JP6649053B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は結晶性樹脂であり、剛性、強度、靭性、摺動性、及びクリープ性に優れた樹脂材料であるため、従来から、自動車部品、電気・電子部品、及び工業部品などの機構部品用材料等として広範囲に亘って用いられている。
さらにポリアセタール樹脂は、利用分野の拡大によって、益々要求性能が高くなっているのが現状である。
このような要求特性として、ポリアセタール樹脂が本来有する高い性能、例えば、上記のような優れた機械特性バランスを有しながら、過酷な使用環境下、特に高温高湿下においても、金属防錆性や、クリープ特性に優れていることが要求されている。
ポリアセタール樹脂成形部品は金属部品との組み合わせで使用されることが多く、例えば、ポリアセタール樹脂製ギアと金属製の軸との組み合わせとして用いた場合が挙げられる。このようなポリアセタール樹脂成形部品と金属部品との組み合わせにおいて、高温高湿下で使用した場合、ポリアセタール樹脂製ギアに残存する、あるいは押出又は成形加工時のポリマー分解により生成したホルムアルデヒド、ギ酸等の影響、もしくは添加されている安定剤の影響により、金属部品の腐食を進行させるおそれがある。このため、特に過酷な使用環境下における金属防錆性を向上させることが要求されている。
また、近年、自動車内装で用いられる部品への耐久性の要求が高まってきており、従来の大気中でのクリープ特性だけではなく、更に厳しい高温高湿下でのクリープ特性が重要となってきている。
上述したような特性向上の要求を解決するために、従来から、さまざまな技術が提案されている。
例えば、ホルムアルデヒドは、窒素含有化合物、例えば、アミン化合物、アミド化合物、尿素化合物とのメチロール化反応を生じることが知られており、その中でも、ポリアミドとのメチロール化反応が広く知られている。
かかる特性を利用し、例えば、ポリアセタール樹脂に微結晶セルロースとポリアミド3元共重合体(6/66/610)を添加する方法(例えば、下記特許文献1参照。)、ポリアセタール樹脂にポリβ―アラニン共重合体を添加する方法(例えば、下記特許文献2参照。)、ポリアセタール樹脂にポリアミド3元共重合体(6/66/610)と金属含有化合物を添加する方法(例えば、下記特許文献3参照。)、ポリアセタール樹脂にポリアミド3元共重合体(6/66/610)と変性ポリアセタール樹脂を添加する方法(例えば、下記特許文献4参照。)、及びポリアセタール樹脂と酸化防止剤を溶融混練後、80℃、6時間以上乾燥し、さらにホルムアルデヒド捕捉剤を添加する方法(例えば、下記特許文献5参照。)が提案されている。
国際公開第09/15840号 特開平8−199039号公報 特開平10−1594号公報 特開2002−332393号公報 特開2010−189463号公報
しかしながら、従来提案されている各種の方法で得られるポリアセタール樹脂組成物は、熱安定性が十分ではないため、押出又は成形加工時でのポリマー分解により生成するホルムアルデヒド量を十分に低減することが困難であり、ポリマー中に生成したホルムアルデヒドが残留しやすくなるため、特に高温高湿環境下においては、ポリアセタール樹脂組成物部品の近辺にある金属部品の腐食の抑制や、クリープ特性が満足し得るものではない、という問題を有している。
そこで本発明においては、過酷な環境下、特に高温高湿下における金属防錆性、及びクリープ特性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、(A)ポリアセタール樹脂と、所定の構造を有するポリアミドを、それぞれ所定量含有するポリアセタール樹脂組成物が、前記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
(B)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、炭素数8以上のジアミン
からなる単位と、を含有するポリアミド0.05〜3質量部と、
を、含有する、ポリアセタール樹脂組成物。
〔2〕
前記(B)ポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である、前記〔1〕に
記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔3〕
前記(B)ポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下
である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔4〕
前記(B)ポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1が、280℃以上である、前記〔1〕乃
至〔3〕のいずれか一に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔5〕
前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、前記〔1〕
乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔6〕
前記脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率が65〜80モル
%である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアセタール樹脂組成物。
本発明によれば、高温高湿環境下における金属防錆性が高く、かつ優れたクリープ特性を有するポリアセタール樹脂組成物が得られる。
実施例における金属防錆性の評価方法を説明するための概略図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリアセタール樹脂組成物〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、
(A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
(B)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、炭素数8以上のジアミンからなる単位と、を、含有するポリアミド0.0001〜3質量部と、を、含有する。
((A)ポリアセタール樹脂)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含まれる(A)ポリアセタール樹脂は、ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみからなるポリアセタールホモポリマー;ホルムアルデヒド単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコール、ジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、又は環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマー;単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー;多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマー等をいう。
さらに、(A)ポリアセタール樹脂としては、両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマー;同じく両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと環状エーテルや環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーも含まれる。
<ポリアセタールホモポリマー>
前記ポリアセタールホモポリマーは、例えば、モノマーであるホルムアルデヒド、連鎖移動剤(分子量調節剤)及び重合触媒を、炭化水素系重合溶媒を導入した重合反応器にフィードし、スラリー重合法により重合することにより製造することができる。
この際、原料モノマーや連鎖移動剤、重合触媒には、連鎖移動可能な成分(不安定末端基を生成する成分)、例えば、水やメタノール及び蟻酸が含まれているため、まずこれら連鎖移動可能な成分の含有量を調整することが好ましい。
この時の連鎖移動可能な成分の含有量は、モノマーであるホルムアルデヒドに対して、好ましくは1〜1000ppmの範囲であり、より好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは1〜300ppmである。
連鎖移動可能な成分量を上記範囲に調整することにより、熱安定性に優れるポリアセタール樹脂ホモポリマーを得ることができる。
ポリアセタールホモポリマーの分子量は、無水カルボン酸又はカルボン酸等の分子量調節剤を用いて連鎖移動させることにより調整することができる。
分子量調節剤としては、特に無水プロピオン酸、無水酢酸が好ましく、より好ましくは無水酢酸である。
分子量調節剤の導入量は、目的とするポリアセタールホモポリマーの特性(特にメルトフローレート)に応じて調節し決定する。例えば、ポリアセタールホモポリマーは、メルトフローレート(MFR値(ISO1133に準拠))が、0.1〜100g/10分の範囲になるようにすることが好ましく、より好ましくは1.0g/10分〜70g/10分の範囲になるようにする。
