JPWO2019021615A1 - 起泡性水中油型乳化物及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents

起泡性水中油型乳化物及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

20〜40℃のような常温保管で乳化安定であり、かつ常温保管後に冷蔵温度〜常温、例えば3〜30℃で起泡可能な水中油型乳化物及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法の提供を課題とする。油脂、乳化剤、糖類、及び水を含有する起泡性水中油型乳化物において、上昇融点35〜42℃のラウリン系油脂中に炭素数20〜24の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の10〜75重量%である油脂、及び/または、主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸である親油性乳化剤を特定量含有させて、常温乳化安定性と常温起泡性に優れた起泡性水中油型乳化物を得る。

Description

本発明は常温で乳化安定であり、かつ常温保管後に冷蔵温度〜常温で起泡可能な水中油型乳化物及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法に関する。
洋菓子、パン及び調理用原料として、外観及び風味を向上させて嗜好性を高めるべく、起泡性水中油型乳化物が幅広く利用されている。起泡性水中油型乳化物には、牛乳から分離された生クリーム、動植物製油脂を原料とした合成クリーム、さらに前記二者を混合したコンパウンドクリームの3種類がある。前記の生クリームは優れた乳風味を有するが、高価であり、流通、保管時の乳化安定性がやや低く、輸送中に可塑化現象(ボテ)やチャーニング現象(乳化破壊)を起こし易く、また起泡時の起泡終点巾が狭いため適正な起泡が困難という問題を有している。一方、合成クリームやコンパウンドクリームは生クリームと対比して、安価であり、乳化安定性や起泡性も比較的安定であることから、上記用途に幅広く利用されている。
しかしながら、合成クリームやコンパウンドクリームのような起泡性水中油型乳化物においても、流通、保管の条件によって、或いは起泡性水中油型乳化物に使用する油脂や乳化剤の種類、使用量によって、起泡前原液の粘度上昇や可塑化現象が生じる場合がある。特に、起泡性水中油型乳化物が例えば20〜40℃のような常温で流通される場合には、起泡性水中油型乳化物に使用される油脂の結晶が粗大化したり、或いは相転移しやすい場合には、特に起泡前原液の粘度上昇や可塑化現象が生じやすくなり、起泡性水中油型乳化物の商品価値が失われるという問題があった。
上記のような問題を解決する手法としては、起泡性水中油型乳化物に使用される油脂又は乳化剤の両面から検討され、種々解決法が提案されている。
特許文献1は、油相3〜50重量%、水相97〜50重量%からなる起泡性水中油型乳化物であって、油相が、構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸を5〜70重量%含む油脂及び親油性乳化剤として主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの一種又は二種以上を含むことを特徴とする起泡性水中油型乳化物に関する。本起泡性水中油型乳化物は、機械耐性、外部環境の変化による温度耐性に満足な特性を有しており、起泡後のホイップクリームは、保存によってもクリーム組織の変化がないという特長を有するものであるが、20〜40℃のような常温での乳化安定性や常温での起泡性については何ら言及されていない。
特許文献2は、油相と水相とを使用して水中油型乳化物を製造するに際し、非対称型の二長鎖一短鎖トリグリセリドを全油脂成分中に1重量%以上添加使用することを特徴とする、水中油型乳化物の製造法に関する。本発明によると、製造中または保存中に、或いは如何なる油脂を使用しても増粘または可塑化現象を起こし難く、20〜25℃のような常温で極めて乳化安定に優れた水中油型乳化物を製造することができるが、本発明の水中油型乳化物は起泡性水中油型乳化物に関するものではない。
特許文献3は、ヨウ素価5以下のパーム核硬化油などの第一フラクション80〜90重量%とパーム油高融点部などの第二フラクション10〜20重量%からなる油脂、安定化乳化剤対不安定化乳化剤HLB比が1〜4である乳化剤成分、及び1種以上の糖、を含有するホイップ可能な水中油型エマルジョン食料製品、起泡性水中油型乳化物に関する。本発明によれば、起泡性水中油型乳化物は30〜40℃の環境温度で貯蔵でき、10〜27℃にてホイップすることができるというものである。
特開平6−276978号公報 特開平6−178664号公報 特表2007−500516号公報
本発明者らは、上記の先行技術を踏まえて、20〜40℃のような常温保管で乳化安定であり、かつ常温保管後に冷蔵温度〜常温、例えば3〜30℃で起泡可能な水中油型乳化物及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法の提供を目的とした。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討した結果、油脂、乳化剤、糖類、及び水を含有する起泡性水中油型乳化物において、特定の油脂、特定の乳化剤を含有する起泡性水中油型乳化物が、上記の目的とする常温乳化安定性と常温起泡性を有することを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、以下である。
