JPH11248905A - 平板マイクロレンズアレイの製造方法 - Google Patents

平板マイクロレンズアレイの製造方法

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JPH11248905A
JPH11248905A JP5245298A JP5245298A JPH11248905A JP H11248905 A JPH11248905 A JP H11248905A JP 5245298 A JP5245298 A JP 5245298A JP 5245298 A JP5245298 A JP 5245298A JP H11248905 A JPH11248905 A JP H11248905A
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ion exchange
film
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tin
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JP5245298A
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Satoshi Taniguchi
敏 谷口
Takashi Kishimoto
隆 岸本
Toshio Imai
寿雄 今井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン交換法による平板マイクロレンズアレ
イの製造方法において、イオン交換による基板の反りを
低減するために、煩雑な工程を付加することなく、前記
基板のレンズ等形成面の反対側面におけるイオン交換層
の深さを制限でき、反りの少ない平板マイクロレンズア
レイを安価に作製する製法を提供する。 【解決手段】 平板マイクロレンズアレイに用いるガラ
ス基板として、例えばフロート法によるガラスをそのま
ま用いることにより、そのボトム面の錫の含有する領域
のイオン交換阻害効果を利用して、ボトム面のスラブ状
のイオン交換層の深さ(厚み)を小さくしておき、さら
に少なくとも錫含有層を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平板マイクロレンズ
アレイの製造方法に関するものであり、特に液晶パネル
の光利用効率を向上させる目的として使用される、平板
マイクロレンズアレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フロート法で作製されたガラス基板の、
フロートバスの熔融錫に接触していた面(以下、ボトム
面と呼ぶ)では、その表面から約10μmの深さまでガ
ラス構造中に錫が侵入している(図2(a)参照)。
【0003】ところで、イオン交換法による平板マイク
ロレンズアレイを製造する方法において、その主表面に
錫を含有したガラス基板を用いると、前記錫含有層がイ
オン交換工程で着色し、著しく前記レンズアレイの光学
性能を劣化させてしまっていた。
【0004】このため、例えばフロートガラス基板の前
記ボトム面側を20μm程度、ボトム面の反対側の主表
面(以下、トップ面と呼ぶ)を10μm程度光学研磨す
ることにより、ガラス基板の両方の表面近傍のガラス構
造を等しくし、その後いずれかの面をレンズ形成面とし
てマスク膜を成膜し、前記イオン交換法により平板マイ
クロレンズアレイを作製していた。
【0005】イオン交換法で平板マイクロレンズアレイ
を作製する場合、ガラス中の1価の陽イオンが、溶融塩
中の前記ガラス中の陽イオンに比べて、大きなイオン半
径を持つ1価の陽イオンと交換するために、その表面層
で圧縮応力が発生することになる。
【0006】またさらに、前述した平板マイクロレンズ
アレイの製造方法において、前記基板のレンズ形成面で
は、円形あるいは直線スリット状に設けられたマスク膜
の開口部においてのみイオン交換が行われるのに対し、
レンズ形成面の反対側の面では、その全面においてイオ
ン交換が行われスラブ状のイオン交換層となる。したが
って、前記基板の両主表面では、イオン交換される領域
の違いにより発生する応力に差が生じ、その結果平板マ
イクロレンズアレイ基板に反りが発生してしまうことに
なる。特にこの反りは、平板マイクロレンズアレイを液
晶パネルに貼合わせる工程における不良の発生原因とな
ってしまう。
【0007】そこで、上述の反りの問題を解決するため
に、特開昭60−215552号には、その基板全面に
マスク膜を形成する方法が開示されている。さらに、特
開平2−244001号では、形成した光学素子部分の
裏面側に一様厚み(スラブ状)のイオン交換層を形成
し、その体積を前記光学素子部分の総体積とほぼ同等に
したことを特徴とする平板光学素子及びその製造方法な
る技術が開示されている。
【0008】特開平2−244001号では、光学素子
