JPWO2013179368A1 - 生体用電極パッド - Google Patents

Abstract

【課題】体動ノイズに妨げられずに心電信号を計測し得る生体用電極パッドを提供することにある。【解決手段】生体の皮膚に装着されて電気信号を検出し、その電気信号を心電計に供給する生体用電極パッドにおいて、前記皮膚に沿って延在するとともに網状をなす電極と、前記電極に重ねられて前記皮膚の表面に沿って延在する導電ゲルシートと、互いに重なった状態の前記電極と前記導電ゲルシートとを覆う軟質の保護シートと、を具えることを特徴としている。【選択図】図１

Description

この発明は、生体の皮膚に装着されて電気信号を検出し、その電気信号を心電計に供給する生体用電極パッドに関し、特には、体動ノイズに妨げられずに心電信号を安定して計測し得る生体用電極パッドに関するものである。

従来の生体用電極パッドとしては、例えば本願出願人が先に提案した特許文献１記載のものが知られており、ここにおける生体用電極パッドは、各々生体の所定部位の皮膚表面に導電ゲルを介して接触する互いに面積の異なる複数の電極を持ち、心電計は、この電極パッドを複数、生体の皮膚表面に接触させて、それらの電極パッドのそれぞれの何れか一つの電極からの信号同士の差分をとることで原心電信号を求めるとともに、それらの電極パッドのそれぞれについて相対的に面積の小さい方の電極と面積の大きい方の電極とからの信号同士の差分をとることで体動ノイズ信号を求め、それらの体動ノイズ信号の低周波成分を原心電信号から除去することで、体動ノイズに妨げられずに心電信号を計測し得るようにしている。なお、体動ノイズ信号は、電極と導電ゲルとの間や導電ゲルと皮膚表面との間に生ずる分極電位やインピーダンスが体動によって変動することで発生すると考えられる。

特開２００６−２３１０２０号公報

ところで、上記従来の生体用電極パッドについて本願発明者がさらに研究を進めたところ、以下の如き課題が新たに知見された。すなわち、上記従来の電極パッドでは、皮膚表面の動きに追従しない硬い電極によって心電信号を検出していたことから、体動があると電極が部分的に皮膚表面から離れたり皮膚表面に近接したりして、分極電位やインピーダンスの大きな変動が生じてしまい、体動ノイズに妨げられない心電信号の計測のためには未だ改良の余地があるということが判明した。

この発明は、上述の点に鑑みて従来の生体用電極パッドの課題を有利に解決するものであり、この発明の生体用電極パッドは、生体の皮膚に装着されて電気信号を検出し、その電気信号を心電計に供給する生体用電極パッドにおいて、前記皮膚の表面に沿って延在するとともに網状をなす電極と、前記電極に重ねられて前記皮膚の表面に沿って延在する導電ゲルシートと、互いに重なった状態の前記電極と前記導電ゲルシートとを覆う軟質の保護シートと、を具えることを特徴とするものである。

かかる生体用電極パッドにあっては、生体の所定部位の皮膚表面に当該生体用電極パッドを装着すると、当該電極パッドの網状をなす電極が、充分な面積で皮膚表面に沿って延在して、皮膚表面に対し導電ゲルシートを介してもしくは直接接触し、皮膚表面の動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら電気信号を検出して出力する。またその網状の電極と重ねられる導電ゲルシートも、生体の実質的にその電極と同じ部位にて充分な面積で皮膚表面に沿って延在し、その導電ゲルシートの導電ゲルが電極の網目間を通って浸出して、網目を形成する導電体の表面の多くの部分と接触することで電極と充分な面積で接触するとともに皮膚表面とも充分な面積で接触し、皮膚表面の動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら電気信号を検出して電極に伝える。そして軟質の保護シートは、電極と導電ゲルシートとを覆って保護するとともに、電極と導電ゲルシートとが皮膚表面の動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮することを許容する。

従って、この発明の生体用電極パッドによれば、電極と導電ゲルシートとが皮膚表面に充分な面積で接触するとともに互いに充分な面積で接触するので、その電極で充分なレベルの心電信号を検出することができ、しかも電極と導電ゲルシートとが皮膚表面の動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら心電信号を検出するので、体動によって皮膚表面に動きがあっても分極電位やインピーダンスの大きな変動が生じず、それゆえ体動ノイズ信号のレベルも抑えられるため、体動ノイズに妨げられずに心電信号の計測を行うことができる。