(1)油脂、乳化剤、糖類、及び水を含有する起泡性水中油型乳化物において、
下記i)、ii)、iii)またはiv)から選択されるいずれか1を満足する起泡性水中油型乳化物。
i)油脂が、上昇融点35〜42℃のラウリン系油脂である油脂A88〜98重量%と炭素数20〜24の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の10〜75重量%である油脂B2〜12重量%からなる油脂Cである。
ii)油脂が油脂Aであり、親油性乳化剤として、主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの1種または2種以上を含有する。
iii)油脂が油脂Cであり、さらにii)記載の親油性乳化剤を含有する。
iv)油脂が、油脂Aが98重量%を超え100重量%未満、油脂Bが0重量%を超え2重量%未満からなる油脂Dであり、さらにii)記載の親油性乳化剤を含有する。
(2)前記油脂Aが、パーム核油、ヤシ油、ババス油の分別油、水素添加油、エステル交換油から選択される1種または2種以上である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(3)前記油脂Bが、炭素数22の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の20〜60重量%である菜種極度硬化油である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(4)(1)記載の親油性乳化剤の含有量が起泡性水中油型乳化物に対して0.1〜3重量%である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(5)乳化剤として、さらに安定化乳化剤と解乳化剤を含有し、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、(X÷Y)の値が10以上かつXとYの合計量が0.1〜3重量%である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(6)糖類として、澱粉分解物、少糖類、ニ糖類、単糖類、糖アルコールから選択される1種または2種以上を5〜25重量%含有する、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(7)油脂分が10〜30重量%である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(8)全固形分が30〜50重量%である、(1)記載の起泡性水中油型乳化物。
(9)(1)記載の起泡性水中油型乳化物を20〜40℃保管後、3〜30℃に温調してから起泡することを特徴とする起泡済み水中油型乳化物の製造方法。
本発明により、20〜40℃のような常温保管で乳化安定であり、かつ常温保管後に冷蔵温度〜常温、例えば3〜30℃で起泡可能な水中油型乳化物、及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法の提供が可能となった。本発明により、冷蔵や冷凍流通網の整っていない市場への起泡性水中油型乳化物の提供が可能となり、冷蔵や冷凍保管を必要としないことによるエネルギーの低減、輸送中の可塑化現象(ボテ)やチャーニング現象(乳化破壊)に伴う食品廃棄の軽減に寄与する起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂、乳化剤、糖類及び水を含む水中油型乳化物であって、起泡前は流動状態で常温乳化安定性を有する乳化物であり、さらに本発明は常温で起泡可能なホイップ性を有し、ホイップ後の起泡済み水中油型乳化物の保形性にも優れた起泡性水中油型乳化物である。起泡性水中油型乳化物は、”ホイップ用クリーム”と呼ばれたりもする。これを泡立器具、または専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌して起泡済み水中油型乳化物としたものが、俗に”ホイップドクリーム”または”ホイップクリーム”と称される、起泡状態を呈するものである。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用できる油脂としては、上昇融点35〜42℃のラウリン系油脂である油脂A、または油脂A88〜98重量%と炭素数20〜24の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の10〜75重量%である油脂B2〜12重量%の混合油である油脂Cである。本発明の一態様として、油脂として油脂Aのみを用いる場合は、親油性乳化剤として、主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの1種または2種以上を含有する必要がある。別の一態様として、油脂として油脂Cを用いる場合は、前記親油性乳化剤は含有しても、あるいは含有しなくてもよい。また、油脂として、油脂Aが98重量%を超え100重量%未満、油脂Bが0重量%を超え2重量%未満からなる油脂Dを用いる場合は、前記親油性乳化剤を含有する必要があるが、この場合は油脂として油脂Aのみを用いる場合に比べて該親油性乳化剤の配合量を低減することができる。
