以下、本発明に係る制動装置、及び、それを用いた日射遮蔽装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
1.第1実施形態
1−1<全体構成>
図1に示される遮蔽装置100Aは、中空のヘッドボックス130から複数本のラダーコード123を介して複数段の日射遮蔽部材101が吊下支持され、同ラダーコード123の下端にはボトムレール122が吊下支持されている。ヘッドボックス130は、上面131、底面132、側面133により構成される。そして、その両端にボックスキャップ134が設けられる。また、ヘッドボックス130の内部には、操作棒108内にコードCDを挿通するためのコード出口135が設けられる。ラダーコード123は、日射遮蔽部材101を支持及び回動可能なものであればその構成は限定されず、例えば、互いに分離された2本の縦糸を備え、一方の縦糸がスラットの一方の縁に取着され、他方の縦糸がスラットの他方の縁に取着されるような構成であってもよい。
ヘッドボックス130内には支持部材(図示せず)が複数個配設され、その支持部材にはチルトドラム(図示せず)が回転可能に支持される。ラダーコード123の上端部は、チルトドラムに取着され、そのチルトドラムの中心部にはシャフト124(軸部材)が全てのチルトドラムに嵌挿されている。従って、シャフト124が回転されると、全てのチルトドラムが回転され、そのチルトドラムの回転にともなって、ラダーコード123の縦糸の一方が引き上げられることにより、各日射遮蔽部材101及びボトムレール122が同位相で角度調節される。
ヘッドボックス130の一端部には筒体からなる操作棒108が吊下支持されており、操作棒108の下端には操作部120が設けられている。操作部120を把持して操作棒108を回転操作すると、ヘッドボックス130内に配設されるギヤ機構を介して角度調節軸が回転される。従って、操作棒108の回転操作により、各日射遮蔽部材101を角度調節可能となっている。
ヘッドボックス130からは複数本(本実施形態では3本)の昇降コード102l,102c,102r(区別が不要な場合は単に「昇降コード102」と称する。)が吊下されており、各昇降コード102の一端はボトムレール122に取着される。各支持部材には転向滑車(図示せず)が図面の表裏方向の軸心で軸支され、ヘッドボックス130に導入された昇降コード102がヘッドボックスの左右方向に転向案内可能となっている。また、各支持部材は他の昇降コードを左右方向に通過可能な空間を有している。従って、右端の昇降コード102rの他端は支持部材で転向案内され、非操作側の昇降コード(左端及び中央の昇降コード102l,102c)は各支持部材を経て、ヘッドボックス130内を操作棒108方向に案内される。そして、ヘッドボックス130内に設けられるロック部104及び制動装置1000を経て、筒状の操作棒108内に挿通され、その先端は操作部120の下方に設けられたコードイコライザ121に接続される。したがって、コードイコライザ121を下方へ引いて、ヘッドボックス130から昇降コード102を引き出すと、ボトムレール122が引き上げられることにより、日射遮蔽部材101が引き上げられる。
ロック部104は、コードCD(図4参照)の動作により、コードCDの移動を許可し又は規制する。
制動装置1000はコードCDの移動を制動するものである。なお、制動装置1000の構成及び動作については後述する。制動装置1000は、ヘッドボックス130の底面132上に配置され、その両端が側面133によって位置決めされる。なお、制動装置1000を底面132に配置することに変えて、底面132上に設けた他の部材の上に配置することとしてもよい。
制動装置1000は、ヘッドボックス130内において、図4に示す前方がロック部104側を向き、後方がコード出口135側を向くように配置される。したがって、日射遮蔽部材101が下降しきった状態、すなわち遮蔽装置100Aの閉状態において、一組のコードCDを下方に引っ張ると、コードCDは図4に示す後方に引かれる。
一方、日射遮蔽部材101が下降しきっていない状態において、ロック部104によりコードCDがロックされていない状態でコードCDを離す。すると、日射遮蔽部材101は自重により下降する。このため、昇降コード102はヘッドボックス130内から引き出される。したがって、昇降コード102に接続されるコードCDは、制動装置1000の前方に向かって引かれる。すると、コードCDには制動力が付与される。したがって、日射遮蔽部材101の下降速度が抑えられる。このため、日射遮蔽部材101の下降速度が超過することによる破損等を抑制することができる。なお、かかる動作については、後述の図18を用いて詳細に説明する。
以上説明したように本実施形態の遮蔽装置100Aによれば、日射遮蔽部材101を昇降可能とするコードCDの長手方向の移動に対して、制動装置1000により適切に制動力が付与されるため、例えば、上記のように日射遮蔽部材101が自重により下降する場合であっても、日射遮蔽部材101の下降速度を抑えることができる。
1−2<制動装置>
次に、図2〜図22を用いて、制動装置1000について説明する。本実施形態に係る制動装置1000は、コードの移動を制動する制動装置である。具体的には、本実施形態に係る制動装置1000では、運動変換部に係る機構と抵抗付与部に係る機構が略垂直に位置するように設けられる。本実施形態では、運動変換部は、コードCDの移動を他の部材の運動に変換するものである。また、抵抗付与部は、コードCDが一方向に相対移動するときに、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させるものである。ここで、本実施形態においては、スライダー220、コイルスプリングSP、軸芯41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ローレット240、ピニオンギア50、軸芯31、ワッシャー241、内歯付キャリア260及び遊星歯車280が、運動変換部を構成し、ウェイト340、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びケース10Aが、抵抗付与部を構成する。
図2及び図3は、本実施形態に係る制動装置1000の分解斜視図である。制動装置1000は、整列部材200、ケース10A、スライダー220、コイルスプリングSP、軸芯41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ローレット240、ピニオンギア50、ローレット240及びピニオンギア50を挿通する軸芯31、ワッシャー241、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320、ウェイト340及びベース70により構成される。
本実施形態において、アイドルローラ40及びローレット240は、コードを挟着する一対の挟着部材(第1挟着部材及び第2挟着部材)であり、これらが協働することにより挟着体として機能する。また、アイドルローラ40が支柱に、ローレット240がコードの長手方向の移動により回転するローラとして機能する。また、スライダー220は、アイドルローラ40及びローレット240を保持する。また、ケース10A及びベース70は、例えば樹脂により形成される。
図2及び図3に示されるように、本実施形態では、内歯付キャリア260に4つの遊星歯車280が設けられ、太陽歯車付ウェイトホルダ320に8つのウェイト340が保持される。以下、各部材について説明する。
1−2−1<整列部材200>
図4(a),(b)に示されるように、整列部材200は、コードCDを挿通し、コードCDの向きを整えるものである。また、複数のコードCDを互いに同じ向きに整列させるものである。整列部材200は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成することができる。ここで、図4(a)に示されるように、矢印の向きをそれぞれ前後、左右、上下とする。すなわち、第1天壁溝16と第2天壁溝17の距離が狭くなる向きを前方とし、左右方向(幅方向)、上下方向を定める。
図10(a)に示されるように、整列部材200は、前方壁部205と、前方壁部205に連結される右側壁部207及び左側壁部208と、右側壁部207及び左側壁部208のそれぞれに連結される後方壁部206と、を有する。前方壁部205、右側壁部207、左側壁部208及び後方壁部206の形状は任意であるが、本実施形態では、それぞれ概ね矩形の形状とされる。また、本実施形態では、前方壁部205及び後方壁部206は、略対称形状である。
前方壁部205には第1前方溝201、第1前方コード挿入部201A、第2前方溝202及び第2前方コード挿入部202Aが形成される。また、後方壁部206には、第1後方溝203、第1後方コード挿入部203A、第2後方溝204及び第2後方コード挿入部204Aが形成される。
第1前方コード挿入部201A及び第2前方コード挿入部202Aは、制動装置1000の組立後にコードCDを整列部材200に挿通するためのものである。第1前方コード挿入部201Aは、第1前方溝201よりも幅広に形成される。また、第2前方コード挿入部202Aは、第2前方溝202よりも幅広に形成される。したがって、第1前方コード挿入部201A及び第2前方コード挿入部202AにコードCDを挿通し、そのまま第1前方溝201及び第2前方溝202の方へコードCDをスライドさせることで、コードCDをスムーズに挿通することが可能となる。
また、第1後方コード挿入部203A及び第2後方コード挿入部204Aは、前方壁部205に挿通されたコードCDが後述するスライダー220の前後の貫通孔225(図13参照)を通過し、かかるコードCDを後方壁部206から外部に引き出すためのものである。第1後方コード挿入部203Aは、第1後方溝203よりも幅広に形成される。また、第2後方コード挿入部204Aは、第2後方溝204よりも幅広に形成される。したがって、第1後方コード挿入部203A及び第2後方コード挿入部204AにコードCDを挿通し、そのまま第1後方溝203及び第2後方溝204の方へコードCDをスライドさせることで、コードCDをスムーズに挿通することが可能となる。
なお、第1前方コード挿入部201A、第2前方コード挿入部202A、第1後方コード挿入部203A及び第2後方コード挿入部204Aの形状は任意であり、図10に示した形状に限定されない。例えば、略円形でもよく、縦長形状から斜め形状を経て第1前方溝201(その他の溝でも同じ)に接続されてもよい。更に、本実施形態では、第1前方コード挿入部201Aと第1前方溝201の間に段差210が設けられているが、かかる段差210を設けず、前方壁部205(又は後方壁部206)を略矩形としてもよい。
図10(b)に示されるように、本実施形態では、前方壁部205及び後方壁部206は正面視において略同一形状とされる。したがって、第1前方コード挿入部201Aから挿通されたコードCDは第1後方コード挿入部203Aを通過し、第2前方コード挿入部202Aから挿通されたコードCDは第2後方コード挿入部204Aを通過する。換言すると、第1前方溝201及び第1前方コード挿入部201Aと第1後方溝203及び第1後方コード挿入部203Aがそれぞれ対応する一対の溝であり、第2前方溝202及び第2前方コード挿入部202Aと第2後方溝204及び第2後方コード挿入部204Aがそれぞれ対応する一対の溝である。
ここで、図10(a)に示されるように、整列部材200の右側壁部207には、制動装置1000の組立時においてケース10Aの上方から被せるようにして一体化するときに、後述するケース10Aの係合孔19(図11参照)と係合し、整列部材200をケース10Aに固定するための爪部209が設けられる。なお、図10において表れていないが、左側壁部208の内方の面にも同様の爪部209が対向するように設けられる。これにより、右側壁部207と左側壁部208が外方向に弾性変形しながらケース上部10Aが入り、整列部材200に設けられた2つの爪部209とケース10Aの左右に設けられた2つの係合孔19とが弾性的に係合することが可能となる。
1−2−2<ケース10A>
次に、図11(a),(b)及び図12を用いてケース10Aについて説明する。なお、以下、図12において左向きを前方、右向きを後方、上向きを右側、下向きを左側として説明する。ケース10Aは、ベース70とともに筐体を構成し、その内部にスライダー220、コイルスプリングSP、軸芯41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ローレット240、ピニオンギア50、軸芯31、ワッシャー241、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340を保持する。
