JPWO2014163061A1 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板、及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板、及び磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明はHDIセンサを用いた場合であってもヘッドクラッシュを引き起こし得る異物欠陥を低減できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。本発明は、ガラス基板の表面にコロイダルシリカを含む研磨液と研磨パッドを接触させてガラス基板表面を鏡面研磨する研磨処理を含む。研磨液として、ガラス基板が磁気ディスクとなされて磁気ヘッドで記録再生される際に、記録再生を阻害し得るAl、Si及びOの各元素を含有する異物を含有しない研磨液を選択し、この研磨液を利用して研磨処理を行う。

Description

本発明は、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と略称する。)等の磁気記録装置に搭載される磁気ディスクに用いられる磁気ディスク用ガラス基板およびその製造方法に関する。
HDD等の磁気記録装置に搭載される情報記録媒体の一つとして磁気ディスクがある。磁気ディスクは、基板上に磁性層等の薄膜を形成して構成されたものであり、その基板として従来はアルミ基板が用いられてきた。しかし、最近では、高記録密度化の追求に呼応して、アルミ基板と比べて磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔をより狭くすることが可能なガラス基板の占める比率が次第に高くなってきている。また、ガラス基板表面は磁気ヘッドの浮上高さを極力下げることができるように、高精度に研磨して高記録密度化を実現している。近年、HDDの更なる大記録容量化、低価格化の要求は増すばかりであり、これを実現するためには、磁気ディスク用ガラス基板においても更なる高品質化、低コスト化が必要になってきている。
上述したように高記録密度化にとって必要な低フライングハイト(浮上量)化のために磁気ディスク表面の高い平滑性は必要不可欠である。磁気ディスク表面の高い平滑性を得るためには、結局、高い平滑性の基板表面が求められるため、高精度にガラス基板表面を研磨する必要がある。
従来のガラス基板の研磨方法は、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等のポリシャの研磨パッドを用いて行っている。高い平滑性を有するガラス基板は、たとえば酸化セリウム系研磨材を用いて研磨した後、さらにコロイダルシリカ砥粒を用いた仕上げ研磨(鏡面研磨)によって得ることが可能である。
ここで例えば、特許文献1には、基板の表面欠陥の形状及び個数が管理されて、フライングハイトが非常に小さい磁気ヘッドが搭載されたHDDにおける不具合の発生を抑えることができる磁気ディスク用ガラス基板が記載されている。
国際公開第2010/001843号
現在のHDDにおいては、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクにディスク1枚あたり320ギガバイト程度の情報を収納することが可能になっているが、更なる高記録密度化、例えば750ギガバイト、更には1テラバイトの実現が要求されるようになってきている。このような近年のHDDの大容量化の要求に伴い、基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきている。上記のような例えば750ギガバイトの磁気ディスク向けの次世代基板においては、HDDの信頼性に与える基板の影響が大きくなるので、基板表面の粗さだけでなく、異物欠陥等の表面欠陥が存在しないことについても現行品からの更なる改善が求められる。
次世代基板においてはHDDの信頼性に与える基板の影響が大きくなるのは以下のような理由による。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい領域に信号を書き込むことや、より小さい磁性粒子の信号を拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、DFH(Dynamic Flying Height)制御という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、スライダーの浮上量を下げるのではなく、磁気ヘッドの記録再生素子部近傍に内蔵したヒーター等の加熱部の熱膨張を利用して、記録再生素子部のみを媒体表面方向に向けて突き出す(近づける)機能である。今後、このDFH機能によって、磁気ヘッドの素子部と媒体表面との間隙は、2nm未満と極めて小さくなると見られている。このような状況下で、基板表面の平均粗さを極めて小さくしたところで、従来問題とならなかった異物欠陥等の表面欠陥が存在すると、突き出した磁気ヘッドの記録再生素子部が異物欠陥と衝突し、このような磁気ヘッドと異物欠陥との衝突が度重なると磁気ヘッドの駆動に影響を及ぼすようになり、素子の劣化による読み取り不良という重大な故障を引き起こすことになる可能性がある。
ところで、上記特許文献1には、DFH機能を備えた磁気ヘッド(以下、単に「DFHヘッド」と呼ぶ。)のようにフライングハイトが非常に小さい磁気ヘッドで影響を及ぼすと思われる欠陥として、凸領域がブロードである凸状異物欠陥が挙げられている。このような凸領域がブロードである欠陥は、例えば凸領域がシャープである欠陥と比べると、磁気ヘッドと接触する面積が相対的に大きく、磁気ヘッドに対して大きな衝突エネルギーが加わるために、結果として磁気ヘッドがクラッシュしてしまう虞がある。
近年、上記特許文献1に記載されたような凸領域がブロードである欠陥が存在することによるDFHヘッドのクラッシュを防止し得る技術として、HDI(Head Disk Interface)センサを搭載したDFHヘッドを用いる技術が提案されている。
このHDIセンサとは、謂わば接触検知センサであり、磁気ディスク表面の凸状欠陥(突起物)を検出する。HDIセンサは、例えばMR(magnetoresistive)素子からなり、サーマルアスペリティ(Thermal Asperity)現象を利用して検出を行うものである。
このHDIセンサを搭載したDFHヘッドを用いて、このHDIセンサによる磁気ディスク表面の状態を検出し、この検出結果に基づいて、磁気ディスク表面上を走査しているDFHヘッドの書込み素子および読込み素子の少なくとも一方の素子の突出し量を制御することで、磁気ディスク表面に存在する凸状欠陥と書込み・読込み素子との接触を回避することができると考えられる。要するに、HDIセンサを用いることにより、磁気ディスク表面の状態を検出できるため、上記特許文献1に記載されたような凸領域がブロードである欠陥が存在していても、DFHヘッドがこの欠陥を通過する前に、書込み・読込み素子の突出し量を制御して、これら素子と欠陥とが接触することを回避することができると考えられる。
ところが、本発明者の検討によると、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造しようとした場合、上述のHDIセンサを用いた場合であっても、予想外にヘッドクラッシュを引き起こし得る場合があることが判明した。
本発明者はこの原因についても調査したところ、今までには検出されたことのない、ある特定の欠陥が存在することにより、例えばヘッドの読取りエラーの発生頻度が増大したり、ひいては上記ヘッドクラッシュの問題が引き起こされている可能性が高いことを突き止めた。
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、上述のHDIセンサを用いたDFHヘッド対応の磁気ディスクとした場合であっても、予想外にヘッドクラッシュを引き起こし得る異物欠陥を低減させることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクの製造方法を提供することである。
