JP6420260B2 - 磁気ディスク用基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
従来の方法としては、研磨に関しては、たとえば特許文献1には、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の窒素含有化合物及び砥粒を含有する研磨用組成物及びそれを用いた研磨方法が開示されており、特に半導体装置の製造に用いられるシリコン単結晶やアモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン基板を高い研磨速度で研磨するのに好適であることが開示されている。また、洗浄に関しては、たとえば特許文献2には、多価アミンを含有する研磨液を用いて研磨した後、基板をアルカリ(pH8〜13)洗浄する方法が開示されている。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい磁性粒子の信号も拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、従来以上の低浮上量化を実現するために、DFH(Dynamic Flying Height)という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、磁気ヘッドの記録再生素子部の近傍に極小のヒーター等の加熱部を設けて、記録再生素子部周辺のみを媒体表面方向に向けて突き出す機能である。今後、このDFH機能によって、磁気ヘッドの素子部と媒体表面との間隙は、2nm未満または1nm未満と極めて小さくなると見られている。このような状況下で、基板表面の平均粗さを極めて小さくしたところで、従来問題とならなかった極く小さな異物(例えば小さいもので主表面の面内方向の長さが10〜40nm程度)の付着等によって僅かに凸状となる程度の表面欠陥が存在すると、そのまま媒体表面においても凸状欠陥となるので、磁気ヘッドの衝突の危険性が高まる。
近年のHDDの大容量化の要求に伴う基板表面品質の向上の要求は今まで以上に厳しいものとなってきており、従来の改善手法によって基板表面品質の更なる向上を実現することには限界がある。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
円板状の基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記円板状の基板の研磨面にコロイダルシリカを研磨砥粒として含む研磨液を供給して前記円板状の基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、前記研磨液は、下記一般式Iで示される物質を添加剤として含有することを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
一般式I
R1−NH−CO−R2
(式中、R1はアルキル基または水素原子を表し、R2はアルキル基または−NH−R3を表す。R3はアルキル基を表す。R1とR2は互いに同一の基であっても異なる基であってもよい。また、R1とR2が結合して環を形成してもよい。また、R2が−NH−R3である場合、R1とR3が結合して環を形成してもよい。)
前記一般式Iで示される物質の分子量が、500以下であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
(構成3)
前記一般式Iで示される物質は、前記一般式IにおいてR1とR2が結合して形成された環状構造、あるいはR1とR3が結合して形成された環状構造を有することを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
前記一般式Iで示される物質は、2−ピロリドン、2−ピペリドン、グリシン無水物からなる群より選ばれた1種以上の物質であることを特徴とする構成3に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
(構成5)
前記一般式Iで示される物質の研磨液中の含有量は、0.01重量%〜10重量%の範囲内であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
前記研磨液は、アルカリ性に調整されたものであることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
(構成7)
前記研磨処理は、複数の研磨処理のうち最後の研磨処理であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
前記磁気ディスク用基板は、ガラス基板であることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
(構成9)
構成1乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法により製造された磁気ディスク用基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、ガラス基板成型、研削処理、端面研磨処理、主表面研磨処理、化学強化処理、等の処理を経て製造される。なお、処理の順序は上記に限定されるものではない。
次に、この成型したガラス基板(ガラスディスク)に寸法精度及び形状精度を向上させるための研削処理を行う。この研削処理は、通常両面研削装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
コロイダルシリカ砥粒を含む研磨液を組成するには、例えば純水を用い、さらに必要な添加剤を添加して研磨液とすればよい。
研磨液のpHは、表面粗さ低減の観点から、pHが10以上であることが好ましく、より好ましくは11以上である。このように研磨液をアルカリ性に調整する場合、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを適宜添加して調整すればよい。
一般式I
R1−NH−CO−R2
式中、R1はアルキル基または水素原子を表し、R2はアルキル基または−NH−R3を表す。R3はアルキル基を表す。R1とR2は互いに同一の基であっても異なる基であってもよい。また、R1とR2が結合して環を形成してもよい。また、R2が−NH−R3である場合、R1とR3が結合して環を形成してもよい。
