本願発明は、複数の建物の間において、ユーティリティからの情報に対応して、消費エネルギーを制御するための技術に関するものである。
家(一戸建てあるいは集合住宅)やオフィスビル等の建物では、消費エネルギーを制御する。このために、機器種類別に、消費エネルギーの許容値を制限する方法や、センシング情報を基に、単体機器に対して自動運転制御する方法が、一般的に用いられている。その結果、建物内でのピーク消費電力の抑制や、単体機器のエネルギー利用効率の向上が可能となる。
例えば、特許文献1に記載の技術では、各機器の電力消費情報を収集し、系統別に消費電力を学習、ランク分けする。そして、消費電力が許容電力を上回った場合には、各々の系統のランク毎に、消費電力を合計する。そして、その合計値が、学習した消費電力と比較して過剰な機器から、消費電力を制御する。
また、特許文献2に記載の技術では、特定種類の機器の消費電力を収集し、収集した消費電力を基に、該種類の機器の消費電力が最小レベルとなる制御法を求める。そして、こうして、消費電力が最小レベルである制御法を求めると共に、この求められた制御法によって、該種類の機器を制御した場合の省エネルギー効果を予測する。そして、この予測の予測結果を、省エネルギー対策案として、該種類の全ての機器に対して実施する。
特開平11−178247号公報
特開2003−158823号公報
これらの技術により、建物内のピーク消費電力を抑制することや、単体機器のエネルギー利用効率の向上を図ることができる。しかしながら、建物全体のエネルギー機器(エネルギー需要機器、エネルギー蓄積機器…)全てに対する最適な制御、及びその制御での制御経験(制御経験情報)の伝授を行うことができない。
また、再生エネルギー利用拡大により、電力価格や電力構成が動的に変動すると考えられる。このため、その変動に対応した、建物まるごとの消費エネルギーを抑制する技術の確立が必要である。
一方、同じ地域にある、同様な複数の建物の間で、天候も同じで、電気会社やガス会社との利用契約も同じであるにも関わらず、建物の使用者によって、消費されるエネルギーや、そのコストなどに大きな差を生じることがある。それは、基本的に、使用者の使用スタイルや、機器に対する使用の仕方、又は運転設定の違いなどによって生じたものである。単体機器の場合には、マニュアルにより、使用者に、適切な省エネ使用方法を伝えることができる。しかし、機器が、組み合わせで使用された場合の省エネ方法については、使用者に伝えることは困難であり、使用者が、自分の知識や経験に頼らざるを得なかった。
本願発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、機器の組み合わせに対する、適切な省エネ制御経験(省エネ制御経験情報)を、建物の間で送信し、地域での省エネ制御方法の、自動的かつ迅速な普及が可能な省エネ制御経験情報の伝授方法(エネルギー管理装置)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願発明の一態様では、エネルギー管理装置は、建物でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置であって、前記建物内で使用されるエネルギー機器と内部通信ネットワークで接続されており、前記内部通信ネットワークにより、前記エネルギー機器の機能(を特定する情報)と、性能スペック情報とを予め収集して、機器プロファイル(情報)として保存する機器情報処理部と、前記エネルギー機器の運転経歴、及び、運転に伴って消費された、第1の時間単位でのエネルギーに関する消費エネルギー経歴(例えば、そのエネルギ量を示す情報)を収集する機器運転処理部と、前記消費エネルギー経歴を、消費エネルギー経歴プロファイルとして保存する消費エネルギー経歴管理部と、第2の時間単位での消費エネルギーの合計が互いに同等である複数の前記消費エネルギー経歴プロファイルのうちから、所定基準により評価される量が、当該所定基準により最適と評価(特定)される前記消費エネルギー経歴を抽出し、抽出された前記消費エネルギー経歴が含まれる最適消費エネルギーパターンを作成する制御経歴処理部と、作成された前記最適消費エネルギーパターンを、前記建物外で、かつ、隣接する他の建物内でのエネルギーの需給を管理する、当該エネルギー管理装置である第1のエネルギー管理装置とは別の第2のエネルギー管理装置に、第1の外部通信ネットワーク経由で送信する制御経歴転送処理部とを備えるエネルギー管理装置である。
また、他の一態様では、エネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置)は、建物でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置であって、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物外で、かつ、隣接する他の建物内でのエネルギーの需給を管理する第1のエネルギー管理装置から最適消費エネルギーパターンを受信する制御経歴転送処理部と、受信された前記最適消費エネルギーパターンに含まれた機器プロファイルが有する、当該第2のエネルギー管理装置の機器プロファイルと比較した類似度が、所定以上の類似度であり、かつ、受信された前記最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置の有している最適消費エネルギーパターンと比較して、所定基準に基づいて、より優れる場合に、受信された前記最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物内での各エネルギー機器の運転の参考計画として受け入れ、実施する機器制御適用部とを備えるエネルギー管理装置である。
なお、エネルギーの需給を管理するとは、例えば、エネルギー機器による、エネルギーの入出力などの動作を制御をすることなどをいう。機器プロファイルは、例えば、エネルギー機器の種類を特定する情報などである。2つが互いに同等であるとは、他方が、一方から所定範囲内であることでもよいし、一方と同じであることなどでもよい。最適と評価されるとは、算出される上述の量が、最も適切な量であることなどをいう。隣接するとは、予め定められた距離よりも離れているのでなく、その距離以内であることなどをいう。
上記の態様によれば、互いに知り合わない、同地域の複数の建物の使用者の間でも、省エネ制御経験情報を共有することができる(図16等を参照)。そして、個別の建物だけでなく地域全体で、消費エネルギーコストを抑えることや、CO2排出量の削減などを図ることができる。
適切な制御が簡単にされることと、行われる制御が十分適切であることとが両立できる。
図1は、処理の概要を示す図である。
図2は、エネルギー管理装置の構成を示す図である。
図3は、システム構成を示す図である。
図4は、管理サーバのある場合のシステム構成を示す図である。
図5は、機器プロファイルを示す図である。
図6は、消費エネルギー経歴プロファイルを示す図である。
図7は、ユーティリティ情報を示す図である。
図8は、最適消費エネルギーパターンを示す図である。
図9は、使用環境プロファイルを示す図である。
図10は、送信側、受信側のエネルギー管理装置を示す図である。
図11は、送信側、受信側のエネルギー管理装置と、他のエネルギー管理装置とを示す図である。
図12は、送信側、受信側のエネルギー管理装置と、他のエネルギー管理装置とを示す図である。
図13は、ユーティリティ会社と、エネルギー管理装置とを示す図である。
図14は、送信側、受信側のエネルギー管理装置を示す図である。
図15は、4つのエネルギー管理装置を示す図である。
図16は、本システムの一例を示す図である。
以下、本発明を実施する形態について、図面を参照して説明される。