部分の裏面側にも、予めマスク材を被覆していったんイ
オン交換処理を行い、その途中で前記裏面側のマスク材
を除去し、さらにイオン交換処理することによって、上
述の目的を達成している。また他の方法として、前記光
学素子部分の裏面側のマスク膜に、ある程度イオンの透
過を許容するものを用い、光学素子形成面側とその裏面
側のそれぞれの応力をバランスさせる方法も採り得るこ
とも開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−244001号において開示された方法では、基板
表裏面におけるイオン拡散処理時間を相違させたり、あ
る程度イオン拡散を許容するマスク材で基板裏面側を被
覆し、イオン交換処理後除去するなど、その工程や操作
が繁雑になっていた。
【0010】一方上述した反りを、レンズアレイ形成領
域の全体の体積で低減する方法を考えてみる。この場
合、上述した反りはマイクロレンズアレイのレンズ径に
対して前記マスク膜の開口径が大きくイオン交換時間が
短い場合は小さく、逆に開口径が小さくイオン交換時間
が長い場合は反りは大きくなる。
【0011】また、マイクロレンズアレイの光学特性
は、レンズの径(Aとする)とマスク膜の開口径(rm
とする)の比率(A/rm)に大きく依存している。A
/rm比を大きくする(開口径を小さくする)と、レン
ズの収差が小さくなり、光学特性の良いレンズアレイが
形成される。逆にA/rm比を小さくする(開口径を大
きくする)と、レンズの収差は大きくなりその光学特性
が悪くなってしまうことになる。
【0012】以上の理由から、イオン交換法による平板
マイクロレンズアレイの作製工程においては、光学特性
と反りの点から最適なA/rm比を求めなければならな
い。その結果、反りを小さくするために、光学特性上最
適なA/rm比を選択できないという問題点があった。
【0013】そこで、特開平7−35904号には、イ
オン交換法による平板光学素子において、基板のレンズ
または導波路形成面の反対側の面のスラブ状のイオン交
換層を、前記光学素子形成後にエッチング除去する方法
が示されている。
【0014】しかしながら、特開平7−35904号で
は、例えばソーダライムガラス基板を両面光学研磨して
用いており、その研磨代が大きくコスト高につながり、
さらに前記基板のレンズ等形成面の反対側面においてイ
オン交換層の深さが大きく、その後のエッチング除去代
も大きいものになっていた。
【0015】他方、マスク膜材質の問題点について以下
に詳しく述べる。従来より、イオン交換法による平板マ
イクロレンズの製法におけるマスク膜は、Ti膜が主に
用いられてきた。このTi膜は、イオン交換浴の高温の
硝酸塩や硫酸塩等に対する耐食性は良好である。イオン
交換処理はイオンの拡散によっているため、一般に長時
間の処理を要する。このため、マスク膜は高温の硝酸塩
や硫酸塩に長時間さらされることになる。
【0016】したがって、Ti膜といえども1〜2μm
の比較的厚い膜厚を必要とする。その成膜方法は、スパ
ッタリング法によるのが一般的であり、その装置は高価
であり、さらに成膜時間も長くかかることから、コスト
が高いものとなってしまう。さらに、Ti自身も比較的
高価な材料である。
【0017】さらにTi膜は、ガラス基板との付着力が
強すぎる点と、化学的耐性の強いことが相まって、この
Ti膜をエッチング法等によって完全に除去することが
困難である、Ti膜除去後のガラス表面が粗れてしま
う、またパターニングの際にそのエッジ部の精度があま
り良くないなどの短所も有している。
【0018】そこで本発明では、上記特開平7−359
04号をさらに改良することを目的とし、具体的には特
別煩雑な工程を付加することなく、前記基板のレンズ等
形成面の反対側の主表面におけるイオン交換層の深さを
制限できる製法を提供する。またさらに、安価なマスク
膜を利用できる方法を提供する。
【0019】
【課題を解決するための手段】そのため本発明では、平
板マイクロレンズアレイに用いるガラス基板として、例
えばフロート法によるガラス基板をそのまま用いること
により、そのボトム面の錫の含有する領域のイオン交換
阻害効果を利用して、ボトム面のスラブ状のイオン交換
層の深さ(厚み)を小さくしておき、さらに少なくとも
錫含有層を除去する。こうして、ボトム面とその反対面
であるレンズ形成面との間の、イオン交換によって発生
する応力の差を減少さることができる。これによりイオ
ン交換後の反りを小さくすることが可能となり、平面度
の良好な平板マイクロレンズアレイを安価に作製するこ
とができる。
【0020】すなわち本発明は、1価のアルカリイオン
を含むガラス基板の表面に、イオン交換法によりその断
面が略半円状の屈折率分布を有するレンズ領域を複数形
成した平板マイクロレンズアレイの製造方法において、
前記ガラス基板は、一方の主表面に錫を含有する層を有
し、他方の主表面にイオンの透過を阻害するマスク膜を