本発明における上昇融点35〜42℃のラウリン系油脂である油脂Aとしては、パーム核油、ヤシ油、ババス油の分別油、水素添加油、エステル交換油から選択される1種または2種以上であるのが好ましい。油脂Aの上昇融点は、より好ましくは、35〜40℃である。上昇融点が35℃未満であると、起泡性水中油型乳化物の常温起泡性が低下するとともに、起泡済み水中油型乳化物の耐熱保形性が低下する傾向にある。逆に、42℃を超えると、起泡済み水中油型乳化物の口溶けが低下するため好ましくない。
本発明に用いる油脂Bの全構成脂肪酸中の炭素数20〜24の飽和脂肪酸含量は10〜75重量%であるが、より好ましくは20〜70重量%、最も好ましくは30〜60重量%である。炭素数20〜24の飽和脂肪酸含量が10重量%未満であると、起泡性水中油型乳化物への添加量を多くする必要があり、起泡済み水中油型乳化物の口溶けが低下するため好ましくない。油脂Bとしては、炭素数22の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の20〜60重量%である高エルシン酸菜種極度硬化油、魚油極度硬化油が例示でき、これらの1種または2種以上を使用することができる。特に、炭素数22の飽和脂肪酸が40〜60重量%である高エルシン酸菜種極度硬化油の利用が、比較的高融点の極度硬化油の配合量を低減できるため、より望ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物に油脂A88〜98重量%と油脂B2〜12重量%の混合油である油脂Cを使用し、前記親油性乳化剤を含有しない態様の場合、油脂Cは油脂A90〜95重量%と油脂B5〜10重量%の混合油であるのが、より好ましい。油脂Aが88重量%未満で油脂Bが12重量%を超えると、起泡済み水中油型乳化物の口溶けが低下するため好ましくない。逆に、油脂Aが98重量%を超え、油脂Bが2重量%未満であると、起泡性水中油型乳化物の常温乳化安定性と常温起泡性が低下する傾向にある。
本発明の起泡性水中油型乳化物に油脂A88〜98重量%と油脂B2〜12重量%の混合油である油脂Cを使用し、前記親油性乳化剤を含有する態様の場合、油脂Cは油脂A92〜98重量%と油脂B2〜8重量%の混合油であるのが、より好ましい。前記親油性乳化剤を含有させることにより、比較的高融点の油脂の配合量を低減できて、起泡済み水中油型乳化物の口溶けを向上させることができる。また、油脂として前記油脂Dを用いる場合は、該親油性乳化剤の配合量を低減できるため、やはり起泡済み水中油型乳化物の口溶けを向上させることができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用する親油性乳化剤とは、主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの1種または2種以上である。これらの親油性乳化剤は、起泡性水中油型乳化物に対して0.1〜3重量%配合して使用するのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2重量%、最も好ましくは0.1〜1重量%である。
起泡性水中油型乳化物に使用する油脂が油脂Aである場合、上記親油性乳化剤の配合量が0.1重量%未満では、常温乳化安定性及び常温起泡性が低下する傾向にある。逆に、3重量%を超えると、起泡性水中油型乳化物の粘度上昇が顕著になり、起泡済み水中油型乳化物の口溶けが低下するため好ましくない。
起泡性水中油型乳化物に使用する油脂が油脂Cである場合、上記親油性乳化剤の配合量は、0.1〜1重量%であるのが好ましく、最も好ましくは0.1〜0.5重量%である。油脂Cと上記親油性乳化剤の併用効果により、親油性乳化剤の配合量を比較的に低く設定することができて、起泡済み水中油型乳化物の口溶けを向上させることができる。
起泡性水中油型乳化物に使用する油脂が油脂Dである場合、上記親油性乳化剤の配合量は、0.1〜2重量%であるのが好ましく、最も好ましくは0.1〜0.5重量%である。油脂Dと上記親油性乳化剤の併用効果により、やはり親油性乳化剤の配合量を比較的に低く設定することができて、起泡済み水中油型乳化物の口溶けを向上させることができる。
上記親油性乳化剤の炭素数20〜24の飽和脂肪酸としては、炭素数20のアラキン酸または22のべヘン酸が好ましく、特にべヘン酸が望ましい。なお、主要構成脂肪酸残基とは、全構成脂肪酸中の炭素数20〜24の飽和脂肪酸含有量が、50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上であることを意味する。また、上記親油性乳化剤のHLBは5以下であるのが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物には、常温乳化安定性と常温起泡性を付与するために、乳化剤として安定化乳化剤と解乳化剤を含有させるのが好ましく、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、(X÷Y)の値が10以上かつXとYの合計量が0.1〜3重量%とするのが好ましい。