また、ケース10Aは、例えば図15に示されるベース70とともに制動装置1000の筐体を構成するものである。また、例えば図15に示される太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340とともに、抵抗付与部を構成するものである。
図11に示されるように、ケース10Aは、外形が概ね正方形の天壁部11と、前側壁部12fと、前側壁部12f及び天壁部11に連結される右側壁部12r及び左側壁部12lと、右側壁部12r及び左側壁部12lのそれぞれに連結される後側壁部12bと、天壁部11に対向し、前側壁部12f、後側壁部12b、前側壁部12f及び左側壁部12lから径方向側に向かって延在する鍔部13と、鍔部13に連結される円筒部13Cと、円筒部13Cに連結されるカバー部112とを主な構成として有する。
前側壁部12f及び後側壁部12bには、ガイド溝113が形成されている。これら2つのガイド溝113は、互いに前後方向に対向している。これらのガイド溝113はコードCDが前後方向に挿通されるための溝である。ここで、ガイド溝113に挿通するコードCDの数は特に限定されないが、本実施形態では3本のコードCDが縦方向に挿通された例について示している(図4参照)。
また、右側壁部12r及び左側壁部12lには、係合孔19が設けられる。係合孔19は、すでに述べた通り、整列部材200の爪部209と係合し、整列部材200をケース10Aに固定するものである。
更に、左右の係合孔19の上方には支持溝114が設けられる。支持溝114は、図4に示されるように、ケース10Aがスライダー220を内部に保持するにあたり、スライダー220に設けられる突起230を支持するものである。これにより、スライダー220を浮き状態で支持することができる。なお、詳細は後述する。
天壁部11には、第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されている。図12(a)に示されるように、第1天壁溝16及び第2天壁溝17は、それぞれコードCDの長手方向すなわち前後方向に対して斜めに形成されており、コードCDの一方の長手方向である前方に向かうにつれて、第1天壁溝16と第2天壁溝17との距離が小さくされている。つまり、また、第1天壁溝16は円弧状に形成されており、挟着案内斜面16a、解除案内斜面16b、挟着側規制面16c及び解除側規制面16dにより内周面が形成される。第1天壁溝16の円弧は、図7に示される内歯付キャリア260の内周面と平面視において同心円上となるように形成される。一方、第2天壁溝17は緩やかなカーブを描いた形状に形成され、挟着案内斜面17a、解除案内斜面17b、挟着側規制面17c及び解除側規制面17dにより内周面が形成される。具体的には、第2天壁溝17は、前方側が略直線状の形状とされ、後方に向かうにつれて、第1天壁溝16から離れる向きに湾曲している。これは、第2天壁溝17を略直線状とした場合、第1天壁溝16は後方から前方に向かってコードCDに近づくような円弧であるので、例えば軸芯31及び軸芯41がそれぞれ第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って移動するときに、コードCDに対する垂直方向の変位が、軸芯31と軸芯41とで異なってしまうことを防ぐためである。つまり、一方が円弧であるのに対し、他方が略直線状であると、前後方向においてコードCDへの垂直距離が異なるためである。このように、軸芯31及び軸芯41のコードCDの鉛直方向に対する変位を近接させることにより、ローレット240及びローラ部42が適切にコードCDを挟着することが可能となる。なお、第2天壁溝17はこれに限定されず、例えば、第1天壁溝16と略同一形状の溝を、コードCD側に向かって湾曲する配置としてもよい。これにより、CDに対する鉛直方向の変位を、軸芯31と軸芯41とで略同一にすることができ、コードCDの摩耗を低減することが可能となる。ここで、第2実施形態では、CDに対する鉛直方向の変位を、軸芯31と軸芯41とでなるべく同じにすることに加え、他の部材の移動等による相互作用等を考慮し、図12(a)に示される形状を採用した。ここで、本実施形態では、第1天壁溝16と第2天壁溝17は、互いに異なる曲率を有するといえる。
第1天壁溝16の縁には、図11(a),(b)、図12(a)に示されるように、ケース10Aの平面視において、第1天壁溝16におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置の少なくとも一部に、第1天壁溝16から上方に突出する第1ガイド壁16Aが設けられる。本実施形態では、第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に対して略90度となるように設けられる。第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に沿って移動する軸芯31の面圧を下げることを目的としている。つまり、第1ガイド壁16Aを設けることにより、軸芯31と接触する面積が増大することにより、軸芯31の面圧を低減するものである。これは、コードCDに張力が与えられ、制動装置1000が作用している間は軸芯31の面圧が第1天壁溝16の内面に加わっており、かかる面圧により第1天壁溝16の内面が削れると、ローレット240とローラ部42の間隔が変化して、ローレット240への回転伝達が不十分になる恐れがあるためである。第1ガイド壁16Aを設けることにより、軸芯31からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。なお、第1ガイド壁16Aの肉厚は任意であるが、ケース10Aの素材、軸芯31の移動速度等を考慮して適宜設計すればよい。
また、ケース10Aの平面視において、第2天壁溝17におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置には、ケース10Aの中心から遠方に位置する縁に沿った位置の少なくとも一部に、第2天壁溝17から上方に突出する第2ガイド壁17Aが設けられる。本実施形態では、第2ガイド壁17Aは、第2天壁溝17に対して略90度となるように設けられる。第2ガイド壁17Aは、第2天壁溝17に沿って移動する軸芯41の面圧を下げることを目的としている。つまり、第2ガイド壁17Aを設けることにより、軸芯41と接触する面積が増大することにより、軸芯41の面圧を低減するものである。これは、コードCDに張力が与えられ、制動装置1000が作用している間は軸芯41の面圧が第2天壁溝17の内面に加わっており、かかる面圧により第2天壁溝17の内面が削れると、ローレット240とローラ部42の間隔が変化して、ローレット240への回転伝達が不十分になる恐れがあるためである。第2ガイド壁17Aを設けることにより、軸芯41からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。なお、第2ガイド壁17Aの肉厚は任意であるが、ケース10Aの素材、軸芯41の移動速度等を考慮して適宜設計すればよい。
なお、ケース10Aを金属等の強固な材料で成形した場合には、第1ガイド壁16A及び第2ガイド壁17Aを設けなくてもよい。これは、ケース10Aが堅牢であるので、軸芯31及び軸芯41からの圧力によりケース10Aがほとんど削れることがないためである。
鍔部13は、天壁部11に対向し、前側壁部12f、後側壁部12b、右側壁部12r及び左側壁部12lから径方向側に向かって延在する部位であり、本実施形態では略円形とされる。
円筒部13Cは、鍔部13に連結され、内周ギア115の外側に位置する。本実施形態では、円筒部13Cは、略円筒状の形状とされる。
カバー部112は、円筒部13Cに連結され、ベース70と嵌合する箇所である。本実施形態では、カバー部112の外縁は略正方形とされる。そして、カバー部112は、左右の側面の両端にそれぞれ2つの第1係合溝111Aが設けられる。そして、前端部の両端に2つの第2係合溝111Bが設けられ、後端部の略中央に1つの第2係合溝111Bが設けられる。第1係合溝111Aは、図6に示されるベース70の第1係合板部701Aと係合するものである。また、第2係合溝111Bは、ベース70の第2係合板部701Bと係合するものである。これにより、ケース10Aとベース70が係合され、筐体を形成する。
次に、図12(b)、図14(a)及び図16を用いて、ケース10Aの内部構造について説明する。ケース10Aの内部には、図16に示されるように、遊星歯車280と歯合するリング状の内周ギア115が形成される。そして、図12(b)及び図14(a)に示されるように、内周ギア115の上部には、平面視において略リング状の波形部116が形成される。波形部116は、内周ギア115の中心を通る円の中心からの水平距離が小さい部分及び大きい部分が交互に並んでおり、平面視においてジグザグ形状となる形状である。具体的には、多数の直線を結んでできる多角形状をなしている。ここで、本実施形態では、内周ギア115の中心を通る円の中心からの水平距離が大きい部分が内歯付キャリア260の一部と当接し、内周ギア115の中心を通る円の中心からの水平距離が小さい部分が内歯付キャリア260と当接しないように波形部116が構成される。更に、ケース10Aの内部における鍔部13の内面側の面には、ケース10Aの鉛直方向における高さの異なる段差117が設けられる。波形部116及び段差117を設けることにより、例えばコードCDの移動に伴い鉛直方向の物理的又は仮想的回転軸を中心に回転する回転部材の一例である内歯付キャリア260等の他の部材の位置決めを容易にし且つ摩擦抵抗を低減することができる。なお、本実施形態における内歯付キャリア260は、回転部材であるとともに、遊星歯車280を備えているため、コードCDの一方向への移動に伴うローレット240の回転速度を増速して抵抗付与部RAへ伝達する増速部材であるとも言える。ここで、物理的又は仮想的回転軸とは、回転部材の回転軸が物理的な軸である場合、又は、物理的な軸はないものの仮想的な軸(例えば、ウェイトホルダ320(図2、図3参照)の平面視における中心点を通る鉛直軸)である場合を意味する。
また、図14に示されるように、ケース10Aの左右の内側面には、4つの溝118が形成される。溝118は、制動装置1000を組み立てる又は分解する際に、後述するスライダー220の突起230を通すためのものである。本実施形態では、スライダー220の突起230が4つであるため、ケース10Aにも4つの溝118を設けている。
1−2−3<スライダー220>
次に、図13を用いてスライダー220について説明する。スライダー220は、アイドルローラ40及びローレット240を内部に保持し且つアイドルローラ40及びローレット240と共に移動する移動部材に相当する。スライダー220は、天壁部221と、天壁部221に連結される後側壁部222及び前側壁部224と、後側壁部222及び前側壁部224のそれぞれに連結される底壁部223とを有する。
天壁部221は概ね矩形の形状に一対の溝が形成された形状とされる。これら一対の溝はそれぞれ第1天壁溝226及び第2天壁溝227とされる。第1天壁溝226及び第2天壁溝227は、それぞれ左右方向に沿って延在する直線状の溝とされ、互いに直線上に並んでいる。
底壁部223は天壁部221と対向する。本実施形態では、底壁部223は、概ね天壁部221と同じ形状とされる。しかし、天壁部221と底壁部223を異なる形状としてもよい。底壁部223にも左右方向に直線上に並んで形成される一対の溝が形成されており、これら一対の溝はそれぞれ第1底壁溝228及び第2底壁溝229とされる。第1底壁溝228が第1天壁溝226と上下方向に対向しており、第2底壁溝229が第2天壁溝227と上下方向に対向している。したがって、スライダー220を平面視すると、図13(c)に示されるように、上下の溝が重なって見える。
ここで、第1天壁溝226及び第1底壁溝228の幅の大きさは、軸芯31の直径が収まる程度の大きさである。また、第2天壁溝227及び第2底壁溝229の幅の大きさは、軸芯41が収まる程度の大きさである。
また、天壁部221には、その四隅に天壁部221の左右へ突出するように突起230が設けられる。図4に示されるように、突起230は、ケース10Aの支持溝114に収められ、ケース10Aの内部にスライダー220を浮き状態で支持するためのものである。すなわち、スライダー220が、下方に位置する内歯付キャリア260と非接触状態で保持される。
