JP2016032438A - 水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents

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和則 尾上
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Abstract

【課題】油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物において、簡便な方法で乳味感及びコク味に優れた風味良好な比較的高油分の水中油型乳化物の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を原料とする水中油型乳化物の製造において、乳蛋白質を除く油脂、乳化剤及び水を用いて油分50〜85重量%の予備乳化液(A)を調製し、該予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜に通過させて得られた予備乳化液(A’)と乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)とを撹拌混合して本乳化液(C)を調製し、その後に直接加熱殺菌及び間接冷却を行い水中油型乳化物(D)を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物の製造方法に関し、更に詳しくは油分30〜50重量%と比較的高油分の風味に優れた水中油型乳化物の製造方法に関する。
洋菓子、デザート類等の嗜好性を高めるために、水中油型乳化物が広く使用されている。具体的には、水中油型乳化物の起泡物(ホイップドクリーム)をプリン、ゼリー等のデザート類の上にトッピングしたり、ケーキ等のデコレーションやサンドする例や、プリン、ババロア、ゼリー等の練り込みに使用する例が挙げられる。
水中油型乳化物には、生乳、濃縮乳、生クリーム、コンパウンドクリーム、植物性油脂と生乳及び生クリーム以外の乳製品由来の無脂乳固形分を主原料とする合成クリーム、植物性油脂と植物性蛋白を主原料とする植物性クリーム等がある。これらの水中油型乳化物は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含むものであり、主に冷蔵流通、冷蔵保管されて使用される。その製造工程は、原料調合、予備乳化、予備加熱、加熱殺菌、冷却及び無菌充填を経るのが一般的であり、かかる工程を経ることにより保存性に優れた水中油型乳化物が得られている。
上記水中油型乳化物の製造において、それぞれの工程が最終的に得られる水中油型乳化物の風味に大きく影響するため、それぞれの工程は目的とする水中油型乳化物に応じて適宜設定する必要がある。
予備乳化工程は原料調合後に予備的に乳化させる工程であり、油相と水相を撹拌、混合することにより予備乳化液を調製する。予備加熱工程は、予備乳化液を70〜90℃程度まで直接的にまたは間接的に加熱する工程であり、かかる加熱処理により次の加熱殺菌工程の負荷を抑え、短時間で効率的な加熱殺菌を可能とするものである。
加熱殺菌法としては、直接加熱殺菌法式と間接殺菌法式があるが、前者は比較的賞味期限の長い製品製造に利用され、後者は比較的賞味期限の短い製品製造に利用される場合が多い。直接加熱殺菌法式は、直接蒸気を作用させ、数秒間という短時間で120〜150℃という高温に加熱する方法であり、製品の加熱によるダメージが少ない利点があるため、フレッシュ感に優れた製品製造が可能であるが、蒸気加熱に応じて水分増加が避けられない方法である。一方、間接加熱方式は、水分増加はないものの、長期保管を可能とするような十分な加熱殺菌とするには加熱時間を数十秒以上と比較的長くする必要があることより、加熱風味が付きやすいという問題がある。
加熱殺菌後の冷却方式としては、蒸発冷却方式と間接冷却方式がある。蒸発冷却方式は、真空蒸発により冷却するとともに水分を蒸発させる方式であり、蒸気加熱で増加した水分を真空蒸発で蒸発させるため水分調整が容易である利点があるが、真空蒸発時に水分と併せて原材料の香気成分や揮発性風味成分が除去されるため、製品の乳味感やコク味感が低下してしまう傾向にある。間接冷却方式では、上記の香気成分や揮発性風味成分が除去される問題はないが、十分な冷却能力のあるチューブやプレートを使用する必要がある。
上記のような水中油型乳化物製造の各工程を適宜、組み合わせることにより、乳風味に優れた各種の水中油型乳化物の製造方法が提案されている。
特許文献1は、通電加熱により90〜140℃の予備加熱を行い、その後125〜150℃の加熱殺菌及び間接冷却を行う方法に関する。本方法によると、予備加熱段階での加熱ダメージやスケールの発生が防止できるとともに、蒸気加熱による水分増加を最小限にできること、間接冷却のため香気成分や揮発風味成分が除去されないという利点があるが、通電加熱装置を付設する必要があり、実用化は容易でない方法であった。
特許文献2には、予備加熱温度を85℃以上とすることにより、125〜150℃の直接蒸気加熱殺菌での増加水分量を抑制し、加熱殺菌後の冷却に蒸発冷却工程を含まない方法を提案されている。本方法は比較的低油分の水中油型乳化物製造には優れた方法と考えられるが、予備加熱時の加熱劣化が懸念されることと比較的高油分の水中油型乳化物調製には水分調整が難しいという問題があった。