本発明者は、上述のヘッドクラッシュを引き起こし得る異物欠陥の発生原因をさらに調査したところ、磁気ディスクの基板であるガラス基板の表面に異物が存在することが判明した。そして、この異物は、例えば上記特許文献1に開示されている製造方法に従って製造しても存在する場合があることが判明した。つまり、上記特許文献1で問題としているような従来の凸領域がブロードである欠陥とは発生原因の異なる異物欠陥であると考えられる。
そこで、本発明者は、この異物欠陥の発生原因についてさらに検討したところ、ガラス基板の研磨処理に用いる研磨液に上記欠陥の原因となる異物が含まれていることが判明した。従って、ガラス基板表面を研磨した後であっても、研磨液はガラス基板と接触しているため、研磨液に含まれている異物がガラス基板表面に付着し、その後の洗浄等によっても除去されずに、ガラス基板表面に存在する可能性があることを見出した。
そこで、本発明者は、上記知見に基づき、研磨液に上記欠陥の原因となる異物を含有しないように調整する、あるいは、研磨液としてこのような異物が含有されていないものを選択することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は上記目的を達成するために、以下の構成を有する。
(構成1)
HDIセンサが搭載され、記録再生素子の少なくとも一方の素子の突出し量を前記HDIセンサからの信号に基づいて制御可能なDFHヘッド対応の磁気ディスクに適用される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、コロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを接触させてガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨液は、少なくとも酸性環境下において、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物の発生を防止すべく調整されていることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成2)
HDIセンサが搭載され、記録再生素子の少なくとも一方の素子の突出し量を前記HDIセンサからの信号に基づいて制御可能なDFHヘッド対応の磁気ディスクに適用される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、コロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを接触させてガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨液として、前記ガラス基板が磁気ディスクとなされて磁気ヘッドで記録再生される際に、記録再生を阻害し得るアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物を含有しない研磨液を選択し、該選択された研磨液を利用して前記研磨処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成3)
前記異物は、層状化合物であることを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成4)
前記コロイダルシリカは、イオン交換法により製造されたものであることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成5)
前記コロイダルシリカ中のアルミニウム(Al)の含有量が5μg/g以下であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成6)
前記研磨処理の後に、洗浄前後のガラス基板の表面粗さRqの差が0.05nm以下となる条件でガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成7)
前記磁気ディスク用ガラス基板は、サーバ用のハードディスクドライブに搭載される磁気ディスクに用いられるガラス基板であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成8)
HDIセンサが搭載され、記録再生素子の少なくとも一方の素子の突出し量を前記HDIセンサからの信号に基づいて制御可能なDFHヘッド対応の磁気ディスクに適用される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、コロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを接触させてガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨液は、前記ガラス基板が磁気ディスクとなされて前記DFHヘッドで記録再生される際に、前記記録再生を阻害し得る異物の発生を防止すべく調整されていることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法.
(構成9)
構成1乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性膜を成膜することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
(構成10)
主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、前記基板の主表面を、原子間力顕微鏡を用いて1μm×1μm角の測定領域を256×256ピクセルの解像度で測定したときの算術平均粗さRaが0.15nm以下であり、かつ、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下であり、前記基板の主表面に対して、波長405nm、パワー80mWのレーザ光を6μmのスポット径で照射して前記基板の主表面からの散乱光により異物を検出した際に、面内方向の大きさが30〜200nmの欠陥が一つの主表面当たり30個以下であり、かつ、検出された欠陥の中には層状化合物が含まれない、ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
本発明の上記構成とすることで、HDIセンサを用いた場合であっても、ヘッドクラッシュを引き起こし得る異物欠陥を低減させることができる高品質の磁気ディスク用ガラス基板を製造することが可能である。
また、本発明の上記構成とすることで、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造するのに好適な高品質の磁気ディスク用ガラス基板を製造することが可能である。
本発明に関わる異物の形状の一例を示す平面図(a)とその異物の断面形状を示す図(b)である。 両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、粗研削工程(粗ラッピング工程)、形状加工工程、精研削工程(精ラッピング工程)、端面研磨工程、主表面研磨工程(第1研磨工程、第2研磨工程)、化学強化工程、等を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。次に、この成型したガラス基板の主表面に対して寸法精度及び形状精度を向上させるための研削(ラッピング)を行う。この研削工程は、通常両面ラッピング装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
この研削工程の終了後は、形状加工工程、端面研磨工程を経た後、高精度な平面を得るための鏡面研磨加工を行う。ガラス基板の鏡面研磨方法としては、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等の研磨パッドを用いて行うのが好適である。
