JPWO2014010607A1 - ポリアミド、ポリアミド組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
中でも、エンジンルーム内の材料に用いられるポリアミドは、エンジンルーム内の温度が上昇傾向にあるため、高耐熱化の要求が強まっている。
また、特許文献3には、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから誘導される単位から実質的に成るポリアミド組成物から製造された自動車部品が、流動性及び靭性等に優れていることが開示されている。
特許文献7には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とウンデカメチレンジアミンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合したポリアミドが開示されている。
特許文献8には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,12−ジアミノドデカンと1,6−ジアミノヘキサンとを重合したポリアミドが開示されている。
特許文献9には、脂環族ジカルボン酸と、ジアミンと、所定の共重合成分とを共重合させた共重合ポリアミドが開示されている。
特許文献9に開示されたポリアミドは振動疲労特性及び摺動性の面で改善が必要な場合がある。
さらに、重合により得られた三次元構造を有するポリアミド分子の割合の高いポリアミドペレットを押出機や成形機等で高温加工すると、さらにポリアミド分子の三次元構造化が進み、流動特性が安定しないという問題を有している。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、
(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、
を、含有し、下記条件(1)、(2)を満足する、ポリアミド。
(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である。
(2)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下である。
〔2〕
融解ピーク温度Tpm-1が、280℃以上である、前記〔1〕に記載のポリアミド。
〔3〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド。
〔4〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率が65〜80モル%である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔5〕
角速度1rad/sの剪断粘度(η*1)の、角速度100rad/sの剪断粘度(η*100)に対する比率(η*1/η*100)が3以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔6〕
Tgが90℃以上である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔7〕
Tgが115℃以上である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔8〕
Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が3.3以下である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔9〕
前記ポリアミドが、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位を、さらに含有する、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアミド。
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸
(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミン
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
〔10〕
前記(b)炭素数8以上のジアミンがデカメチレンジアミンである、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔11〕
前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、炭素数4〜9の脂肪族ジアミンである、前記〔9〕又は〔10〕に記載のポリアミド。
〔12〕
前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記〔9〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔13〕
JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が140℃以上である、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔14〕
炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が8以上である、前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔15〕
JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、当該結晶化ピーク温度Tpc-1の測定後、50℃/minで再度冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が10℃以下である、前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔16〕
前記(c)共重合成分の含有量が、ポリアミドの全構成成分量100モル%に対し、7.5モル%以上20.0モル%以下である、前記〔9〕乃至〔15〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔17〕
前記ポリアミドが、重合工程の少なくとも一部において固相重合工程を経て得られるポリアミドである、前記〔1〕乃至〔16〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔18〕
バイオマスプラスチック度が25%以上である、前記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔19〕
前記〔1〕乃至〔18〕のいずれか一に記載のポリアミドと、
無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及び前記ポリアミド以外のポリマーからなる群より選ばれる1種以上の成分と、
を含むポリアミド組成物。
〔20〕
前記〔1〕乃至〔18〕のいずれか一に記載のポリアミドと、
数平均繊維径が3〜9μmであるガラス繊維と、
を含むポリアミド組成物。
〔21〕
前記〔1〕乃至〔18〕のいずれか一に記載のポリアミド、又は前記〔19〕若しくは〔20〕に記載のポリアミド組成物を含む成形品。
〔22〕
前記〔1〕乃至〔18〕のいずれか一に記載のポリアミド、又は前記〔19〕若しくは〔20〕に記載のポリアミド組成物を含む摺動部品。
〔23〕
自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品、携帯機器部品からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔21〕に記載の成形品。
本実施形態のポリアミドは、
(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、
(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、
を、含有し、下記条件(1)、(2)を満足するポリアミドである。
(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である。
(2)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下である。
本実施形態において、ジカルボン酸としては、ジカルボン酸そのものに限定されるものではなく、当該ジカルボン酸と等価な化合物であってもよい。
当該ジカルボン酸と等価な化合物としては、ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造を有し、ジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物等が挙げられる。
本実施形態のポリアミドは、(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位を含有する。
本実施形態に用いる(a)脂環族ジカルボン酸(以下「脂環式ジカルボン酸」とも記され、本明細書中、(a)成分、(a)と記載する場合がある。)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂環構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸、好ましくは脂環構造の炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。(a)脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
前記置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
本実施形態のポリアミドは、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位を含有する。
本実施形態に用いる(b)炭素数8以上のジアミン(本明細書において、(b)成分、(b)のジアミン、(b)と記載する場合がある。)としては、炭素数8以上のジアミンであれば特に限定されず、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等の置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでも、脂環族ジアミンでも、芳香族ジアミンでもよい。
本実施形態に用いる(b)炭素数8以上のジアミンにおける炭素数は、低吸水性(吸水性を低くする)の観点から8以上とし、高温強度及び融点を高くする観点から、20以下、すなわち8〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。
また、1,10−デカメチレンジアミンは、バイオマス由来の原料であるという観点からも好ましい。
デカメチレンジアミンとしては、無置換の1,10−デカメチレンジアミンでも、置換基を有する置換1,10−デカメチレンジアミンでもよい。当該置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
なお、本実施形態において、炭素数8以上のジアミンを2種類以上組み合わせる場合、最も炭素数の多いジアミンを(b)成分とし、それ以外の炭素数8以上のジアミンを後述の(c−2)成分とする。
本実施形態のポリアミドは、本実施形態の目的を損なわない範囲で、上述した(a)、(b)の他、所定の(c)共重合成分(本明細書中、(c)成分、(c)と記載する場合がある。)を含有させることもできる。
前記(c)共重合成分とは、(c−1)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸(本明細書中、(c−1)成分、(c−1)と記載する場合がある。)、(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミン(本明細書中、(c−2)成分、(c−2)と記載する場合がある。)、及び(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸(本明細書中、(c−3)成分、(c−3)と記載する場合がある。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
組み合わせる例としては、(c−1)、(c−2)及び(c−3)の中から自由に組み合わせることができ、例えば、(c−1)から2種類を用いてもよいし、(c−2)や(c−3)から2種類を組み合わせてもよいし、(c−1)から1種類と(c−2)から1種類のように組み合わせてもよい。
(c)共重合成分の含有量を前記範囲とすることで、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れるポリアミドとすることができる。また、該ポリアミドを含むポリアミド組成物は、振動疲労特性及び表面外観に優れる。
(c−1)前記(b)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
本実施形態に用いる(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、強度及び剛性等の観点で、好ましくは芳香族ジカルボン酸であり、より好ましくは、炭素数8の芳香族ジカルボン酸である。
中でも、(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、表面外観等の観点で、イソフタル酸が好ましい。
前記(a)脂環族ジカルボン酸の(a)と(c−1)との合計量中の割合が50〜100モル%であることにより、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れるポリアミドが得られる。また、当該ポリアミドを含むポリアミド組成物は、振動疲労特性及び表面外観に優れる。
(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記多価脂肪族アミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重(縮)合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
中でも、アミノカルボン酸としては、低吸水、靭性の観点で、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等がより好ましい。
本実施形態のポリアミドにおいて、(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸と、(b)炭素数8以上のジアミンとの含有割合は、同モル量であることが好ましい。そのため、本実施形態のポリアミドを得る際の原料として、ジカルボン酸の使用量とジアミンの使用量とは、同モル量付近であることが好ましい。具体的には、重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
