パターン147が配置されている。第11導体パターン147は、実施の形態4のRFIDタグ131の第10導体パターン135を3又は4分割した大きさである。
実施の形態4の変形例1のRFIDタグ141の構成であっても、実施の形態4のRFIDタグ131と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5の無線通信デバイスであるRFIDタグ151について図16を参照して説明する。図25は、実施の形態5のRFIDタグ151の構成を示す平面図である。
実施の形態5のRFIDタグ151に関しては、実施の形態2のRFIDタグ141との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態5の説明において、前述の実施の形態2と同様の構成、作用および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
実施の形態5のRFIDタグ151のアンテナパターン153は、ミアンダ状に形成された第1及び第2アンテナパターン153a、153bからそれぞれ分岐する支線パターン153cを有する。支線パターン153cは、第1及び第2アンテナパターン153a、153bのそれぞれの折り曲げ部分155から長手方向(X方向)においてランドパターン33側に分岐する。支線パターン153cは分岐後さらに、幅方向(Y方向)において分岐した折り曲げ部分155の他方側の折り曲げ部分155に向けて延び、第1及び第2アンテナパターン153a、153bのそれぞれの直線部分153d間に挟まれている。支線パターン153cのインダクタンス成分も利用して、導体パターンと共にLC並列共振回路が構成されている。
図26は、実施の形態5のRFIDタグ151に関して行ったシミュレーション実験の結果を示す周波数特性図である。図26に示すアンテナ放射効率の周波数特性図において、▽m1で示す0.90GHzの周波数では、給電レベルが+0.27DBであった。また、「電子レンジ」において用いられている加熱用電磁波の周波数である、▽m2で示す2.4GHzの周波数では、−28dBであり、▽m3で示す2.5GHzの周波数では、−26dBであり、大幅に減衰されていることが理解できる。また、2.4〜2.5GHzに限らず、通信周波数より高い周波数の帯域を減衰することも理解できる。例えば、約1.2GHz以上の周波数に関して、−12dB以上に減衰されている。
上記のように、実施の形態5のRFIDタグ151においては、UHF帯の通信周波数(900MHz帯、例えば900MHz)を有する高周波信号(無線信号)が送受信可能な周波数帯域であり、電磁波加熱装置である「電子レンジ」で使用される加熱周波数(2.4〜2.5GHz)では給電レベルが大幅に減衰(約−26dB)される周波数帯域であることが理解できる。これは電磁波加熱装置1000Wのパワーが2.5W以下に減衰されている事を示し、急激な過熱が起こりにくく発火しにくい事を示している。
このように、実施の形態5のRFIDタグ151では、「電子レンジ」で使用される加熱周波数(2.4〜2.5GHz)が大幅に減衰(約−26dB)されるが、給電レベルとしては完全にゼロではない。したがって、実施の形態5のRFIDタグ151が「電子レンジ」により商品と共に誘電加熱されたとき、アンテナパターン27(27a、27b)には微小な電流が流れる。この微小電流は、容量結合によりアンテナパターン27から線間パターン47に伝達され、磁界アンテナを形成する線間パターン47の磁気損失により熱を発生して徐々にエネルギー損失していく。
図27は、通信周波数より高い高周波数(2.4GHz)の電磁波を受信したときに、図25に示す導体パターン45、及び第2シールドパターン51に流れる電流の方向を示す説明図である。図28は、通信周波数(920MHz)の電磁波を受信したときに、図25に示す導体パターン45に流れる電流の方向を示す説明図である。
図27に示すように、アンテナパターン27に通信周波数より高い周波数の帯域の電磁波が照射されると、アンテナパターン27と導体パターン45とは磁界結合により、導体パターン45内に電流の向きが反転する反転ポイントを有する渦電流が流れる。また、この渦電流を原因として導体パターン45から磁界が発生する。この磁界の発生により、アンテナパターン27に給電された電力の一部は磁界エネルギーとなり、導体パターン45の磁気損失により熱を発生して徐々にエネルギー損失する。このようにして、通信周波数より高い周波数の帯域のエネルギーを減衰することができる。
また、第1〜第4導体パターン45a〜45dのそれぞれにおいて、誘導電流の向きが逆方向になる反転ポイントは、第1〜第4導体パターン45a〜45dそれぞれのパターン上を時間の経過と共に移動する。この反転ポイントの移動は、アンテナパターン27に発生する定在波の誘導電流に影響を及ぼす。
反転ポイントの移動に伴い、アンテナパターン27aに発生する定在波の振幅が変化する。この振幅の変化により、アンテナパターン27から放出される電界が一定ではなくなるので低減される。
図29は、実施の形態5のRFIDタグ151において、UHF帯の通信周波数(920MHz)の信号を受信したときのアンテナ基材23から放射される電界の強度分布について、シミュレーション実験により得られた図である。図30は、「電子レンジ」で使用される加熱周波数(2.4GHz)の高周波を受信したときのアンテナ基材23から放射される電界の強度分布について、シミュレーション実験により得られた図である。
図29に示すように、UHF帯の電界が照射されると、アンテナ基材23から電界が放射され、アンテナパターン27aがアンテナとして機能していることが理解される。アンテナ基材23の周囲には電界領域Ea1、Ea2、Ea3、Ea4が発生しており、アンテナ基材23から離れるにつれて電界強度が弱くなる。すなわち、電界領域Ea1〜Ea4において、電界領域Ea4での電界強度が一番強く、電界領域Ea1の電界強度が一番弱い。
また、図30に示すように、2.4GHzの電界が照射されると、アンテナ基材23から放射される電界強度はUHF帯の電界が照射されたときよりも小さい。アンテナ基材23の周囲には電界領域Ea3、Ea4が発生していない。したがって、アンテナパターン27のアンテナとしての機能がUHF帯の電界が照射されたときよりも著しく低減していることが理解される。
以上のように、これらの実施の形態によれば、無線通信デバイスが付された商品が、誤って無線通信デバイスが付されたまま電磁波加熱装置において加熱された場合においても、無線通信デバイスにおける放電の発生が抑制されている。これにより、無線通信デバイスの発火、さらには無線通信デバイスが付された商品における発火の危険性を防止することが可能な安全性および信頼性の高い無線通信デバイスを提供することができる。したがって、本発明は、食品、日用雑貨品などの多種多様な商品を取り扱うコンビニエンスストアなどの販売店において、購入した商品の会計、および袋詰めを自動化するシステムを構築することが可能となる。
本発明は、上記各実施の形態のものに限らず、次のように変形実施することができる。
(1)上記各実施の形態において、アンテナ基材23の材料として、可撓性のフィルム材料が用いられていたが、これに限られない。アンテナ基材23は、例えば、難燃性のフィルム材料でもよい。アンテナ基材23として難燃性フィルムを採用する場合、用いられる難燃性フィルム材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などの樹脂材料にハロゲン系難燃材料の添加や、難燃性コーティング材料の塗工を行ったフィルムが用いられる。また、アンテナ基材23の材料としては、耐熱性を有するPEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂などの高機能を有する樹脂材料を用いることも可能である。
(2)上記各実施の形態において、通信用の第1の周波数帯はUHF帯であったがこれに限られない。HF帯の通信用の周波数(キャリア周波数)を有する高周波信号で無線通信するよう構成されていてもよい。この場合、アンテナパターンの全長がHF帯の高周波信号を受信するように設計される。なお、HF帯とは、13MHz以上15MHz以下の周波数帯域である。
本発明をある程度の詳細さをもって各実施の形態において説明したが、これらの実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。