前側壁部224及び後側壁部222には、貫通孔225が形成されている。貫通孔225は、前側壁部224及び後側壁部222の幅方向の略中央において前側壁部224及び後側壁部222を前後方向に貫通する。孔の形状は任意であるが、少なくともコードCD1本が挿通可能な程度である。好ましくは、複数本のコードCDが縦方向に整列した状態で挿通可能な形状である。なお、本実施形態では、上下方向に長い略長円形の形状とされる。
また、図13(b)に示されるように、後側壁部222には、貫通孔225の両脇に、後側壁部222の外側面から形成される凹部231が形成されている。凹部231の形状は任意であり、図13(b)に示されるような貫通孔225から側面側にかけて切り欠かれた形状でもよく、略円形、略矩形の凹み等であってもよい。また、本実施形態では、左側の凹部231内にコイルスプリングSPが配置されており、コイルスプリングSPの一端は凹部231から突出している。そして、制動装置1000の組立時において、ケース10Aの内壁と当接し、スライダー220を前方に付勢する。なお、図13ではコイルスプリングSPの凹部231から突出している部分を省略している。また、右側の凹部231内にコイルスプリングSPを配置してもよい。更に、左右両方の凹部231内にコイルスプリングSPを配置してもよい。
このような形状のスライダー220の左右方向の大きさは、ケース10Aの幅方向の内壁間の距離と概ね同じであり、スライダー220の前後方向の大きさは、ケース10Aの前後方向の内壁間の距離よりも小さくされる。したがって、スライダー220がケース10Aの空間内に配置されると、スライダー220の天壁部221及び底壁部223の側面がケース10Aの幅方向において内壁面に当接して、スライダー220はケース10Aに対して幅方向に動きが規制される。この状態において、ケース10Aのガイド溝113とスライダー220の貫通孔225とが互いに前後方向に並ぶ。つまり、貫通孔225は、コードCDをスライダー220内に挿通するための孔である。一方、スライダー220がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー220とケース10Aの内壁面との間には、前後方向に隙間が生じ、スライダー220はケース10Aに対して前後方向に動くことができる。また、スライダー220がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー220の後側壁部222の凹部231から突出するコイルスプリングSPがケース10Aの後方の内壁を押圧する。したがって、スライダー220がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー220は、前方側に位置し、ケース10A内において前方に押圧された状態となる。
ここで、図14を用いて、スライダー220の突起230について詳細に説明する。図14に示されるように、制動装置1000を組み立てる際には、ケース10A内部の下方にスライダー220が位置するように配置し、両者が接近するように上下方向に相対移動させる。そして、ケース10Aの内部に設けられた溝118にスライダー220に設けられた突起230を通す。なお、図14(a)において、可視性を高めるために溝118を強調して表している。そして、図4に示すように、突起230が支持溝114まで到達するまでケース10Aとスライダー220を近づける。すると、スライダー220に設けられたコイルスプリングSPがケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー220を前方に付勢することにより、突起230が溝118よりも前方に位置することとなる。このため、ひとたびケース10Aにスライダー220を取り付けると、突起230が支持溝114から外れることを防止できる。なお、溝118は制動装置1000の組み立て時のみならず、分解時においても突起230を通す役割をする。この場合、コイルスプリングSPの付勢力に抗してスライダー220をケース10Aに対して相対的に後方に移動させ、突起230が溝118の位置まで到達したときに、スライダー220をケース10Aに対して相対的に下側に移動させればよい。
このような構成とすることで、スライダー220をケース10A内部において浮き状態で支持することが可能となる。そのため、スライダー220と他の部品、例えば内歯付キャリア260等との接触を防止することができ、不要な抵抗力を低減又はゼロにすることができる。したがって、各部材の消耗を低減することが可能となる。
1−2−4<アイドルローラ40、ローレット240及びピニオンギア50>
次に、図3及び図15を用いて、アイドルローラ40、ローレット240及びピニオンギア50について説明する。
アイドルローラ40は、ローラ部42及び軸芯41で構成される。また、アイドルローラ40は、ローレット240の軸芯31と平行な軸芯41と、軸芯41の外周面を覆うローラ部42とを有する。したがって、ローレット240の回転軸とアイドルローラ40の回転軸とは互いに平行とされる。アイドルローラ40のローラ部42の外径は、ローレット240の外径よりも大きくされている。アイドルローラ40のローラ部42の外周面は、金属の平坦な面よりも摩擦係数が高い状態とされる。また、軸芯41の両端部は、ローラ部42から露出している。
ローレット240の中心には軸芯31の一端が挿入されている。そして、軸芯31の他端には、ピニオンギア50が挿入されている。ローレット240は任意の材料で形成することができ、例えばステンレスを用いることが可能である。
アイドルローラ40及びローレット240はスライダー220の内部に保持される。また、ピニオンギア50は、スライダー220の外部に保持される。ここで、図9を用いてローレット240、スライダー220及びピニオンギア50の位置関係について説明する。図9は、本実施形態に係る制動装置1000の左側面から見て軸芯31の略中心を通る断面図の一部である。図9に示されるように、制動装置1000の組み立て時において、ローレット240とピニオンギア50でスライダー220の底壁部223を挟み込むような構成となっている。また、本実施形態では、ピニオンギア50とスライダー220の接触面積を低減すべく、ピニオンギア50に段差51が設けられる。これにより、軸芯31を介してローレット240及びピニオンギア50が一体回転するときに、ピニオンギア50とスライダー220との間の摺動抵抗を低減することができる。これにより、回転動作を滑らかにすることが可能となる。なお、抵抗を低減するために、本実施形態では、ピニオンギア50の下側において、ワッシャー241(図2及び図3参照)を軸芯31にかましている。
1−2−5<内歯付キャリア260及び遊星歯車280>
次に、図2及び図15を用いて内歯付キャリア260及び遊星歯車280について説明する。本実施形態では、内歯付キャリア260は、平面視において略ドーナツ形状である。内歯付キャリア260は、円柱部264から平面視において外側に突出するフランジ262を備える。
円柱部264の内側の内周面には、ピニオンギア50と歯合する内歯車261が形成される。そして、フランジ262には、鉛直方向において下向きに突出する支持軸263が形成される。支持軸263の個数は特に限定されないが、特に等間隔であることが好ましい。なお、本実施形態では、一例として支持軸263が4つ設けられた構成としている。
そして、支持軸263にはそれぞれ、遊星歯車280が回転可能に支持されている。遊星歯車280は、後述する太陽歯車323と、ケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。そして、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能である。したがって、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達されることにより内歯付キャリア260が回転し、それにともない内歯付キャリア260のフランジ262に設けられた支持軸263に回転可能に支持された遊星歯車280が回転することで、ピニオンギア50に起因する回転を増速させることが可能となる。また、遊星歯車280には段差281が設けられている。かかる段差により、他の部材との接触を回避することが可能となる。
1−2−6<太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340>
次に、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340について、図2及び図15を用いて説明する。ウェイト340は、ケース10A内のベース70に載置され且つ制動対象からの回転入力により径方向外側に遠心力が加えられる遠心拡張部の一例である。太陽歯車付ウェイトホルダ320は、リング状のリング部324の外方に向かって、凸部321及び凹部322が交互に並んで形成される。ここで、凸部321は、太陽歯車付ウェイトホルダ320の自転の際にウェイト340の側面と当接する部材である。図2に示されるように、リング部324の外側の外周面には、遊星歯車280と歯合する太陽歯車323が、回転軸が凸部321の延在方向と略垂直方向を向くように設けられる。そして、それぞれの凹部322には、ウェイト340が配置される。つまり、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、制動装置1000の組み立て時において、凸部321を境としてそれぞれの凹部322内にウェイト340を保持する部材であるとも言える。なお、ウェイト340の数は任意であるが、回転時におけるバランスの観点から等間隔であることが好ましい。なお、本実施形態では、一例として8つのウェイト340を用いている。したがって、凸部321及び凹部322もそれぞれ8つずつ設けられている。すなわち、凹部322は、それぞれが等間隔且つ太陽歯車付ウェイトホルダ320の自転中心から等距離に配置されることとなる。
本実施形態では、各ウェイト340には、ベース70側に突起341が設けられる。これにより、ウェイト340とベース70の接触面の少なくとも一部に段差が設けられる。したがって、ベース70と当接する際における抵抗を低減することが可能となる。突起341の数は任意であるが、本実施形態では、一例として4つの突起341を設けている。
ウェイト340は、ピニオンギア50に起因する回転時において、遠心力により内歯車261の中心から遠ざかる方向に移動し、ケース10Aの内周壁と当接することにより、回転に対して遠心ブレーキとして抵抗力を付与するものである。したがって、ケース10Aの内周壁、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340により、抵抗付与部としての作用を奏することが可能となる。
なお、制動装置1000の組み立て時においては、内歯付キャリア260と太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。具体的には、内歯付キャリア260の円柱部264を太陽歯車付ウェイトホルダ320のリング部324に挿入するように組み立てる。したがって、円柱部264の直径は、リング部324の直径よりもわずかに小さく設計される。
ここで、プレート300は、遊星歯車280の傾きを防止するとともに、遊星歯車280とウェイト340の干渉を防ぐ機能を有する。なお、ウェイト340は、制動装置1000全体の厚さを薄くするために、なるべく薄く形成されることが好ましい。さらに、プレート300は、薄く形成するため金属製とするのが好ましいが、技術的に可能である場合には、プレート300を樹脂形成してもよい。この場合、太陽歯車323と一体形成としてもよい。
1−2−7<ベース70>
次に、図2、図3、図5(b)及び図15を用いて、ベース70について説明する。図2及び図3に示されるように、ベース70の略中央には、周囲より嵩高くなっており、下側が凹んでいる円柱部708が設けられる。そして、図2及び図5(b)に示されるように、円柱部708の上面に第1ベース溝706、第1ガイド壁706A、第2ベース溝707、第2ガイド壁707Aが設けられる。
第1ベース溝706及び第1ガイド壁706Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第1天壁溝16及び第1ガイド壁16Aに相当するものである。そして、軸芯31の下端が第1ベース溝706を挿通し、その縁に形成された第1ガイド壁706Aと当接する。同様に、第2ベース溝707及び第2ガイド壁707Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第2天壁溝17及び第2ガイド壁17Aに相当するものである。そして、軸芯41の下端が第2ベース溝707を挿通し、その縁に形成された第2ガイド壁707Aと当接する。