前記(X÷Y)の値は、より好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上であることが好ましい。(X÷Y)の値が10未満であると、常温乳化安定性が低下する傾向にある。また、前記のXとYの合計量は、より好ましくは0.3〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1重量%が好ましい。XとYの合計量が、0.1重量%未満であると、常温乳化安定性が低下する傾向にある。逆に、3重量%を超えると、起泡済み水中油型乳化物の口溶けと風味が低下する傾向にある。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用することができる安定乳化剤は、親油基において、全構成脂肪酸中の95重量%以上が飽和脂肪酸であり、モノグリセリン飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコール飽和脂肪酸エステル及び有機酸飽和脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、好ましくはモノグリセリン飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、更に好ましくは、ショ糖飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン飽和脂肪酸エステルから選択される1種又は2種の乳化剤を例示することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用することができる解乳化剤は、親油基において、全構成脂肪酸中の60重量%以上が不飽和脂肪酸であり、モノグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコール不飽和脂肪酸エステル、有機酸不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、好ましくはモノグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチン及び卵黄レシチンから選択される1種又は2種以上の乳化剤であり、更に好ましくは、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、大豆レシチンから選択される1種又は2種の乳化剤を例示することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物に使用することができる糖類は、澱粉分解物、少糖類、ニ糖類、単糖類、糖アルコールから選択される1種または2種以上であり、糖類の起泡性水中油型乳化物に対する配合量を5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。糖類配合量が5重量%未満であると、常温乳化安定性と常温起泡性が低下する傾向にある。逆に、25重量%を超えると、起泡性水中油型乳化物の粘度が高くなり、甘味が強くなりすぎるため、好ましくない。
上記糖類としては、グルコース、スクロース、フラクトース、デキストロース、トレハロース、ポリデキストロース、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ラクチトール、ソルビトールなどが例示できるが、より自然な甘味とするためにスクロースの利用がより好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂分が10〜30重量%であるのが好ましく、より好ましくは12〜29重量%であり、さらに好ましくは15〜28重量%である。油脂分が10%未満であると、起泡にかかる時間が延びる上、満足な保形性が得られない。油脂分が30重量%を超えると、やや油っぽい食感になる傾向がある。
本発明の起泡性水中油型乳化物は、固形分が30〜50重量%であるのが好ましい。固形分とは、油脂及び油脂以外の無脂固形分の合計であり、無脂固形分としては、糖類、増粘多糖類、蛋白質、植物繊維、各種塩類、香料着色料、保存料等が例示できる。固形分が、30重量%未満であると、常温乳化安定性と常温起泡性が低下する傾向にある。逆に、50重量%を超えると、起泡性水中油型乳化物の粘度が高くなり、常温乳化安定性と起泡済み水中油型乳化物の風味が低下する傾向にある。
本発明においては、起泡性水中油型乳化物の常温乳化安定性と常温起泡性を妨げない範囲で、上記の増粘多糖類、蛋白質、植物繊維、各種塩類、香料着色料、保存料を適宜使用することができる。
増粘多糖類としては、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、サクシノグリカン、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を使用することができるが、好ましくはジェランガム、キサンタンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、サクシノグリン、水溶性大豆多糖類、カラギーナン及びタマリンド種子ガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を使用するのが好ましい。