形成し、さらに該マスク膜に所定のパターンをフォトリ
ソ法により形成し、続いて前記アルカリイオンよりイオ
ン半径の大きなイオンを含む溶融塩中に、前記基板を浸
漬してイオン交換処理を行い、前記イオン交換終了後に
少なくとも前記錫含有層を除去することを特徴とする平
板マイクロレンズアレイの製造方法である。
【0021】また、前記ガラス基板はフロート法による
ソーダライムガラス基板であり、前記除去方法はエッチ
ング法である平板マイクロレンズアレイの製造方法であ
る。
【0022】さらに、前記マスク膜は、ITO膜からな
る平板マイクロレンズアレイの製造方法である。
【0023】本発明の平板マイクロレンズアレイにおけ
る各レンズは、半球状レンズでもよいし、レンチキュラ
ーレンズでもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】(予備実験)まず、その表面に錫
含有層の存在するガラス構造体におけるイオン交換阻害
効果を確認するための予備実験を行った。フロート法で
製造されたソーダライムガラス基板のボトム面を、約1
0μm研磨することにより錫含有層を完全に除去した。
この研磨した基板と研磨しない基板(それぞれの寸法
は、300×350mm、厚み2.0mmで同じとし
た)を硝酸タリウムと硝酸カリウムの混合溶融塩に浸漬
し、約500℃,100時間のイオン交換を行った。イ
オン交換後のそれぞれの板の反りをサーフコム触針計
(東京精密製)を用いて測定した。なお、この処理によ
り基板両面に、スラブ状のイオン交換層が形成されてい
ることになる。
【0025】なお、このとき基板の反りの大きさΔR
は、凸面を上になるように置いたときに、凸部の頂点と
反りのないときの前記頂点の対応する位置との差と定義
する(図2を参照のこと)。なお、この図は基板の平面
における一中心線において切断した切断透視図である。
【0026】その結果、研磨した基板では約11μm程
度しか反りが発生しなかったのに対し、研磨を施してい
ない基板ではトップ面が凸形状となる約260μmの反
りが発生していた。つまり、トップ面とボトム面では大
きな応力の差が生じていることがわかった。以上のこと
から、ガラス基板の主表面に錫を含有している層が存在
していると、ガラス中の1価の陽イオンと溶融塩中の1
価の陽イオンの交換を阻害することが明らかとなった。
【0027】(従来作製法の説明)つぎに、基本的なイ
オン交換法による平板マイクロレンズアレイの作製方法
を示す。その手順は、以下に示す通りである。なお、イ
オン拡散法による平板マイクロレンズの作製方法につい
ての詳しい説明は、例えば、及川ほか;MICOOPTICSNEWS
(微小光学研究グループ機関誌,Vol.6,No.1,P19-24)を
参照のこと。
【0028】(a)その両面を研磨したソーダライムガ
ラス材料基板の両主表面を十分に洗浄する。 (b)ガラス材料基板の一方の主表面に、イオン非透過
効果のあるTi膜を、スパッタリング法等で形成する。 (c)周知の技術であるフォトリソグラフィ技術によ
り、所定のパターンの開口部をTi膜に形成させ、マス
ク膜とする。 (d)所定のパターンのマスクを形成したガラス材料基
板を、イオン交換処理用の溶融塩(例えば、Tl,K,
Na等の一価のアルカリ金属を含む硝酸塩など)に浸漬
処理し、レンズ作用を持ったイオン拡散領域を形成す
る。なお、溶融塩は約400〜600℃に保持されてお
り、前記基板はこの中に1分〜1000時間、浸漬処理
される。なおこの場合、基板の裏側の主表面にも同一イ
オンで、一様の厚みを持つイオン拡散層が形成されてい
る。 (e)Ti膜を除去する。 以上のような従来の方法で作製した平板マイクロレンズ
アレイでは、レンズ形成面を凹形状とした反りが認めら
れる。
【0029】(実施例1)本発明では、主表面に錫含有
層を有する基板を用いてイオン交換処理を行うことによ
り、イオン交換後の反りの小さな平板マイクロレンズア
レイを製作することができる。以下に、本発明の実施例
を図1に基づき詳細に説明する。
【0030】以下に、具体的数値例について述べる。な
お、基本的な製法は、上述した従来作製法によった。前
記ソーダライムガラス基板(150×175×2.0m
m)のトップ面11を約3μm研磨した基板1を用い
た。この研磨後のトップ面11にTi膜を成膜し、その
後フォトリソ法により所定のパターンを形成し、マスク
膜2とした(図1(a))。
【0031】つぎに、ボトム面12には錫含有層13を
残したまま、硝酸タリウムと硝酸カリウムの混合溶融塩
浴3に浸漬し、約500℃で100時間イオン交換処理
して平板マイクロレンズアレイを作製した(図1
(b))。
【0032】このイオン交換後の基板の反り量を測定し
た結果、レンズアレイ面が凹面となる形状で、その反り
量は約150μmであることがわかった。また、イオン
交換後ボトム面の錫含有層は茶褐色に着色していた。
【0033】そこで、レンズアレイ面を保護して(例え
ば樹脂フィルム4でカバーする)、フッ酸系のエッチャ