ポリアセタールホモポリマーのMFR値を上記範囲とすることにより、機械強度に優れるポリアセタールホモポリマーを得ることができる。
重合触媒としては、アニオン系重合触媒が好ましく、下記一般式(I)で表されるオニウム塩系重合触媒がより好ましい。
[R1234M]+- ・・・(I)
(式(I)中、R1、R2、R3、R4は、各々、独立にアルキル基を示し、Mは孤立電子対を持つ元素を示し、Xは求核性基を示す。)
重合触媒としては、オニウム塩系重合触媒が挙げられ、当該オニウム塩系重合触媒のなかでも、テトラエチルホスホニウムイオダイド、トリブチルエチルホスホニウムイオダイドのような第4級ホスホニウム塩系化合物や、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジステアリルアンモニウムアセテートのような第4級アンモニウム塩系化合物が好ましい。
これら第4級ホスホニウム塩系化合物や第4級アンモニウム塩系化合物の添加量は、ホルムアルデヒド1モルに対して0.0003〜0.01molであることが好ましく、より好ましくは0.0008〜0.005molであり、さらに好ましくは0.001〜0.003molである。
炭化水素系重合溶媒としては、ホルムアルデヒドと反応しない溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼンなどの溶媒が挙げられる。
これらの炭化水素系溶媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできるが、ヘキサンが特に好ましい。
ポリアセタールホモポリマーの重合工程においては、先ず、粗ポリアセタールホモポリマーを得、続いて、後述するように、不安定末端基に対して安定化処理を施す。
粗ポリアセタールホモポリマーを製造する重合装置は、モノマーであるホルムアルデヒド、連鎖移動剤(分子量調節剤)、重合触媒と炭化水素系重合溶媒を同時に供給できる装置であれば特に限定されるものではないが、生産性の観点から連続式重合装置が好ましい。
重合工程により得られた粗ポリアセタールホモポリマーは、重合体の末端基が熱的に不安定であるので、この不安定末端基をエステル化剤やエーテル化剤等でポリマー末端基を封鎖し、安定化処理することが好ましい。
エステル化による粗ポリアセタールホモポリマーの末端安定化方法は、粗ポリアセタールホモポリマーと、前記エステル化剤及びエステル化触媒とを、炭化水素系溶媒を導入した末端安定化反応機にそれぞれ投入し、反応させることによって行うことができる。
この時の反応温度は130〜155℃であり、反応時間は1〜100分間であることが好ましく、反応温度が135〜155℃であり、反応時間が5〜100分であることがより好ましく、反応温度が140〜155℃であり、反応時間が10〜100分であることがさらに好ましい。
上記粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を封鎖し安定化する前記エステル化剤としては、下記一般式(II)で表される酸無水物を用いることができる。
5COOCOR6 ・・・(II)
(式(II)中、R5、R6は、各々、独立にアルキル基を示す。R5、R6は、同じであっても異なっていてもよい。)
当該エステル化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水酢酸が挙げられ、好ましくは無水酢酸である。
これらエステル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記エステル化触媒としては、炭素数1〜18のカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、その添加量は、ポリアセタールホモポリマーに対して、1〜1000ppmの範囲で適宜選択することができる。
炭素数1〜18のカルボン酸のアルカリ金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸が蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプリル酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、当該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。
これらカルボン酸金属塩の中でも、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、及び酢酸カリウムのアルカリ金属塩が好ましい。
上述した粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を、エーテル化により封鎖し、安定化することも可能である。
この場合のエーテル化剤としては、脂肪族又は芳香族酸と、脂肪族、脂環式族又は芳香族アルコールとのオルトエステル、例えば、メチル又はエチルオルトホルメート、メチル又はエチルオルトアセテート及びメチル又はエチルオルトベンゾエート、及びオルトカーボネート、具体的にはエチルオルトカーボネートから選択し、p−トルエンスルホン酸、酢酸及び臭酸のような中強度有機酸、ジメチル及びジエチルスルフェートのような中強度鉱酸等のルイス酸型の触媒を用いて得ることができる。
粗ポリアセタールホモポリマーの末端基を、エーテル化により封鎖し、安定化するときの、当該エーテル化反応に用いる溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼン等の低沸点脂肪族有機溶媒;脂環式族及び芳香族炭化水素系有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化低級脂肪族等の有機溶媒が挙げられる。
上記の方法により末端基が安定化されたポリアセタールホモポリマーを、熱風式乾燥機や真空乾燥機等の乾燥機を用いて、100〜150℃に調整した窒素ガスを封入し、水分を除去して乾燥することにより、目的とするポリアセタールホモポリマーが得られる。
<ポリアセタールコポリマー>
ポリアセタールコポリマーは、以下に限定されるものではないが、例えば、コモノマーとして1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコール、ジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、又は環状ホルマールを用い、これらと前記トリオキサン等のモノマーとを共重合させることにより製造することができる。
共重合させるコモノマーの割合は、トリオキサン1molに対して0.1〜60mol%であることが好ましく、0.1〜20mol%であることがより好ましく、0.13〜10mol%であることがさらに好ましい。
コモノマーの割合が上記範囲であれば、より機械的強度に優れたポリアセタール樹脂ペレットが得られる。
また、ポリアセタールコポリマーの重合における重合触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ルイス酸、プロトン酸及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が挙げられる。
ルイス酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。
また、プロトン酸及びそのエステル又は無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルが好ましいものとして挙げられる。
上記例示されたポリアセタールコポリマーの重合方法としては、特に限定されるものではないが、前記スラリー重合法の他に、例えば、塊状重合法で行ってもよく、バッチ式、連続式のいずれも適用可能である。
重合装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混錬機、2軸パドル型連続混合機等のセルフクリーニング型押出混錬機が挙げられる。
溶融状態のモノマーが前記重合機に供給され、重合の進行とともに固体塊状のポリアセタールコポリマーが得られる。
以上の重合で得られたポリアセタールコポリマーには、熱的に不安定な末端部〔−(OCH2n−OH基〕が存在する場合があるため、この不安定な末端部の分解除去処理を実施することが好ましい。不安定な末端部の分解除去方法としては、公知の方法で行うことができる。
以上のように、本実施形態においては、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーいずれも用いることが可能である。
この中でも、好ましいのはポリアセタールホモポリマーである。
((B)ポリアミド)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、(B)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、炭素数8以上のジアミンからなる単位とを有するポリアミド0.0001〜3質量部を、含有する。
また、前記(B)ポリアミドは、下記条件(1)及び/又は(2)を満足することが好ましい。
(1)25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である。