ここで、本発明における第1の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施の形態は、上記構成1にあるように、ガラス基板の表面に、コロイダルシリカを含む研磨液と、研磨パッドとを接触させてガラス基板表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨液は、少なくとも酸性環境下において、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物の発生を防止すべく調整されている構成としたものである。
前にも述べたように、本発明者の検討によると、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造しようとした場合、HDIセンサを用いてヘッドの記録再生素子と磁気ディスクとのクリアランスを高精度に制御しても、予想外にヘッドクラッシュを引き起こし得る場合があることが判明した。
本発明者は、今までには検出されたことのない、ある特定の形状等の欠陥が存在することにより、上記ヘッドクラッシュの問題が引き起こされている可能性が高いことを突き止め、上記ヘッドクラッシュを引き起こし得る異物欠陥の発生原因をさらに調査したところ、磁気ディスクの基板であるガラス基板の表面に異物が存在することが判明した。そして、この異物は、前記特許文献1に開示されている製造方法に従って製造しても存在する場合があることが判明し、前記特許文献1で問題としているような従来の凸領域がブロードである欠陥とは発生原因の異なる異物欠陥であると考えられる。
図1は、本発明で問題としている異物の形状の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)はその異物の断面形状を示す図である。
本発明において、上記ヘッドクラッシュの問題を引き起こし得るとして問題にしているガラス基板表面に存在する異物は、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有している。
また、前記異物は、例えば、図1に示すように、厚みが小さくより平坦である。異物の平面(X−Y平面)におけるX、Yのサイズ(図1(a)参照)は、それぞれ30〜200nm程度の範囲内である。また、異物の厚みHのサイズ(図1(b)参照)は、1〜20nm程度の範囲内である。異物の厚みHのサイズに対する平面における例えばYのサイズの比(Y/H)は、5〜200程度の範囲内である。
また、上記異物の形状(平面視)は、図1(a)に一例として示したような不定形状に限らず、正方形状、長方形状、六角形状等の多角形状など、様々である。
また、上記異物の断面を断面TEMにより観察すると、厚み方向に多数の薄層が重なった層構造が観察され、端部は比較的急峻に立ち上がっている。
本発明者は、このような異物の構造、組成についても分析した結果、層状結晶性異物であり、具体的には、層状粘土鉱物(層状ケイ酸塩)異物(例えばモンモリロナイト、サポナイト、カオリナイトなど)等である。
このような特定の形状等の異物が表面に存在するガラス基板を用いて作製した磁気ディスクにおいて、DFHヘッドで記録再生される際に、HDIセンサを用いてヘッドの記録再生素子と磁気ディスクとのクリアランスを高精度に制御しても、素子の劣化を引き起こし得る場合がある理由としては、この形状のため、HDIセンサの追従が遅れるためセンサ先端が欠陥に衝突するためと推測される。
このような異物欠陥は従来のDFHヘッドでは問題とならなかった、あるいは検出できなかったが、HDIセンサ付きDFHヘッドとなったことでディスク表面との間隙が1nm以下となり初めて課題(突き出し素子部の磨耗)として認識されたものである。
HDIセンサは、DFH素子部とディスク表面との間の距離の変化に起因する温度変化を捉えることができ、ここで得られた信号を、DFH突き出し量を制御する電流値にフィードバックすることで、ほぼリアルタイムな突き出し量制御を可能としており、それゆえヘッドとディスク表面の間隙を1nm以下にまで減らすことができる。しかし、本発明で問題としている異物は上記のような特定の形状であるため、HDIセンサの信号の立ち上がりが急峻であるため、DFH素子部へのフィードバックが間に合わず、DFH素子部が異物に接触して磨耗してしまうと推察される。
本発明者は、このようなガラス基板表面上の異物欠陥の発生原因についてさらに検討したところ、ガラス基板の研磨処理に用いる研磨液に上記欠陥の原因となる異物が含まれていることが判明した。つまり、ガラス基板表面を研磨した後であっても、研磨液はガラス基板と接触しているため、研磨液に含まれている異物がガラス基板表面に付着し、その後の洗浄等によっても除去されずに、ガラス基板表面に存在する可能性があると考えられる。
層状化合物からなる異物は極めて平坦であるため、ガラス基板表面が低粗さであればあるほど、付着した場合に強い力で「密着」してしまう。また、層状化合物からなる異物は極めて小さいため、フィルタリングで完全に取り除くことは極めて困難である。
そのため、研磨中や研磨後に付着しないように予防することが非常に重要である。
そこで、本発明者は、上記知見に基づき、研磨液に上記欠陥の原因となる異物を含有しないように調整することにより、前記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明の第1の実施の形態においては、上記構成1のように、研磨処理に用いる研磨液は、少なくとも酸性環境下において、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物の発生を防止すべく調整されている構成とした。
本実施の形態においては、上述の欠陥の原因となるアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物の発生を防止すべく、研磨処理に用いる研磨液に上記異物を含有しないように調整する方法としては、例えば、研磨液に含まれる研磨砥粒であるシリカ砥粒を溶解して、当該溶解したシリカ砥粒中に含有しているアルミニウムの含有量が5μg/g以下、より好ましくは3μg/g以下であるシリカ砥粒を研磨砥粒として用いればよい。また、他の方法としては、研磨液であるスラリーを蒸発乾燥して得られる固形物に含まれるアルミニウムの量が5μg/g以下である研磨液を用いることが挙げられる。このようなシリカ砥粒、または、研磨液を用いてガラス基板の主表面を鏡面研磨することにより、研磨後のガラス基板の表面に付着している上記異物の数を低減させることができる。
また、例えば、以下の製法によって得られるAl等の不純物を含まない、または、非常に少ない高純度シリカゾルを用いて研磨砥粒を作製し、本発明の研磨液を調整することが好適である。
すなわち、Al等の不純物の含有量が例えば5μg/g以下である原料シリカ(シリカゲル)を水酸化第4アンモニウム水溶液に溶解する第1の工程と、該水酸化第4アンモニウムをイオン交換法により除去して活性ケイ酸液を調製する第2の工程と、該活性ケイ酸液をアルカリ触媒の存在下で加熱してシリカを所定の粒子径に成長させる第3の工程とによって、Al等の不純物を含まない高純度シリカゾルを製造することができる。
上記第1の工程で使用する原料シリカは、ケイ酸ナトリウムと鉱酸との反応によって得られる。ケイ酸ナトリウムとしては、市販のケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス)を使用することができる。また、鉱酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等を使用することができる。また、ケイ酸ナトリウムと鉱酸との反応時に、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ポリカルボン酸、クエン酸等のオキシカルボン酸、等のキレート剤や、さらに過酸化水素を共存させることで不純物を所定量以下に除去することができる。なお、不純物のAl等の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)を用いて測定することが可能である。