(c)共重合成分の含有割合は、ポリアミドの全構成成分量100モル%に対し、好ましくは5.0モル%以上22.5モル%以下であり、より好ましくは7.5モル%以上20.0モル%以下であり、さらに好ましくは10.0モル%以上18.0モル%以下である。(c)共重合成分の含有割合を前記範囲とすることで、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れるポリアミドが得られる。
本実施形態のポリアミドを重合する際に、上記(a)〜(c)成分以外に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物;モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類等が挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
モノアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<トランス異性体比率>
本実施形態のポリアミドにおいて、脂環族ジカルボン酸構造は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
本実施形態のポリアミド中、(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率は、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体である比率を表す。当該トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは65〜80モル%である。
ポリアミド中の(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの重合方法、並びに重合条件を制御する方法等が挙げられる。熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した重合条件で製造することが必要となる。具体的には、例えば、重合圧力を23〜50kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは25kg/cm2(ゲージ圧)以上の高圧に制御し、加熱を続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリアミドのバイオマスプラスチック度は、環境負荷の低減の観点から25%以上であることが好ましい。ここで、バイオマスプラスチック度とは、ポリアミドのうち、バイオマス由来の原料にて構成されるユニットの割合を意味する。バイオプラスチック度は、後述する実施例に記載する方法により算出することができる。より好ましいバイオプラスチック度としては30%以上である。本実施形態のポリアミドのバイオマスプラスチック度の上限値は、特に限定されないが、ポリアミドの耐熱性の観点から例えば80%である。
本実施形態のポリアミドの分子量は、25℃の硫酸相対粘度ηrを指標とすることができる。
本実施形態のポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrは、ポリアミドの強度、高温強度、及びポリアミド組成物の振動疲労特性等の観点から、2.3以上とする。好ましくは2.3〜5.0であり、より好ましくは2.4〜4.0であり、さらに好ましくは2.5〜3.5である。
本実施形態のポリアミドの分子量分布は、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)を指標とする。
本実施形態のポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、ポリアミドの強度、高温強度、及びポリアミド組成物の振動疲労特性等の観点から、4.0以下である。好ましくは1.5〜3.5であり、より好ましくは1.5〜3.3であり、さらに好ましくは1.5〜3.0であり、よりさらに好ましくは1.5〜2.5である。分子量分布の下限は1.0である。
これにより、高分子量でありながら、三次元構造を有するポリアミド分子の割合が少なく、さらに高温加工時において分子の三次元構造化を抑制でき、優れた流動性が得られる。
また、本実施形態のポリアミドは、上述したように、25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上であり、かつMw/Mnが4.0以下である。
ポリアミドの分子構造中に芳香族化合物単位が含有していると、高分子量化に伴い、分子量分布(Mw/Mn)が高くなる傾向がある。分子量分布が高いことは分子の三次元構造を有するポリアミド分子の割合が高いことを示し、高温加工時において分子の三次元構造化がさらに進行しやすく、流動性が悪化する。
本実施形態のポリアミドにおいては、(a)脂環族ジカルボン酸からなる単位と、(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位とを含有するポリアミドとすることによって、ηrが2.3以上の高分子量でありながら、Mw/Mnを4.0以下に抑制した。
本実施形態のポリアミドにおける芳香族化合物単位の含有量は、ポリアミドの全構成成分量100モル%に対し、好ましくは25モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下であり、さらに好ましくは15モル%以下である。
本実施形態のポリアミドは、角速度1rad/sの剪断粘度(η*1)の、角速度100rad/sの剪断粘度(η*100)に対する比率(η*1/η*100)が、好ましくは3以下である。
より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2以下である。
上記比率(η*1/η*100)が3以下であることにより、本実施形態のポリアミドにおいて優れた流動性が得られる。
上記比率(η*1/η*100)は、ポリアミドの分子量分布(Mw/Mn)と関係がある。すなわち、Mw/Mnが4以下であることにより、三次元構造化している比率が少なく、さらに高温加工時における分子の三次元化が抑制でき、良好な流動性が得られ、上記比率(η*1/η*100)≦3が実現できる。
所定の角速度におけるポリアミドの剪断粘度は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施形態のポリアミドの、後述する融解ピーク温度(融点)Tpm-1は、耐熱性の観点から、好ましくは280℃以上、より好ましくは280℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは300℃以上330℃以下であり、さらにより好ましくは310℃以上325℃以下である。
融解ピーク温度Tpm-1が330℃以下であるポリアミドは、押出、成形等の溶融加工における熱分解等を抑制することができるため好ましい。
ポリアミドの融解ピーク温度(融点)Tpm-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
測定することができる。具体的には、以下のとおり測定することができる。
測定装置としては、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いることができる。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する条件とする。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れるピークを融解ピーク温度Tpmとする。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却する。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク温度をTpc-1、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーとする。
続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する。このときに現れるもっとも高温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-2とする。
なお、このときに現れる吸熱ピークが1つの場合は、該吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1及びTpm-2(Tpm-1=Tpm-2)とする。さらに、350℃で3分間保った後、冷却速度50℃/minで350℃から50℃まで冷却する。このときに現れる結晶化ピーク温度をTpc-2とする。
ポリアミドの融解ピーク温度(融点)Tpm-2を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、上記(a)〜(c)成分を用い、配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
ポリアミドにおける融解ピーク温度Tpm-1と融解ピーク温度Tpm-2との差(Tpm-1−Tpm-2)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、上記(a)〜(c)成分を用い、配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
本実施形態のポリアミドの結晶化ピーク温度Tpc-1は、低ブロッキング性、離型性の観点から、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは260℃以上300℃以下である。
結晶化ピーク温度Tpc-1は、JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却することにより測定することができる。
ポリアミドの結晶化ピーク温度Tpc-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、上記(a)〜(c)成分を用い、配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
結晶化ピーク温度Tpc-2は、JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、前記結晶化ピーク温度Tpc-1の測定後、上記のように所定の操作を経た後、50℃/minで再度冷却することにより測定できる。
ポリアミドの結晶化ピーク温度Tpc-2を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、上記(a)〜(c)成分を用い、配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
ポリアミドにおいて、結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が小さいほど、結晶化速度が速く、ポリアミドの結晶構造が安定であることを意味する。ポリアミドにおける結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が前記範囲内であると、低ブロッキング性、離型性の観点から好ましい。
ポリアミドにおける結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、上記(a)〜(c)成分を用い、配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。また、(Tpc-1−Tpc-2)を小さくし、ポリアミドを安定な結晶構造にするためには、(a)〜(c)成分の炭素数を偶数とすることや、ポリアミド中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上9未満とすることが好ましい。
ポリアミドの結晶化エンタルピーを前記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミド中の炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を8以上とし、上記(a)〜(c)成分を用い、配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
ポリアミド中の炭素数とアミド基との比(炭素数/アミド基数)は、後述する方法により制御できる。
本実施形態のポリアミドのガラス転移温度Tgは、好ましくは90℃以上170℃以下であり、より好ましくは90℃以上140℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上140℃以下であり、よりさらに好ましくは115℃以上140℃以下である。該ガラス転移温度Tgを90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアミドとすることができる。また、ガラス転移温度を170℃以下とすることにより、ポリアミドから表面外観のよい成形品を得ることができる。
ポリアミドのガラス転移温度Tgを前記範囲内に制御する方法としては、例えば、成分を上記(a)〜(c)成分を用い、成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
ポリアミドにおいて、結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が大きいほど、結晶化できる温度範囲が広く、ポリアミドの結晶構造が安定であることを意味する。
結晶化ピーク温度Tpc-1とガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が140℃以上であるポリアミドは、低ブロッキング性、離型性に優れる。結晶化ピーク温度Tpc-1とガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)の上限は、特に限定されないが、耐熱性の観点から、300℃以下であることが好ましい。
本実施形態におけるポリアミドのポリマー末端は、以下のように分類し、定義される。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシル末端、3)封止剤による末端、及び4)その他の末端である。
ポリアミドのポリマー末端とは、ジカルボン酸とジアミンとがアミド結合により重合したポリマー鎖の末端部分を意味する。前記ポリアミドのポリマー末端は、これら1)〜4)の末端のうちの1種以上である。
2)カルボキシル末端は、カルボキシル基(−COOH基)が結合したポリマー末端であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)封止剤による末端は、重合時に添加した、カルボン酸又はアミンにより封止されたポリマー末端である。