実施形態におけるエネルギー管理装置A(第1のエネルギー管理装置101a(図11、図10、図1等)、エネルギー管理装置101(図2)など)は、建物(第1の建物11a(図1等))でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置である。エネルギー管理装置Aは、前記建物内で使用されるエネルギー機器(機器12a)と内部通信ネットワーク(内部通信ネットワーク102a:図3)で接続されている。エネルギー管理装置Aは、機器情報処理部(機器情報処理部301)と、機器運転処理部(機器運転処理部302)と、消費エネルギー経歴管理部(消費エネルギー経歴管理部305)と、制御経歴処理部(制御経歴処理部306)と、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)とを備えるエネルギー管理装置である。機器情報処理部(機器情報処理部301)は、前記内部通信ネットワークにより、前記エネルギー機器の機能を特定する情報と、性能スペック情報とを予め収集して、機器プロファイル(機器プロファイル510、機器の情報512:図5など参照)として保存する。機器運転処理部(機器運転処理部302)は、前記エネルギー機器の運転経歴、及び、運転に伴って消費された、第1の時間単位でのエネルギーに関する消費エネルギー経歴を収集する。消費エネルギー経歴管理部(消費エネルギー経歴管理部305)は、前記消費エネルギー経歴を、消費エネルギー経歴プロファイル(消費エネルギー経歴プロファイル610、運転経歴情報615:図6参照)として保存する。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、第2の時間単位での消費エネルギーの合計(消費エネルギー総量612:図6参照)が互いに同等である複数の前記消費エネルギー経歴プロファイルのうちから、所定基準により評価される量が、当該所定基準により最適と評価される前記消費エネルギー経歴を抽出する。ここで、第2の時間単位は、第2の時間区間611での時間単位である。所定基準は、後記の基準<1>〜<4>などであり、所定基準により評価される量は、消費エネルギー量6153、CO2排出相当量6155等からの量、これらの量から算出される算出量などである。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、抽出された前記消費エネルギー経歴が含まれる最適消費エネルギーパターン(最適消費エネルギーパターン810:図8参照)を作成する。制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、作成された前記最適消費エネルギーパターンを、前記建物(第1の建物11a)外で、かつ、隣接する他の建物(第2の建物11b)内でのエネルギーの需給を管理する第2のエネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置101b)に、第1の外部通信ネットワーク(外部通信ネットワーク103:図3)経由で送信する。
なお、例えば、こうして、予め収集された、機能の情報と、性能スペックの情報とが含まれてなる機器プロファイルが生成されて、保存されてもよい。また、例えば、上述のようにして、所定基準により比較的適切と評価される消費エネルギー経歴が抽出されてもよい。
また、実施形態におけるエネルギー管理装置B(第2のエネルギー管理装置101b(図11等)、エネルギー管理装置101等(図10、図2等))は、建物(第2の建物11b)でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置である。エネルギー管理装置Bは、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)と、機器制御適用部(機器制御適用部307)とを備えるエネルギー管理装置である。制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物(第2の建物11b)外で、かつ、隣接する他の建物(第1の建物11a)内でのエネルギーの需給を管理する第1のエネルギー管理装置(第1のエネルギー管理装置101a)から最適消費エネルギーパターン(最適消費エネルギーパターン810h)を受信する。機器制御適用部(機器制御適用部307)は、受信された前記最適消費エネルギーパターンに含まれた機器プロファイル(機器プロファイル510)が有する、当該第2のエネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置101b)の機器プロファイルと比較した類似度が、所定以上の類似度(後で詳述される)であり、かつ、受信された前記最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置の有している(第2のエネルギー管理装置で作成された)最適消費エネルギーパターンと比較して、所定基準(例えば、基準<1>〜<4>での、優劣の基準)に基づいて、より優れる(と判定される)場合に、受信された前記最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物内での各エネルギー機器の運転の参考計画として受け入れ、実施する。
なお、前記所定基準により評価される前記量は、比較的長い前記第2の時間単位よりも短い第1の時間単位での消費エネルギーの総量、又は、前記第2時間単位でのCO2総排出相当量でもよい。なお、これらの量から算出される算出量が評価されてもよい。評価されるとは、つまり、例えば、その量(算出量)から、その量の評価値であって、他の評価値との間の差により、他の評価値の量と、その量との間の優劣が示される評価値を算出することである。
そして、例えば、最適と評価されるとは、上記された、複数の消費エネルギー経歴のうちで最も評価が高いことである。例えば、消費エネルギーの総量が最も少ないと評価されることである。
また、例えば、一方の機器プロファイルが、他方の機器プロファイルに対して有する類似度が、所定以上の類似度であるとは、一方の機器プロファイルが、後述される、第1の機器プロファイルと、第2の機器プロファイルとのうちの、第1の機器プロファイルであることでもよい。ここで、第1の機器プロファイルとは、当該第1の機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御が、他方の機器プロファイルを有する第2のエネルギー管理装置において可能である機器プロファイルである。第2の機器プロファイルは、当該第1の機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御が、他方の機器プロファイルを有する第2のエネルギー管理装置において可能ではない機器プロファイルである。
より具体的には、所定以上の類似度であるとは、一方の機器プロファイルが、他方の機器プロファイルと同一であることなどをいう。
つまり、例えば、同一の機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御は可能である一方で、同一ではない機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御は、可能ではなくてもよい。
以下、詳しく説明される。
図1は、実施形態の複数の建物が、任意の2つの建物(例えば2つの家)の場合における、2つの建物のうちの一方の建物A(第1の建物11a)から、他方の建物B(第2の建物11b)へ、最適省エネ制御経験(最適省エネ制御経験情報)を伝授する、全体的な処理の概要を示す。以下、エネルギー管理装置101と、システム1の構成、及び、各構成部の詳細処理を開示する。なお、最適省エネ制御経験情報については、適宜、単に制御経験と略称される。他の種類の経験情報についても、この例と同様に、適宜略称される。
(1)エネルギー管理装置の構成
図2は、エネルギー管理装置101の内部構成を示す図である。
システム1は、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとの2つのエネルギー管理装置101を含む(図1、11など)。
エネルギー管理装置101(図2)は、主に、CPU201、記憶部202と通信I/F(interface)203から構成される。
CPU201には、機器情報処理部301、機器運転処理部302、制御経歴転送処理部303、ユーティリティ情報処理部304、消費エネルギー経歴管理部305、制御経歴処理部306、機器制御適用部307が含まれる。つまり、例えば、CPU201により、これら機器情報処理部301等の各機能ブロックの機能が実現される。
記憶部202には、機器消費エネルギー情報保存部311が含まれる。
通信I/F203には、第1通信部321、第2通信部322、第3通信部323が含まれる。
