JPWO2018066314A1 - 強化ガラス板の製造方法、膜付ガラス板及び強化ガラス板 - Google Patents

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Abstract

本方法は、ガラス板G1における第一主表面Saの少なくとも一部にイオンの交換を抑制または防止する第一マスクMaを、第二主表面Sbの少なくとも一部にイオンの交換を抑制または防止する第二マスクMbを各々設けるマスク工程と、マスク工程後に、ガラス板G2を、イオンを交換するための溶融塩に浸漬させるイオン交換工程とを備える。マスク工程において、第一主表面Saにおける第一マスクMaの形成面積、および第二主表面Sbにおける第二マスクMbの形成面積は、ガラス板G1の断面形状に応じて異なる大きさに設定される。

Description

本発明は、強化ガラス板の製造方法に関し、より具体的には、イオン交換法によってガラス板の化学強化を行う強化ガラス板の製造方法、膜付ガラス板及び強化ガラス板に関する。
近年、携帯電話、カメラ等の電子機器や、大型ディスプレイやパソコン等の表示面や腕時計等のウェアラブル端末のカバーガラスには、化学強化された強化ガラス板が用いられている。
このような強化ガラス板は、一般的に、アルカリ金属を組成として含むガラス板を強化液で化学的に処理し、表面に圧縮応力層を形成することによって製造される。このような強化ガラス板は、表面に圧縮応力層を有するために衝撃耐性等が向上している。しかしながら、このような強化ガラス板であっても、主表面における衝撃耐性に比べ、エッジ部や周縁部における衝撃耐性が低く、強化ガラス板の破損の原因となっていた。このような破損を防止するべく強化ガラス板表面の圧縮応力層を全体的に深くした場合、ガラス板内部に形成される引張応力が過大となり、当該引張応力に起因した破損(所謂、自己破壊)が生じやすくなる問題がある。
上記のような問題を解決すべく、強化ガラス板表面の一部分においてのみ選択的に深く圧縮応力層を形成する技術が開発されている。例えば、特許文献1に開示される方法では、主表面の中央部分のみをマスク材料でシールディングすることによって、シールドされていない周縁部のみをイオン交換して強化処理(第一の強化処理)できる。その後シールディングを除去し、再度、強化処理(第二の強化処理)を行うことで、予め強化処理されたエッジ部において主表面より深く圧縮応力層を形成できる。
特表2014−510012号公報
しかしながら、特許文献1のような手法を用いた場合、ガラス板に予期せぬ変形が生じ、生産性が低下するおそれがあった。
例えば、図9に示すように、ガラス板の断面形状が厚さ方向に非対称である場合、イオン交換した際にガラス板が反るように湾曲変形してしまうおそれがあった。以下、図9を参照して、従来の強化ガラス板の製造方法及びその問題点について具体的に説明する。
図9Aは、断面形状が厚さ方向に非対称のガラス板G10を準備する工程を示す。ガラス板G10は、板厚方向における中央線(同図中の一点鎖線)X10を軸として表裏に非対称形状となっている。図9Bは、ガラス板G10の表裏の主表面各々に同一の厚さおよび同一の面積を有するシールドMcを設けた膜付ガラス板G20を得る工程を示す。図9Cは、膜付ガラス板G20を溶融塩T10に浸漬し、イオン交換処理して表層部に圧縮応力層CPを有する強化ガラス板G30を得る強化工程(第一の強化処理)を示す。
これらの処理によれば、強化ガラス板G30の断面形状が厚さ方向に非対称、すなわち表裏面形状が異なるにもかかわらず、形成されるシールドMcの面積等が表裏で同一であるために、強化ガラス板G30の表裏の応力バランスが均衡しない状態となる。その結果、応力バランスが均衡する形状へと強化ガラス板G30が自ずと変形することになる(図9C参照)。
本発明は、このような事情を考慮して成されたものであり、高い平坦性を有し且つ部分的に高い強度を有する強化ガラス板を安定して製造可能とする強化ガラスの製造方法及び膜付ガラス板を提供することを目的とする。また、本発明は、高い平坦性を有しかつ部分的に高い強度を有する強化ガラス板を提供することを目的とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、表裏に各々第一主表面と第二主表面とを有し且つ厚さ方向に非対称な断面形状を有するガラス板表層のイオンを交換する強化ガラス板の製造方法であって、前記第一主表面の少なくとも一部に前記イオンの交換を抑制または防止する第一マスクを、前記第二主表面の少なくとも一部に前記イオンの交換を抑制または防止する第二マスクを各々設けるマスク工程と、前記マスク工程後に、該ガラス板を、前記イオンを交換するための溶融塩に浸漬させるイオン交換工程とを備え、前記マスク工程において、前記第一主表面における前記第一マスクの形成面積、および前記第二主表面における前記第二マスクの形成面積は、前記断面形状に応じて異なる大きさに設定されることを特徴とする。
上記のように、厚さ方向において非対称形状を有するガラス板(元ガラス板)に対し、その非対称形状に応じて、面積の異なる第一マスク及び第二マスクを各主表面に形成することにより、イオン交換法による強化を行った場合におけるガラス板の変形を可及的に小さくできる。これにより、高い平坦性を有し且つ部分的に高い強度を有する強化ガラス板を安定して製造することが可能になる。
