以下、本発明に係る制動装置、及び、これを用いた日射遮蔽装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
1.第1実施形態
<制動装置>
図1〜図13を用いて、本発明の第1実施形態に係る制動装置1000について説明する。第1実施形態に係る制動装置1000は、昇降コード等のコードCDの移動を制動する制動装置であり、コードCDの移動を回転運動に変換する運動変換部DTと、この回転運動に対し回転抵抗を付与する抵抗付与部RAとが略垂直方向に連結されて成る。ここで、本実施形態においては、スライダー20、コイルスプリングSP、シャフト31とゴムローラ部32からなる張力伝達ローラ30、ゴムローラ部32の上下に配置されるリング状部材33,34、シャフト41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、内歯付キャリア260、遊星歯車280及びケース10Aの一部が運動変換部DTを構成し、ウェイト340、太陽歯車付ウェイトホルダ320、ベース70及びケース10Aの一部が抵抗付与部RAを構成する。
1−1<制動装置の全体構成>
図1は、第1実施形態に係る制動装置1000の分解斜視図である。第1実施形態において、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40がコードCDを挟着する一対の挟着部材を構成し、一対の狭着部材は保持部材としてのスライダー20に保持されている。以下、各部材について説明する。
1−1−1<整列部材200>
図2(a),(b)に示されるように、整列部材200は、複数のコードCDを挿通し、複数のコードCDを互いに同じ向きに整列させるものである。整列部材200は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成することができる。ここで、図2(a)に示されるように、矢印の向きをそれぞれ前後、左右、上下とする。すなわち、後述する第1天壁溝16と第2天壁溝17の距離が狭くなる向きを前方とし、左右方向(幅方向)、上下方向を定める。
整列部材200は、上下方向に貫通する略直方体のフレーム200aの前方及び後方にコードCDを挿入する略矩形の挿入部201が2つずつ形成された構成となっており、本実施形態においては、3本のコードCDが挿入部201及び挿入部201の上部に通されることで、コードCDが上下方向に略等間隔に整列された状態で一対の挟着部材に挟着されることになる。
1−1−2<ケース10A>
次に、図1〜図3,図7及び図13を用いてケース10Aについて説明する。ケース10Aは、ベース70とともに筐体を構成し、その内部にスライダー20、コイルスプリングSP、シャフト31とゴムローラ部32からなる張力伝達ローラ30、リング状部材33,34、シャフト41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ピニオンギア50、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340を保持する。
また、ケース10Aは、例えば図1に示されるベース70とともに制動装置1000の筐体を構成する。さらに、図1に示される太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340とともに、抵抗付与部RAを構成する。
図7に示されるように、ケース10Aは、外形が概ね正方形の天壁部11と、前側壁部12fと、前側壁部12f及び天壁部11に連結される右側壁部12r及び左側壁部12lと、右側壁部12r及び左側壁部12lのそれぞれに連結される後側壁部12bと、天壁部11に対向し、前側壁部12f、後側壁部12b、前側壁部12f及び左側壁部12lから径方向側に向かって延在する鍔部13と、鍔部13に連結される円筒部13Cと、円筒部13Cに連結されるカバー部112とを主な構成として有する。
前側壁部12f及び後側壁部12bには、ガイド溝113が形成されている。これら2つのガイド溝113は、互いに前後方向に対向している。これらのガイド溝113はコードCDが前後方向に挿通されるための溝である。ここで、ガイド溝113に挿通するコードCDの数は特に限定されないが、第1実施形態では3本のコードCDが縦方向に挿通された例について示している(図2参照)。
さらに、左右の側壁部12r,12l上方には支持溝114が設けられる。支持溝114は、図2に示されるように、ケース10Aがスライダー20を内部に保持するにあたり、スライダー20に設けられる突起230を支持するものである。これにより、スライダー20をその底部を浮かせた状態で支持することができる。なお、詳細は後述する。
天壁部11には、図3(a)に示されるように、第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されている。第1天壁溝16及び第2天壁溝17は、それぞれコードCDの長手方向すなわち前後方向に対して斜めに形成されており、コードCDの一方の長手方向である前方に向かうにつれて、第1天壁溝16と第2天壁溝17との距離が小さくされている。
具体的には、第1天壁溝16は円弧状に形成されており、図11に示すように、挟着案内斜面16a、解除案内斜面16b、挟着側規制面16c及び解除側規制面16dにより内周面が形成される。第1天壁溝16の円弧は、図5に示される内歯付キャリア260の内周面と平面視において同心円上となるように形成される(図3参照)。一方、第2天壁溝17は緩やかなカーブを描いた形状に形成され、図11に示すように、挟着案内斜面17a、解除案内斜面17b、挟着側規制面17c及び解除側規制面17dにより内周面が形成される。この第2天壁溝17は、前方側が略直線状の形状とされ、後方に向かうにつれて、第1天壁溝16から離れる向きに湾曲している(図3参照)。これは、第2天壁溝17を略直線状とした場合、第1天壁溝16は後方から前方に向かってコードCDに近づくような円弧であるので、例えばシャフト31及びシャフト41がそれぞれ第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って移動するときに、コードCDに対する垂直方向の変位が、シャフト31とシャフト41とで異なってしまうことを防ぐためである。つまり、一方が円弧であるのに対し、他方が略直線状であると、前後方向においてコードCDへの垂直距離が異なるためである。
このように、シャフト31及びシャフト41のコードCDの鉛直方向に対する変位を近接させることにより、ゴムローラ部32及びローラ部42が適切にコードCDを挟着することが可能となる。なお、第2天壁溝17はこれに限定されず、例えば、第1天壁溝16と略同一形状の溝を、コードCD側に向かって湾曲する配置としてもよい。これにより、コードCDに対する鉛直方向の変位を、シャフト31とシャフト41とで略同一にすることができ、コードCDの摩耗を低減することが可能となる。ここで、第1実施形態では、コードCDに対する鉛直方向の変位を、シャフト31とシャフト41とでなるべく同じにすることに加え、他の部材の移動等による相互作用等を考慮し、図3(a)に示される形状を採用した。
第1天壁溝16の縁には、図3(a)、図7(a),(b)に示されるように、ケース10Aの平面視において、第1天壁溝16におけるケース10Aの外側の縁、すなわち挟着案内斜面16aに沿った位置の少なくとも一部に、第1天壁溝16から上方に突出する第1ガイド壁16Aが設けられる。第1実施形態では、第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に対して略90度となるように設けられる。第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に沿って移動するシャフト31の面圧を下げることを目的としている。つまり、第1ガイド壁16Aを設け、シャフト31と接触する面積を増大させることにより、シャフト31の面圧を低減するものである。これは、コードCDに張力が与えられ、制動装置1000が作用している間はシャフト31の面圧が第1天壁溝16の内面に加わっており、かかる面圧により第1天壁溝16の内面が削れると、ゴムローラ部32とローラ部42の間隔が変化して、コードCDの狭着が不安定になり、ゴムローラ部32への回転伝達が不十分になるおそれがあるためである。また、第1天壁溝16の内面が摩耗することで、シャフト31の軸ぶれが生じやすくなるおそれもある。本実施形態では、第1ガイド壁16Aを設けることにより、シャフト31からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となっている。なお、第1ガイド壁16Aの肉厚は任意であるが、ケース10Aの素材、シャフト31の移動速度等を考慮して適宜設計すればよい。
