JPWO2018030174A1 - 金属銀微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

任意に合成した粒径・粒子形態を有する金属銀微粒子に、粒子径・粒子形態を変えることなく任意のアミンを配位・被覆することができ、所望する粒径・粒子形態を有する金属銀粒子合成と所望する金属微粒子の表面修飾を両立させることができる金属銀微粒子の製造方法を提供する。本発明は、シュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物を加熱・分解して金属銀微粒子(i)を得る第1工程と、前記金属銀微粒子(i)に1種以上のアミン(2a)又はカルボン酸(2b)を混合し、前記金属銀微粒子(i)の前記配位化合物の少なくとも一部を前記アミン(2a)又は前記カルボン酸(2b)で置換した金属銀微粒子(ii)を得る第2工程と、を含むこと、を特徴とする金属銀微粒子の製造方法である。

Description

本発明は、触媒、センサー、導電性材料及び接着剤等、幅広く様々な分野で使用される金属銀微粒子の製造方法に関する。
金属銀微粒子は、触媒、センサー、導電性材料及び接着剤等、幅広く様々な分野で使用されており、特に近年では、プリンテッドエレクトロニクス用途、LED等発光素子を基板に接合する用途、半導体チップを基板に接合する用途、それらの基板をさらに放熱部材に接合する用途に展開が進んでいる。
かかる金属銀微粒子の製造方法としては、例えば特許文献1(特開2009−270146号)及び特許文献2(特開2012−162767号)において提案されているように、従来から、シュウ酸銀とアミンとを反応させて錯化合物を生成し、生成した錯化合物を加熱分解させて金属銀微粒子を生成する方法が用いられている。
より具体的には、特許文献1には「炭素数が6以上のアルキルアミンと、炭素数が5以下であるアルキルアミンとを含むアミン混合液と、金属原子を含む金属化合物を混合して、当該金属化合物とアミンを含む錯化合物を生成する第1工程と、当該錯化合物を加熱することで分解して金属微粒子を生成する第2工程を含むことを特徴とする被覆金属微粒子の製造方法。」が開示され、特許文献2は「シュウ酸銀と、オレイルアミンとを反応させて少なくとも銀とオレイルアミンとシュウ酸イオンとを含む錯化合物を生成し、生成した前記錯化合物を加熱分解させて銀超微粒子を生成することを特徴とする銀超微粒子の製造方法。」が開示されている。即ち、これらの方法ではシュウ酸銀の分解温度を大幅に下げることができるため、温和な条件で、錯形成に使用したアミンが表面に被覆した金属銀微粒子を得ることができる。
特開2009−270146号 特開2012−162767号
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2の方法においては、錯形成に使用するアミン種によって、最終的に生成される金属銀微粒子の粒径・粒子形態が決定されるため、使用できるアミン種及び組合せが限られている。即ち、表面に配位して被覆させたいアミンがあったとしても、最終的に生成される金属銀微粒子の粒径・粒子形態を制御できなければ、そのアミンは使用できない。また、カルボン酸の被覆割合の高い金属銀微粒子を得ることは困難であった。
そこで、本発明の目的は、任意に合成した粒径・粒子形態を有する金属銀微粒子に、粒子径・粒子形態を変えることなく任意のアミンを配位・被覆することができ、所望する粒径・粒子形態を有する金属銀粒子合成と所望する金属微粒子の表面修飾を両立させることができる金属銀微粒子の製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、カルボン酸の配位・被覆も可能とする金属銀微粒子の製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決すべく、本発明は、
シュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物を加熱・分解して金属銀微粒子(i)を得る第1工程と、
前記金属銀微粒子(i)に1種以上のアミン(2a)又はカルボン酸(2b)を混合し、前記金属銀微粒子(i)の前記配位化合物の少なくとも一部を前記アミン(2a)又は前記カルボン酸(2b)で置換した金属銀微粒子(ii)を得る第2工程と、
を含むこと、
を特徴とする金属銀微粒子の製造方法、を提供する。