上記の製造方法において、前記第一主表面は、第一平坦面を有し、前記第二主表面は、前記第一平坦面より大きな第二平坦面を有し、前記第一マスクは、前記第一平坦面内に設けられ、前記第二マスクは、前記第二平坦面内に設けられ、前記第二マスクの形成面積は、前記第一マスクの形成面積より大きいことが好ましい。
このように、第一平坦面の面積が小さく、第二平坦面の面積が大きく構成されてなる元ガラス板に対し、面積が小さな第一マスクを第一平坦面に形成し、面積が大きな第二マスクを第二平坦面に形成することにより、イオン交換法による強化を行った場合におけるガラス板の変形を可及的に小さくすることが可能になる。
さらに、本製造方法では、前記第一平坦面は前記第一主表面の中央部に位置し、前記第一マスクは前記第一平坦面の中央部に設けられ、前記第二平坦面は前記第二主表面の中央部に位置し、前記第二マスクは前記第二平坦面の中央部に設けられ、前記第一主表面は、前記第一平坦面の外縁に沿って設けられた第一面取り面を備え、前記第二主表面は、前記第二平坦面の外縁に沿って設けられた第二面取り面を備え、前記第一面取り面の面積は、前記第二面取り面の面積より大きいことが好ましい。
かかる構成によれば、第二平坦面よりも面積が小さな第一平坦面の外縁に沿って、第二面取り面よりも面積が大きな第一面取り面を形成することにより、第一平坦面及び第一面取り面を有する第一主表面と、第二平坦面及び第二面取り面を有する第二主表面とにバランス良くイオン交換の処理を施すことができる。
上記の製造方法では、前記第一マスクおよび前記第二マスクが、組成として質量%でSiO2 60〜100%、Al23 0〜40%を含む無機膜層であることが望ましい。かかる組成の第一マスクおよび第二マスクを使用することにより、イオン交換時におけるイオンの透過の遮断又は抑制を確実に行うことが可能になる。
第一マスクの厚みと第二マスクの厚みは、同一にしてもよく、異なるように設定してもよい。例えば、上記の製造方法において、前記第一マスクの厚みに対する前記第二マスクの厚みが0.8〜1.2倍であることが好ましい。
上記の製造方法において、前記ガラス板表層のイオンはナトリウムイオンであり、前記溶融塩はカリウムイオンを含み、前記溶融塩は、水と混合して濃度を20質量%の水溶液とした場合のpHが6.5〜11であることが望ましい。このように、イオン交換を好適に行うことにより、ガラス板に要求される強度を確保できる。
上記の製造方法において、前記ガラス板は、ガラス板組成として質量%で、SiO2 45〜75%、Al23 1〜30%、Na2O 1〜20%、K2O 0〜20%を含有するガラス板であることが望ましい。これにより、イオン交換性能と耐失透性を高いレベルで両立し易くなる。
また、前記ガラス板は、種々の形状に構成され得るが、その加工性等を考慮して、特に平面視円盤状または矩形状に構成されることが望ましい。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、表裏に各々第一主表面と第二主表面とを有し且つ厚さ方向に非対称な断面形状を有する膜付ガラス板であって、前記第一主表面の少なくとも一部に形成されるとともに、イオンの交換を抑制または防止する第一マスクと、前記第二主表面の少なくとも一部に形成されるとともに、イオンの交換を抑制または防止する第二マスクとを備え、前記第一主表面における前記第一マスクの形成面積、および前記第二主表面における前記第二マスクの形成面積は、前記断面形状に応じて異なる大きさに設定されることを特徴とする。
上記のように、厚さ方向において非対称形状を有するガラス板に対し、その非対称形状に応じて、面積の異なる第一マスク及び第二マスクを各主表面に形成することにより、イオン交換法による強化を行った場合におけるガラス板の変形を可及的に小さくできる。これにより、高い平坦性を有し且つ部分的に高い強度を有する強化ガラス板を安定して製造することが可能になる。
上記の膜付ガラス板において、前記第一主表面は、第一平坦面を有し、前記第二主表面は、前記第一平坦面より大きな第二平坦面を有し、前記第一マスクは、前記第一平坦面内に設けられ、前記第二マスクは、前記第二平坦面内に設けられ、前記第二マスクの形成面積は、前記第一マスクの形成面積より大きいことが望ましい。このように、第一平坦面の面積が小さく、第二平坦面の面積が大きく構成されてなるガラス板に対し、面積が小さな第一マスクを第一平坦面に形成し、面積が大きな第二マスクを第二平坦面に形成することにより、イオン交換法による強化を行った場合におけるガラス板の変形を可及的に小さくすることが可能になる。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、表裏に各々第一主表面と第二主表面とを有し且つ厚さ方向に非対称な断面形状を有する強化ガラス板であって、前記第一主表面は、第一平坦面を有し、前記第二主表面は、前記第一平坦面より大きな第二平坦面を有し、前記第一平坦面は、その周縁部に形成される第一圧縮応力層と、その中央部に形成されるとともに前記第一圧縮応力層よりも層深さが小さな第二圧縮応力層とを有し、前記第二平坦面は、その周縁部に形成される第一圧縮応力層と、その中央部に形成されるとともに前記第一圧縮応力層よりも層深さが小さな第二圧縮応力層とを有し、前記第二平坦面における前記第二圧縮応力層の形成面積が、前記第一平坦面における前記第二圧縮応力層の形成面積よりも大きいことを特徴とする。