特許文献3は、予備乳化工程の後に脱泡処理を行い、その後に蒸気加熱工程及び間接冷却を行う水中油型乳化油脂組成物の製造方法である。本方法によると、風味豊かでフレッシュ感があり、製品容器上部に気泡が浮上・付着することが無く、長期保存が可能な水中油型乳化油脂組成物が得られるが、脱泡処理による香気成分や揮発風味成分の飛散は避けられず、乳風味がやや低下するという問題があった。
本出願人による特願2013−188462号は、予備乳化工程温度を50〜70℃、かつ予備加熱温度を50〜80℃とすることを特徴とする水中油型乳化物の製造方法である。本方法では、フレッシュ感のある乳風味が得られる利点はあるが、加熱殺菌工程における水分増加が相対的に多くなる問題があり、比較的高油分の水中油型乳化物の製造に適用するのは困難であった。
また、本出願人による特願2014−14006号は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を原料とする水中油型乳化物の製造において、乳蛋白質を除く油脂、乳化剤及び水を用いて予備乳化液を調製し、その後に乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相を添加して本乳化液を調製し、その後、殺菌又は滅菌処理して水中油型乳化物を得る方法に関する。本方法によると、乳蛋白質含有原材料の使用量が少なくても、特に生クリーム配合量が少なくても、乳味感に非常に優れ、生クリームのような程良い脂肪感を持った水中油型乳化物を得ることが可能であり、特に、植物性油脂と生乳及び生クリーム以外の乳製品由来の無脂乳固形分を主原料とする合成クリーム及び該合成クリームと生クリームを混合したコンパウンドクリームの乳味感の向上が可能であったが、やはり比較的高油分の水中油型乳化物の製造に適用するのは困難であった。すなわち、乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相を予備乳化液に添加するため、予備乳化液がかなりの高油分となり安定な水中油型の予備乳化物の調製が困難であること、さらに加熱殺菌後に間接冷却を採用すると加熱殺菌工程における水分増加のため最終油分の調整に大きな制限が出て実質的に比較的高油分の水中油型乳化物の調製が困難であった。
特開2007−209340号公報 特開2009−17874号公報 特開2012−200176号公報
本発明の目的は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物において、簡便な方法で乳味感及びコク味に優れた風味良好な比較的高油分の水中油型乳化物の製造方法を提供することにある。
本出願人は、さらに乳味感及びコク味に優れた風味良好な比較的高油分の水中油型乳化物の製造方法を追求する中で、乳蛋白質を除く油脂、乳化剤及び水を用いて高油分の予備乳化液(A)を調製し、該予備乳化液(A)を微細細孔を有する多孔質膜に通過させた予備乳化液(A’)と、乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)を撹拌混合して調製した本乳化液(C)を直接加熱殺菌後、間接冷却を行うことにより、乳味感の優れた風味良好な比較的高油分の水中油型乳化物の製造が可能であることを見い出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1) 油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を原料とする水中油型乳化物の製造において、乳蛋白質を除く油脂、乳化剤及び水を用いて油分50〜85重量%の予備乳化液(A)を調製し、該予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜に通過させて得られた予備乳化液(A’)と乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)を撹拌混合して本乳化液(C)を調製し、その後に直接加熱殺菌及び間接冷却を行うことを特徴とする水中油型乳化物(D)の製造方法である。
(2)予備乳化液(A’)と水相(B)の撹拌混合を、水相(B)に対して予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜を通して圧入して行う、(1)記載の水中油型乳化物(D)の製造方法である。
(3)予備乳化液(A)が水中油型または油中水型の乳化物である(1)または(2)に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法である。
(4)水中油型乳化物(D)の油分が30〜50重量%である(1)〜(3)のいずれか1に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法である。
(5)微粒化処理が、均質圧0.5〜50MPaの高圧ホモジナイザー処理または周速25m/s以上の高周速撹拌のいずれかである(1)〜(4)のいずれか1に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法である。
(6)乳蛋白質が脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズホエーパウダーから選択されるいずれかの1種以上由来である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法である。