上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記配位化合物が前記アミン(2a)と異なる1種以上のアミン(1)であること、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記アミン(1)が炭素数5以下であること、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記アミン(1)がアルコキシアミンであること、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記アミン(2a)及び前記カルボン酸(2b)は炭素数11以下であること、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記第2工程において、前記金属銀微粒子(i)に前記アミン(2a)又は前記カルボン酸(2b)を混合及び加熱・撹拌すること、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記金属銀微粒子(i)及び前記金属銀微粒子(ii)の平均一次粒子径は、10〜200nmであること、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記第1工程と前記第2工程との間に、未反応配位化合物を除去する洗浄工程を含むこと、
が好ましい。
また、上記本発明の金属微粒子の製造方法においては、
前記第2工程において、50〜150℃の加熱温度及び/又は5〜20分間の加熱時間の条件下で加熱して置換を行うこと、
が好ましい。
本発明の金属銀微粒子の製造方法によれば、任意に合成した粒径・粒子形態を有する金属銀微粒子に、粒子径・粒子形態を変えることなく任意のアミンを配位・被覆することができ、所望する粒径・粒子形態を有する金属銀粒子合成と所望する金属微粒子の表面修飾を両立させることができる。また、本発明の金属銀微粒子の製造方法によれば、カルボン酸の配位・被覆も可能である。
本発明の実施例1、4、9、10及び11並びに比較例4、6及び8において製造した金属銀微粒子のSEM像である。
以下において、本発明の金属銀微粒子の製造方法の代表的な実施形態について、実施例及び比較例を含み、詳細に説明する。ただし、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載のとおりの技術的思想を具備する設計変更は全て本発明に含まれるものである。
本発明は、
シュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物を加熱・分解して金属銀微粒子(i)を得る第1工程と、
前記金属銀微粒子(i)に1種以上のアミン(2a)又はカルボン酸(2b)を混合し、前記金属銀微粒子(i)の前記配位化合物の少なくとも一部を前記アミン(2a)又は前記カルボン酸(2b)で置換した金属銀微粒子(ii)を得る第2工程と、
を含むこと、
を特徴とする金属銀微粒子の製造方法、である。
(1)第1工程
本発明の金属銀微粒子の製造方法の第1工程では、シュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物を加熱・分解して金属銀微粒子(i)を得る。
本発明の金属微粒子の製造方法においては、出発物質としてシュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物を用いる。ここで、シュウ酸銀を用いるのは、シュウ酸銀は200℃前後の高い分解温度を有するが、アミン(1)等の配位化合物と錯形成させることで、シュウ酸銀の分解温度を大幅に下げることができ、また、錯形成に使用するアミン(1)等の配位化合物が表面修飾剤としても働くため、温和な条件でアミン(1)等の配位化合物で被覆された金属銀微粒子を得ることができるためである。
また、本発明の出発物質である錯化合物を構成する配位化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の化合物を用いることができるが、後述する第2工程において用いるアミン(2a)と異なる1種以上のアミン(1)であることが好ましい。
また、かかるアミン(1)としては、シュウ酸銀と錯形成・分解することでアミン被覆金属微粒子(i)を得ることができれば特に限定されることはない。金属銀微粒子(i)を被覆しているアミン(1)は第2工程で置換されるため、金属銀微粒子の保存安定性が劣るとされる炭素数5以下のアミンも単独で使用できる。炭素数の下限は3であればよい。
かかるアミン(1)としては、種々のアミンを用いることができ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。例えば、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン、1,2−エタンジアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、ペンタノールアミン、アミノイソブタノール等のジアミンやアルコキシアミン、アミノアルコールに加えプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘキシルアミン等のアルキルアミン(直鎖状アルキルアミン、側鎖を有していてもよい。)、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン、アニリン、アリルアミン等の第1級アミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の第2級アミン、トリプロピルアミン、ジメチルプロパンジアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、キノリン等の第3級アミン等、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン等が挙げられる。