上記のように、強化ガラス板の非対称形状に応じて、面積の異なる第二圧縮応力層を、面積の異なる第一平坦面及び第二平坦面に形成することにより、当該強化ガラス板に高い平坦性を付与することができる。さらに、各平坦面の周縁部に、第二圧縮応力層よりも層深さの大きな第一圧縮応力層を形成することにより、強化ガラス板は、部分的に高い強度を有するものになる。
本発明によれば、高い平坦性を有し且つ部分的に高い強度を有する強化ガラス板を安定して製造できる。
図1Aは、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図1Bは、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図1Cは、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図1Dは、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図1Eは、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図2は、元ガラス板の斜視図である。 図3は、膜付ガラス板の平面図である。 図4は、膜付ガラス板の底面図である。 図5Aは、膜付ガラス板の他の例を示す要部断面図である。 図5Bは、膜付ガラス板の他の例を示す要部断面図である。 図6は、仕上げ加工工程を示す図である。 図7Aは、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図7Bは、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図7Cは、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図7Dは、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板の製造方法を示す。 図8Aは、強化ガラス板の実施例及び実施例を示す平面図である。 図8Bは、強化ガラス板の実施例及び比較例を示す平面図である。 図9Aは、従来の強化板ガラスの製造方法を示す。 図9Bは、従来の強化板ガラスの製造方法を示す。 図9Cは、従来の強化板ガラスの製造方法を示す。
以下、本発明に係る強化ガラス板の製造方法を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1乃至図6は、本発明に係る強化ガラス板の製造方法の第一実施形態を示す。
本発明に係る板ガラスの製造方法は、元ガラスの準備工程と、元ガラス板の一部を選択的に強化する選択強化工程と、この選択強化工程後に、そのガラス板を全体的に強化する全体強化工程とを備える。以下、各工程について説明する。先ず、図1Aに示す準備工程の処理を実施する。この準備工程は、所定形状の元ガラス板G1を準備する工程である。
元ガラス板G1は、イオン交換法を用いて強化可能であり、断面形状が厚さ方向に非対称なガラス板である。本実施形態では元ガラス板G1が、図2に示すような円盤状のガラス板である場合を一例として説明する。元ガラス板G1は、互いに表裏の関係にある第一主表面Sa、および第二主表面Sbを備える。なお、本実施形態では、第一主表面Sa側を表面側、第二主表面Sb側を裏面側として説明する。
第一主表面Saは、第一平坦面Faと、第一面取り面Caとを備える。第一平坦面Faは、第一主表面Saの中央部に設けられた平坦な円形面である。第一面取り面Caは、第一平坦面Faの外縁に沿って設けられた平坦な傾斜面である。
第二主表面Sbは、第二平坦面Fbと、第二面取り面Cbとを備える。第二平坦面Fbは、第二主表面Sbの中央部に設けられた平坦な円形面である。第二面取り面Caは、第二平坦面Fbの外縁に沿って設けられた平坦な傾斜面である。
第一面取り面Caおよび第二面取り面Cbは、いわゆるC面取り加工によって形成された平坦面である。第一面取り面Caの面積は、第二面取り面Cbの面積より大きい。また、第一平坦面Faの面積は、第二平坦面Faの面積より小さい。かかる構成により、元ガラス板G1の断面は、図1Aに示すように板厚方向における中央線(同図中の一点鎖線)Xに対して第一主表面Sa側と第二主表面Sb側とで表裏非対称形状となる。
なお、上記形状は一例であり、第一面取り面Caおよび第二面取り面Cbは、いわゆるR面取り加工によって形成された湾曲面であって良く、複数の曲率半径を有する曲面により構成しても良い。また、元ガラス板G1は、円盤状に限らず任意の形状、例えば、矩形状のガラス板であって良い。また、元ガラス板G1は、第一平坦面Faから第二平坦面Fbに貫通する孔を有する構成であっても良い。
元ガラス板G1は、ガラス板組成として質量%で、SiO2 45〜75%、Al23 1〜30%、Na2O 1〜20%、K2O 0〜20%を含有することが好ましい。上記のようにガラス板組成範囲を規制すれば、イオン交換性能と耐失透性を高いレベルで両立し易くなる。
元ガラス板G1の板厚は、例えば、2.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以下、1.3mm以下、1.0mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6 mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、特に0 .1mm以下である。元ガラス板G1の板厚が小さい程、強化ガラス板基板を軽量化することができ、結果として、デバイスの薄型化、軽量化を図ることができる。なお、生産性等を考慮すれば元ガラス板G1の板厚は0.01mm以上であることが好ましい。