4)その他の末端は、上記の1)〜4)に分類されないポリマー末端であり、例えば、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端や、カルボキシル末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
具体的には、ポリアミド4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液について0.1NのNaOHで滴定を行い、カルボキシル末端量を求める。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定する。
本実施形態のポリアミドにおいて、炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)は、低吸水の観点から8以上であることが好ましく、より好ましくは8.2以上9未満である。
当該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)は、ポリアミドのアミノ基濃度を示す指標である。
当該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を前記範囲内とすることにより、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れたポリアミド、並びに振動疲労特性及び表面 外観に優れたポリアミド組成物を提供できる。
本実施形態に係るポリアミドの製造方法としては、(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上であり、(2)Mw/Mnが4.0以下であれば、特に限定されるものではなく、上述した(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸と、(b)少なくとも1種の炭素数8以上のジアミンとを重合させる工程を含む、ポリアミドの製造方法が挙げられる。
本実施形態のポリアミドを得る際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
1)ジカルボン酸、ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
3)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
中でも、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましく、熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した重合条件で製造することが必要となる。例えば、該熱溶融重合法における重合圧力を23〜50kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは25kg/cm2(ゲージ圧)以上の高圧に制御し、加熱を続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する方法などが挙げられる。このような製造方法により得られるポリアミドは、上述した条件(1)、(2)やトランス異性体比率等の特性を満たすことができる。
このような製造方法であると、ポリアミドにおけるトランス異性体比率を80%以下に維持することが容易であり、また、得られるポリアミドは色調及び可塑化時間安定性に優れる。さらに、該ポリアミドを含むポリアミド組成物は、表面外観に優れる。
熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した重合条件で製造することが必要となる。
水を溶媒として、ポリアミド成分(上記(a)〜(c)成分)を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.35〜6kg/cm2(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約23〜50kg/cm2(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約23〜50kg/cm2(ゲージ圧)に保つ。ここで、溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した圧力が必要であり、特に炭素数の大きいジアミンを用いた際には容器における圧力が25kg/cm2(ゲージ圧)以上であることが好ましい。容器における温度が約250〜350℃に達した時点で、容器における圧力を大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0kg/cm2)。ここで、溶融状態を保持するためには、加熱を続けながら、20分以上かけながら降圧することが好ましい。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素などの不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。樹脂温度(液温)の最終温度は溶融状態を保持するためTpm-1より10℃以上高い方が好ましい。該ストランドを、冷却、カッティングしてポリアミドのペレットを得ることができる。
本実施形態のポリアミド組成物は、上述したポリアミドと、無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及びポリアミド以外のポリマーからなる群から選ばれる1種以上の成分と、を含む。
無機充填材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、クレー、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
ガラス繊維や炭素繊維の数平均繊維径は、靭性、及び成形品の表面外観を向上させる観点から、3〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましく、3〜12μmがさらに好ましく、3〜9μmがさらにより好ましく、4〜6μmがよりさらに好ましい。
上記のガラス繊維や炭素繊維の数平均繊維径を30μm以下とすることにより、靭性、及び成形品の表面外観に優れたポリアミド組成物とすることができる。一方、3μm以上とすることにより、コスト面及び粉体のハンドリング面と物性(流動性など)とのバランスに優れたポリアミド組成物が得られる。さらに3〜9μmとすることにより、振動疲労特性、摺動性に優れたポリアミド組成物とすることができる。
前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
前記集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として、好ましくは0.2〜3質量%相当を付与(添加)し、より好ましくは0.3〜2質量%相当を付与(添加)する。すなわち、当該繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上であることが好ましい。一方、得られるポリアミド組成物の熱安定性を向上させる観点から、集束剤の添加量は3質量%以下であることが好ましい。ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよいし、ストランドを乾燥した後に切断してもよい。
造核剤とは、添加によりポリアミド組成物の、結晶化ピーク温度を上昇させたり、結晶化ピークの補外開始温度と補外終了温度との差を小さくしたり、得られる成形品の球晶を微細化又はサイズの均一化させたりする効果が得られる物質のことを意味する。
造核剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、タルク、窒化ホウ素、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、窒化珪素、カーボンブラック、チタン酸カリウム、及び二硫化モリブデン等が挙げられる。
造核剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、造核剤効果が高いため、数平均粒径が0.01〜10μmである造核剤が好ましい。
造核剤の数平均粒径は、成形品をギ酸等のポリアミドが可溶な溶媒で溶解し、得られた不溶成分の中から、例えば、100個以上の造核剤を任意に選択し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等で観察して測定することにより求めることができる。
造核剤の含有量を、ポリアミド100質量部に対して、0.001質量部以上とすることにより、ポリアミド組成物の耐熱性が向上し、また、造核剤の含有量を、ポリアミド100質量部に対して1質量部以下とすることにより、靭性に優れるポリアミド組成物が得られる。
潤滑剤としては、以下に限定されないが、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、及び高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
潤滑剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高級脂肪酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高級脂肪酸金属塩を構成する金属元素としては、元素周期律表の第1,2,3族元素、亜鉛、及びアルミニウム等が好ましく、より好ましくはカルシウム、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウム等の第1,2族元素、並びにアルミニウム等が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、及びモンタン酸ナトリウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられ、モンタン酸の金属塩及びステアリン酸の金属塩等が好ましい。
高級脂肪酸金属塩は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びラウリルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高級脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド等が挙げられる。
高級脂肪酸アミドとしては、好ましくはステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、及びN−ステアリルエルカアミドであり、より好ましくはエチレンビスステアリルアミド及びN−ステアリルエルカアミドである。
高級脂肪酸アミドは、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
潤滑剤の含有量が上記範囲内にあることにより、離型性及び可塑化時間安定性に優れ、また、靭性に優れるポリアミド組成物とすることができると共に、分子鎖が切断されることによるポリアミドの極端な分子量低下を防止することができる。
安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、並びに元素周期律表の第3族、第4族及び第11〜14族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、耐熱エージング性向上の観点から、好ましくはN,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]である。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド以外のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、本実施形態のポリアミド以外のポリアミド、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本実施形態のポリアミド組成物の製造方法としては、上述のポリアミドを含む原料成分を溶融混練する工程を含む製造方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、上述のポリアミドを含む原料成分を押出機で溶融混練する工程を含み、前記押出機の設定温度を、上述のポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1+30℃以下とする方法が好ましい。
溶融混練時間は、0.25〜5分程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、及びミキシングロールなどの溶融混練機を用いることができる。
本実施形態の成形品は、上述のポリアミド又はポリアミド組成物を含む。
本実施の形態の成形品は、上述のポリアミド又はポリアミド組成物を、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸等、一般に知られているプラスチック成形方法を用いて成形することにより得られる。
携帯機器部品としては、特に限定されるものではないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、携帯ゲーム機器、デジタルカメラ等の筐体、及び構造体等が挙げられる。
また、本実施形態のポリアミド組成物から得られる成形品は、表面外観に優れているので、成形品表面に塗装膜を形成させた成形品としても好ましく用いられる。塗装膜の形成方法は公知の方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スプレー法、静電塗装法等の塗装によることができる。また、塗装に用いる塗料は、公知のものであれば特に限定されず、メラミン架橋タイプのポリエステルポリオール樹脂塗料、アクリルウレタン系塗料などを用いることができる。
中でも、本実施形態のポリアミド組成物は、機械的強度、靱性、耐熱性に優れ、耐振動疲労性にも優れることから自動車用の部品材料として好適であり、さらに、摺動性に優れることから、ギヤ、ベアリング用の部品材料として特に好適である。また、機械的強度、靱性、耐熱性、寸法安定性に優れることから、電気及び電子用の部品材料として好適である。
なお、本実施例において、1kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
本実施例及び比較例においては、下記化合物を用いた。
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)
商品名:1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)(イーストマンケミカル社製)
(2)セバシン酸(C10DC)
商品名:セバシン酸TA(伊藤製油社製)
(3)イソフタル酸(IPA)(和光純薬工業社製)
(4)アジピン酸(ADA)(和光純薬工業社製)
(1)1,10−ジアミノデカン(1,10−デカメチレンジアミン)(C10DA)