なお、エネルギー管理装置101の一部又は全部は、例えば、CPU201、記憶部202等を含んだコンピュータでもよい。そして、機器情報処理部301等のそれぞれの機能ブロックは、このコンピュータによりプログラムが実行されることにより、エネルギー管理装置101に実現されてもよい。なお、機器情報処理部301は、CPU201の機能と共に、記憶部202などの他の機能が用いられることにより、エネルギー管理装置101に実現されてもよい。機器情報処理部301以外の他の機能ブロックについても、同様である。
機器情報処理部301は、第1通信部321を用いて、当該エネルギー管理装置101が設けられた建物(図15の対象建物11x(図1の建物A又は建物B))中の機器(図15の対象機器12x(図1の機器12a又は機器12b))の固有情報(機器情報)を収集する。そして、機器情報処理部301は、収集された固有情報を、機器消費エネルギー情報保存部311に保存する。なお、この処理は、例えば、エネルギー管理装置101をシステム初期化する際に、あるいは新しい機器が増設された際に行われる。
機器運転処理部302は、主に2つ機能をもつ。
1つ目は、当該エネルギー管理装置101の建物(対象建物11x)の機器(対象機器12x)の運転情報を収集する機能である。
そして、2つ目は、当該機器(対象機器12x)に対して最適制御を行う機能である。
制御経歴転送処理部303は、エネルギー管理装置101以外の他のエネルギー管理装置153(図15)から当該エネルギー管理装置101に送信された、図8に示すような最適消費エネルギーパターン810を、制御経歴処理部306に渡す。
なお、他のエネルギー管理装置153が有する、エネルギー管理装置101の第2通信部322と同様の通信部経由で、この送信がされてもよい。
また、制御経歴転送処理部303は、転送が必要と、制御経歴処理部306により指示された場合には、当該エネルギー管理装置101に送信された、上述の最適消費エネルギーパターン810を、上述された他のエネルギー管理装置153とは別の、他のエネルギー管理装置154(図15)に転送する。
ユーティリティ情報処理部304は、ユーティリティ会社11U(図3、ユーティリティ会社11Uのサーバ11Us)から、第3通信部323経由で当該エネルギー管理装置101に送信された、図7に示すようなユーティリティ情報710を受信する。そして、ユーティリティ情報処理部304は、受信されたユーティリティ情報710を、消費エネルギー経歴管理部305に提供する。
消費エネルギー経歴管理部305は、機器運転処理部302からの機器運転経歴(先述)と、ユーティリティ情報処理部304からのユーティリティ情報(上述)とを基に、図6に示すような消費エネルギー経歴プロファイル(消費エネルギー経歴)610を作成する。そして、消費エネルギー経歴管理部305は、作成された消費エネルギー経歴プロファイル610を、機器消費エネルギー情報保存部311に保存する。
制御経歴処理部306は、2つ機能を有する。
1つ目の機能では、制御経歴処理部306は、制御経歴転送処理部303から渡される、他のエネルギー管理装置153からの最適消費エネルギーパターン810(先述)と同様な最適消費エネルギーパターン810についての処理を行う。つまり、制御経歴処理部306は、同様である最適消費エネルギーパターン810が、当該エネルギー管理装置101の機器消費エネルギー情報保存部311に存在するか否かを判断する。また、制御経歴処理部306は、存在する場合には、送信された最適消費エネルギーパターン810の方が、より優れるか否かを判断する。そして、制御経歴処理部306は、存在しないと判断されるか、又は、送信された最適消費エネルギーパターン810の方が、より優れると判断される場合には、送信された最適消費エネルギーパターン810を、追加保存又は更新する。そして、制御経歴処理部306は、存在しない、又は、より優れるとの判断がされたこの場合においては、当該エネルギー管理装置101の制御経歴転送処理部303に、受信された最適消費エネルギーパターン810の、他のエネルギー管理装置154(先述)への転送を指示する。なお、ここで、最適消費エネルギーパターン810が同様であるとは、例えば、含まれる機器プロファイル510が同じであることなどをいう。
2つ目の機能では、制御経歴処理部306は、機器消費エネルギー情報保存部311に、当該エネルギー管理装置101の建物(対象建物11x)の機器(対象機器12x)に関する消費エネルギー経歴プロファイル610が更新された際の処理を行う。つまり、制御経歴処理部306は、この更新がされた際に、更新後の消費エネルギー経歴プロファイル610が、当該エネルギー管理装置101で生成された各消費エネルギー経歴プロファイル610のうちで、最適な消費エネルギー経歴プロファイル610であるか否かを判断する。そして、制御経歴処理部306は、最適な消費エネルギー経歴プロファイル610であると判断される場合には、最適との判断がされた消費エネルギー経歴プロファイル610が含まれる最適消費エネルギーパターン810を、機器消費エネルギー情報保存部311に保存する。
機器制御適用部307は、機器消費エネルギー情報保存部311に記憶される最適消費エネルギーパターン810に基づく処理を行う。つまり、機器制御適用部307は、記憶される最適消費エネルギーパターン810が、他のエネルギー管理装置153から受信された、新しい最適消費エネルギーパターン810に更新された際に、次の処理をする。その処理では、機器制御適用部307は、更新後の最適消費エネルギーパターン810が、自分の建物(対象建物11x)の機器(対象機器12x)に適用できるか否かを判断する。そして、その処理では、機器制御適用部307は、適用可能と判断される場合には、機器運転処理部302経由で、機器(対象機器12x)に対して、更新後の、受信された最適消費エネルギーパターン810による制御を行う。つまり、機器制御適用部307は、受信された最適消費エネルギーパターン810を参照した制御を行う。
図5は、機器プロファイルを示す図である。
機器消費エネルギー情報保存部311は、図5に示すような機器プロファイル510を保存する。
機器プロファイル510には、機器の数511、第1機器の情報512a、第2機器の情報512bなどの、各機器の固有情報(第1機器の情報512a〜第N機器の情報512z)が含まれる。
第1機器の情報512a〜第N機器の情報512zのそれぞれは、具体的には、例えば、図5右欄に示される、機器の情報512である。
具体的な機器の情報512は、例えば、機器の種類5121(例えば冷暖房、冷蔵庫、洗濯・乾燥機、食洗機、テレビ、照明など)、機器の静的エネルギー消費特性5122(例えば定格消費電力、最小消費電力、最大消費電力など)、機器の省エネ制御特性5123(例えば省エネモードの有無、可能な消費電力の削減量など)を含む。
図6は、消費エネルギー経歴プロファイル610を示す図である。
また、機器消費エネルギー情報保存部311は、図6に示すような消費エネルギー経歴プロファイル610を保存する。
消費エネルギー経歴プロファイル610には、例えば、第2の時間区間611と、該当第2の時間区間611での消費エネルギー総量612と、消費エネルギーコスト613と、CO2排出相当量614とが含まれる。ここで、第2の時間区間611は、比較的長い第2の時間単位であり、例えば1日(24時間)の時間区間である。
また、さらに、第1機器の運転経歴情報(運転経歴情報群)615a、第2機器の運転経歴情報615bなどの、各機器の運転経歴情報群(第1機器の運転経歴情報群615a〜第N機器の運転経歴情報群615z)が含まれる。
なお、消費エネルギー経歴プロファイル610は、複数の第2の時間区間611のそれぞれについて、その第2の時間区間611に関する、これらの情報を保存してもよい。
それぞれの運転経歴情報群(例えば、第1機器の運転経歴情報群615a)は、その運転経歴情報群の機器についての、1以上の運転経歴情報615(図6右欄)を含む。
具体的な機器の運転経歴情報615(図6右欄)は、例えば、機器の運転時間区間(第1の時間区間)6151、機器の運転モード6152、機器の消費エネルギー量6153、機器のCO2排出相当量6155、機器のエネルギー利用効率6156を含む。
なお、第1の時間区間6151は、先述された第2の時間区間611(図6左欄)の時間単位よりも短い時間単位の長さの時間区間である。そして、第1の時間区間6151は、その第1の時間区間6151の運転経歴情報615が含まれる運転経歴情報群が含まれる消費エネルギー経歴プロファイル610に含まれる第2の時間区間611の期間の一部よりなる期間である。