元ガラス板G1は、例えば、オーバーフローダウンドロー法を用いて成形され、スクライブチップを用いて切断され、回転砥石ツールによって面取りおよび端面研磨加工されたものである。なお、元ガラス板G1の成形方法や加工方法は任意に選択して良い。例えば、元ガラス板G1はフロート法を用いて成形されて良いし、レーザー光を用いて切断されて良いし、研磨テープを用いて研磨加工されていても良い。
次いで、上記準備工程の後、図1B、図1Cに示す選択強化工程の処理を実施する。選択強化工程は、図1Bに示すマスク工程と、図1Cに示す選択イオン交換工程とを含む。
マスク工程は、元ガラス板G1の第一主表面Saおよび第二主表面Sbの一部に第一マスクMaおよび第二マスクMbを形成して膜付ガラス板G2を得る工程である。第一マスクMaおよび第二マスクMbは、後述の選択イオン交換工程において、元ガラス板G1表層のイオン交換を行う際にイオンの透過を抑制し、または遮断する膜層である。
図3に示すように、第一マスクMaは、第一平坦面Faの中央部Fa1を被覆し、第一平坦面Faの周縁部Fa2、および第一面取り面Caを露出させるように、第一主表面Saに形成される。なお、第一平坦面Faの周縁部Fa2は、第一面取り面Caに対する第一平坦面Faの境界部を含み、この境界部から数mm〜数十mmの範囲における第一平坦面Faの一部分である(以下、第二平坦面Fbにおいて同じ)。
第一平坦面Faの周縁部Fa2は、第一平坦面Faの中央部Fa1の周囲を囲むように環状に構成される。第一平坦面Faが円形状である場合には、周縁部Fa2もこの形状に応じて円形状(円環状)に構成される。当然に、第一平坦面Faが矩形状である場合には、周縁部Fa2はこれに応じて矩形状に構成される。
図4に示すように、第二マスクMbは、第二平坦面Fbの中央部Fb1を被覆し、第二平坦面Fbの周縁部Fb2、および第二面取り面Cbを露出させるように、第二主表面Sbに形成される。
図3及び図4に示すように、第一マスクMa及び第二マスクMbは、第一平坦面Fa及び第二平坦面Fbの形状に対応するように円形状に構成される。第一マスクMaの直径Wmaは、第一平坦面Faの直径Wfaよりも小さく、第二マスクMbの直径Wmbは、第二平坦面Fbの直径Wfbよりも小さい。このため、第一マスクMaの面積は、第一平坦面Faの面積よりも小さく、第二マスクMbの面積は、第二平坦面Fbの面積よりも小さい。また、第二マスクMbの直径Wmbは、第一マスクMaの直径Wmaよりも大きい。したがって、第二マスクMbの面積は、第一マスクMaの面積よりも大きい。
第一平坦面Faの直径Wfaと、第一マスクMaの直径Wmaとの差(Wfa−Wma)は、0.1mm以上5mm以下とされることが望ましい。また、第二平坦面Fbの直径Wfbと、第二マスクMbの直径Wmbとの差(Wfb−Wmb)は、0.1mm以上10mm以下とされることが望ましい。また、第一マスクMaの直径Wmaと、第二マスクMbの直径Wmbとの差(Wmb−Wma)は、0.1mm以上3mm以下とされることが望ましい。ただし、これらの数値は、上記の範囲に限定されず、元ガラス板G1の寸法に応じて適宜設定され得る。
第一マスクMaは、第一平坦面Faの面内に位置しており、具体的には、第一平坦面Faと同心状となるように位置する。同様に第二マスクMbは、第二平坦面Fbの面内に位置しており、第二平坦面Fbと同心状となるように位置する。なお、図3及び図4において、第一マスクMaおよび第二マスクMbを強調するために、これらにハッチングを施している。
第一マスクMaおよび第二マスクMbの材質としては、イオン交換されるイオンの透過を抑制または遮断可能であれば任意の材質を用いて良い。交換されるイオンがアルカリ金属イオンである場合、第一マスクMaおよび第二マスクMbは、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、金属酸炭化物、金属炭窒化物膜などであることが好ましい。また耐熱性や化学的耐久性に優れた炭素材料や金属、合金も第一マスクMaおよび第二マスクMbとして使用可能である。より詳細には、第一マスクMaおよび第二マスクMbの材質としては、例えば、SiO2、Al23、SiN、SiC、Al23、AlN、ZrO2、TiO2、Ta25、Nb25、HfO2、SnO2、カーボンナノチューブ、グラフィン、ダイヤモンドライクカーボン、ステンレスの中から1種類以上を含む膜とすることができる。
特にSiO2を第一マスクMaおよび第二マスクMbの主成分とすれば、安価且つ容易に第一マスクMaおよび第二マスクMbを形成可能であり、反射防止膜としても機能し得るため、好ましい。第一マスクMaおよび第二マスクMbは、SiO2のみから成る膜として良い。具体的には、第一マスクMaおよび第二マスクMbは質量%でSiO2を99%以上含有する組成を有するものとして良い。
また、イオンの透過を確実に遮断する場合には、SiO2を主成分とし、Al23を含む無機膜層を第一マスクMaおよび第二マスクMbとして用いることが好適である。この場合、第一マスクMaおよび第二マスクMbは、質量%でSiO2 20〜99%、Al23 1〜80%、より好ましくは、SiO2 60〜99%、Al23 1〜40%を含む組成とする。