なお、円柱部708は必須ではないが、円柱部708を設ける等して下側をへこませる
ことにより、軸芯31及び軸芯41の下端が、制動装置1000を載置する載置面と接触することを防ぎ、軸芯31及び軸芯41の下端を適切に挿通することが可能となる。
また、ベース70は、左右の側面の両端にそれぞれ2つの第1係合板部701Aが設けられる。そして、前方の側面の両端に2つの第2係合板部701Bが設けられ、後方の側面の略中央に1つの第2係合板部701Bが設けられる。第1係合板部701Aは、ケース10Aに設けられた第1係合溝111Aと係合するものである。また、第2係合板部701Bは、ケース10Aに設けられた第2係合溝111Bと係合するものである。これにより、ケース10Aとベース70が係合され、筐体を形成する。
更に、図3、図5(b)及び図15等に示されるように、ベース70の底面の外側には、遮蔽装置のヘッドボックス内に制動装置1000を配置するときに利用する取付筒702が設けられる。例えば、ヘッドボックス内に設けられた軸等の部材に取付筒702をはめ込むことにより、制動装置1000をヘッドボックス内にて安定して配置させることが可能となる。
1−3<組立構成>
次に、これら各部材を組み立てた状態について、図4〜図8を用いて説明する。図4は、これらの部材を組み合わせて構成された制動装置1000の組立図である。図4に示されるように、制動装置1000の外観は、ケース10A及びベース70が接続された筐体と、ケース10Aの上方から被せるようにして配置された整列部材200からなる。かかる組立は、図2及び図3に示されるように、各部材同士の中心軸を上下方向に重ねあわせた状態でなされる。具体的には、内歯付キャリア260と、ウェイト340を保持した太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。このとき、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280と、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323とが互いに歯合するようにする。
そして、スライダー220の第1天壁溝226及び第1底壁溝228に軸芯31を水平方向に移動させながらスライドさせる。このとき、ローレット240はスライダー220の内部に、ピニオンギア50はスライダー220の外部に位置するようにされる。また、第2天壁溝227及び第2底壁溝229に軸芯41水平方向に移動させながらスライドさせる。このとき、ローラ部42がスライダー220の内部に位置するようにされる。そして、内歯付キャリア260に設けられた内歯車261とピニオンギア50が互いに歯合するように、スライダー220と内歯付キャリア260が互いに近づくように相対移動させる。
その後、これらの部材の下側にベース70を配置し、図14に示されるように、スライダー220の突起230がケース10Aの溝118を通るようにしてケース10Aを上方から被せる。このとき、スライダー220に設けられたコイルスプリングSPがケース10Aの内周壁と当接し、スライダー220が前方に付勢され、突起230が支持溝114から抜け落ちないことを確認する。そして、ケース10Aに設けられた第1係合溝111A及び第第1係合溝111Bと、ベース70に設けられた第1係合板部701A及び第2係合板部701Bを互いに係合させ、ケース10Aとベース70を固定する。
最後に、ケース10A及びベース70で構成される筐体の上方から、整列部材200を被せる。そして、整列部材200に設けられた爪部209を、ケース10Aに設けられた係合孔19と係合させ、整列部材200とケース10Aを固定する。
このようにして組み立てられた制動装置1000が、図4に示されるものである。そして、制動装置1000の組立が完了すると、1本目のコードCDが整列部材200の前方壁部205の外側であり第1前方溝201の上方に位置するように配置される。そして、2本目のコードCDが整列部材200の第1前方コード挿入部201Aを介して第1前方溝201に挿通される。そして、3本目のコードCDが第2前方コード挿入部202Aを介して第2前方溝202に挿通される。
そして、これらのコードCDがケース10Aの前後に設けられたガイド溝113及びスライダー220の前後に設けられた貫通孔225に通される。
そして、かかるコードCDのうち、1本目のコードCDが、整列部材200の後方壁部206の外側であり第1後方溝203の上方に位置するように通される。そして、2本目のコードCDが、整列部材200の後方壁部206に設けられた第1後方コード挿入部203Aを介して第1後方溝203から外部に通される。そして、3本目のコードCDが、第2後方コード挿入部204Aを介して第2後方溝204から外部に通される。これにより、図4(a),(b)に示される状態となる。
図4(c)は、制動装置1000の左側面図、つまり、図4(a)の矢印X方向から見た側面図である。図4(c)に示されるように、制動装置1000は、側面視において、上側からケース10A、整列部材200、ベース70が視認されることとなる。また、支持溝114により突起230が支持されていることが伺える。
図5(a)に示されるように、制動装置1000は、その平面視において、中心から順にケース10A、整列部材200、ベース70の一部の順に視認できる。ここで、図4(a),(b)及び図5(a)に示されるように、軸芯31の上端が、スライダー220に設けられた第1天壁溝226からケース10Aに設けられた第1天壁溝16を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。同様に、軸芯41の上端が、スライダー220に設けられた第2天壁溝227からケース10Aに設けられた第2天壁溝17を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。
そして、第1天壁溝16の縁に設けられた第1ガイド壁16Aが軸芯31と当接し、第2天壁溝17の縁に設けられた第2ガイド壁17Aが軸芯41と当接している。
また、図5(b)に示されるように、ベース70は、その底面視において、第1ベース溝706に挿通された軸芯31の下端と、第2ベース溝707に挿通された軸芯41の下端を視認することができる。なお、取付筒702が設けられる面において、円柱部708の上を面で覆うことにより、軸芯31及び軸芯41の下端が外部から覆われる構成としてもよい。
1−3−2<組立状態における内部構造>
次に、図6〜図8を用いて、組立状態における内部構造について説明する。図6は、図4の状態から整列部材200及びケース10Aを取り外した状態における斜視図である。図6に示されるように、スライダー220の上方に軸芯31及び軸芯41が突出している。また、軸芯31は、第1天壁溝226内においてスライダー220の幅方向に動きが規制される。同様に、軸芯41は、第2天壁溝227内においてスライダー220の幅方向に動きが規制される。なお、図示を省略しているコードCDは、スライダー220の貫通孔225に縦に整列された状態でスライダー220の前後方向に挿通される。
図7は、図6の状態から更にスライダー220を取り外した状態における斜視図である。図示を省略したコードCDは、ローレット240及びローラ部42に挟着された状態で、制動装置1000の前後に挿通される。また、ピニオンギア50と内歯車261は互いに歯合している。したがって、コードCDに張力がかかったときに、コードCDとローレット240の間で摩擦力が発生し、それによりローレット240と一体となってピニオンギア50が回転すると、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達される。その結果、内歯車261が自転することにより、内歯付キャリア260とともにそのフランジ262に設けられる支持軸263も公転する。それに伴い、支持軸263に回転可能に支持される遊星歯車280が自転しながら公転を開始する。
図8は、図7の状態から更に内歯付キャリア260を取り外した状態における斜視図である。図8に示されるように、遊星歯車280と太陽歯車323は互いに歯合している。したがって、遊星歯車280の回転が太陽歯車323に伝達され、太陽歯車付ウェイトホルダ320が自転を開始する。その結果、図15に示されるように、太陽歯車付ウェイトホルダ320の凹部322に保持されたウェイト340が自転を開始する。そして、回転速度がある一定値を上回ると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内壁と当接する。これにより、ローレット240の回転に対して抵抗力が与えられる。
次に、図16及び図17を用いて、組立状態における各部材間の相対位置について更に詳細に説明する。図16は、図4(c)のA−A線切断部断面図である。図16に示されるように、軸芯31を中心とするピニオンギア50と、内歯付キャリア260に設けられる内歯車261とが互いに歯合している。また、内歯車261の回転は、内歯付キャリア260の支持軸263を介して遊星歯車280に伝達されるように構成される。そして、遊星歯車280は、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323及びケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。したがって、ピニオンギア50に起因する回転が加えられることにより、遊星歯車280は太陽歯車323と内周ギア115の間に形成される空間内を、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能となる。
図17は、図5(a)のB−B線切断部断面図である。図17に示されるように、本実施形態では、B−B線切断部断面図は取付筒702を中心として略左右対称となっている。そして、軸芯31及び軸芯41がケース10Aの上端及びベース70の下端から突出している。なお、本実施形態では、第1ガイド壁16A及び第2ガイド壁17Aの上端が、それぞれ軸芯31及び軸芯41の上端と略同じ高さとなっている。
そして、ローレット240及びローラ部42がスライダー220の内部に位置している。更に、ローレット240とともにスライダー220を挟んだ状態で、ピニオンギア50がスライダー220の外部に位置している。また、ピニオンギア50と内歯車261が互いに歯合している。
そして、ケース10Aの上側から鍔部13にかけて、整列部材200で覆われている。また、ケース10Aはその下端においてベース70と係合している。そして、ベース70の上部には、ウェイト340が保持されている。ここで、本実施形態では、ウェイト340を着脱式としているので、必要な制動力をウェイト340の数又は種類により調整することが可能となる。つまり、大きな制動力が求められる場合にはウェイト340の数を増やしたり、他のより密度の高いウェイトを太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持すればよい。一方、小さな制動力で十分な場合には、ウェイト340の数を減らせばよい。なお、ウェイト340は、回転時における安定性の観点から、太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持される面上において対称配置することが好ましい。なお、本実施形態では、ウェイト340に設けられた突起341とベース70の底面が当接することにより、回転時におけるウェイト340とベース70との間の抵抗力を低減している。
1−4<動作>
次に、図18を用いて本実施形態に係る制動装置1000の動作について説明する。図18(a)はコードCDに何ら張力が与えられない状態(定常状態)、図18(b)はコードCDに張力が与えられ、ローレット240及びローラ部42でコードCDが挟着された状態(挟着状態)、図18(c)は図18(a)から図18(b)へ状態変化する際における各部材の回転方向をまとめた図である。なお、図18(a),(b)はともに、図16と同様に、図4(c)のA−A線切断部断面図である。ここで、説明の都合上、かかる断面図には現れないローラ部42の外周を軸芯41の周囲に、ローレット240の外周を軸芯31の周囲に重ねて表示した。なお、ローレット240の外周は厳密には円形ではないが、説明の簡略化のため、円形に近似して図示している。
