JPWO2018043543A1 - 蛍光体含有フィルムおよびバックライトユニット - Google Patents

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Abstract

量子ドットなどの蛍光体を含有するフィルムにおいて、積層構造を形成した後に所望のサイズに裁断する場合でも蛍光体の劣化を抑制することができる蛍光体含有フィルム、ならびに、この蛍光体含有フィルムを波長変換部材として備えたバックライトユニットを提供する。酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体を含む蛍光領域が複数、離散的に配置され、離散的に配置された複数の蛍光領域間に、酸素に対する不透過性を有する樹脂層が配置されてなる蛍光体含有層と、蛍光体含有層の両主面にそれぞれ積層される第1の基材フィルムおよび第2の基材フィルムとを有し、樹脂層のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2であり、クリープ回復率が22%以下であり、弾性回復率が60%以上である。

Description

本発明は、励起光照射により蛍光を発する蛍光体を含む蛍光体含有フィルムおよび蛍光体含有フィルムを波長変換部材として備えたバックライトユニットに関する。
液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)などのフラットパネルディスプレイは、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。近年の液晶表示装置において、LCD性能改善としてさらなる省電力化や色再現性向上等が求められている。
LCDのバックライトの省電力化に伴って、光利用効率を高め、また、色再現性を向上するために、入射光の波長を変換して出射する量子ドット(QuantumDot、QD、量子点とも呼ばれる。)を発光材料(蛍光体)として含んだ波長変換層を利用することが提案されている。
量子ドットとは、三次元全方向において移動方向が制限された電子の状態のことであり、半導体のナノ粒子が、高いポテンシャル障壁で三次元的に囲まれている場合に、このナノ粒子は量子ドットとなる。量子ドットは種々の量子効果を発現する。例えば、電子の状態密度(エネルギー準位)が離散化される「量子サイズ効果」が発現する。この量子サイズ効果によれば、量子ドットの大きさを変化させることで、光の吸収波長や発光波長を制御できる。
一般に、このような量子ドットは、樹脂等の中に分散されて、例えば、波長変換を行う量子ドットフィルムとして、バックライトと液晶パネルとの間に配置されて用いられる。
バックライトから量子ドットを含むフィルムに励起光が入射すると、量子ドットが励起され蛍光を発光する。ここで異なる発光特性を有する量子ドットを用い、各量子ドットに赤色光、緑色光もしくは青色光の半値幅の狭い光を発光させることにより白色光を具現化することができる。量子ドットによる蛍光は半値幅が狭いため、波長を適切に選択することで得られる白色光を高輝度にすること、および色再現性に優れる設計にすることが可能である。
ところで、量子ドットは、水分や酸素により劣化しやすく、特に光酸化反応により発光強度が低下するという問題がある。そのため、波長変換部材は、量子ドットを含んだ波長変換層である量子ドットを含む樹脂層(以下、「量子ドット層」ともいう)の両主面にガスバリアフィルムを積層して量子ドット層を保護するように構成される。
しかしながら、量子ドット層の両主面をガスバリアフィルムで保護するのみでは、ガスバリアフィルムで保護されていない端面から水分や酸素が入り込み、量子ドットが劣化するという問題がある。
そのため、量子ドット層の周囲全部をバリアフィルムで保護することが提案されている。
例えば、特許文献1には、励起光を波長変換して波長変換光を発生させる量子点および量子点を分散させる分散媒質を含む波長変換部と、波長変換部を密封する密封部材とを含む量子点波長変換体が記載されており、密封部材である2枚の密閉シート間に波長変換部を配置して、密閉シートの波長変換部の周囲を加熱して熱粘着させることにより波長変換部を密封することが記載されている。
また、特許文献2には、光源部から発せられた色光の少なくとも一部を他の色光に変換する色変換層(蛍光体層)と、色変換層を封止する不透水性の封止シートとを備えた発光装置が記載されており、蛍光体層の外周に沿って、すなわち色変換層の平面形状を囲むように枠形状に設けられている第2貼合層を有し、この第2貼合層が水蒸気バリア性を有する接着材料からなる構成により色変換層への水の浸入を防止した色変換シート(蛍光体シート)が記載されている。
ところで、LCDに用いられる、量子ドットを含む波長変換層は50μm〜350μm程度の薄型のフィルムである。そのような非常に薄型のフィルムの端面全面をガスバリアフィルムなどの密封シートで被覆するのは非常に困難であり、生産性が悪いという問題があった。
このような問題は、量子ドットに限らず、酸素と反応して劣化する蛍光体を備える蛍光体含有フィルムで同様に生じる。
一方、量子ドットなどの蛍光体を含有する蛍光体含有フィルムを高い生産効率で製造するためには、ロール・トゥ・ロール方式により長尺なフィルム上に塗布工程や硬化工程を順次施して、積層構造を形成した後に、所望のサイズに裁断する方法が好ましい。
しかし、この長尺フィルムから所望サイズの蛍光体含有フィルムを裁断して得る際、やはり切断端面において蛍光体含有層が外気に曝露されるため、切断端面からの酸素の侵入に対する対策が必要である。
これに対して、特許文献3では、2の基板と、2つの基板の間に積層され、複数の分離された領域を形成するシール材と、分離された領域に配置される蛍光物質を含む蛍光部材とを有する光学部品が記載されており、シール材の部分で裁断することで、光学部品を裁断しても蛍光部材の密閉状態を維持できることが記載されている。
特開2010−061098号公報 特開2009−283441号公報 米国特許公開2015/048403号
しかしながら、蛍光部材を離散的に配置し、シール材で密閉する構成とした場合でも、この光学部品を裁断した場合に、シール材に割れが生じ水分や酸素が侵入しやすくなってしまうという問題があることがわかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、量子ドットなどの蛍光体を含有するフィルムにおいて、積層構造を形成した後に所望のサイズに裁断する場合でも蛍光体の劣化を抑制することができる蛍光体含有フィルム、ならびに、この蛍光体含有フィルムを波長変換部材として備えたバックライトユニットを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体を含む蛍光領域が複数、離散的に配置され、離散的に配置された複数の蛍光領域間に、酸素に対する不透過性を有する樹脂層が配置されてなる蛍光体含有層と、蛍光体含有層の一方の主面に積層される第1の基材フィルムおよび他方の主面に積層される第2の基材フィルムとを有し、樹脂層のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2であり、クリープ回復率が22%以下であり、弾性回復率が60%以上であることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
(1) 酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体を含む蛍光領域が複数、離散的に配置され、離散的に配置された複数の蛍光領域間に、酸素に対する不透過性を有する樹脂層が配置されてなる蛍光体含有層と、
蛍光体含有層の一方の主面に積層される第1の基材フィルムおよび他方の主面に積層される第2の基材フィルムと、を有し、
樹脂層のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2であり、クリープ回復率が22%以下であり、弾性回復率が60%以上である蛍光体含有フィルム。
(2) 蛍光体含有フィルムの端面において、蛍光特性を失った領域と樹脂層とが露出している(1)に記載の蛍光体含有フィルム。
(3) 樹脂層の酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下である(1)または(2)に記載の蛍光体含有フィルム。
(4) 第1の基材フィルムおよび第2の基材フィルムの酸素透過度が1cc/(m2・day・atm)以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体含有フィルム。
(5) 樹脂層に含まれる樹脂が、光重合性官能基又は熱重合性官能基を有する化合物を含有する組成物から成る(1)〜(4)のいずれかに記載の蛍光体含有フィルム。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の蛍光体含有フィルムからなる波長変換部材と、青色発光ダイオードおよび紫外線発光ダイオードの少なくとも一方とを含むバックライトユニット。
本発明によれば、量子ドットなどの蛍光体を含有するフィルムにおいて、積層構造を形成した後に所望のサイズに裁断する場合でも蛍光体の劣化を抑制することができる蛍光体含有フィルム、ならびに、この蛍光体含有フィルムを波長変換部材として備えたバックライトユニットを提供することができる。
本発明の蛍光体含有フィルムの一例を模式的に示す斜視図である。 図1の蛍光体含有フィルムの平面図である。 図1の蛍光体含有フィルムの断面図である。 蛍光領域の平面視パターンの他の一例を示す平面図である。 蛍光領域の平面視パターンの他の一例を示す平面図である。 蛍光領域の輪郭の特定方法を説明するための図である。 本発明の蛍光体含有フィルムの他の一例を模式的に示す平面図である。 図7AのB−B線断面図である。 図7AのC−C線断面図である。 本発明の蛍光体含有フィルムの他の一例を模式的に示す平面図である。 図8AのB−B線断面図である。 本発明の蛍光体含有フィルムの他の一例を模式的に示す平面図である。 図9AのB−B線断面図である。 蛍光体含有フィルムの製造工程を示す図である。 本発明の蛍光体含有フィルムの作製方法を説明するための模式図である。 本発明の蛍光体含有フィルムの作製方法を説明するための模式図である。 蛍光体含有フィルムを波長変換部材として備えたバックライトユニットの概略構成断面図である。 バックライトユニットを備えた液晶表示装置の概略構成断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る蛍光体含有フィルム、および、蛍光体含有フィルムを備えたバックライトユニットの実施の形態について説明する。本明細書の図面において、視認しやすくするために各部の縮尺を適宜変更して示している。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<蛍光体含有フィルム>
本発明の蛍光体含有フィルムは、
酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体を含む蛍光領域が複数、離散的に配置され、離散的に配置された複数の蛍光領域間に、酸素に対する不透過性を有する樹脂層が配置されてなる蛍光体含有層と、
蛍光体含有層の一方の主面に積層される第1の基材フィルムおよび他方の主面に積層される第2の基材フィルムと、を有し、
樹脂層のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2であり、クリープ回復率が22%以下であり、弾性回復率が60%以上である蛍光体含有フィルムである。
図1は、本発明に係る蛍光体含有フィルム1の一例を模式的に示す斜視図であり、図2は図1の平面図であり、図3は図1の断面図である。なお、図1においては説明のため、第2の基材フィルム20を破線で示し、蛍光体含有層30を実線で示す。
本実施形態の蛍光体含有フィルム1は、第1の基材フィルム10と、第1の基材フィルム10上において、酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体31を含む領域35が複数、離散的に配置され、離散的に配置された蛍光体31を含む領域35間に、酸素に対する不透過性を有する樹脂層38が配置されてなる蛍光体含有層30と、蛍光体含有層30上に配置される第2の基材フィルム20とを備えている。以下において、蛍光体31を含む領域35を蛍光領域35と称する場合がある。
本明細書において、「第1の基材フィルム上において、・・・蛍光体を含む領域が複数、離散的に配置され」とは、図1および図2に示すように、第1の基材フィルムのフィルム面に垂直な方向から観察(平面視)した際に、第1の基材フィルム10のフィルム面に沿った二次元方向において複数の蛍光領域35が互いに接触しないで孤立して配置されていることを意味する。本例においては、蛍光領域35は円柱状(ディスク状)であり、第1の基材フィルム10のフィルム面に沿った二次元方向において酸素に対する不透過性を有する樹脂層38に囲まれて個々孤立しており、個々の蛍光領域35への第1の基材フィルム10のフィルム面に沿った二次元方向からの酸素の侵入が遮断されている。
本明細書において「酸素に対する不透過性を有する」とは、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下であることを意味する。酸素に対する不透過性を有する樹脂層の酸素透過度は1cc/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、10-1cc/(m2・day・atm)以下である。なお、本明細書において「不透過性を有する」と「バリア性を有する」とは同義で用いている。すなわち、本明細書において、ガスバリアとは、ガス(気体)に対して不透過性を有することを意味し、水蒸気バリアとは、水蒸気に対して不透過性を有することを意味する。また、酸素および水蒸気の両者に対して不透過性を有する層については、「バリア層」と称する。
本発明の蛍光体含有フィルム1は、蛍光領域35が二次元方向に離散的に配置されているので、図2に示すように、蛍光体含有フィルム1を長尺フィルムの一部と仮定したとき、破線で示すようにどの箇所で直線的に裁断されたとしても、裁断箇所となった蛍光領域35以外の蛍光領域35は樹脂層38により囲まれて封止された状態を保つことができる。裁断されて外気に暴露された蛍光領域35は、本来の蛍光体としての機能を失うが、蛍光特性を失った領域は、外気に暴露されていない蛍光領域35を外気から守る樹脂層となる。
ここで、本発明の蛍光体含有フィルムにおいては、樹脂層のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2であり、クリープ回復率が22%以下であり、弾性回復率が60%以上である。
前述のとおり、量子ドットなどの蛍光体を含有する蛍光体含有フィルムを高い生産効率で製造するためには、ロール・トゥ・ロール方式により長尺なフィルム上に塗布工程や硬化工程を順次施して、積層構造を形成した後に、所望のサイズに裁断する方法が好ましい。この長尺フィルムから所望サイズの蛍光体含有フィルムを裁断して得る際、切断端面において蛍光体含有層が外気に曝露されるため、切断端面からの酸素の侵入に対する対策が必要である。
そこで、量子ドットなどの蛍光体を複数の領域に離散的に配置し、蛍光体の周囲にシール材を配置する構成として、蛍光体含有フィルムを裁断する際にシール材の部分で裁断することで、光学部品を裁断しても蛍光部材の密閉状態を維持することが考えられている。
しかしながら、蛍光体を離散的に配置し、シール材で密閉する構成とした場合でも、蛍光体含有フィルムを裁断する際に、シール材に割れが生じて水分や酸素が侵入しやすくなってしまうという問題があることがわかった。
これに対して、本発明の蛍光体含有フィルムにおいては、シール材である樹脂層のヌープ硬度を115N/mm2〜285N/mm2とし、クリープ回復率を22%以下とし、弾性回復率を60%以上とすることで、蛍光体含有フィルムを裁断する際の、樹脂層(シール材)の割れを抑制でき、裁断後の蛍光体含有フィルムにおいて端面からの水分や酸素の侵入を抑制でき、蛍光体の劣化を抑制することができる。
より詳しくは、少なくとも一方の表面において、好ましくは両面において115N/mm2〜285N/mm2のヌープ硬度を示す樹脂層は、裁断において、良好な結果を示すことができる。ヌープ硬度を測定する際のヌープ圧子の押し込みは、主に裁断刃の侵入を模擬できる。従って、ヌープ硬度が小さすぎると、裁断したい方向と異なる方向へも微小傷が発生し割れが生じ、ヌープ硬度が大きすぎると裁断刃による荷重が不足し切り残りが出ると考えらえる。
裁断性の更なる向上の観点からは、ヌープ硬度は140N/mm2〜285N/mm2であることが好ましい。
なお、本発明におけるヌープ硬度とは、以下の方法により求められる値とする。
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製PICODENTOR HM500p型硬度計を用い、ヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、最大荷重でのクリープ時間5sec、除荷時間10sec、除荷後のクリープ時間5sec、最大荷重20mNの条件で測定する。押し込み深さから求められる圧子とサンプルとの接触面積と最大荷重の関係より硬度を算出し、この10点の平均値をヌープ硬度とする。
少なくとも一方の表面において、好ましくは両面において22%以下のクリープ回復率を示す樹脂層は、裁断において、良好な結果を示すことができる。クリープ回復率は、ヌープ圧子の押し込み後、除荷した後の押し込み深さの回復率を表しており、これは最大の押し込み深さから「弾性回復分」と「結合が破壊された塑性(永久)変形分」を差し引いた変形分に相当し、粘弾性変形と対応する。粘弾性変形が大きいと押し込みにより与えた仕事の一部が無駄に消費され、同じ力を与えても粘弾性変形が小さいものに比べて塑性(永久)変形が進まない。よって、クリープ回復率が大きすぎると、粘弾性挙動が現れ、切れ残りがでると考えられる。
裁断性の更なる向上の観点からは、クリープ回復率は20%以下であることが好ましい。
なお本発明におけるクリープ回復率とは、以下の方法により求められる値とする。