第一マスクMaおよび第二マスクMbの厚さは、イオン透過の遮断および抑制が可能であれば任意の厚さであって良い。ただし、第一マスクMaおよび第二マスクMbの厚さが過大であると、成膜時間や材料コスト等が増大するため、イオン透過の遮断および抑制が可能な範囲で薄く形成することが好ましい。具体的には、第一マスクMaおよび第二マスクMbの膜厚は、例えば1〜5000nmが好ましく、より好ましくは50〜4000nmである。第一マスクMaの膜厚と第二マスクMbの膜厚とは、同一に設定しても良く、異なるように設定しても良い。例えば、第一マスクMaの厚みに対する第二マスクMbの厚みは、0.8〜1.2倍とされることが好ましい。
第一マスクMaおよび第二マスクMbの成膜方法は、スパッタ法や真空蒸着法などのPVD法(物理気相成長法)、熱CVD法やプラズマCVD法などのCVD法(化学気相成長法)、ディップコート法やスリットコート法などのウェットコート法を用いることができる。特にスパッタ法、ディップコート法が好ましい。スパッタ法を用いた場合、第一マスクMaおよび第二マスクMbを容易に均一に形成できる。第一マスクMaおよび第二マスクMbの成膜箇所は任意の手法で設定して良い。また、予めシート状に成形した第一マスクMaおよび第二マスクMbを元ガラス板G1の主表面Sa,Sbに接合して成膜しても良い。
なお、本実施形態では、SiO2およびAl23を含有し、膜厚が100nm以上であり、アルカリ金属イオンの透過を遮断可能な第一マスクMaおよび第二マスクMbを形成した場合を一例として説明する。
次いで、上記マスク工程の後、図1Cに示す選択イオン交換工程の処理を実施する。選択イオン交換工程は、膜付ガラス板G2をイオン交換法により化学強化して膜付強化ガラス板G3を得る工程である。具体的には、アルカリ金属イオンを含む溶融塩T1に膜付ガラス板G2を浸漬してイオン交換する。本実施形態における溶融塩T1は、例えば、硝酸カリウム溶融塩である。この溶融塩T1は、水と混合して濃度を20質量%の水溶液とした場合のpHが6.5〜11とされることが好ましい。
この選択イオン交換工程では、各マスクMa,Mbによって被覆される各主表面Sa,Sbの一部を非選択領域とし、各マスクMa,Mbに被覆されずに露出する部分を選択領域とする。具体的には、非選択領域は、第一平坦面Faの中央部Fa1及び第二平坦面Fbの中央部Fb1である。選択領域は、第一平坦面Faの周縁部Fa2、第二平坦面Fbの周縁部Fb2、第一面取り面Ca、第二面取り面Cb及び端面Eである。
選択イオン交換工程における溶融塩T1の温度は任意に定めて良いが、例えば、350〜500℃、好ましくは370〜480℃、より好ましくは380〜450℃、さらに好ましくは380〜400℃である。また、膜付ガラス板G2を溶融塩T1中に浸漬する時間は任意に定めて良いが、例えば、0.1〜150時間、好ましくは0.3〜100時間、より好ましくは0.5〜50時間である。
上記選択イオン交換工程では、膜付ガラス板G2の表面のうち、第一マスクMaおよび第二マスクMbが設けられていない選択領域において、ガラス板中のナトリウムイオンと溶融塩T1中のカリウムイオンとが交換される。これにより、選択領域には第一圧縮応力層CP1が形成される。一方、膜付ガラス板G2の表面のうち、第一マスクMaおよび第二マスクMbが設けられた中央部Fa1,Fb1では、イオンが遮断されるため、圧縮応力層が形成されない。以上の選択イオン交換工程により、選択領域に第一圧縮応力層CP1が形成されてなる膜付強化ガラス板G3を得る。
次いで、上記選択イオン交換工程の後、図1Dに示すマスク除去工程の処理を実施する。マスク除去工程は、膜付強化ガラス板G3から各マスクMa,Mbを除去する工程である。具体的には、各マスクMa,Mbを研磨によって除去する。研磨装置としては、周知の研磨装置を用いることができ、特に両面研磨装置を用いることが好ましい。
なお、研磨に限らず他の手法を用いて各マスクMa,Mbを除去しても良い。例えば、エッチング液を付着させて各マスクMa,Mbを除去しても良い。各マスクMa,MbがSiO2を含有する膜である場合、例えば、フッ素、TMAH、EDP、KOH、NAOH等を含む溶液をエッチング液として用いることができ、特にフッ酸溶液をエッチング液として用いることが好ましい。なお、フッ酸溶液を用い、ガラス寸法を変更することなく各マスクMa,Mbのみを除去する場合には、当該フッ酸溶液におけるHFの濃度を10%以下とすることが好ましい。
上記マスク除去工程の処理により各マスクMa,Mbを除去すると、各平坦面Fa,Fbの各中央部Fa1,Fb1に圧縮応力層が形成されておらず、各平坦面Fa,Fbの各周縁部Fa2,Fb2、各面取り面Ca,Cb及び端面Eに第一圧縮応力層CP1が形成されてなる強化ガラス板G4を得る(図1D参照)。
次に、この強化ガラス板G4を全体的に強化すべく、全体強化工程の処理を実施する。全体強化工程は、図1Eに示すように、強化ガラス板G4の表面全体に溶融塩T2を接触させて表層のイオンを交換する工程である。具体的には、アルカリ金属イオンを含む溶融塩T2に強化ガラス板G4を浸漬してイオン交換し、各平坦面Fa,Fbの各中央部Fa1,Fb1において第二圧縮応力層CP2を形成する。さらに、第一圧縮応力層CP1においてもイオン交換が行われ、その深さが大きくなる。なお、溶融塩T2は、例えば、硝酸カリウム溶融塩である。
全体強化工程における溶融塩T2の温度は任意に定めて良いが、例えば、350〜500℃、好ましくは370〜480℃、より好ましくは380〜450℃である。また、強化ガラス板G4を溶融塩T2中に浸漬する時間は任意に定めて良いが、例えば、0.1〜72時間、好ましくは0.3〜50時間、より好ましくは0.5〜24時間である。