上記アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
なかでも、シュウ酸銀アミン錯体の形成速度・分解温度の点から、3−メトキシプロピルアミン又は3−エトキシプロピルアミン等に代表される炭素数5以下の第1級又は第2級アルコキシアミンを用いるのが望ましい。
ここで、第1工程においては、シュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物は、従来公知の方法によって製造すればよく、例えば、アミン等の配位化合物とシュウ酸銀を混合し、例えば20〜150℃及び1〜60分間の条件で混合すればよい。
(2)第2工程
本発明の金属銀微粒子の製造方法の第2工程では、第1工程で得た金属銀微粒子(i)に1種以上のアミン(2a)又はカルボン酸(2b)を混合し、金属銀微粒子(i)の配位化合物の少なくとも一部をアミン(2a)又はカルボン酸(2b)で置換した金属銀微粒子(ii)を得る。
ここで用いるアミン(2a)又はカルボン酸(2b)は、上記のアミン(1)を含む配位化合物とは異なる化合物であり、最終生成物である金属微粒子(ii)の被覆有機物として所望する化合物である。本発明は、この被覆有機物の選択の自由度が高いという効果を有するものである。
これらアミン(2a)又はカルボン酸(2b)の炭素数は11以下であることが望ましい。金属銀微粒子の融点降下による溶融・融着効果を利用した導電性インク及び接合材等への利用を考えた場合、炭素数が多くなり過ぎると金属銀微粒子中に占める被覆有機物の体積が増加し、焼結銀の高密度化には不利になり、かつ沸点も上がるため低温焼結性に悪影響が出るためである。また、炭素数が多くなると極性が低下し、置換される側の過剰アミンとの相溶性が悪くなるため、置換が生じにくくなるためである。炭素数の下限は3であればよい。
ここで用いることのできるアミン(2a)としては、上記のアミン(1)と異なるアミンであればよいが、例えば、少なくとも1つのアミノ基を有する化合物を広く用いることができ、上記アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
また、ここで用いることのできるカルボン酸(2b)としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を広く用いることができ、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、ヘキサン酸、アクリル酸、オクチル酸、オレイン酸等が挙げられる。カルボン酸の一部のカルボキシル基が金属イオンと塩を形成していてもよい。なお、当該金属イオンについては、2種以上の金属イオンが含まれていてもよい。
上記カルボン酸は、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、カルボキシル基以外の官能基を含む化合物であってもよい。この場合、カルボキシル基の数が、カルボキシル基以外の官能基の数以上であることが好ましい。また、上記カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。また、アミンとカルボン酸はアミドを形成する。当該アミド基も金属銀微粒子表面に適度に吸着するため、有機成分にはアミド基が含まれていてもよい。
この第2工程においては、第1工程で得た金属銀微粒子(i)に1種以上のアミン(2a)又はカルボン酸(2b)を混合し、例えば25(室温)〜150℃、好ましくは50〜250℃の加熱温度及び/又は5〜20分間の加熱時間の条件下で加熱することによって、アミン等の配位化合物をアミン(2a)又はカルボン酸(2b)で置換するのが好ましい。
理論的には室温での置換も可能であるが、加熱することで被覆している配位化合物の遊離がより支配的になるため、加熱を伴って置換させるのが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、150℃を超えると遊離が支配的になり過ぎて、特に吸着力の弱いアミン置換の場合は金属銀微粒子同士が凝集してしまうため、凝集が進まない温度以下で置換させるのが好ましい。置換時間は特に限定されないが、15分間以上であれば十分置換可能である。
(3)任意工程(洗浄工程)
本発明においては上記の第1工程及び第2工程によって、所望の金属銀微粒子(ii)を製造できるが、第1工程と前記第2工程との間に、未反応配位化合物を除去する洗浄工程を実施するのが好ましい。
第1工程で出発物質として用いるシュウ酸銀及び配位化合物(アミン(1)等)を含む錯化合物には、弱い配位結合力で配位していたり遊離していたりする配位化合物も含まれている。このような遊離配位化合物は第2工程での置換の効率を低下させてしまうおそれがある。そこで、未反応配位化合物を除去する洗浄工程を入れることで、より効果的・高比率での置換を実現することができる。
