JP2017048425A - 分散性に優れた表面処理金属粉及びその製造方法 - Google Patents

分散性に優れた表面処理金属粉及びその製造方法 Download PDF

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秀樹 古澤
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秀樹 古澤
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Abstract

【課題】焼結遅延性と同時に、ペースト中での分散性に優れた、表面処理された金属粉を提供すること。【解決手段】Al、Si、Ti、Zr、Ce及びSnからなる群から選択された1種の元素の金属粉1gに対する付着量をx(μg)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式: 50≦x≦1500 y≧0.2x+600 を満たし、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれか2種以上が吸着している、表面処理された金属粉。【選択図】なし

Description

本発明は、分散性に優れた表面処理金属粉及びその製造方法に関する。
電子部品の小型化に伴い、基板の電極には薄膜化が、回路には細線化が求められている。また、近年、電子部品は高周波帯で使用されるケースが多くなっている。この観点から、基板の屈曲性が求められない分野では、低温同時焼成セラミックス(LTCC)に代表されるセラミックを基板とした回路が注目を浴びている。セラミック基板は、フィルム基板よりも、耐熱性、耐湿性に優れる上、耐吸湿性、誘電正接に優れるので、高周波での使用に適している。
セラミックス基板は、誘電体セラミック粒子、ガラス粒子等の焼結助剤、バインダー樹脂、可塑剤、溶剤を混ぜ合わせて得られたスラリーを、ドクターブレード成形機で厚さ数10μmのグリーンシートを焼成して得られる。セラミック粒子の細粉化によって、焼結して得られるセラミック層の薄層化が進行している。MLCC用のセラミック粉はD50で0.1μmを下回るものもある。
一方、電極用の金属粉では、セラミック粉ほど細粉化が進行していない。それは金属粉のサイズを小さくすると、焼結開始温度の低下、ペースト中の金属粉の凝集といった問題が生じるためであった。これに応えて、特許文献1は、焼結開始温度の低下を解消した金属粉、すなわち焼結遅延性を有する表面処理された金属粉を開示している。しかし、ペースト中での凝集性の低下がさらに求められている。
特開2015−36441号公報
したがって、本発明の目的は、焼結遅延性と同時に、ペースト中での凝集性を低下させ、すなわちペースト中での分散性を向上させた、表面処理された金属粉を提供することにある。
本発明者は、これまでの鋭意研究の結果、金属粉に焼結遅延性付与のための表面処理をした後に、アミン処理を行うことによって、焼結遅延性が付与されたままで、ペースト中での金属粉の分散性が劇的に向上することを見出して、本発明に到達した。
したがって、本発明は以下の(1)以下を含む。
(1)
Al、Si、Ti、Zr、Ce及びSnからなる群から選択された1種の元素の金属粉1gに対する付着量をx(μg)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
50≦x≦1500
y≧0.2x+600
を満たし、
第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれか2種以上が吸着している、表面処理された金属粉。
(2)
表面処理された金属粉の平均粒径D50が0.05〜1μmである、(1)に記載の表面処理された金属粉。
(3)
金属粉の金属が、Ag、Pd、Pt、Ni、及びCuからなる群から選択された1種の金属である、(1)〜(2)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(4)
Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素が、Al、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素である、(1)〜(3)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(5)
Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素が、アミノ基を有するカップリング剤による処理によって、金属粉の表面に吸着されてなる、(1)〜(4)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(6)
アミノ基を有するカップリング剤が、アミノシラン、アミノ含有チタネート、アミノ含有アルミネートからなる群から選択されたカップリング剤である、(5)に記載の表面処理された金属粉。
(7)
アミノ基を有するカップリング剤が、中心原子であるAl、Ti、又はSiに配位する分子鎖の末端にアミノ基を有する、アミノシラン、アミノ含有チタネート、又はアミノ含有アルミネートである、(6)に記載の表面処理された金属粉。
(8)
アミンが、非カップリング剤とアミノカップリング剤であり、
非カップリング剤/アミノカップリング剤がモル比で0.1〜3.0で紛体表面に付着している、(5)〜(7)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(9)