溶融塩T2は、上述の溶融塩T1と同様のものであっても良い。すなわち、選択強化工程において用いた溶融塩T1に強化ガラス板G4を再度浸漬して良い。この場合、単一の塩浴で複数工程の処理を行うことができるため、製造設備のコストを抑制できる。
また、溶融塩T2は、溶融塩T1とは異なるものであって良いし、全体強化工程における処理温度および処理時間は、選択イオン交換工程の処理温度および処理時間と異なっていて良い。例えば、全体強化工程におけるイオン交換の処理時間は、選択イオン交換工程における処理時間より短いことが好ましい。このような処理によれば、各平坦面Fa,Fbの各中央部Fa1,Fb1における第二圧縮応力層CP2の深さが過剰になることがなく、引張応力の増加を抑制できる。
以上の全体強化工程により、半径方向の端部(各周縁部Fa2,Fb2、各面取り面Ca,Cb及び端面E)に層深さ(DOL1)が大きな第一圧縮応力層CP1が形成され、その中央部(各平坦面Fa,Fbの各中央部Fa1,Fb1)に、層深さ(DOL2)が小さな第二圧縮応力層CP2が形成されてなる強化ガラス板G5を得る。この強化ガラス板G5の各主表面Sa,Sbには、第一マスクMa及び第二マスクMbの面積に対応するように、面積の異なる第二圧縮応力層CP2が形成される。すなわち、強化ガラス板G5の第二平坦面Fbにおける第二圧縮応力層CP2の形成面積は、第一平坦面Faにおける第二圧縮応力層CP2の形成面積よりも大きくなる。第一圧縮応力層CP1の層深さ(DOL1)は、強化ガラス板G5の厚みの1/4以下とされることが望ましい。また、第二圧縮応力層CP2の層深さ(DOL2)は、強化ガラス板G5の厚みの1/8以下とされることが望ましい。
以上のように、本実施形態に係る強化ガラス板G5の製造方法では、厚さ方向において非対称形状を有する元ガラス板G1に対し、その非対称形状に応じて、面積の異なる第一マスクMa及び第二マスクMbを各主表面Sa,Sbに形成することにより、イオン交換法による強化を行った場合におけるガラス板(膜付ガラス板G2)の変形を可及的に小さくすることが可能になる。具体的には、第一平坦面Faの面積が小さく、第二平坦面Fbの面積が大きく構成されてなる元ガラス板G1の場合には、面積が小さな第一マスクMaを第一平坦面Faに形成し、面積が大きな第二マスクMbを第二平坦面Fbに形成して膜付ガラス板G2を構成することが望ましい。これにより、高い平坦性を有し且つ部分的に高い強度を有する強化ガラス板G5を安定して製造することが可能になる。
本実施形態の場合、元ガラス板G1は、各面取り面Ca,Cbに比べ第一平坦面Fa及び第二平坦面Fbの面積が大きいため、イオン交換時において各面取り面Ca,Cbに形成される圧縮応力層が膜付ガラス板G2の変形に与える影響は、第一平坦面Fa及び第二平坦面Fbに形成される圧縮応力層のそれに比べて極めて小さいものと考えられる。したがって、本実施形態では、各主表面Sa,Sbのうち、第一平坦面Fa及び第二平坦面Fbの中央部Fa1,Fb1に、面積の異なる第一マスクMa及び第二マスクMbを形成するのみで、膜付ガラス板G2の変形を防止できる。
また、全体強化工程においても各マスクMa,Mbを除去してなる強化ガラス板G4を溶融塩T2に浸漬してイオン交換を行うことになるが、選択強化工程において選択領域が強化されていることから、全体強化工程における強化ガラス板G4の変形は極めて軽微なものとなる。
上記の事項は、各面取り面Ca,Cbを有する円盤状の強化ガラス板G5を形成する場合に限らず、種々の形状の強化ガラス板G5を製造する場合に適用できる。図5は、面取り面Ca,Cbを有していない強化ガラス板G5を製造する場合における元ガラス板G1及び膜付ガラス板G2の例を示す。
図5Aに示すように、元ガラス板G1は、半径方向の端部の厚さが中途部の厚さよりも大きく構成されてなる。この端部は、断面視において略円形状に構成されており、その直径が元ガラス板G1の中途部の厚さをよりも大きく構成される。この構成により、元ガラス板G1は、第一主表面Saに、第一平坦面Faと繋がる凸状の曲面CSを有する。また、膜付ガラス板G2における第一マスクMaは、第一平坦面Faだけでなく、この曲面CSの一部をも被覆するように形成されている。加えて、この例では、第一マスクMaの面積(直径Wma)を第二マスクMbの面積(直径Wmb)よりも大きく設定してある。また、図5Bに示す元ガラス板G1では、その第一主表面Saの第一平坦面Faに繋がるように傾斜面ISが形成されている。この例においても、膜付ガラス板G2における第一マスクMaは、第一平坦面Faのみならず、この傾斜面ISの一部にも形成されている。
なお、全体強化工程の後、さらに仕上げ加工工程の処理を実施しても良い。本実施形態に係る強化ガラス板G5の製造方法によれば、選択強化工程の選択イオン交換工程において、膜付強化ガラス板G3の変形を防止するのみならず、第一マスクMaと第二マスクMbとの面積の大小関係を調整することにより、膜付強化ガラス板G3の変形量を調整することも可能である。このため、全体強化工程を経て成る強化ガラス板G5を、若干変形した状態とし、これに仕上げ加工工程を施すことも可能である。