上記R2がアルキル基の場合は、本発明添加剤は、アミド基を有する化合物であり、上記R2が−NH−R3の場合は、本発明添加剤は、ウレア基を有する化合物である。
上記R1とR2は互いに同一の基であっても異なる基であってもよい。
また、上記R1とR2が結合して、5員環あるいは6員環などの環構造(ラクタム)を形成してもよい。また、上記R2が−NH−R3である場合、上記R1とR3が結合して、5員環あるいは6員環などの環構造を形成してもよい。
環状ラクタム系化合物としては、例えば、2−ピロリドン、2−ピペリドン、グリシン無水物などが挙げられる。
環状ウレア系化合物としては、例えば、2−イミダゾリジノン、テトラヒドロ−2−ピリミジノン、ヒダントイン、グリコールウリル、アラントインなどが挙げられる。
また、非環状構造の化合物としては、例えば、アセトアミド(R1=水素原子、R2=メチル基)、N−メチルアセトアミド(R1,R2=メチル基)、N−エチルプロピオン酸アミド(R1,R2=エチル基)、N−プロピルブチルアミド(R1,R2=プロピル基)、などが挙げられる。
上記例示化合物はあくまでも一例であって、本発明添加剤は上記例示化合物に限定されるものではない。
本発明添加剤は共役状態にあることにより安定化する。そして、非局在化した電子により、本発明添加剤におけるアミド基の水素結合性が高い。したがって、本発明添加剤は、そのアミド基の水素結合によってコロイダルシリカ砥粒表面に吸着し、コロイダルシリカ砥粒表面は本発明添加剤による適当な(つまり、ちょうど良い)付着力で覆われているものと考えられる。また、水を分散媒とした研磨処理ではガラス基板表面は常にシラノール基で覆われており、本発明添加剤のアミド基はガラス基板表面のシラノール基と水素結合を形成するために、ガラス基板表面も本発明添加剤による適当な(つまり、ちょうど良い)付着力で覆われているものと考えられる。このように、研磨処理に適用する研磨液に本発明添加剤を含有させることにより、研磨処理中は、コロイダルシリカ砥粒表面も、ガラス基板表面も本発明添加剤によって適当な付着力で覆われるため、研磨処理終了後にガラス基板表面にコロイダルシリカ砥粒が残留していてもガラス基板表面に強く付着(あるいは吸着)することを抑制できる。そして、研磨処理後に洗浄処理を行えば、ガラス基板表面に残留しているコロイダルシリカ砥粒は容易に除去されるので、従来のように砥粒が基板表面に強く吸着して、洗浄処理を行っても洗浄残りの欠陥となることを防ぐことが可能である。また、洗浄処理の際、特にエッチング力が強い条件で洗浄処理を行わなくても上記のように容易に洗浄可能であるため、洗浄処理による基板表面の粗さ上昇を抑え、精密研磨で得られた超平滑な表面粗さを維持することができる。
以上は本発明添加剤がアミド基を有する化合物である場合を説明したが、本発明添加剤がウレア基を有する化合物である場合にも同様な理由によって本発明の作用効果が得られる。
本発明添加剤は、上記の環状構造を有する場合、アミド基を有する環状ラクタム系化合物であることが好ましい。水素結合性が特に強いからである。中でも、2−ピロリドン、2−ピペリドン、グリシン無水物は、5員環または6員環であるため比較的安定性が高く、また、水に良く溶けるため特に好適である。これらは、分子量が114以下と比較的小さく拡散速度が速いことも好適な理由である。
また、本発明において、研磨液は、酸化剤を含有しないことが好ましい。本発明の添加剤と酸化剤とを両方含むと、添加剤中のアミド基やウレア基が酸化剤と反応して添加剤が分解してしまい、本発明の効果が得られない場合がある。
例えば図3は、ガラス基板の研磨処理に用いることができる遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。図3に示す両面研磨装置は、太陽歯車2と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車3と、太陽歯車2及び内歯歯車3に噛み合い、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じて公転及び自転するキャリア4と、このキャリア4に保持された被研磨加工物1を挟持可能な研磨パッド7がそれぞれ貼着された上定盤5及び下定盤6と、上定盤5と下定盤6との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
すなわち、本発明によれば、強いガラスエッチング力を有する洗浄方法(たとえばアルカリ度の高いアルカリ洗浄)を適用しない場合でも、研磨処理後の洗浄による基板表面の粗さ上昇を抑えることが可能である。
また、最終仕上げ研磨における取代は、板厚換算で0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。取代が0.1μmより少ないと表面粗さを0.20nm以下にできない場合がある。また、取代が10μmより多いと主表面の端部のRoll−off(ロール・オフ)傾向が強まり、外周側における磁気ヘッドの浮上を阻害するおそれがある。
また、研磨時に基板にかける荷重は、研磨速度と研磨品質の観点から50〜200g/cm2であることが好ましい。
また、本発明においては、キャリアに複数の基板を同時に保持させ、遊星歯車運動をさせて、複数の基板の両面を同時に研磨することが好ましい。特に、1回の研磨処理(1バッチ)では50枚以上の基板を同時に研磨処理することが好ましい。
なお、本発明は、特に磁気ディスク用ガラス基板に好適であるが、ガラス基板以外の例えばアルミニウム基板(NiP/Al)にも適用することが可能である。
また、本発明において上記表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を256×256ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
本発明によって得られる磁気ディスク用ガラス基板を用いることにより、たとえばDFH機能を搭載した低浮上量設計の磁気ヘッドと組み合わせた場合においても長期に安定した動作が可能な信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
(実施例1)