非カップリング剤が第1〜3級アミンで、
第1〜3級アミンがカップリング剤の吸着層を覆っている、
(8)に記載の表面処理された金属粉。
(10)
第3級アミンが、以下の基:
−CH(OH)−CH2−NR12
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
を1個以上有するアミン化合物である、
(9)に記載の表面処理された金属粉。
(11)
第3級アミンが、次の式I:
Figure 2017048425
(ただし、式中、nは、1〜8の整数であり、
R基は、以下のいずれかの基である:
−NR12
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
で表されるアミン化合物である、(9)〜(10)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(12)
金属粉の金属が、Ag、Pd、Pt、Ni、及びCuからなる群から選択された1種の金属である、(1)〜(11)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(13)
(1)〜(12)のいずれかに記載の、表面処理された金属粉を使用して製造された導電性ペースト。
(21)
アミノ基を有するカップリング剤が、次の式II:
2N−R1−Si(OR22(R3) (式II)
(ただし、上記式IIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
で表されるアミノシランである、(5)〜(12)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(22)
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j−、−CO−NH−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−NH−(CH2m− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、(21)に記載の表面処理された金属粉。
(23)
アミノ基を有するカップリング剤が、次の式III:
(H2N−R1−O)pTi(OR2q (式III)
(ただし、上記式IIIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、直鎖状又は分枝を有する、C1〜C5のアルキル基であり、
p及びqは、1〜3の整数であり、p+q=4である。)
で表されるアミノ基含有チタネートである、(5)〜(12)のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
(24)
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j−、−CO−NH−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−NH−(CH2m− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、(23)に記載の表面処理された金属粉。
(31)
金属粉を、アミノ基を有するカップリング剤の水溶液と混合して、金属粉分散液を調製する工程、
金属粉分散液から金属粉を、残渣として回収する工程、
残渣として回収された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、
洗浄された金属粉を、アミン水溶液に接触させて、アミン水溶液処理された金属粉を得る工程、
を含む、表面処理された金属粉を製造する方法。
(32)
アミン水溶液のアミンが、アミノ基を有するカップリング剤ではない、第1級アミン、第2級アミン、又は第3級アミンである、(31)に記載の方法。
(33)
アミノ基を有するカップリング剤が、Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素を含む表面処理層を、金属粉の表面に形成するカップリング剤である、(31)〜(32)のいずれかに記載の方法。
(34)
アミン水溶液処理された金属粉を得る工程の後に、
アミン水溶液処理された金属粉を乾燥して、表面処理された金属粉を得る工程、
を含む、(31)〜(33)のいずれかに記載の方法。
(35)
残渣として回収された金属粉を水性溶媒によって洗浄する工程が、
洗浄後の金属粉の質量に対して5倍の質量の水性溶媒を添加した後に得たろ過液の中に、ICP分析によって検出されるSi、Ti、Al、Zr、Ce及びSnからなる群から選択された1種の元素が、50ppm以下の濃度となるまで、残渣として回収された金属粉を水性溶媒によって洗浄する工程である、(31)〜(34)のいずれかに記載の方法。
(36)
金属粉の金属が、Ag、Pd、Pt、Ni、及びCuからなる群から選択された1種の金属である、(31)〜(35)のいずれかに記載の方法。
(37)
金属粉を、アミノ基を有するカップリング剤の水溶液と混合して、金属粉分散液を調製する工程、
金属粉分散液から金属粉を、残渣として回収する工程、
残渣として回収された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、及び、
洗浄された金属粉を、アミン水溶液に接触させて、アミン水溶液処理された金属粉を得る工程、の4工程が、
金属粉を、アミノ基を有するカップリング剤及びアミン水溶液のアミンを同時に含有する水溶液と混合して、金属粉分散液を調製する工程、