また、第2天壁溝17におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置にも、その少なくとも一部に、第2天壁溝17から上方に突出する第2ガイド壁17Aが設けられる。第2ガイド壁17Aは、第2天壁溝17に対して略90度となるように設けられる。そして、この第2ガイド壁17Aにより、シャフト41の面圧を低減することができ、これにより、シャフト41からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。なお、第2ガイド壁17Aの肉厚は任意であるが、ケース10Aの素材、シャフト41の移動速度等を考慮して適宜設計すればよい。
なお、ケース10Aを金属等の強固な材料で成形した場合には、第1ガイド壁16A及び第2ガイド壁17Aを設けなくてもよい。これは、ケース10Aが堅牢であるので、シャフト31及びシャフト41からの圧力によりケース10Aがほとんど削れることがないためである。
鍔部13は、図2及び図7に示すように、天壁部11に対向し、前側壁部12f、後側壁部12b、前側壁部12f及び左側壁部12lから径方向側に向かって延在する部位であり、第1実施形態では略円形とされる。
円筒部13Cは、図7に示すように、鍔部13に連結され、内面には遊星歯車280と歯合するリング状の内周ギア115(図8参照)が形成される。第1実施形態では、円筒部13Cは、略円筒状の形状とされる。
カバー部112は、円筒部13Cに連結され、ベース70と嵌合する箇所である。第1実施形態では、カバー部112の外縁は略正方形とされる。そして、カバー部112は、図1に示すように、左右の側面の両端にそれぞれ2つの第1係合溝111Aが設けられる。そして、前端部の両端に2つの第2係合溝111Bが設けられ、後端部の略中央に1つの第2係合溝111Bが設けられる。第1係合溝111Aは、図4に示されるベース70の第1係合板部701Aと係合するものである。また、第2係合溝111Bは、ベース70の第2係合板部701Bと係合するものである。これにより、ケース10Aとベース70が係合され、筐体を形成する。
また、図13に示されるように、ケース10Aの左右の内側面には、4つの溝118が形成される。溝118は、制動装置1000を組み立てる又は分解する際に、後述するスライダー220の突起230を通すためのものである。第2実施形態では、スライダー220の突起230が4つであるため、ケース10Aにも4つの溝118を設けている。
1−1−3<スライダー20>
次に、図4,図12及び図13を用いてスライダー20について説明する。スライダー20は、特許請求の範囲の「保持部材」に対応するものであり、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40を内部に保持し且つ張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とともに移動する。スライダー20は、天壁部21、後側壁部22、前側壁部24及び底壁部23とを有する。また、天壁部21には一対の溝である第1天壁溝26及び第2天壁溝27が形成され、天壁部21にはこれらと上下方向に対向する位置に第1底壁溝28及び第2底壁溝29が形成される。本実施形態では、これら第1天壁溝26、第2天壁溝27、第1底壁溝28及び第2底壁溝29が特許請求項の範囲の「規制溝」に相当する
また、図12に示すように、天壁部21には、その四隅に天壁部21の左右へ突出するように突起230が設けられる。図13に示されるように、突起230は、ケース10A内側面の4つの溝118を通ってケース10Aの支持溝114に収められ、ケース10Aの内部にスライダー20を浮き状態で支持する。すなわち、スライダー20が、下方に位置する内歯付キャリア260と非接触状態で保持される。
このような構成とすることで、スライダー20をケース10A内部において浮き状態で支持することが可能となる。そのため、スライダー20と他の部品、例えば内歯付キャリア260等との接触を防止することができ、不要な抵抗力を低減又はゼロにすることができる。従って、各部材の消耗を低減することが可能となる。
前側壁部24及び後側壁部22には、それぞれ貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、前側壁部24及び後側壁部22の幅方向の略中央において前側壁部24及び後側壁部22を前後方向に貫通する。孔の形状は任意であるが、少なくともコードCD1本が挿通可能な程度である。好ましくは、複数本のコードCDが縦方向に整列した状態で挿通可能な形状である。なお、第1実施形態では、上下方向に長い略長円形の形状とされる。
また、図12(b)に示されるように、後側壁部22には、貫通孔25の両脇に、後側壁部22の外側面から形成される凹部231が形成されている。凹部231の形状は任意であり、同図に示されるような貫通孔25から側面側にかけて切り欠かれた形状でもよく、略円形、略矩形の凹み等であってもよい。また、第1実施形態では、左側の凹部231内にコイルスプリングSPが配置されており、コイルスプリングSPの一端は凹部231から突出している。そして、制動装置1000の組立時において、ケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー20を前方に付勢する。なお、図12(b)ではコイルスプリングSPの凹部231から突出している部分を省略している。
ここで、図13に示すように、このような形状のスライダー20の左右方向の大きさはケース10Aの幅方向の内壁間の距離と概ね同じであり、スライダー20の前後方向の大きさは、ケース10Aの前後方向の内壁間の距離よりも小さくされる。従って、スライダー20がケース10Aの空間内に配置されると、スライダー20の天壁部21及び底壁部23の側面がケース10Aの幅方向において内壁面に当接して、スライダー20はケース10Aに対して幅方向に動きが規制される。この状態において、ケース10Aのガイド溝113とスライダー20の貫通孔25とが互いに前後方向に並ぶ。つまり、貫通孔25は、コードCDをスライダー20内に挿通するための孔である。一方、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20とケース10Aの内壁面との間には、前後方向に隙間が生じ、スライダー20はケース10Aに対して前後方向に動くことができる。また、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20の後側壁部22の凹部231から突出するコイルスプリングSPがケース10Aの後方の内壁15dを押圧する。従って、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20は、前方側に位置し、ケース10A内において前方に押圧された状態となる。
1−1−4<張力伝達ローラ30、アイドルローラ40及びピニオンギア50>
次に、図1,図5,図6及び図9を用いて、一対の狭着部材の一方である張力伝達ローラ30、一対の狭着部材の他方であるアイドルローラ40及びピニオンギア50について説明する。
張力伝達ローラ30は、特許請求の範囲の「第1の挟着部材」に対応するものであり、シャフト31とシャフト31の外周面を覆う円筒状のゴムローラ部32とを有する。ゴムローラ部32は、シャフト31の一端側に取り付けられ、シャフト31の他端には、ピニオンギア50が挿入されている。ゴムローラ部32は、弾性体であるゴムで形成され、その材質は、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ウレタンゴム(PUR)が好適であり、ウレタンゴムから構成されるのがより好適である。このように張力伝達ローラ30がゴムローラ部32を備えていることで、ゴムの弾性によりコードCDの摩耗を防止することができる。また、複数のコードCDを挟着する場合にコードCDの径の寸法誤差があったとしても同一の挟着力で複数のコードCDを挟着することができるようになっている。