ところで、市販のケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス)から原料シリカを得る場合、上記の鉱酸処理を複数回行ったとしてもAl元素の含有量を5ppm(μg/g)以下とすることは困難であることが判明した。これは、鉱酸処理による縮合反応の際にAl元素が原料シリカの粒子の内部に取り込まれてしまうためである。内部に取り込まれたAl元素は、その後繰り返し鉱酸で処理しても除去することができない。そこで、さらに以下の粉砕処理を行った後に、Al元素の除去処理を行う。
1度目の鉱酸処理により得られた原料シリカ(以後、粗製シリカと呼ぶ)は通常50nm以上の大きさである。これを粉砕する場合、乾式粉砕を行ってもよいし、湿式粉砕を行ってもよい。粗製シリカは、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、超音波等により粉砕することができる。
次に、粉砕した粗製シリカを強酸水溶液で洗浄し、Al等の金属不純物を除去する。強酸として、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸を用いることができる。強酸のpHは1以上であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
また、金属元素を含まない酸化剤を強酸水溶液に添加してもよい。酸化剤により金属不純物の陽イオン化が促進されるため、効率よく金属不純物を除去することができる。このような酸化剤として、例えば、過酸化水素等を用いることができる。
さらに、強酸や酸化剤により陽イオン化した金属イオンがキレート錯体を形成するキレート剤を強酸水溶液に添加してもよい。キレート剤により、金属イオンのシリカへの再付着を防ぎ、より確実に除去することができる。このようなキレート剤として、例えば、N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸(HEDTA)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、グルコン酸、等を用いることができる。
その後、ろ過、水洗により強酸水溶液を除去することで、Al元素の含有量が5ppm以下の精製シリカが得られる。
なお、得られた精製シリカ中の金属不純物の含有量が5ppmより大きい場合は、上記の粉砕処理及び金属元素の除去処理を、Al元素の含有量が5ppm以下となるまで繰り返し行えばよい。また、粗製シリカを含む強酸水溶液を湿式粉砕することで、上記2つの処理を同時に行ってもよい。
このように、金属不純物の含有量が5ppmより多い粗製シリカを粉砕してから、強酸性の水溶液で洗浄することで、粗製シリカの内部に取り込まれたAl元素等の金属不純物を厳密に除去することができ、金属不純物の含有量が5ppm以下となるまで精製された精製シリカを得ることができる。そして、この精製シリカを原料シリカとすることで、以後の工程において、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する層状結晶性異物の発生を抑制することができる。
上記第1の工程では、こうして得られたAl等の不純物の含有量が例えば5μg/g以下であるシリカゲルを、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第4アンモニウム水溶液に溶解する。
上記第2の工程では、上記水酸化第4アンモニウムをイオン交換法により除去して活性ケイ酸液を調製する。つまり、シリカの溶液からシリカゾルを製造する。水酸化第4アンモニウムの除去には、作業が容易で不純物の侵入の虞がないイオン交換法を用いることが好適である。
上記第3の工程では、上記第2の工程によって得られた活性ケイ酸液をアルカリ触媒の存在下で加熱して、ケイ酸を重合し粒子成長させることにより、シリカを所定の粒子径に成長させる。ここで、アルカリ触媒としてはアンモニア、アミン等が用いられる。また、加熱温度としては、60℃〜250℃程度の範囲内で適宜設定すればよい。成長させたシリカの粒子径は使用目的によって任意であるが、例えば3〜300nmの粒子径を有するシリカゾルが得られる。
以上の工程によって得られるシリカゾルは、蒸発、濾過によって濃縮することができる。また、イオン交換法によって上記アルカリ触媒を除去することにより、実質的にシリカ以外の成分を含まないシリカゾルを得ることができる。
こうして得られるAl等の不純物を含まない高純度シリカゾルを用いて本発明の研磨液を調整することにより、上述のガラス基板表面の異物欠陥の原因となるアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物の発生を防止することができる。
本実施の形態において、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を組成するには、純水、例えば、RO水を用いることが好ましい。ここでRO水とは、RO(逆浸透圧膜)処理された純水のことである。RO処理及びDI処理(脱イオン処理)されたRO−DI水を用いると特に好ましい。RO水或いはRO−DI水は不純物、例えばアルカリ金属の含有量が極めて少ない上に、イオン含有量も少ないからである。
また、本実施の形態の鏡面研磨処理に適用される上記研磨液は、酸性域に調整されたものが好適に用いられる。例えば、酸を研磨液に添加して、酸性域(pH=1〜4の範囲)に調整された研磨液を用いてガラス基板を鏡面研磨すると、研磨レートを高くでき、また、清浄性を向上させることができる。pHは例えば1〜4の範囲内であることが好ましい。従って、上記研磨液は、少なくとも酸性環境下において、上述の異物の発生を防止すべく調整されていることが好ましい。なお、本発明においては、研磨液の液性であるpHとしては、例えばアルカリ性(例えば7<pH≦10)に調整して研磨してもよい。
研磨液に含有されるコロイダルシリカ研磨砥粒は、平均粒径が10〜50nmの範囲内ものを使用するのが研磨効率の点からは好ましい。特に、仕上げ鏡面研磨工程(後段の第2研磨工程)に用いる研磨液に含有される研磨砥粒は、表面粗さのいっそうの低減を図る観点から、平均粒径が10nm以上30nm未満のものを使用するのが好ましい。さらに好ましくは10〜20nmの範囲のものである。
なお、本発明において、上記平均粒径とは、光散乱法により測定された粒度分布における粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径(以下、「累積平均粒子径(50%径)」と呼ぶ。)を言う。本発明において、累積平均粒子径(50%径)は、具体的には、粒子径・粒度分布測定装置を用いて測定して得られる値である。
また、本発明において、上記コロイダルシリカは、イオン交換法によって製造されたものを用いることが特に好ましい。イオン交換法によって製造されたコロイダルシリカは他の方法(例えばゾルゲル法)で製造されたものと比べて密度が高い故に硬度が高く、研磨速度が優れているため特に好ましい。また、イオン交換法によって製造されたコロイダルシリカは、研磨における摩耗量も少なく、長期間使用しても研磨速度の劣化が少ないため好ましい。また、イオン交換法によって製造されたコロイダルシリカは、分散性が高いので、研磨面に微小なスクラッチが生じにくい。逆にゾルゲル法で製造したコロイダルシリカは比較的凝集しやすいため、微小なスクラッチが発生しやすい。したがって、2.5インチサイズのディスク1枚あたり750GB程度以上の超高記録密度向けの磁気ディスク用ガラス基板を高品質・高効率で製造するためには、イオン交換法で製造されたコロイダルシリカを用いることが好ましい。