(2)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に用いられるポリアミドは、脂環族ジカルボン酸からなる単位を含有する。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に用いる脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂環構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸、好ましくは脂環構造の炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
本実施形態に用いる脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
本実施形態に用いる脂環族ジカルボン酸としては、本実施形態のポリアミドの耐熱性、低吸水性、強度及び剛性等の観点で、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
本実施形態に用いる脂環族ジカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体及びシス体の幾何異性体が存在する。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に用いられる(B)ポリアミドは、炭素数8以上のジアミンからなる単位を含有する。
前記炭素数8以上のジアミンとしては、炭素数8以上のジアミンであれば特に限定されず、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等の置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでもよく、脂環族ジアミンでも、芳香族ジアミンでもよい。
本実施形態に用いる炭素数8以上のジアミンにおける炭素数は、低吸水性(吸水性を低くする)の観点から8以上とし、高温強度及び融点を高くする観点から20以下、すなわち8〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に用いる(B)ポリアミドを構成する炭素数8以上のジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられる。
前記炭素数8以上のジアミンとしては、耐熱性、低吸水性、強度及び剛性等の観点で、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンが好ましく、より好ましくは、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンであり、さらに好ましくは、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンであり、さらにより好ましくはデカメチレンジアミンである。
前記デカメチレンジアミンとしては、結晶性をより高める観点から、1,10−位にアミノ基を有する直鎖デカン骨格を有する1,10−デカメチレンジアミンが好ましい。
また、1,10−デカメチレンジアミンは、バイオマス由来の原料であるという観点からも好ましい。
デカメチレンジアミンとしては、無置換の1,10−デカメチレンジアミンでも、置換基を有する置換1,10−デカメチレンジアミンでもよい。当該置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
前記炭素数8以上のジアミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に用いる(B)ポリアミドにおいて、少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸と、炭素数8以上のジアミンとの含有割合は、同モル量であることが好ましい。そのため、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に用いるポリアミドを得る際の原料単量体として、ジカルボン酸の使用量とジアミンの使用量とは、同モル量付近であることが好ましい。具体的には、重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
(B)ポリアミドを重合する際に、上記の成分以外に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物;モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類等が挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、以下に限定されるものではないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環族モノカルボン酸;並びに安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;等が挙げられる。
モノカルボン酸は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;並びにアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン;ピロリジン、ピペリジン、3−メチルピペリジンなどの環状アミン等が挙げられる。
モノアミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(ポリアミドの特性)
<トランス異性体比率>
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含まれる(B)ポリアミドにおいて、脂環族ジカルボン酸構造は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
(B)ポリアミド中、脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率は、(B)ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体である比率を表す。
当該トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは65〜80モル%である。
(B)ポリアミド中、脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率は、上記範囲内であることが好ましい。
(B)ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの重合方法、並びに重合条件を制御する方法等が挙げられる。
熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した重合条件で製造することが必要となる。具体的には、例えば、重合圧力を23〜50kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは25kg/cm2(ゲージ圧)以上の高圧に制御し、加熱を続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する方法等が挙げられる。
(B)ポリアミド中の前記トランス異性体比率は、例えば、ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、得られた溶液を1H−NMRで測定することにより求めることができる。
具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、1H−NMR測定における、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積と、シス異性体に由来する1.77ppm及び1.86ppmのピーク面積との比率からトランス異性体比率を求めることができる。
<25℃の硫酸相対粘度>
(B)ポリアミドの分子量は、25℃の硫酸相対粘度ηrを指標とすることができる。
(B)ポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrは、強度、高温強度、及びポリアセタール樹脂組成物の振動疲労特性等の観点から、2.3以上であることが好ましい。より好ましくは2.3〜5.0であり、さらにより好ましくは2.4〜4.0であり、さらにより好ましくは2.5〜3.5である。
(B)ポリアミドの硫酸相対粘度ηrを好ましくは2.3以上、より好ましくは2.3〜5.0の範囲にすることによって、生産性に優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
(B)ポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてリン酸や次亜リン酸ナトリウムのような公知の重縮合触媒を加える方法、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてのジアミンの添加量を調整する方法、及び末端封止剤の添加量を低減化する方法、並びに及び加熱条件や減圧条件のような重合条件を制御し脱水を促進する方法等が挙げられる。
ポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrの測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K6920に準じて行うことができる。
<分子量分布>
(B)ポリアミドの分子量分布は、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)を指標とする。
(B)ポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、強度、高温強度、及びポリアセタール樹脂組成物の振動疲労特性等の観点から、4.0以下であることが好ましい。より好ましくは1.5〜3.5であり、さらに好ましくは1.5〜3.3であり、さらにより好ましくは1.5〜3.0であり、よりさらに好ましくは1.5〜2.5である。
分子量分布の下限は1.0である。
(B)ポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)を4.0以下の範囲にすることによって、生産性に優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
(B)ポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてリン酸や次亜リン酸ナトリウムのような公知の重縮合触媒を加える方法、並びに及び加熱条件や減圧条件のような重合条件を制御する方法等が挙げられる。
ポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)の測定は、下記実施例に記載するように、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて得られたMw(重量平均分子量)、Mn(数平均分子量)を使用して計算することができる。
<融解ピーク温度>
(B)ポリアミドの融解ピーク温度(融点)Tpm-1は、耐熱性の観点から、好ましくは280℃以上であり、より好ましくは280℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは300℃以上330℃以下であり、さらにより好ましくは310℃以上325℃以下である。
(B)ポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1が330℃以下であることにより、押出、成形等の溶融加工における熱分解等を抑制することができるため好ましい。
(B)ポリアミドの融解ピーク温度(融点)Tpm-1を前記範囲内に制御する方法としては、例えば、使用するジアミン、ジカルボン酸の種類や配合比率を変える方法等が挙げられる。
(B)ポリアミドにおいて、融解ピーク温度(融点)や、結晶化ピーク温度、及び結晶化エンタルピーは、JIS−K7121に準じて、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。具体的には、以下のとおり測定することができる。
測定装置としては、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いることができる。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する条件とする。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れるピークを融解ピーク温度Tpmとする。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却する。
続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する。このときに現れるもっとも高温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れる吸熱ピークを融解ピーク温度Tpm-2とする。
(B)ポリアミドにおいては、前記融解ピーク温度Tpmと前記融解ピーク温度Tpm-1との差(Tpm−Tpm-1)が30℃以下であることが好ましく、0〜20℃の範囲であることがより好ましく、0〜10℃の範囲であることがさらに好ましい。
<ポリアミドのポリマー末端>
(B)ポリアミドのポリマー末端は、以下のように分類し、定義される。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシル末端、3)封止剤による末端、及び4)その他の末端である。
(B)ポリアミドのポリマー末端とは、ジカルボン酸とジアミンとがアミド結合により重合したポリマー鎖の末端部分を意味する。
前記ポリアミドのポリマー末端は、これら1)〜4)の末端のうちの1種以上である。
1)アミノ末端は、アミノ基(−NH2基)が結合したポリマー末端であり、原料のジアミンに由来する。
2)カルボキシル末端は、カルボキシル基(−COOH基)が結合したポリマー末端であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)封止剤による末端は、重合時に添加した、カルボン酸又はアミンにより封止されたポリマー末端である。
4)その他の末端は、上記の1)〜4)に分類されないポリマー末端であり、例えば、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端や、カルボキシル末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
(B)ポリアミドのアミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}は、特に限定されるものではないが、0.3以上であることが好ましい。より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。本実施形態のポリアミドのアミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}の上限値は、1.0未満であることが好ましい。
(B)ポリアミドのアミノ末端量とカルボキシル末端量との総量に対するアミノ末端量の比{アミノ末端量/(アミノ末端量+カルボキシル末端量)}を制御する方法としては、例えば、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてのジアミン及び末端封止剤の添加量、並びに重合条件を制御する方法が挙げられる。
ポリマー末端に結合するアミノ末端量は、中和滴定により測定することができる。具体的には、ポリアミド3.0gを90質量%フェノール水溶液100mLに溶解し、得られた溶液について0.025Nの塩酸で滴定を行い、アミノ末端量を求める。終点はpH計の指示値から決定する。
ポリマー末端に結合するカルボキシル末端量は、中和滴定により測定することができる。
具体的には、ポリアミド4.0gをベンジルアルコール50mLに溶解し、得られた溶液について0.1NのNaOHで滴定を行い、カルボキシル末端量を求める。終点はフェノールフタレイン指示薬の変色から決定する。
(B)ポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、上述した少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸と、少なくとも1種の炭素数8以上のジアミンとを重合させる工程を含む、ポリアミドの製造方法が挙げられる。
(B)ポリアミドを得る際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9〜1.2であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.1であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
本実施形態に係るポリアミドの製造方法としては、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
(B)ポリアミドの製造方法としては、例えば、以下に例示するように種々の方法が挙げられる:
1)ジカルボン酸、ジアミン塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
3)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(「溶液法」)。
中でも、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましく、熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。
溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した重合条件で製造することが必要となる。
例えば、該熱溶融重合法における重合圧力を23〜50kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは25kg/cm2(ゲージ圧)以上の高圧に制御し、加熱を続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する方法などが挙げられる。このような製造方法により得られるポリアミドは、上述した条件(1)25℃の硫酸相対粘度が2.3以上、(2)Mw/Mnが4.0以下や、上述した<トランス異性体比率>等の特性を満たすことができる。