以下の(1)粗研削処理、(2)形状加工処理、(3)精研削処理、(4)端面研磨処理、(5)主表面第1研磨処理、(6)化学強化処理、(7)主表面第2研磨処理、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を含有する化学強化可能なガラスを使用した。
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
この精研削処理は両面研削装置を用い、ダイヤモンド砥粒を樹脂で固定したペレットが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させてクーラントを供給しつつ行なった。
上記精研削処理を終えたガラス基板を洗浄した。
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板を洗浄した。
次に、上述した研削処理で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨処理を前述の図3に示す両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッド7が貼り付けられた上下研磨定盤5,6の間にキャリア4により保持したガラス基板を密着させ、このキャリア4を太陽歯車2と内歯歯車3とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤5,6によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して各歯車と上下定盤をそれぞれ回転させることによって、ガラス基板が定盤5,6上で自転しながら公転して遊星歯車機構により両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャ(研磨パッド)として硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨処理を実施した。研磨液としては、酸化セリウム(平均粒径1μm)を研磨砥粒として含む中性に調整されたものを使用した。また、研磨荷重は100g/cm2、取代は板厚換算で30μmとした。研磨後の基板表面の粗さはRaで0.5nm以下であった。また、研磨後の基板表面は鏡面であった。
上記第1研磨処理を終えたガラス基板を洗浄した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した溶融塩である化学強化液中に上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス基板を洗浄した。
次いで上記の第1研磨処理で使用したものと同様の両面研磨装置を用い、ポリシャをアスカーC硬度が70の軟質ポリシャ(スウェードタイプ)の研磨パッド(発泡ポリウレタン製)に替えて第2研磨処理を実施した。この第2研磨処理は、上述した第1研磨処理で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm以下、Rmaxで2nm以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨処理である。研磨液としては、10重量%のコロイダルシリカ(平均粒径15nm)を研磨砥粒として含む研磨液中に、2−ピロリドンを1.0重量%の含有量(添加量)で含有させたものを使用した。なお、研磨液のpHは、予め硫酸を添加して酸性(pH=2)に調整した。また、研磨荷重は100g/cm2、取代は板厚換算で3μmとした。
また、得られた100枚のガラス基板から任意に選択した10枚に対して異物欠陥の評価を実施した。選択したガラス基板10枚の表裏の主表面をレーザー式の表面検査装置にて観察し、検出された表面欠陥のうち1面あたり10点ずつをSEM及びEDSで分析した。そして、シリカ砥粒の残留が原因である欠陥のカウント数に応じてレベル1〜4に分けた。すなわち、上記カウント数が1個以下の場合をレベル1、2〜3個の場合をレベル2、4〜5個の場合をレベル3、6個以上の場合をレベル4とした。レベル1が最も欠陥が少なく、レベル1〜3が合格である。レベル4はシリカ砥粒の残留が多く不合格である。なお、上記カウント数は1面あたりの平均値である。
また、本実施例の上記第2研磨処理における研磨速度は、上記本発明添加剤を研磨液に含有させなかった場合と同等であった。
上記実施例1における主表面第2研磨処理に用いた研磨液に含有させる本発明添加剤を表1に示す物質にそれぞれ替えた研磨液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12のガラス基板を作製した。
上記実施例1における主表面第2研磨処理に用いた研磨液に含有させる本発明添加剤を表1に示す物質にそれぞれ替えた研磨液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜6のガラス基板を作製した。
1.本発明の実施例によれば、研磨処理に適用する研磨液に本発明添加剤を添加剤として含有することにより、比較例に対して異物検出数を大幅に少なくすることが可能であり、異物表面欠陥を十分に低減させることができる。
また、実施例1〜8と実施例9〜12との対比から、本発明添加剤は特に環状構造を有する化合物が好ましい。
また、実施例1〜3と実施例4〜8との対比から、本発明添加剤は特に、ウレア系化合物よりも、アミド系化合物が好ましい。この理由は、ウレア基の酸素原子の電子がアミド基の酸素原子の電子よりも非局在化しにくいためと推察される。
2.これに対して、比較例1〜5では、本発明添加剤とは異なる種類の添加剤を研磨液に含有させても、洗浄後のシリカ砥粒の残留が原因である異物欠陥が多く検出された。この異物欠陥を少なくするためにはたとえばエッチング力の強いアルカリ洗浄を行う必要があり、洗浄後の基板表面の粗さ上昇が大きくなる。また、研磨液に添加剤を添加しない比較例6においても、異物欠陥が多く検出された。
上記実施例1における主表面第2研磨処理に用いた研磨液に含有させる本発明添加剤(2−ピロリドン)を表2に示す含有量(添加量)にそれぞれ変更した研磨液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13〜16のガラス基板を作製した。
上記第2研磨処理時の研磨速度を求め、その結果を纏めて以下の表2に示した。また、実施例1の結果についてもあわせて示した。なお、表2に示す研磨速度は、実施例1の研磨速度を1としたときの相対値(つまり、実施例13,14,15又は16の研磨速度/実施例1の研磨速度)である。この研磨速度の比が0.90以上あれば実用上問題はない。