(7)予備乳化液(A)、予備乳化液(A’)、水相(B)及び本乳化液(C)の調製温度が50〜70℃であり、加熱殺菌前の予備加熱工程温度が50〜80℃である、(1)〜(6)のいずれか1に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法である。
本発明により、乳蛋白質含有原材料の使用量が少なくても、特に生クリーム配合量が少なくても、乳味感に非常に優れ、生クリームのような程良い脂肪感を持った水中油型乳化物を得ることが可能となった。特に、油分が30〜50重量%と比較的高油分の水中油型乳化物であり、植物性油脂と生乳及び生クリーム以外の乳製品由来の無脂乳固形分を主原料とする合成クリーム及び該合成クリームと生クリームを混合したコンパウンドクリームの乳味感及びコク味の向上が可能となった。
本発明の水中油型乳化物の製造方法は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を原料とする水中油型乳化物の製造において、乳蛋白質を除く油脂、乳化剤及び水を用いて油分50〜85重量%の予備乳化液(A)を調製する工程、乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)を調製する工程、該予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜を通過させて予備乳化液(A’)を調製する工程、予備乳化液(A’)を水相(B)と撹拌混合して本乳化液(C)を調製する工程、本乳化液(C)を予備加熱する工程、直接加熱殺菌工程、間接冷却工程、エージング工程からなる。
予備乳化液(A)を調製する工程は、乳蛋白質含有原材料を除く油脂、糖類、水、乳化剤、増粘剤、塩類、色素、香料などの各種添加剤を加熱、撹拌しながら添加、混合し予備乳化する工程である。混合機としては、バッチ式撹拌装置としてプロペラなどの撹拌羽根を有する攪拌機、ラボリュ―ション(プライミクス社)、TKホモミキサー(プライミクス社)、クレアミックス(エム・テクニック社)が例示できる。また、連続式撹拌装置としては、パイプラインミキサー(プライミクス社)、コロイドミル(イワキ社)、インラインミキサー(シルバーソン マシーンズ社)が例示できる。予備乳化液(A)の調製にはバッチ式または連続式のいずれも使用できるが、併用してもよい。バッチ式では、プロペラなどの撹拌羽根を有する攪拌機を保持する各種調合タンクの使用が簡便である。本発明における予備乳化液(A)の油分は、50〜85重量%である。予備乳化液(A)の油分を前記とすることにより、乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)を添加し、しかも直接蒸気加熱殺菌による水分増加があって、しかも蒸発冷却工程を含まない間接冷却であっても、所望の比較的高油分の水中油型乳化物、例えば油分30〜50重量%のものを得ることができる。予備乳化液の油分が50重量%未満であると、所望の比較的高油分の水中油型乳化物の調製が困難になる。逆に、油分が85重量%を超えると、一部に二重乳化や乳化型の転相が起こる恐れがあるため、好ましくない。
乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)を調製する工程は、脱脂乳、脱脂濃縮乳または脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズホエーパウダーから選択されるいずれかの1種以上の水溶液を、高圧ホモジナイザー処理または高周速撹拌処理による乳固形分の微粒化をする工程である。脱脂乳及び脱脂濃縮乳の場合はそのまま、または水で希釈して微粒化する。脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズホエーパウダーの場合は水に分散、溶解してから微粒化処理に供すればよい。乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)中の固形分含量は1〜30重量%であるのが好ましく、さらに3〜27重量%であるのが好ましい。1重量%未満では乳蛋白質含有量が低すぎて、十分な乳蛋白質を含有する水中油型乳化物を製造することが困難になる。逆に、30重量%を超えると粘度が上昇し微粒化処理が困難になるため好ましくない。
上記微粒化処理には、高圧ホモジナイザーまたは高周速撹拌を使用する。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の市販品が例示でき、特にマントンゴーリンが好ましい。高圧ホモジナイザーの均質圧は、0.5〜50MPaであるのが好ましく、さらに好ましくは1〜30MPaである。均質圧が下限未満であると、水中油型乳化物の乳味感の発現が弱くなる傾向がある。上限を超える場合は、上限以上の乳味感の発現が得られない傾向にある。
高周速撹拌による微粒化処理には、高周速の回転式乳化機を使用する。高周速回転式乳化機としては、ラボリュ―ション(プライムミクス社)、キャビトロン(キャビトロン社)、クレアミックス(エム・テクニック社)、インライン型高せん断分散装置(IKA社)、ハイシェアミキサー(チャールズ ロスソン社)などが例示できる。高周速撹拌の周速は、25m/s以上であるのが好ましく、さらに好ましくは25〜50m/s、最も好ましくは30〜45m/sである。周速が25m/s未満であると、水中油型乳化物の乳味感の発現が弱くなる傾向がある。