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製PICODENTOR HM500p型硬度計を用い、ヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、最大荷重でのクリープ時間5sec、除荷時間10sec、除荷後のクリープ時間5sec、最大荷重20mNの条件で測定する。除荷直後の押し込み深さと除荷5秒後の深さの関係よりクリープ回復の割合を算出し、この10点の平均値をクリープ回復率とする。
少なくとも一方の表面において、好ましくは両面において60%以上の弾性回復率を示す樹脂層は、裁断において、良好な結果を示すことができる。弾性回復率は、ヌープ圧子の最大荷重時から荷重がゼロになった時までの変形回復率を表している。クリープ回復と異なり、除荷直後、瞬時に変形が回復する量と対応しており、クリープ回復に対して弾性回復率が小さいと押し込みによる変形回復が遅れる。よって、弾性回復率が小さすぎると、裁断後の形状回復が遅れて膜厚ムラとなり、輝度ムラにつながると考えられる。
裁断性の更なる向上の観点からは、弾性回復率は65%以上であることが好ましい。
なお本発明における弾性回復率とは、以下の方法により求められる値とする。
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製PICODENTOR HM500p型硬度計を用い、ヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、最大荷重でのクリープ時間5sec、除荷時間10sec、除荷後のクリープ時間5sec、最大荷重20mNの条件で測定する。横軸押し込み深さ、縦軸荷重にとったグラフにおいて[クリープ時間後の押し込み深さ、最大荷重]、[クリープ時間後の押し込み深さ、荷重ゼロ]、[除荷直後の押し込み深さ、荷重ゼロ]の3点で囲まれる面積(除荷時に解放される弾性変形エネルギーEに相当)と、原点、[クリープ時間前の押し込み深さ、最大荷重]、[クリープ時間後の押し込み深さ、最大荷重]、[クリープ時間後の押し込み深さ、荷重ゼロ]の4点で囲まれる面積(負荷(およびクリープ)に要した総エネルギーE合計に相当)との関係より弾性回復の割合を算出し、この10点の平均値を弾性回復率とする。
ここで、特に、樹脂層と蛍光領域をまたいで裁断する場合には、樹脂層と蛍光領域との硬度の違い等により樹脂層に割れが生じやすくなる場合があるが、樹脂層のヌープ硬度、クリープ回復率、および、弾性回復率をそれぞれ上記範囲とすることで、裁断する際の、樹脂層の割れを好適に抑制できる。
また、本発明の蛍光体含有フィルムは、樹脂層と蛍光領域をまたいで裁断しても樹脂層の割れを好適に抑制できるので、裁断箇所を自由に選択でき、裁断する際のサイズや形状の自由度が高い。
また、樹脂層と蛍光領域をまたいで裁断した場合には、蛍光体含有フィルムは、切断面である端面において、蛍光特性を失った領域と樹脂層とが露出した構成となる。また、蛍光領域を複数またいで裁断した場合には、蛍光体含有フィルムの端面において、蛍光特性を失った領域と樹脂層とが交互に露出した構成となる。
ここで、蛍光領域35は、蛍光体31がバインダ33中に分散されて構成されている。バインダ33の酸素透過度が蛍光領域35間に充填されている樹脂層38の透過度よりも大きい場合、すなわちバインダ33が酸素を透過しやすいものである場合に、本発明の効果は特に顕著である。
また、第1の基材フィルム10および第2の基材フィルムは、酸素に対して不透過性を有するものであることが好ましく、図3に示すように支持フィルム(11、21)と酸素に対する不透過性を有するバリア層(12、22)との積層構造を有するものであってもよい。
また、蛍光領域35の大きさや配置パターンは特に限定されず、所望の条件によって適宜設計すればよい。設計においては、蛍光領域を平面視において互いに離間して配置するための幾何学的制約や、切断時に生じる非発光領域の幅の許容値などを考慮する。また、例えば、後述する蛍光領域の形成方法の1つとして印刷法を用いる場合、個々の占有面積(平面視において)がある程度の大きさ以上でないと印刷ができないという制約もある。さらには、隣接する蛍光領域の最短距離は、酸素透過度10cc/(m・day・atm)以下を実現できる距離とする必要がある。これらを鑑みて所望の形状、大きさおよび配置パターンを設計すればよい。
上記実施形態においては、蛍光領域35は円柱状であり、平面視において円形であるが、蛍光領域35の形状は特に制限はない。図4に示すように平面視において四角形、あるいは図5に示すように平面視において六角形などのように蛍光領域35は多角柱であってもよい。また、上述の例においては円柱あるいは多角柱の底面が基材フィルム面に平行に配置されているが、必ずしも底面が基材フィルム面に平行に配置されていなくても構わない。また、各蛍光領域35の形状は不定形であっても構わない。
なお、蛍光領域35中のバインダ33と蛍光領域35間の酸素に対して不透過性を有する樹脂層38との境界が明確でない場合には、図6に示すように、蛍光体31が近接配置されている領域の最外部に位置する蛍光体31eの外側(蛍光体31が配置されていない
側)の点を結ぶ線を蛍光領域35の輪郭(蛍光領域35と樹脂層38の境界)mと看做すこととする。励起光を蛍光体含有層に照射して蛍光体を発光させ、たとえば、共焦点レーザー顕微鏡などで観察することにより、蛍光体の位置を特定することができ、これにより蛍光領域35の輪郭mを特定することができる。本明細書において、円柱や多角柱の辺は図6の輪郭のように蛇行しているものを許容するものとする。
また、上記実施形態においては、蛍光領域35は周期的にパターン配置されているが、複数の蛍光領域35が離散的に配置されていれば所望の性能が損なわれない限りにおいて、非周期的であってもよい。蛍光領域35は、蛍光体含有層30の全域に亘って均一に分布していることが輝度の面内分布が均等になるため好ましい。
蛍光量を十分なものとするためには蛍光領域35の占める領域をなるべく大きくすることが望ましい。
蛍光領域35中の蛍光体31は1種であってもよいし、複数種であってもよい。また、1つの蛍光領域35中の蛍光体31は1種として、複数の蛍光領域35のうち、第1の蛍光体を含む領域と第1の蛍光体とは異なる第2の蛍光体を含む領域とが周期的にあるいは非周期的に配置されていてもよい。蛍光体の種類は3種以上であっても構わない。
蛍光体含有層30は、蛍光領域35がフィルムの厚み方向に複数層積層されて構成されていてもよい。そのような例を図7Aから図9Bを参照し簡単に説明する。なお、以下の説明において、図1に示す蛍光体含有フィルム1と同一の要素には同一の符号を付して詳細な説明や省略する。
図7Aは、蛍光体含有フィルムの他の一例の模式的平面図であり、図7Bは、図7AのB−B線断面図であり、図7Cは、図7AのC−C線断面図である。
図7A〜図7Cに示す蛍光体含有フィルム3は、蛍光領域として、バインダ33中に第1の蛍光体31aが分散されてなる第1の蛍光領域35aとバインダ33中に第1の蛍光体31aとは異なる第2の蛍光体31bが分散されてなる第2の蛍光領域35bとを備えている。第1の蛍光領域35aと第2の蛍光領域35bは、平面視において交互に配置されており、フィルム厚み方向において、互いに異なる位置に分散配置されている。第1の蛍光領域35aが第2の基材フィルム20に隣接する主面側に配置され、第2の蛍光領域35bが第1の基材フィルム10に隣接する主面側に配置されており、第1の蛍光領域35aと第2の蛍光領域35bとは平面視において重ならないように配置されている。
第1の蛍光体31aと第2の蛍光体31bとは、例えば、互いに異なる発光中心波長を有する蛍光体とする。例えば、第1の蛍光体31aとして、600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有する蛍光体を、第2の蛍光体31bとして、520〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する蛍光体を用いるなどである。
第1の蛍光領域35aと第2の蛍光領域35bのバインダ33は本例において同一の組成からなるものとしているが、異なる組成からなるものであってもよい。
図8Aは、本発明の蛍光体含有フィルムの他の一例を模式的に示す平面図であり、図8Bは、図8AのB−B線断面図である。
図8Aおよび図8Bに示す蛍光体含有フィルム4は、フィルム厚み方向に異なる位置に配置されている第1の蛍光領域35aと第2の蛍光領域35bとがフィルム面を平面視したとき一部重なりを有している点で、図7A〜図7Cに示す蛍光体含有フィルム3と異なる。このように、フィルム方向において異なる位置に配置されている第1の蛍光領域35aと第2の蛍光領域35bとが平面視において重なりを有していても構わない。
図9Aは、本発明の蛍光体含有フィルムの他の一例を模式的に示す平面図であり、図9Bは、図9AのB−B線断面図である。
図9Aおよび図9Bに示す蛍光体含有フィルム6は、四角柱状の領域が半周期ずれて積層された階段状の蛍光領域35を備えている。蛍光領域35は、第1の蛍光体31a、第2の蛍光体31bがバインダ33中に分散されてなる。本例では、階段状の蛍光領域35の下階段部に第2の蛍光体31bが、上階段部に第1の蛍光体31aが分散されているが、第1の蛍光体31a、第2の蛍光体31bが蛍光領域35内の上下階段部全体に混在していても構わない。
既述の通り、本発明の蛍光体含有フィルムは、蛍光領域35の形状やその配置パターンには特段の制限はない。いずれの場合もフィルム面において離散的に配置されているために、切断端部の蛍光領域の蛍光体は劣化するが、切断端部以外の部分の蛍光領域はフィルム面に沿った方向において酸素を透過しない樹脂により囲まれて封止されているため、フィルム面に沿った方向からの酸素の侵入による性能劣化を抑制できる。
以下に、本発明の蛍光体含有フィルムの各構成要素について説明する。
蛍光体含有フィルム1は、第1の基材フィルム10の一方のフィルム面に蛍光体含有層30が積層され、さらに、蛍光体含有層30の上に第2の基材フィルム20が積層されて、蛍光体含有層30が2枚の基材フィルム10、20で挟持された構成である。
−蛍光体含有層−
蛍光体含有層30は、複数の蛍光体31を含む蛍光領域35と、蛍光領域35間に充填される、酸素に対して不透過性を有する樹脂層38とを備える。
<<蛍光体を含む領域(蛍光領域)>>
蛍光領域35は、蛍光体31と蛍光体31が分散されてなるバインダ33とから構成されるものであり、蛍光体31および硬化性化合物を含む蛍光領域形成用塗布液を塗布、硬化して形成される。
<蛍光体>
酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体としては、公知の各種蛍光体を用いることができる。例えば、希土類ドーピングガーネット、ケイ酸塩、アルミン酸塩、リン酸塩、セラミックス蛍光体、硫化物蛍光体、窒化物蛍光体等の無機蛍光体、および、有機蛍光染料および有機蛍光顔料を始めとする有機蛍光物質などである。また、半導体微粒子に希土類をドープした蛍光体、および、半導体のナノ微粒子(量子ドット、量子ロッド)も好適に用いられる。蛍光体は1種単独で用いることもできるが、所望の蛍光スペクトルが得られるように、異なる波長のものを複数混ぜて使用してもよいし、異なる素材構成の蛍光体同士の組み合わせ(例えば、希土類ドーピングガーネットと量子ドットとの組み合わせ)として用いてもよい。
ここで、酸素に暴露されるとは、大気中など酸素を含む環境下に曝されることを意味し、酸素と反応して劣化するとは、蛍光体が酸化されることによりその蛍光体の性能が劣化(低下)することを意味し、主として発光性能が酸素と反応する前と比較して低下することをいうが、蛍光体を光電変換体として利用する場合には、光電変換効率が酸素と反応する前と比較して低下することを意味する。
以下においては、酸素により劣化する蛍光体として、主に量子ドットを例として説明するが、本発明の蛍光体としては、量子ドットに限らず、その他の酸素により劣化する蛍光色素、光電変換材料など、外部からのエネルギーを光に変換する、あるいは光を電気に変換する材料であれば特に限定はされない。
(量子ドット)
量子ドットは、数nm〜数十nmの大きさをもつ化合物半導体の微粒子であり、少なくとも、入射する励起光により励起され蛍光を発光する。
本実施形態の蛍光体としては、少なくとも一種の量子ドットを含み、発光特性の異なる二種以上の量子ドットを含むこともできる。公知の量子ドットには、600nm以上680nm以下の範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(A)、500nm以上〜600nm未満の範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(B)、400nm以上500nm未満の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(C)があり、量子ドット(A)は、励起光により励起され赤色光を発光し、量子ドット(B)は緑色光を、量子ドット(C)は青色光を発光する。例えば、量子ドット(A)と量子ドット(B)を含む蛍光体含有層へ励起光として青色光を入射させると、量子ドット(A)により発光される赤色光、量子ドット(B)により発光される緑色光と、蛍光体含有層を透過した青色光により、白色光を具現化することができる。または、量子ドット(A)、(B)、および(C)を含む蛍光体含有層に励起光として紫外光を入射させることにより、量子ドット(A)により発光される赤色光、量子ドット(B)により発光される緑色光、および量子ドット(C)により発光される青色光により、白色光を具現化することができる。
量子ドットについては、例えば特開2012−169271号公報段落0060〜0066を参照することができるが、ここに記載のものに限定されるものではない。量子ドットとしては、市販品を何ら制限なく用いることができる。量子ドットの発光波長は、通常、粒子の組成、サイズにより調整することができる。
量子ドットは、塗布液の全量100質量部に対して、例えば0.1〜10質量部程度添加することができる。
量子ドットは、塗布液中に粒子の状態で添加してもよく、有機溶媒に分散した分散液の状態で添加してもよい。分散液の状態で添加することが、量子ドットの粒子の凝集を抑制する観点から好ましい。量子ドットの分散のために使用される有機溶媒は、特に限定されるものではない。
量子ドットとしては、例えば、コアーシェル型の半導体ナノ粒子が、耐久性を向上する観点から好ましい。コアとしては、II−VI族半導体ナノ粒子、III−V族半導体ナノ粒子、及び多元系半導体ナノ粒子等を用いることができる。具体的には、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、InAs、InGaP等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、CdSe、CdTe、InP、InGaPが、高効率で可視光を発光する観点から、好ましい。シェルとしては、CdS、ZnS、ZnO、GaAs、およびこれらの複合体を用いることができるが、これらに限定されない。量子ドットの発光波長は、通常、粒子の組成およびサイズにより調整することができる。
量子ドットは、球形の粒子であってもよく、また、量子ロッドとも呼ばれる、棒状の粒子であってもよく、さらに、テトラポッド型の粒子であってもよい。発光半値幅(full width at half maximum,FWHM)を狭くし、液晶表示装置の色再現域を拡大する観点からは、球形の量子ドット、または棒状の量子ドット(すなわち、量子ロッド)が好ましい。
量子ドットの表面には、ルイス塩基性の配位性基を有する配位子が配位していても良い。また、すでにこのような配位子が配位した量子ドットを用いることも可能である。ルイス塩基性の配位性基としては、アミノ基、カルボキシ基、メルカプト基、ホスフィン基、およびホスフィンオキシド基、等を挙げることができる。具体的には、ヘキシルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン、オレイン酸、メルカプトプロピオン酸、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシド等を上げることができる。なかでも、ヘキサデシルアミン、トリオクチルホスフィン、およびトリオクチルホスフィンオキシドが好ましく、トリオクチルホスフィンオキシドが特に好ましい。
これらの配位子が配位した量子ドットは、公知の合成方法によって作製することができる。例えば、C.B.Murray,D.J.Norris、M.G.Bawendi,Journal Amarican Chemical Society,1993,115(19),pp8706−8715、または、The Journal Physical Chemistry,101,pp9463−9475,1997に記載された方法によって合成することができる。また、配位子が配位した量子ドットは、市販のものを何ら制限無く用いることができる。例えば、Lumidot(シグマアルドリッチ社製)を挙げることができる。
本発明において、配位子が配位した量子ドットの含有量は、蛍光領域となる量子ドット含有組成物に含まれる重合性化合物の全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。蛍光体含有フィルムの厚さにより、濃度を調整することが望ましい。
また、量子ドットは、上記量子ドット含有組成物に粒子の状態で添加してもよく、溶媒に分散した分散液の状態で添加してもよい。分散液の状態で添加することが量子ドットの粒子の凝集を抑制する観点から好ましい。ここで使用される溶媒は、特に限定されるものではない。
(配位子の合成方法)
量子ドット含有組成物における配位子は、公知の合成法によって合成することができる。例えば、特許文献特開2007−277514に記載の方法によって合成することができる。
(蛍光領域のバインダ硬化性化合物)
硬化性化合物としては、重合性基を有するものが広く採用できる。重合性基の種類は、特に限定されないが、光又は熱重合性官能基を有する化合物が好ましい。また、好ましくは、(メタ)アクリレート基、ビニル基またはエポキシ基であり、より好ましくは、(メタ)アクリレート基であり、さらに好ましくは、アクリレート基である。また、2つ以上の重合性基を有する重合性単量体は、それぞれの重合性基が同一であってもよいし、異なっていても良い。