蛋白質としては、乳蛋白質を含有する乳原料、植物性蛋白質を含有する植物性原料のいずれも使用できる。乳蛋白質を含有する乳原料としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白、酸カゼイン、レンネットカゼイン、若しくはカゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム等のカゼイン類、またはトータルミルクプロテインが例示できる。植物性原料としては、濃縮大豆蛋白質、分離大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、小麦蛋白質などが例示できる。
食物繊維としては、各種セルロース類、イヌリンが例示でき、これらの単独または2種以上を混合使用することができる。また、塩類としては、食塩、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を単独又は2種以上混合使用することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造法としては、一般的なクリーム類を製造する要領で行うことができる。
具体的には油脂分、安定化乳化剤、解乳化剤及び水を主要原料と、これらの原料を混合して、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し均質化処理し冷却することにより得ることができる。均質化処理は前均質化、後均質化のどちらか一方でも、両方を組み合わせた2段均質化でも良い。起泡性水中油型乳化物の保存性の点で滅菌処理することが好ましい。
滅菌処理には、間接加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV株式会社製)、CP−UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。
また、直接加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
上記滅菌処理後の起泡性水中油型乳化物は、液状の状態で無菌的にテトラパックやショーリーパックに充填することにより、無菌充填商品として冷凍温度、冷蔵温度、常温で優れた乳化安定性を有するものである。特に、20〜40℃のような温度域で常温流通可能な商品として市場に供することができる。なお、本発明の無菌充填された起泡性水中油型乳化物は、冷凍温度〜30℃の保管で12ヶ月、40℃の保管で6ヶ月の保存可能な乳化安定性と保存安定性を有するものである。
本発明の起泡性水中油型乳化物を起泡させて起泡済み水中油型乳化物を得る方法としては、以下の手順が例示できる。
起泡性水中油型乳化物の保管温度が冷蔵温度〜30℃の場合、そのままの品温で縦型ミキサーや連続ミキサーを含む起泡装置を用いて起泡することができる。起泡性水中油型乳化物の保管温度が30〜40℃である場合、起泡作業前に品温を冷蔵温度〜30℃まで冷却することにより起泡することができる。冷却は、氷水浸漬、水浸漬、空気冷却のいずれも採用することができる。なお、冷凍保管の場合は、解凍後に品温を冷蔵温度〜30℃に温調することにより起泡することができる。なお、所望により起泡前に糖類、風味材、香料、色素などを添加、混合してから起泡することもできる。
本発明の起泡性水中油型乳化物を起泡させた起泡済み水中油型乳化物のオーバーラン:(起泡前比重/起泡後比重)×100−100 は、概ね100〜500%である。オーバーランは起泡性水中油型乳化物の保管温度、起泡前の品温、起泡作業環境温度、起泡装置に影響されてオーバーラン値が上下する。例えば、保管温度と起泡温度が5〜25℃と低い場合は、オーバーランは300〜500%と高くなる傾向がある。保管温度が30〜40℃で起泡温度が25〜30℃と高い場合は、オーバーランは100〜200%と低くなる傾向がある。オーバーランが高い場合には食感が軽くなるが、風味の乏しいものになり、オーバーランが低い場合には風味は強くなるが、食感がやや重くなる傾向にある。従い、所望の食感、風味の起泡済み水中油型乳化物を得るためには、起泡性水中油型乳化物の保管温度、起泡前の品温、起泡作業環境温度、起泡装置を適宜選択すればよい。
本発明の起泡済み水中油型乳化物は、洋菓子、パン、調理において、外観及び風味を向上させて嗜好性をより高めるために、トッピング材、コーチング材、フィリング材、サンド材として幅広く利用することができる。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。
なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
また、結果については以下の方法で評価した。
A.水中油型乳化物の安定性の評価方法
(1)粘度:
水中油型乳化物の粘度の測定は、B型粘度計(BROOKFIELD社製 MODEL LVDV−E)にて、No.62 スピンドル、60rpmの条件下で行った。
水中油型乳化物の品温は7℃にて測定した。
(2)ボテテスト:
100ml容ビーカーに、水中油型乳化物50gを入れ、20℃で2時間インキュベートし、その後、重さ7g、直径15mmの球状アルミナセラミックス製ボール4個を入れて、10分間、横型シェーカーを用い、振動させ、水中油型乳化物のボテの発生の有無を確認した。
B.水中油型乳化物を起泡させた場合の評価方法
(1)ホイップタイム:
水中油型乳化物500gをケンウッドミキサー(KENWOOD社製 MODEL Premier Major KMM770)スピード目盛6(300rpm)にてホイップし、最適起泡状態に達するまでの時間。
(2)オーバーラン:(起泡前比重/起泡後比重)×100−100
(3)保形性:
造花した起泡物を15℃で24時間保存した場合の美しさを調べる。
優れている順に、「A」、「B」、「C」の三段階にて評価をつけた。
(4)離水:
造花した起泡物を15℃で24時間保存した場合の美しさを調べる。
離水がない場合は「なし」、ある場合は「あり」の評価をつけた。
(5)風味・口溶け:
起泡した水中油型乳化物の風味・口溶けを以下の様にそれぞれ5段階で評価した。
風味;良い5〜1悪い
口溶け;良い5〜1悪い
実施例1
完全融解したパーム核硬化油(上昇融点40℃)23.5部と高エルシン酸菜種極度硬化油(C22含量52.3%、上昇融点62℃)2部の混合油に、ソルビタンステアリン酸エステル(HLB5.1)0.3部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水60.46部に、砂糖13部、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル(HLB14.9)0.5部、ステアロイル乳酸ナトリウム(HLB9.5)0.2部、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(HLB15.0)0.01部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し、その後無菌的に1リットル容積のテトラパックに充填して、実施例1に基づく水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物を35℃恒温槽中で7日間保管後、ケンウッドミキサーに500g計量し、冷水中で品温25℃まで冷却してから、上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
実施例2
実施例1において、パーム核硬化油(上昇融点40℃)23.5部を24.9部に、高エルシン酸菜種極度硬化油(上昇融点62℃)2部を0.6部に変更して、実施例1同様に実施例2に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例1同様に実施例2の起泡性水中油型乳化物を評価した。
実施例3
実施例1において、パーム核硬化油(上昇融点40℃)23.5部を22.5部に、高エルシン酸菜種極度硬化油(上昇融点62℃)2部を3部に変更して、実施例1同様に実施例3に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例1同様に実施例3の起泡性水中油型乳化物を評価した。
実施例4
実施例1において、水60.46部を63.46部に、砂糖13部を10部に変更して、実施例1同様に実施例4に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例1同様に実施例4の起泡性水中油型乳化物を評価した。
実施例5
実施例1において、水60.46部を53.46部に、砂糖13部を20部に変更して、実施例1同様に実施例5に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例1同様に実施例5の起泡性水中油型乳化物を評価した。
比較例1
実施例1において、パーム核硬化油(上昇融点40℃)23.5部を25.5部に、高エルシン酸菜種極度硬化油(上昇融点62℃)2部を無添加に変更して、実施例1同様に比較例1に基づく水中油型乳化物を得た。実施例1と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例1同様に比較例1の起泡性水中油型乳化物を評価した。
表1に、実施例1〜5及び比較例1〜2のテスト結果を示す。
表1
Figure 2019021615
表1に示すように、上昇融点40℃のラウリン系油脂である硬化パーム核油と炭素数22の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の10〜75重量%である高エルシン酸菜種極度硬化油の配合率が88〜98:2〜12に相当する、実施例1(92.2:7.8)、実施例2(97.6:2.4)、実施例3(88.2:11.8)では、いずれも優れた乳化安定性と35℃保存安定性を示し、25℃での常温起泡性も良好であった。上昇融点40℃のラウリン系油脂である硬化パーム核油だけを用いた比較例1では、乳化安定性不良であり、起泡性も評価不可であった。前記硬化パーム核油と前記高エルシン酸菜種極度硬化油の配合率が、84.3:15.7の比較例2では、乳化安定性、常温起泡性とも良好であったが、起泡済み水中油型乳化物の口溶けがやや不良であった。
実施例6