また、ピニオンギア50は、圧入によりシャフト31に取り付けられており、ピニオンギア50は、シャフト31を中心として張力伝達ローラ30とともに回転する。また、ピニオンギア50と張力伝達ローラ30との間はスライダー20の底壁部23が介在できる程度に離間しており、上記のように張力伝達ローラ30のゴムローラ部32がスライダー20に収容された状態で、ピニオンギア50はスライダー20の外に位置する。なお、特に図示しないが、ピニオンギア50とスライダー20の底壁部23との間にも、摩擦を低減するためのワッシャー等を介在させても良い。
一方、アイドルローラ40は、特許請求の範囲の「第2の挟着部材」に対応するものであり、張力伝達ローラ30のシャフト31と平行なシャフト41と、シャフト41の外周面を覆うローラ部42とを有する。従って、張力伝達ローラ30の回転軸とアイドルローラ40の回転軸とは互いに平行とされる。アイドルローラ40のローラ部42の外径は、張力伝達ローラ30のゴムローラ部32の外径よりも大きくされている。本実施形態において、アイドルローラ40のローラ部42の外周面は樹脂製とされ、金属の平坦な面よりも摩擦係数が高い状態とされる。また、シャフト41の両端部は、ローラ部42から露出している。
なお、アイドルローラ40のローラ部42も、張力伝達ローラ30のゴムローラ部32と同様、ゴムで形成してもよく、その場合のゴムの種類としては、ゴムローラ部32と同様ウレタンゴム(PUR)が好適である。
これら張力伝達ローラ30のゴムローラ部32及びアイドルローラ40のローラ部42は、スライダー20の内部に保持される。また、ピニオンギア50は、スライダー20の外部に保持される。ここで、図6を用いてゴムローラ部32、スライダー20及びピニオンギア50の位置関係について説明する。図6は、シャフト31の略中心を通り前後方向に垂直な断面(図3のB−B断面)の一部である。図6に示されるように、制動装置1000の組み立て時において、ゴムローラ部32とピニオンギア50でスライダー20の底壁部23を挟み込むような構成となっている。
また、第1実施形態では、図6(a)及び図6(b)に示すように、スライダー20の天壁部21の下面21aとゴムローラ部32の上面32aの間、底壁部23の上面23aとゴムローラ部32の下面32bの間に、それぞれシャフト31に通された摩擦低減部材としてのリング状部材33,34が配置される。リング状部材33,34は、張力伝達ローラ30(ゴムローラ部32)がスライダー20に対して回転及び相対移動する際の、ゴムローラ部32とスライダー20の間の摩擦を低減するために設けられる薄型の部材である。リング状部材33,34としては、ゴムローラ部32よりも滑りやすい材質であるものが好ましく、また、ゴムローラ部32よりも硬度の高い材質であるものが好ましい。このようなものとして、例えば、樹脂製や金属製のワッシャーを用いることができる。
ここで、本明細書においては、図6(a)に示すシャフト31、ゴムローラ部32、リング状部材33,34及びピニオンギア50を合わせて、「張力伝達部材」とも呼ぶ。本実施形態において、張力伝達部材はコードCDの移動を回転運動として内歯付キャリア260に伝達する部材である。
なお、本実施形態では、張力伝達ローラ30側にのみリング状部材が設けられているが、アイドルローラ40のローラ部42の軸方向両側にも、同様のリング状部材を設けてもよい。
ところで、本実施形態の制動装置1000は、遮蔽装置のヘッドボックス等に配置する際の高さを低減するため、抵抗付与部RAをその軸が鉛直方向を向くよう配置し、これに応じてシャフト31,41を鉛直方向に配置した構成となっている。そのため、張力伝達ローラ30は、ゴムローラ部32の下面32bを介してスライダー20の底壁部23に支持される構成となっている。そして、この状態で張力伝達ローラ30が回転するため、ゴムローラ部32の下面と32bとスライダー20の底壁部23の上面23aとの間の摩擦が必然的に大きくなる。従って、上述したリング状部材34は、本実施形態のようにシャフト31が鉛直方向を向いた構成において、より有効に用いられるものとなっている。
加えて、第1実施形態では、ピニオンギア50とスライダー20の接触面積を低減すべく、ピニオンギア50に段差51が設けられる。これにより、シャフト31を介してゴムローラ部32及びピニオンギア50が一体回転するときに、ピニオンギア50とスライダー20との間の摺動抵抗を低減することができる。これにより、回転動作を滑らかにすることが可能となる。
1−1−5<内歯付キャリア260及び遊星歯車280>
次に、図5及び図8を用いて内歯付キャリア260及び遊星歯車280について説明する。第1実施形態では、内歯付キャリア260は、平面視において略ドーナツ形状である。内歯付キャリア260は、円柱部264から平面視において外側に突出するフランジ262を備える。
円柱部264の内側の内周面には、ピニオンギア50と歯合する内歯車261が形成される。そして、フランジ262には、鉛直方向において下向きに突出する支持軸263が形成される(図1も参照)。支持軸263の個数は特に限定されないが、特に等間隔であることが好ましい。なお、第1実施形態では、一例として支持軸263が4つ設けられた構成としている。
そして、支持軸263にはそれぞれ、遊星歯車280が回転可能に支持されている。遊星歯車280は、後述する太陽歯車323と、ケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。そして、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能である。従って、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達されることにより内歯付キャリア260が回転し、それにともない内歯付キャリア260のフランジ262に設けられた支持軸263に回転可能に支持された遊星歯車280が回転することで、ピニオンギア50に起因する回転を増速させることが可能となる。
1−1−6<太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340>
次に、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340について、図1及び図9を用いて説明する。太陽歯車付ウェイトホルダ320は、リング状のリング部324の外方に向かって、凸部321及び凹部322が交互に並んで形成される。図9に示されるように、リング部324の外側の外周面には、遊星歯車280と歯合する太陽歯車323が、回転軸が凸部321の延在方向と略垂直方向を向くように設けられる。そして、それぞれの凹部322には、ウェイト340が配置される。つまり、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、制動装置1000の組み立て時において、凸部321を境としてそれぞれの凹部322内にウェイト340を保持する部材であるとも言える。なお、ウェイト340の数は任意であるが、回転時におけるバランスの観点から等間隔であることが好ましい。なお、第1実施形態では、一例として8つのウェイト340を用いている。従って、凸部321及び凹部322もそれぞれ8つずつ設けられている。
また、図9に示すように、各ウェイト340には、ベース70側に突起341が設けられる。かかる突起341により、ベース70と当接する際における抵抗を低減することが可能となる。突起341の数は任意であるが、第1実施形態では、一例として4つの突起341を設けている。
ウェイト340は、ピニオンギア50に起因する回転時において、遠心力により内歯車261の中心から遠ざかる方向に移動し、ケース10Aの内周壁と当接することにより、回転に対して遠心ブレーキとして抵抗力を付与するものである。従って、ケース10Aの内周壁、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340により、抵抗付与部RAが形成されることになる。そして、本実施形態では、運動変換部DTと抵抗付与部RAが略垂直に位置するように設けられる。