そして、第1の時間区間6151は、例えば、その第1の時間区間6151の運転経歴情報615が含まれる運転経歴情報群に含まれる、何れの他の運転経歴情報615の第1の時間区間6151とも相違する時間区間である。
なお、エネルギー利用効率6156(図6右欄)は、例えば、いわゆるCOP(Coefficient of Performance)でもよい。
図7は、ユーティリティ情報を示す図である。
ユーティリティ情報710は、先述のように、ユーティリティ会社11U(図3)から受信され、消費エネルギー経歴管理部305により保存される。
そして、例えば、ユーティリティ情報710は、図7に示されるように、時間別電力単価711と、単位電力のCO2排出相当量712とを含む。
図8は、最適消費エネルギーパターン810を示す図である。
また、機器消費エネルギー情報保存部311は、図8に示すような最適消費エネルギーパターン810を保存する。
例えば、図示されるように、最適消費エネルギーパターン810には、最適基準811、機器プロファイル510、消費エネルギー経歴プロファイル610が含まれる。
なお、最適消費エネルギーパターン810は、1セットの、機器プロファイル510(図5)及び、その機器プロファイル510に対応する(その機器プロファイル510の機器の)消費エネルギー経歴プロファイル610(図6)を含んでもよい。
なお、最適消費エネルギーパターン810は、例えば、1セットだけでなく、複数セットのデータを含んでもよい。
つまり、最適消費エネルギーパターン810は、互いに異なる複数の機器プロファイル510が含まれ、それら複数の機器プロファイル510に対応する、複数セットのデータを含んでもよい。
なお、最適基準811についても、それぞれの最適基準811が、複数のセットのそれぞれに対応する、複数の最適基準811が含まれてもよい。
図9は、使用環境プロファイル910を示す図である。
使用環境プロファイル910は、例えば、機器プロファイル510(図5)に含まれてもよい。
そして、使用環境プロファイル910は、図9に示されるように、例えば、建物プロファイル911と、使用者プロファイル912と、天候情報913とを含む。
ここで、図9右欄に示されるように、建物プロファイル911は、例えば、建物位置9111と、建物構造9112と、建物サイズ9113とを含む。
また、使用者プロファイル912は、例えば、使用者数9121と、使用時間帯9122と、使用者特徴9123とを含む。
また、天候情報913は、例えば、温度9131と、湿度9132とを含む。
第1通信部321は、有線方式又は無線方式を用いて、当該エネルギー管理装置101が設けられた対象建物11x(図15)の機器(対象機器12x(図15))との通信を行う。そして、第1通信部321は、この通信によって、通信する相手の機器の固有情報を収集したり、その機器の運転情報を収集したり、その機器に対する制御を行ったりする。
第2通信部322は、当該エネルギー管理装置101が設けられた対象建物11x以外の他の建物における、他のエネルギー管理装置(他のエネルギー管理装置152〜他のエネルギー管理装置154(図15))との通信を行う。そして、第2通信部322は、この通信を行うことにより、最適消費エネルギーパターンに関する情報交換を実現する。
なお、第1の通信部321〜第3の通信部323のそれぞれは、その通信部の通信を用いる他の機能ブロック(機器情報処理部301等)による指示を受けることにより、その通信部の通信を行う。なお、例えば、他の機能ブロックは、この指示により、当該通信部を用いて、その通信を行う。
なお、管理サーバ(例えば、図4の管理サーバ11M)が存在する場合には、第2通信部322は、当該管理サーバとの通信を行い、最適消費エネルギーパターンに関する情報交換を実現する。
第3通信部323は、ユーティリティ会社(図3、図4のユーティリティ会社11Uなど)の機器(図3、図4のサーバ11Usなど)との通信を行い、電力単価などの情報を取得する。
なお、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bのそれぞれ(図1、図10、図11)は、例えば、何れも、このようなエネルギー管理装置101であり、上述された、エネルギー管理装置101の機能のうちの全部を有する(図10参照)。
なお、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bのそれぞれは、エネルギー管理装置101の機能の一部のみを有してもよい。この点については、後で、詳述される(図11〜図14等)。
(2)システム構成
図3は、図1で示されるような処理を実現するための、システム1の構成の概要を示す図である。
例えば、建物Aの中において、第1のエネルギー管理装置101a(図1参照)と、機器(機器12a)との間が、内部通信ネットワーク102aによって接続されている。また、例えば、前述のように、第1のエネルギー管理装置101aは、当該第1のエネルギー管理装置101aの第1通信部321を用いて、内部通信ネットワーク102aに接続されている、建物Aの機器(機器12a)と通信を行う。
なお、機器の種類等によっては、その種類の機器が、第1のエネルギー管理装置101aの第1通信部321のような通信部を備えていなくてもよい。つまり、機器は、そのような種類の場合には、図示しない、当該機器のエージェントを介して、内部通信ネットワーク102aに接続してもよい。
また、機器の運転情報の収集に当たって、図示しないセンサーやメータを使った場合、採取された情報が、該当センサーやメータから、内部通信ネットワーク102a経由で、第1のエネルギー管理装置101aに送信されてもよい。
なお、建物Bにおいても、これらの点について、それぞれ、建物Aと同様である(図3における第2のエネルギー管理装置101b、機器12b、内部通信ネットワーク102bなどを参照)。
建物A及び建物B間では、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bが、外部通信ネットワーク103によって互いに接続されている。そして、そのように互いに接続されている環境の中で、エネルギー管理装置同士(第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101b)が、次の処理を行う。つまり、その処理とは、それぞれのエネルギー管理装置の第2通信部322(図2)を用いて、最適消費エネルギーパターン810、すなわち、最適消費エネルギーパターン810に含まれる最適省エネ制御経験(消費エネルギー経歴プロファイル610)の伝授・拡散を行う処理である。
それぞれの建物(エネルギー管理装置)と、ユーティリティ会社11U(サーバ11Us)との間は、外部通信ネットワーク104で接続されている。
そして、この外部通信ネットワーク104を経由して、ユーティリティ会社11Uからの、電力単価などの情報が、所定時間間隔で、サーバ11Us等により、配信される。具体的に、電力単価などの情報は、それぞれの建物に設置されている、図示しないスマートメータ(Smart Meter)に送信されてもよい。このような、電力単価などの情報がスマートメータへと送信される場合には、それぞれのエネルギー管理装置は、そのエネルギー管理装置が設けられた建物(対象建物11x(図15))のスマートメータから、電力単価などの情報を受け取ればよい。
例えば、こうして、サーバ11Usにより、情報が、それぞれのエネルギー管理装置に配信される。
なお、具体的には、例えば、外部通信ネットワーク103は、ネイバーエリアネットワーク(NAN:Neighbor Area Network)などでもよい。ここで、ネイバーエリアネットワークは、具体的には、例えば、IEEE802.15.4又はZigbeeにより実現されたネットワークでもよい。また、内部通信ネットワーク(内部通信ネットワーク102a等)は、具体的には、例えば、ホームエリアネットワーク(HAN:Home Area Network)でもよいし、LAN(Local Area Network)などでもよい。
図4は、管理サーバ11Mのある場合のシステム1(システム1a)の構成の概要を示す図である。