なお、上記のコロイダルシリカを用いることにより、算術平均粗さRaが0.15nm以下であり、かつ、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下である磁気ディスク用ガラス基板を効率よく製造することができる。
また、研磨液中の砥粒濃度は、特に制約されないが、研磨後の表面品質及び研磨レートの観点からは、10〜30重量%の範囲とすることができる。特に、10〜20重量%の範囲が好適である。
また、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、研磨液として上述のような異物が含有されていないものを選択することである。
すなわち、本発明の第2の実施の形態は、上記構成2にあるように、ガラス基板の表面に、コロイダルシリカを含む研磨液と、研磨パッドとを接触させてガラス基板表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨液として、前記ガラス基板が磁気ディスクとなされて磁気ヘッドで記録再生される際に、記録再生を阻害し得るアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物を含有しない研磨液を選択し、該選択された研磨液を利用して前記研磨処理を行う構成としたものである。
例えば、上述の第1の実施の形態で説明したようなAl等の不純物を含まない高純度シリカゾルを用いて調整された研磨液を選択することができる。勿論、上述の第1の実施の形態で説明したような製法に限らず、他の方法で製造され、結果的にAl等の不純物を含まないシリカゾルを用いて調製された研磨液を選択してもよい、
以上の第2の実施の形態を適用し、研磨液として、ガラス基板が磁気ディスクとなされて磁気ヘッドで記録再生される際に、記録再生を阻害し得るアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物を含有しない研磨液を選択し、該選択された研磨液を利用して鏡面研磨処理を行うことにより、ガラス基板表面の上記異物による欠陥の発生を防止することができる。そして、以上の第2の実施の形態を適用して得られたガラス基板を利用して製造される磁気ディスクにおいては、HDIセンサを備えたDFHヘッドで記録再生される際に、ヘッドクラッシュ等の問題を低減させることができる。
上述の実施の形態の研磨処理における研磨方法は特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板と研磨パッドとを接触させ、研磨砥粒を含む研磨液を供給しながら、研磨パッドとガラス基板とを相対的に移動させて、ガラス基板の表面を鏡面状に研磨すればよい。
例えば図2は、ガラス基板の鏡面研磨工程に用いることができる遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。図2に示す両面研磨装置は、太陽歯車2と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車3と、太陽歯車2及び内歯歯車3に噛み合い、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じて公転及び自転するキャリア4と、このキャリア4に保持された被研磨加工物1を挟持可能な研磨パッド7がそれぞれ貼着された上定盤5及び下定盤6と、上定盤5と下定盤6との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
このような両面研磨装置によって、研磨加工時には、キャリア4に保持された被研磨加工物1、即ちガラス基板を上定盤5及び下定盤6とで挟持するとともに、上下定盤5,6の研磨パッド7と被研磨加工物1との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じてキャリア4が公転及び自転しながら、被研磨加工物1の上下両面が研磨加工される。
なお、加える荷重(加工面圧力)は、75〜150gf/cmの範囲内が好適である。
上記荷重が、75gf/cmよりも低いと、ガラス基板の加工性(研磨速度)が低下するために好ましくない。また、150gf/cmよりも高い場合には、ガラス基板表面にスクラッチ等の傷が発生する場合があるため好ましくない。
特に仕上げ鏡面研磨用の研磨パッドとしては、軟質ポリッシャの研磨パッド(スウェードパッド)であることが好ましい。研磨パッドの硬度はアスカーC硬度で、60以上90以下とすることが好適である。研磨パッドのガラス基板との当接面は、発泡ポアが開口した発泡樹脂、取り分け発泡ポリウレタンとすることが好ましい。このようにして研磨を行うと、ガラス基板の表面を平滑な鏡面状に研磨することができる。
また、前記磁気ディスク用ガラス基板を製造するためには、複数回の研磨処理を行うことが多い。例えば、前記ラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程と、この第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、ガラス基板主表面の表面粗さを平滑な鏡面に仕上げる第2研磨工程(鏡面研磨)の2段階を経て行われることがある(なお、3段階以上の多段階研磨を行うこともある)。この場合、少なくとも後段の第2研磨工程は、上述の第1あるいは第2の実施の形態による研磨液を適用することが好適である。
また、本発明においては、ガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、SiO2を主成分とし、さらにアルミナを含むアルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。このようなガラスを用いたガラス基板は表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また加工後の強度が良好である。また、化学強化によってさらに強度を上げることもできる。
また、上記ガラスは、結晶化ガラスであってもよく、アモルファスガラスであってもよい。アモルファスガラスとすることで、ガラス基板としたときの主表面の表面粗さをより一層下げることができる。
このようなアルミノシリケートガラスとしては、SiO2が58重量%以上75重量%以下、Al23が5重量%以上23重量%以下、Li2Oが3重量%以上10重量%以下、Na2Oが4重量%以上13重量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いることができる。さらに、例えば、アルカリ土類金属の酸化物が5重量%以上であって、SiO2 を62重量%以上75重量%以下、Al23 を5重量%以上15重量%以下、Li2Oを4重量%以上10重量%以下、Na2 Oを4重量%以上12重量%以下、ZrO2 を5.5重量%以上15重量%以下、主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5以上2.0以下、Al23 /ZrO2 の重量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとすることができる。
また、次世代基板(例えば熱アシスト磁気記録方式に適用される磁気ディスクに用いられる基板)の特性として耐熱性を求められる場合もある。この場合の耐熱性ガラスとしては、例えば、アルカリ土類金属の酸化物が5重量%以上であって、以下はモル%表示にて、SiOを50〜75%、Alを0〜6%、BaOを0〜2%、LiOを0〜3%、ZnOを0〜5%、NaOおよびKOを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、ZrO、TiO、La、Y、Yb、Ta、NbおよびHfOを合計で2〜9%、含み、モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、且つモル比[Al/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスを好ましく用いることができる。