上記微粒化処理後の水相(B)のメジアン径は50μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは10μm以下、最も好ましくは2μm以下である。メジアン径が50μmを超えると、水中油型乳化物の乳味感の発現が弱くなる傾向があり好ましくない。メジアン径を2μm以下とするためには、特に高圧ホモジナイザーによる微粒化処理を行うのが望ましい。
予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜に通過させて予備乳化液(A’)を調製する工程は、10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜を有する膜乳化機を用いて、ポンプや窒素ガスを用いて0.1〜10MPaの圧力をかけて予備乳化液(A)を親水性多孔質膜に通過させて予備乳化液(A’)を得る工程である。油分が50〜85重量%の高油分乳化物の場合、水中油型乳化物を得るのが容易でなく、転相して油中水型乳化物になる傾向があるが、かかる高油分の乳化物を親水性多孔質膜に通過させることにより比較的安定な高油分水中油型乳化物とすることができる。親水性多孔質膜に通過させる前の高油分乳化物は油中水型または水中油型のいずれであってもよい。予備乳化液(A)の親水性多孔質膜通過速度には特に制限がないが、1〜1,000リットル/m2・分の通過速度により比較的安定な高油分水中油型乳化物を得ることができる。
本発明に用いる微細細孔を有する親水性多孔質膜としては、ガラス製、セラミック製、ニッケル製等の公知の多孔質膜を使用することができるが、例えばシラス多孔質ガラス製の多孔質膜(以下SPG膜)が好適に利用できる。多孔質膜の平均微細細孔径は、安定な水中油型エマルジョンを得るために10μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5μmである。平均微細細孔径が10μmを超えると、本乳化液(C)の乳化安定性が低下する傾向にある。本発明に用いる膜乳化装置には特に制限がないが、市販のモジュール式膜乳化装置、例えばSPGテクノ社製のSPG膜乳化機や特開2011−115730号公報記載の膜乳化装置が好適に利用できる。
本乳化液(C)を調製する工程は、予備乳化液(A’)と水相(B)をホモミキサー及び/またはホモジナイザーを用いて、撹拌混合及び/または均質化する工程であり、かかる工程を経ることにより安定な水中油型乳化物を得ることができる。また、予備乳化液(A’)と水相(B)の撹拌混合は、膜乳化装置を用いて親水性多孔質膜通過による予備乳化液(A’)の調製と水相(B)の撹拌混合を同時に行うこともできる。すなわち、水相(B)に対して予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜を通して圧入することにより、簡便に本乳化液(C)を調製することができる。特に、予備乳化液(A)の乳化剤含有量が低い場合や乳化剤無添加の場合、さらに目的とする水中油型乳化物が解乳化剤を含有する起泡性乳化物の場合においては、予備乳化液(A’)の乳化安定性はかなり弱い傾向にあるため、前記の水相(B)に対して予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜を通して圧入する方法の利用が好ましい。
加熱殺菌前に本乳化液(C)を予備加熱する工程は、加熱殺菌工程に供する予備乳化液を予備加熱し、加熱殺菌工程の熱効率を高めるために行われる。本発明における予備加熱温度は50〜80℃が好ましく、さらに好ましくは50〜70℃、最も好ましくは50〜65℃である。予備加熱温度が50℃未満であると、高融点の油脂や添加剤が完全融解せずまたは再固化による不溶化が起こる恐れがあり、予備乳化が不完全になるため好ましくない。逆に80℃を超えると、最終的に得られる水中油型乳化物の風味低下、特に乳味感の低下が顕著になるため好ましくない。予備加熱工程は、本乳化液(C)を調合タンク中で撹拌しながら熱水、温水、蒸気などの熱媒体で加熱するバッチ加熱でもよいし、連続的に加熱するプレート式などの間接加熱装置による連続加熱でもよい。
加熱殺菌工程は本乳化液(C)を無菌化するための加熱殺菌工程であり、加熱殺菌工程での水中油型乳化物の品温が90〜150℃の範囲で加熱殺菌されるのが好ましく、より好ましくは110℃〜150℃の範囲であり、更に好ましくは120℃〜150℃の範囲である。加熱殺菌方式には間接加熱方式と直接加熱方式の主に2種類があるが、本発明では直接加熱方式であるのが好ましい。直接加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
本発明の加熱殺菌後の冷却工程は、間接冷却であるのが好ましい。間接冷却方式としては、APVプレート式UHT処理装置(APV株式会社製)、CP-UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できる。加熱殺菌後の冷却を間接冷却とすることにより、蒸発冷却で問題になる水中油型乳化物中の香気成分などの風味成分の飛散がなくなるため、乳風味豊かな水中油型乳化物を得ることができる。
本発明の水中油型乳化物(D)の油脂分は、30〜50重量%であり、より好ましくは35〜45重量%である。油脂分が多すぎると水中油型乳化物又は起泡性水中油型乳化物がボテ(可塑化状態)易くなるため好ましくない。逆に、下限未満であると十分な水分を配合できるため、本発明の膜乳化による本乳化液(C)の調製方法を用いる必然性が低くなる。
本発明の水中油型乳化物(D)に使用する油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂(融点15〜40℃程度のもの)が例示できる。