図18(a)に示されるように、定常状態において、上記のように、コイルスプリングSPは、ケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー220を前方に押圧する。したがって、スライダー220はケース10Aの前方に位置する。このため、スライダー220の第1天壁溝226及び第1底壁溝228により位置が規制されている軸芯31と、第2天壁溝227及び第2底壁溝229により位置が規制されている軸芯41と、がスライダー220とともに前方に移動する。更に、スライダー220の上部に保持されるケース10Aに設けられた第1天壁溝16と第2天壁溝17は、前方に向かうにつれて互いに距離が小さくなっている。同様に、ベース70に設けられた第1ベース溝706及び第2ベース溝707は、前方に向かうにつれて距離が小さくなっている。したがって、軸芯41に回転可能に支持されるローラ部42と、軸芯31に回転可能に支持されるローレット240との距離も小さくなる。つまり、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、ローレット240の軸芯31が移動可能に嵌合し、ローレット240が溝に沿わない動きをすることを規制する規制溝として機能する。同様に、第2天壁溝17及び第2ベース溝707は、ローラ部42の軸芯41が移動可能に嵌合し、ローラ部42が溝に沿わない動きをすることを規制する規制溝として機能する。また、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、内歯付キャリア260の内周面の中心点と平面視において同心円上に形成されるため、軸芯31がそれぞれの溝内を移動しても、ピニオンギア50は内歯付キャリア260に設けられた内歯車261に歯合し続けることができる。
このように、ローレット240とローラ部42との距離が小さくなると、ローレット240はローラ部42に押圧され、ローレット240とローラ部42でコードCDが狭持される。つまり、本実施形態では、コイルスプリングSPは、ローレット240がローラ部42に押圧されるように、ローレット240を常時付勢する付勢部材としても機能する。
そして、定常状態の制動装置1000において、コードCDに矢印D1の向き(前方)に張力を与えたとする。すると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローレット240が反時計回りに、ローラ部42が時計回りに回転する。そして、ローレット240の回転により、同じ軸芯31を共有して固定されているピニオンギア50もローレット240と同じ向き(反時計周り)に回転(自転)する。この際、図18(b)に示されるように、軸芯31及び軸芯41は、平面視において前方に移動し、左右方向において互いに近接して、ローレット240とローラ部42によるコードCDの挟着力が強くなり、コードCDの移動に応じてローレット240が確実に回転するようになる。すると、ピニオンギア50は内歯車261と歯合しているので、ピニオンギア50の歯から与えられる力により、内歯車261が反時計周りに回転(自転)する。これにより、内歯車261とともに内歯付キャリア260も反時計周りに回転(自転)するので、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280も同様に反時計周りに回転(公転)する。ここで、遊星歯車280は太陽歯車323及びケース10Aにより固定された内周ギア115と互いに歯合しているので、公転方向とは逆向き(時計回り)に自転しつつ、反時計周りに公転することとなる。したがって、遊星歯車280の内側で遊星歯車280と歯合する太陽歯車323は、遊星歯車280の自転と逆向き(反時計周り)に回転(自転)する。このとき、遊星歯車280により、太陽歯車323の回転は増速される。これにより、太陽歯車323とともに回転する太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されるウェイト340も回転を開始する。なお、すでに述べた通り、遊星歯車280の外側で遊星歯車280と歯合する内周ギア115は、ケース10Aとベース70が固定されているため、遊星歯車280の回転時においても回転しない。
そして、図18(b)に示されるように、ローレット240とローラ部42が限界まで近づく(挟着状態)と、ローレット240の自転は続くもののローレット240の内歯車261に沿った移動が停止する。このとき、ローレット240の自転に起因した他の部材の回転は継続される。すると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内周壁に当接することにより、回転に対して抵抗力が生じる。つまり、コードCDの移動速度が上昇することで回転速度が上昇し、これにより遠心力が上昇する。そして、遠心力が上昇することによりウェイト340がケース10Aの内周壁により強く当接することになり、抵抗力が上昇する。これにより、コードCDの移動速度(日射遮蔽部材の落下速度)を抑えることができる。ここで、コードCDに加えられる張力が略一定の場合(例えば、制動装置1000の前方側のコードCDに昇降可能に吊持される日射遮蔽部材が自由落下する場合)には、コードCDに加えられる張力とウェイト340とケース10Aの内周壁による抵抗力が釣り合うところで、コードCDの移動速度が略一定となる。したがって、制動装置1000は、コードCDの移動に対する回転ダンパとして機能し、日射遮蔽部材をゆっくりと降下させることが可能となる。
以上説明した、定常状態から挟着状態までの挟着状態の変化について、各部材の回転方向(ピニオンギア50については、更に平面視における前後方向及び締め付け方向も含む)をまとめたものが図18(c)である。
一方、コードCDに矢印D1と逆向き(後方)に張力を与えた場合には、ローレット240及びローラ部42が上記と逆向きに回転する。その結果、軸芯31及び軸芯41が第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って互いに離間するように移動する。すると、コードCDに対するローレット240の挟着力が弱まり、弱い力でコードCDを引っ張ることが可能となる。したがって、ヘッドボックス内に制動装置1000を設ける場合には、図18において前方にコードCDに張力が加わる向きを日射遮蔽部材の下降する向きとし、後方にコードCDに張力が加わる向きを日射遮蔽部材の上昇する向きとすると好適である。
次に、図19を用いて、定常状態及び挟着状態の状態変化の際におけるスライダー220の移動について説明する。図19(a)が図18(a)に、図19(b)が図18(b)にそれぞれ対応する。
図19(a)の定常状態から図19(b)の挟着状態に変化するとき、軸芯41とローラ部42、及び、軸芯31とローレット240は、コードCDとの摩擦力により図中の前方に移動する。このとき、軸芯41が第2天壁溝227及び第2底壁溝229と当接していることにより、軸芯41の前方への移動に伴って、第2天壁溝227及び第2底壁溝229に対して前方へ力が加わる。また、軸芯31が第1天壁溝226及び第1底壁溝228と当接していることにより、軸芯31の前方への移動に伴って、第1天壁溝226及び第1底壁溝228に対して前方へ力が加わる。したがって、軸芯31,41が前方にΔ移動すると、スライダー220も前方にΔ移動する。
次に、図20を用いて、一対の挟着部材(ローラ部42及びローレット240)の初期状態(摩耗前)における所定の挟着位置と、摩耗後における挟着位置について説明する。なお、本実施形態では、ローラ部42及びローレット240はそれぞれ、軸41及び軸31を中心に回転する回転体である。
図20に示されるように、ローレット240の初期状態、つまり、摩耗により径が小さくなる前の状態において、コードCDの移動に伴い、解除位置からローレット240及びローラ部42が第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って前方に移動する。つまり、一対の挟着体の少なくとも一方が所定の移動軌跡(図中の両矢印)で移動するよう構成される。ここで、かかる移動軌跡は、規制溝(第1天壁溝16及び第1ベース溝706と、第2天壁溝17及び第2ベース溝707(図5参照))に沿った挟着体の移動の軌跡であるということができる。これにより、ローレット240及びローラ部42がコードCDを挟着する。このときのローレット240及びローラ部42の位置が所定の挟着位置である。
このとき、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。換言すると、規制溝は、かかる挟着位置を超えて延在する。さらに、移動軌跡は、コードCDに向かう方向に延在する。そして、ローレット240及びローラ部42の移動軌跡は、その延長線が互いに交わるように構成される。また、かかる挟着位置は、規制溝のコードCDに対する接近方向側(図20における前側)の端部から離間した位置である。そして、ローレット240又はローラ部42の一部、特にコードCDとの接触部が摩耗により削れ、ローレット240又はローラ部42の径が小さくなった場合には、規制溝の所定の挟着位置(初期状態における挟着位置)を超える範囲内で軸31及び軸41が規制溝内に保持されることにより、ローレット240及びローラ部42がコードCDを挟着する。図20に示されるように、摩耗後の挟着位置は、所定の挟着位置よりも図中の前側にdだけ離間した位置となる。
このように、移動軌跡(規制溝)が、ローレット240又はローラ部42の初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりローレット240又はローラ部42の径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
また、コードの摩耗によりコード径が細くなった場合でも、同様の効果を奏する。
2.第2実施形態
次に、図21〜図23を用いて、本発明の第2実施形態に係る運動変換部について説明する。図21に示されるように、第2実施形態では、ローレット240及びローラ部42が、それぞれの軸芯31及び軸芯41を介して連結される。ここで、かかる連結方法は任意であり、例えば、図21(a)に示されるように、一対のプレート800を用いてもよい。ここで、第2実施形態では、プレート800は略矩形であり、例えば金属製のプレート800を用いることができる。また、プレート800の軸芯31及び軸芯41に対応する箇所には貫通孔801が設けられ、軸芯31及び軸芯41を貫通孔801に挿入することによりローレット240とローラ部42を連結することができる。なお、紐状部材900を用いる場合、図22に示されるように、コードCDの移動時においてローレット240とローラ部42が逆向きに回転するため、紐状部材900をクロスする構成としている。ここで、図22は、図21(b)の部材がコードCDを挟着する状態を矢印Z方向から見た模式図である。
また、図21(b)に示されるように、プレート800に代えて、紐状部材900を用いてローレット240とローラ部42を連結してもよい。
そして、図23に示されるように、かかる部材は、ケース10Bの内部において、ローレット240とローラ部42の間にコードCDを挟むように設けられる。ここで、図23においては、視認性の向上のため、図21(b)における紐状部材900を利用する態様を用いて説明する。また、図23の矢印gで示される方向に重力gが作用するものとする。説明の便宜上、矢印gの方向を下向きとし、矢印gと逆向きを上向きとする。
また、ケース10Bには、軸芯31に対応する位置に第1側壁孔119Aが設けられる。第1側壁孔119Aは、前方に向けて傾斜する長円形である。なお、これらの形状は特に限定されず、適宜設計することができる。ここで、第2実施形態では、第1側壁孔119Aが規制溝に相当し、 第1挟着部材(ローレット240)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図23(b)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。また、図23(b)中の両矢印は、挟着体の移動軌跡を表す。
軸芯31は第1側壁孔119Aに沿って移動可能である。ここで、ローレット240は、コードCDに接触可能な位置に設けられ且つ鉛直方向に移動可能なローラである。ここで、第1側壁孔119Aには、挟着案内斜面119a、解除案内斜面119b、挟着側規制面119c及び解除側規制面119dにより内周面が形成される。
また、ケース10Bの内部には、コードCDを挟んでローレット240と対向し且つローレット240よりも前方の位置に、支柱92が固定されている。
まず、図23(a)に示される状態から、コードCDに矢印D2方向へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローレット240が矢印D3の向きに第1側壁孔119Aに沿って下方に移動する。このとき、ローレット240の移動軌跡は、第1側壁孔119Aに沿ったものである。また、図23(b)に示されるように、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。