本発明においては、上記鏡面研磨加工後(上記研磨処理後)のガラス基板の表面は、算術平均表面粗さRaが0.15nm以下、特に0.10nm以下である鏡面とされることが好ましい。更に、最大粗さRmaxが1.5nm以下である鏡面とされることが好ましい。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を256×256ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
また、本実施の形態は、特に、鏡面研磨加工後に、洗浄前後のガラス基板の表面粗さRq(二乗平均平方根粗さ)の差が0.05nm以下となる条件でガラス基板を洗浄する場合に適用されることが特に好ましい。
上記のような条件での洗浄は、鏡面研磨加工によって形成されたガラス基板の主表面の粗さを増大させないために特に有効である。しかし、その一方で、洗浄力が弱いために、上記鏡面研磨加工後に付着した異物を除去することが、従来の洗浄(基板表面粗さを悪化させる洗浄)に比べて困難である。このような洗浄を用いた場合であっても、本実施の形態にかかる鏡面研磨加工を行うことにより、上記異物を抑制でき、かつ、ガラス基板の表面粗さを低減させることができる。
つまり、主表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.15nm以下の磁気ディスク用ガラス基板を得るためには、本発明にかかる研磨液を用いて鏡面研磨処理を行い、かつ、鏡面研磨処理後の洗浄処理では、浄前後のガラス基板の表面粗さRqの差が0.05nm以下となる洗浄条件を適用することがより好ましい。
本発明においては、鏡面研磨加工工程の前または後に、化学強化処理を施すことが好ましい。化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上400度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス基板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス基板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス基板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス基板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化処理されたガラス基板は耐衝撃性に優れているので、例えばモバイル用途のHDDに搭載するのに特に好ましい。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸を好ましく用いることができる。
また、ガラス基板主表面の表面粗さを平滑な鏡面に仕上げる第2研磨工程の後に、第2研磨工程で使用した研磨装置と同じ研磨装置を用いて、ガラス基板と研磨パッドとの間に、砥粒を含まない或いは砥粒濃度の第2研磨工程と比べて少ない処理液(リンス液)を供給することでガラス基板の主表面を洗浄処理するリンス処理を行ってもよい。このリンス処理をすることによって、第2研磨工程後に主表面に付着し残留している砥粒(コロイダルシリカの砥粒)の数を減らすことができ、最終的に磁気ディスク用ガラス基板の品質を高めることができる。
上記処理液には、砥粒を全く含まない、或いはコロイダルシリカ等の砥粒を3重量%以下、好ましくは1重量%以下の濃度で含有する。処理液に砥粒を含有する場合、平均粒径が10nm以上30nm未満のものを使用するのが好ましい。さらに好ましくは10〜20nm程度のものを使用するのが好ましい。なお、上記処理液に砥粒を含有させる場合、当該砥粒に含まれるAl等の不純物の含有量が例えば5μg/g以下である研磨砥粒を用いることが特に好ましい。
また、本発明は、磁気ディスク用ガラス基板についても提供する。すなわち、主表面が鏡面であり、かつ、層状化合物の異物が含まれない磁気ディスク用ガラス基板を提供する。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、具体的には、主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、前記基板の主表面を、原子間力顕微鏡を用いて1μm×1μm角の測定領域を256×256ピクセルの解像度で測定したときの算術平均粗さRaが0.15nm以下であり、かつ、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下であり、前記基板の主表面に対して、波長405nm、パワー80mWのレーザ光を6μmのスポット径で照射して前記基板の主表面からの散乱光により異物を検出した際に、面内方向の大きさが30〜200nmの欠陥が一つの主表面当たり30個以下であり、かつ、検出された欠陥の中には層状化合物が含まれない、ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板である。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、主表面の平滑性が極めて高く、Raが0.15nm以下であり、かつ、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下であるので、本来であれば、シリカスラリに含まれる平坦な層状異物が一度付着すると強固に付着してしまい、その後の洗浄で容易に取れない状態となりやすい。しかし、本発明の磁気ディスク用ガラス基板は、主表面の粗さが小さいとともに層状異物がなく、DFH素子部と磁気ディスク表面との間隙が1nm以下であっても長期信頼性のある磁気ディスク用ガラス基板を得ることができる。このような本発明の磁気ディスク用ガラス基板を得るためには、上述したような本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法が好適である。
なお、上記レーザ光の照射領域(測定領域)は、例えば基板主表面の半径15〜31.5mm(すなわち約24.09cm)を測定することが好適である。
また、検出された異物が層状であることは、例えば断面TEMにて判断することが可能である。検出された異物のサイズは、例えばレーザ式の欠陥検査装置で位置を特定した後、TEM、SEM、AFM等でサイズを特定することが可能である。
また、主表面の30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaについては、以下のようにして算出することができる。
先ず磁気ディスク用ガラス基板の主表面の所定サイズの領域を極小の一定間隔で(例えば、1μm×1μmの領域内を512×512の区画に区分して)AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、表面性状の3次元データを測定する。次に、測定された3次元データに対して2次元フーリエ変換を行い、2次元画像を得る。そして、得られた2次元画像から30〜200nmの波長成分を抽出する(つまり、バンドパスフィルタ処理を行う)。最後に、抽出した波長成分の2次元画像に対して逆フーリエ変換を施して3次元データ(30〜200nmの波長成分のみの3次元データ)を生成し、この3次元データから算術平均粗さRaを算出する。
なお、層状異物の吸着しやすさとの相関がある波長帯域を調査するため、波長帯域の上限及び下限を種々変更して調査したところ、30〜200nmにおいて最も相関が高くなることが判明した。なお、例えば最小波長は、最小測定分解能(1000(nm)÷512)の2倍となるので、約4nmである。30〜200nmの波長帯域の粗さが低い場合、層状異物サイズと同等サイズであるため、層状異物が吸着しやすくなると考えられる。
本発明によって製造される磁気ディスク用ガラス基板は、上述のとおり、DFH型磁気ヘッドを備えるHDDに搭載される磁気ディスクに用いられるガラス基板に好適である。