残渣として回収された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、及び、
金属粉分散液から金属粉を、残渣として回収する工程、によって行われる、(31)〜(36)のいずれかに記載の方法。
(38)
金属粉分散液を調製する工程の後に、
金属粉分散液を撹拌する工程を含む、(31)〜(37)のいずれかに記載の方法。
(39)
金属粉分散液を調製する工程の後に、
金属粉分散液を超音波処理する工程を含む、(31)〜(38)のいずれかに記載の方法。
(40)
乾燥が、酸素雰囲気又は不活性雰囲気下で行われる、(31)〜(39)のいずれかに記載の方法。
(41)
金属粉分散液が、金属粉1gに対して、アミノ基を有するカップリング剤を0.005g以上含んでいる、(31)〜(40)のいずれかに記載の方法。
(42)
金属粉が、湿式法によって製造された金属粉である、(31)〜(41)のいずれかに記載の方法。
(51)
アミノ基を有するカップリング剤が、アミノシラン、アミノ含有チタネート、アミノ含有アルミネートからなる群から選択された1種以上のカップリング剤である、(31)〜(42)のいずれかに記載の方法。
(52)
アミノ基を有するカップリング剤が、上記(21)の式IIで表されるアミノシランである、(51)に記載の方法。
(53)
R1が、上記(22)に記載されたR1である、(52)に記載の方法。
(54)
アミノ基を有するカップリング剤が、上記(23)の式IIIで表されるアミノ基含有チタネートである、(51)に記載の方法。
(55)
R1が、上記(24)に記載されたR1である、(54)に記載の方法。
(61)
アミン水溶液のアミンが、第3級アミンであって、上記(10)に記載されたアミン化合物である、(31)〜(42)及び(51)〜(55)のいずれかに記載の方法。
(62)
第3級アミンが、上記(11)の式Iで表されるアミン化合物である、(61)に記載の方法。
(71)
(31)〜(42)、(51)〜(55)、(61)〜(62)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを製造する方法。
(72)
(31)〜(42)、(51)〜(55)、(61)〜(62)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、表面処理された金属粉を、溶媒及び/又はバインダーと配合して、導電性金属粉ペーストを得る工程、
導電性金属粉ペーストを基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性金属粉ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
本発明によれば、焼結遅延性と同時に、ペースト中での凝集性を低下させ、すなわちペースト中での分散性を向上させた、表面処理された金属粉を得ることができる。そのため、本発明によって得られる金属粉ペーストは、印刷して乾燥した塗膜の密度が高く、焼成した焼成膜が下地を露出させることなく、微細な配線や電極の製造に好適なものとなっている。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
[表面処理された金属粉の製造]
本発明による表面処理された金属粉は、金属粉を、アミノ基を有するカップリング剤の水溶液と混合して、金属粉分散液を調製する工程、金属粉分散液から金属粉を、残渣として回収する工程、残渣として回収された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、洗浄された金属粉を、アミン水溶液に接触させて、アミン水溶液処理された金属粉を得る工程、を含む方法によって、製造することができる。
[金属粉]
金属粉としては、公知の方法によって製造された金属粉を使用することができる。好適な実施の態様において、例えば、湿式法によって製造された金属粉、乾式法によって製造された金属粉を使用することができる。金属粉はAg、Pd、Pt、Ni、及びCuのいずれかである。好適な実施の態様において、湿式法によって製造された銅粉、例えば、不均化法、化学還元法等によって製造された銅粉を使用することができる。
[平均粒径]
好適な実施の態様において、金属粉の平均粒径が、例えば0.1〜1.0μmの範囲にある金属粉を、好適に表面処理することができる。
[アミノ基を有するカップリング剤(第一の表面処理剤)]
金属粉は、アミノ基を有するカップリング剤の水溶液によって、第一の表面処理を受けて、アミノ基を有するカップリング剤(第一の表面処理剤)が金属粉の表面に吸着する。これによって、Al、Si、Ti、Zr、Ce及びSnのいずれか1種が金属粉に吸着する。好ましくは、アミノ基を有するカップリング剤として、末端にアミノ基を有するアミノカップリング剤を使用できる。
好適に使用可能なアミノ基を有するカップリング剤として、次の式II:
2N−R1−Si(OR22(R3) (式II)
(ただし、上記式IIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
で表されるアミノシランを使用できる。
好適な実施の態様において、上記式IIのR1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j−、−CO−NH−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−NH−(CH2m− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)。