(B)ポリアミドの製造方法において、得られるポリアミド中の、脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率を85%以下に維持して重合することが好ましく、特に、当該トランス異性体比率を80%以下、より好ましくは65〜80%である。
(B)ポリアミドを製造する方法としては、1)熱溶融重合法、及び2)熱溶融重合・固相重合法による製造方法が好ましい。
このような製造方法であると、ポリアミドにおけるトランス異性体比率を80%以下に維持することが容易であり、また、得られるポリアミドは色調及び可塑化時間安定性に優れる。さらに、該ポリアミドを含むポリアセタール樹脂組成物は、表面外観に優れる。
(B)ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。
ポリアミドの重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、及びニーダー等の押出機型反応器などが挙げられる。
(B)ポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、以下に記載するバッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造することができる。
バッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した重合条件で製造することが必要となる。
水を溶媒として、ポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.35〜6kg/cm2(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約23〜50kg/cm2(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約23〜50kg/cm2(ゲージ圧)に保つ。ここで、溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成に適した圧力が必要であり、特に炭素数の大きいジアミンを用いた際には容器における圧力が25kg/cm2(ゲージ圧)以上であることが好ましい。容器における温度が約250〜350℃に達した時点で、容器における圧力を大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0kg/cm2)。ここで、溶融状態を保持するためには、加熱を続けながら、20分以上かけながら降圧することが好ましい。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素などの不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。樹脂温度(液温)の最終温度は溶融状態を保持するためTpm-1より10℃以上高い方が好ましい。当該ストランドを、冷却、カッティングしてポリアミドのペレットを得ることができる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、(B)ポリアミドは、上述した(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.0001〜3質量部含有されており、0.0001〜2質量部含有されていることが好ましく、0.001〜1質量部含有されていることがより好ましい。
(B)ポリアミドの含有量が前記範囲であれば、熱安定性に優れたポリアセタール樹脂組成物を提供することができる。
(添加剤)
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤やギ酸捕捉剤などの安定剤、耐候安定剤、離型剤、潤滑剤、導電剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、染顔料、顔料、あるいは無機充填剤又は有機充填剤等を添加してもよい。
これらの添加剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤が好ましい。
当該ヒンダートフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3'−メチル−5'−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4 −ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン‐3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(ナイロン(登録商標)4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、及びこれらの重合体、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等が挙げられる。
上記他に、例えば、アミド化合物、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの縮合物、尿素、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物が挙げられる。
前記アミド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、アントラニルアミド、ポリアクリルアミド共重合体が挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等が挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの付加物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンが挙げられる。
前記アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
前記尿素誘導体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物が挙げられる。
前記N−置換尿素としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アーリル置換尿素が挙げられる。
前記尿素縮合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、尿素とホルムアルデヒドの縮合体等が挙げられる。
前記ヒダントイン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。
前記ウレイド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アラントイン等が挙げられる。
前記ヒドラジン誘導体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒドラジド化合物を挙げることができる。
前記ヒドラジド化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジカルボン酸ジヒドラジドが挙げられ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等が挙げられる。
イミド化合物の具体例としてはスクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドが挙げられる。
これら熱安定剤の中では、ポリアミド系樹脂が好ましく、さらには、後述するアクリルアミド重合体も好ましい熱安定剤として用いることができる。
上述した各種熱安定剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱安定剤の添加量としては、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.001〜3質量部であり、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。
ポリアセタール樹脂に対する熱安定剤の添加量を前記範囲にすることで、熱安定性に優れるポリアセタール樹脂ペレットを得ることができる。
ギ酸捕捉剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、上記のアミノ置換トリアジン化合物やアミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えばメラミン・ホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができる。
その他のギ酸捕捉剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩又はアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物;上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩、さらには層状複水酸化物が挙げられる。
前記カルボン酸塩のカルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。
飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウム、12ヒドロキシステアリン酸カルシウムが挙げられ、中でも好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシジステアリン酸カルシウムが挙げられる。
ギ酸補捉剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記耐候安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、蓚酸アニリド系化合物、及びヒンダードアミン系光安定剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
これらの化合物はそれぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記蓚酸アリニド系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、
2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、
2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、
2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドなどが挙げられる。
これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、
4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(フェニルアトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、
ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、
1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、
α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、
1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、などが挙げられる。
前記ヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも好ましい耐候安定剤は、
2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、
ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。
前記離型剤及び潤滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーンが好ましいものとして挙げられる。
離型剤及び潤滑剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
前記導電剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、導電性カーボンブラック、金属粉末又は繊維が挙げられる。
導電剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂としては、上述した樹脂の変性物も含まれる。
熱可塑性エラストマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
熱可塑性エラストマーは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
染顔料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
無機系顔料とは樹脂の着色用として一般的に使用されているものを言い、以下に限定されるものではないが、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が挙げられる。
有機系顔料とは、以下に限定されるものではないが、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である等の顔料が挙げられる。
染顔料は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無機系顔料及び有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。無機系顔料とは、樹脂の着色用として一般的に使用されている顔料を言い、例えば、硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を言う。有機系顔料とは、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である。顔料の添加割合は色調により大幅に変わるため明確にすることは難しいが一般的には、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.05〜5質量部の範囲で用いられる。
顔料は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。
その他の樹脂は1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状の充填剤が用いられる。
繊維状充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維が挙げられる。
また、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー類も含まれる。
粉粒子状充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイト等の珪酸塩;酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。
板状充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔が挙げられる。
中空状充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等が挙げられる。
有機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機繊維状充填剤が挙げられる。
これらの充填剤は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
これらの充填剤は表面処理された充填剤、未表面処理の充填剤、何れも使用可能であるが、成形表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施された充填剤の使用の方が好ましい場合がある。
表面処理剤としては、特に限定されず、従来公知の表面処理剤が使用可能である。
表面処理剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤、樹脂酸、有機カルボン酸、有機カルボン酸の塩等、界面活性剤が使用できる。
表面処理剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。
〔ポリアセタール樹脂組成物ペレットの製造方法〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造する方法は特に制限するものではない。
一般的には、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)ポリアミドと、必要に応じて上述した所定の成分を、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダー等で混合した後、1軸又は多軸の押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより得られる。
中でも、ベント減圧装置を備えた押出機による混練が、生産性の観点から好ましい。
また、予め混合することなく、定量フィーダーなどで各成分を単独あるいは数種類ずつまとめて押出機に連続フィードすることもできる。
また、予め各成分からなる高濃度マスターバッチを作製しておき、押出溶融混練時にポリアセタール樹脂で希釈することもできる。
混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、一般的には、140〜260℃の範囲、好ましくは180〜230℃の範囲とする。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を大量に安定して製造するには、単軸又は二軸の押出機が好適に用いられる。
押出後の溶融ポリアセタール樹脂組成物のペレット化の方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ホットカット方式、アンダーウォーターカット方式、ストランドカット方式等が用いられる。
これらの中でも特にホットカット方式が、生産性及びホルムアルデヒド溶出量の低減という観点から好ましい。