商品名:1,10−デカンジアミン(小倉合成工業社製)
(2)1,12−ジアミノドデカン(1,12−ドデカメチレンジアミン)(C12DA)(東京化成工業社製)
(3)1,6−ジアミノヘキサン(1,6−ヘキサメチレンジアミン)(C6DA)(東京化成工業社製)
(4)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MC5DA)(東京化成工業製)
(5)オクタメチレンジアミン(C8DA)(東京化成工業社製)
(6)ウンデカメチレンジアミン(C11DA)(東京化成工業社製)
(7)1,9−ノナメチレンジアミン(C9DA)(アルドリッチ社製)
(8)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
(9)ヘキサメチレンジアミン(HMD)(和光純薬工業社製)
(1)ε−カプロラクタム(CPL)(和光純薬工業社製)
(1)ガラス繊維(GF−1) 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H 数平均繊維径(平均粒径)10μm(断面形状:真円状)、カット長3mm
(2)下記製造例Aのとおり無水マレイン酸共重合体を含む集束剤により処理されたガラス繊維(GF−2)。GF−2の数平均繊維径:7μm(断面形状:真円状)。
〔ガラス繊維の製造例〕
<製造例A>
まず、固形分として、ポリウレタン樹脂2質量%、無水マレイン酸−ブタジエン共重合体4質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%、及びカルナウバワックス0.1質量%となるように水で希釈し、ガラス繊維集束剤を得た。
得られたガラス繊維集束剤を、溶融防糸された数平均繊維径7μmのガラス繊維に対して、回転ドラムに巻き取られる途中に設けたアプリケーターによって付着させた。
その後、ガラス繊維集束剤を付着させたガラス繊維を乾燥することによって、上記ガラス繊維集束剤で表面処理されたガラス繊維束のロービングを得た。
その際、ガラス繊維は1,000本の束となるようにした。ガラス繊維に対するガラス繊維集束剤の付着量は、0.6質量%であった。これを3mmの長さに切断して、チョップドストランド(以下、「GF−2」とも略記する。)を得た。
なお、本実施例において、ガラス繊維の平均繊維径は、以下のとおり測定した。
まず、ポリアミド組成物を電気炉に入れて、ポリアミド組成物中に含まれる有機物を焼却処理した。当該処理後の残渣分から、任意に選択した100本以上のガラス繊維を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、これらのガラス繊維の繊維径を測定することにより数平均繊維径を求めた。
(ポリアミド中の各構成単位の含有量)
ポリアミド中の各構成単位の含有量を1H−NMR測定により以下のように定量した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのペレットを約5質量%の濃度になるように重ヘキサフルオロイソプロパノールに加熱して溶解し、日本電子製核磁気共鳴分析装置JNM ECA−500を用いて1H−NMRの分析を行い、積分比を計算することによって、下記の含有量を決定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドの、融解ピーク温度(融点)、結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピーを、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定は、窒素雰囲気下で行った。
先ず、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する条件とした。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpmとした。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却した。このときに現れる発熱ピークを結晶化ピークとし、結晶化ピーク温度をTpc-1、結晶化ピーク面積を結晶化エンタルピーとした。
続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温した。このときに現れるもっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-2とした。
さらに、350℃で3分間保った後、冷却速度50℃/minで350℃から50℃まで冷却した。このときに現れる結晶化ピーク温度をTpc-2とした。
融解ピーク温度Tpmと融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)、融解ピーク温度Tpm-1と融解ピーク温度Tpm-2との差(Tpm-1−Tpm-2)、結晶化ピーク温度Tpc-1と結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)、結晶化ピーク温度Tpc-1と後述するガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)を測定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのガラス転移温度(Tg)を、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定条件は、以下のとおりとした。
試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。
当該測定サンプル10mgを用いて、昇温速度20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドの25℃における硫酸相対粘度ηrを、JIS−K6920に準じて測定した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作成し、得られた溶解液を用いて25℃の温度条件下で硫酸相対粘度ηrを測定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、東ソー株式会社製、HLC−8020、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒、PMMA(ポリメチルメタクリレート)標準サンプル(ポリマーラボラトリー社製)換算)で測定したMw(重量平均分子量)と数平均分子量(Mn)を用いて計算した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドにおけるトランス異性化率を以下のとおり求めた。
ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、得られた溶液を用い、1H−NMRを測定した。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、1H−NMR測定における、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppm及び1.86ppmのピーク面積との比率からポリアミドにおけるトランス異性体比率を求めた。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのペレットを、コンプレッション成形機を用いて、試験片を製造した。
具体的な成形条件は、加工温度をポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃に設定し、余熱時間2分、加熱時間2分、冷却時間3分とした。
得られた成形片、及びARES−G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、溶融粘弾性測定を行った。測定モード:Oscillation Freqency Sweep Test、測定治具:コーン & プレート、ギャップ間:0.05mm、安定時間:5分、歪:20%、角速度:0.01rad/sec〜100rad/sec、ロードセル:2kg、環境状態:窒素気流、測定温度:ポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃とした。
角速度1rad/sの剪断粘度(η*1)の、角速度100rad/sの剪断粘度(η*100)に対する比率を算出した。(η*1/η*100)が3以下であると、流動特性が良好であると判断した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドにおいて、ポリマー末端に結合するアミノ末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
ポリアミド3.0gを90質量%フェノール水溶液100mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.025Nの塩酸で滴定を行い、アミノ末端量(μ当量/g)を求めた。終点はpH計の指示値から決定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドにおいて、ポリマー末端に結合するカルボキシル末端量を、中和滴定により以下のとおり測定した。
ポリアミド4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液を用い、0.1NのNaOHで滴定を行い、カルボキシル末端量(μ当量/g)を求めた。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドにおいて、アミド基1個あたりの炭素数の平均値(炭素数/アミド基数)を計算により求めた。
具体的には、分子主鎖中に含まれる炭素数を分子主鎖中に含まれるアミド基数で除することにより、炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を求めた。
該炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を、ポリアミドにおけるアミノ基濃度を示す指標とした。
実施例及び比較例で得られたポリアミドにおいて、バイオマス由来の原料にて構成されるユニットの質量%をバイオマスプラスチック度として算出した。
具体的には、ひまし油を原料としている、セバシン酸、1,10−ジアミノデカンを、バイオマス由来の原料とした。
そして、実施例及び比較例で得られたポリアミドにおいて、セバシン酸及び1,10−ジアミノデカンに由来するユニットの割合を算出し、当該割合をバイオマスプラスチック度とした。
尚、ポリアミドの重合においては、アミド結合の形成の際に、ジアミン中の2つの水素原子と、ジカルボン酸中の2つの酸素原子と、2つの水素原子とから、2モルの水分子が生成することを考慮して算出した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、ISO 3167に準拠し、多目的試験片A型の成形片に成形した。具体的な成形条件は、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度を80℃、溶融樹脂温度をポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃に設定した。
得られた多目的試験片A型の成形片を用いて、ISO 527に準拠し、23℃の温度条件下、引張速度50mm/minで引張試験を行い、引張降伏応力を測定し、引張強度とした。
また、温度条件を120℃下にし、その他の条件は上記と同様にして、120℃における引張強度を測定した。
上記(11)のとおり多目的試験片A型の成形片を成形した後の絶乾状態(dry as mold)で、多目的試験片A型の成形片の試験前質量(吸水前質量)を測定した。次に、多目的試験片A型の成形片を、80℃の純水中に72時間浸漬させた。その後、水中から多目的試験片A型の成形片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率とした。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのペレットを、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、押出機の上流側供給口からダイまでを340℃に設定し、スクリュー回転数200rpm、吐出量25kg/hで溶融混練した。ダイから排出されたストランド1.5mを20℃の水浴に浸漬し、ストランドカッターによりカッティングしてペレットを得た。このとき水浴の浸漬時間を約2秒になるようにした。得られたペレット5kgを、角度:45度、投入口の径:500mm、排出口の径:50mmのステンレス製漏斗に投入し、漏斗上でブロッキングし、残留したポリアミドの割合を測定した。
上記(11)における射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間5秒、金型温度をポリアミドのTgと同じ温度に設定し、溶融樹脂温度をポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃に設定して、実施例及び比較例で得られたポリアミドから、長さ128mm×巾12.8mm×厚さ0.75mmの成形片を成形した。冷却時間を調整し、金型から成形品が問題なく離型する最短の冷却時間を、離型性として評価した。当該冷却時間を短縮することは、生産性の向上に繋がると判断した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、ISO 3167に準拠し、多目的試験片A型の成形片に成形した。
具体的な成形条件は、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度を120℃、溶融樹脂温度をポリアミドの高温側の融解ピーク温度(Tpm-1)+20℃に設定し、1000ショットまで成形し、ISO試験片を得た。
該射出成形の各ショットにおいて、ポリアミドのペレットが可塑化状態となるまでの時間(以下「可塑化時間」とも記す。)を測定した。該測定値に基づき、可塑化時間安定性(標準偏差)を下記式により求めた。
X1=1000ショットの可塑化時間の相加平均
上記の標準偏差(σ)が小さいほど、可塑化時間安定性に優れるものと判断した。
実施例及び比較例で得られたポリアミドのペレット量から、重合時の樹脂の重合収率の評価を行った。
得られたペレットの、オートクレーブに仕込んだ原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液から得られる理論ポリアミド量に対する比率を算出した。
以下、評価基準を示す。
◎(極めて良好):重合収率が90%以上。
○(良好):重合収率が85〜90%。
△(実用上問題ないレベル):重合収率が80〜85%。