また、本発明によって製造される磁気ディスク用ガラス基板は、特に長時間の連続稼動に対する高信頼性に加えて、高速データ転送や高速アクセスなど高性能を要求されるサーバ用のHDDに搭載される磁気ディスクに用いられるガラス基板に好適である。
また、以上の磁気ディスク用ガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法についても説明する。磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁性層を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。例えば,Cr系合金など立方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面に沿って配向させることができる。この場合、面内磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。また、例えば、RuやTiを含む六方晶系下地層を用いることにより、例えば磁性層の磁化容易方向を磁気ディスク面の法線に沿って配向させることができる。この場合、垂直磁気記録方式の磁気ディスクが製造される。下地層は磁性層同様にスパッタリング法により形成することができる。
また、磁性層の上に、保護層、潤滑層をこの順に形成するとよい。保護層としてはアモルファスの水素化炭素系保護層が好適である。例えばプラズマCVD法により保護層を形成することができる。また、潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖の末端に官能基を有する潤滑剤を用いることができる。取り分け、極性官能基として水酸基を末端に備えるパーフルオロポリエーテル化合物を主成分とすることが好ましい。潤滑層はディップ法により塗布形成することができる。
本発明によって得られるガラス基板を利用することにより、HDIセンサを備えたDFHヘッドによる記録再生を行っても、ヘッドクラッシュ等の問題が起こらず、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。それゆえ、例えば500ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造するのに好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。
次いで、このガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用いて行った。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)精ラッピング工程
この精ラッピング工程は両面ラッピング装置を用いた。
(4)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を洗浄した。
(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)
次に、第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウムを研磨剤として分散したものとした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
(6)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(アスカーC硬度で75の発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカ(平均粒径(D50)30nm)を水に分散させたものを使用した。研磨液のpHは2となるように調整した。そして、荷重100g/cm、研磨取代を5μmとした。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。なお、洗浄前後のガラス基板の表面粗さRqの差が0.05nm以下となる条件でガラス基板の洗浄処理を行った。
なお、上記コロイダルシリカは、前述の第1の実施の形態において説明した不純物を含まない高純度のシリカゾルの製法に従って製造した。また、上記研磨液を蒸発乾燥して得られた固形物をICP−AESを用いて分析した結果、Alは検出されなかった。また、研磨スラリをフィルタリングしてスラリ中の異物を確認したところ、層状異物は確認されなかった。つまり、上記研磨液には、本発明で問題としているAl、Si、Oを含有する異物は含まれていない。
上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Rmax=1.43nm、Ra=0.13nmと超平滑な表面を持つガラス基板を得た。また、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaは0.06nm以下であった。また、そのガラス基板の表面を目視及び光学式表面分析装置で測定し、見つかった欠陥をSEM及びAFMで分析したところ、鏡面状であり、本発明で問題としている例えば図1に示すような層状異物は発見されなかった。
また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
こうして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
(実施例2)
上記コロイダルシリカとして、Alの含有量が3μg/gのものを使用した以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。なお、Al含有量は、コロイダルシリカスラリーを蒸発乾燥して得られる固形物に含まれるAlの含有量である。
(実施例3)
上記コロイダルシリカとして、Alの含有量が5μg/gのものを使用した以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
(比較例1)
上記実施例1の第2研磨工程において、従来公知の製法に従ってイオン交換法により製造されたコロイダルシリカを用いて調製された研磨液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして第2研磨工程を行った。そして、第2研磨工程以外は実施例1と同様とした。なお、上記の従来公知の製法に従って製造されたコロイダルシリカはAlの含有量が50μg/gのものであった。
(比較例2)
上記実施例1の第2研磨工程において、平均粒径80nmの従来公知の製法に従ってイオン交換法により製造されたコロイダルシリカを用いて調製された研磨液を使用したこと以外は、比較例1と同様にして第2研磨工程を行った。そして、第2研磨工程以外は実施例1と同様とした。
上記工程を経て得られたガラス基板の表面を上記と同様に光学式表面分析装置で分析したところ、本発明で問題としている層状異物が多数発見された。そして、発見された層状異物を分析した結果、Al、Si、Oを含有する異物であることが確認された。一方で、実施例1〜3にかかるガラス基板の表面には、上記層状異物は確認できなかった。
(参考例1)
上記コロイダルシリカとして、Alの含有量が7μg/gのものを使用した以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
(参考例2)
上記コロイダルシリカとして、Alの含有量が10μg/gのものを使用した以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
上記参考例1、2で得られたガラス基板についても、表面を光学式表面分析装置で分析し、Al、Si,Oを含有する層状異物の数を分析した。
上記実施例1〜3、比較例1、2、参考例1、2で得られた各ガラス基板における層状異物の数については、纏めて下記表1に示した。