好適に使用可能なアミノ基を有するカップリング剤として、次の式III:
(H2N−R1−O)pTi(OR2q (式III)
(ただし、上記式IIIにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、直鎖状又は分枝を有する、C1〜C5のアルキル基であり、
p及びqは、1〜3の整数であり、p+q=4である。)
で表されるアミノ基含有チタネートを使用できる。
好適な実施の態様において、上記式IIIのR1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j−、−CO−NH−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−NH−(CH2m− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)。
[アミン水溶液のアミン(第二の表面処理剤)]
金属粉は、アミノ基を有するカップリング剤の水溶液によって、第一の表面処理を受けた後に、アミン水溶液によって第二の表面処理を受けて、アミン水溶液のアミン(第二の表面処理剤)がさらに吸着する。第二の表面処理は、アミン水溶液のアミンと金属粉との接触により行われ、例えば混合してもよくさらに撹拌してもよく、あるいはろ過膜上の金属粉残渣に、アミン水溶液を注いでもよい。アミン水溶液のアミンを水溶液とすることなく直接混合することもできる。工程省略の観点から、第一の表面処理剤(アミノ基を有するカップリング剤)と第二の表面処理剤(アミン水溶液のアミン)を同時に含む水溶液を調整して、金属粉にこれらを吸着させる処理を行うこともできる。
アミン水溶液のアミン(アミン化合物)としては、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、又は第4級アミン化合物を使用することができる。このようなアミン化合物として、エタノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミンをあげることができる。水溶性のアミンを好適に使用できる。アミンの分子量は、粉体表面への吸着の観点から、大きいことが好ましく、例えば100以上、好ましくは1000以上である。
第1級アミン化合物としては、例えばモノエタノールアミン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、セリンをあげることができる。
第2級アミン化合物としては、例えばN−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロリンをあげることができる。
第3級アミン化合物としては、例えばジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、あるいは後述のアミン化合物をあげることができる。
さらに、好適に使用できるアミン化合物として、−CH(OH)−CH2−NR12基を有するアミン化合物をあげることができる。これらの基は、例えば、1個又は2個以上、あるいは3個〜16個、3個〜12個、3個〜8個、4〜6個を、アミン化合物中に有していてもよい。
[好適なアミン化合物(第二の表面処理剤)の骨格]
このようなアミン化合物として、次の式I:
Figure 2017048425
(ただし、式中、R基は、−NR12基である)
を好適に使用することができる。式中、nは、1〜8の整数、好ましくは1〜6の整数、2〜4の整数とすることができる。
[R1、R2、R3
上記のR1及びR2はそれぞれ独立に、あるいは上記のR1、R2及びR3はそれぞれ独立に、C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基とすることができる。好適な実施の態様において、R1及びR2を同じ基とすることができる。好適な実施の態様において、R3を、例えば芳香族環を有する基とすることができる。好適な実施の態様において、これらの置換基は、アミン化合物が全体として水溶性を有するように、選択される。
アルキル基は、例えばC1〜C8(炭素数1個から8個)、C1〜C6、C1〜C3、C1〜C2とできる。ヒドロキシアルキル基は、例えばC1〜C8、C1〜C6、C1〜C3、C1〜C2とできる。アルコキシアルキル基は、例えばC2〜C8、C2〜C6、C2〜C3、C2とでき、例えばメトキシアルキル基、エトキシアルキル基、プロポキシアルキル基とできる。フェニルアルキル基は、例えばC7〜C10、C7〜C8とでき、フェニルアルキル基のフェニル基が置換又は無置換のフェニル基であってもよく、例えばフェニルアルキル基のフェニル基は、C1〜C3のアルキル基によって1個又は2個置換されていてもよい。フェニル基は、例えばC6〜C8、C6〜C7とでき、置換又は無置換のフェニル基であってもよく、例えばC1〜C3のアルキル基によって1個又は2個置換されていてもよい。ナフチル基は、例えばC12〜C16、C12〜C14とでき、置換又は無置換のナフチル基であってもよく、例えばC1〜C3のアルキル基によって1個又は2個置換されていてもよい。アルケニル基は、例えばC3〜C8、C3〜C6、C3〜C4とでき、直鎖又は分枝の骨格を有していてもよい。
[表面処理された金属粉]
表面処理された金属粉は、第一及び第二の表面処理がなされた後に、公知の手段によって溶液から残渣を分離して、必要に応じて乾燥や解砕を行って、その後の導電性ペースト(金属粉ペースト)の製造に適した形態として、表面処理された金属粉を得ることができる。