×(不良):重合収率が80%以下。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を用いて、ASTM D638に準じて破壊応力(MPa)の測定を行った。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットからダンベル射出成形試験片を以下のとおり成形した。
射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)にASTM引張試験(ASTM D638)用のダンベル試験片(3mm厚)の金型(金型温度=Tg+20℃)を取り付けて、シリンダー温度=(Tpm-1+10)℃〜(Tpm-1+30)℃で成形を行って、ポリアミド組成物のペレットからダンベル射出成形試験片を得た。
得られたASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)について、株式会社鷺宮製作所製油圧サーボ疲労試験機EHF−50−10−3を用い、120℃の雰囲気下、周波数20Hzの正弦波にて引張り荷重を負荷し、100,000回で破壊する応力(MPa)を求めた。求めた破壊応力(MPa)が大きいほど振動疲労特性に優れると評価した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットから平板プレート成形片を以下のとおり製造した。
射出成形機[FN−3000:日精樹脂株式会社製]を用いて、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpm、金型温度をTg+20℃、シリンダー温度=(Tpm-1+10)℃〜(Tpm-1+30)℃に設定し、充填時間が1.0±0.1秒の範囲となるように、射出圧力及び射出速度を適宜調整し、ポリアミド組成物ペレットから平板プレート成形片(13cm×13cm、厚さ1mm)を製造した。
このようにして作製した平板プレート成形片の中央部を、光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定した。
該測定値が大きいほど表面外観に優れると判断した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットについて、銅濃度、ハロゲン濃度、及びハロゲンと銅とのモル比(ハロゲン/Cu)を以下のとおり測定した。
銅濃度は、試料に硫酸を加え、加熱しながら硝酸を滴下し有機分を分解し、該分解液を純水にて定容しICP発光分析(高周波プラズマ発光分析)法により定量した。ICP発光分析装置は、SEIKO電子工業社製Vista−Proを用いた。
ハロゲン濃度は、ヨウ素を例にとると、試料を高純度酸素で置換したフラスコ中で燃焼し、発生したガスを吸収液に捕集し、該捕集液中のヨウ素を1/100N硝酸銀溶液による電位差滴定法を用いて定量した。
ハロゲンと銅とのモル比(ハロゲン/Cu)は、上記それぞれの定量値を用いて分子量からモルに換算し算出した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットの強度半減期(日)を以下のとおり測定した。
上記(17)のASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を熱風オーブン中で200℃、所定時間処理した後、ASTM−D638に準じて引張強度を測定した。そして熱処理前に測定した引張強度に対する熱処理後の引張強度を引張強度保持率として算出し、引張強度保持率が50%となる熱処理時間を強度半減期とした。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットの浸漬後の引張強度保持率(%)を以下のとおり測定した。
上記(17)のASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を、120℃のエチレングリコール50%水溶液に、24時間、720時間浸漬し、室温に放置した後、上記(11)の方法の引張試験を行い、引張強度を測定した。720時間浸漬後に測定した引張強度の、24時間浸漬後に測定した引張強度に対する割合を浸漬後の引張強度保持率として求めた。
上記(11)で製造した多目的試験片(A型)を用いて、往復動摩擦摩耗試験機(AFT−15MS:東洋精密株式会社製)により荷重150g、線速度400mm/sec、往復距離30mmの条件下、環境温度23℃で100,000回の往復試験を行った。相手材料としては、SUS球(SUS304、R=2.5mm)を用いた。
往復試験を実施した後の多目的試験片の削られた部分について、表面粗さ計(Surfcom:東京精密社製)を用いて、Rmaxを測定し、摩耗深さを評価した。
(ポリアミドの製造)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
(a)脂環族ジカルボン酸としてCHDC750g(4.35モル)、(b)炭素数8以上のジアミンとしてC10DA750g(4.35モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
上記のポリアミド及びガラス繊維を用いてポリアミド組成物の製造を実施した。
2軸押出機(東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)、設定温度Tm2+20℃(実施例1で得られたポリアミドを用いた場合、325+20=345℃)、スクリュー回転数300rpm)を用いて、以下のとおりポリアミド組成物を製造した。該2軸押出機の最上流部に設けられたトップフィード口より、上記水分率を調整したポリアミド(100質量部)を供給し、前記2軸押出機の下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より無機充填材としてガラス繊維を(ポリアミド:ガラス繊維(GF)=50:50)の質量比で供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物のペレットを得た。
測定結果を表3に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分、及び、溶融重合時の添加物として、表1に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに樹脂温度の最終温度を表1に記載の温度にしたこと以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドの重合反応を行って(「熱溶融重合法」)、ポリアミドのペレットを得た。
測定結果を表3に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミドを製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表3に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
(a)脂環族ジカルボン酸としてCHDC750g(4.35モル)、(b)炭素数8以上のジアミンとしてC10DA750g(4.35モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分として、表1に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに樹脂温度の最終温度を表2に記載の温度にしたこと以外は、比較例1に記載した方法でポリアミドの重合反応を行って(「熱溶融重合法」)、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分として、表2に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに溶融重合における樹脂温度の最終温度を表2に記載の温度にしたこと、さらに樹脂温度が表2に記載の最終温度の状態で、槽内を真空装置で約53.3kPa(約400torr)の減圧下に25分間維持したこと以外は、比較例1に記載した方法で、ポリアミドの重合反応を行い、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分として、表2に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに溶融重合における樹脂温度の最終温度を表2に記載の温度にしたこと、さらに樹脂温度が表2に記載の最終温度の状態で、槽内を真空装置で約80kPa(約600torr)の減圧下に3分間維持したこと以外は、実施例1に記載した方法で、ポリアミドの重合反応を行い、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
該重合法は、前記特許文献7(特公昭64−2131号公報)に記載されている製法に準じた。
(a)CHDC1007g(5.85モル)、(b)C11DA832g(4.46モル)、及び(c−2)C6DA161g(1.39モル)を蒸留水500gに溶解させ、原料モノマーの等モル約80質量%均一水溶液を作った。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温を約50℃から加熱を続けて210℃とし、オートクレーブの槽内の圧力を、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、17.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けた。その後、内温を320℃まで昇温し、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。その後、槽内に窒素ガスを30分間流し、樹脂温度(液温)の最終温度が約323℃になるようにヒーター温度を調整し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、共重合ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「プレポリマー・固相重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
該重合法は、前記特許文献8(国際公開第2002/048239号パンフレット)に記載されている製法に準じた。
「プレポリマー・固相重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
(a)CHDA1251.2g(7.266モル)、及び(b)C8DA1048.2g(7.266モル)を蒸留水3000gに溶解させ、等モルの原料モノマーを含む50質量%水溶液を作製した。
液温約50℃から、オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、加熱を続けた。
槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約70%になるまで濃縮した。
その後、内部温度を218℃に昇温した。この時、オートクレーブは22Kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間、内温が253℃に到達するまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら1時間反応させ、数平均分子量(Mn)5000のプレポリマーを得た。
得られたポリアミドを3mm以下の大きさまで粉砕し、窒素ガスを20L/分の流量でフローさせながら100℃で24時間乾燥した。この乾燥したプレポリマーをニーダー型反応押出機((株)プラスチック工学研究所製BT−30)を用いて、300℃、減圧度0.03MPa、滞留時間10分の条件下で押出してポリアミドを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ADA836g(5.72モル)、HMD664g(5.72モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の290℃)−20℃(ここでは270℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の290℃)−20℃(ここでは270℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約290℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度は約290℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100torr)の減圧下に25分維持し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ADA836g(5.72モル)、HMD664g(5.72モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の290℃)−20℃(ここでは270℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の290℃)−20℃(ここでは270℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで60分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約290℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度は約290℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100torr)の減圧下に25分維持し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
樹脂温度の最終温度を表2に記載の温度にしたこと以外は、比較例8に記載した方法でポリアミドの重合反応を行って(「熱溶融重合法」)、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、実施例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
実施例1〜12で得られたポリアミドとガラス繊維とを含むポリアミド組成物は、表面外観、振動疲労特性に優れることが確認された。
ポリアミド組成物の原料として、以下のポリアミド、上述した無機充填材、銅化合物及び金属ハロゲン化物を用いた。
(ポリアミド)
実施例2、比較例3、及び比較例8で得られたポリアミドを、窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して、ポリアミド組成物の原料として用いた。
(銅化合物及び金属ハロゲン化物を含む顆粒(1)の製造)
KI 85.1質量部、エチレンビスステアリルアミド10質量部を混合し、KIとエチレンビスステアリルアミドとの混合物を得た。該混合物にCuI 4.9質量部をよく混合し、ディスクペレッター(不二パウダル社製F5−11−175)で顆粒化し、顆粒(1)を得た。
(ポリアミド組成物の製造及び物性評価)