−(メタ)アクリレート系−
硬化後の硬化被膜の透明性、密着性等の観点からは、単官能または多官能(メタ)アクリレートモノマー等の(メタ)アクリレート化合物や、そのポリマー、プレポリマー等が好ましい。なお本発明および本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、アクリレートとメタクリレートとの少なくとも一方、または、いずれかの意味で用いるものとする。「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
−−単官能のもの−−
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸およびメタクリル酸、それらの誘導体、より詳しくは、(メタ)アクリル酸の重合性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を分子内に1個有するモノマーを挙げることができる。それらの具体例として以下に化合物を挙げるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜30であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル基の炭素数が7〜20であるアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基の炭素数が2〜30であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(モノアルキル又はジアルキル)アミノアルキル基の総炭素数が1〜20であるアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルの(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールブチルエーテルの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10で末端アルキルエーテルの炭素数が1〜10のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30で末端アリールエーテルの炭素数が6〜20のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチレンオキシド付加シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する総炭素数4〜30の(メタ)アクリレート;ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等の総炭素数4〜30のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーの使用量は、塗布液に含まれる硬化性化合物の全量100質量部に対して、塗布液の粘度を好ましい範囲に調整する観点からは、10質量部以上とすることが好ましく、10〜80質量部とすることがより好ましい。
−−2官能のもの−−
重合性基を2つ有する重合性単量体として、エチレン性不飽和結合含有基を2個有する2官能重合性不飽和単量体を挙げることができる。2官能の重合性不飽和単量体は組成物を低粘度にするのに適している。本実施形態では、反応性に優れ、残存触媒などの問題の無い(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
特に、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等が本発明に好適に用いられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーの使用量は、塗布液に含まれる硬化性化合物の全量100質量部に対して、塗布液の粘度を好ましい範囲に調整する観点からは、5質量部以上とすることが好ましく、10〜80質量部とすることがより好ましい。
−−3官能以上のもの−−
重合性基を3つ以上有する重合性単量体として、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上有する多官能重合性不飽和単量体を挙げることができる。これら多官能の重合性不飽和単量体は機械的強度付与の点で優れる。本実施形態では、反応性に優れ、残存触媒などの問題の無い(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
具体的には、ECH(Epichlorohydrin)変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO(ethylene oxide)変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO(propylene oxide)変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が好適である。
これらの中で特に、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが本発明に好適に用いられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの使用量は、塗布液に含まれる硬化性化合物の全量100質量部に対して、硬化後の蛍光含有層の塗膜強度の観点からは、5質量部以上とすることが好ましく、塗布液のゲル化抑制の観点からは、95質量部以下とすることが好ましい。
また、蛍光領域(バインダ)の耐熱性をより向上させる観点から、(メタ)アクリレートモノマーは脂環式アクリレートであることが好ましい。そのような単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、たとえばジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−トが挙げられる。また、2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、たとえばトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、バインダを形成する硬化性組成物中の重合性化合物の総量は、組成物の取扱いおよび硬化性の観点から硬化性組成物100質量部に対して、70〜99質量部であることが好ましく、85〜97質量部であることがより好ましい。
−エポキシ系化合物他−
本実施の形態で用いる重合性単量体として、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合可能な環状エーテル基等の環状基を有する化合物を挙げることができる。そのような化合物としてより好ましくは、エポキシ基を有する化合物(エポキシ化合物)を有する化合物を挙げることができる。エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物を、(メタ)アクリレート系化合物と組み合わせて使用することにより、バリア層との密着性が向上する傾向にある。
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物およびエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらの化合物は、その一種を単独で使用することもできるし、また、その二種以上を混合して使用することもできる。
その他に好ましく使用することのできるエポキシ基を有する化合物としては、例えば、脂肪族環状エポキシ化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などを例示することができる。
これらの成分の中、脂肪族環状エポキシ化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物として好適に使用できる市販品としては、UVR−6216(ユニオンカーバイド社製)、グリシドール、AOEX24、サイクロマーA200、セロキサイド2021P、セロキサイド8000(以上、ダイセル化学工業(株)製)、シグマアルドリッチ社製の4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、エピコート828、エピコート812、エピコート1031、エピコート872、エピコートCT508(以上、油化シェル(株)製)、KRM−2400、KRM−2410、KRM−2408、KRM−2490、KRM−2720、KRM−2750(以上、旭電化工業(株)製)などを挙げることができる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、これらのエポキシ基やオキセタニル基を有する化合物はその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry OF heterocyclic compounds-Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons, An Interscience Publication, New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号公報、特許第2906245号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
本実施形態で用いる硬化性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いてもよい。
ビニルエーテル化合物は公知のものを適宜選択することができ、例えば、特開2009−73078号公報の段落番号0057に記載のものを好ましく採用することができる。
これらのビニルエーテル化合物は、例えば、Stephen.C.Lapin,Polymers Paint Colour Journal.179(4237)、321(1988)に記載されている方法、即ち多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、または多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができ、これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態の塗布液には、低粘度化、高硬度化の観点から特開2009−73078号公報に記載の反応性基を有するシルセスキオキサン化合物を用いることも可能である。
上述した硬化性化合物の中でも、(メタ)アクリレート化合物が、組成物粘度、光硬化性の観点から好ましく、アクリレートがより好ましい。また、本発明では、重合性官能基を2つ以上有する多官能重合性化合物が好ましい。本発明では特に、単官能(メタ)アクリレート化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物の配合比が、重量比で80/20〜0/100が好ましく、70/30〜0/100がより好ましく、40/60〜0/100であることが好ましい。適切な比率を選択することで、十分な硬化性を有し、且つ組成物を低粘度とすることができる。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物において、上記2官能(メタ)アクリレートと上記3官能以上の(メタ)アクリレートの比率は、質量比で100/0〜20/80が好ましく、より好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0〜70/30である。上記3官能以上の(メタ)アクリレートは上記2官能(メタ)アクリレートよりも粘度が高いため、上記2官能(メタ)アクリレートが多い方が本発明における酸素に対して不透過性を有する樹脂層用硬化性化合物の粘度を下げられるため好ましい。
重合性化合物としては芳香族構造および/または脂環炭化水素構造を有する置換基を含有している化合物を含むことが酸素に対する不透過性を高める観点から好ましく、芳香族構造および/または脂環炭化水素構造を有する重合性化合物を成分中50質量%以上含有していることがより好ましく、80質量%以上含有していることがさらに好ましい。芳香族構造を有する重合性化合物としては、芳香族構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。芳香族構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、ナフタレン構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、例えば1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルエチル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジルアクリレートなどの単官能アクリレート、カテコールジアクリレート、キシリレングリコールジアクリレートなどの2官能アクリレートが特に好ましい。脂環炭化水素構造を有する重合性化合物としてはイソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
また、重合性化合物として、(メタ)アクリレートを用いる場合、硬化性に優れる観点からメタアクリレートよりも、アクリレートの方が好ましい。
(チキソトロピー剤)
硬化性化合物はチキソトロピー剤を含有してもよい。
チキソトロピー剤は、無機化合物または有機化合物である。
−無機化合物−
チキソトロピー剤の好ましい1つの態様は無機化合物のチキソトロピー剤であり、例えば針状化合物、鎖状化合物、扁平状化合物、層状化合物を好ましく用いることができる。なかでも、層状化合物であることが好ましい。
層状化合物としては特に制限はないが、タルク、雲母、長石、カオリナイト(カオリンクレー)、パイロフィライト(ろう石クレー)、セリサイト(絹雲母)、ベントナイト、スメクタイト・バーミキュライト類(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイトなど)、有機ベントナイト、有機スメクタイトなどが挙げられる。
これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。市販されている層状化合物としては、例えば、無機化合物としては、クラウンクレー、バーゲスクレー#60、バーゲスクレーKF、オプチホワイト(以上、白石工業(株)製)、カオリンJP−100、NNカオリンクレー、STカオリンクレー、ハードシル(以上、土屋カオリン工業(株)製)、ASP−072、サテントンプラス、トランスリンク37、ハイドラスデラミNCD(以上、エンジェルハード(株)製)、SYカオリン、OSクレー、HAクレー、MCハードクレー(以上、丸尾カルシウム(株)製)、ルーセンタイトSWN、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSPN(以上コープケミカル社製)、スメクトン(クニミネ工業社製)、ベンゲル、ベンゲルFW、エスベン、エスベン74、オルガナイト、オルガナイトT(以上、ホージュン(株)製)、穂高印、オルベン、250M、ベントン34、ベントン38(以上、ウイルバー・エリス社製)、ラポナイト、ラポナイトRD、ラポナイトRDS(以上、日本シリカ工業(株)製)などが挙げられる。これら化合物は溶媒に分散されていてもかまわない。
塗布液に添加するチキソトロピー剤においては、層状無機化合物の中でも、xM(I)2O・ySiO2で表される珪酸塩化合物(酸化数が2,3であるM(II)O、M(III)23に相当するものもある。x、yは正の数を表す)であり、さらに好ましい化合物としてはヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライトなどの膨潤性層状粘土鉱物である。
特に好ましくは、有機カチオンで修飾された層状(粘土)化合物(珪酸塩化合物のナトリウムなどの層間陽イオンを有機カチオン化合物で交換したもの)が好適に使用でき、例えば、珪酸ナトリウム・マグネシウム(ヘクトライト)のナトリウムイオンを次のようなアンモニウムイオンで交換したものが挙げられる。
アンモニウムイオンの例としては、炭素数6から18のアルキル鎖を有するモノアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジアルキルジメチルアンモニウムイオン、トリアルキルメチルアンモニウムイオン、オキシエチレン鎖が4から18であるジポリオキシエチレンヤシ油アルキルメチルアンモニウムイオン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ヤシ油アルキルメチルアンモニウムイオン、オキソプロピレン鎖が4から25であるポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。これらアンモニウムイオンは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
珪酸ナトリウム・マグネシウムのナトリウムイオンをアンモニウムイオンで交換した有機カチオンで修飾珪酸塩鉱物の製造方法としては、珪酸ナトリウム・マグネシウムを水に分散させ十分撹拌した後、16時間以上放置し、4質量%の分散液を調整する。この分散液を撹拌しながら、所望のアンモニウム塩を珪酸ナトリウム・マグネシウムに対して30質量%〜200質量%添加する。添加後、陽イオン交換が起こり、層間にアンモニウム塩を含んだヘクトライトは水に不溶となり沈殿するので、沈殿を濾取し、乾燥することで得られる。調製の際、分散を速めるために加熱してもよい。