なお、制動装置1000の組み立て時においては、内歯付キャリア260と太陽歯車付ウェイトホルダ320が、図1に示すプレート300を介して組み立てられる。具体的には、内歯付キャリア260の円柱部264を太陽歯車付ウェイトホルダ320のリング部324に挿入するように組み立てる。従って、円柱部264の直径は、リング部324の直径よりもわずかに小さく設計される。
ここで、プレート300は、遊星歯車280の傾きを防止するとともに、遊星歯車280とウェイト340の干渉を防ぐ機能を有する。
1−1−7<ベース70>
次に、図1、図3(b)及び図4を用いて、ベース70について説明する。図1に示されるように、ベース70の略中央には、周囲より嵩高くなっており、下側が凹んでいる円柱部708が設けられる。そして、図3(b)に示されるように、円柱部708の上面に第1ベース溝706、第1ガイド壁706A、第2ベース溝707、第2ガイド壁707Aが設けられる。
第1ベース溝706及び第1ガイド壁706Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第1天壁溝16及び第1ガイド壁16Aに相当するものである。そして、シャフト31の下端が第1ベース溝706を挿通し、その縁に形成された第1ガイド壁706Aと当接する。同様に、第2ベース溝707及び第2ガイド壁707Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第2天壁溝17及び第2ガイド壁17Aに相当するものである。そして、シャフト41の下端が第2ベース溝707を挿通し、その縁に形成された第2ガイド壁707Aと当接する。
なお、円柱部708は必須ではないが、円柱部708を設ける等して下側をへこませることにより、シャフト31及びシャフト41の下端が、制動装置1000を載置する載置面と接触することを防ぎ、シャフト31及びシャフト41の下端を適切に挿通することが可能となる(図9参照)。
また、図2(a),(b)及び図4に示すように、ベース70は、左右の側面の両端にそれぞれ2つの第1係合板部701Aが設けられる。そして、前方の側面の両端に2つの第2係合板部701Bが設けられ、後方の側面の略中央に1つの第2係合板部701Bが設けられる。第1係合板部701Aは、ケース10Aに設けられた第1係合溝111Aと係合するものである。また、第2係合板部701Bは、ケース10Aに設けられた第2係合溝111Bと係合するものである。これにより、ケース10Aとベース70が係合され、筐体を形成する。
さらに、図3(b)に示されるように、ベース70の底面の外側には、遮蔽装置のヘッドボックス(図16のヘッドボックス101参照)内に制動装置1000を配置するときに利用する取付筒702が設けられる。例えば、ヘッドボックス内に設けられた軸等の部材に取付筒702をはめ込むことにより、制動装置1000をヘッドボックス内にて安定して配置させることが可能となる。
1−2<組立構成>
次に、これら各部材を組み立てた状態について、図1〜図3を用いて説明する。図2は、これらの部材を組み合わせて構成された制動装置1000の組立図である。図2に示されるように、制動装置1000の外観は、ケース10A及びベース70が接続された筐体と、ケース10Aの上方から被せるようにして配置された整列部材200からなる。かかる組立は、図1に示されるように、各部材同士の中心軸を上下方向に重ねあわせた状態でなされる。具体的には、内歯付キャリア260と、ウェイト340を保持した太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。このとき、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280と、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323とが互いに歯合するようにする。
そして、スライダー20の第1天壁溝26及び第1底壁溝28にシャフト31を水平方向にスライドさせ、ゴムローラ部32をスライダー20内に収容する。この際、ゴムローラ部32の上下には、上述したようにリング状部材33,34が配置される。また、このとき、ピニオンギア50はスライダー20の外部に位置するようにされる。また、第2天壁溝227及び第2底壁溝229にシャフト41水平方向に移動させ、ローラ部42をスライダー20の内部に収容する。そして、内歯付キャリア260に設けられた内歯車261とピニオンギア50が互いに歯合するように、スライダー20と内歯付キャリア260が互いに近づくように相対移動させる。
その後、これらの部材の下側にベース70を配置し、ケース10Aを上方から被せる。そして、ケース10Aに設けられた第1係合溝111A及び第2係合溝111Bと、ベース70に設けられた第1係合板部701A及び第2係合板部701Bを互いに係合させ、ケース10Aとベース70を固定し、最後に、ケース10A及びベース70で構成される筐体の上方から、整列部材200を被せる。整列部材200は、例えば整列部材200に設けられた爪部とケース10Aに設けられた係合孔19(図13参照)とを係合させることで固定することができる。
このようにして組み立てられた制動装置1000が、図2に示されるものである。そして、制動装置1000の組立が完了した後、3本のコードCDを整列部材200の挿入部201と挿入部201の上部、ケース10Aの前後に設けられたガイド溝113及びスライダー20の前後に設けられた貫通孔25に通される。これにより、図2(a),(b)に示される状態となる。
図2(c)は、制動装置1000の左側面図、つまり、図2(a)の矢印X方向から見た側面図である。図2(c)に示されるように、制動装置1000は、側面視において、上側からケース10A、整列部材200、ベース70が視認されることとなる。また、支持溝114により突起230が支持されていることが伺える。
図3(a)に示されるように、制動装置1000は、その平面視において、中心から順にケース10A、整列部材200、ベース70の一部の順に視認できる。ここで、図2(a),(b)及び図3(a)に示されるように、シャフト31の上端が、スライダー20に設けられた第1天壁溝26からケース10Aに設けられた第1天壁溝16を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。同様に、シャフト41の上端が、スライダー20に設けられた第2天壁溝227からケース10Aに設けられた第2天壁溝17を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。本実施形態でも、このようにシャフト31,41がカバー10の外部に露出していることから、これらシャフトを容易に移動させることができる。従って、一対の狭着部材である張力伝達ローラ30とアイドルローラ40がコードCDに近接する方向に付勢されている場合であっても、コードCDを容易に挿入できるようになっている。
そして、第1天壁溝16の縁に設けられた第1ガイド壁16Aがシャフト31と当接し、第2天壁溝17の縁に設けられた第2ガイド壁17Aがシャフト41と当接している。
また、図3(b)に示されるように、ベース70は、その底面視において、第1ベース溝706に挿通されたシャフト31の下端と、第2ベース溝707に挿通されたシャフト41の下端を視認することができる。なお、取付筒702が設けられる面において、円柱部708の上を面で覆うことにより、シャフト31及びシャフト41の下端が外部から覆われる構成としてもよい。
1−3<動作>
次に、図10を用いて第1実施形態に係る制動装置1000の動作について説明する。図10(a)はコードCDに何ら張力が与えられない状態(定常状態)、図10(b)はコードCDに張力が与えられ、ゴムローラ部32及びローラ部42でコードCDが挟着された状態(挟着状態)、図10(c)は図10(a)から図10(b)へ状態変化する際における各部材の回転方向をまとめた図である。なお、図10(a),(b)はともに、図8と同様に、図2(c)のA−A線切断部断面図である。ここで、説明の都合上、かかる断面図には現れないローラ部42の外周をシャフト41の周囲に、ゴムローラ部32の外周をシャフト31の周囲に重ねて表示した。