ホットカット時の温度は180〜230℃が好ましい。
またホットカット方式の場合、例えば、空冷式、水冷式等の方法でペレットを冷却することが必要となるが、これらの中でも特に水などの冷媒による冷却が好ましい。
冷却温度としては20℃以上が好ましく、より好ましくは25〜60℃であり、さらに好ましくは30〜60℃であり、さらにより好ましいのは40〜50℃の温度である。
冷媒の温度がこの範囲であれば、溶出ホルムアルデヒドの少ないポリアセタール樹脂ペレットを提供することができる。
ポリアセタール樹脂組成物ペレットを乾燥する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、箱型乾燥機(常圧、真空)、トンネル及びバンド乾燥機、回転及び通気回転乾燥機、溝型撹拌乾燥機、流動層乾燥機、多段円盤乾燥機、噴霧乾燥機、気流乾燥機、赤外線乾燥機、高周波乾燥機などを用いた乾燥方法が挙げられる。
これらの中でも、箱型乾燥機、回転及び通気回転乾燥機、溝型撹拌乾燥機、流動層乾燥機、多段円盤乾燥、機気流乾燥機が好ましく、さらに好ましくは生産性の観点から流動層乾燥機である。
乾燥温度としては、熱媒体の温度として80℃以上が好ましく、より好ましくは100℃〜160℃、更に好ましくは145℃〜155℃である。
媒体の温度としてこのような温度であれば溶出ホルムアルデヒドの少ないポリアセタール樹脂ペレットを提供することができる。
これらの製造方法の中でも、特にホットカット方式でペレット化し、20℃以上の冷媒を用いた冷却を行うことが好ましい。
〔成形体〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形する方法については、特に制限するものではなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法の何れかによって成形することができる。
これらの中でも、安定生産性の観点から射出成形法が好ましい。
〔用途〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物からなる成形品は、優れた機械的バランスを有し、熱安定性、及び高温高湿雰囲気での金属防錆性が高く、更にはWetクリープ特性にも優れる。
従って様々な用途の成形品に使用することが可能である。
例えば、ギア、カム、スライダー、レバー、軸、軸受け及びガイド等に代表される機構部品;アウトサート成形の樹脂部品;インサート成形の樹脂部品;シャーシ、トレー、側板、プリンター及び複写機に代表されるデジタルビデオカメラ、カメラ及びデジタルカメラに代表されるカメラ;ビデオ機器用部品;カセットプレイヤー;音楽、映像又は情報機器;通信機器用部品;電気機器用部品;に用いられる。
また、自動車用の部品として、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品;ドア廻り部品;シートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品;スイッチ類が好適に使用される。
さらに、住宅設備機器に代表される工業部品としても好適に使用できる。
以下、本実施形態について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において適用した測定方法を下記に示す。
〔測定方法〕
<金属防錆性の評価方法>
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物により、(株)東芝製IS−100GN射出成形機を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度80℃で、縦40mm、横40mm、厚さ3mmの試験片を作製した。
この試験片と、縦40mm、横40mm、厚3mmの亜鉛板を、図1に示すように、蒸留水50mLが入ったポリエチレン広口瓶の中に吊るし、密閉した。
この密閉した容器を80℃×2週間の条件で加熱した。その後、容器の中から亜鉛板を取り出して表面状態を観察し、金属防錆性を以下の基準で評価した。
(金属防錆性の評価基準)
1:亜鉛板表面の錆が試験片と向き合っている面の90%以上の面積範囲で観察された。
2:亜鉛板表面の錆が試験片と向き合っている面の50%以上、90%未満の面積範囲で観察された。
3:亜鉛板表面の錆が試験片と向き合っている面の10%以上、50%未満の面積範囲で観察された。
4:亜鉛板表面の錆が試験片と向き合っている面の5%以上、10%未満の面積範囲で観察された。
5:亜鉛板表面の錆が試験片と向き合っている面でほとんど観察されなかった。
<Wetクリープ特性の評価方法>
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物により、(株)東芝製IS−100GN射出成形機を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度80℃で縦110mm×横6.5mm×厚さ3mmの短冊状の試験片を作製した。
試験片を用いて、東洋精密製作所(株)製クリープ試験機100−6により、荷重応力19MPaの引張応力で、温度80℃、相対湿度70%の環境下で、試験片が破壊されるまでの時間を測定した。
Wetクリープ特性は、n=5で測定した数値の平均値とした。
破壊されるまでの時間が長いほど、Wetクリープ性に優れると判断した。
<ポリアミドB−1の25℃の硫酸相対粘度(ηr)測定方法>
後述するポリアミドB−1の硫酸相対粘度の測定を、JIS−K6920に準じて実施した。
具体的には、98%硫酸を用いて、ポリマー溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を調製し、25℃の温度条件下で測定した。
<ポリアミドB−1の融点ピーク温度Tpm-1(℃)測定方法>
ポリアミドB−1の、融解ピーク温度(Tpm-1)は、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定は、窒素雰囲気下で行った。
先ず、試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温する条件とした。このときに現れる吸熱ピークを融解ピークとし、もっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpmとした。
続いて、350℃で3分間保った後、冷却速度20℃/minで350℃から50℃まで冷却した。
続いて、50℃で3分間保った後、再度昇温速度20℃/minで50℃から350℃まで昇温した。このときに現れるもっとも高温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-1とし、もっとも低温側に現れたピークを融解ピーク温度Tpm-2とした。
<ポリアミドB−1Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)>
ポリアミドB−1のMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、東ソー株式会社製、HLC−8020、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒、PMMA(ポリメチルメタクリレート)標準サンプル(ポリマーラボラトリー社製)換算)で測定したMw(重量平均分子量)と数平均分子量(Mn)を用いて計算した。
<ポリアミドB−1のトランス異性化率>
ポリアミドB−1のトランス異性化率を以下のとおり求めた。
ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、得られた溶液を用い、1H−NMRを測定した。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、1H−NMR測定における、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppm及び1.86ppmのピーク面積との比率からポリアミドにおけるトランス異性体比率を求めた。
〔原料成分〕
実施例、及び比較例に用いた原料成分について下記に示す。
<(A)ポリアセタール樹脂>
攪拌羽根を具備する重合反応器をn−へキサンで満たし、精製ホルムアルデヒドガス(水分量:110ppm)と、重合触媒(ジメチルジステアリルアンモニウムアセテート)と、分子量調節剤(無水酢酸)とを、夫々連続的にフィードし、重合反応させた。
このときの重合反応温度は58℃とした。
得られた粗ポリアセタールホモポリマーを、n−ヘキサンと無水酢酸との1対1混合溶媒で満たした反応容器に投入し、150℃で2時間攪拌を行い、粗ポリアセタールホモポリマーの不安定末端をエステル化処理した。
この時のポリマー、並びに「n−ヘキサン及び無水酢酸の1対1混合溶媒」の質量比(スラリー濃度)は、「n−ヘキサン及び無水酢酸との1対1混合溶媒」100に対してポリマー20とした。
ポリアセタールホモポリマーの末端安定化処理が終了した後、反応容器から「n−ヘキサン及び無水酢酸の1対1混合溶媒」とポリアセタールホモポリマーとを取り出し、n−ヘキサン溶媒を加えてポリアセタールホモポリマーを繰り返し洗浄し、無水酢酸を洗い落とした。
洗浄回数は、ポリアセタールホモポリマー中の無水酢酸濃度が10ppm以下になるまで繰り返した。