なお、この発明の生体用電極パッドにおいては、前記電極は、前記導電ゲルシートと前記保護シートとの間に位置していると好ましく、このようにすれば、網状の電極が導電ゲルシートと保護シートとで挟まれて保護されるので、網状の電極が当該生体用電極パッドの使用中に解けたり不本意に変形したりするのを防止することができる。

上記の場合に、この発明の生体用電極パッドにおいては、前記保護シートは、前記電極の周縁よりも外側まで延在して裏面の粘着材で導電ゲルシートと粘着するものであると好ましく、このようにすれば、網状の電極全体が保護シートと導電ゲルシートとで包み込まれるので、網状の電極をより確実に保護することができる。

その一方、この発明の生体用電極パッドにおいては、前記導電ゲルシートは、前記電極と前記保護シートとの間に位置していても好ましく、このようにすれば、網状の電極が皮膚表面に直接接触するので、心電信号をより高レベルで検出することができる。

（ａ）および（ｂ）は、この発明の生体用電極パッドの第１実施例を示す断面図およびその実施例の電極パッドの電極を模式的に示す斜視図であり、（ｃ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図である。 （ａ）および（ｂ）は、この発明の生体用電極パッドの第２実施例を示す断面図およびその実施例の電極パッドの電極を模式的に示す斜視図であり、（ｃ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図である。 （ａ）は、この発明の生体用電極パッドの第３実施例を示す断面図であり、（ｂ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図である。 （ａ）は、この発明の生体用電極パッドの第４実施例を示す断面図であり、（ｂ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図である。

以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図１（ａ）および（ｂ）は、この発明の生体用電極パッドの第１実施例を示す断面図およびその実施例の電極パッドの電極を模式的に示す斜視図、また図１（ｃ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図であり、図中、符号１はこの実施例の電極パッドを示す。

この実施例の生体用電極パッド１は、生体の皮膚に装着されて電気信号を検出し、その電気信号を心電計に供給するものであって、図１（ａ）に示すように、電極２と、図ではその電極２の下側に重ねられた導電ゲルシート３と、それら電極２と導電ゲルシート３とを図では上側から覆う軟質の保護シート４と、電極２に電気的に接続された接続端子５とを具えており、ここで、電極２は、図１（ｂ）に示すように、例えば全体として導電体としての銅線等の金属線により編み上げられて概ね平坦な円形の網状をなしていて、導電ゲルシート３と保護シート４との間に位置している。なお、図示例では金属線がその金属表面を露出させるとともにその両端部を互いに接続されて網が解けないようにループ状をなしているが、金属線の両端部は互いに接続されていなくてもよい。また、導電ゲルシート３は、電極２より大きい円形の例えば布状の基体に粘着性を持つ導電ゲルを浸透させた通常のものであり、後述のようにその周辺部で保護シート４の裏面の外周端部に粘着し、電極２の全体を保護シート４との間に包み込んで挟持固定するとともに、その導電ゲルが電極２の網目間を通って浸出して、保護シート４の裏面の中間部に粘着する。

そして保護シート４は、主として例えば円形をなす通常の樹脂フィルム等の軟質の非導電性材料からなるとともに、その非導電性材料の裏面（図では下面）全体に接着されたフェルト層４ａを持つものであって、中間部４ｂと外周縁部４ｃとを有し、その中間部４ｂは、電極２と導電ゲルシート３とを図では上側から覆うとともに、フェルト層４ａと電極２の網目間を通って浸出する導電ゲルシート３の導電ゲルとの粘着によってそれら電極２と導電ゲルシート３とを積層状態で保持し、またその中間部４ｂに連なって電極２の延在方向（図では左右方向）で電極２の外側に位置する外周縁部４ｃは、電極２の周縁よりも外側に位置する導電ゲルシート３の外周縁部をフェルト層４ａと導電ゲルシート３の導電ゲルとの粘着によって保持し、網状の電極２の全体を導電ゲルシート３との間に包み込んで保護する。

また接続端子５は、網状の電極２の中央部と保護シート４の中間部４ｂとの間に挟まれて位置して電極２に例えば直接接触あるいは半田付け等により電気的に接続された小さな円盤状の基部５ａと、その基部５ａから保護シート４の中間部４ｂの貫通孔４ｄを通って保護シート４の外側に突出する紡錘状の接続部５ｂとを有しており、これら基部５ａと接続部５ｂとは全体として例えばプラスチック製の基材により一体に形成されるとともに、その表面が良導電性金属である例えば銀メッキや塩化銀メッキもしくは塩化銀コーティング等により被覆されている。