本発明の水中油型乳化物(D)に使用する乳蛋白質含有原材料としては、生乳、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白、酸カゼイン、レンネットカゼイン、若しくはカゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム等のカゼイン類、またはトータルミルクプロテイン乳が例示できる。上記の乳蛋白質含有原材料の中でも、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズホエーパウダーから選択されるいずれかの1種以上であるのが、使い勝手の良さと風味の良さの点で、より好ましい。
本発明の水中油型乳化物(D)の乳蛋白質含有原材料に由来する乳蛋白質含有量は、0.2〜7重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜6重量%であり、更に好ましくは0.3〜5重量%である。乳蛋白質含有量が少なすぎると、水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなるため好ましくない。逆に、多すぎると殺菌工程で風味劣化が起こりやすくなるため好ましくない。
本発明の水中油型乳化物(D)は、必要により糖類を含有させることができる。糖類としては、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、転化糖、トレハロース、糖アルコール、コーンシロップ、水あめ、デキストリンが例示できる。糖アルコールとしてはエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の単糖アルコール、イソマルチトール、マルチトール、ラクチトール等の2糖アルコール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の3糖アルコール、オリゴ糖アルコール等の4糖以上の糖アルコール、還元澱粉糖化物、還元澱粉分解物が例示できる。乳蛋白質含有原材料中に存在する乳糖も、本発明の糖類に含まれる。
本発明の水中油型乳化物(D)は、用途に応じて乳化剤、増粘多糖類、塩類を含有させるのが好ましい。乳化剤としては、例えば、レシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の合成乳化剤が例示でき、これらの乳化剤の中から1種又は2種以上を選択して適宜使用することができる。増粘多糖類としては、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、カラギーナン、タマリンド種子ガム及びタラガムから選択される1種又は2種以上の増粘多糖類を選択して適宜使用することができる。また、塩類としては、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を1種又は2種以上混合使用することができる。その他、所望により、香料、色素、保存料等を含有させることができる。なお、上記の乳蛋白質含有原材料以外の原材料、添加物はいずれも予備乳化液(A)調製時に添加、混合すればよい。
本発明の水中油型乳化物(D)は、非常に乳味感及びコク味に優れた風味良好な水中油型乳化物であり、各種洋菓子、デザート類等の嗜好性を高めるための起泡性水中油型乳化物(ホイップクリーム)や練り込み用水中油型乳化物、コーヒーホワイトナー、調理用水中油型乳化物などに幅広く利用することができる。
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。また、結果については以下の方法で評価した。
<起泡性水中油型乳化物の評価方法>
(1)ホイップタイム:品温5℃の水中油型乳化物4Kgにグラニュー糖320g加えて20コートカントーミキサー(関東工業機械株式会社製)中高速にてホイップし、最適起泡状態に達するまでの時間
(2)オーバーラン:[(一定容積の水中油型乳化物重量)−(一定容積の起泡後の起泡物重量)]÷(一定容積の起泡後の起泡物重量)×100
(3)ホイップした水中油型乳化物の美味しさを評価した。風味は主に乳味感及びコク味についてパネラー10人により5段階で評価し、その平均値を風味スコアとした。
(乳味感)
5段階評価 5;乳味非常に良好 4;乳味良好 3;通常の風味 2;やや悪い風味 1;悪い風味
(コク味)
5段階評価 5;コク味非常に良好 4;コク味良好 3;コク味やや低い 2;わずかなコク味 1;コク味なし
<水相(B)のメジアン径測定方法>
レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2200)を用いて、水相(B)を蒸留水で測定可能範囲に希釈し測定した。
実施例1
<予備乳化液(A)の調製>
予備乳化タンクへの仕込み総重量40kgにて、油相、水相を調合し、予備乳化を行った。油相は、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム核硬化油(上昇融点34℃)10.5部、パーム核油(上昇融点28℃)8.5部及びパーム核油/パーム油=50/50のエステル交換油(上昇融点31℃)26.7部に対しレシチン0.25部、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、商品名ポエムO−80V)0.015部を添加混合溶解し油相を得た。