ント5(フッ酸:15体積%,硫酸:6体積%,酢酸:
1体積%,水:78体積%の組成に、若干量のドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムを加える)に浸漬して、
徐々に裏面側の一様厚みのイオン交換層を化学エッチン
グした。このときのエッチング厚みは、ボトム面側を錫
含有層の厚みと等しい10μm程度とした(図1
(c))。
【0034】つづいて、この基板を洗浄し、前記保護フ
ィルム4を剥し、さらに精密洗浄を施すことによって、
目的とする平板マイクロレンズアレイを得た。
【0035】なお錫含有層の除去は、上述した化学的エ
ッチングのほか、機械的研磨でも行うことができる。
【0036】このようにして、着色した層(なおこの層
は、同時にスラブ状のイオン交換層でもある)を完全に
除去することができた。これはつまりイオン交換層も除
去したことになるので、トップ面(レンズアレイ形成
面)とのイオン交換量の差はさらに小さくなり、その結
果応力のバランスが取れて基板の反りが100μm以下
に減少することができた。
【0037】したがってこの基板を切断して、対角約1
00mmの平板マイクロレンズアレイ基板を作製した場
合、基板の反りは30μm以下である。この程度の反り
であれば、液晶パネルと貼合わせても反りの問題を生じ
ることはなかった。
【0038】前述した基板ボトム面の研磨除去の工程に
おいて、基板の反りを見ながら合計で20μm程度除去
したところ、基板の反りをほぼ零とすることができた。
【0039】(実施例2)300×350×2.0mm
のソーダライムガラス基板1のトップ面のみを約3μm
研磨し、この研磨後のトップ面にTi膜を成膜し、さら
にこのTi膜に開口径が100μmで、そのピッチPが
X=170μm,Y=230μmで、m×n個の開口部
をフォトリソグラフィ技術により形成し、マスク膜2と
した。
【0040】溶融塩4は、Tl+とK+を含む混硝酸塩
で、当該ガラスの軟化点付近の温度に保持されている。
前記ガラス基板1を、この溶融塩4中に300時間浸漬
し、イオン交換処理を行った。この場合、前記ガラス基
板の反りの大きさは、約400μmであった。
【0041】なお、この場合のスラブ状のイオン交換層
の厚みは約50μmであり、一方両主表面を研磨したソ
ーダライムガラス基板を用いた場合のそれは約70μm
であり、これに比べて小さいことがわかり、錫含有層の
イオン交換阻止効果が確認できた。
【0042】さらに、この基板のレンズ形成面に、エッ
チャントに対する保護フィルム4(例えば、塩化ビニル
フィルムなど)を貼り、フッ酸系のエッチャント5(フ
ッ酸:15体積%,硫酸:6体積%,酢酸:1体積%,
水:78体積%の組成に、若干量のドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムを加える)に浸漬して、徐々に裏面
側の一様厚みのイオン交換層を化学エッチングした。こ
の場合、化学エッチングによる除去厚みが約20μmの
時、基板の反りをほぼ零にすることができた。
【0043】つづいて、この基板を洗浄し、前記保護フ
ィルム4を剥し、精密洗浄を施すことによって、目的と
する平板マイクロレンズアレイを得た。
【0044】(実施例3)ITOマスク膜を用いた実施
例について述べる。150×175×2.0mmのソー
ダライムガラス基板のトップ面のみを約3μm研磨し、
この研磨後のトップ面にITO膜を160nmの厚みで
形成し、さらにこのITO膜に開口径が55μmで、そ
のピッチPがX=120μm,Y=120μmで、m×
n個の開口部をフォトリソグラフィ技術により形成し、
マスク膜とした。なお、ITOマスク膜の開口部の精度
は、Tiマスク膜のそれに比べて優れていた。
【0045】溶融塩は、Tl+とK+を含む混硝酸塩で、
当該ガラスの軟化点付近の温度に保持されている。前記
ガラス基板1を、この溶融塩中に100時間浸漬し、イ
オン交換処理を行った。この場合、前記ガラス基板の反
りの大きさは、約170μmであった。
【0046】この基板のボトム面をエッチングによる除
去厚みを60μm程度としたところ、基板の反りはほぼ
零となった。図3に、ITOマスク膜を用いた場合にお
ける化学エッチングによる除去厚みと基板の反りとの関
係を示した。
【0047】この場合、Tiマスク膜を用いた実施例
1,2と比べて、反り低減のためのエッチング除去厚み
は増えるものの、成膜コストやマスク膜の除去コストを
低減することができた。
【0048】なお、ITOマスク膜を用いた場合のレン
ズ形成面の表面状態は、Tiマスク膜を用いた場合のそ
れに比べて、荒れていないことが確認できた。
【0049】(比較例1)上述の実施例3と同様で、両
面を研磨した基板(トップ面10μm,ボトム面20μ
m)を用いた場合では、前記ガラス基板の反りの大きさ
は、約250μmであった。この場合、エッチングによ
る除去厚みを約80μm、さらにそれ以上としても、基