そしてこの実施例の生体用電極パッド１には、当該電極パッド１の不使用時に上記導電ゲルシート４の全体を覆って保護するように、導電ゲルシート４から剥がしやすい表面処理がされた通常のフィルムからなる図示しない剥離シートが設けられている。

この実施例の生体用電極パッドにあっては、剥離シートを剥がして、図１（ｃ）に示すように、生体の所定部位の皮膚表面Ｓに当該生体用電極パッド１を装着するとともに、その生体用電極パッド１の接続端子５の接続部５ｂを図示しない心電計に接続すると、当該電極パッド１の網状をなす電極２が、充分な面積で皮膚表面Ｓに沿って延在して、皮膚表面にＳ対し導電ゲルシート３を介して接触し、皮膚表面Ｓの動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら電気信号を検出して出力する。またその網状の電極２と重ねられる導電ゲルシート３も、生体の実質的にその電極２と同じ部位にて充分な面積で皮膚表面Ｓに沿って延在し、その導電ゲルシート３の導電ゲルが電極２の網目間を通って浸出して、網目を形成する金属線の表面の多くの部分と接触することで電極２と充分な面積で接触するとともに皮膚表面Ｓとも充分な面積で接触し、皮膚表面Ｓの動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら電気信号を検出して電極２に伝える。そして軟質の保護シート４が、電極２と導電ゲルシート３とを覆って保護するとともに、電極２と導電ゲルシート３とが皮膚表面Ｓの動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮することを妨げず許容する。

従って、この実施例の生体用電極パッド１によれば、電極２と導電ゲルシート３とが皮膚表面Ｓに充分な面積で接触するとともに互いに充分な面積で接触するので、その電極２で充分なレベルの心電信号を検出して接続端子５から心電計に供給することができ、しかも電極２と導電ゲルシート３とが皮膚表面Ｓの動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら心電信号を検出するので、体動によって皮膚表面Ｓに動きがあっても分極電位やインピーダンスの大きな変動が生じず、それゆえ体動ノイズ信号のレベルも抑えられるため、体動ノイズに妨げられずに心電信号の計測を行うことができる。

さらに、この実施例の生体用電極パッド１によれば、電極２は、導電ゲルシート３と保護シート４との間に位置していることから、網状の電極２が導電ゲルシート３と保護シート４とで挟まれて保護されるので、網状の電極２が当該生体用電極パッド１の使用中に解けたり不本意に変形したりするのを防止することができる。

しかもこの実施例の生体用電極パッド１によれば、保護シート４は、電極２の周縁よりも外側まで延在して裏面のフェルト層４ａで導電ゲルシート３と粘着しているため、網状の電極２の全体が保護シート４と導電ゲルシート３とで包み込まれるので、網状の電極２をより確実に保護することができる。

図２（ａ）および（ｂ）は、この発明の生体用電極パッドの第２実施例を示す断面図およびその実施例の電極パッドの電極を模式的に示す斜視図、また図２（ｃ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図であり、図中、先の実施例におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。

この実施例の生体用電極パッド１は、先の実施例における接続端子５の代わりに、図２（ｂ）に示すように、電極２を形成する金属線の一部を他の部分から延出させて接続部２ａを形成し、その金属線からなる接続部２ａを、保護シート４の中間部４ｂの貫通孔４ｄを通して保護シート４の外側に突出させている点のみ、先の実施例と異なっており、他の点は先の実施例と同様に構成している。

この実施例の生体用電極パッド１でも、先の実施例と同様の作用効果を奏することができ、特にこの実施例によれば、例えばプラスチック製の基材により形成される硬い接続端子５を設けずに、電極２を形成する金属線の一部を他の部分から延出させて心電計への接続部２ａを形成することから、図２（ｃ）に示すように、電極２がより柔軟に皮膚表面Ｓに沿って変形あるいは伸縮するので、体動ノイズ信号のレベルをより抑えられるため、心電信号の検出レベルをより高めることができ、しかも生体用電極パッド１をより安価に構成することができる。

図３（ａ）は、この発明の生体用電極パッドの第３実施例を示す断面図、また図３（ｂ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図であり、図中、先の実施例におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。