図4の例においては、互いに遠く離れた、複数の建物の間で、管理サーバ11Mと、外部通信ネットワーク105とを介して、最適消費エネルギーパターン810、すなわち、最適省エネ制御経験の伝授・拡散を、迅速で効率的に行う。なお、建物A及び建物Bは、互いに遠く離れていてもよいし、ある程度離れているだけなど、他の形態を有してもよい。つまり、一方の建物が、他方の建物の位置の、予め定められた近傍領域(近隣の領域)にあればよい。また、管理サーバ11Mは、エネルギー管理装置101により保存される種類と同等以上に多くの種類の、機器プロファイル510、消費エネルギー経歴プロファイル610、最適消費エネルギーパターン810を保存する。つまり、管理サーバ11Mは、この保存をすることにより、新規設置された建物(例えば、建物B)のエネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置101b)への、初期用省エネ制御経験を適切に伝授することができる。また、例えば、管理サーバ11Mは、エネルギー管理装置101(図2)のCPU201に含まれた機能処理部の一部を備えてもよい。つまり、例えば、管理サーバ11Mは、エネルギー管理装置101の一部の機能、具体的には、例えば、消費エネルギー経歴管理部や制御経歴処理部の機能などの処理を、エネルギー管理装置101に代行してもよい。
システム1は、より具体的には、例えば、このようなシステム1aでもよい。
(3)機器情報管理
エネルギー管理装置101において、機器情報に対する管理では、図5に示す機器プロファイル510の形で、機器情報を管理する。機器(図15の対象機器12x)を増設したり、撤去したりする際に、機器情報処理部301は、機器プロファイル510(図5)に対して、増設等がされる該当機器の情報エントリー(例えば、図5における、第1機器の情報512a)を追加したり削除したりする。
また、エネルギー管理装置101により制御される機器(対象機器12x(図15))の中では、エネルギー需要機器のみならず、エネルギー蓄積機器があってもよい。例えば、蓄電池が、それらの複数の機器のうちの1つの機器として含まれてもよい。そして、例えば、この蓄電池が、電力単価が低い場合に、又は、単位電力のCO2排出相当量が低い場合に、充電し、逆の場合には、放電する。なお、建物に設けられた複数のエネルギー需要機器の中では、電気機器のみならず、ガス機器を含んでもよい。その場合には、機器情報の管理で、管理される消費エネルギーの情報として、電気・ガスの両方ともの情報が含まれ、両方ともの情報を管理すればよい。
なお、CO2排出相当量とは、機器の動作により排出されたとみなすことが相当である排出量、例えば、その動作での電力の発電により、発電所等で発生するCO2の量などを含んだ、その動作による、CO2の排出量である。
(4)最適省エネ制御経験抽出
エネルギー管理装置101の建物(対象建物11x)における、複数の消費エネルギー経歴(消費エネルギー経歴プロファイル)610から、最適省エネ制御経験(最適な消費エネルギー経歴610)を抽出するに当たって、例えば、下記4つの基準(<1>〜<4>)の何れかに基づいて、抽出を行う。
なお、例えば、抽出の対象の複数の消費エネルギー経歴610のうちのそれぞれについて、次の通りでもよい。つまり、例えば、それぞれの、抽出の対象の消費エネルギー経歴610の第2の時間区間611(図6)が、抽出の対象の第2の時間区間と同じでもよい。そして、かつ、その消費エネルギー経歴610の消費エネルギー総量612が、抽出の対象の消費エネルギー総量と同じでもよい。つまり、抽出の対象の複数の消費エネルギー経歴610は、例えば、1以上の個数の、このような消費エネルギー経歴610である。
なお、例えば、それぞれの、抽出の対象の第2の時間区間と、抽出の対象の消費エネルギー総量との組について、その組の第2の時間区間及び消費エネルギー総量を有する1以上の消費エネルギー経歴610の中から、消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。
基準<1>〜基準<4>のそれぞれの基準は、その基準で抽出される消費エネルギー経歴610が、次の通りである基準である。
つまり、基準<1>では、抽出の対象の第2の時間区間と同じ第2の時間区間611の1以上の消費エネルギー経歴610のうちにおいて、消費エネルギー経歴プロファイル610が抽出される。そして、抽出される消費エネルギー経歴プロファイル610の消費エネルギー総量612が、対象の消費エネルギー総量と同等である。そして、抽出される消費エネルギー経歴プロファイル610の、小さい第1の時間区間のピーク消費エネルギー(後述)が、最小レベルである。ここで、第2の時間区間611は、比較的長い第2の時間単位であり、例えば1日(24時間)である。第1の時間区間は、第2の時間単位より短い第1の時間単位であり、例えば1分間である。
なお、より具体的には、例えば、それぞれの消費エネルギー経歴610について、次の算出が行われてもよい。つまり、その算出の処理の対象の消費エネルギー経歴610の第2の時間区間611に含まれる、それぞれの第1の時間区間について、次の算出が行われてもよい。すなわち、それぞれの第1の時間区間について、その第1の時間区間における複数の運転経歴情報615の消費エネルギー量6153の合計が算出されてもよい。そして、算出される合計が最大である第1の時間区分での、算出された当該合計が、その消費エネルギー経歴610の、上記ピーク消費エネルギーと特定されてもよい。そして、このような、特定されるピーク消費エネルギーが最小レベルである消費エネルギー経歴プロファイル610が抽出されてもよい。
そして、基準<2>では、次の通りでもよい。つまり、抽出の対象の第2の時間区間と同じ第2の時間区間611(例えば1日24時間)の1以上の消費エネルギー経歴610が考えられる。そして、この1以上の消費エネルギー経歴610のうちにおいて、それらのうちの一部である、消費エネルギー総量612が、対象の消費エネルギー総量と同等である1以上の消費エネルギー経歴610(上述)が考えられる。つまり、消費エネルギー総量612が同等である、それらの1以上の消費エネルギー経歴610の中で、含まれる消費エネルギーコスト613(図6)が最小レベルな、消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。
そして、基準<3>では、次の通りでもよい。つまり、同じ第2の時間区間において、消費エネルギー総量612が同等である1以上の消費エネルギー経歴610(上述)が考えられる。そして、これらの1以上の消費エネルギー経歴610の中で、CO2排出相当量614(図6)が最小レベルな、消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。
そして、基準<4>では、次の通りでもよい。つまり、同じ第2の時間区間において、消費エネルギー総量612が同等である1以上の消費エネルギー経歴610(上述)が考えられる。これらの1以上の消費エネルギー経歴610の中で、その消費エネルギー総量612にかかる全ての機器の平均エネルギー利用効率(後述)が最大な消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。ただし、上述された平均エネルギー利用効率の算式は、例えば、次の通りでもよい。つまり、図6に示される、消費エネルギー総量612と、その消費エネルギー経歴610における、それぞれの機器(それぞれの運転経歴情報群、運転経歴情報615)における消費エネルギー量(消費エネルギー量6153参照)及びエネルギー利用効率(エネルギー利用効率6156参照)とについて、次の通りでもよい。すなわち、その算式は、例えば、それらからの算出がされる、次の算式「(機器1の消費エネルギー量×機器1の消費エネルギー利用効率+機器2の消費エネルギー量×機器2の消費エネルギー利用効率+・・・)/消費エネルギー総量」でもよい。
実際に、これらの基準<1>〜<4>のうちのどれを、利用する基準として選択するかは、例えば、システム設定又は使用者の選択により決める。
なお、管理サーバ11Mのあるシステム1a(図4)の場合には、例えば、次の通りである。つまり、この管理サーバ11Mが、シミュレーションにより、上記の何れかの基準に従って、最適省エネ制御方法を算出してもよい。そして、最適省エネ制御経験の参考として使われてもよい。
なお、こうして、制御経歴処理部306は、最適な消費エネルギー経歴610(最適省エネ制御経験)を抽出することにより、抽出された最適省エネ制御経験が含まれる最適消費エネルギーパターン810を作成する。
(5)最適省エネ制御経験転送