図10(a)に示されるように、定常状態において、上記のように、コイルスプリングSPは、ケース10Aの後方の内壁(図30参照)と当接し、スライダー20を前方に押圧する。従って、スライダー20はケース10Aの前方に位置する。このため、スライダー20の第1天壁溝26及び第1底壁溝28により位置が規制されているシャフト31と、第2天壁溝227及び第2底壁溝229により位置が規制されているシャフト41と、がスライダー20とともに前方に移動する。さらに、スライダー20の上部に保持されるケース10Aに設けられた第1天壁溝16と第2天壁溝17は、前方に向かうにつれて互いに距離が小さくなっている。同様に、ベース70に設けられた第1ベース溝706及び第2ベース溝707は、前方に向かうにつれて距離が小さくなっている。従って、シャフト41に回転可能に支持されるローラ部42と、シャフト31に回転可能に支持されるゴムローラ部32との距離も小さくなる。つまり、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、ゴムローラ部32のシャフト31が移動可能に嵌合し、ゴムローラ部32が溝に沿わない動きをすることを規制する規制溝として機能する。同様に、第2天壁溝17及び第2ベース溝707は、ローラ部42のシャフト41が移動可能に嵌合し、ローラ部42が溝に沿わない動きをすることを規制する規制溝として機能する。また、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、内歯付キャリア260の内周面の中心点と平面視において同心円上に形成されるため、シャフト31がそれぞれの溝内を移動しても、ピニオンギア50は内歯付キャリア260に設けられた内歯車261に歯合し続けることができる。
このように、ゴムローラ部32とローラ部42との距離が小さくなると、ゴムローラ部32はローラ部42に押圧され、ゴムローラ部32とローラ部42でコードCDが狭持される。つまり、第1実施形態では、コイルスプリングSPは、ゴムローラ部32がローラ部42に押圧されるように、スライダー20を介してゴムローラ部32を常時付勢する付勢部材としても機能する。なお、コードCDがゴムローラ部32とローラ部42とで狭持された状態で、コードCDの径だけゴムローラ部32とローラ部42とが離間する。このため、第1天壁溝16及び第2天壁溝17の構造、及び、第1ベース溝706及び第2ベース溝707の構造により、ケース10Aは僅かに後方に位置する。
そして、定常状態の制動装置1000において、コードCDに矢印D1の向き(前方)に張力を与えたとする。すると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ゴムローラ部32が反時計回りに、ローラ部42が時計回りに回転する。つまり、ゴムローラ部32を備えた張力伝達ローラ30及びローラ部42を備えたアイドルローラ40は、直線状に延びるコードCDに当接することで、コードCDの長手方向の移動により回転可能とされると言える。そして、ゴムローラ部32の回転により、同じシャフト31を共有して固定されているピニオンギア50もゴムローラ部32と同じ向き(反時計周り)に回転(自転)する。この際、図10(b)に示されるように、シャフト31及びシャフト41は、平面視において前方に移動し、ケース10Aの第1天壁溝16の挟着案内斜面16a及び第2天壁溝17の挟着案内斜面17aにそれぞれ案内されることで左右方向において互いに近接して、ゴムローラ部32とローラ部42によるコードCDの挟着力が強くなり、コードCDの移動に応じてゴムローラ部32が確実に回転するようになる。
なお、張力伝達ローラ30が回転しつつスライダー20とともに移動する際、シャフト31は第1天壁溝16及び第1底壁溝28内で移動可能な状態であり、ピニオンギア50の径方向外側が内周ギア115と歯合しているものの、シャフト31が僅かに軸ぶれを起こす可能性がある(図6の矢印参照)。そして、シャフト31が軸ぶれすると、ゴムローラ部32の上面32a及び下面32b(軸方向の端面)とスライダー20の天壁部21の下面21a及び底壁部23の上面23aとが接触して、摩擦によりゴムローラ部32(及びスライダー20)が摩耗するおそれがある。しかしながら、本実施形態では、ゴムローラ部32の上面32aとスライダー20の天壁部21の下面21aの間、にゴムローラ部32の下面32bとスライダー20の底壁部23の上面23aの間にそれぞれリング状部材33,34を設けている。従って、リング状部材33,34によって、シャフト31の軸ぶれが抑制されるとともに、ゴムローラ部32とスライダー20の間の摩擦によるゴムローラ部32(及びスライダー20)の摩耗を低減することが可能となっている。
そして、ゴムローラ部32及びこれと連結されているピニオンギア50が回転すると、図5に示すように、ピニオンギア50は内歯車261と歯合しているので、ピニオンギア50の歯から与えられる力により、内歯車261が反時計周りに回転(自転)する。これにより、内歯車261とともに内歯付キャリア260も反時計周りに回転(自転)するので、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280も同様に反時計周りに回転(公転)する。ここで、遊星歯車280は太陽歯車323及びケース10Aにより固定された内周ギア115と互いに歯合しているので、公転方向とは逆向き(時計回り)に自転しつつ、反時計周りに公転することとなる。従って、遊星歯車280の内側で遊星歯車280と歯合する太陽歯車323は、遊星歯車280の自転と逆向き(反時計周り)に回転(自転)する。このとき、遊星歯車280により、太陽歯車323の回転は増速される。これにより、太陽歯車323とともに回転する太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されるウェイト340も回転を開始する。なお、すでに述べた通り、遊星歯車280の外側で遊星歯車280と歯合する内周ギア115は、ケース10Aとベース70が固定されているため、遊星歯車280の回転時においても回転しない。
そして、図10(b)に示されるように、ゴムローラ部32とローラ部42が限界まで近づく(挟着状態)と、ゴムローラ部32の自転は続くもののゴムローラ部32の内歯車261に沿った移動が停止する。このとき、ゴムローラ部32の自転に起因した他の部材の回転は継続される。すると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内周壁に当接することにより、回転に対して抵抗力が生じる。つまり、コードCDの移動速度が上昇することで回転速度が上昇し、これにより遠心力が上昇する。そして、遠心力が上昇することによりウェイト340がケース10Aの内周壁により強く当接することになり、抵抗力が上昇する。これにより、コードCDの移動速度(日射遮蔽部材の落下速度)を抑えることができる。ここで、コードCDに加えられる張力が略一定の場合(例えば、第1実施形態の図11において、制動装置1000の前方側のコードCDに昇降可能に吊持される日射遮蔽部材が自由落下する場合)には、コードCDに加えられる張力とウェイト340とケース10Aの内周壁による抵抗力が釣り合うところで、コードCDの移動速度が略一定となる。従って、制動装置1000は、コードCDの移動に対する回転ダンパとして機能し、日射遮蔽部材をゆっくりと降下させることが可能となる。
以上説明した、定常状態から挟着状態までの挟着状態の変化について、各部材の回転方向(ピニオンギア50については、さらに平面視における前後方向及び締め付け方向も含む)をまとめたものが図10(c)である。