これとは別に水35.8部から直接加熱及び間接冷却に伴う水分増加量13部を減じた水22.8部に、蔗糖飽和脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.16部、ソルビタン飽和脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、商品名ポエムS−60V)0.13部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.06部、重曹0.02部を溶解し水相を調製した。
上記油相と水相を60℃で10分間、TKホモミキサー(プライムミクス社)を使用し、回転数8,000rpmで攪拌し、その後高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)を用いて3.5MPaで均質化して予備乳化し、油分66%の油中水型の予備乳化液(A)を得た。
<予備乳化液(A’)の調製>
平均微細細孔5.2μmの多孔質ガラス膜(商品名:MPG、伊勢化学工業株式会社製)を装着したMPGモジュールを用いて、予備乳化液(A)を2MP以下の圧力で多孔質ガラス膜を通過させ、水中油型の予備乳化液(A’)を得た。予備乳化液(A’)の平均粒子径は54μmであった。
<水相(B)の調製>
脱脂濃縮乳(四つ葉乳業(株)製)18.5部を高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)で15MPaで均質化して、微粒化処理を行い、水相(B)を得た。
<本乳化液(C)の調製>
水中油型の予備乳化液(A’)81.5部と水相(B)18.5部を60℃で10分間、TKホモミキサー(プライムミクス社)を使用し、回転数8,000rpmで攪拌し、その後高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)を用いて2MPaで均質化し本乳化を行い、本乳化液(C)を得た。本乳化液(C)の高圧ホモジナイザー通過前の平均粒子径は20μmであり、油分は52.5%であった。
<水中油型乳化物(D)の調製>
本乳化液(C)をプレート式間接加熱装置(岩井機械工業(株)製)で連続的に78℃まで予備加熱してから、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)に供し、連続的に144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、6MPa の均質化圧力で均質化して、プレート式間接冷却装置(岩井機械工業(株)製)を用いて連続的に10℃まで冷却した。冷却後、5℃で約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物(D)を得た。超高温滅菌装置での蒸気加熱による水分増加量は13部であり、得られた水中油型乳化物の油分は45.7%であった。
<水中油型乳化物(D)の品質評価>
この起泡性水中油型乳化物4kgに320gのグラニュー糖を加えて、20コートミキサーの3速にて最適起泡状態に達するまでホイップし、オーバーランの測定を行った。またホイップしたクリームの風味、口溶けの評価を行った。結果を表1に纏めた。
比較例1
実施例1において、水相(B)に使用した脱脂濃縮乳18.5部を、実施例1の予備乳化液(A)の水相に配合し、実施例1同様に予備乳化液(A)を調製した。その後、予備乳化液(A)を実施例1同様に直接加熱方式による滅菌処理、間接冷却及びエージングを行い、油分45.7%の水中油型乳化物を調製し品質評価を行った。結果を同表1に纏めた。
参考例1
実施例1において、予備乳化液(A)68.5部と微粒化処理した水相(B)18.5部を60℃で10分間、TKホモミキサー(プライムミクス社)を使用し、回転数8,000rpmで攪拌し、その後高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)で2MPaで均質化し本乳化を行い、本乳化液(C)を得た。その後、本乳化液(C)を実施例1同様に直接加熱方式による滅菌処理、間接冷却及びエージングを行い、油分45.7%の水中油型乳化物を調製し品質評価を行った。結果を同表1に纏めた。
表1
Figure 2016032438

予備乳化液(A)を多孔質ガラス膜を通過させた予備乳化液(A’)と水相(B)を撹拌混合した実施例1は非常に優れた乳味感とコク味を示した。脱脂濃縮乳の微細化処理も多孔質ガラス膜通過もせずに予備乳化した比較例1は、乳味感とコク味が不十分で物足りない風味であった。また、予備乳化液(A)と脱脂濃縮乳を微細化処理した水相(B)をホモミキサーで撹拌混合後、ホモジナイザーで均質化した本乳化液(C)を使用した参考例1は、乳味感とコク味は良好であったが実施例1に及ばないものであるとともに、油中水型の予備乳化液(A)と水相(B)の直接混合によって転相させたためか水中油型乳化物(D)の粘度がかなり高いものであった。
実施例2
実施例1の予備乳化液(A’)と水相(B)の撹拌混合による本乳化液(C)に代えて、下記の方法で本乳化液(C)を調製した。