2軸押出機(東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)、設定温度Tpm−1+20℃(この場合、300+20=320℃)、スクリュー回転数300rpm)を用いて、以下のとおりポリアミド組成物を製造した。
前記2軸押出機の最上流部に設けられたトップフィード口より、上記水分率を調整したポリアミド(100質量部)、上記で製造した顆粒(1)(6.1質量部)を供給し、前記2軸押出機の下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より無機充填材としてガラス繊維(GF−1)を、下記表5に示す割合(質量部)で供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
なお、引張試験における引張速度は5mm/minで実施した。
測定結果を表5に示す。
ガラス繊維(GF−2)を用いたこと以外は、実施例13に記載した方法と同様にして、ポリアミド組成物ペレットを作製した。
なお、引張試験における引張速度は5mm/minで実施した。
測定結果を表5に示す。
さらに数平均繊維径が7μmであるGFを使用した実施例13のポリアミド組成物は、より摺動性に優れることが分かった。
特許文献4:特開平9−12868号公報
特許文献5:国際公開第2002/048239号パンフレット
特許文献6:国際公開第2009/113590号パンフレット
特許文献7:特公昭64−2131号公報
特許文献8:国際公開第2008/149862号パンフレット
特許文献9:国際公開第2012/093722号パンフレット
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0017]
しかしながら、6T系共重合ポリアミドは、確かに、低吸水性、高耐熱性、及び高耐薬品性という特性を有しているものの、流動性が低く、成形性や成形品表面外観においては十分な特性が得られておらず、さらには靭性及び耐光性に劣る。そのため、外装部品のように、成形品の表面外観や耐光性が要求される用途では改善が望まれている。また比重も大きく、軽量性の面でも改善が望まれている。
[0018]
特許文献1に開示されているPA6T/2MPDTは、従来のPA6T共重合ポリアミドの問題点を一部改善することができるが、流動性、成形性、靭性、成形品表面外観、及び耐光性の面でその改善水準は不十分である。
[0019]
PA46は、良好な耐熱性及び成形性を有しているものの、吸水率が高く、また、吸水による寸法変化や機械物性の低下が著しく大きいという問題を有しており、自動車用途等で要求される寸法変化の面で要求を満たせない場合がある。
[0020]
特許文献2及び3に開示されたPA6C共重合ポリアミドも、吸水率が高く、また、流動性が十分ではない等の問題を有している。
[0021]
特許文献4及び5に開示されたポリアミドも、可塑化時間安定性、振動疲労特性、摺動性及び表面外観の面で改善が不十分である。
[0022]
特許文献6に開示されたポリアミドは、吸水率が高く、またペレットの取扱い時、特に移送時にペレット同士がブロッキングしてしまう現象が見られ、低吸水性や低ブロッキング性、離型性の面で改善が必要な場合がある。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[0028]
〔1〕
(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、
(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、
を、含有し、下記条件(1)、(2)を満足する、ポリアミド。
(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である。
(2)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が3.0以下である。
〔2〕
融解ピーク温度Tpm−1が、280℃以上である、前記〔1〕に記載のポリアミド。
〔3〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド。
〔4〕
前記(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率が65〜80モル%である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔5〕
角速度1rad/sの剪断粘度(η*1)の、角速度100rad/sの剪断粘度(η*100)に対する比率(η*1/η*100)が3以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔6〕
Tgが90℃以上である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔7〕
Tgが115℃以上である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔8〕
JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc−1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc−1−Tg)が140℃以上である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔9〕
前記ポリアミドが、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位を、さらに含有する、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアミド。
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸
(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミン
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
〔10〕
前記(b)炭素数8以上のジアミンがデカメチレンジアミンである、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔11〕
前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、炭素数4〜9の脂肪族ジアミンである、前記〔9〕又は〔10〕に記載のポリアミド。
〔12〕
前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、炭素数が偶数の脂肪族ジアミンである、前記〔9〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリアミド。
〔13〕
前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記〔9〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のポリアミド。
を含むポリアミド組成物。
〔21〕
前記〔1〕乃至〔18〕のいずれか一に記載のポリアミド、又は前記〔19〕若しくは〔20〕に記載のポリアミド組成物を含む成形品。
〔22〕
前記〔1〕乃至〔18〕のいずれか一に記載のポリアミド、又は前記〔19〕若しくは〔20〕に記載のポリアミド組成物を含む摺動部品。
〔23〕
自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品、携帯機器部品からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔21〕に記載の成形品。
〔24〕
発光装置用リフレクタである、前記〔21〕に記載の成形品。
発明の効果
[0029]
本発明によれば、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性、可塑化時間安定性、摺動性、及び溶融重合における重合収率に優れたポリアミド、並びに振動疲労特性及び表面外観に優れたポリアミド組成物を提供できる。
発明を実施するための形態
[0030]
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[0031]
〔ポリアミド〕
本実施形態のポリアミドは、
(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、
(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、
を、含有し、下記条件(1)、(2)を満足するポリアミドである。
(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である。
(2)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が3.0以下である。
吸水性(吸水性を低くする)の観点から8以上とし、高温強度及び融点を高くする観点から、20以下、すなわち8〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。
[0042]
本実施形態に用いる(b)炭素数8以上の脂肪族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられる。
[0043]
本実施形態に用いる(b)炭素数8以上の脂肪族ジアミンとしては、耐熱性、低吸水性、強度及び剛性等の観点で、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンが好ましく、より好ましくは、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンであり、さらに好ましくは、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンであり、さらにより好ましくはデカメチレンジアミンである。
[0044]
前記デカメチレンジアミンとしては、結晶性をより高める観点から、1,10一位にアミノ基を有する直鎖デカン骨格を有する1,10−デカメチレンジアミンが好ましい。
また、1,10−デカメチレンジアミンは、バイオマス由来の原料であるという観点からも好ましい。
デカメチレンジアミンとしては、無置換の1,10−デカメチレンジアミンでも、置換基を有する置換1,10−デカメチレンジアミンでもよい。当該置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
前記脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
前記芳香族ジアミンとは、芳香族を含有するジアミンであり、以下に限定されるものではないが、例えば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられる。
[0045]
前記(b)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本実施形態において、炭素数8以上のジアミンを2種類以上組み合わせる場合、最も炭素数の多いジアミンを(b)成分とし、それ以外の炭素数8以上のジアミンを後述の(c−2)成分とする。
[0046]
((c)共重合成分)
本実施形態のポリアミドは、本実施形態の目的を損なわない範囲で、上述した(a)、(b)の他、所定の(c)共重合成分(本明細書中、(c)成分、(c)と記載する場合がある。)を含有させることもできる。
前記(c)共重合成分とは、(c−1)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸(本明細書中、(c−1)成分、(c−1)と記載する場合がある。)、(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミン(本願明細書中、(c−2)成分、(c−2)と記載する場合がある。)、及び(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸(本明細書中、(c−3)成分、(c−3)と記載する場合がある。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
[0047]
(a)脂環族ジカルボン酸及び(b)炭素数8以上のジアミンと組み合わせる(c)共重合成分は、1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
組み合わせる例としては、(c−1)、(c−2)及び(c−3)の中から自由に組み合わせることができ、例えば、(c−1)から2種類を用いてもよいし、(c−2)や(c−3)から2種類を組み合わせてもよいし、(c−1)から1種類と(c−2)から1種類のように組み合わせてもよい。
[0048]
本実施形態のポリアミドにおける(c)共重合成分の含有量は、ポリアミドの全構成成分量100モル%に対し、好ましくは5.0モル%以上22.5モル%以下であり、より好ましくは7.5モル%以上20.0モル%以下であり、さらに好ましくは10.0モル%以上18.0モル%以下である。
(c)共重合成分の含有量を前記範囲とすることで、強度、高温強度、低吸水性、低ブロッキング性、離型性及び可塑化時間安定性に優れるポリアミドとすることができる。また、該ポリアミドを含むポリアミド組成物は、振動疲労特性及び表面外観に優れる。
[0049]
<(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸>
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
[0050]
前記脂肪族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸等の炭素数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
[0051]
前記芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルインフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
[0052]
前記種々の置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数1〜6のシリル基、並びにスルホン酸基及びナトリウム塩等のその塩等が挙げられる。
[0053]
本実施形態に用いる(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、強度及び剛性等の観
ク度の上限値は、特に限定されないが、ポリアミドの耐熱性の観点から例えば80%である。
[0083]