第1のエネルギー管理装置101aにおいては、最適省エネ制御経験(消費エネルギー経歴610)を抽出した後に(図1のSa1、Sa3x(Sa2、Sa3)、Sa4)、次の処理を行う。つまり、その処理は、抽出された消費エネルギー経歴610を、当該第1のエネルギー管理装置101aの記憶部202(図2、図10)に保存する処理である。そして、これと共に、第1のエネルギー管理装置101aは、保存された消費エネルギー経歴610が含まれる最適消費エネルギーパターン810を、近隣の第2のエネルギー管理装置101b(図15の他のエネルギー管理装置152)に送信する(Sa5)。なお、具体的には、送信されるデータは、例えば、図8に示す、抽出された消費エネルギー経歴610から作成された、その消費エネルギー経歴610が含まれる最適消費エネルギーパターン810である。
近隣の第2のエネルギー管理装置101bは、次の処理をする。つまり、その処理では、当該第2のエネルギー管理装置101bの記憶部202(図2、図10)における、次のような最適消費エネルギーパターン810の有無を確認する。つまり、第1のエネルギー管理装置101a(他のエネルギー管理装置153)により送信された最適消費エネルギーパターン810の機器プロファイル510がある。そして、上述の処理では、その機器プロファイル510と同様な機器プロファイル510を有する最適消費エネルギーパターン810があるか否か(有無)を確認する(Sb2(Sb1及びSb2))。そして、あると確認された場合には、例えば、最適基準により、次の判断をする。その判断とは、第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターン810よりも、受信された最適消費エネルギーパターン810の方が優れているか否かの判断(Sb3(Sb4x))である。そして、優れていると判断された場合には、第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンを、受信された最適消費エネルギーパターンに取り替える(Sb4(Sb4x))。この取り替えがされることにより、機器12bに対して、受信された最適消費エネルギーパターンでの制御が行われる。
第2のエネルギー管理装置101bは、受信された最適消費エネルギーパターンの方が優れるとの判断がされた場合には、この取り替えと同時に、次の動作をする。つまり、その動作とは、受信された最適消費エネルギーパターン810を、他の近隣の、第1及び第2のエネルギー管理装置101a、101b以外のその他のエネルギー管理装置101e(図11、図15のエネルギー管理装置154)に転送する動作である。
そして、第2のエネルギー管理装置101bは、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンの方が優れていると判断された場合には、このような、最適消費エネルギーパターンの取り替えも、他の近隣のエネルギー管理装置への転送も、何れも行わない。
(6)最適省エネ制御経験適用
そして、第1のエネルギー管理装置101aは、最適省エネ制御経験(消費エネルギー経歴610)を抽出した場合、抽出された最適省エネ制御経験に基づいて、この抽出の後に、制御を行う。行われる制御は、建物A(第1のエネルギー管理装置101aの対象建物11x)の機器(図15の対象機器12x)に対しての制御である。
一方、近隣の第2のエネルギー管理装置101bは、当該第2のエネルギー管理装置101bでの機器プロファイル510と同様な機器プロファイル510を有する最適消費エネルギーパターン810を受信する。そして、第2のエネルギー管理装置101bは、受信された当該最適消費エネルギーパターン810の方が、最適基準により、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターン810に比較し、優れていると判断した場合に、次の処理をする。行われる処理は、受信されたこの最適消費エネルギーパターン810(に含まれた消費エネルギー経歴プロファイル610)を参照して行われる処理である。つまり、その処理は、この参照をして、当該第2のエネルギー管理装置101bの機器(機器12b、第2のエネルギー管理装置101bの対象機器12x)に対して、制御を行う(Sb4(Sb4x))処理である。
なお、第2のエネルギー管理装置101bは、機器(機器12b)に対して、受信された最適消費エネルギーパターン810を参照した制御を実施する前に、次の処理をしてもよい。つまり、その処理において、所定のユーザインタフェースを用いて、制御がされる機器の使用者の了承を得るようにしてもよい。
図10は、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとを示す図である。
図10に示されるように、第1のエネルギー管理装置101aは、例えば、図2における第1のエネルギー管理装置101に示される各機能ブロックの全部を含んでもよい。また、第2のエネルギー管理装置101bも、例えば、図2における第2のエネルギー管理装置101に示される各機能ブロックの全部を含んでもよい(先述)。
図11は、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとを示す図である。
図12及び図13のそれぞれは、第1のエネルギー管理装置101a(101a1、101a2)を示す図である。
他方、図11〜図13に示されるように、第1のエネルギー管理装置101aは、図10における、当該第1のエネルギー管理装置101aの各機能ブロックのうちの全部を含まなくてもよい。つまり、例えば、各機能ブロックのうちの一部のみを含んでもよい。
図14は、第2のエネルギー管理装置101bを示す図である。
同様に、第2のエネルギー管理装置101bも、図14に示されるように、図10における、当該第2のエネルギー管理装置101bの各機能ブロックのうちの一部のみを含んでもよい。
なお、このように実施形態の第2のエネルギー管理装置101b(エネルギー管理装置101)は、次のように動作してもよい。具体的には、例えば、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、当該第2のエネルギー管理装置101bの前記建物(第2の建物11b、対象建物11x)外で、かつ、隣接する他の建物(第1の建物11a)内でのエネルギーの需給を管理する第1のエネルギー管理装置101a(他のエネルギー管理装置153:図15)から、第1の外部通信ネットワーク(外部通信ネットワーク103)経由で当該第2のエネルギー管理装置101bに送信された最適消費エネルギーパターンを受信する。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、受信された最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンと比較する。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、所定基準に基づいて、より優れるかを判定する。より優れるとの判定がされた場合に、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、受信された最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置101bの建物(図3の第2の建物11b)と隣接する他の建物(図略)内の他のエネルギー管理装置(図11のエネルギー管理装置101e、図15の他のエネルギー管理装置154)に転送する。
さらに、具体的には、次のように実施してもよい。例えば、第2のエネルギー管理装置101bでは、機器制御適用部(機器制御適用部307)を備える(図14参照)。制御経歴転送処理部は、第1のエネルギー管理装置101a(他のエネルギー管理装置153)から、機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンを受信する。制御経歴処理部は、受信された最適消費エネルギーパターンに含まれる機器プロファイルが有する、当該第2のエネルギー管理装置101bの機器プロファイルと比較した類似度が、所定以上の類似度であり、かつ、受信された最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンと比較して、所定基準に基づいてより優れる場合に、第2の判定を行う。機器制御適用部は、当該第2の判定がされた場合に、受信された最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置101bの建物(第2の建物11b)内でのエネルギー機器(機器12b:図3など)の運転の参考計画として受け入れる。