平均微細細孔5.2μmの多孔質ガラス膜(商品名:MPG、伊勢化学工業株式会社製)を装着したMPGモジュールを用いて、予備乳化液(A)68.5部をポンプを用いて2m/秒の流速で循環している水相(B)18.5部に2MPa以下の圧力で圧入し、平均粒子径20μmの水中油型乳化物を得た。次いで、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)を用いて2MPaで均質化し本乳化を行い、本乳化液(C)を得た。その後、本乳化液(C)を実施例1同様に直接加熱方式による滅菌処理、間接冷却及びエージングを行い、油分45.7%の水中油型乳化物(D)を調製し品質評価を行った。本例で得られた水中油型乳化物(D)の粘度は210cP、平均粒子径は2.00μmであり、ホイップ評価結果はホイップタイム15分30秒、オーバーラン105、乳味感4.8、コク味4.5であり、実施例1以上に優れた乳味感、コク味を有するものであった。
実施例3
<予備乳化液(A)の調製>
予備乳化タンクへの仕込み総重量40kgにて、油相、水相を調合し、予備乳化を行った。油相は、それぞれ60℃、30分以上の加熱で融解したパーム核硬化油(上昇融点34℃)10.5部、パーム核油(上昇融点28℃)8.5部及びパーム核油/パーム油=50/50のエステル交換油(上昇融点31℃)26.7部に対しレシチン0.25部、ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、商品名ポエムO−80V)0.015部を添加混合溶解し油相を得た。
これとは別に水24.3部から直接加熱及び間接冷却に伴う水分増加量13.0部を減じた水11.3部に、蔗糖飽和脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.16部、ソルビタン飽和脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、商品名ポエムS−60V)0.13部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.06部、重曹0.02部を溶解し水相を調製した。
上記油相と水相を60℃で30分間、TKホモミキサー(プライムミクス社)を使用し、回転数8,000rpmで攪拌し、その後高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)を用いて3.5MPaで均質化して予備乳化し、油分79.3%の油中水型の予備乳化液(A)を得た。
<予備乳化液(A’)の調製>
平均微細細孔5.2μmのシラス多孔質ガラス製の多孔質膜(商品名:SPG膜、SPGテクノ株式会社製製)を装着したSPGモジュールを用いて、予備乳化液(A)を2MPa以下の圧力で多孔質ガラス膜を通過させ、水中油型の予備乳化液(A’)を得た。予備乳化液(A’)の平均粒子径は40.9μmであった。
<水相(B)の調製>
脱脂乳(オーム乳業(株)製)30部を高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)で15MPaで均質化して、微粒化処理を行い、水相(B)を得た。
<本乳化液(C)の調製>
水中油型の予備乳化液(A’)57部と水相(B)30部を60℃で10分間、TKホモミキサー(プライムミクス社)を使用し、回転数8,000rpmで攪拌し、その後高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)を用いて2MPaで均質化し本乳化を行い、本乳化液(C)を得た。本乳化液(C)の平均粒子径は38μmであり、油分は52.5%であった。
<水中油型乳化物(D)の調製>
本乳化液(C)をプレート式間接加熱装置(岩井機械工業(株)製)で連続的に78℃まで予備加熱してから、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)に供し、連続的に144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、6MPa の均質化圧力で均質化して、プレート式間接冷却装置(岩井機械工業(株)製)を用いて連続的に10℃まで冷却した。冷却後、5℃で約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物(D)を得た。超高温滅菌装置での蒸気加熱による水分増加量は13.0部であり、得られた水中油型乳化物の油分は45.7%であった。
<水中油型乳化物(D)の品質評価>
この起泡性水中油型乳化物4kgに320gのグラニュー糖を加えて、20コートミキサーの3速にて最適起泡状態に達するまでホイップし、オーバーランの測定を行った。またホイップしたクリームの風味、口溶けの評価を行った。結果を表2に纏めた。
比較例2
実施例3において、水相(B)に使用した脱脂乳30部を、実施例3の予備乳化液(A)の水相に配合し、実施例3同様に予備乳化液(A)を調製した。その後、予備乳化液(A)を実施例1同様に直接加熱方式による滅菌処理、間接冷却及びエージングを行い、油分45.7%の水中油型乳化物を調製し品質評価を行った。結果を同表2に纏めた。
参考例2
実施例3において、予備乳化液(A)57部と微粒化処理した水相(B)30部を60℃で10分間、TKホモミキサー(プライムミクス社)を使用し、回転数8,000rpmで攪拌し、その後高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)で2MPaで均質化し本乳化を行い、本乳化液(C)を得た。その後、本乳化液(C)を実施例3同様に直接加熱方式による滅菌処理、間接冷却及びエージングを行い、油分45.7%の水中油型乳化物を調製し品質評価を行った。結果を同表2に纏めた。
表2
Figure 2016032438