以下、この仕上げ加工工程について、両面研磨装置PAにより強化ガラス板G5を研磨する場合を例として説明する。図6に示すように、両面研磨装置PAは、強化ガラス板G5を保持するキャリアCAと、強化ガラス板G5の第一主表面Saを研磨する上研磨定盤SP1と、第二主表面Sbを研磨する下研磨定盤SP2とを備える。キャリアCAは、強化ガラス板G5を回転不能に保持する保持孔CAhを有する。
強化ガラス板G5は、図6に示すように、第一平坦面Faを上側、第二平坦面Fbを下側にした場合に、上方に若干凸となるように変形した状態で、キャリアCAの保持孔CAhに嵌合している。この状態で、上研磨定盤SP1を第一主表面Saに接触させ、下研磨定盤SP2を第二主表面Sbに接触させる。その後、上研磨定盤SP1、下研磨定盤SP2及びキャリアCAを相対的に移動させ、強化ガラス板G5の両面Sa,Sbを研磨する。
上記のように、強化ガラス板G5に若干の変形を残した状態で両面研磨を行うことにより、各主表面Sa,Sbともに良好な研磨面を得ることが可能になる。例えば、強化ガラス板G5を変形させていない状態で同様な両面研磨を行う場合、その上下の位置関係から、下方側に位置する第二主表面Sbの方が、第一主表面Saよりも過剰に研磨されてしまい、上側の第一主表面Saと下側の第二主表面Sbとで、その研磨量が不均等になるおそれがある。これに対し、上記のように研磨を行うことで、各主表面Sa,Sbの研磨量を均等にできることから、高精度の両面研磨が可能となる。
図7は、強化ガラス板の製造方法の第二実施形態を示す。上記の第一実施形態では、選択強化工程及び全体強化工程により、溶融塩T1,T2にガラス板(膜付ガラス板G2、強化ガラス板G4)を二度浸漬させたが、本実施形態では、一度の浸漬により強化ガラス板G5を製造する。
本実施形態では、図7Aに示すように、元ガラス板G1を準備した後、図7Bに示すように、各主表面Sa,Sbに、第一マスクMa及び第二マスクMbを形成して膜付ガラス板G2を得る。第一実施形態と異なり、本実施形態では、第一マスクMaおよび第二マスクMbには、イオン透過を抑制する機能性膜が使用される。
その後、図7Cに示すように、各マスクMa,Mbを有する膜付ガラス板G2を溶融塩T1に浸漬させる。これにより、各マスクMa、Mbに被覆されていない、各平坦面Fa,Fbの各周縁部Fa2,Fb2、各面取り面Ca,Cb及び端面Eにおいてイオン交換を行うとともに、各マスクMa,Mbに被覆されている中央部Fa1,Fb1においても、イオン透過を抑制した状態でイオン交換を施す。これにより、半径方向の端部(各周縁部Fa2,Fb2、各面取り面Ca,Cb及び端面E)に層深さ(DOL1)が大きな第一圧縮応力層CP1が形成され、その中央部(各平坦面Fa,Fbの各中央部Fa1,Fb1)に、層深さ(DOL2)が小さな第二圧縮応力層CP2が形成されてなる膜付強化ガラス板G3を得る(図7C参照)。その後、膜付強化ガラス板G4における第一マスクMaおよび第二マスクMbを除去することにより、図7Dに示す強化ガラス板G5を得る。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、ナトリウムイオンとカリウムイオンとをイオン交換して化学強化する場合を例示したが、これに限らず、任意のイオンを交換することが可能である。例えば、リチウムイオンとナトリウムイオンのイオン交換、或いはリチウムイオンとカリウムイオンのイオン交換により強化ガラス板G4,G5を製造してもよい。この場合、強化ガラス板G4,G5は、組成として質量%でLiO2を0.5〜7.5%含有することが望ましく、より好ましくは3.0%、或いは4.5%のLiO2を含有する。
強化ガラス板の応力特性は、例えば折原製作所製FSM−6000を用いて測定することができる。アルミノシリケート系ガラスの圧縮応力層の深さが100μmを超える場合や、リチウムイオンとナトリウムイオンのイオン交換、或いはリチウムイオンとカリウムイオンのイオン交換を行った場合は、強化ガラス板の応力特性は、例えば折原製作所製SLP−1000を用いて測定することができる。強化ガラス板を切断する等して断面試料を作製できる場合は、例えばフォトニックラティス社製WPA−microや東京インスツルメンツ社製Abrioを用いて内部応力分布を観測し、応力深さを確認することが望ましい。
本発明者等は、本製造方法を使用して製造した場合の強化板ガラスを実施例とし、本製造方法を適用することなく(元ガラス板にマスクを形成することなく)製造した場合の強化板ガラスを比較例として、各例における反り(鉛直方向変位)の大きさを演算(シミュレーション)により求めた。実施例及び比較例における各強化ガラス板は、厚さ方向に非対称な断面形状を有する円盤である。実施例及び比較例に係る強化ガラス板の寸法は、厚さ1mm、外径40mmである。また、実施例に用いる第一マスクの直径を30mmとし、第二マスクの直径を36mmとした。
演算の結果、実施例の反りが0.0μmであるのに対し、比較例の反りは23.7μmとなることが判明した。図8は、この演算結果をグレースケールにて可視化したものである。図8Aは実施例を、そして図8Bは比較例を示す。図8A及び図8Bに示すように、比較例に係る強化ガラス板では、半径方向外方に向かうにつれて反り量(鉛直方向変位)が大きくなるのに対し、実施例に係る強化ガラス板では、反りが全く生じていないことが判る。なお、図8Aに示す実施例に係る強化ガラス板は、その縁部が実線で縁取りされて表示されている。この実線は、強化ガラス板の境界を明確にするために付されたものであり、強化ガラス板の反りとは無関係である。
Ca 第一面取り面
Cb 第二面取り面