一方、コードCDに矢印D1と逆向き(後方)に張力を与えた場合には、ゴムローラ部32及びローラ部42が上記と逆向きに回転する。その結果、シャフト31及びシャフト41が第1天壁溝16の解除案内斜面16b及び第2天壁溝17の解除案内斜面17bにそれぞれ案内されることで互いに離間するように移動する。すると、コードCDに対するゴムローラ部32の挟着力が弱まり、弱い力でコードCDを引っ張ることが可能となる。従って、図11に示されるように、ヘッドボックス内に制動装置1000を設ける場合には、図10において前方にコードCDに張力が加わる向きを日射遮蔽部材の下降する向きとし、後方にコードCDに張力が加わる向きを日射遮蔽部材の上昇する向きとすると好適である。
次に、図11を用いて、定常状態及び挟着状態の状態変化の際におけるスライダー20の移動について説明する。図11(a)が図10(a)に、図11(b)が図10(b)にそれぞれ対応する。
図11(a)の定常状態から図11(b)の挟着状態に変化するとき、シャフト41とローラ部42、及び、シャフト31とゴムローラ部32は、コードCDとの摩擦力により図中の前方に移動する。このとき、シャフト41が第2天壁溝227及び第2底壁溝229と当接していることにより、シャフト41の前方への移動に伴って、第2天壁溝227及び第2底壁溝229に対して前方へ力が加わる。また、シャフト31が第1天壁溝26及び第1底壁溝28と当接していることにより、シャフト31の前方への移動に伴って、第1天壁溝26及び第1底壁溝28に対して前方へ力が加わる。従って、シャフト31,41が前方にΔ移動すると、スライダー20も前方にΔ移動する。
なお、本実施形態の一対の狭着部材は、ゴムローラ部32が摩耗してもコードCDの挟着機能を維持できるようになっている。図14を用いて、この点を示す。図14は、一対の挟着体(ゴムローラ部32及びローラ部42)の初期状態(摩耗前)における所定の挟着位置と、摩耗後における挟着位置について説明する。なお、本実施形態では、ゴムローラ部32及びローラ部42はそれぞれ、シャフト31及びシャフト41を中心に回転する回転体である。
図14に示されるように、ゴムローラ部32の初期状態、つまり、摩耗により径が小さくなる前の状態において、コードCDの移動に伴い、解除位置からゴムローラ部32及びローラ部42が第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って前方に移動する。つまり、一対の挟着体の少なくとも一方が所定の移動軌跡(図中の両矢印)で移動するよう構成される。ここで、かかる移動軌跡は、規制溝(第1天壁溝16及び第1ベース溝706と、第2天壁溝17及び第2ベース溝707(図3参照))に沿った挟着体の移動の軌跡であるということができる。これにより、ゴムローラ部32及びローラ部42がコードCDを挟着する。このときのゴムローラ部32及びローラ部42の位置が所定の挟着位置である。
このとき、移動軌跡は、所定の挟着位置を超えて延在する。換言すると、規制溝は、かかる挟着位置を超えて延在する。さらに、移動軌跡は、コードCDに向かう方向に延在する。そして、ゴムローラ部32及びローラ部42の移動軌跡は、その延長線が互いに交わるように構成される。また、かかる挟着位置は、規制溝のコードCDに対する接近方向側(図20における前側)の端部から離間した位置である。そして、ゴムローラ部32又はローラ部42の一部、特にコードCDとの接触部が摩耗により削れ、ゴムローラ部32又はローラ部42の径が小さくなった場合には、規制溝の所定の挟着位置(初期状態における挟着位置)を超える範囲内でシャフト31及びシャフト41が規制溝内に保持されることにより、ゴムローラ部32及びローラ部42がコードCDを挟着する。図14に示されるように、摩耗後の挟着位置は、所定の挟着位置よりも図中の前側にdだけ離間した位置となる。
このように、移動軌跡(規制溝)が、ゴムローラ部32又はローラ部42の初期状態における挟着位置を超えて延在することにより、摩耗によりゴムローラ部32又はローラ部42の径が小さくなった場合でも、コードCDを適切に挟着することができる。
また、コードの摩耗によりコード径が細くなった場合でも、同様の効果を奏する。
なお、第1実施形態では、ウェイト340が太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されることとしたが、ウェイト340の保持の方法はこれに限定されない。例えば、ウェイト340が内歯付キャリア260に保持されることとしてもよい。この場合、遊星歯車280、プレート300及び太陽歯車付ウェイトホルダ320は省略することができる。なお、遊星歯車280を省略することにより、太陽歯車323、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340の回転に対する増速効果は得られなくなる。
また、上述した実施形態では、スライダー20の天壁部21の下面21aとゴムローラ部32の上面32aの間、及び底壁部23の上面23aとゴムローラ部32の下面32bの間の摩擦を低減する摩擦低減部材として、リング状部材33,34を用いたが、摩擦低減部材はこれに限定されない。例えば、図15に示すように、ゴムローラ部32の上面32a及び下面32bにそれぞれ埋め込んだ球状部材35,36を摩擦低減部材とすることもできる。この場合、球状部材35,36は摩擦の少ない樹脂や金属で形成するのが好ましい。また、図16では、球状部材35,36の数は上下それぞれ2つずつであるが、埋め込む球状部材35,36の数は特に限定されず、例えば3つ以上としてもよい。
さらに、摩擦低減部材として、スライダー20の天壁部21の下面21a及び底壁部23の上面23aに薄い板状部材(図示せず)を貼り付けることも可能である。この板状部材も、摩擦の少ない樹脂や金属で形成するのが好ましい。また、板状部材はゴムローラ部32の端面よりも面積を大きく取るのが好ましく、例えばスライダー20の天壁部21の下面21a及び底壁部23の上面23aと略同一の形状とすることができる。なお、この構成の場合、スライダー20に対して板状部材は移動せず、スライダー20と張力伝達ローラ30が相対移動する際には、ゴムローラ部32が板状部材上を滑るように移動することになる。
また、上述した実施形態では、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RAに伝達され、抵抗付与部RAから回転抵抗が付与される構成であったが、特許文献1に開示された構成のように、コードCDの移動に伴ってローラが移動することによりコードCDが屈曲し、屈曲抵抗によりコードCDに制動力を与える構成であっても良い。
1−4<作用・効果>
第1実施形態に係る制動装置1000により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)張力伝達ローラ30が弾性体であるゴムからなるゴムローラ部32により形成されていることから、複数本のコードCDを確実に狭着しつつコードCDの摩耗を抑制することが可能となる。
(2)コードCDの一方向(前方向)の動作に対しては確実にコードCDを挟着することで制動力を与え、他方向(後方向)の動作に対しては、制動力を低減することが可能である。
(3)ゴムローラ部32とスライダー20の間にリング状部材33,34が設けられていることから、ゴムローラ部32とスライダー20の間の摩擦を低減し、動作を円滑にすることができる。
(4)ゴムローラ部32とスライダー20との間にリング状部材33,34を設けていることで、張力伝達ローラ30のシャフト31が僅かに軸ぶれした場合でも、ゴムローラ部32とスライダー20が接触してゴムローラ部32(及びスライダー20)が摩耗することを低減することが可能となる。
1−5<日射遮蔽装置>
次に、第1実施形態に係る制動装置1000を日射遮蔽装置である横型ブラインドに適用する態様について説明する。図16は、制動装置1000をヘッドボックス101内に配置した遮蔽装置100を表す。
図16に示される遮蔽装置100は、ヘッドボックス101から複数本のラダーコード102を介して複数段のスラット103が吊下支持され、同ラダーコード102の下端にはボトムレール103aが吊下支持されている。以下、スラット103とボトムレール103aを合わせて、遮蔽部材103とも呼ぶことにする。