なお、上記実施例1〜3、比較例1、参考例1、2で得られた各ガラス基板は、いずれも、基板の主表面を、原子間力顕微鏡を用いて1μm×1μm角の測定領域を256×256ピクセルの解像度で測定したときの算術平均粗さRaが0.15nm以下であり、かつ、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下に仕上がっていたが、比較例2のガラス基板では、使用したコロイダルシリカの粒径が大きく、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaは0.08nmであった。
また、上記実施例1〜3、比較例1、2、参考例1、2で得られた各磁気ディスク用ガラス基板にそれぞれ以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、HDIセンサを備えたDFHヘッドを搭載したドライブにて長期信頼性試験(80℃、80%RHの恒温槽内で、DFHで突き出した素子部と磁気ディスクとの間の距離を1nmに設定し、最内周と最外周の間の連続シーク動作を24時間続ける)を行った。その結果についても、下記表1に示した。
Figure 2014163061
比較例1と比較例2の対比では、比較例2の方が層状異物の数が低減した。これは、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下の表面において、層状異物がより固着し易いからであると考えられる。
また、比較例1、2、参考例1、2のガラス基板では、実施例1と同じ条件の洗浄処理では層状異物が除去されなかったため、アルカリ度の高い条件で洗浄処理を行ったところ、層状異物は除去されたが、洗浄後の基板表面の粗さが大きく劣化してしまった。
また、上記表1の結果、実施例1〜3のガラス基板を用いた磁気ディスクにおいては、記録再生素子の劣化も起こらず良好な結果が得られた。一方、比較例1のガラス基板を用いた磁気ディスクでは、途中で記録再生素子の劣化が発生した。また、シリカ中のAlの含有量が5μg/gよりも多いコロイダルシリカを用いて研磨処理を行い、得られた参考例1、2のガラス基板を用いた磁気ディスクにおいても、途中で記録再生素子の劣化が発生した。
なお、ここで、記録再生素子の劣化とは、具体的には素子部の磨耗のことである。素子部が磨耗すると、磨耗前と比べてDFHによる突き出し量が小さくなるので、SNR等の記録再生性能が劣化してしまう。また、磨耗した部分から腐食が進行し、記録再生ができなくなることもある。そのため、磁気信号の記録や再生を長期的に安定して行うことができなくなる。
記録再生素子の劣化の判定は、具体的には、試験前後に、DFHのタッチダウンパワーの値を測定し、両者の値と比較して、試験後の値の方が大きい場合に劣化ありとした。タッチダウンパワーの値が大きいほど、素子部の突き出し量が大きくなるので、長期信頼性試験の間に素子部が磨耗したことがわかる。
1 ガラス基板
2 太陽歯車
3 内歯歯車
4 キャリア
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド

Claims (10)

  1. HDIセンサが搭載され、記録再生素子の少なくとも一方の素子の突出し量を前記HDIセンサからの信号に基づいて制御可能なDFHヘッド対応の磁気ディスクに適用される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、コロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを接触させてガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨液は、少なくとも酸性環境下において、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物の発生を防止すべく調整されていることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. HDIセンサが搭載され、記録再生素子の少なくとも一方の素子の突出し量を前記HDIセンサからの信号に基づいて制御可能なDFHヘッド対応の磁気ディスクに適用される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、コロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを接触させてガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨液として、前記ガラス基板が磁気ディスクとなされて磁気ヘッドで記録再生される際に、記録再生を阻害し得るアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及び酸素(O)の各元素を含有する異物を含有しない研磨液を選択し、該選択された研磨液を利用して前記研磨処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記異物は、層状化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記コロイダルシリカは、イオン交換法により製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記コロイダルシリカ中のアルミニウム(Al)の含有量が5μg/g以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記研磨処理の後に、洗浄前後のガラス基板の表面粗さRqの差が0.05nm以下となる条件でガラス基板の洗浄処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記磁気ディスク用ガラス基板は、サーバ用のハードディスクドライブに搭載される磁気ディスクに用いられるガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  8. HDIセンサが搭載され、記録再生素子の少なくとも一方の素子の突出し量を前記HDIセンサからの信号に基づいて制御可能なDFHヘッド対応の磁気ディスクに適用される磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、コロイダルシリカを含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを接触させてガラス基板の主表面を鏡面研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記研磨液は、前記ガラス基板が磁気ディスクとなされて前記DFHヘッドで記録再生される際に、前記記録再生を阻害し得る異物の発生を防止すべく調整されていることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法.
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性膜を成膜することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  10. 主表面を有する磁気ディスク用ガラス基板であって、
    前記基板の主表面を、原子間力顕微鏡を用いて1μm×1μm角の測定領域を256×256ピクセルの解像度で測定したときの算術平均粗さRaが0.15nm以下であり、かつ、30〜200nmの波長帯域の算術平均粗さRaが0.06nm以下であり、
    前記基板の主表面に対して、波長405nm、パワー80mWのレーザ光を6μmのスポット径で照射して前記基板の主表面からの散乱光により異物を検出した際に、面内方向の大きさが30〜200nmの欠陥が一つの主表面当たり30個以下であり、かつ、検出された欠陥の中には層状化合物が含まれない、ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。

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