この洗浄工程としては、例えば、有機成分で被覆された金属微粒子(第1工程で得た金属銀微粒子)を含む分散液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、アルコール(メタノール等)を加えて再度撹枠し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。このような洗浄によって有機溶媒を除去することにより、本実施形態の有機成分で被覆された金属微粒子を得ることができる。
(4)その他
本発明の金属微粒子の製造方法においては、上記(1)〜(3)以外の条件については、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができるが、例えば、第1工程の金属銀微粒子(i)及び第2工程の金属銀微粒子(ii)の平均一次粒径は、金属銀微粒子の融点降下による溶融・融着効果を利用した導電性インク及び接合材等の利用を考慮すると、10〜200nmであるのがよい。
金属銀微粒子の粒径及び形状は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、平均一次粒径が1μm未満であればよいが、好ましい平均一次粒径は10〜200nmであり、更に好ましい平均一次粒径は10〜100nmである。平均一次粒径が10nm以上であれば、被覆有機物の占める体積の増加の影響を抑制することができ、金属銀微粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に金属銀微粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、200nm以下であれば、金属銀微粒子の分散性が経時的に変化し難く、融着温度も上昇せず、好ましい。
なお、金属銀微粒子の粒径は一定でなくてもよい。また、金属銀微粒子の平均一次粒径は、上述のとおり、200nm以下であることが好ましいが、例えば導電性パターン印刷用導電性インク等に用いる場合、任意成分として分散剤等を含んでも凝集せず、不都合が無ければ、かかる200nm超の平均一次粒径を有する金属銀微粒子を含んでもよい。加えて、必要に応じて金属銀マイクロ粒子を添加してもよい。
金属銀微粒子の粒径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、広角X線回折法で測定することができる。ナノサイズの金属銀微粒子の融点降下を示すためには、広角X線回折法で求めた結晶子径が適当である。例えば広角X線回折法では、より具体的には、理学電機(株)製のRINT−UltimaIIIを用いて、回折法で2θが30〜80°の範囲で測定することができる。この場合、試料は、中央部に深さ0.1〜1mm程度の窪みのあるガラス板に表面が平坦になるように薄くのばして測定すればよい。また、理学電機(株)製のJADEを用い、得られた回折スペクトルの半値幅を下記のシェラー式に代入することにより算出された結晶子径(D)を粒径とすればよい。
D=Kλ/Bcosθ
ここで、K:シェラー定数(0.9)、λ:X線の波長、B:回折線の半値幅、θ:ブラッグ角である。
なお、本発明によって得られた金属銀微粒子(ii)は、その用途に応じて、種々の化合物と混合して用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の金属銀微粒子の製造方法について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例1≫
3−エトキシプロピルアミン(炭素数5のアルコキシアミン)4.6gに、撹拌を行いながらシュウ酸銀3gを添加し、マグネティックススターラーで十分に撹拌しながら混合し、増粘させた。得られた粘性物質を120℃の恒温槽に入れ、約15分間反応させて金属銀微粒子(i)を含む懸濁液を得た(第1工程)。
その後、上記の懸濁液に和光純薬工業(株)製の試薬特級であるオクタン酸(炭素数8のカルボン酸)14.4gを加え、再度100℃の恒温槽に入れて15分間撹拌することで、金属銀微粒子(i)を被覆している有機物(3−エトキシプロピルアミン)を置換した。メタノール10 mlを加えて撹拌後、遠心分離により金属銀微粒子を沈殿させて分離し、上澄みを捨てた。この操作をもう一度繰り返し、金属銀微粒子(ii)である金属銀微粒子1を得た。
[分析評価]
上記実施例1で得られた金属銀微粒子について下記の分析評価を行った。結果は表1に示した。
(1)平均一次粒子径、標準偏差
平均一次粒子径は、SEM((株)日立製のS−4800型)にて撮影した粒子画像を使用して算出した。異なる撮影点のSEM像5点以上から、合計200個以上の粒子を画像処理ソフト(MITANI CORPORATION、 Win ROOF)を使用して一次粒径を測定し、算術平均で平均一次粒径を算出した。