ヘッドボックス101内には、支持部材(図示せず)が複数個配設され、その支持部材にはチルトドラム104が回転可能に支持される。ラダーコード102の上端部は、チルトドラム104に取着され、そのチルトドラム104の中心部にはシャフト105(軸部材)が全てのチルトドラム104に嵌挿されている。従って、シャフト105が回転されると、全てのチルトドラム104が回転され、そのチルトドラム104の回転にともなって、ラダーコード102の縦糸の一方が引き上げられることにより、各スラット103及びボトムレール103aが同位相で角度調節される。
ヘッドボックス101の一端部には筒体からなる操作棒106が吊下支持されており、操作棒106の下端には操作部106aが設けられている。そして、操作部106aを把持して操作棒106を回転操作すると、ヘッドボックス101内に配設されるギヤ機構を介して角度調節軸が回転される。従って、操作棒106の回転操作により、各遮蔽部材103を角度調節可能となっている。
ヘッドボックス101からは複数本(本実施形態では3本)のコードCD(昇降コードCD)が吊下されており、各昇降コードCDの一端はボトムレール103aに取着される。各支持部材には転向滑車(図示せず)が図面の表裏方向の軸心で軸支され、ヘッドボックス101に導入された昇降コードCDがヘッドボックスの左右方向に転向案内可能となっている。また、各支持部材は他の昇降コードCDを左右方向に通過可能な空間を有している。そして、昇降コードCDは、ヘッドボックス101内に取り付けられたロック部107及び制動装置1000を経てヘッドボックス101端部のコード出口101aから引き出され、筒状の操作棒106内に挿通され、その先端は操作部106aの下方に設けられたコードイコライザ108に接続される。従って、コードイコライザ108を下方へ引いて、ヘッドボックス101から昇降コードCDを引き出すと、ボトムレール103aが引き上げられることにより、各スラット103が順次引き上げられる。
なお、図3(b)に示されるように、制動装置1000の底面(ベース70の底面の外側)には、ヘッドボックス101内における配置を固定するための取付部(取付筒702)が設けられ、ヘッドボックス101の底面に設けられた取付け軸(図示せず)に取付筒702が取付けられている。これにより、制動装置1000をヘッドボックス101内にて安定して配置させることが可能となっている。
また、図16に示されるように、制動装置1000は、ヘッドボックス101内における載置面とシャフト105に挟まれるように配置される。つまり、制動装置1000のスライダー20及び挟着部材30,40がヘッドボックス101内において水平方向(図16の左右方向)に移動するよう、また、遊星歯車280の回転軸がヘッドボックス101内において鉛直方向に向くように配置される。このときの制動装置1000の前後(図の左右方向)向きは、コードイコライザ108を引いて遮蔽部材103を引き上げる際に昇降コードCDの挟着を解除し、コードイコライザ108を手放して遮蔽部材103を自重により降下させる際に昇降コードCDを挟着する向きとされる。また、ロック部107は、制動装置1000の前方(図の左側)に配置される。
制動装置1000がこのような向きに取り付けられていることから、日射遮蔽部材103が下降しきった状態、すなわち日射遮蔽装置100の閉状態において、コードイコライザ108を下方に引っ張ると、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40とが離間し、コードCDを小さな抵抗力で引くことができる。一方、日射遮蔽部材103が下降しきっていない状態において、ロック部107によりコードCDがロックされていない状態でコードCDを離す。すると、日射遮蔽部材103は自重により下降し、昇降コードCDは制動装置1000の前方に向かって引かれる。すると、図10等を用いて説明したように、コードCDには制動力が付与される。従って、日射遮蔽部材103の下降速度が抑えられる。このため、日射遮蔽部材103の下降速度が超過することによる破損等を抑制することができる。
以上、本発明の日射遮蔽装置100について、上記実施形態を例に説明したが、本発明の日射遮蔽装置は、上記実施形態の日射遮蔽装置100と異なる構成であっても良い。例えば、本発明の日射遮蔽装置は、プリーツカーテンや、カーテン布が巻き取られるロールカーテンとされても良い。
2.第2実施形態
次に、図17及び図18を用いて、本発明の第2実施形態に係る制動装置2000について説明する。なお、本実施形態については、運動変換部DTについてのみ説明し、他の部分については、第1実施形態の構成を組み合わせることとして、その説明を省略する。
2−1<運動変換部の構成>
図17(a)に示されるように、第2実施形態では、第1の挟着部材である張力伝達ローラ30がシャフト31及びローレット240から構成される。本実施形態では、コードCDの狭着のためにローレット240を用いるが、第1実施形態と同様、ゴム製のローラとすることも可能である。また、シャフト31は、ローレット240の下方でコードCDを保持する保持ローラ250のシャフト251と、一対のプレート800を介して連結される。プレート800は、シャフト31及びシャフト251に対応する箇所には貫通孔801が設けられ、シャフト31及びシャフト251を貫通孔801に挿入することによりローレット240と保持ローラ250を連結することができる。プレート800の形状は、シャフト31,251を支持できればどのような形状であっても良いが、第2実施形態においては略矩形とされ、例えば金属製のプレート800を用いることができる。
2−2<組立構成>
このような運動変換部DTは、図17(b)に示すように、ヘッドボックス等に固定されたケース10Bの内側にローレット240及び保持ローラ250が配置され、左右のプレート800がケース10Bの外側に配置されるよう組み付けられる。ここで、本実施形態では、ケース10Bが張力伝達ローラ30のシャフト31を保持する保持部材とされる。なお、本実施形態においては、ローレット240の軸方向の端面とケース10Bの内面との間に、摩擦低減部材としてのリング状部材33,34が設けられる。
そして、図18に示されるように、運動変換部DTは、ケース10Bの内部において、ローレット240と保持ローラ250の間にコードCDを挟むように設けられる。ここで、図18においては、視認性の向上のため、プレート800の外縁のみを描いている。また、図18の矢印gで示される方向に重力gが作用するものとする。説明の便宜上、矢印gの方向を下向きとし、矢印gと逆向きを上向きとする。
また、ケース10Bには、シャフト31に対応する位置に側壁孔119Aが設けられる。側壁孔119Aは、前方に向けて傾斜する長円形であり、挟着案内斜面119a、解除案内斜面119b、挟着側規制面119c及び解除側規制面119dにより内周面が形成される(図18(a)参照)。なお、これらの形状は特に限定されず、適宜設計することができる。
シャフト31は側壁孔119Aに沿って移動可能である。つまり、張力伝達ローラ30は、コードCDに接触可能な位置に設けられ且つ鉛直方向に移動可能なローラである。
また、ケース10Bの内部には、コードCDを挟んで張力伝達ローラ30と対向し且つ張力伝達ローラ30よりも前方の位置に、第2の挟着部材である支柱92が固定されている。本実施形態では、張力伝達ローラ30とこの支柱92とで、一対の狭着部材が形成される。なお、支柱92に代えて、ケース10Bに軸支されたローラを用いることも可能である。
2−3<動作>
まず、図18(a)に示される状態から、コードCDに前方(図の左方向)へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、張力伝達ローラ30が矢印D3の向きに側壁孔119Aの挟着案内斜面119aに沿って下方に移動する。図18(b)に示されるように、かかる位置を、鉛直成分を有する可動方向の下側の位置である第1位置とする。かかる状態においては、張力伝達ローラ30と支柱92の鉛直方向における距離が小さいので、コードCDが屈曲し、挟着状態となる。
ここで、挟着状態において、シャフト31が可動範囲の前方限界まで到達すると、略平行移動していた張力伝達ローラ30が回転(図中における時計回り)を開始する。そして、シャフト31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部に出力することとしてもよい。このとき、コードCDが前方に移動するときには回転が抵抗付与部(図示せず)に伝達されるが、コードCDが後方に移動するときには回転が制動装置に伝達されないように、張力伝達ローラ30と制動装置の間にワンウェイクラッチを設けてもよい。ここで、抵抗付与部はケース10Bの内部又は外部に設けられてもよく、張力伝達ローラ30内部に設けられてもよい。