図23(b)に示されるように、かかる位置を、鉛直成分を有する可動方向の下側の位置である第1位置とする。かかる状態においては、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が小さいので、コードCDが屈曲し、挟着状態となる。つまり、支柱92は、ローレット240とコードCDを挟んで位置する第2挟着部材として機能する。また、ローラ部42は、ローレット240と連動して移動する補助ローラとして機能する。
ここで、挟着状態において、軸芯31が可動範囲の前方限界まで到達すると、略平行移動していたローレット240が回転(図中における時計回り)を開始する。そして、第3実施形態と同様に、軸芯31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部RAに出力することとしてもよい。このとき、コードCDが前方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されるが、コードCDが後方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されないように、ローレット240、又は、ローレット240と抵抗付与部RAの間にワンウェイクラッチを設けてもよい。ここで、抵抗付与部RAはケース10Bの内部又は外部に設けられてもよく、ローレット240内部に設けられてもよい。
一方、コードCDに矢印D2と逆向きに張力を与えると、上記動作と逆向きの動作が生じることにより、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
そして、図23(a)に示されるように、軸芯31は、重力gに逆らい、第1側壁孔119Aの鉛直成分を有する可動方向(図23における斜め方向)の上側の位置である第2位置に移動する。かかる状態を自由移動状態と言う。自由移動状態において、コードCDが非屈曲状態で解除される。そして、コードCDの自由移動を許可することができる。
なお、軸芯31及びローレット240と、軸芯41及びローラ部42に変えて、回転しない支柱を用いることもできる。
このように、第2実施形態においても、移動軌跡(規制溝)が、ローレット240又はローラ部42の初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりローレット240又はローラ部42の径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
3.第3実施形態
次に、図24を用いて、本発明の第3実施形態に係る他の運動変換部について説明する。図24に示されるように、第3実施形態に係るケース10Cには、ローレット240の直径よりわずかに大きい収容空間93が形成される。ここで、収容空間93は、断面視において円弧形状と半直線形状を組み合わせた形状をなしている。したがって、ローレット240は収容空間93内で自由に移動することができる。また、収容空間93には、挟着案内斜面93a、及び解除側規制面93dが形成される。
そして、ケース10Cの内部に軸芯31、ローレット240、支柱92、2つの出力軸95及び無端ベルト94が配置される。また、ケース10Cには、軸芯31に対応する位置に第1側壁孔119Bが設けられる。ここで、第3実施形態では、第1側壁孔119Bが規制溝に相当し、第1挟着部材(ローレット240)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図24(b)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。また、図24(b)中の両矢印は、挟着体の移動軌跡を表すここで、ローレット240は、自由移動状態においてコードCDとわずかに接触するように設けられる。
ローレット240は、ローラ部42との間にコードCDを挟むように設けられる。そして、2つの出力軸95に無端ベルト94を張架する。無端ベルト94は、ローレット240の回転により抵抗力が作用し、無端ベルト94が回転可能なように構成される。又は、可能であれば、無端ベルト94の表面はローレット240及び出力軸95の表面と噛みあうような形状とされてもよい。また、出力軸95は、自身の回転をコードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部に出力するように構成される。出力軸95及び無端ベルト94は、無端ベルト94が収容空間93の半直線部分と略一直線となるように構成される。
まず、図24(a)に示される状態から、コードCDに矢印D4方向へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローレット240が矢印D5の向きに回転するとともに、収容空間93の半直線部分を経て無端ベルト94に接近する向きに移動する(第1位置)。このとき、ローレット240の移動軌跡は、第1側壁孔119Aに沿ったものである。また、図24(b)に示されるように、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。図24(b)に示されるように、かかる状態においては、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が小さいので、コードCDが屈曲し、挟着状態となる。つまり、支柱92は、ローレット240とコードCDを挟んで位置する第2挟着部材として機能する。
なお、挟着状態において、第3実施形態と同様に、出力軸95の回転を抵抗付与部RAに出力することとしてもよい。つまり、ローレット240と無端ベルト94の間に作用する摩擦力により、無端ベルト94が出力軸95に対して矢印D5と逆向き(反時計周り)に回転する。これにより、出力軸95も無端ベルト94と同じ方向(反時計周り)に回転(自転)する。かかる回転を抵抗付与部RAに出力するのである。かかる構成では、出力軸95のうちの一方が、第3実施形態における軸芯31と同様の機能(抵抗付与部RAに回転を伝達)を発揮する。このとき、コードCDが前方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されるが、コードCDが後方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されないように、ローレット240と抵抗付与部RAの間にワンウェイクラッチを設けてもよい。
一方、コードCDに矢印D4と逆向きに張力を与えると、上記動作と逆向きの動作が生じることにより、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
そして、図24(a)に示されるように、軸芯31は、重力gに逆らい、無端ベルトから離間する位置である第2位置に移動する。かかる状態を自由移動状態と言う。自由移動状態において、コードCDが非屈曲状態で解除される。そして、コードCDの自由移動を許可することができる。
なお、支柱92に変えて、軸芯及びローラ部を用いることもできる。
このように、第3実施形態においても、移動軌跡(規制溝)が、ローレット240の初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりローレット240の径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
4.第4実施形態
次に、図25を用いて、本発明の第4実施形態に係る運動変換部について説明する。第4実施形態は、第2実施形態を変形した構成である。そのため、以下では第2実施形態からの変更点についてのみ説明する。図23に示されるように、第2実施形態では、重力gを利用して軸芯31及びローレット240が下方に降下する構成としており、重力gを付勢部材として利用していたと言うことができる。これに対し、第4実施形態では、図25に示されるように、軸芯31は、連結部材170により固定軸160と連結される。ここで、連結部材170は、例えば図21のプレート800を利用することができる。そして、連結部材170にばね150を取り付けている。これにより、固定軸160を中心として、連結部材170が矢印g方向に付勢されることにより、軸芯31及びローレット240を矢印g方向に付勢している。
また、第4実施形態でも、第3実施形態と同様に、第1側壁孔119Aが規制溝に相当し、第1挟着部材(ローレット240)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図25(b)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。また、図25(b)中の両矢印は、挟着体の移動軌跡を表す。
図25(a)に示される自由移動状態から、コードCDに矢印D6方向へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、軸芯31及びローレット240も矢印D6方向へ移動する。このとき、固定軸160を中心として連結部材170が時計回りに回動することにより、軸芯31及びローレット240が矢印g方向に移動する。これにより、図25(b)に示される挟着状態へと移行する。このとき、ローレット240の移動軌跡は、第1側壁孔119Aに沿ったものである。また、図25(b)に示されるように、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。
なお、コードCDに矢印D6と逆方向へ張力を与えると、図25(b)に示される挟着状態から図25(a)に示される自由移動状態へと移行する。
つまり、第4実施形態に係る部材を用いた装置は、ローレット240が第2位置に位置するときにローレット240とコードCDとの間に作用する摩擦力が、ローレット240が第1位置に位置するときにローレット240とコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるようにローレット240が移動するように構成される。
また、第4実施形態と同様に、軸芯31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部RAに出力する場合、第4実施形態に係る部材を用いた装置は、ローレット240が第1位置に位置するときにコードCDの移動に起因するローレット240の回転を抵抗付与部RAに出力し、ローレット240が第2位置に位置するときにコードCDの移動に起因するローレット240の回転を抵抗付与部RAに出力しないように構成される。
<第4実施形態の変形例>
次に、図26を用いて、第4実施形態の変形例について説明する。図26に示されるように、第1挟着部材(ローレット240)及び第2挟着部材(挟着平面132s)により、一対の挟着部材が構成される。ケース10Bは、ローレット240を内包する。つまり、ケース10Bは、一対の挟着部材の少なくとも一方を内包する。ここで、図中の破線CBは、ケース10Bの底面を表すものである。さらに、ケース10Bは、第1側壁孔119Aを備える。
挟着平面132sは、自由移動状態においてコードCDの移動を許可し、挟着状態においてローレット240とともにコードCDを挟着する。また、挟着平面132sは、ローレット240の移動の前後において固定された平面である。
第4実施形態の変形例でも、第4実施形態と同様に、第1側壁孔119Aが規制溝に相当し、第1挟着部材(ローレット240)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図26(b)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。また、図26(b)中の両矢印は、ローレット240(軸芯31)の移動軌跡を表す。
図26(a)に示される自由移動状態から、コードCDに矢印D7方向へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、軸芯31及びローレット240も矢印D7方向へ移動する。このとき、固定軸160を中心として連結部材170が時計回りに回動することにより、軸芯31及びローレット240が矢印g方向に移動する。これにより、図26(b)に示される挟着状態へと移行する。このとき、ローレット240の移動軌跡は、第1側壁孔119Aに沿ったものである。また、図26(b)に示されるように、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。
なお、コードCDに矢印D7と逆方向へ張力を与えると、図26(b)に示される挟着状態から図26(a)に示される自由移動状態へと移行する。