この実施例の生体用電極パッド１は、電極２と導電ゲルシート３との積層順が先の第１実施例と異なって、図３（ａ）に示すように、導電ゲルシート３が、電極２と保護シート４との間に位置している。また電極２が、導電ゲルシート３および保護シート４とほぼ同じ大きさを有している。そしてこの実施例の生体用電極パッド１では、接続端子５の小さな円盤状の基部５ａは、網状の電極２の中央部と導電ゲルシート３との間に挟まれて位置して電極２に例えば直接接触あるいは半田付け等により電気的に接続され、その基部５ａから突出する紡錘状の接続部５ｂは、導電ゲルシート３を貫通するとともに保護シート４の中間部４ｂの貫通孔４ｄを通って保護シート４の外側に突出しており、他の点は先の第１実施例と同様に構成している。

この実施例の生体用電極パッド１でも、先の第１実施例と同様の作用効果を奏することができ、特にこの実施例によれば、図３（ｂ）に示すように、網状の電極２が皮膚表面Ｓに直接接触するので、心電信号をより高レベルで検出することができる。

図４（ａ）は、この発明の生体用電極パッドの第４実施例を示す断面図、また図４（ｂ）は、その実施例の電極パッドを皮膚表面への装着状態で示す断面図であり、図中、先の実施例におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。

この実施例の生体用電極パッド１は、電極２と導電ゲルシート３との積層順が先の第２実施例と異なって、図４（ａ）に示すように、導電ゲルシート３が、電極２と保護シート４との間に位置している。また電極２が、導電ゲルシート３および保護シート４とほぼ同じ大きさを有している。そして電極２の金属線からなる接続部２ａは、導電ゲルシート３を貫通して、保護シート４の中央部の貫通孔４ｄから外部に突出しており、他の点では先の実施例と同様に構成している。

この実施例の生体用電極パッド１でも、先の第２実施例と同様の作用効果を奏することができ、特にこの実施例によれば、図４（ｂ）に示すように、網状の電極２が皮膚表面Ｓに直接接触するので、心電信号をより高レベルで検出することができ、しかも接続端子５を設けずに、電極２を形成する金属線の一部を他の部分から延出させて心電計への接続部２ａを形成するので、生体用電極パッド１をより安価に構成することができる。

以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば上記実施例では電極２を形成する金属線がその金属表面を露出させているが、電極２を形成する金属線の表面を、良導電性金属である例えば銀メッキや塩化銀メッキもしくは塩化銀コーティング等により被覆しても良く、また上記実施例では金属線を編み上げて網状の電極を形成しているが、電極２を、金属板等からプレスでの打ち抜きやエッチング等により升目状の網状に形成しても良い。

かくしてこの発明の生体用電極パッドによれば、電極と導電ゲルシートとが皮膚表面に充分な面積で接触するとともに互いに充分な面積で接触するので、その電極で充分なレベルの心電信号を検出することができ、しかも電極と導電ゲルシートとが皮膚表面の動きに柔軟に追従して変形あるいは伸縮しながら心電信号を検出するので、体動によって皮膚表面に動きがあっても分極電位やインピーダンスの大きな変動が生じず、それゆえ体動ノイズ信号のレベルも抑えられるため、体動ノイズに妨げられずに心電信号の計測を行うことができる。

１ 生体用電極パッド
２ 電極
２ａ 接続部
３ 導電ゲルシート
４ 保護シート
４ａ フェルト層
４ｂ 中間部
４ｃ 外周縁部
４ｄ 貫通孔
５ 接続端子
５ａ 基部
５ｂ 接続部
Ｓ 皮膚表面

Claims (4)

1. 生体の皮膚に装着されて電気信号を検出し、その電気信号を心電計に供給する生体用電極パッドにおいて、
   前記皮膚に沿って延在するとともに網状をなす電極と、
   前記電極に重ねられて前記皮膚の表面に沿って延在する導電ゲルシートと、
   互いに重なった状態の前記電極と前記導電ゲルシートとを覆う軟質の保護シートと、
   を具えることを特徴とする生体用電極パッド。
2. 前記電極は、前記導電ゲルシートと前記保護シートとの間に位置することを特徴とする、請求項１記載の生体用電極パッド。
3. 前記保護シートは、前記電極の周縁よりも外側まで延在して裏面の粘着材で導電ゲルシートと粘着することを特徴とする、請求項２記載の生体用電極パッド。
4. 前記導電ゲルシートは、前記電極と前記保護シートとの間に位置することを特徴とする、請求項１記載の生体用電極パッド。

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