また、第2のエネルギー管理装置101bでは、当該第2のエネルギー管理装置101bの建物(第2の建物11b)の構造とサイズと位置とを含む建物情報(建物プロファイル911:図9)と、温度と湿度とを含む天候情報(天候情報913:図9)と、当該建物内で使用されるエネルギー機器(機器12b)の使用者の数及び特徴の情報を含む使用者情報(使用者プロファイル912:図9)とにより、使用環境プロファイル(使用環境プロファイル910:図9)を作成し、作成された使用環境プロファイルを、送信された最適消費エネルギーパターンの機器プロファイルとは異なる方の、当該第2のエネルギー管理装置101bの(制御する機器12bの)上述の機器プロファイルに追加する機器情報処理部(図14の機器情報処理部301)を備えてもよい。制御経歴処理部は、第1のエネルギー管理装置101aから送信された最適消費エネルギーパターンの機器プロファイルを、当該第2のエネルギー管理装置101bの当該機器プロファイルと比較する際に、2つの当該機器プロファイルの使用環境プロファイルの間の類似度に関しても、併せて比較し、使用環境プロファイルの上述の類似度が、所定以上の類似度である場合に限り、受信された最適消費エネルギーパターンを受け入れる判定を行ってもよい。
なお、このような、第2のエネルギー管理装置101bの処理に対応する処理が、第1のエネルギー管理装置101aにより行われてもよい。つまり、第1のエネルギー管理装置101a(図12)が、第1の他のエネルギー管理装置101c(図12、他のエネルギー管理装置153)から受信された最適消費エネルギーパターン810を、第2の他のエネルギー管理装置101d(他のエネルギー管理装置154)に転送してもよい。また、第1のエネルギー管理装置101a(図12)が、第1の他のエネルギー管理装置101c(図12)から受信された当該最適消費エネルギーパターン810での制御を、第1の建物11aの機器12aに行ったり、使用環境プロファイル910の処理を行ったりしてもよい。
なお、先述のように、基準としては、複数の基準(例えば、基準<1>〜<4>)が考えられる。つまり、第2のエネルギー管理装置101bで利用される第2の基準とは異なる第1の基準での抽出により、第1のエネルギー管理装置101aで作成された最適消費エネルギーパターン810があってもよい。そして、この最適消費エネルギーパターン810が、第2のエネルギー管理装置101bに送信されてもよい。そして、第1のエネルギー管理装置101aによって第1の基準を用いて抽出された最適消費エネルギーパターン810での制御が、第2のエネルギー管理装置101bにより行われてもよい。
これにより、第2のエネルギー管理装置101bにより、第2の基準による抽出での制御だけでなく、第1のエネルギー管理装置101aにおける第1の基準での抽出からの制御もされる。これにより、第2のエネルギー管理装置101bにより、より確実に、適切な制御ができる。
また、複数の基準のそれぞれについて、その基準での抽出が第1のエネルギー管理装置101aにより行われてもよい。そして、例えば、複数の基準での抽出からの複数の最適消費エネルギーパターン810が、第2のエネルギー管理装置101bに送信されてもよい。そして、それら複数の最適消費エネルギーパターン810のうちから、第2のエネルギー管理装置101b等により、最適消費エネルギーパターン810が選択されてもよい。そして、選択された最適消費エネルギーパターン810での制御が、第2のエネルギー管理装置101bにより行われてもよい。
これにより、第1のエネルギー管理装置101aにより適切な基準が選択されなくても、適切な基準での最適消費エネルギーパターン810が選択され、適切な基準からの最適消費エネルギーパターン810による制御ができる。
こうして、例えば、エネルギー管理装置101が設けられる建物(対象建物11x:図15)に、エネルギー機器(対象機器12x)が設けられる。
ここで、設けられるエネルギー機器は、具体的には、例えば、電力の発電を行う太陽光発電システム、電力の蓄電をする蓄電システム、熱を蓄熱する貯湯槽、熱を発生するヒートポンプ、電力を発電すると共に、熱を発生する燃料電池などである。つまり、設けられるエネルギー機器は、エネルギーを供給したり、供給されたり、消費したり、エネルギーを蓄積したりして、エネルギーを扱う機器である。
そして、対象建物11xに設けられるエネルギー機器は、通常、複数である。
そして、エネルギー管理装置101により、対象建物11xに設けられた、これら複数のエネルギー機器のそれぞれが制御される。つまり、エネルギー管理装置101は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)における制御装置のうちの全部又は一部などである。
そして、複数の建物(第1の建物11a、第2の建物11b)のそれぞれに、機器(機器12a、機器12b:図3参照)が設けられてもよい。そして、設けられた機器が、その機器の建物のエネルギー管理装置101(第1のエネルギー管理装置101a、第2のエネルギー管理装置101b)により制御されてもよい。
そこで、例えば、ある局面において、第1のエネルギー管理装置101aにおいて、次の処理がされてもよい。
つまり、制御経歴処理部306(図11など参照)が、最適消費エネルギーパターン810(図8)を作成してもよい。そして、作成される最適消費エネルギーパターン810は、エネルギー機器の種類(機器の種類5121(図5)参照)と、その種類のエネルギー機器への、第2の制御内容よりも適切な第1の制御内容(運転経歴情報615)とをそれぞれ示してもよい。
そして、制御経歴転送処理部303が、作成された最適消費エネルギーパターン810を、第2のエネルギー管理装置101b(図11など参照)に送信してもよい。
他方、第2のエネルギー管理装置101bにおいて、ある局面において、例えば、次の処理がされてもよい。
つまり、制御経歴転送処理部303が、第1のエネルギー管理装置101aの制御経歴転送処理部303により送信された、上記の最適消費エネルギーパターン810を受信してもよい。
そして、機器制御適用部307が、最適消費エネルギーパターン810が受信された場合に、受信された最適消費エネルギーパターン810により示される第1の制御内容での制御を、機器12bに対して行い、第2の制御内容での制御はしなくてもよい。
そして、より具体的には、最適消費エネルギーパターン810が受信された場合でも、受信された最適消費エネルギーパターン810により示される上記種類が、機器12bの種類ではないときもあるし、機器12bの種類であるときもある。機器制御適用部307は、例えば、この受信がされた場合でも、機器12bの種類でないときには、第1の制御内容での制御を行わず、機器12bの種類であるときには、その制御を行ってもよい。
また、具体的には、例えば、最適消費エネルギーパターン810が受信された場合でも、最適消費エネルギーパターン810が受信された第1のエネルギー管理装置101aの第1の建物11aの位置が、第2の建物11bの近隣(近傍)の領域内ではないときもある。機器制御適用部307は、このときには、前記第1の制御内容での制御を行わず、第2の制御内容での制御を行ってもよい。
また、制御経歴処理部306が、受信された最適消費エネルギーパターン810により示される、第1の建物11aの位置が、上記された、近隣の領域内か否かを判定してもよい。
そして、機器制御適用部307が、近隣の領域内との判定がされない場合には、第1の制御内容の制御を行わず、第2の制御内容での制御をしてもよい。
このように、エネルギー(の需給)を管理するとは、つまり、エネルギーを扱うエネルギー機器の動作を制御することでもよい。
また、隣接するとは、一方の建物の領域と、他方の建物の領域とが接していることでもよいし、一方の領域の予め定められた近傍内に、他方の領域があることでもよい。
また、消費されたエネルギーに関する消費エネルギー経歴とは、つまり、例えば、消費されたエネルギーを示す情報(消費エネルギー経歴)でもよい。
また、例えば、第2時間単位でのCO2総排出相当量とは、つまり、当該第2時間単位の各時刻のCO2排出相当量の総量である。
また、エネルギー管理装置の有している最適消費エネルギーパターンとは、つまり、例えば、当該エネルギー管理装置による制御による、対象機器12xの運転がされることで作成された、当該エネルギー管理装置の最適消費エネルギーパターンである。