表面処理された金属粉は、Al、Si、Ti、Zr、Ce及びSnからなる群から選択された1種の元素の金属粉1gに対する付着量をx(μg)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式: 50≦x≦1500 y≧0.2x+600 を満たし、第一及び第二の表面処理剤が吸着している。第一及び第二の表面処理剤は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれかであり、第一の表面処理剤はアミノカップリング剤であり、第二の表面処理剤は非カップリング剤である。好適な実施の態様において、第一の表面処理剤(アミノ基を有するカップリング剤)(アミノカップリング剤)及び第二の表面処理剤(アミン水溶液のアミン)(非カップリング剤)は、上述した通りである。
[非カップリング剤/アミノカップリング剤]
好適な実施の態様において、非カップリング剤/アミノカップリング剤の比(第二の表面処理剤/第一の表面処理剤の比)は、モル比で0.1〜3.0で、表面処理された金属粉の粉体表面に付着している。すなわち、金属粉の金属表面がいったん第一の表面処理剤(アミノカップリング剤)で覆われた上に、さらにこの上を第二の表面処理剤(非カップリング剤)が覆っており、その付着量の比が上述の通りとなっている。
[金属粉ペースト]
表面処理された金属粉を使用して、公知の手段によって、導電性ペースト(金属粉ペースト)を製造することができる。本発明によって表面処理された金属粉を使用した金属粉ペーストは、優れた焼結遅延性と、優れた分散性を両立したものとなっており、これによって、ペーストを印刷又は塗工して乾燥した乾燥塗膜が、高い塗膜密度を示し、同時にこれを焼成した焼成膜が、下地の基材を露出させないものとなっている。
好適な実施の態様において、例えば表面処理された金属粉を、沸点250℃以下であるアルコール又はグリコールと混合して金属粉ペーストを得ることができる。ペーストには粘度調整のためにバインダー樹脂を加えてもよい。金属粉は非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で焼成されるので、バインダー樹脂としては熱分解型のバインダー樹脂が好ましい。好適なバインダー樹脂として、アクリル樹脂、ロジンが挙げられる。あるいは、所望に応じて、優れた分散性を妨げない範囲内で、公知の溶剤、カルボン酸、アミン、アルデヒド等の添加剤を使用してもよい。混合は、公知の手段によって行うことができ、1段階又は2段階以上の混練によって行ってもよい。
好適な実施の態様において、金属粉ペーストは、例えば、金属粉濃度を60〜90wt%、樹脂を0.5〜10wt%、溶剤を5〜40wt%、脂肪酸を0.1〜5wt%で含有させることができる。必要に応じて、可塑剤、焼結遅延剤を添加してもよい。好適な実施の態様において、金属粉ペーストは、金属粉、溶剤、脂肪酸を混練した後、樹脂を溶剤に分散させたビークルを混練し、その後、3本ロールに通すのが好ましい。または、一括で混練した後に3本ロールに通してもよい。
金属粉ペーストへは、所望により、焼成で得られた電極の基板への密着性、焼成体の強度を向上させるために、ガラスフリットを添加してもよい。焼成温度よりも低いガラス転移点をもつガラスフリットは、焼成過程で液状化し、焼成体の空隙を埋めたり、セラミック層の間隙に対して濡れる。ガラスフリットをペーストに添加する場合、ガラスフリットの大きさとしては0.1μm〜5.0μmが好ましい。0.1μmよりも小さいと、フリット自身の分散性が悪くなる。5.0μmよりも大きいと、塗膜、電極の粗さが大きくなる。ガラスフリットをペーストに添加する場合は、5重量%以下で添加するのが望ましい。
金属粉ペーストへは、所望により、無機粒子を添加してもよい。これは、より高温で焼結させる場合に、金属粉間に存在して焼結遅延剤として機能することに加えて、電極層に残存することで電極層の電気特性を調整する役割がある。この場合、セラミック層と同じ成分であることが望ましい。大きさとしては、金属粉と同等以下であることが好ましい。添加する場合、5%重量%以下であることが好ましい。
[塗膜密度]
金属粉ペーストを使用して、公知の手段によって、印刷又は塗工等を行い、乾燥させて、塗膜を得る。金属粉ペースト中の金属粉の優れた分散性によって、高い塗膜密度が得られる。
[焼成体]
金属粉ペーストを使用して、公知の手段によって、印刷又は塗工等を行い、焼成を行って、焼成体を製造することができる。好適な実施の態様において、例えば金属粉ペーストを、非酸化性雰囲気下で800〜900℃で焼成して焼成体を得ることができる。本発明の金属粉ペーストの乾燥塗膜の焼結体は、下地を露出させることなく、回路及び電極を良好に形成可能なものとなっている。
[雰囲気]
焼結は、例えば非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で行うことができる。非酸化性雰囲気下とは、酸化性気体が含まれない又は低減された雰囲気をいい、例えば酸素が完全又は十分に除去された雰囲気をいう。還元性雰囲気は、雰囲気中にCO、H2S、SO2、H2、HCHO、HCOOH、H2O等の還元性気体が、0.5vol%以上、好ましくは1.0vol%以上で含まれる雰囲気をいう。還元性雰囲気としては、例えば、大気圧の気体窒素及び気体水素を含む雰囲気を挙げることができる。
[電極]