板の反りをほぼ零にすることはできなかった。図3参
照。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、錫含有層のイオン交換
阻害効果により、平板マイクロレンズアレイのレンズ形
成面の反対面のイオン交換の深さを小さくすることがで
きる。その結果、イオン交換法による平板マイクロレン
ズアレイの基板の反りを小さくすることが可能となる。
【0051】したがって、基板の反りを考慮することな
く、目的とするレンズの光学特性を得ることだけを考慮
して、上記A/rmを設計することが可能となり、収差
の小さい良好な光学性能を持つマイクロレンズアレイを
作製することが可能となる。
【0052】また、イオン交換後にボトム面の錫含有部
分を化学エッチングまたは機械研磨などで除去すること
により、さらに応力バランスが取れ、反りのない平板マ
イクロレンズアレイを作製することが可能となる。この
ような平板マイクロレンズアレイは取扱いも容易であ
り、液晶パネルとの貼合わせ工程を安定に行うことがで
きる。
【0053】また特開平7−35904号に比べて、特
別煩雑な工程を付加することなく、元々のガラス基板の
研磨代が小さくすることができ、さらに前記基板のレン
ズ形成面の反対側面におけるイオン交換層の深さを制限
できるため、その後のエッチング代を小さくすることが
できる。ひいては平板マイクロレンズアレイのコストダ
ウンにつながる。
【0054】またさらに、これまでITO膜等は、イオ
ン交換後の基板の反りが大きくなるとして、マスク膜と
して用いることができなかった。しかしながら、本発明
のイオン交換法による平板マイクロレンズの製造方法に
おいては、ITO等の耐蝕性保護皮膜を、マスク膜とし
て用いることが可能となる。したがって、Tiマスク膜
の代りに、ITO等耐蝕性保護皮膜をマスク膜として用
いることにより、大幅なコストダウンを図ることができ
る。
【0055】加えて、ITOマスク膜では、パターニン
グの精度に優れているので、より光学特性の良いレンズ
を形成することができる。
【0056】さらにITOマスク膜は、化学エッチング
除去しやすいという特徴を有しているため、マスク膜の
除去後のレンズ形成面の表面精度がよいという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による平板マイクロレンズアレイの製造
法を説明する概念図。
【図2】基板の反りの定義を説明する図。
【図3】ITOマスク膜を用いた場合におけるエッチン
グによる除去厚みと基板の反りとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:ソーダライムガラス基板, 11:フロート法によるガラス基板のトップ面, 12:フロート法によるガラス基板のボトム面, 13:フロート法によるガラス基板のボトム面の錫含有
層, 2:マスク膜, 3:イオン交換用溶融塩浴, 4:樹脂フィルム, 5:エッチャント,

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1価のアルカリイオンを含むガラス基板
    の表面に、イオン交換法によりその断面が略半円状の屈
    折率分布を有するレンズ領域を複数形成した平板マイク
    ロレンズアレイの製造方法において、 前記ガラス基板は、一方の主表面に錫を含有する層を有
    し、他方の主表面にイオンの透過を阻害するマスク膜を
    形成し、さらに該マスク膜に所定のパターンをフォトリ
    ソ法により形成し、続いて前記アルカリイオンよりイオ
    ン半径の大きなイオンを含む溶融塩中に、前記基板を浸
    漬してイオン交換処理を行い、前記イオン交換終了後に
    少なくとも前記錫含有層を除去することを特徴とする平
    板マイクロレンズアレイの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ガラス基板はフロート法によるソー
    ダライムガラス基板であり、前記除去方法はエッチング
    法である請求項1に記載の平板マイクロレンズアレイの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記マスク膜は、ITO膜からなる請求
    項1または2に記載の平板マイクロレンズアレイの製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100465667C (zh) * 2006-08-14 2009-03-04 西南大学 方形孔径自聚焦透镜阵列及其制作方法
CN103058506A (zh) * 2011-10-20 2013-04-24 雅士晶业股份有限公司 在玻璃基板表面形成压应力层图案的方法及依该方法制成玻璃基板

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