(2)粒子形態
上記(1)にて観察したSEM像から、目視にて、球状、プレート、多角形状の3種類に分類した。なお、図1に、実施例1、4、9、10及び11並びに比較例4、6及び8のSEM像を示した。
(3)結晶子径
X線回折装置((株)リガク社製の RINT Ultima III)にて得られた金属銀微粒子のX線回折図から、(111)面の結晶子径をシェラー式より算出した。
(4)重量減少開始温度
TG−DTA (SII製のTG/DTA6300)を用いて熱重量分析を行った。粒子をN2(200ml/min)雰囲気で550℃まで10℃/分間で昇温して分析を行い、表面被覆有機物が置換していることを確認し、重量減少が開始する温度を決定した。
(5)総合評価
導電性粒子及び接合材料として好適である球形で粗大粒子を生成しなかった場合を「○」とした。
≪実施例2≫
オクタン酸の代わりに、炭素数4のカルボン酸であるエトキシ酢酸10.4gを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例3≫
オクタン酸の代わりに、炭素数5のカルボン酸である3−エトキシプロピオン酸11.8g(を加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例4≫
オクタン酸の代わりに、炭素数3のカルボン酸であるメトキシ酢酸9.0gを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例5≫
オクタン酸の代わりに、炭素数5のカルボン酸であるレブリン酸11.6gを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例6≫
オクタン酸の代わりに、炭素数6のカルボン酸である3−メチルアジピン酸16.0gを加えたこと以外は、実施例11と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例7≫
オクタン酸の代わりに、炭素数7のカルボン酸であるアジピン酸モノメチル16.0gを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例8≫
オクタン酸の代わりに、炭素数5のカルボン酸であるグルタル酸13.2gを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例9≫
オクタン酸の代わりに、炭素数4のアミンである2−(2−アミノエトキシ)エタノール10.5gを加えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例10≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gを2−(2−アミノエトキシ)エタノール4.2gにして金属銀微粒子2を含む懸濁液を得て、オクタン酸の代わりにレブリン酸11.6g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪実施例11≫
炭素数5のアミンである3−エトキシプロピルアミン4.6gを炭素数4のアミンであるN−メチル−1,3−ジアミノプロパン4.1gをして金属銀微粒子3を含む懸濁液を得て、オクタン酸の代わりにレブリン酸11.6g加えたこと以外は実施例2と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表1に示した。
≪比較例1≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりにオクタン酸5.2gを加え、置換操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例2≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりにオクタン酸5.2gを加え、得られた粘性物質を160℃の恒温槽に入れ、置換操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例3≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりに3−アミノ−1−プロパノール1.5gとオクタン酸5.2gを加え、置換操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例4≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりに3−アミノ−1−プロパノール1.5gとオクタン酸5.2gを加え、得られた粘性物質を150℃の恒温槽に入れ、置換操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例5≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりに2−メトキシエチルアミン1.5gとオクタン酸5.2gを加え、置換操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