本発明は、上記表面処理された金属粉、該表面処理された金属粉を含む金属粉ペースト、該金属粉ペーストが塗工されてなる塗膜、該塗膜が焼結されてなる電極又は回路にもあり、上記表面処理された金属粉を使用したこれらの製造方法にもある。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[金属粉]
金属粉として、銅粉、銀粉、ニッケル粉を以下の手順で用意した。
(銅粉)
表面処理に供される銅粉20gを、上述した不均化法による湿式法によって製造した。これは具体的には以下の手順で行った。
(1) アラビアゴム0.05〜0.4g + 純水350mLに、亜酸化銅50gを添加した。
(2) 次に、希硫酸(25wt%)50mLを一時に添加した。
(3) これを、回転羽で攪拌後(300rpm×10分)、60分放置した。
(4) 次に、沈殿に対して、洗浄を行った。
洗浄は、最初に、上澄み液を除去し、純水350mLを加えて攪拌(300rpm×10分)後、60分放置し、上澄み液を除去し、純水350mLを加えて攪拌(300rpm×10分)後、60分放置し、銅粉を沈降させた。この状態で粒度測定をレーザー回折式粒度分布測定(マルバーン MASTER SIZER 3000)で行った。結果を表1に示す。
(銀粉)
特開2007−291513号公報に従って製粉した。すなわち、0.8Lの純水に硝酸銀12.6gを溶解させ、25%アンモニア水を24mL、さらに硝酸アンモニウムを40g添加し、銀アンミン錯塩水溶液を調整した。これに1g/Lの割合でゼラチンを添加し、これを電解液とし、陽極、陰極ともにDSE極板を使用し、電流密度200A/m2、溶液温度20℃で電解し、電析した銀粒子を極板から掻き落としながら1時間電解した。こうして得られた銀粉をヌッチェでろ過し、純水、アルコールの順に洗浄を行い、70℃で2時間大気雰囲気下で乾燥させた。この銀粉を乾式分級し、最終的にD50が0.3μmの銀粉を得た。
(ニッケル粉)
ニッケル粉は東邦チタニウム製のNF32(D50 0.3μm)を用いた。
Figure 2017048425
[カップリング剤水溶液の調製]
次の各種のカップリング剤を使用したカップリング剤水溶液をそれぞれ50mL調製した。
シラン:
ジアミノシランA−1120(MOMENTIVE社製)
アミノシランA−1110(MOMENTIVE社製)
エポキシシランZ−6040(東レダウコーニング社製)
ウレイドシランA−1160(MOMENTIVE社製)
チタネート:
プレインアクト KR44(味の素ファインテクノ社製)
濃度は0.2〜10vol%の範囲で調製した。また、アミノ系カップリング剤以外は希硫酸でpHを4に調整した。
各種のシランの構造式は、以下である。
ジアミノシランA−1120:
2N−C24−NH−C36−Si(OCH33
アミノシランA−1110:
2N−C36−Si(OCH33
エポキシシランZ−6040:
Figure 2017048425
ウレイドシランA−1160:
2N−CO−NH−C36−Si(OC253
(アミンの合成(A1〜A6))
以下の手順でアミン化合物(A1〜A6)を合成した。エポキシ化合物(デナコールEX−521(ナカセケムテックス株式会社製))10.0gとジエタノールアミン5.72gを三口フラスコに投入し、ドライアイス−メタノールを冷却媒体とした冷却管を用意して、60℃で3時間反応を行い、ジエタノールアミンで変性した化合物を得た。得られたジエタノールアミン化合物の構造は下記の通りである。
Figure 2017048425
同様にして、ビス(2−エトキシエチル)アミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジアリルアミン、ジメチルアミンでそれぞれ変性した化合物を得た。FT−IR、1H−NMR、13C−NMRで生成物の構造を特定した。以下、ジエタノールアミン化合物、ジメチルアミン化合物、ビス(2−エトキシエチル)アミン化合物、ジベンジルアミン化合物、ジフェニルアミン化合物、ジアリルアミン化合物をそれぞれA1〜A6と表記する。
上記合成した化合物A1〜A6の構造は、以下の式Iにおいて、n=3であり、R基がそれぞれ下記の表2の通りに置換された構造式である。
式I:
Figure 2017048425
Figure 2017048425
[例A: 実施例1〜14、17〜22、比較例1、比較例8 (工程1)]
[表面処理]
上記不均化法で得られた銅粉スラリーから上澄み液を除去し、銅粉を乾燥させることなく、調製したカップリング剤と60分間、超音波(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ/W−113)(出力100W、周波数100kHz)を照射しながら回転羽(300rpm)で撹拌した。銀粉、ニッケル粉は乾燥後の状態から同様の表面処理を行った。表面処理に供した金属粉の質量はカップリング剤水溶液50mLに対して、それぞれ20gとした。
次にこれらのカップリング剤水溶液をそれぞれアスピレーターで吸引ろ過したのち、金属粉の上に純水を加え、さらにろ過した。ろ過による洗浄は、洗浄後に金属粉の乾燥質量の1.4倍の純水を加えてろ過して得られたろ液をICP(高周波誘導結合プラズマ)分析した場合に、カップリング剤に由来するSi、Ti、Al、Zr、Ce又はSnの元素が50ppm以下の濃度となるまで行った。上記の場合、洗浄のための純水は約350mlを要した。第3級アミンとして前記合成アミン、第2級アミンとしてジイソプロパノールアミン、第1級アミンとしてリシンの水溶液をろ紙上の金属粉上にかけて、アミン水溶液をろ過した。得られた残渣を窒素雰囲気下で70℃で1時間乾燥し、乳鉢で粉砕し、表面処理された金属粉を得た。
[TMA測定]