アルキルアンモニウム変性珪酸塩鉱物の市販品としては、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSAN−316、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSPN(以上コープケミカル社製)などが挙げられ、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態においては、無機化合物のチキソトロピー剤として、シリカ、アルミナ、窒化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛などを用いることができる。これらの化合物は必要に応じて、表面に親水性又は疎水性を調節する処理を行うこともできる。
−有機化合物−
チキソトロピー剤は、有機化合物のチキソトロピー剤を用いることができる。
有機化合物のチキソトロピー剤としては、酸化ポリオレフィン、変性ウレア等が挙げられる。
前述の酸化ポリオレフィンは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ディスパロン4200−20(商品名、楠本化成(株)製)、フローノンSA300(商品名、共栄社化学(株)製)等があげられる。
前述の変性ウレアは、イソシアネート単量体あるいはそのアダクト体と有機アミンとの反応物である。前述の変性ウレアは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、BYK410(ビッグケミー社製)等があげられる。
−含有量−
チキソトロピー剤の含有量は、塗布液中、硬化性化合物100質量部に対して0.15〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましく、0.2〜8質量部であることが特に好ましい。特に無機化合物のチキソトロピー剤の場合、硬化性化合物100質量部に対して20質量以下であると、脆性が良化方向にある。
(重合開始剤)
上記塗布液は、重合開始剤としては、公知の重合開始剤を含むことができる。重合開始剤については、例えば、特開2013−043382号公報の段落0037を参照できる。重合開始剤は、塗布液に含まれる硬化性化合物の全量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。また、揮発性有機溶媒を除いた全硬化性組成物中に質量%として、0.1質量%〜10質量%含むことが好ましく、さらに好ましくは0.2質量%〜8質量%である。
―光重合開始剤―
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、光照射により上述の重合性化合物を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤が挙げられ、ラジカル重合開始剤が好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、溶剤を除く全組成物中、例えば、0.01〜15質量%であり、好ましくは0.1〜12質量%であり、さらに好ましくは0.2〜7質量%である。2種類以上の光重合開始剤を用いる場合は、その合計量が上記範囲となる。
光重合開始剤の含有量が0.01質量%以上であると、感度(速硬化性)、塗膜強度が向上する傾向にあり好ましい。一方、光重合開始剤の含有量を15質量%以下とすると、光透過性、着色性、取り扱い性などが向上する傾向にあり、好ましい。染料および/または顔料を含む系では、これらがラジカルトラップ剤として働くことがあり、光重合性、感度に影響を及ぼす。その点を考慮して、これらの用途では、光重合開始剤の添加量が最適化される。一方で、本発明に用いられる組成物では、染料および/または顔料は必須成分でなく、光重合開始剤の最適範囲が液晶ディスプレイカラーフィルタ用硬化性組成物等の分野のものとは異なる場合がある。
ラジカル光重合開始剤としては、例えば、市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としては、例えば、特開平2008−105414号公報の段落番号0091に記載のものを好ましく採用することができる。この中でもアセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物が硬化感度、吸収特性の観点から好ましい。
アセトフェノン系化合物として好ましくはヒドロキシアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、アミノアセトフェノン系化合物が挙げられる。ヒドロキシアセトフェノン系化合物として好ましくはBASF社から入手可能なIrgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、Darocur(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)が挙げられる。ジアルコキシアセトフェノン系化合物として好ましくはBASF社から入手可能なIrgacure(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)が挙げられる。
アミノアセトフェノン系化合物として好ましくはBASF社から入手可能なIrgacure(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)、Irgacure(登録商標)379(EG)(2−ジメチルアミノー2ー(4メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)ブタン−1−オン、Irgacure(登録商標)907(2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系化合物として好ましくはBASF社から入手可能なIrgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、BASF社から入手可能なLucirinTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)、LucirinTPO−L(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド)が挙げられる。
オキシムエステル系化合物として好ましくはBASF社から入手可能なIrgacure(登録商標)OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、Irgacure(登録商標)OXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
カチオン光重合開始剤としては、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、オキシムスルホネート化合物などが好ましく、4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローデア製PI2074)、4−メチルフェニル[4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(BASF社製IRGACURE250)、IRGACURE PAG103、108、121、203(BASF社製)などが挙げられる。
光重合開始剤は、使用する光源の波長に対して適時に選択する必要があるが、モールド加圧・露光中にガスを発生させないものが好ましい。ガスが発生すると、モールドが汚染されるため、頻繁にモールドを洗浄しなければならなくなったり、光硬化性組成物がモールド内で変形し、転写パターン精度を劣化させるなどの問題を生じたりする。
(ポリマー)
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性組成物は、ポリマーを含んでもよい。ポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエーテル、およびポリスチレンを挙げることができる。
(その他の添加剤)
蛍光領域形成用塗布液は、粘度調整剤、シランカップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸素ゲッター剤、重合禁止剤、無機粒子等を含有してもよい。
−粘度調整剤−
蛍光領域形成用塗布液は、必要に応じて粘度調整剤を含んでもよい。粘度調整剤を添加することによって、それらを所望の粘度に調整することが可能である。粘度調整剤は、粒径が5nm〜300nmであるフィラーであることが好ましい。また、粘度調整剤はチキソトロピー剤であってもよい。なお、本発明および本明細書中、チキソトロピー性とは、液状組成物において、せん断速度の増加に対して粘性を減じる性質を指し、チキソトロピー剤とは、それを液状組成物に含ませることによって、組成物にチキソトロピー性を付与する機能を有する素材のことを指す。チキソトロピー剤の具体例としては、ヒュームドシリカ、アルミナ、窒化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、雲母、長石、カオリナイト(カオリンクレー)、パイロフィライト(ろう石クレー)、セリサイト(絹雲母)、ベントナイト、スメクタイト・バーミキュライト類(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイトなど)、有機ベントナイト、有機スメクタイト等が挙げられる。
−シランカップリング剤−
シランカップリング剤を含む塗布液から形成される蛍光体含有層は、シランカップリング剤により隣接する層との密着性が強固なものとなるため、優れた耐久性を示すことができる。また、シランカップリング剤を含む塗布液から形成される蛍光体含有層は、密着力条件の支持フィルムとバリア層の密着力A<蛍光体含有層とバリア層との密着力Bの関係を形成する上でも好ましい。これは主に、蛍光体含有層に含まれるシランカップリング剤が、加水分解反応や縮合反応により、隣接する層の表面やこの蛍光体含有層の構成成分と共有結合を形成することによるものである。また、シランカップリング剤がラジカル重合性基等の反応性官能基を有する場合、蛍光体含有層を構成するモノマー成分と架橋構造を形成することも、蛍光体含有層と隣接する層との密着性向上に寄与し得る。
シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を、何ら制限なく使用することができる。密着性の観点から好ましいシランカップリング剤としては、特開2013−43382号公報に記載の下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤を挙げることができる。
(一般式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基である。但し、R1〜R6のうち少なくとも1つは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基である。)
1〜R6は、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基である場合を除き、無置換のアルキル基または無置換のアリール基が好ましい。アルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。アリール基としては、フェニル基が好ましい。R1〜R6は、メチル基が特に好ましい。
1〜R6のうち少なくとも1つは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有し、R1〜R6の2つがラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基であることが好ましい。さらに、R1〜R3の中で、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有するものの数が1であって、R4〜R6のなかでラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基を有するものの数が1であることが特に好ましい。
一般式(1)で表されるシランカップリング剤が2つ以上のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基は、それぞれの置換基は同じであってもよいし、異なっていてもよく、同じであることが好ましい。
ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基は、−X−Yで表されることが好ましい。ここで、Xは、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、アリーレン基であり、好ましくは、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基である。Yは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合基であり、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ビニル基、プロペニル基、ビニルオキシ基、ビニルスルホニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。
また、R1〜R6はラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む置換基以外の置換基を有してもよい。置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、等が挙げられる。
シランカップリング剤は、隣接層との密着性をより一層向上する観点からは、塗布液中に、1〜30質量%の範囲で含まれることが好ましく、より好ましくは3〜30質量%であり、さらに好ましくは5〜25質量%である。
−界面活性剤−
蛍光領域形成用塗布液は、フッ素原子を20質量%以上含有する少なくとも1種の界面活性剤を含んでいても良い。
界面活性剤は、フッ素原子を25質量%以上含有することが好ましく、28質量%以上含有することがより好ましい。上限値としては、特に定めるものではないが、例えば80質量%以下であり、好ましくは70質量%以下である。
本発明で用いる界面活性剤としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基またはフッ素原子を有するアリール基を有する化合物であることが好ましい。
フッ素原子を含んだアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基である。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。このフッ素原子を含んだアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環式又は多環式のシクロアルキル基である。このフッ素原子を含んだシクロアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアリール基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。このアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。このフッ素原子を含んだアリール基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
このような構造を有することによって表面偏在能が良好となり、また重合体との部分的な相溶が生じて相分離が抑制されると考えられる。
界面活性剤の分子量は、300〜10000が好ましく、500〜5000がより好ましい。
界面活性剤の含有量は、溶剤を除く全組成物中、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜7質量%であり、さらに好ましくは0.5〜4質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が上記範囲となる。
界面活性剤の例としては、商品名フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム社製)、商品名サーフロン「S−382」(旭硝子製)、EFTOP「EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100」(トーケムプロダクツ社製)、商品名PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA社)、商品名フタージェントFT250、FT251、DFX18(いずれも(株)ネオス製)、商品名ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業(株)製)、商品名メガファック171、172、173、178K、178A、(いずれもDIC(株)製)、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093、(いずれも信越化学工業社製)、商品名メガファックR−08、XRB−4(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
−酸化防止剤−
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物には、公知の酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤は、熱や光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOx(Xは整数)などの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。特に本発明では、酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色防止や、分解による膜厚減少を低減できるという利点がある。