完全融解したパーム核硬化油(上昇融点40℃)25.5部に、ソルビタンステアリン酸エステル(HLB5.1)0.3部、ポリグリセリンべヘン酸エステル(全構成脂肪酸中のC22含量70%、HLB4.1)0.5部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水59.96部に、砂糖13部、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル(HLB14.9)0.5部、ステアロイル乳酸ナトリウム0.2部、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(HLB15.0)0.01部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し、その後無菌的に1リットル容積のテトラパックに充填して、実施例6に基づく水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物を35℃恒温槽中で7日間保管後、ケンウッドミキサーに500g計量し、冷水中で品温25℃まで冷却してから、上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
実施例7
実施例6において、ポリグリセリンべヘン酸エステル0.5部を、ショ糖べヘン酸エステル(全構成脂肪酸中のC22含量70%、HLB4.0)に変更して、実施例6同様に実施例7に基づく水中油型乳化物を得た。実施例6と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例6同様に実施例7の起泡性水中油型乳化物を評価した。
実施例8
実施例6において、パーム核硬化油(上昇融点40℃)25.5部をパーム核硬化油(上昇融点40℃)25.2部と高エルシン酸菜種極度硬化油(C22含量52.3%、上昇融点62℃)0.3部に変更し、ポリグリセリンべヘン酸エステル0.5部を0.2部に変更して、実施例6同様に実施例8に基づく水中油型乳化物を得た。実施例6と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例6同様に実施例8の起泡性水中油型乳化物を評価した。
実施例9
実施例6において、パーム核硬化油(上昇融点40℃)25.5部を、パーム核分別高融点部極度硬化油(上昇融点35℃)15部とパーム核硬化油(上昇融点38℃)10.5部に変更して、実施例6同様に実施例9に基づく水中油型乳化物を得た。実施例6と同条件で保管後、同条件で冷却を行い、実施例6同様に実施例9の起泡性水中油型乳化物を評価した。
表2に、実施例6〜9のテスト結果を示す。

表2
Figure 2019021615
パーム核硬化油(上昇融点40℃)だけを油脂として用いて、新油性乳化剤として主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸であるポリグリセリンべヘン酸エステル、またはショ糖べヘン酸エステルを配合した実施例6及び7は、いずれも優れた乳化安定性と35℃保存安定性を示し、25℃での常温起泡性も良好であった。油脂として、パーム核硬化油(上昇融点40℃)25.0部と高エルシン酸菜種極度硬化油0.5部を用い、さらにポリグリセリンべヘン酸エステルを配合した実施例8は、いずれも優れた乳化安定性と35℃保存安定性を示し、25℃での常温起泡性も良好であり、起泡済み水中油型乳化物の口溶けも非常に良好であった。油脂として、パーム核分別高融点部極度硬化油(上昇融点35℃)15部とパーム核硬化油(上昇融点38℃)10.5部を用いた実施例9も、乳化安定性、常温起泡性が良好で、起泡済み水中油型乳化物の口溶けも非常に良好であった。
実施例10
完全融解したパーム核硬化油(上昇融点40℃)23.5部と高エルシン酸菜種極度硬化油(C22含量52.3%、上昇融点62℃)2部の混合油に、ソルビタンステアリン酸エステル(HLB5.1)0.3部、大豆レシチン0.03部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水61.4部に、砂糖13部、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル(HLB14.9)0.5部、カゼインナトリウム0.3部、ステアロイル乳酸ナトリウム0.1部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.3部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1部、食塩0.1部及びミルク香料0.1部を添加混合溶解し水相とする。上記油相と水相を60℃、30分間予備乳化タンクで高速攪拌により予備乳化を行った後、1MPaの均質化圧力で均質化して、プレート式熱交換機にて78℃まで予備加熱を行い、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)(直接蒸気吹き込み方式)によって、144℃まで加熱した。さらに殺菌保持チューブであるホールディングチューブにて144℃で4秒間保持し、蒸発冷却し78℃まで冷却した。その後、12MPaの均質化圧力で再均質化して、再びプレート冷却装置にて5℃に冷却し、その後無菌的に1リットル容積のテトラパックに充填して、実施例10に基づく水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物を5℃恒温槽中で7日間保管後、ケンウッドミキサーに500g計量し、温水で品温25℃まで加温してから、実施例1同様のホイップ方法にてホイップし、実施例1同様の方法に従い粘度、ボテテスト、ホイップタイム、オーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの風味評価を行った。