表面処理された金属粉によって、サンプルを作製して、TMA(Thermomechanical Analyzer)を使用して、焼結開始温度を、次の条件で測定した。
サンプル作製条件
圧粉体サイズ:7mmφ×5mm高さ
成型圧力:1Ton/cm2(1000kg重/cm2
(潤滑剤として0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加)
測定条件
装置:島津製作所TMA−50
昇温:5℃/分
雰囲気:2vol%H2−N2(300cc/分)
荷重:98.0mN
このように、測定対象の表面処理された金属粉に0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加して混合し、この混合物を直径7mmの筒体に装填し、上部からポンチを押し込んで1Ton/cm2で3秒保持する加圧を付与し、高さ約5mm相当の円柱状に成形した。この成形体を、軸を鉛直方向にして且つ軸方向に98.0mNの荷重を付与した条件で、昇温炉に装填し、2vol%H2−N2(300cc/分)流量中で昇温速度5℃/分、測定範囲:50〜1000℃に連続的に昇温してゆき、成形体の高さ変化(膨張・収縮の変化)を自動記録した。成形体の高さ変化(収縮)が始まり、その収縮率が1%に達したところの温度を「焼結開始温度」とした。得られた焼結開始温度(℃)を表1に示す。
(アミンの定量)
表面処理された金属粉の表面のアミンの定量方法は、例えば、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)であれば、アミンの分子量、分子構造が同定されるので、ダイレクトに定量できる。一方、液体クロマトグラフィーであっても、間接的に定量が可能である。本発明でのアミンの定量は後者で行った。
まず、表面処理された金属粉10gをHNO3(2重量%)とHCl(5重量%)を混合した溶液に溶解し、その溶液中のカップリング剤の中心元素(Si、Al、Ti等)をICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SFC−3100)にて定量した。これから、カップリング剤の分子量を使って、表面処理された金属粉10gに吸着していたカップリング剤の物質量を求めた。次に、表面処理された金属粉10gを別途用意し、10wt%水酸化ナトリウム水溶液100mL中に30分浸漬させた。これをろ過して金属粉を取り除いて得られた液を、pH5〜10に調整して、液体クロマトグラフィーでアミンの質量を定量した。これから、アミンの分子量を使って、表面処理された金属粉10gに吸着していたカップリング剤の物質量を求めた。両者の物質量の比(非カップリング剤アミン/カップリング剤)を表1に示す。
[例B: 実施例15 (工程2)]
例Aの手順でカップリング剤水溶液と金属粉を混合し、吸引ろ過、水洗後にろ紙上に残った金属粉を、合成アミンの水溶液と混合した。このスラリーから吸引ろ過で金属粉を回収し、例Aの手順で表面処理された金属粉を得た。
[例C: 実施例16 (工程3)]
カップリング剤とアミンを含む水溶液と金属粉を混合し、吸引ろ過、水洗後にろ紙上に残った金属粉を、例Aの手順で水洗し、手順で表面処理された金属粉を得た。
[例D: 比較例2、3、9、10]
例Aの手順でカップリング剤水溶液と金属粉を混合し、吸引ろ過で水溶液を除去し、ろ紙上の金属粉を水洗して、表面処理された金属粉を得た。
[例E: 比較例4〜6 (工程1)]
カップリング剤水溶液と金属粉を混合して、吸引ろ過を行った。その後、水洗は行わずに、ろ紙上に残存した金属粉の上から、アミン水溶液を吸引ろ過した。得られた残渣を窒素雰囲気下で70℃で1時間乾燥し、乳鉢で粉砕し、表面処理された金属粉を得た。
[例F: 比較例7 (工程1)]
ベンゾトリアゾール水溶液(2.0g/L)100mL中に分散させ、回転羽で500rpmで10分間攪拌し、吸引ろ過をして金属粉を回収した。この上から、アミン水溶液を吸引ろ過した。得られた残渣を窒素雰囲気下で70℃で1時間乾燥し、乳鉢で粉砕し、表面処理された金属粉を得た。
[例G: ペースト評価]
金属粉濃度を80wt%、オレイン酸を1.0wt%、溶剤としてターピネオールを17wt%、バインダー樹脂としてエチルセルロースが2wt%となるように、遊星式の撹拌機で混練した後に、3本ロールに通してペーストを調整した。ターピネオールの17wt%のうち、10wt%は樹脂との混合物(ビークル)として使用した。
得られたペーストをPETフィルム上にスクリーン印刷し、大気中で120℃で10分乾燥させ、乾燥塗膜を得た。基材であるPETの重量、厚みを考慮して、電子天秤とマイクロメーターを使って、塗膜密度を算出した。得られた塗膜密度(g/cm3)を表1に示す。
[例H: 焼成試験]
例Gで得られたペーストをアルミナ基板上にスクリーン印刷し、窒素中で、850℃、30分で焼成した。焼成膜をSEMで観察し、下地が露出しているかを確認した。下地が露出していれば、金属粉ペーストとアルミナ基板との収縮挙動が合っていないので、高温焼成用途としてはこの金属粉ペーストは不適であると言える。焼成膜の下地である基材の露出のありなしの評価結果を、表1に示す。
(結果)
実施例1、1−aおよび比較例2の対比から、カップリング剤に対してアミンの量が不十分だと、塗膜密度が低くなることがわかった。ペースト中で金属粉が凝集していたためと考えられる。表1には記載していないが、非カップリング剤アミン/カップリング剤の比が2.03を上回っても、塗膜密度の向上は認められなかった。