ここでいうバイオマス由来の原料とは、ポリアミドの構成成分である上記(a)〜(c)成分のうち、植物等の成分を出発物質として合成することができるモノマーを意味する。例えば、ひまし油の主成分であるリシノレイン酸トリグリセライドから合成することができる、セバシン酸、デカメチレンジアミン、及び11−アミノウンデカン酸、ひまわり種子の成分から合成することができるアゼライン酸、セルロースから合成することができるペンタメチレンジアミン、γ−アミノ酪酸等が挙げられる。
[0084]
バイオマスは、光合成により大気中の炭酸ガスを吸収することにより蓄積されたものであるため、これらを原料としたプラスチックを、使用後に燃焼等によって二酸化炭素を大気中に放出した場合でも、もともと大気中に存在した炭酸ガスであることから、大気中の炭酸ガス濃度は上昇したことにならない。
[0085]
したがって、ポリアミドにおいて、バイオマスプラスチック度が高いことは、環境負荷の低減に非常に有効である。ポリアミドのバイオマスプラスチック度を25%以上に高くする方法としては、ポリアミドを製造する際、上述したバイオマス由来の原料の配合割合を高くする方法等が挙げられる。
[0086]
<25℃の硫酸相対粘度>
本実施形態のポリアミドの分子量は、25℃の硫酸相対粘度ηrを指標とすることができる。
本実施形態のポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrは、ポリアミドの引張強度、高温強度、及びポリアミド組成物の振動疲労特性等の観点から、2.3以上とする。好ましくは2.3〜5.0であり、より好ましくは2.4〜4.0であり、さらに好ましくは2.5〜3.5である。
[0087]
ポリアミドの硫酸相対粘度ηrを2.3以上、好ましくは2.3〜5.0の範囲にすることによって、引張強度、高温強度、及び靭性に優れるポリアミドが得られる。また、後述する無機充填材に代表される成分を含有させた
角速度100rad/sの剪断粘度(η*100)に対する比率(η*1/η*100)が、好ましくは3以下である。
より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2以下である。
上記比率(η*1/η*100)が3以下であることにより、本実施形態のポリアミドにおいて優れた流動性が得られる。
上記比率(η*1/η*100)は、ポリアミドの分子量分布(Mw/Mn)と関係がある。すなわち、Mw/Mnが4以下であることにより、三次元構造化している比率が少なく、さらに高温加工時における分子の三次元化が抑制でき、良好な流動性が得られ、上記比率(η*1/η*100)≦3が実現できる。
所定の角速度におけるポリアミドの剪断粘度は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
[0096]
<融解ピーク温度>
本実施形態のポリアミドの、後述する融解ピーク温度(融点)Tpm−1は、耐熱性の観点から、好ましくは280℃以上、より好ましくは280℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは300℃以上330℃以下であり、さらにより好ましくは310℃以上325℃以下である。
融解ピーク温度Tpm−1が330℃以下であるポリアミドは、押出、成形等の溶融加工における熱分解等をより抑制することができるため好ましい。
ポリアミドの融解ピーク温度(融点)Tpm−1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの構成成分を上記(a)〜(c)成分とし、成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
[0097]
本実施形態のポリアミドにおいて、融解ピーク温度(融点)、結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピーは、JIS−K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。具体的には、以下のとおり測定することができる。
測定装置としては、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いることができる。
可塑化時間安定性に優れたポリアミド、並びに振動疲労特性及び表面外観に優れたポリアミド組成物を提供できる。
[0116]
ポリアミドにおける炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)を制御する方法としては、例えば、成分を上記(a)〜(c)成分を用い、成分の配合比率を上述した範囲に制御する方法等が挙げられる。
[0117]
アミノ基濃度を示す指標である(炭素数/アミド基数)は、ポリアミドにおけるアミド基1個あたりの炭素数の平均値を計算により求めることができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
[0118]
〔ポリアミドの製造方法〕
本実施形態に係るポリアミドの製造方法としては、(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上であり、(2)Mw/Mnが4.0以下であれば、特に限定されるものではなく、上述した(a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸と、(b)少なくとも1種の炭素数8以上のジアミンとを重合させる工程を含む、ポリアミドの製造方法が挙げられる。
本実施形態のポリアミドを得る際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
[0119]
本実施形態に係るポリアミドの製造方法としては、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
[0120]
本実施形態に係るポリアミドの製造方法としては、例えば、以下に例示するように種々の方法が挙げられる:
1)ジカルボン酸、ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維
(2)1,12−ジアミノドデカン(1,12−ドデカメチレンジアミン)(C12DA)(東京化成工業社製)
(3)1,6−ジアミノヘキサン(1,6−ヘキサメチレンジアミン)(C6DA)(東京化成工業社製)
(4)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MC5DA)(東京化成工業製)
(5)オクタメチレンジアミン(C8DA)(東京化成工業社製)
(6)ウンデカメチレンジアミン(C11DA)(東京化成工業社製)
(7)1,9−ノナメチレンジアミン(C9DA)(アルドリッチ社製)
(8)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
[0209]
<ラクタム及び/又はアミノカルボン酸>
(1)ε−カプロラクタム(CPL)(和光純薬工業社製)
[0210]
<無機充填材>
(1)ガラス繊維(GF−1) 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H 数平均繊維径(平均粒径)10μm(断面形状:真円状)、カット長3mm
(2)下記製造例Aのとおり無水マレイン酸共重合体を含む集束剤により処理されたガラス繊維(GF−2)。GF−2の数平均繊維径:7μm(断面形状:真円状)。
〔ガラス繊維の製造例〕
<製造例A>
まず、固形分として、ポリウレタン樹脂2質量%、無水マレイン酸−ブタジエン共重合体4質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%、及びカルナウバワックス0.1質量%となるように水で希釈し、ガラス繊維集束剤を得た。
得られたガラス繊維集束剤を、溶融防糸された数平均繊維径7μmのガラ
系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の350℃)−50℃(ここでは300℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の350℃)−50℃(ここでは300℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分ほどかけながら降圧した。
[0240]
その後、槽内の樹脂温度(液温)の最終温度が約350℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度は約350℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100torr)の減圧下に10分維持し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドのペレットを得た。
[0241]
(ポリアミド組成物の製造)
上記のポリアミド及びガラス繊維を用いてポリアミド組成物の製造を実施した。
2軸押出機(東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)、設定温度Tm2+20℃(実施例1で得られたポリアミドを用いた場合、325+20=345℃)、スクリュー回転数300rpm)を用いて、以下のとおりポリアミド組成物を製造した。該2軸押出機の最上流部に設けられたトップフィード口より、上記水分率を調整したポリアミド(100質量部)を供給し、前記2軸押出機の下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より無機充填材としてガラス繊維を(ポリアミド:ガラス繊維(GF)=50:50)の質量比で供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷
。
なお、引張試験における引張速度は5mm/minで実施した。
該測定結果を表5に示す。
[0262]
〔実施例14〕
ガラス繊維(GF−2)を用いたこと以外は、実施例13に記載した方法と同様にして、ポリアミド組成物ペレットを作製した。
[0263]
得られたポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
なお、引張試験における引張速度は5mm/minで実施した。
該測定結果を表5に示す。
[0264]
[表5]
[0265]
表5に示すように、実施例13のポリアミド組成物は、耐久性及び摺動性に優れていることが分かった。
さらに数平均繊維系が7μmであるGFを使用した実施例14のポリアミド組成物は、より摺動性に優れることが分かった。
[0266]
本出願は、2012年7月9日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2012−153841)、2013年5月8日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2013−098837)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
ものではないが、例えば、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン等が挙げられる。
(ポリアミドの製造)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
(a)脂環族ジカルボン酸としてCHDC750g(4.35モル)、(b)炭素数8
以上のジアミンとしてC10DA750g(4.35モル)を、蒸留水1500gに溶解
させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
上記のポリアミド及びガラス繊維を用いてポリアミド組成物の製造を実施した。
2軸押出機(東芝機械(株)製TEM35、L/D=47.6(D=37mmφ)、設
定温度Tm2+20℃(参考例1で得られたポリアミドを用いた場合、325+20=345℃)、スクリュー回転数300rpm)を用いて、以下のとおりポリアミド組成物を製造した。該2軸押出機の最上流部に設けられたトップフィード口より、上記水分率を調整したポリアミド(100質量部)を供給し、前記2軸押出機の下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より無機充填材としてガラス繊維を(ポリアミド:ガラス繊維(GF)=50:50)の質量比で供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物のペレットを得た。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分、及び
、溶融重合時の添加物として、表1に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに樹脂温度
の最終温度を表1に記載の温度にしたこと以外は、参考例1に記載した方法でポリアミドの重合反応を行って(「熱溶融重合法」)、ポリアミドのペレットを得た。
測定結果を表3に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミドを製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表3に示す。
た。樹脂温度は約325℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100tor
r)の減圧下に25分維持し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し
下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出
して、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分として
、表1に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに樹脂温度の最終温度を表2に記載の温
度にしたこと以外は、比較例1に記載した方法でポリアミドの重合反応を行って(「熱溶
融重合法」)、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分として
、表2に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに溶融重合における樹脂温度の最終温度
を表2に記載の温度にしたこと、さらに樹脂温度が表2に記載の最終温度の状態で、槽内
を真空装置で約53.3kPa(約400torr)の減圧下に25分間維持したこと以
外は、比較例1に記載した方法で、ポリアミドの重合反応を行い、ポリアミドのペレット
を得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
(a)脂環族ジカルボン酸、(b)炭素数8以上のジアミン、(c)共重合成分として
、表2に記載の化合物及び量を用いたこと、並びに溶融重合における樹脂温度の最終温度
を表2に記載の温度にしたこと、さらに樹脂温度が表2に記載の最終温度の状態で、槽内
を真空装置で約80kPa(約600torr)の減圧下に3分間維持したこと以外は、