また、酸化防止剤として2種類以上の酸化防止剤を用いてもよい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物において、酸化防止剤は、硬化性化合物の全質量に対し、0.2質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。一方、酸化防止剤は酸素との間での相互作用により変質することがある。変質した酸化防止剤は量子ドット含有重合性組成物の分解を誘引することがあり、密着性低下、脆性悪化、量子ドット発光効率低下をもたらす。これらを防止する観点から20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
酸化防止剤としては、ラジカル阻害剤,金属不活性化剤,一重項酸素消去剤,スーパーオキシド消去剤,またはヒドロキシラジカル消去剤のうち少なくとも1種であることが好ましい。かかる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤等が例示される。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン((アデカスタブAO−60(株)ADEKA製))、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト;トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコール及び2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類;及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸)エステル類等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、HALS(Hidered amine lightstabilizers)とも称され、ピペリジンの2位及び6位の炭素上の全ての水素原子がメチル基で置換された構造、好ましくは下記式1で表わされる基を有する。ただし、式1中Xは水素原子又はアルキル基を表す。下記式1で表わされる基のなかでも、Xが水素原子である2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基、又はXがメチル基である1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基を有するHALSが特に好ましく採用される。なお、式1で表わされる基が−COO−基に結合している構造、すなわち下記式2で表わされる基を有するHALSが数多く市販されているがこれらは好ましく使用できる。
具体的に本発明で好ましく使用できるHALSを挙げると、例えば以下の式で表わされるものが挙げられる。なお、ここで2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基をR、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基をR’で表す。
ROC(=O)(CHC(=O)OR、ROC(=O)C(CH)=CH、R’OC(=O)C(CH)=CH、CH(COOR)CH(COOR)CH(COOR)CHCOOR、CH(COOR’)CH(COOR’)CH(COOR’)CHCOOR’、式3で表わされる化合物等。
具体的には、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
また、具体的な商品としては、チヌビン123、チヌビン144、チヌビン765、チヌビン770、チヌビン622、チマソーブ944、チマソーブ119(以上はいずれも、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社商品名)、アデカスタブLA52、アデカスタブLA57、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67、アデカスタブLA82、アデカスタプLA87、アデカスタブLX335(以上はいずれも旭電化工業社商品名)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
HALSのなかでも分子が比較的小さいものは樹脂層から蛍光領域へと拡散しやすく好ましい。この観点で好ましいHALSとしては、ROC(=O)(CHC(=O)OR、R’OC(=O)C(CH)=CHで表わされる化合物等である。
上記した酸化防止剤のうち、ヒンダードフェノール化合物,ヒンダードアミン化合物,キノン化合物,ヒドロキノン化合物,トリフェロール化合物,アスパラギン酸化合物,または,チオール化合物のうち少なくとも1種であることがより好ましく、クエン酸化合物,アスコルビン酸化合物,または,トコフェロール化合物のうち少なくとも1種であることが更に好ましい。これらの化合物としては特に制限されないが、ヒンダードフェノール,ヒンダードアミン,キノン,ヒドロキノン,トリフェロール,アスパラギン酸,チオール,クエン酸,トコフェリル酢酸,及び,トコフェリルリン酸それ自体、またはそれらの塩やエステル化合物等が好ましく挙げられる。
以下に、酸化防止剤の一例を示す。
−酸素ゲッター剤−
酸素ゲッター剤としては、有機EL素子のゲッター剤として用いられる公知の物質を用いることができ、無機系ゲッター剤又は有機系ゲッター剤のいずれでもよく、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩、金属炭酸塩、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属キレート、またはゼオライト(アルミノケイ酸塩)の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
かかる酸素ゲッター剤としては、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ストロンチウム(SrO)、硫酸リチウム(LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ガリウム(Ga(SO)、硫酸チタン(Ti(SO)、硫酸ニッケル(NiSO)等が挙げられる。
有機系ゲッター剤としては、化学反応により水を取り込み、その反応前後で不透明化しない材料であれば特に制限されない。ここで、有機金属化合物とは、金属−炭素結合や金属−酸素結合、金属−窒素結合等を有する化合物を意味する。水と有機金属化合物とが反応すると加水分解反応により、前述の結合が切れて金属水酸化物になる。金属によっては金属水酸化物に反応後に加水分解重縮合を行い高分子量化してもよい。
金属アルコキシド、金属カルボキシレート、及び金属キレートの金属としては、有機金属化合物として水との反応性が良いもの、すなわち、水により各種結合と切れやすい金属原子を用いることが好ましい。具体的には、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、ケイ素、ビスマス、ストロンチウム、カルシウム、銅、ナトリウム、リチウムが挙げられる。また、セシウム、マグネシウム、バリウム、バナジウム、ニオブ、クロム、タンタル、タングステン、クロム、インジウム、鉄などが挙げられる。特にアルミニウムを中心金属として持つ有機金属化合物の乾燥剤が樹脂中への分散性や水との反応性の点で好適である。有機基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキシル基、オクタデシル基、ステアリル基などの不飽和炭化水素、飽和炭化水素、分岐不飽和炭化水素、分岐飽和炭化水素、環状炭化水素を含有したアルコキシ基やカルボキシル基、アセエチルアセトナト基、ジピバロイルメタナト基などのβ−ジケトナト基が挙げられる。
中でも、下記化学式に示す、炭素数が1〜8のアルミニウムエチルアセトアセテート類が、透明性に優れた封止組成物を形成できる点から好適に用いられる。
(式中、R〜Rは炭素数1個以上8個以下のアルキル基,アリール基,アルコキシ基,シクロアルキル基,アシル基を含む有機基を示し、Mは3価の金属原子を示す。なお、R〜Rはそれぞれ同じ有機基でも異なる有機基でもよい。)
上記炭素数が1〜8のアルミニウムエチルアセトアセテート類は、例えば、川研ファインケミカル株式会社、ホープ製薬株式会社から上市されており、入手可能である。
酸素ゲッター剤は粒子状又は粉末状である。酸素ゲッター剤の平均粒子径は通常20μm未満の範囲とすれば良く、好ましくは10μm以下、より好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。散乱性の観点から、酸素ゲッター剤の平均粒子径は、0.3〜2μmであることが好ましく、0.5〜1.0μmであることがより好ましい。ここでいう平均粒径とは、動的光散乱法によって測定した粒度分布から算出した、粒子径の平均値をいう。
−重合禁止剤−
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物には、重合禁止剤を含有することが好ましい。重合禁止剤の含有量としては、全重合性単量体に対し、0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.005〜0.5質量%、さらに好ましくは0.008〜0.05質量%である、重合禁止剤を適切な量配合することで高い硬化感度を維持しつつ経時による粘度変化が抑制できる。重合禁止剤は重合性単量体の製造時に添加してもよいし、硬化組成物に後から添加してもよい。好ましい重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、フェノチアジン、フェノキサジン、4−メトキシナフトール、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、ニトロベンゼン、ジメチルアニリン等が挙げられ、好ましくはp−ベンゾキノン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、フェノチアジンである。これら重合禁止剤は重合性単量体の製造時だけでなく、硬化組成物の保存時においてもポリマー不純物の生成を抑制し、インプリント時のパターン形成性の劣化を抑制する。
<<酸素に対して不透過性を有する樹脂層>>
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38は、既述の硬化性化合物を含む樹脂形成用塗布液を塗布し、硬化して形成される。樹脂層38の隣接する蛍光領域35間の最短距離における酸素透過度が10cc/(m・day・atm)以下を満たすことが好ましい。樹脂層38の隣接する蛍光領域35間の最短距離における酸素透過度は1cc/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、10−1cc/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましい。樹脂層38の組成により、蛍光領域35間の必要最短距離は異なる。
酸素透過度は、SI単位として、fm/(s・Pa)を用いることができる。1fm/(s・Pa)=8.752cc/(m・day・atm)で換算することが可能である。fmはフェムトメートルと読み、1fm=10−15mを表わす。
樹脂層38の組成により、蛍光領域35間の必要最短距離は異なる。なお、樹脂層38の隣接する蛍光領域35間の最短距離とは、蛍光体含有フィルム主面より観察した場合の樹脂と蛍光体領域のフィルム面内における最短距離のことを意味する。また、以下で樹脂層38の隣接する蛍光領域35間の最短距離を樹脂層の幅と記載することもある。
上述のように樹脂層38の組成により蛍光体領域35間の必要最短距離は異なるが、一例として樹脂層38の隣接する蛍光領域35間の最短距離、すなわち樹脂層の幅としては0.001mm以上3mm以下が好ましく、0.01mm以上2mm以下がより好ましく、0.03mm以上2mm以下が特に好ましい。樹脂層の幅が短すぎると必要な酸素透過度を確保することが難しく、樹脂層の幅が長すぎると表示装置の輝度ムラが悪化するため好ましくない。
蛍光領域の体積Vpと樹脂層の体積Vb比に関しては任意の比率を取り得るが、蛍光領域の体積Vpの蛍光体含有層全体の体積(Vp+Vb)に対する比は0.1≦Vp/(Vp+Vb)<0.9であるのが好ましく、0.2≦Vp/(Vp+Vb)<0.85がより好ましく、0.3≦Vp/(Vp+Vb)<0.8が特に好ましい。蛍光領域の体積比が小さすぎるとある一定厚みにおける初期輝度が低下する傾向にあり、蛍光領域の体積比が大きすぎると樹脂層の幅が短くなり、結果、必要な酸素透過度を確保することが難しくなる。なお、蛍光体を含む領域Vpと酸素不透過性を有する樹脂層の領域Vbは、蛍光体含有フィルム主面より観察した場合における各々の面積と厚みを掛け合わせたものと定義する。
樹脂層38の形成材料として、2官能以上の光重合性架橋基を有する化合物が好ましく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールaジ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビスフェノールa型エポキシ等が挙げられる。中でも酸素に対する不透過性を高める観点からウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ化合物を少なくとも含むことが好ましい。ウレタン結合やヒドロキシル基、カルボキシル基などの極性官能基有する化合物を用いることで分子間の相互作用を高め、酸素に対する不透過性が高い樹脂層が得られる。また、蛍光領域と同一の重合性架橋基を有する化合物を含むことが、樹脂層と蛍光領域との密着に優れる観点から好ましい。例えば、蛍光領域の素材にジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が含まれる場合、樹脂層は(メタ)アクリレート化合物を少なくとも含むことが好適である。
また、形成した樹脂層38のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2、クリープ回復率が22%以下、および、弾性回復率が60%以上の条件を満たす観点から、硬化性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ系化合物、中でも多官能(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
本発明の酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物は、重合性化合物として、芳香族構造および/または脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート化合物とフッ素原子を有する(メタ)アクリレートの両方を含んでも良い。配合比としては、全重合性化合物成分の80質量%以上が芳香族構造および/または脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート化合物であり、0.1〜10質量%がフッ素原子を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。さらに、芳香族構造および/または脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート化合物が1気圧25℃で液体であり、フッ素原子を有する(メタ)アクリレートが1気圧25℃で固体であるブレンド系が好ましい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物中における重合性化合物の総含有量は、硬化性改善、硬化性化合物の粘度改善の観点から、溶剤を除いた全成分中、50〜99.5質量%が好ましく、70〜99質量%がさらに好ましく、90〜99質量%が特に好ましい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物は、重合性化合物成分に関し、より好ましくは25℃における粘度が3〜2000mPa・sである重合性化合物の含有量が全重合性化合物に対し80質量%以上であることが好ましく、5〜1000mPa・sの重合性化合物が80質量%以上であることがより好ましく、7〜500mPa・sの重合性化合物が80質量%以上であることが特に好ましく、10〜300mPa・sの重合性化合物が80質量%以上であることが最も好ましい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物に含まれる重合性化合物は、25℃において液体である重合性化合物が全重合性化合物中50質量%以上であることが経時安定性の観点で好ましい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物は、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、光重合開始剤が光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤であるラジカル重合性硬化性組成物であることが好ましい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物は、フッ素原子を20質量%以上含有する少なくとも1種の界面活性剤を含んでいても良い。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物には、公知の酸素ゲッター剤を含有することが好ましい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物において、酸素ゲッター剤は、硬化性化合物の全質量に対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることがさらに好ましい。