その後、120℃で3時間、−700mmHgの条件でポリアセタールホモポリマーを減圧乾燥し、洗浄に用いたn−へキサン溶媒を除去し、更に、120℃に設定した加熱式乾燥機を用いて5時間乾燥し、ポリアセタールホモポリマー中に含まれる水分を除去し、MFR2.5g/10minのパウダー状(平均粒子径が200μm)ポリアセタールホモポリマーを得た。
ポリアセタールポリマーの平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した。
<(B)ポリアミド>
[製造例1:ポリアミド(B−1)]
脂環族ジカルボン酸として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸750g(4.35モル)、炭素数8以上のジアミンとして1,10−ジアミノデカン750g(4.35モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル約50質量%均一水溶液を調製した。
得られた水溶液と、溶融重合時の添加物である1,10−ジアミノデカン17g(0.10モル)とを、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内(以下、単に「槽内」とも記す。)の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。
槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。
水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。
槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため、水を系外に除去しながら、最終温度(後述の350℃)−50℃(ここでは300℃)になるまで加熱を続けた。
液温が最終温度(後述の350℃)−50℃(ここでは300℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分ほどかけながら降圧した。
その後、槽内の樹脂温度(液温)の最終温度が約350℃になるようにヒーター温度を調整した。
樹脂温度は約325℃のまま、槽内を真空装置で約13.3kPa(約100torr)の減圧下に10分維持し、重合体を得た。
その後、得られた重合体を、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミド(B−1)のペレットを得た。
得られたポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%未満になるように調整後、上述した方法により各物性を測定した。
このポリアミド(B−1)の25℃の硫酸相対粘度(ηr)は2.4、Mw/Mnは3.3、融解ピーク温度Tpm-1は334℃、トランス異性体比率は70mol%であった。
[製造例2:アクリルアミド共重合体(B−2)]
攪拌機を具備するバッチ式の5Lの反応機に、アクリルアミド2400gとメチレンビスアクリルアミド267g、触媒としてジルコニウムテトライソプロポキシド0.54g(アクリルアミドに対し1/10000mol)を加え、N2気流中で攪拌しながら125℃で4時間反応させた。
反応終了後に、固形物を凍結粉砕機で粉砕し、アセトンで洗浄した。
その後、120℃で20時間、−700mmHgの減圧度で減圧乾燥した。
第一級アミド基の含有量は44.7mol%、平均粒子径は55μmであった。
アクリルアミド重合体(B−2)の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した。
[ポリアミド(B−3)]
ポリアミド66を用いた。
平均粒子径は58μm、融解ピーク温度Tpm-1262℃であった。
[ポリアミド(B−4)]
ポリアミド6/66/610共重合体を用いた。
平均粒子径は60μmであった。
融解ピーク温度Tpm-1℃185℃であった。
〔実施例1〕
上記製造した(A)ポリアセタール樹脂であるパウダー状のポリアセタールホモポリマー100質量部と、(B−1)ポリアミド0.05質量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕0.15質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。
この混合物を200℃に設定されたL(スクリュー長)/D(スクリュー内径)=48の40mmベント付2軸押出機のトップフィード口からフィードし、スクリュー回転数200rpm、ベント減圧度−0.08MPa、吐出量50kg/hrで溶融混錬し、押出機ダイス出口でホットカット方式によりペレット化した後、当該ペレットを40℃に調整された温水中に投入し、一定時間撹拌後、遠心分離機により水分を除去し、流動層式熱風乾燥機に投入し、熱風温度150℃で3時間乾燥することによりポリアセタール樹脂ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂ペレットの耐金属防錆性、Wetクリープ特性を、上述した方法により評価した。
評価結果を下記表1に示す。
〔実施例2〜4〕
(B−1)ポリアミドの添加量を、下記表1に示した割合に変更した以外、は前記〔実施例1〕と同様にしてポリアセタール樹脂ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂ペレットの金属防錆性、Wetクリープ特性を、上述した方法により評価した。
評価結果を下記表1に示す。
〔比較例1〕
上記製造した(A)ポリアセタール樹脂である、パウダー状のポリアセタールホモポリマー100質量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止としてトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕0.15質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合して混合物を得た。
この混合物を200℃に設定されたL(スクリュー長)/D(スクリュー内径)=48の40mmベント付2軸押出機のトップフィード口からフィードし、スクリュー回転数200rpm、ベント減圧度−0.08MPa、吐出量50kg/hrで溶融混錬し、押出機ダイス出口でホットカット方式によりペレット化した後、当該ペレットを40℃に調整された温水中に投入し、一定時間撹拌後、遠心分離機により水分を除去し、流動層式熱風乾燥機に投入し、熱風温度150℃で3時間乾燥することによりポリアセタール樹脂ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂ペレットの金属防錆性、Wetクリープ特性を、上述した方法により評価した。
評価結果を下記表1に示す。
〔比較例2〜8〕
ポリアミドの種類、添加量を、表1に示した割合に変更した以外は、前記〔比較例1〕と同様にしてポリアセタール樹脂ペレットを得た。
得られたポリアセタール樹脂ペレットの金属防錆性、Wetクリープ特性を、上述した方法により評価した。
評価結果を下記表1に示す。
表1に示したように、実施例1〜4で得られたポリアセタール樹脂組成物からなる成形品は、高温高湿雰囲気での金属防錆性に優れ、かつ、Wetクリープ特性に優れていることが分かった。
一方、比較例1〜8で得られたポリアセタール樹脂組成物からなる成形品は、高温高湿雰囲気での金属防錆性が劣り、更にはWetクリープ特性が悪化することが確認された。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、自動車、電機・電子、その他工業などの幅広い分野で好適に利用できる。

Claims (6)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100質量部と、
    (B)少なくとも1種の脂環族ジカルボン酸からなる単位と、炭素数8以上のジアミン
    からなる単位と、を含有するポリアミド0.05〜3質量部と、
    を、含有する、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記(B)ポリアミドの25℃の硫酸相対粘度ηrが2.3以上である、請求項1に記
    載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記(B)ポリアミドのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下
    である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記(B)ポリアミドの融解ピーク温度Tpm-1が、280℃以上である、請求項1乃至
    3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求項1乃
    至4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 前記脂環族ジカルボン酸に由来する部分におけるトランス異性体比率が65〜80モル
    %である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
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