Fa 第一平坦面
Fb 第二平坦面
G1 元ガラス板
G2 膜付ガラス板
G3 膜付強化ガラス板
G4 強化ガラス板
G5 強化ガラス板
Ma 第一マスク
Mb 第二マスク
Sa 第一主表面
Sb 第二主表面
T1 溶融塩
T2 溶融塩

Claims (11)

  1. 表裏に各々第一主表面と第二主表面とを有し且つ厚さ方向に非対称な断面形状を有するガラス板表層のイオンを交換する強化ガラス板の製造方法であって、
    前記第一主表面の少なくとも一部に前記イオンの交換を抑制または防止する第一マスクを、前記第二主表面の少なくとも一部に前記イオンの交換を抑制または防止する第二マスクを各々設けるマスク工程と、
    前記マスク工程後に、該ガラス板を、前記イオンを交換するための溶融塩に浸漬させるイオン交換工程とを備え、
    前記マスク工程において、前記第一主表面における前記第一マスクの形成面積、および前記第二主表面における前記第二マスクの形成面積は、前記断面形状に応じて異なる大きさに設定されることを特徴とする、強化ガラス板の製造方法。
  2. 前記第一主表面は、第一平坦面を有し、
    前記第二主表面は、前記第一平坦面より大きな第二平坦面を有し、
    前記第一マスクは、前記第一平坦面内に設けられ、
    前記第二マスクは、前記第二平坦面内に設けられ、
    前記第二マスクの形成面積は、前記第一マスクの形成面積より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の強化ガラス板の製造方法。
  3. 前記第一平坦面は前記第一主表面の中央部に位置し、
    前記第一マスクは前記第一平坦面の中央部に設けられ、
    前記第二平坦面は前記第二主表面の中央部に位置し、
    前記第二マスクは前記第二平坦面の中央部に設けられ、
    前記第一主表面は、前記第一平坦面の外縁に沿って設けられた第一面取り面を備え、
    前記第二主表面は、前記第二平坦面の外縁に沿って設けられた第二面取り面を備え、
    前記第一面取り面の面積は、前記第二面取り面の面積より大きいことを特徴とする、請求項2に記載の強化ガラス板の製造方法。
  4. 前記第一マスクおよび前記第二マスクは、組成として質量%でSiO2 60〜100%、Al23 0〜40%を含む無機膜層であることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  5. 前記第一マスクの厚みに対する前記第二マスクの厚みが0.8〜1.2倍であることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  6. 前記ガラス板表層のイオンはナトリウムイオンであり、
    前記溶融塩はカリウムイオンを含み、
    前記溶融塩は、水と混合して濃度を20質量%の水溶液とした場合のpHが6.5〜11であることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  7. 前記ガラス板は、ガラス板組成として質量%で、SiO2 45〜75%、Al23 1〜30%、Na2O 1〜20%、K2O 0〜20%を含有するガラス板であることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  8. 前記ガラス板は、平面視円盤状または矩形状であることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  9. 表裏に各々第一主表面と第二主表面とを有し且つ厚さ方向に非対称な断面形状を有する膜付ガラス板であって、
    前記第一主表面の少なくとも一部に形成されるとともに、イオンの交換を抑制または防止する第一マスクと、前記第二主表面の少なくとも一部に形成されるとともに、イオンの交換を抑制または防止する第二マスクとを備え、
    前記第一主表面における前記第一マスクの形成面積、および前記第二主表面における前記第二マスクの形成面積は、前記断面形状に応じて異なる大きさに設定されることを特徴とする、膜付ガラス板。
  10. 前記第一主表面は、第一平坦面を有し、
    前記第二主表面は、前記第一平坦面より大きな第二平坦面を有し、
    前記第一マスクは、前記第一平坦面内に設けられ、
    前記第二マスクは、前記第二平坦面内に設けられ、
    前記第二マスクの形成面積は、前記第一マスクの形成面積より大きいことを特徴とする、請求項9に記載の膜付ガラス板。
  11. 表裏に各々第一主表面と第二主表面とを有し且つ厚さ方向に非対称な断面形状を有する強化ガラス板であって、
    前記第一主表面は、第一平坦面を有し、
    前記第二主表面は、前記第一平坦面より大きな第二平坦面を有し、
    前記第一平坦面は、その周縁部に形成される第一圧縮応力層と、その中央部に形成されるとともに前記第一圧縮応力層よりも層深さが小さな第二圧縮応力層とを有し、
    前記第二平坦面は、その周縁部に形成される第一圧縮応力層と、その中央部に形成されるとともに前記第一圧縮応力層よりも層深さが小さな第二圧縮応力層とを有し、
    前記第二平坦面における前記第二圧縮応力層の形成面積は、前記第一平坦面における前記第二圧縮応力層の形成面積よりも大きいことを特徴とする、強化ガラス板。
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