参考例1に記載した方法で、ポリアミドの重合反応を行い、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
該重合法は、前記特許文献7(特公昭64−2131号公報)に記載されている製法に
準じた。
(a)CHDC1007g(5.85モル)、(b)C11DA832g(4.46モ
ル)、及び(c−2)C6DA161g(1.39モル)を蒸留水500gに溶解させ、
原料モノマーの等モル約80質量%均一水溶液を作った。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内
温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温を約50℃か
ら加熱を続けて210℃とし、オートクレーブの槽内の圧力を、ゲージ圧として(以下、
槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、17.5kg/cm2に保つため水を系
外に除去しながら、加熱を続けた。その後、内温を320℃まで昇温し、槽内の圧力が大
気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。その後
、槽内に窒素ガスを30分間流し、樹脂温度(液温)の最終温度が約323℃になるよう
にヒーター温度を調整し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し下部
紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して
、共重合ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造した後、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「プレポリマー・固相重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
該重合法は、前記特許文献8(国際公開第2002/048239号パンフレット)に
記載されている製法に準じた。
「プレポリマー・固相重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
(a)CHDA1251.2g(7.266モル)、及び(b)C8DA1048.2
g(7.266モル)を蒸留水3000gに溶解させ、等モルの原料モノマーを含む50
質量%水溶液を作製した。
液温約50℃から、オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧
力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、加熱を続けた
。
槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて
、水溶液の濃度が約70%になるまで濃縮した。
その後、内部温度を218℃に昇温した。この時、オートクレーブは22Kg/cm2
まで昇圧した。そのまま1時間、内温が253℃に到達するまで、水蒸気を徐々に抜いて
圧力を22kg/cm2に保ちながら1時間反応させ、数平均分子量(Mn)5000の
プレポリマーを得た。
得られたポリアミドを3mm以下の大きさまで粉砕し、窒素ガスを20L/分の流量で
フローさせながら100℃で24時間乾燥した。この乾燥したプレポリマーをニーダー型
反応押出機((株)プラスチック工学研究所製BT−30)を用いて、300℃、減圧度
0.03MPa、滞留時間10分の条件下で押出してポリアミドを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ADA836g(5.72モル)、HMD664g(5.72モル)を蒸留水1500
gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(
内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブ
の槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)
、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温
は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除
去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系で
の液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18kg/cm2に
なるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30
kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の290℃)−20
℃(ここでは270℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の290℃)−
20℃(ここでは270℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧
(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約290℃になるようにヒーター温度を調整し
た。樹脂温度は約290℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100tor
r)の減圧下に25分維持し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し
下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出
して、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
ADA836g(5.72モル)、HMD664g(5.72モル)を蒸留水1500
gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内
温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの
槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、
約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は
約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去
しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での
液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約18kg/cm2にな
るまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30k
g/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の290℃)−20℃
(ここでは270℃)になるまで加熱を続けた。液温が最終温度(後述の290℃)−2
0℃(ここでは270℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(
ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで60分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約290℃になるようにヒーター温度を調整し
た。樹脂温度は約290℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100tor
r)の減圧下に25分維持し、重合体を得た。その後、得られた重合体を、窒素で加圧し
下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出
して、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
樹脂温度の最終温度を表2に記載の温度にしたこと以外は、比較例8に記載した方法で
ポリアミドの重合反応を行って(「熱溶融重合法」)、ポリアミドのペレットを得た。
得られたポリアミドの各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
また、得られたポリアミドを用いて、参考例1に記載した方法でポリアミド組成物を製造し、ポリアミド組成物の各物性について上記方法に基づいて測定した。
測定結果を表4に示す。
参考例1、実施例2〜5、参考例6、7、実施例8、9、参考例10、実施例11、12で得られたポリアミドとガラス繊維とを含むポリアミド組成物は、表面外観、振動疲労特性に優れることが確認された。
さらに数平均繊維径が7μmであるGFを使用した実施例14のポリアミド組成物は、より摺動性に優れることが分かった。
Claims (23)
- (a)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、
(b)炭素数8以上のジアミンからなる単位と、
を、含有し、下記条件(1)、(2)を満足する、ポリアミド。
(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である。
(2)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下である。 - 融解ピーク温度Tpm-1が、280℃以上である、請求項1に記載のポリアミド。
- 前記(a)脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求項1又は2に記載のポリアミド。
- 前記(a)脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率が65〜80モル%である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 角速度1rad/sの剪断粘度(η*1)の、角速度100rad/sの剪断粘度(η*100)に対する比率(η*1/η*100)が3以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド。
- Tgが90℃以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアミド。
- Tgが115℃以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアミド。
- Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が3.3以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 前記ポリアミドが、(c)下記(c−1)〜(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合成分からなる単位を、さらに含有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアミド。
(c−1)前記(a)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸
(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミン
(c−3)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸 - 前記(b)炭素数8以上のジアミンがデカメチレンジアミンである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、炭素数4〜9の脂肪族ジアミンである、請求項9又は10に記載のポリアミド。
- 前記(c−2)炭素数が前記(b)のジアミンの炭素数以下の前記(b)以外のジアミンが、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載のポリアミド。
- JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、ガラス転移温度Tgとの差(Tpc-1−Tg)が140℃以上である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 炭素数とアミド基数との比(炭素数/アミド基数)が8以上である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のポリアミド。
- JIS−K7121に準じた示差走査熱量測定において、20℃/minで冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-1と、当該結晶化ピーク温度Tpc-1の測定後、50℃/minで再度冷却したときに得られる結晶化ピーク温度Tpc-2との差(Tpc-1−Tpc-2)が10℃以下である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 前記(c)共重合成分の含有量が、ポリアミドの全構成成分量100モル%に対し、7.5モル%以上20.0モル%以下である、請求項9乃至15のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 前記ポリアミドが、重合工程の少なくとも一部において固相重合工程を経て得られるポリアミドである、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のポリアミド。
- バイオマスプラスチック度が25%以上である、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のポリアミド。
- 請求項1乃至18のいずれか一項に記載のポリアミドと、
無機充填材、造核剤、潤滑剤、安定剤、及び前記ポリアミド以外のポリマーからなる群より選ばれる1種以上の成分と、
を含むポリアミド組成物。 - 請求項1乃至18のいずれか一項に記載のポリアミドと、
数平均繊維径が3〜9μmであるガラス繊維と、
を含むポリアミド組成物。 - 請求項1乃至18のいずれか一項に記載のポリアミド、又は請求項19若しくは20に記載のポリアミド組成物を含む成形品。
- 請求項1乃至18のいずれか一項に記載のポリアミド、又は請求項19若しくは20に記載のポリアミド組成物を含む摺動部品。
- 自動車部品、電子部品、家電部品、OA機器部品、携帯機器部品からなる群より選ばれるいずれかである、請求項21に記載の成形品。
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