さらに、酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物には、無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子を含有することで酸素に対する不透過性を高めることができる。無機粒子の一例として、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化チタン粒子、マイカやタルク等の無機層状化合物が挙げられる。また無機粒子は平板状であることが酸素に対する不透過性を高める観点から好ましく、無機粒子のアスペクト比(r=a/b、ただしa>b)は、2以上1000以下が好ましく、10以上800以下がより好ましく、20以上500以下であることが特に好ましい、アスペクトト比が大きい方が酸素に対する不透過性を高める効果に優れるため好ましいが、大きすぎると膜の物理強度や硬化用組成物中の粒子分散性に劣る。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物には、上述の成分の他に必要に応じて離型剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、密着促進剤、熱重合開始剤、着色剤、エラストマー粒子、光酸増殖剤、光塩基発生剤、塩基性化合物、流動調製剤、消泡剤、分散剤等を添加してもよい。
酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性組成物の調製方法は特に制限されず、一般的な硬化性組成物の調製手順により実施すればよい。
−基材フィルム−
第1の基材フィルム10および第2の基材フィルム20は、酸素の透過を抑制する機能を有するフィルムであることが好ましい。上記の実施形態では、支持フィルム11,21の一面にバリア層12,22をそれぞれ備えた構成を有している。かかる態様では、支持フィルム11,21の存在により、蛍光体含有フィルムの強度が向上され、且つ、容易に製膜を実施することが可能となる。なお、本実施形態では支持フィルム11,21一面にバリア層12,22を備える構成であるが、バリア性を充分有する支持体のみにより基材フィルムが構成されていてもよい。
第1の基材フィルム10および第2の基材フィルム20は、可視光領域における全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。可視光領域とは、380〜780nmの波長領域をいうものとし、全光線透過率とは、可視光領域にわたる光透過率の平均値を示す。
第1の基材フィルム10および第2の基材フィルム20の酸素透過度が1.00cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。酸素透過度は、より好ましくは0.1cc/(m2・day・atm)以下、さらに、好ましくは0.01cc/(m2・day・atm)以下であり、特に好ましいのは0.001cc/(m2・day・atm)以下である。ここで、酸素透過度は、測定温度23℃、相対湿度90%の条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値である。
第1の基材フィルム10および第2の基材フィルム20は、酸素を遮断するガスバリア機能に加え、水分(水蒸気)を遮断する機能を有していることが好ましい。第1の基材フィルム10および第2の基材フィルム20の透湿度(水蒸気透過度)は0.10g/(m・day・atm)以下であることが好ましく、0.01g/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。
(支持フィルム)
支持フィルム11,21としては、可視光に対して透明である可撓性を有する帯状の支持体が好ましい。ここで可視光に対して透明とは、可視光領域における線透過率が、80%以上、好ましくは85%以上であることをいう。透明の尺度として用いられる光線透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。可撓性を有する支持体については、特開2007−290369号公報段落0046〜0052、特開2005−096108号公報段落0040〜0055を参照できる。
支持フィルムは、酸素および水分に対するバリア性を有することが好ましい。かかる支持フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、環状オレフィン構造を有するポリマーからなるフィルム、およびポリスチレンフィルム等が、好ましい例として挙げられる。
支持フィルムの厚さは、ガスバリア性、耐衝撃性等の観点から、10〜500μmの範囲内、中でも15〜300μmの範囲内、特に15〜120μmの範囲内、より特に15〜100μmの範囲内、さらには25〜110μm、よりさらには25〜60μmであることが好ましい。
また、支持フィルム11,21は、波長589nmにおける面内リターデーションRe(589)が1000nm以下であることが好ましい。500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。
蛍光体含有フィルムを作製した後、異物や欠陥の有無を検査する際、2枚の偏光板を消光位に配置し、その間に蛍光体含有フィルムを差し込んで観察することで、異物や欠陥を見つけやすい。支持体のRe(589)が上記範囲であると、偏光板を用いた検査の際に、異物や欠陥をより見つけやすくなるため、好ましい。
ここで、Re(589)は、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)を用いて、入力波長589nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより測定することができる。
(バリア層)
第1の基材フィルム10および第2の機材フィルム20としては、支持フィルム11、21の蛍光体含有層30側の面に接して形成されてなる少なくとも一層の無機層を含むバリア層12、22を備えていることが好ましい。バリア層12、22としては、少なくとも無機層1層と少なくとも1層の有機層を含むものであってもよい。このように複数の層を積層することは、より一層バリア性を高めることができるため、耐光性向上の観点からは好ましい。他方、積層する層の数が増えるほど、基材フィルムの光透過率は低下する傾向があるため、良好な光透過率を維持し得る範囲で、積層数を増やすことが望ましい。
具体的には、バリア層12、22は、可視光領域における全光線透過率が好ましくは80%以上であり、かつ、酸素透過度が1.00cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。
バリア層12、22の酸素透過度は、より好ましくは0.1cc/(m2・day・atm)以下、特に好ましくは0.01cc/(m2・day・atm)以下であり、より特に好ましいのは0.001cc/(m2・day・atm)以下である。
酸素透過度は低いほど好ましく、可視光領域における全光線透過率は高いほど好ましい。
無機層とは、無機材料を主成分とする層であり、好ましくは無機材料のみから形成される層である。
無機層は酸素を遮断するガスバリア機能を有する層であることが好ましい。具体的には、無機層の酸素透過度は、1.00cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。無機層の酸素透過度はオービスフェアラボラトリー社製型酸素濃度計の検出部に波長変換層を、シリコングリスを介して貼付し、平衡酸素濃度値から酸素透過度を換算して求めることができる。無機層は、水蒸気を遮断する機能を有することも好ましい。
無機層は、バリア層中に2つまたは3つ以上含まれていてもよい。
無機層の厚さは、1〜500nmであればよく、5〜300nmであることが好ましく、特に10〜150nmのであることが好ましい。無機層の膜厚が、上述した範囲内であることにより、良好なバリア性を実現しつつ、無機層における反射を抑制することができ、光透過率がより高い積層フィルムを提供できるからである。
基材フィルムにおいて、蛍光体含有層に隣接している無機層が少なくとも一層含まれていることが好ましい。
無機層を構成する無機材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属、または無機酸化物、窒化物、酸化窒化物等の各種無機化合物を用いることができる。無機材料を構成する元素としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウムおよびセリウムが好ましく、これらを一種または二種以上含んでいてもよい。無機化合物の具体例としては、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム合金、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、および窒化チタンを挙げることができる。また、無機層として、金属膜、例えば、アルミニウム膜、銀膜、錫膜、クロム膜、ニッケル膜あるいはチタン膜を設けてもよい。
上記の材料の中でも、上記バリア性を有する無機層が窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化珪素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも一種の化合物を含む無機層であることが特に好ましい。これらの材料からなる無機層は、有機層との密着性が良好であることから、無機層にピンホールがある場合でも、有機層がピンホールを効果的に埋めることができ、破断を抑制できるとともに、さらに無機層を積層したケースにおいても極めて良好な無機層膜形成ができ、バリア性をより一層高くすることができるからである。
無機層の形成方法としては、特に限定されず、例えば製膜材料を蒸発ないし飛散させ被蒸着面に堆積させることができる各種製膜方法を用いることができる。
無機層の形成方法の例としては、無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、金属等の無機材料を、加熱して蒸着させる真空蒸着法;無機材料を原料として用い、酸素ガスを導入することにより酸化させて蒸着させる酸化反応蒸着法;無機材料をターゲット原料として用い、アルゴンガス、酸素ガスを導入して、スパッタリングすることにより蒸着させるスパッタリング法;無機材料にプラズマガンで発生させたプラズマビームにより加熱させて蒸着させるイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical VaporDeposition法、PVD法)、酸化ケイ素の蒸着膜を製膜させる場合は、有機ケイ素化合物を原料とするプラズマ化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等が挙げられる。
有機層とは、有機材料を主成分とする層であって、好ましくは有機材料が50質量%以上、さらには80質量%以上、特に90質量%以上を占める層を言うものとする。
有機層としては、特開2007−290369号公報段落0020〜0042、特開2005−096108号公報段落0074〜0105を参照できる。なお有機層は、上記の密着力条件を満足する範囲内でカルドポリマーを含むことが好ましい。これにより、有機層と隣接する層との密着性、特に、無機層とも密着性が良好になり、より一層優れたガスバリア性を実現することができるからである。カルドポリマーの詳細については、上述の特開2005−096108号公報段落0085〜0095を参照できる。有機層の膜厚は、0.05〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5〜10μmの範囲内であることが好ましい。有機層がウェットコーティング法により形成される場合には、有機層の膜厚は、0.5〜10μmの範囲内、中でも1〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、ドライコーティング法により形成される場合には、0.05〜5μmの範囲内、中でも0.05〜1μmの範囲内であることが好ましい。ウェットコーティング法またはドライコーティング法により形成される有機層の膜厚が上述した範囲内であることにより、無機層との密着性をより良好なものとすることができるからである。
無機層、有機層のその他詳細については、上述の特開2007−290369号公報、特開2005−096108号公報、さらにUS2012/0113672A1の記載を参照できる。
蛍光体含有フィルムにおいて、有機層は、無機層の下地層として支持フィルムと無機層との間に積層されていてもよく、無機層の保護層として無機層と蛍光体含有層との間に積層されていてもよい。また、2層以上の無機層を有する場合には、有機層は無機層の間に積層されていてもよい。
(凹凸付与層)
基材フィルム10、20は、蛍光体含有層30側の面と反対側の面に、凹凸構造を付与する凹凸付与層を備えていてもよい。基材フィルム10、20が凹凸付与層を有していると、基材フィルムのブロッキング性、滑り性を改良することができるため、好ましい。凹凸付与層は粒子を含有する層であることが好ましい。粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等が挙げられる。また、凹凸付与層は、基材フィルムの蛍光体含有層とは反対側の表面に設けられることが好ましいが、両面に設けられていてもよい。
蛍光体積層フィルムは、量子ドットの蛍光を効率よく外部に取り出すために光散乱機能を有することができる。光散乱機能は、蛍光体含有層30内部に設けてもよいし、光散乱層として光散乱機能を有する層を別途設けてもよい。光散乱層は、基材フィルム10、20の蛍光体含有層30側の面に設けられていてもよいし、基材フィルム10、20の蛍光体含有層30とは反対側の面に設けられていてもよい。上記凹凸付与層を設ける場合は、凹凸付与層を光散乱層と兼用できる層とすることが好ましい。
<蛍光体含有フィルムの製造方法>
次に、上記の如く構成された本発明の実施形態の蛍光体含有フィルムの製造工程の一例について図11〜図12を参照して説明する。
(塗布液調製工程)
第1の塗布液調製工程では、蛍光体として量子ドット(または量子ロッド)を含む蛍光領域形成用塗布液を調製する。具体的には、有機溶媒中に分散された量子ドット、硬化性化合物、高分子分散剤、重合開始剤、および、シランカップリング剤などの各成分をタンクなどにより混合し、蛍光領域形成用塗布液を調製する。なお、蛍光領域形成用塗布液には有機溶媒を含んでいなくても構わない。
第2の塗布液調製工程では蛍光領域間に充填する樹脂層用塗布液を調製する。
(樹脂層形成工程)
次に、第1の基材フィルム10上に樹脂層用塗布液を塗布し、塗布した樹脂層用塗布液に凹凸パターンを有する型(モールド)を圧接して凹部を有する所定パターンを形成して、樹脂層用塗布液を硬化させて、図11に示すような、第1の基材フィルム10上に、複数の凹部を有する樹脂層38が積層された積層フィルム59を形成する。
(蛍光領域形成工程、および、第2の基材フィルム貼合工程)
次に、積層フィルム59の樹脂層38の凹部内に蛍光領域形成用塗布液を塗布し、蛍光領域形成用塗布液を硬化させる前に、第2の基材フィルム20を貼り合せた後、蛍光領域形成用塗布液を硬化させて蛍光領域35を形成して、第1の基材フィルム10、蛍光体含有層30、および、第2の基材フィルム20が積層された蛍光体含有フィルムを作製する。
蛍光領域形成工程および樹脂層形成工程における硬化処理は、塗布液に応じて熱硬化あるいは紫外線による光硬化など適宜選択すればよい。
紫外線による光硬化により樹脂層38を硬化させる場合には、紫外線の照射量は、100〜10000mJ/cm2とするのが好ましい。
熱硬化により樹脂層38を硬化させる場合には、20〜100℃に加熱するのが好ましい。
(裁断処理)
以上の工程をロール・トゥ・ロール方式の装置において行うことにより、連続した(長尺の)蛍光体含有フィルムを得ることができる。得られた蛍光体含有フィルムは、必要により切断機により裁断(切断)される。
なお、RtoRにより蛍光体含有フィルムを作製する方法について説明したが、カットシート状の基材フィルムを用いて、いわゆる枚葉式で各工程の処理を施すものであってもよい。
また、上記例では、樹脂層38を形成した後、一旦、ロール状に巻き取って、蛍光領域35の形成等を行う構成としたが、これに限定はされず、樹脂層38を形成した後、連続的に搬送して、蛍光領域35の形成等を行う構成としてもよい。
ここで、蛍光領域形成工程の前に樹脂層形成工程を実施する場合、すなわち酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を蛍光領域よりも先に形成する場合における、樹脂層38形成用の硬化性化合物を用いたパターン(特に、微細凹凸パターン)の形成方法について説明する。
パターンの形成には、酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物を基板または支持体(基材)上に塗布する工程と、塗布層表面にモールドを圧接する工程と、硬化性化合物に光を照射する工程と、モールドを剥離する工程と、を経て微細な凹凸パターンを形成する、いわゆる光インプリント法を用いることができる。
ここで、酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物は基材とモールドの間に流しこみ、モールドを圧接しながら光硬化しても良い。さらに、光照射後にさらに加熱して硬化させても良い。このような光インプリントリソグラフィは、積層化や多重パターニングもでき、熱インプリントと組み合わせて用いることもできる。
また、インクジェット法、ディスペンサー法でパターン形成をすることもできる。
以下において、凹凸パターン形成方法(パターン転写方法)について具体的に述べる。
まず、硬化性化合物を基材上に塗布する。硬化性化合物を基材上に塗布する方法としては、一般によく知られた適用方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法、キャスト法あるいはインクジェット法などを用いることで基材上に塗膜あるいは液滴を適用することができる。酸素に対して不透過性を有する樹脂層38を形成する硬化性化合物はグラビアコート法、キャスト法に適している。また、硬化性化合物からなるパターン形成層(パターンを形成するための塗布層)の膜厚は、使用する用途によって異なるが、1〜150μm程度である。また硬化性化合物を、多重塗布により塗布してもよい。さらに、基材とパターン形成層との間には、例えば平坦化層等の他の有機層などを形成してもよい。これにより、パターン形成層と基板とが直接接しないことから、基板に対するごみの付着や基板の損傷等を防止することができる。