実施例1、15、16、比較例2からアミン処理の工程によらず、カップリング剤処理に加えて、アミン処理を行うと、分散性は向上すると言える。また、表1には記載していないが、ジエタノールアミン化合物以外のアミン化合物でも、比較例2と比べると、例B、Cの手順で処理した金属粉のペースト塗膜密度は向上した。
実施例2〜9、17〜22、比較例2、3、9、10から、非カップリング剤アミンによって塗膜密度が向上すると言える。これはペースト中で、金属粉の凝集が抑制されたためだと推定される。
実施例15、16から、吸着工程によらず、非カップリング剤アミンは塗膜密度の向上に寄与すると言える。
また、下地基材の露出がなく電極を形成できた比較例1〜6、9、10は、実施例と比べると、光沢に劣っていた。これは金属粉が凝集しているので、塗膜表面が粗くなり、焼成した電極の表面も粗くなったためだと考えられる。このような凹凸がある電極は積層製品には適さないと言える。
本発明によれば、焼結遅延性と同時に、ペースト中での分散性に優れた、表面処理された金属粉を得ることができる。本発明は産業上有用な発明である。

Claims (14)

  1. Al、Si、Ti、Zr、Ce及びSnからなる群から選択された1種の元素の金属粉1gに対する付着量をx(μg)、焼結開始温度をy(℃)としたとき、次の式:
    50≦x≦1500
    y≧0.2x+600
    を満たし、
    第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれか2種以上が吸着している、表面処理された金属粉。
  2. 表面処理された金属粉の平均粒径D50が0.05〜1μmである、請求項1に記載の表面処理された金属粉。
  3. 金属粉の金属が、Ag、Pd、Pt、Ni、及びCuからなる群から選択された1種の金属である、請求項1〜2のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
  4. Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素が、Al、Si、及びTiからなる群から選択された1種の元素である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
  5. Al、Si、Ti、Zr、Ce、及びSnからなる群から選択された1種の元素が、アミノ基を有するカップリング剤による処理によって、金属粉の表面に吸着されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
  6. アミノ基を有するカップリング剤が、アミノシラン、アミノ含有チタネート、アミノ含有アルミネートからなる群から選択されたカップリング剤である、請求項5に記載の表面処理された金属粉。
  7. アミノ基を有するカップリング剤が、中心原子であるAl、Ti、又はSiに配位する分子鎖の末端にアミノ基を有する、アミノシラン、アミノ含有チタネート、又はアミノ含有アルミネートである、請求項6に記載の表面処理された金属粉。
  8. アミンが、非カップリング剤とアミノカップリング剤であり、
    非カップリング剤/アミノカップリング剤がモル比で0.1〜3.0で紛体表面に付着している、請求項5〜7のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
  9. 非カップリング剤が第1〜3級アミンで、
    第1〜3級アミンがカップリング剤の吸着層を覆っている、
    請求項8に記載の表面処理された金属粉。
  10. 第3級アミンが、以下の基:
    −CH(OH)−CH2−NR12
    (ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
    C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
    を1個以上有するアミン化合物である、
    請求項9に記載の表面処理された金属粉。
  11. 第3級アミンが、次の式I:
    Figure 2017048425
    (ただし、式中、nは、1〜8の整数であり、
    R基は、以下のいずれかの基である:
    −NR12
    (ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
    C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
    で表されるアミン化合物である、請求項9〜10のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
  12. 金属粉の金属が、Ag、Pd、Pt、Ni、及びCuからなる群から選択された1種の金属である、請求項1〜11のいずれかに記載の表面処理された金属粉。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の、表面処理された金属粉を使用して製造された導電性ペースト。
  14. 金属粉を、アミノ基を有するカップリング剤の水溶液と混合して、金属粉分散液を調製する工程、
    金属粉分散液から金属粉を、残渣として回収する工程、
    残渣として回収された金属粉を、水性溶媒によって洗浄する工程、
    洗浄された金属粉を、アミン水溶液に接触させて、アミン水溶液処理された金属粉を得る工程、
    を含む、表面処理された金属粉を製造する方法。
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