上記実施例1における主表面第2研磨処理に用いた研磨液のpHを表3に示すpH(アルカリ性領域)にそれぞれ調整した研磨液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17〜19のガラス基板を作製した。なお、研磨液のpHは、予めテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを添加して調整した。
上記最終洗浄処理前後のガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)の差(ΔRa)を上記実施例1と同様にして求め、その結果を纏めて以下の表3に示した。また、実施例1の結果についてもあわせて示した。
上記主表面第2研磨処理に用いる研磨液として、10重量%のコロイダルシリカ(平均粒径15nm)を研磨砥粒として含む研磨液中に、表4に示す各添加剤を1.0重量%の含有量(添加量)で含有させたものを使用した。研磨液のpHは、予めテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを添加して全てアルカリ性(pH=12.5)に調整した。また、研磨荷重は100g/cm2、取代は板厚換算で3μmとした。
上記主表面第2研磨処理に上記のようにして調製した研磨液をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例21〜32及び比較例7〜12のガラス基板を作製した。
上記実施例1と同様にして異物欠陥評価を行い、その結果を纏めて以下の表4に示した。また、上記最終洗浄処理前後のガラス基板主表面の表面粗さの差(ΔRa)についても上記実施例1と同様にして求めた。
上記実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、CrTi系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、NiWからなるシード層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt系合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、DFHヘッドを備えたHDDに組み込み、80℃かつ80%RHの高温高湿環境下においてDFH機能を作動させつつ1ヶ月間のロードアンロード耐久性試験を行ったところ、特に障害も無く、良好な結果が得られた。なお、他の実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板を用いた場合も同様の結果が得られた。
2 太陽歯車
3 内歯歯車
4 キャリア
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド
11 基板の主表面
12,13 基板の端面
Claims (7)
- 円板状の基板を、表面に研磨パッドが配備された一対の定盤で挟み、前記円板状の基板の研磨面にコロイダルシリカを研磨砥粒として含む研磨液を供給して前記円板状の基板の主表面を研磨する研磨処理と、該研磨処理後に行う最終洗浄処理とを含む磁気ディスク用基板の製造方法であって、
前記磁気ディスク用基板はガラス基板であり、
前記研磨液は、溶媒は水であり、さらに下記一般式Iで示される物質(但し、2−ピロリドンを除く。)を添加剤として含有し、
下記一般式Iで示される物質(但し、2−ピロリドンを除く。)の研磨液中の含有量は、0.01重量%〜10重量%の範囲内であり、
前記研磨液は、pHが10以上のアルカリ性に調整されたものであり、
前記最終洗浄処理は少なくともアルカリ洗浄を含み、前記最終洗浄処理後の前記ガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)と、前記最終洗浄処理直前の前記ガラス基板主表面の表面粗さ(Ra)との差(ΔRa:洗浄処理後のRaから洗浄処理前のRaを引いた値)が0.03nm以下である
ことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。
一般式I
R1−NH−CO−R2
(式中、R1はアルキル基または水素原子を表し、R2はアルキル基または−NH−R3を表す。R3はアルキル基を表す。R1とR2は互いに同一の基であっても異なる基であってもよい。また、R1とR2が結合して環を形成してもよい。また、R2が−NH−R3である場合、R1とR3が結合して環を形成してもよい。) - 前記一般式Iで示される物質の分子量が、500以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
- 前記一般式Iで示される物質は、2−ピペリドン、グリシン無水物、2−イミダゾリジノン、テトラヒドロ−2−ピリミジノン、ヒダントイン、グリコールウリル、アラントイン、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルプロピオン酸アミド、N−プロピルブチルアミドからなる群より選ばれた1種以上の物質であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
- 前記一般式Iで示される物質は、前記一般式IにおいてR1とR2が結合して形成された環状構造、あるいはR1とR3が結合して形成された環状構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
- 前記一般式Iで示される物質は、2−ピペリドン、グリシン無水物からなる群より選ばれた1種以上の物質であることを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
- 前記研磨処理は、複数の研磨処理のうち最後の研磨処理であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の製造方法により製造された磁気ディスク用基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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