一方、コードCDに後方(図の右方向)に張力を与えると、上記動作と逆向きの動作が生じることにより、張力伝達ローラ30と支柱92の鉛直方向における距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
そして、図18(a)に示されるように、シャフト31は、重力gに逆らい、解除案内斜面119bに沿って側壁孔119Aの鉛直成分を有する可動方向(図18における斜め方向)の上側の位置である第2位置に移動する。かかる状態を自由移動状態と言う。自由移動状態において、コードCDが非屈曲状態で解除される。そして、コードCDの自由移動を許可することができる。
なお、シャフト31及び張力伝達ローラ30と、シャフト251及び保持ローラ250に代えて、回転しない支柱を用いることもできる。
2−4<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)一対の狭着部材の一方である張力伝達ローラ30及び保持ローラ250を保持するプレート800が重力により下方に付勢されることにより、張力伝達ローラ30がコードCDに近づく方向に移動する構成となっている。従って、張力伝達ローラ30は、支柱92と協働して、コードCDを確実に狭着できる。
(2)コードCDの一方向(前方向)の動作に対しては確実にコードCDを挟着することで制動力を与え、他方向(後方向)の動作に対しては、制動力を低減することが可能である。
(3)ローレット240とケース10Bの間にリング状部材33,34が設けられていることから、ローレット240とケース10Bの間の摩擦を低減し、動作を円滑にすることができる。
(4)ローレット240とケース10Bの間にリング状部材33,34を設けていることで、張力伝達ローラ30のシャフト31が僅かに軸ぶれした場合でも、ローレット240とケース10Bが接触してケース10B(材質によっては、ローレット240)が摩耗することを低減することが可能となる。
なお、張力伝達ローラ30が重力により下方に付勢される構成として、図19に示すような制動装置2001とすることもできる。具体的には、制動装置2001の張力伝達ローラ30は、上述した制動装置1000と異なり、プレート800及び保持ローラ250と連結されておらず、単にコードCDの上に乗った状態となっている。このような構成であっても、コードCDを前方(図の左方向)に移動させると、張力伝達ローラ30は第1側壁孔119Aに沿って下方に移動し、図19(a)に示すように支柱92との距離が接近してコードCDを挟着する。一方、コードCDを後方(図の右方向)に移動させた場合は、図19(b)に示すように張力伝達ローラ30と支柱92の距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
6.第3実施形態
次に、図20〜図22を用いて、本発明の第3実施形態に係る制動装置3000について説明する。本実施形態の制動装置3000は第1実施形態に記載の制動装置1000と類似している。しかしながら、本実施形態の制動装置3000は、一対の挟着部材の各軸心の軸方向両端側が一対のリンクプレート721,722で構成されるリンク機構720により保持される点が、主な相違点となっている。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成の部材には同じ符号を付すとともに、構成の異なる部分について主に説明する。
ここで、第3実施形態に係る制動装置3000は、第1実施形態及び第2実施形態と異なり、規制溝を有さない実施形態である。
図20に示すように、本実施形態に係る一対の挟着部材は、ローレット240を備える張力伝達ローラ30及び、ローラ部42を備えるアイドルローラ40から構成される。上下方向に延びる張力伝達ローラ30のシャフト31は、軸方向両端側において一対のリンクプレート721の一端側に軸支され、上下方向に延びるアイドルローラ40のシャフト41も同様に、軸方向両端側において一対のリンクプレート722の一端側に軸支される。また、張力伝達ローラ30のシャフト31は、上述した第2実施形態と同様、張力伝達ローラ30と反対側の端部にピニオンギア50が取り付けられている。なお、本実施形態においては、ローレット240の軸方向の端面とリンクプレート721,722の内面との間に、それぞれ摩擦低減部材としてのリング状部材33,34が設けられる。
リンクプレート721とリンクプレート722とは、プレートの中央部に形成された孔に挿入される軸723を介して相対回転可能に接続され、リンク機構720を形成している。また、リンクプレート721,722の他端には、上下方向に延び、これらリンクプレート721,722を連結する連結ピン724,725(図21参照)が設けられる。
そして、連結ピン724と連結ピン725とは、図22に示すように、コイル部が軸723に巻回された付勢手段としてのトーションばね726により互いが近づく方向に押圧される。したがって、リンクプレート721とリンクプレート722は、軸723を中心として、それぞれが保持する張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とが互いに近づく方向へ回転するよう付勢され、結果として、これらのローラ30,40によってコードCDが挟着されるようになっている。なお、図20において図示していないが、軸723は、ケース10Aに軸支されている。
以上のような構成により、図22(a)に示すようなコードCDに張力が与えられない状態(定常状態)においては、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40は、リンク機構720を介してトーションばね726に付勢されることにより、コードCDを挟着する。この状態でコードCDが前方(図22の左方向)に移動すると、コードCDの移動が張力伝達ローラ30に伝達し、張力伝達ローラ30の回転は内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320に順次伝達され、ウェイト340(図2参照)を回転させ、ウェイト340の回転抵抗によってコードCDに制動力が加えられるようになっている。つまり、本実施形態においても、保持部材であるリンク機構720(リンクプレート721及びリンクプレート722)の移動に伴って、狭着部材がコードCDを挟着することになる。このとき、ローラ部42及びローレット240は、軸723を中心とした円弧状の移動軌跡を描くよう移動する。
一方、コードCDが後方(図22の右方向)に移動すると、図22(b)に示すように、リンクプレート721に保持された張力伝達ローラ30及びリンクプレート722に保持されたアイドルローラ40は、コードCDの移動に伴い、リンク機構720を介したトーションばね726の付勢力に抗して、軸723を中心として張力伝達ローラ30とアイドルローラ40の間の距離が広がる方向に回転する。これにより、狭着体によるコードCDの狭着が弱まって、張力伝達ローラ30を介した抵抗付与部RAのコードCDへの抵抗の付与が減少する。
以上のような構成であっても、ローレット240とリンクプレート721,722の間にそれぞれリング状部材33,34が設けられていることから、ローレット240とリンクプレート721,722の間の摩擦を低減し、動作を円滑にすることができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、リング状部材33,34に代えて、ローレット240の上面32a及び下面32bにそれぞれ埋め込んだ球状部材を摩擦低減部材とすることもできる。さらに、摩擦低減部材として、リンクプレート721の下面及びリンクプレート722の上面に薄い板状部材(図示せず)を貼り付けることも可能である。
以上説明したように、本発明によれば、コードに対して適切に制動力を加えることができる制動装置、運動変換部及び、それを用いた日射遮蔽装置が提供され、生活必需品等の分野において利用することができる。