実施例11
実施例10において、5℃恒温槽中で7日間保管を30℃恒温槽中で7日間保管に変更し、起泡前に氷水を用いて5℃まで冷却してから、実施例1同様のホイップとホイップしたクリームの評価を行った。
実施例12
実施例11において、起泡前に氷水を用いて5℃まで冷却を、冷水を用いて25℃まで冷却に変更して、実施例1同様のホイップとホイップしたクリームの評価を行った。
実施例13
実施例11において、起泡前に氷水を用いて5℃まで冷却を、冷却を行わずに30℃の品温のままで、実施例1同様のホイップとホイップしたクリームの評価を行った。
実施例14
実施例10において、5℃恒温槽中で7日間保管を35℃恒温槽中で7日間保管に変更し、起泡前に氷水を用いて25℃まで冷却してから、実施例1同様のホイップとホイップしたクリームの評価を行った。
実施例15
実施例10において、5℃恒温槽中で7日間保管を40℃恒温槽中で7日間保管に変更し、起泡前に氷水を用いて25℃まで冷却してから、実施例1同様のホイップとホイップしたクリームの評価を行った。
比較例3
実施例14において、起泡前に氷水を用いて25℃まで冷却を、起泡前に氷水を用いて30℃まで冷却に変更して、実施例1同様のホイップとホイップしたクリームの評価を行った。
表3に、実施例10〜15と比較例3のテスト結果を示す。
表3
Figure 2019021615
実施例10〜15の、起泡前保管温度が5℃〜40℃の起泡性水中油型乳化物を、起泡前に5〜30℃に温調することにより、いずれも問題なく起泡可能であり、起泡済み水中油型乳化物は保形性、離水耐性、風味、口溶けとも良好であった。但し、起泡前保管温度が35℃の起泡性水中油型乳化物を起泡前に30℃に温調した比較例3では、起泡不可であった。この結果と実施例14及び15の結果から、起泡前保管温度が35〜40℃である場合は、起泡前に25℃以下に冷却することにより、起泡可能になることが認められた。
本発明により、20〜40℃のような常温保管で乳化安定であり、かつ常温保管後に冷蔵温度〜常温、例えば3〜30℃で起泡可能な水中油型乳化物、及びその起泡済み水中油型乳化物の製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 油脂、乳化剤、糖類、及び水を含有する起泡性水中油型乳化物において、
    下記i)、ii)、iii)またはiv)から選択されるいずれか1を満足する起泡性水中油型乳化物。
    i)油脂が、上昇融点35〜42℃のラウリン系油脂である油脂A88〜98重量%と炭素数20〜24の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の10〜75重量%である油脂B2〜12重量%からなる油脂Cである。
    ii)油脂が油脂Aであり、親油性乳化剤として、主要構成脂肪酸残基が炭素数20〜24の飽和脂肪酸であるグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの1種または2種以上を含有する。
    iii)油脂が油脂Cであり、さらにii)記載の親油性乳化剤を含有する。
    iv)油脂が、油脂Aが98重量%を超え100重量%未満、油脂Bが0重量%を超え2重量%未満からなる油脂Dであり、さらにii)記載の親油性乳化剤を含有する。
  2. 前記油脂Aが、パーム核油、ヤシ油、ババス油の分別油、水素添加油、エステル交換油から選択される1種または2種以上である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  3. 前記油脂Bが、炭素数22の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の20〜60重量%である菜種極度硬化油である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  4. 請求項1記載の親油性乳化剤の含有量が起泡性水中油型乳化物に対して0.1〜3重量%である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  5. 乳化剤として、さらに安定化乳化剤と解乳化剤を含有し、安定化乳化剤の含有量をX重量%、解乳化剤の含有量をY重量%とした場合、(X÷Y)の値が10以上かつXとYの合計量が0.1〜3重量%である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  6. 糖類として、澱粉分解物、少糖類、ニ糖類、単糖類、糖アルコールから選択される1種または2種以上を5〜25重量%含有する、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  7. 油脂分が10〜30重量%である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  8. 全固形分が30〜50重量%である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物。
  9. 請求項1記載の起泡性水中油型乳化物を20〜40℃保管後、3〜30℃に温調してから起泡することを特徴とする起泡済み水中油型乳化物の製造方法。
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