つまり、第4実施形態の変形例に係る部材を用いた装置は、ローレット240が第2位置に位置するときにローレット240とコードCDとの間に作用する摩擦力が、ローレット240が第1位置に位置するときにローレット240とコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるようにローレット240が移動するように構成される。
ここで、挟着平面132sは、ヘッドボックスHBの底面132又はヘッドボックスHBと異なる部材の底面とすることができる。
次に、図27を用いて、摩耗により第1挟着部材(ローレット240)の径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができることについてさらに詳しく説明する。ここで、図27は図26(b)に示される挟着状態に相当する。
図中の破線で示されるように、摩耗前におけるローレット240は、所定の挟着位置でコードCDを挟着する。そして、摩耗後におけるローレット240は、摩耗前に比べて径が小さくなっている。したがって、摩耗前における挟着位置では、ローレット240とコードCDの間に距離ができ、コードCDを適切に挟着できない。しかし、移動軌跡(規制溝に相当する第1側壁孔119A)が、ローレット240の初期状態(摩耗前)における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗後のローレット240では、摩耗前における挟着位置を超えた位置までローレット240が移動し、かかる挟着位置でコードCDを挟着する挟着状態となる。
5.第5実施形態
次に、図28〜図34を用いて、第5実施形態に係る制動装置5000を説明する。本実施形態に係る制動装置5000は、図28等に示されるように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが並列配置された構成となっている。以下、本実施形態の概略を説明する。
図28〜図30に示されるように、運動変換部DTは、内筒42A及び外筒240Aからなるキャッチローラ32Aと、いわゆる固定滑車であって軸芯31に回転可能に取付けられたローレット240からなるキャッチローラ32Bから構成される。また、キャッチローラ32A,32Bの何れもケース440Aに設けられる。キャッチローラ32A,32Bの回動トルクによりコードCDが挟着される。また、コードCDは、コード挿通孔14Aを介して運動変換部DTに挿通されている。キャッチローラ32Aについては、後に更に詳述する。
抵抗付与部RAは、いわゆる遠心ガバナであって図29に示されるダンパ軸を中心にウェイト340Aが公転し、遠心力によってウェイト340Aが外径側に移動するとこれとケース10Aaとが接触して摩擦が起こり制動力を発生させるものである。ウェイト340Aを回転させる回転伝達機構(図示せず)とキャッチローラ32Bの軸芯31とが接続されており、キャッチローラ32Bが回動すると、かかる回転に係る動力が回転伝達機構を介して抵抗付与部RAに伝達され、これによりウェイト340Aがダンパ軸を中心に公転する。ウェイト340Aの個数は限定されず、例えば2個でも4個でも8個でも16個でもよい。
キャッチローラ32Aは、内筒42A及び外筒240Aが互いに相対回転可能に構成され且つかかる相対回転時には摺動抵抗を有するように構成される。図31に示されるように、内筒42Aの外周を外筒240Aで包むように構成される。これについては後に詳述するものとする。内筒42Aの側面には回転軸31Bとガイド軸31Cとが設けられ、ケース440Aには回転軸31Bの軸受けとガイド軸31Cの移動を案内するガイド溝31Caが設けられている。すなわち、キャッチローラ32Aは、回転軸31Bを中心に回動可能に構成される。ガイド溝31Caは、一方側がキャッチローラ32AとコードCDとを近接させ他方側がキャッチローラ32AとコードCDとを遠ざけるように設けられる。換言すると、ガイド溝31Caは、一方側から他方側に向かってキャッチローラ32AがコードCDから遠ざかるように形成される。ここで、第5施形態では、ガイド溝31Caが規制溝に相当し、挟着体(キャッチローラ32A及びキャッチローラ32B)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図30(a)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。
ガイド溝31Caにおけるかかる構造によれば、図30における図中矢印で示す制動方向にコードCDが移動すると、キャッチローラ32Aが回転軸31Bを中心に回動し、これにともなってガイド軸31Cがガイド溝31Caに沿って移動する。ここで、ガイド溝31Caには、挟着案内斜面31a、解除案内斜面31b、挟着側規制面31c及び解除側規制面31dにより内周面が形成される。そして、図30(a)に示すガイド溝31Caの一方側にガイド軸31Cが位置するところ(第1位置)でキャッチローラ32Aの回動が制限される。かかる状態では、コードCDがキャッチローラ32A,32Bに挟着され、コードCDが更に制動方向に移動すると、キャッチローラ32Aにおける外筒240Aが内筒42Aに対して回転し、キャッチローラ32Bは軸芯31を中心に回転する。すなわち、キャッチローラ32Bと接続された抵抗付与部RAによって抵抗力が付与され、コードCDの移動が制動されることとなる。
また、ガイド溝31Caにおけるかかる構造によれば、図30における図中矢印で示す解放方向にコードCDが移動すると、キャッチローラ32Aが回転軸31Bを中心に回動し、これにともなってガイド軸31Cは、ガイド溝31Caに沿って移動する。このとき、キャッチローラ32Aの移動(回動)軌跡は、ガイド溝31Caに沿ったものである。また、図30(b)に示されるように、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。なお、後述する第5実施形態の変形例1〜3についても同様であるため、図示及び説明は省略する。
そして、図30(b)に示すガイド溝31Caの他方側にガイド軸31Cが位置するところ(第2位置)でキャッチローラ32Aの回動が制限される。かかる状態では、コードCDがキャッチローラ32A,32Bに挟着されておらず又は相対的に弱い力で挟着されているに過ぎず、コードCDが更に解放方向に移動してもキャッチローラ32Bを回転させるトルクが足りずにキャッチローラ32Bが回転しない。したがって、抵抗付与部RAによる抵抗力が付与されない。
まとめると、図30(a)の状態から図30(b)の状態に変化する過程においては、抵抗付与部RAによる抵抗力がコードCDに与えられるが、図30(b)の状態においては抵抗付与部RAが作用しない。そして、図30(b)の状態において、外筒240Aとローレット240の間の距離が図30(a)の状態よりも離れているため、コードCDに対する挟着力が弱くなる。これにより、コードCDに加えられる制動力が解除された状態となるため、コードCDの自由移動が実現される。更に、図30(b)の状態から図30(a)の状態に変化する過程においては、抵抗付与部RAによる抵抗力がコードCDに与えられ、図30(a)の状態においてコードCDが挟着されるとともに抵抗付与部RAが作用する。
なお、内筒42Aと外筒240Aとにおける相対回転時摺動抵抗は、ガイド軸31Cが第1位置まで回動するときに相対回転不能とする程度の抵抗があればよい。これを鑑みると、キャッチローラ32Aにおける内筒42A及び外筒240Aは、次のように構成することができる。
一例では、図32(a)に示されるような内筒42Aの外筒240Aへの圧入工程によって、図32(b)に示されるキャッチローラ32Aが実現される。他の一例では、図33に示されるように、内筒42Aの表面には弾性部42Aaが設けられていて、これにより所望の抵抗力を得ることができる。更なる他の一例では、図34に示されるように、内筒42Aに外筒240Aに圧力を付与するバネ部材42Abが設けられていて、これにより所望の抵抗力を得ることができる。更に、抵抗を安定させるため粘性の高いグリスで潤滑してもよい。
<第5実施形態の変形例1>
更に、図35に示されるように、本変形例に係る制動装置5100は、解放方向にコードCDが移動させるときを除いてガイド軸31Cが第1位置に位置するように、ケース10Aaに設けられた固定部441Aとガイド軸31Cとの間に、コイル部が回転軸31Bに巻回された付勢手段としてのトーションばね31Cbを配置し、トーションばね31Cbによってガイド軸31Cを付勢してもよい。ここで、本変形例では、ガイド溝31Caが規制溝に相当し、挟着部材(キャッチローラ32A)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図35(a)では、所定の挟着位置を破線の円で示している。
このように、本変形例においても、規制溝が、キャッチローラ32Aの初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりキャッチローラ32Aの径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
<第5実施形態の変形例2>
次に、図36及び図37を用いて、第5実施形態の変形例2に係る制動装置5200を説明する。本変形例に係る制動装置5200は、図36及び図37に示されるように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが左右方向(紙面に垂直な方向)に並列配置された構成となっている。以下、本変形例の概略を説明する。
図36に示されるように、運動変換部DTは、内筒42A及び外筒240Aからなるキャッチローラ32Aと、軸芯31に回転可能に取付けられたローレット240からなるキャッチローラ32Bから構成される。内筒42A及び外筒240Aは、図28及び図30と同様の構成であり、互いに相対回転可能に構成される。また、内筒42Aの側面には、回転軸31B及びガイド軸31Cが設けられる。本変形例においても、キャッチローラ32Aが回転軸31Bを中心に回動可能に構成される。また、ガイド溝31Caは、ケース440Bの側面に、キャッチローラ32BがコードCDを挟着する状態と解除する状態に状態変化可能な位置に設けられる。ここで、本変形例では、キャッチローラ32A及びキャッチローラ32Bにより挟着体が構成される。また、本変形例では、ガイド溝31Caが規制溝に相当し、挟着体(キャッチローラ32及びキャッチローラ32BA)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図36(a)では、所定の挟着位置を破線の円で示している。
そして、本変形例では、外筒240Aの側面にピニオンギア50Bが設けられる。ピニオンギア50Bは、紙面に対して垂直方向の回転軸を有する。そして、抵抗付与部RAに設けられた伝達ギア261Bの内側の歯と噛み合うように形成される。また、伝達ギア261Bの外側の歯と噛み合う位置に増速ギア280Bが設けられる。増速ギア280Bは、支持軸263Bに回転可能に取付けられる。そして、図36(b)に示されるように、増速ギア280Bと同軸上に、増速ギア280Bと一体回転するウェイトホルダ320Bが設けられる。そして、ウェイトホルダ320B上によりウェイト340Bが保持される。ここで、本実施形態では、ウェイトホルダ320Bにより4つのウェイト340Bが保持される。
ウェイトホルダ320Bは増速ギア280Bと一体回転するように設けられているため、増速ギア280Bの自転に伴いウェイトホルダ320Bも自転する。これにより、ウェイトホルダ320Bに保持されるウェイト340Bが公転する。
図37に示されるように、本変形例では、3本のコードCDが水平に挟着される。これらのコードCDは、運動変換部DTを構成するコード挿通孔14Aに挿通される。また、ピニオンギア50Bは、運動変換部DTのケース440Bから外部に飛び出しており、運動変換部DTと隣接配置される抵抗付与部RAの伝達ギア261Bと噛み合っている。
したがって、コードCDに対して制動方向に張力が与えられると、外筒240AとコードCDとの間に生じる摩擦力により、回転軸31Bを中心としてキャッチローラ32Aが時計周りに回動する。このとき、キャッチローラ32Aの回動に伴い、外筒240Aに設けられたピニオンギア50Bも自転しつつ時計周りに回動する。すると、ピニオンギア50Bと噛み合う伝達ギア261Bが反時計回りに自転を開始する。これにより、伝達ギア261Bと噛み合う増速ギア280Bが時計周りに自転を開始する。このとき、伝達ギア261Bの径よりも増速ギア280Bの径の方が小さいので、コードCDの移動に起因するピニオンギア50Bの回転が増速されて増速ギア280Bに伝達される。このとき、内筒42A及び外筒240Aは両者の摺動抵抗により一体回転する。