予備乳化液(A)を多孔質ガラス膜を通過させた予備乳化液(A’)と水相(B)を撹拌混合した実施例3は非常に優れた乳味感とコク味を示した。脱脂濃縮乳の微細化処理も多孔質ガラス膜通過もせずに予備乳化した比較例2は、乳味感とコク味が不十分で物足りない風味であった。また、予備乳化液(A)と脱脂濃縮乳を微細化処理した水相(B)をホモミキサーで撹拌混合後、ホモジナイザーで均質化した本乳化液(C)を使用した参考例2は、乳味感とコク味は良好であったが実施例3に及ばないものであるとともに、油中水型の予備乳化液(A)と水相(B)の直接混合のためか水中油型乳化物(D)の粘度がやや高いものであった。
実施例4
実施例3の予備乳化液(A’)と水相(B)の撹拌混合による本乳化液(C)に代えて、下記の方法で本乳化液(C)を調製した。
平均微細細孔5.2μmのシラス多孔質ガラス製の多孔質膜(商品名:SPG膜、SPGテクノ株式会社製製)を装着したSPGモジュールを用いて、予備乳化液(A)57部をポンプを用いて2m/秒の流速で循環している水相(B)30部に2MPa以下の圧力で圧入し、平均粒子径36μmの水中油型乳化物を得た。次いで、高圧ホモジナイザー(三和機械株式会社)を用いて2MPaで均質化し本乳化を行い、本乳化液(C)を得た。その後、本乳化液(C)を実施例3同様に直接加熱方式による滅菌処理、間接冷却及びエージングを行い、油分45.7%の水中油型乳化物(D)を調製し品質評価を行った。本例で得られた水中油型乳化物(D)の粘度は45cP、平均粒子径は2.02μmであり、ホイップ評価結果はホイップタイム16分30秒、オーバーラン125、乳味感4.8、コク味4.6であり、実施例1以上に優れた乳味感、コク味を有するものであった。
実施例5
実施例3の水中油型乳化物(D)の調製において、超高温滅菌前の予備加熱温度を78℃から64℃に代えて、実施例3同様に油分44.8%の水中油型乳化物(D)を調製し品質評価を行った。本例における超高温滅菌装置での蒸気加熱による水分増加量は15部であり、得られた水中油型乳化物の油分は44.8%であった。本例で得られた水中油型乳化物(D)の粘度は45cP、平均粒子径は2.02μmであり、ホイップ評価結果はホイップタイム16分30秒、オーバーラン125、乳味感4.9、コク味4.6であり、実施例3以上に優れた乳味感、コク味を有するものであった。
本発明は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物において、乳蛋白質含有原材料の使用量が少なくても、特に生クリーム配合量が少なくても、乳味感に非常に優れ、生クリームのような程良い脂肪感を持った水中油型乳化物の製造方法に関する。特に、油分が30〜50重量%と比較的高油分の水中油型乳化物であり、植物性油脂と生乳及び生クリーム以外の乳製品由来の無脂乳固形分を主原料とする合成クリーム及び該合成クリームと生クリームを混合したコンパウンドクリームの製造方法に関する。

Claims (7)

  1. 油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を原料とする水中油型乳化物の製造において、乳蛋白質を除く油脂、乳化剤及び水を用いて油分50〜85重量%の予備乳化液(A)を調製し、該予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜に通過させて得られた予備乳化液(A’)と乳蛋白質を含む水溶液を微粒化処理した水相(B)を撹拌混合して本乳化液(C)を調製し、その後に直接加熱殺菌及び間接冷却を行うことを特徴とする水中油型乳化物(D)の製造方法。
  2. 予備乳化液(A’)と水相(B)の撹拌混合を、水相(B)に対して予備乳化液(A)を10μm以下の微細細孔を有する親水性多孔質膜を通して圧入して行う、請求項1記載の水中油型乳化物(D)の製造方法。
  3. 予備乳化液(A)が油中水型または水中油型の乳化物である請求項1または請求項2に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法。
  4. 水中油型乳化物(D)の油分が30〜50重量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法。
  5. 微粒化処理が、均質圧0.5〜50MPaの高圧ホモジナイザー処理または周速25m/s以上の高周速撹拌のいずれかである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法。
  6. 乳蛋白質が脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズホエーパウダーから選択されるいずれかの1種以上由来である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法。
  7. 予備乳化液(A)、予備乳化液(A’)、水相(B)及び本乳化液(C)の調製温度が50〜70℃であり、加熱殺菌前の予備加熱工程温度が50〜80℃である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水中油型乳化物(D)の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113875968A (zh) * 2020-07-03 2022-01-04 广州中国科学院先进技术研究所 一种油溶性植物提取物乳液的制备方法

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