例6≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりに2−メトキシエチルアミン1.5gとオクタン酸5.2gを加え、得られた粘性物質を170℃の恒温槽に入れ、置換操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例7≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりに3−エトキシプロピルアミンを2.1gにし、シュウ酸銀と混合して得られた増粘物質にオクタン酸5.2gを加え、その後置換操作を行わなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例8≫
3−エトキシプロピルアミン4.6gの代わりに3−エトキシプロピルアミンを2.1gにし、シュウ酸銀と混合して得られた増粘物質にオクタン酸5.2gを加え、合成時の恒温槽温度を160℃にし、その後置換操作を行わなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
≪比較例9≫
合成時の恒温槽温度を160℃にし、オクタン酸の代わりに12−アミノドデカン酸を10.8g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、金属銀微粒子を得た。評価結果を表2に示した。
表1及び表2に示す結果から、生成する金属銀微粒子の粒径及び粒子形態は、錯形成に使用するアミンと置換するアミン又はカルボン酸の組合せによって制御できることがわかる。また、第1工程で生成した目的の粒径及び粒子形態を有する金属銀微粒子に、置換させたいアミン又はカルボン酸を加えて加熱撹拌することで、表面被覆有機物を置換することができる。このとき加えるアミン又はカルボン酸は2種以上でも可能であり、投入比を変量することで各表面被覆有機物の被覆比率を自由に制御することが可能である。よって、目的の粒径、粒子形態、粒度分布を有する金属銀微粒子に、目的に合わせた表面被覆有機物を被覆させることが可能となる。比較例9は、銀微粒子は生成するが、置換後の銀微粒子が凝集して沈殿するため回収が不可であった。
また、カルボン酸被覆の場合は、従来、シュウ酸銀とカルボン酸では錯形成が進まず、カルボン酸被覆を主体とした金属銀微粒子を得ることは困難であったが、本発明によれば、目的の粒径及び粒子形態を有する金属銀微粒子に、目的のカルボン酸が被覆した金属銀微粒子を温和な条件で容易に得ることができる。なお、金属銀微粒子の表面に対する有機物の吸着エネルギーは、アミンと比較しカルボン酸のほうが大きいため、アミンからカルボン酸に置換させることは比較的容易と考えられるが、本発明では、アミンからアミン又はカルボン酸のいずれにも置換可能である。



Claims (8)

  1. シュウ酸銀及び配位化合物を含む錯化合物を加熱・分解して金属銀微粒子(i)を得る第1工程と、
    前記金属銀微粒子(i)に1種以上のアミン(2a)又はカルボン酸(2b)を混合し、前記金属銀微粒子(i)の前記配位化合物の少なくとも一部を前記アミン(2a)又は前記カルボン酸(2b)で置換した金属銀微粒子(ii)を得る第2工程と、
    を含むこと、
    を特徴とする金属銀微粒子の製造方法。
  2. 前記配位化合物が前記アミン(2a)と異なる1種以上のアミン(1)であること、
    を特徴とする請求項1に記載の金属銀微粒子の製造方法。
  3. 前記アミン(1)が炭素数5以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の金属銀微粒子の製造方法。
  4. 前記アミン(1)がアルコキシアミンであること、
    を特徴とする請求項3に記載の金属銀微粒子の製造方法。
  5. 前記アミン(2a)及び前記カルボン酸(2b)は炭素数11以下であること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の金属銀微粒子の製造方法。
  6. 前記第2工程において、前記金属銀微粒子(i)に前記アミン(2a)又は前記カルボン酸(2b)を混合及び加熱・撹拌すること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の金属銀微粒子の製造方法。
  7. 前記金属銀微粒子(i)及び前記金属銀微粒子(ii)の平均一次粒子径は、10〜200nmであること、
    を特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の金属銀微粒子の製造方法。
  8. 前記第2工程において、50〜150℃の加熱温度及び/又は5〜20分間の加熱時間の条件下で加熱して置換を行うこと、
    を特徴とする請求項1〜7のうちのいずれかに記載の金属銀微粒子の製造方法。


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