硬化性化合物を塗布するための基材(基板または支持体)は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFT(thin film transistor)アレイ基板、PDP(Plasma Display Panel)の電極板、ガラスや透明プラスチック基板、ITO(Indium Tin Oxide)や金属などの導電性基材、絶縁性基材、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基板など特に制約されない。また、基材の形状も特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、後述のように基材としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、または、非光透過性のものを選択することができる。
次いで、パターン形成層にパターンを転写するために、パターン形成層表面にモールドを押接する。これにより、モールドの押圧表面にあらかじめ形成された微細なパターンをパターン形成層に転写することができる。また、パターンを有するモールドに硬化性化合物を塗布し、基板を押接してもよい。光インプリントリソグラフィのためには、モールド材および/または基材の少なくとも一方に、光透過性の材料を選択する。光インプリントリソグラフィでは、基材の上に硬化性化合物を塗布してパターン形成層を形成し、このパターン形成層の表面に光透過性のモールドを押接し、モールドの裏面から光を照射し、硬化性化合物を硬化させる。または、光透過性基材上に硬化性化合物を塗布し、塗布層の表面にモールドを押し当て、基材の裏面から光を照射し、硬化性化合物を硬化させることもできる。
光照射は、モールドを付着させた状態で行ってもよいし、モールド剥離後に行ってもよいが、モールドを密着させた状態で行なうのが好ましい。
ここで、モールドとしては、転写されるべきパターンを有するモールドが使われる。モールド上のパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成できるが、モールドパターン形成方法は特に制限されない。
光透過性のモールド材は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、SUS等の金属膜が例示される。
一方、光透過性の基材を用いた場合に使われる非光透過型モールド材としては、特に限定されないが、所定の強度を有するものであればよい。具体的には、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの基板などが例示される。また、モールドの形状も特に制約されるものではなく、板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。ロール状モールドは、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。
モールドは、硬化性化合物とモールド表面との剥離性を向上させるために離型処理を行ったものを用いてもよい。このようなモールドとしては、シリコン系やフッ素系などのシランカップリング剤による処理を行ったもの、例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSXや、住友スリーエム(株)製のNovec EGC−1720等、市販の離型剤も好適に用いることができる。
このような光インプリントリソグラフィを行なう場合、通常、モールド圧力を10気圧以下で行なうのが好ましい。モールド圧力を10気圧以下とすることにより、モールドや基板が変形しにくくパターン精度が向上する傾向にある。また、加圧が低いため装置を縮小できる傾向にある点からも好ましい。モールド圧力は、モールド凸部の硬化性化合物の残膜が少なくなる範囲で、モールド転写の均一性が確保できる領域を選択することが好ましい。
パターン形成層に光を照射する工程における光照射の照射量は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、硬化性組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて適宜決定される。
また、光インプリントリソグラフィにおいては、光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。光照射の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、モールドと硬化性組成物との密着性向上に効果があるため、真空状態で光照射してもよい。また、パターン形成方法中、光照射時における好ましい真空度は、10-1Paから1気圧の範囲である。
硬化性化合物を硬化させるために用いられる光は特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯、LED(light emitting diode)等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUV(extreme ultraviolet)が含まれる。また、LED、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
露光に際しては、露光照度を1mW/cm2〜50mW/cm2の範囲にすることが好ましい。1mW/cm2以上とすることにより、露光時間を短縮することができるため生産性が向上し、50mW/cm2以下とすることにより、副反応が生じることによる永久膜の特性の劣化を抑止できる傾向にあり好ましい。露光量は5mJ/cm2〜1000mJ/cm2の範囲にすることが望ましい。5mJ/cm2未満では、露光マージンが狭くなり、光硬化が不十分となりモールドへの未反応物の付着などの問題が発生しやすくなる。一方、1000mJ/cm2を超えると組成物の分解による永久膜の劣化の恐れが生じる。
さらに、露光に際しては、酸素によるラジカル重合の阻害を防ぐため、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを流して、酸素濃度を100mg/L未満に制御してもよい。
パターン形成方法においては、光照射によりパターン形成層を硬化させた後、必要に応じて硬化させたパターンに熱を加えてさらに硬化させる工程を含んでいてもよい。光照射後に本発明の組成物を加熱硬化させる熱としては、150〜280℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。また、熱を付与する時間としては、5〜60分間が好ましく、15〜45分間がさらに好ましい。
形成するパターンは任意の形態をとり得ることができ、例えば一例として凹または凸部が正四角形である格子状メッシュパターンや、凹または凸部が正六角形であるハニカムパターンや、凹または凸部が円形である海島パターン等が挙げられる。本発明の任意の裁断形態に対して、効果的に蛍光体層への酸素遮断を行える観点から正六角形部に蛍光体含有層を、周辺部に樹脂層を有するハニカムパターンが特に好ましい。
「バックライトユニット」
図面を参照して、本発明の蛍光体含有フィルムの一実施形態としての波長変換部材を備えたバックライトユニットについて説明する。図13は、バックライトユニットの概略構成を示す模式図である。
図13に示されるように、バックライトユニット102は、一次光(青色光L)を出射する光源101Aと光源101Aから出射された一次光を導光して出射する導光板101Bとからなる面状光源101Cと、面状光源101C上に備えられてなる蛍光体含有フィルムからなる波長変換部材100と、面状光源101Cを挟んで波長変換部材100と対向配置される反射板102Aと、再帰反射性部材102Bとを備えている。なお、図13においては、反射板102A、導光板101B、波長変換部材100および再帰反射性部材102Bは離間した図を示しているが、実際には、これらは互いに密着して形成されていてもよい。
波長変換部材100は、面状光源101Cから出射された一次光Lの少なくとも一部を励起光として、蛍光を発光し、この蛍光からなる二次光(緑色光L,赤色光L)および波長変換部材100を透過した一次光Lを出射するものである。例えば、波長変換部材100は、青色光Lの照射により緑色光Lを発光する量子ドットと赤色光Lを発光する量子ドットとを含む蛍光体含有層が第1の基材フィルムおよび第2の基材フィルムで挟持されて構成されてなる蛍光体含有フィルムである。
図13において、波長変換部材100から出射されたL,L,Lは、再帰反射性部材102Bに入射し、入射した各光は、再帰反射性部材102Bと反射板102Aとの間で反射を繰り返し、何度も波長変換部材100を通過する。その結果、波長変換部材100では十分な量の励起光(青色光L)が蛍光体含有層30内の蛍光体31(ここでは、量子ドット)によって吸収され、必要な量の蛍光(L,L)が発光し、再帰反射性部材102Bから白色光Lが具現化されて出射される。
高輝度かつ高い色再現性の実現の観点からは、バックライトユニットとして、多波長光源化されたものを用いることが好ましい。例えば、430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する青色光と、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する緑色光と、600nm〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する赤色光とを発光することが好ましい。
より一層の輝度および色再現性の向上の観点から、バックライトユニットが発光する青色光の波長帯域は、440nm〜460nmであることがより好ましい。
同様の観点から、バックライトユニットが発光する緑色光の波長帯域は、520nm〜560nmであることが好ましく、520nm〜545nmであることがより好ましい。
また、同様の観点から、バックライトユニットが発光する赤色光の波長帯域は、610nm〜650nmであることがより好ましい。
また同様の観点から、バックライトユニットが発光する青色光、緑色光および赤色光の各発光強度の半値幅は、いずれも80nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが一層好ましい。これらの中でも、青色光の各発光強度の半値幅が25nm以下であることが、特に好ましい。
上記において光源101Aとしては、例えば430nm〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する青色光を発光する青色発光ダイオードであるが、紫外光を発光する紫外線発光ダイオードを用いてもよい。紫外線発光ダイオードは、例えば350nm〜400nmの波長帯域に発光中心は超を有する発光ダイオードである。光源101Aとしては、発光ダイオードの他レーザー光源等を使用することができる。紫外光を発光する光源を備えた場合には、波長変換部材の波長変換層(蛍光体含有層)において、紫外光の照射により青色光を発光する蛍光体、緑色光を発光する蛍光体、および赤色光を発光する蛍光体を含むものとすればよい。
面状光源101Cは、図13に示すように、光源101Aと光源101Aから出射された一次光を導光させて出射させる導光板101Bとからなる面状光源であってもよいし、光源101Aが波長変換部材100と平行な平面状に並べて配置され、導光板101Bに替えて拡散板を備えた面状光源であっても良い。前者の面状光源は一般にエッジライト方式、後者の面状光源は一般に直下型方式と呼ばれている。
なお、本実施形態では、光源として面状光源を用いた場合を例に説明したが、光源としては面状光源以外の光源も使用することができる。
(バックライトユニットの構成)
バックライトユニットの構成としては、図13では、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式について説明したが、直下型方式であっても構わない。導光板としては、公知のものを何ら制限なく使用することができる。
また、反射板102Aとしては、特に制限は無く、公知のものを用いることができ、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
再帰反射性部材102Bは、公知の拡散板や拡散シート、プリズムシート(例えば、住友スリーエム社製BEFシリーズなど)、導光器等から構成されていてもよい。再帰反射性部材102Bの構成については、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
「液晶表示装置」
上述のバックライトユニット102は液晶表示装置に応用することができる。図14に示されるように、液晶表示装置104は上記実施形態のバックライトユニット102とバックライトユニットの再帰反射性部材側に対向配置された液晶セルユニット103とを備えてなる。
液晶セルユニット103は、図14に示されるように、液晶セル110を偏光板120と130とで挟持した構成としており、偏光板120,130は、それぞれ、偏光子122、132の両主面を偏光板保護フィルム121と123、131と133で保護された構成としている。
液晶表示装置104を構成する液晶セル110、偏光板120、130およびその構成要素については特に限定はなく、公知の方法で作製されるものや市販品を、何ら制限なく用いることができる。また、各層の間に、接着層等の公知の中間層を設けることも、もちろん可能である。
液晶セル110の駆動モードについては特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等の種々のモードを利用することができる。液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、又はTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。VAモードの液晶表示装置の構成としては、特開2008−262161号公報の図2に示す構成が一例として挙げられる。ただし、液晶表示装置の具体的構成には特に制限はなく、公知の構成を採用することができる。
液晶表示装置104には、さらに必要に応じて光学補償を行う光学補償部材、接着層などの付随する機能層を有する。また、カラーフィルター基板、薄層トランジスタ基板、レンズフィルム、拡散シート、ハードコート層、反射防止層、低反射層、アンチグレア層等とともに(又はそれに替えて)、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等の表面層が配置されていてもよい。
バックライト側偏光板120は、液晶セル110側の偏光板保護フィルム123として、位相差フィルムを有していてもよい。このような位相差フィルムとしては、公知のセルロースアシレートフィルム等を用いることができる。
バックライトユニット102および液晶表示装置104は、上記本発明の酸素劣化が抑制された蛍光体含有フィルムからなる波長変換部材を備えてなる。従って、上記本発明の蛍光体含有フィルムと同様の効果を奏し、量子ドットを含む波長変換層の発光強度が低下しにくい、高輝度なバックライトユニットおよび液晶表示装置となる。
以下に実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<蛍光体含有フィルムの作製>
蛍光体として量子ドットを含有する塗布液を用いて蛍光体含有層を有する蛍光体含有フィルムを作製した。
(基材フィルム)
第1の基材フィルムおよび第2の基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる支持フィルム上に無機層からなるバリア層及びそのバリア層上に下記組成物を塗工した有機層が形成されてなる基材フィルムを用意した。なお、無機層の形成材料は窒化ケイ素(Si3N4)で、厚みは30nmであった。この基材フィルムの酸素透過度をMOCON社製 OX−TRAN2/20を用いて計測したところ、4.0×10-3cc/(m2・day・atm)以下であった。
((基材フィルム有機層用の組成物))
・ウレタンアクリレート(大成ファイルケミカル(株)社製 アクリット8BR−500) 30質量部
・光重合開始剤(イルガキュア184(BASF(株)製) 3質量部
・メチルイソブチルケトン 67質量部
上記組成物を支持フィルムのバリア層上に1μmとなるように塗布した後、60℃1分間乾燥し、200W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を塗布面より400mJ/cm2照射して硬化させ、有機層を形成した。
(蛍光体含有層の作製)
蛍光体含有層形成用の塗布液1として、量子ドット、硬化性化合物、チキソトロピー剤、重合開始剤、および、シランカップリング剤などの各成分をタンクなどにより混合し、塗布液を調製する。
(蛍光体含有層の作製)
蛍光体含有層形成用の塗布液1として、量子ドット、硬化性化合物、チキソトロピー剤、重合開始剤、および、シランカップリング剤などの各成分をタンクなどにより混合し、塗布液を調製する。
<蛍光体含有層の塗布液1の組成>
下記の組成の量子ドット分散液を調製し、塗布液1とした。
・量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:520nm) 10質量部
・量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:630nm) 1質量部
・ラウリルメタクリレート 2.4質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 0.54質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製))
0.009質量部
上記量子ドット1、2としては、下記のコアーシェル構造(InP/ZnS)を有するナノ結晶を用いた。
・量子ドット1:INP530−10(NN−labs社製)
・量子ドット2:INP620−10(NN−labs社製)
<樹脂層形成用の塗付液の組成>
下記の組成の樹脂層形成用の塗付液を調製し、塗布液2とした。