そして、増速ギア280Bの自転により、ウェイト340Bが時計周りに公転を開始する。そして、ウェイト340Bが抵抗付与部RAのケース10Aaの内壁と当接することにより、コードCDの移動に対する制動力を作用させることが可能となる。そして、図36(a)の状態のとき、ガイド軸31Cとガイド溝31Caが当接することにより、内筒42Aの回動が阻止される。そして、さらにコードCDに対して制動方向に張力が与えられると、外筒240Aが内筒42Aに対して相対回転を開始する。これにより、コードCDを挟着しつつ、抵抗付与部RAからの制動力を作用させることができる。
一方、コードCDに解放に張力が与えられると、回転軸31Bを中心としてキャッチローラ32Aが反時計周りに回動する。このとき、ピニオンギア50B、伝達ギア261B及び増速ギア280Bは、コードCDの制動に張力が与えられる場合とは逆回転する。そして、図36(b)の状態のとき、ガイド軸31Cとガイド溝31Caが当接することにより、内筒42Aの回動が阻止される。そして、外筒240Aは内筒42Aに対して相対回転を継続する。かかる状態においては、外筒240Aとローレット240の間の距離が図36(a)よりも大きくなっており、コードCDを十分に挟着することができない。加えて、コードCDを十分に挟着できないために、外筒240Aの回転も抑制される。これにより、抵抗付与部RAにコードCDの移動に起因する回転が伝達されなくなる。
このように、本変形例においても、規制溝が、キャッチローラ32A又はキャッチローラ32Bの初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりキャッチローラ32A又はキャッチローラ32Bの径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
<第5実施形態の変形例3>
次に、図38〜図40を用いて、第5実施形態の変形例3に係る制動装置5300を説明する。本変形例に係る制動装置5300は、図36及び図37に示されるように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが左右方向(紙面に垂直な方向)に並列配置された構成となっている。以下、本変形例の概略を説明する。
図38に示されるように、運動変換部DTは、内筒830A及び外筒830Bからなるキャッチローラ830と、軸芯41に回転可能に取付けられたローレット43を備えるキャッチローラ840から構成される。内筒830A及び外筒830Bは、図31と同様、内筒830Aが回転軸831に回転可能に取付けられ、内筒830A及び外筒830Bは互いに相対回転可能且つ一定以下のトルクに対しては摺動抵抗により一体回転するよう構成される。ただし、図31と異なり、回転軸831はキャッチローラ830の中心に設けられ、ケース810Aに軸支されている。また、回転軸831から偏心した位置には、軸方向両側に向かってガイド軸850が突出している。また、本変形例では、キャッチローラ840は、図39に示すように、上下方向に平行移動可能な移動ケース820の支持溝821(図39参照)に回転可能に保持される。ここで、本実施形態では、キャッチローラ830及び840により一対の挟着部材(挟着体)が構成される。
なお、本変形例でも、抵抗付与部RAは、遠心ガバナを備え回転軸831の回転を遠心ガバナに伝えて制動させるものであり、上記変形例2と同様、キャッチローラ830の外筒830Bの回転がピニオンギア50B(図37参照)を介して抵抗付与部RAに伝達される。抵抗付与部RAの構成については、すでに述べた実施形態に記載のものを適宜使用することができる。
移動ケース820は、キャッチローラ830,840の両端に形成される一対の平行板822を備え、各平行板822に支持溝821が形成される(図39参照)。また、平行板822上方の前後方向中央には、上方に開口するガイド溝823が形成される。さらに、平行板822は、ガイド溝823の前方の位置に、ガイド軸850を挿入可能な長孔824を有しており、長孔824はガイド軸850が前後方向に移動可能となる向きに形成される。ここで、本変形例では、ガイド溝823が規制溝に相当し、挟着体(キャッチローラ830,840)の初期状態における挟着位置を超えて延在する。なお、図38(b)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。
ここで、本変形例においては、コードCDに張力が与えられない状態(定常状態)では、図38(a)に示すように、コードCDは上方に位置するキャッチローラ830のみに接触し、キャッチローラ840とは接触しない構成となっている。
以上のような構成により、コードCDに張力が与えられない状態(定常状態)からコードCDが後方(図38の右方向)に移動すると、キャッチローラ830の外筒830Bは図38(a)において反時計回り(矢印X方向)に回転しようとするが、一対の挟着部材であるキャッチローラ830,840がコードCDを挟着していないため(図39(a)、図40(a)も参照)、コードCDの移動がキャッチローラ830(外筒830B)の回転として十分伝達せず、外筒830Bの回転が抵抗付与部RAに伝達されてコードCDに抵抗力が付与されることはない。なお、この場合、外筒830Bが回転しても内筒830Aの備えるガイド軸850が移動ケース820の長孔824に当接し、移動ケース820は前後方向においてケース810Aに規制されているため、内筒830Aは反時計回りに回転することができないようになっている。
一方、コードCDが前方(図の左方向)に移動すると、図38(b)に示すように、キャッチローラ830の外筒830Bが時計回り(矢印Y方向)に回転する。この際、外筒830Bと内筒830Aの間には摺動抵抗があるため、これら外筒830Bと内筒830Aとが一体回転を開始する。すると、内筒830Aの回転と同時に内筒830Aの備えるガイド軸850が時計回りに回転し、移動ケース820の長孔824の上面を押圧して、移動ケース820を上方に押し上げる(図38(b)、図39(b)、図40(b)参照)。その結果、移動ケース820に保持されたキャッチローラ840が上方、つまりコードCDに近接する方向に移動し、キャッチローラ830と協働してコードCDを挟着する。
この状態でさらにコードCDが前方(図の左方向)に移動すると、コードCDの移動が外筒830Bの回転として伝達する。ただし、キャッチローラ840がコードCDに当接したあとは、移動ケース820はそれ以上上方に移動することができないので、内筒830Aもそれ以上回転できない状態となるため、内筒830Aに対して外筒830Bのみが回転するようになる。
以上の結果、図38(b)のキャッチローラ830とキャッチローラ840がコードCDを挟着した状態でコードCDが前方(図の左方向)に移動すると、コードCDの移動が外筒830Bの回転として十分に伝達され、外筒830Bの回転に対して抵抗付与部RAが制動力を付与し、コードCDが制動されることになる。
このように、本変形例においても、規制溝が、キャッチローラ32A又はキャッチローラ32Bの初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりキャッチローラ32A又はキャッチローラ32Bの径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
6.第6実施形態
次に、図41〜図43を用いて、本発明の第6実施形態に係る制動装置6000について説明する。本実施形態の制動装置6000は第2実施形態に記載の制動装置1000と類似している。しかしながら、本実施形態の制動装置6000は、一対の挟着部材の各軸心の軸方向両端側が一対のリンクプレート721,722で構成されるリンク機構720により保持される点が、主な相違点となっている。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成の部材には同じ符号を付すとともに、構成の異なる部分について主に説明する。
ここで、第6実施形態に係る制動装置6000は、第1実施形態〜第5実施形態と異なり、規制溝を有さない実施形態である。なお、図43(a)では、所定の挟着位置を破線の円で示しており、以降の説明は、挟着体が摩耗した後における動作について説明する。
図41に示すように、本実施形態に係る一対の挟着部材は、ローレット240を備える張力伝達ローラ30及び、ローラ部42を備えるアイドルローラ40から構成される。上下方向に延びる張力伝達ローラ30の軸芯31は、軸方向両端側において一対のリンクプレート721の一端側に軸支され、上下方向に延びるアイドルローラ40の軸芯41も同様に、軸方向両端側において一対のリンクプレート722の一端側に軸支される。また、張力伝達ローラ30の軸芯31は、上述した第2実施形態と同様、張力伝達ローラ30と反対側の端部にピニオンギア50が取り付けられている。
リンクプレート721とリンクプレート722とは、プレートの中央部に形成された孔に挿入される軸723を介して相対回転可能に接続され、リンク機構720を形成している。また、リンクプレート721,722の他端には、上下方向に延び、これらリンクプレート721,722を連結する連結ピン724,725(図42参照)が設けられる。
そして、連結ピン724と連結ピン725とは、図43に示すように、コイル部が軸723に巻回された付勢手段としてのトーションばね726により互いが近づく方向に押圧される。したがって、リンクプレート721とリンクプレート722は、軸723を中心として、それぞれが保持する張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とが互いに近づく方向へ回転するよう付勢され、結果として、これらのローラ30,40によってコードCDが挟着されるようになっている。なお、図41において図示していないが、軸723は、ケース10Aに軸支されている。
以上のような構成により、図43(a)に示すようなコードCDに張力が与えられない状態(定常状態)においては、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40は、リンク機構720を介してトーションばね726に付勢されることにより、コードCDを挟着する。この状態でコードCDが前方(図43の左方向)に移動すると、コードCDの移動が張力伝達ローラ30に伝達し、張力伝達ローラ30の回転は内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320に順次伝達され、ウェイト340(図2参照)を回転させ、ウェイト340の回転抵抗によってコードCDに制動力が加えられるようになっている。つまり、本実施形態においても、保持部材であるリンク機構720(リンクプレート721及びリンクプレート722)の移動に伴って、狭着部材がコードCDを挟着することになる。このとき、ローラ部42及びローレット240の移動軌跡は、図43(a)中の両矢印の通りである。また、図43(a)に示されるように、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。
一方、コードCDが後方(図43の右方向)に移動すると、図43(b)に示すように、リンクプレート721に保持された張力伝達ローラ30及びリンクプレート722に保持されたアイドルローラ40は、コードCDの移動に伴い、リンク機構720を介したトーションばね726の付勢力に抗して、軸723を中心として張力伝達ローラ30とアイドルローラ40の間の距離が広がる方向に回転する。これにより、狭着体によるコードCDの狭着が弱まって、張力伝達ローラ30を介した抵抗付与部RAのコードCDへの抵抗の付与が減少する。
なお、上記実施形態では、リンク機構720は一対のリンクプレート721,722を軸方向両端側に配置した構成となっていたが、一対のリンクプレートを軸方向片側のみ設ける構成とすることも可能である。
以上、種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、本発明の遮蔽装置100Aは、上記実施形態の遮蔽装置100Aと異なる構成であってもよい。例えば、本発明の日射遮蔽装置は、カーテン布が巻き取られるロールカーテンとされたり、複数のスラットが昇降するブラインドとされてもよい。また、図44に示されるように、ねじ111等を用いて窓枠110に制動装置1000を固定するようにしてもよい。また、グリップ109の内部に制動装置1000を設けてもよい。更に、昇降コード102の通過経路の任意の場所に制動装置1000を設けることとしてもよい。