・ウレタン(メタ)アクリレート(U−4HA(新中村化学工業(株)製)) 49質量部
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP(新中村化学工業(株)製)) 25質量部
・1,6ヘキサンジオールジアクリレート(ライトアクリレート1.6HA−A(共栄社化学(株)製)) 25質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製)) 1質量部
(樹脂形成工程)
以下に示す光インプリント法で第1の基材フィルム上に樹脂層を形成した。まず、フォトエッチング法で作製したハニカム状パターンを有するSUSモールド(凹部の線幅0.5mm、凸部正六角形の対角線1mm、凹部深さ50μm)と、第1の基材フィルムの有機層側の間に上記樹脂形成用の塗布液2をディスペンサーで流し込み、ゴムローラで0.3MPaの圧力で圧接して、過剰な塗布液を排出し、第1の基材フィルム上に塗布液を充填したモールドを貼合させた形態とした。続いて、200W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を第一の基材フィルム側より500mJ/cm2照射して室温25℃で硬化させた後、モールドを剥離し、樹脂層が形成された第1の基材フィルムを得た。
(蛍光体組成物充填工程)
以下に示す手順で、第一基材フィルム上の樹脂層間に充填され、第二基材フィルムと貼合された蛍光体層含有フィルムを作成した。まず、上記工程で作成した樹脂層が形成された第1の基材フィルムの樹脂層側と第2の基材フィルムの有機層側の間に蛍光体含有層の塗布液1をディスペンサーで流し込み、ゴムローラで0.3MPaの圧力で圧接して、過剰な塗布液を排出し、蛍光体含有層の塗布液を第1の基材フィルム、樹脂層、第2の基材フィルム間に充填した。続いて、200W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、紫外線を第1の基材フィルム側より2500mJ/cm2照射して室温25℃で硬化し、蛍光体含有フィルムを作製した。得られた蛍光体含有フィルムは樹脂層の幅0.5mm、蛍光体層幅1mm、樹脂層及び蛍光体層の膜厚は50μmであった。
[実施例2]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液3の組成>
・1,6ヘキサンジオールジアクリレート(ライトアクリレート1.6HA−A(共栄社化学(株) 製)) 99質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製) 1質量部
[比較例1]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液4の組成>
・1,9−ノナンジオールジアクリレート(1,9NDA(共栄社化学(株)社製) 99質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製) 1質量部
1,9NDA
[比較例2]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液4の組成>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA(ダイセル・サイテック(株)社製)) 99質量部
・光重合開始剤(イルガキュア2022(BASF(株)製) 1質量部
DPHA
[実施例3]
[実施例3]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液5の組成>
・ウレタン(メタ)アクリレート(U−4HA(新中村化学工業(株)製)) 48質量部
・エポキシメタクリレート(サイクロマーM100((株)ダイセル社製)) 25質量部
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP(新中村化学工業(株)製)) 25質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製) 1質量部
・光重合開始剤(CPI−100P(サンアプロ(株)製) 1質量部
サイクロマーM100
[比較例3]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液6の組成>
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP(新中村化学工業(株)製)) 99質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製) 1質量部
[実施例4]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液8の組成>
・ウレタン(メタ)アクリレート(U−4HA(新中村化学工業(株)製)) 99質量部
・光重合開始剤(イルガキュア2022(BASF(株)製) 1質量部
[比較例4]
樹脂層形成用の塗布液として、以下に記載する組成物を使用した以外は実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
<樹脂層形成用の塗布液7の組成>
・トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT(新中村化学(株)社製)) 99質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819(BASF(株)製) 1質量部
[実施例5]
樹脂層を硬化する際の紫外線の照射総量を50000mJ/cm2とした以外は、実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
[実施例6]
樹脂層を硬化する際の紫外線の照射総量を500mJ/cm2とした以外は、実施例1
と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。
[実施例7]
第一基材フィルムと第二基材フィルムをクラリスタCI(株式会社クラレ製)とした以外は、実施例1と同様にして蛍光体含有フィルムを作製した。この基材フィルムの酸素透過度をMOCON社製 OX−TRAN 2/20を用いて計測したところ、1.0×10-1cc/(m2・day・atm)以下であった。
<樹脂層のヌープ硬度、クリープ回復率および弾性回復率の測定>
各実施例および比較例で作製した蛍光体含有フィルムの樹脂層のヌープ硬度、クリープ回復率および弾性回復率をそれぞれ下記のようにして測定した。
(ヌープ硬度)
各実施例および比較例で作製した蛍光体含有フィルムの樹脂層と同様のサンプルを作製した。フィッシャーインスツルメンツ(株)社製PICODENTOR HM500p型硬度計を用い、ヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、最大荷重でのクリープ時間5sec、除荷時間10sec、除荷後のクリープ時間5sec、最大荷重20mNの条件で測定した。押し込み深さから求められる圧子とサンプルとの接触面積と最大荷重の関係より硬度を算出し、この10点の平均値をヌープ硬度とした。
(クリープ回復率)
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製PICODENTOR HM500p型硬度計を用い、ヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、最大荷重でのクリープ時間5sec、除荷時間10sec、除荷後のクリープ時間5sec、最大荷重20mNの条件で測定した。除荷直後の押し込み深さと除荷5秒後の深さの関係よりクリープ回復の割合を算出し、この10点の平均値をクリープ回復率とした。
(弾性回復率)
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製PICODENTOR HM500p型硬度計を用い、ヌープ圧子により、ガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、最大荷重でのクリープ時間5sec、除荷時間10sec、除荷後のクリープ時間5sec、最大荷重20mNの条件で測定する。横軸押し込み深さ、縦軸荷重にとったグラフにおいて[クリープ時間後の押し込み深さ、最大荷重]、[クリープ時間後の押し込み深さ、荷重ゼロ]、[除荷直後の押し込み深さ、荷重ゼロ]の3点で囲まれる面積(除荷時に解放される弾性変形エネルギーEに相当)と、原点、[クリープ時間前の押し込み深さ、最大荷重]、[クリープ時間後の押し込み深さ、最大荷重]、[クリープ時間後の押し込み深さ、荷重ゼロ]の4点で囲まれる面積(負荷(およびクリープ)に要した総エネルギーE合計に相当)との関係より弾性回復の割合を算出し、この10点の平均値を弾性回復率とする。
<樹脂層の水蒸気透過率および酸素透過度の測定>
各実施例および比較例で作製した蛍光体含有フィルムの樹脂層の水蒸気透過率および含水率を樹脂層のサンプルを用いてそれぞれ下記のようにして測定した。
(水蒸気透過率)
水蒸気透過率は、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって測定した。恒温恒湿処理の条件は、温度40℃、相対湿度90%RHとした。
(酸素透過度)
酸素透過度は、SI単位として、fm/(s・Pa)を用いることができる。1fm/(s・Pa)=8.752cc/(m・day・atm)で換算することが可能である。fmはフェムトメートルと読み、1fm=10−15mを表わす。
ここで、酸素透過度は、測定温度23℃、相対湿度90%の条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値である。
<評価項目>
実施例および比較例で作製した蛍光体含有フィルムは波長変換部材であり、この波長変換部材の発光性能の経時変化を以下のように測定し、評価した。
(初期輝度)
各実施例および比較例の波長変換部材の初期輝度(Y)を、以下の手順で測定した。
まず、各波長変換部材を、(株)ナカヤマ社製トムソン刃MIR-CI23を使って1インチ角の正方形に裁断した。裁断された波長変換部材の各辺は、樹脂層および蛍光領域をまたいでいる。
一方で、市販のタブレット端末(Amazon社製、Kindle(登録商標) Fire HDX 7”)を分解し、バックライトユニットを取り出した。取り出したバックライトユニットに付属している波長変換部材を取り外した上で、導光板上に上記のようにして作製した蛍光体含有フィルムを置き、その上に、向きが直交した2枚のプリズムシートを重ね置いた。青色光源から発し、蛍光体含有フィルムおよび2枚のプリズムシートを透過した光の輝度のうち、裁断面から1mm内側の位置(但し、裁断面に位置する蛍光領域以外の蛍光領域)における輝度を、導光板の面に対して垂直方向740mmの位置に設置した輝度計(SR3、TOPCON社製)にて測定し、初期の輝度(Y)とした。
初期輝度(Y)の評価基準を以下に示す。評価結果がB以上であれば、発光効率が良好に維持されていると判断することができる。
AA; 14000[cd/m]<Y
A; 12000[cd/m]<Y≦14000[cd/m
B; 10000[cd/m]<Y≦12000[cd/m
C; 8000[cd/m]<Y≦10000[cd/m
D; 8000[cd/m]≧Y
(端部劣化評価)
次に、85℃に保たれた部屋で、市販の青色光源(OPTEX−FA株式会社製OPSM−H150X142B)上に各波長変換部材を置き、波長変換部材に対して青色光を2000時間連続で照射した。1000時間及び2000時間後、波長変換部材を取り出し、上記と同様の手順で輝度を測定した。高温試験1000時間の輝度、高温試験2000時間の輝度)をそれぞれ測定した。試験後の輝度をY’としたとき、
下記式
α=Y’/Y
によって、初期の輝度値(Y)に対する、試験後の輝度(Y’)の変化率(α)を算出し、輝度変化の指標として、以下の基準で評価した。評価結果がAおよびBであれば、発光効率が良好に維持されていると判断することができる。なお、評価結果Cは実用上許容されるが、評価結果Dは許容できない。以下の劣化評価においても、初期の輝度値に対する試験後の輝度の変化率の評価基準は同様とする。
A; 0.95<α
B; 0.7<α≦0.95
C; 0.5<α≦0.7
D; 0.5≧α
なお、比較例2および比較例4では切り残りが発生したため端部の劣化評価は行っていない。
(輝度ムラ評価)
(株)ナカヤマ社製トムソン刃MIR-CI23を使って50mm角に裁断した各実施例および比較例の波長変換部材、市販のタブレット端末(Amazon社製、Kindle(登録商標) Fire HDX 7”)に搭載された2枚のプリズムシートを市販の青色光源(OPTEX−FA株式会社製OPSM−H150X142B)上に載せ、青光を照射した状態を一眼レフデジカメ(Nikon製D−7200)で撮影した。得られた画像のサンプル中心より40mm角の範囲において、Gray値の平均値(G)および標準偏差σを求め、以下の基準で評価した。評価結果がAおよびBであれば、輝度ムラが良好であると判断することができる。なお、評価結果Cは実用上許容されるが、評価結果Cは許容できない。
A:0%≦σ/G<3%
B:3%≦σ/G<10%
C:10%≦σ/G<20%
D:20%≧σ/G
(裁断面の評価)
各波長変換部材を、(株)ナカヤマ社製トムソン刃MIR-CI23を使って1インチ角の正方形に裁断し、その端面を光学顕微鏡Nikon社製DS-Ri2により正方形の四辺を撮影し、以下の基準で評価した。
A:隔壁へのひびなし、面つぶれなし
B:四辺の内一つでも隔壁にひびが発生
C:四辺の内一つでも面つぶれあり
(切り残りの評価)
各波長変換部材を、(株)ナカヤマ社製トムソン刃MIR-CI23を使って1インチ角の正方形に裁断し、切り残りの有無を評価した。
結果を表1に示す。
実施例2と比較例1の対比から、ヌープ硬度が小さすぎると早期に劣化してしまうことがわかる。これは、ヌープ硬度が小さすぎると、裁断したい方向と異なる方向へも微小傷が発生し割れが生じるためと考えられる。また、実施例1と比較例2の対比から、ヌープ硬度が大きすぎると、切り残りが発生してしまうことがわかる。これは、ヌープ硬度が大きすぎると裁断刃による荷重が不足してしまうためと考えられる。
また、実施例3と比較例3との対比から、弾性回復率が小さすぎると、裁断面がつぶれてしまい、初期輝度が低下し、また、輝度ムラが発生してしまうことがわかる。これは弾性回復率が小さすぎると裁断後の形状回復が遅れて膜厚ムラとなり輝度ムラにつながると考えられる。
また、実施例4と比較例4との対比から、クリープ回復率が大きすぎると、切り残りが発生してしまうことがわかる。これはクリープ回復率が大きすぎると、粘弾性挙動が現れ、切れ残りがでると考えられる。
また、実施例1、5および6の対比から、樹脂層を硬化させる際の紫外線の照射量を適宜設定することでヌープ硬度、クリープ回復率、および、弾性回復率を調整することができることがわかる。さらに、実施例1と実施例2の対比から、酸素透過度の値を適宜設定することで、初期輝度の値を調整することができる。
本発明の蛍光体含有フィルムは、上述の実施形態においては波長変換部材を例に説明したが、蛍光体の種類を適宜選択することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子における有機エレクトロルミネッセンス層、有機太陽電池における有機光電変換層などに適用することが可能であり、性能低下を抑制する効果を得ることができる。
1、3、4、6 蛍光体含有フィルム
10、20 基材フィルム
11、21 支持フィルム
12、22 バリア層
30 蛍光体含有層
31、31a、31b、31e 蛍光体
32 蛍光領域形成用塗布液
33 バインダ
35、35a、35b 蛍光体を含む領域(蛍光領域)
37 樹脂層用塗布液
38 酸素に対する不透過性を有する樹脂層
50 転送ローラ
52、58、62、68 バックアップローラ
54、64 塗布部
56、66 硬化部
59 積層フィルム
60 ラミネートローラ
100 波長変換部材
101A 光源
101B 導光板
101C 面状光源
102 バックライトユニット
102A 反射板
102B 再帰反射性部材
103 液晶セルユニット
104 液晶表示装置
110 液晶セル
120、130 偏光板
121、123、131、133 偏光板保護フィルム
122、132 偏光子

Claims (6)

  1. 酸素に暴露されると酸素と反応して劣化する蛍光体を含む蛍光領域が複数、離散的に配置され、離散的に配置された複数の前記蛍光領域間に、酸素に対する不透過性を有する樹脂層が配置されてなる蛍光体含有層と、
    前記蛍光体含有層の一方の主面に積層される第1の基材フィルムおよび他方の主面に積層される第2の基材フィルムと、を有し、
    前記樹脂層のヌープ硬度が115N/mm2〜285N/mm2であり、クリープ回復率が22%以下であり、弾性回復率が60%以上である蛍光体含有フィルム。
  2. 前記蛍光体含有フィルムの端面において、蛍光特性を失った領域と前記樹脂層とが露出している請求項1に記載の蛍光体含有フィルム。
  3. 前記樹脂層の酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下である請求項1または2に記載の蛍光体含有フィルム。
  4. 前記第1の基材フィルムおよび前記第2の基材フィルムの酸素透過度が1cc/(m2・day・atm)以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体含有フィルム。
  5. 前記樹脂層に含まれる樹脂が、光重合性官能基又は熱重合性官能基を有する化合物を含有する組成物から成る請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体含有フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体含有フィルムからなる波長変換部材と、青色発光ダイオードおよび紫外線発光ダイオードの少なくとも一方とを含むバックライトユニット。
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