また、管理サーバ11Mは、つまり、例えば、第1のエネルギー管理装置101aが第2のエネルギー管理装置101bに送信するデータ(例えば最適消費エネルギーパターン)を受信してもよい。そして、管理サーバ11Mが、受信されたデータを保存してもよい。保存された当該データが、第2のエネルギー管理装置101bにより受信されてもよい。
また、最適消費エネルギーパターンを受け入れ、実施するとは、つまり、例えば、当該最適消費エネルギーパターンを参照した制御を行うことであり、すなわち、当該最適消費エネルギーパターンにより示される制御内容での制御を行うことである。
また、使用環境プロファイルの類似度の細かい点については、例えば、機器プロファイルの類似度における例と同様である。
図16は、本システム1の一例を示す図である。
なお、第2のエネルギー管理装置101b(エネルギー管理装置101)の制御経歴転送処理部は、複数のエネルギー管理装置101(例えば図16の2つのエネルギー管理装置101h、101i)のうちから、当該第2のエネルギー管理装置101bの近傍領域101bR(図16)内のエネルギー管理装置101(101h)を、当該第1のエネルギー管理装置101aにより送信される最適消費エネルギーパターン810を受信する、上述の第1のエネルギー管理装置101aとして特定してもよい。そして、特定された第1のエネルギー管理装置101aから、最適消費エネルギーパターン810h(図16)が受信されてもよい。
なお、第2の建物11bは、例えば、深夜などの夜間において営業する店舗が多く、夜間の消費電力が多い、繁華街などの商業地の建物であってもよい(図16参照)。
そして、第1の建物11aは、このような、第2の建物11bの近傍領域101bR内(上記の商業地内)における、第2の建物11b以外の他の建物(建物11h参照)であってもよい。
そして、第1の建物11aにおける第1のエネルギー管理装置101aは、夜間の消費電力が多い建物、つまり、この商業地の建物(第1の建物11a、第2の建物11bなど)において、その制御内容による制御がされる場合に、第2の制御内容よりも適切である第1の制御内容を示す最適消費エネルギーパターン810(図16の810h参照)を送信してもよい。
なお、例えば、第1のエネルギー管理装置101aは、第1の建物11aにおいて比較的多く行われる制御の制御内容を、第1の制御内容として特定してもよい。より具体的には、例えば、このような、多く行われる制御内容は、第1の建物11aの住人の設定により指示されるなどで、第1の建物11aにおいて、多く行われてもよい。
なお、制御内容とは、具体的には、例えば、動作モードや、動作時刻などの、エネルギー機器の動作の種類を特定する情報である。つまり、制御内容とは、さらに具体的には、例えば、公知の技術における、それらの情報でもよい。
そして、第2のエネルギー管理装置101bにおいて、制御経歴処理部306が、当該第2のエネルギー管理装置101bが、第2の建物11bに設置されたことを検知してもよい。具体的には、例えば、設置されたことを示す入力が、ユーザにより入力されてもよい。
そして、制御経歴処理部306が、設置されたことが検知された場合に、設置された第2の建物11bの位置(図16参照)を特定してもよい。この特定は、具体的には、ユーザにより、その位置が入力されることにより行われてもよい。
そして、制御経歴処理部306が、特定された位置の近傍領域を、当該第2の建物11bの近傍領域101bR(図16)として特定してもよい。この特定は、具体的には、例えば、位置と、その位置の近傍領域とを対応付けて記憶するサーバ(例えば図16のサーバ11bS)から、特定された位置に対応付けられた近傍領域のデータを取得することによって行われてもよい。なお、上述のサーバ11bSは、例えば、図3のサーバ11Usなどでもよい。
このように、例えば、近傍領域を特定するデータ(第2の建物11bの位置)が、ユーザにより入力されてもよい。そして、この入力がされることにより、入力されたデータにより特定される近傍領域が、当該第2のエネルギー管理装置101b(が設置された第2の建物11b)の近傍領域101bRとして特定されてもよい。
そして、制御経歴処理部306が、当該第2のエネルギー管理装置101bに対して、外部通信ネットワーク103により接続された複数のエネルギー管理装置101(例えば図16における、一方のエネルギー管理装置101h、及び、他方のエネルギー管理装置101i)のうちから、特定された近傍領域101bR(繁華街の領域)の建物11aにおけるエネルギー管理装置101(101h)を、第1のエネルギー管理装置101aとして特定してもよい。つまり、近傍領域101bRから比較的遠い、近傍領域101bRの外部にある外部領域101iRの建物11iにおけるエネルギー管理装置101(101i)は、第1のエネルギー管理装置101aとして特定されなくてもよい。
なお、例えば、当該第2のエネルギー管理装置101bの制御経歴処理部306が、接続された1以上のエネルギー管理装置101(101h、101i)のそれぞれから、接続された当該エネルギー管理装置101の位置を受信してもよい。そして、受信された位置が、特定された近傍領域101bR内か否かが判定されてもよい。そして、近傍領域101bR内と判定された場合に、接続された、その判定がされたエネルギー管理装置101(101h)が、第1のエネルギー管理装置101aと特定されてもよい。なお、エネルギー管理装置101(101h、101iなど)から受信される位置は、そのエネルギー管理装置101により上記のサーバ11bSから受信された位置などでもよい。
そして、機器制御適用部307が、特定された第1のエネルギー管理装置101a(101h)から受信された最適消費エネルギーパターン810(図16の810h)により示される第1の制御内容での制御を行い、当該第1の制御内容とは異なる第2の制御内容の制御を行わなくてもよい。具体的には、例えば、示される第1の制御内容での制御が、比較的多く行われ、第2の制御内容での制御が比較的少なく行われてもよい。なお、第2の制御内容は、例えば、先述された、第1のエネルギー管理装置101aと特定されなかった、外部領域101iRにあるエネルギー管理装置101iにより生成される最適消費エネルギーパターン810(図16の810i)により示される制御内容などである。
なお、上述の動作がされるのに際して、例えば、次の通りでもよい。
つまり、上述の近傍領域101bRは、例えば、その近傍領域101bRにあるエネルギー管理装置101hにより生成される最適消費エネルギーパターン810hは、十分に適切である領域である。
そして、近傍領域101bRは、例えば、この近傍領域101bRの外部にある外部領域101iRにあるエネルギー管理装置101iにより生成される最適消費エネルギーパターン810iは、十分に適切ではない領域である。
つまり、ここで、十分に適切であるとは、例えば、上述の第2のエネルギー管理装置101bにより用いられるのに際して十分に適切であることなどをいう。
なお、本システム1が実施される際に、実験がされてもよい。そして、上述の近傍領域101bRは、具体的には、例えば、その実験において、適切であることが確認された領域などでもよい。
これにより、第2のエネルギー管理装置101bのユーザによる複雑な設定などがされなくても、第2のエネルギー管理装置101bにより、適切な消費エネルギーパターン810(図16の消費エネルギーパターン810h)に基づく制御がされる。これにより、簡単に、適切な制御ができる。
しかも、この最適消費エネルギーパターン810hは、近傍領域101bR(繁華街の領域内など)で生成されたものであり、外部領域101iR(繁華街の外など)で生成される最適消費エネルギーパターン810iではなく、十分に適切である。これにより、より十分に適切な制御ができる。
これにより、簡単に、適切な制御がされることと、行われる制御が十分適切であることとが両立できる。
また、第1の建物11aだけでなく、第2の建物11bでも適切な動作が行われ、より多くの建物で適切な動作ができる。これにより、例えば、より十分に、CO2排出量が削減できる。
こうして、先述の通り、同地域(近傍領域101bR参照)の複数の建物(2つの建物11b、11h参照)の間で、省エネ制御経験情報(先述の最適消費エネルギーパターン810h参照)を共有することができる。
これにより、第2の建物11bにおいても、迅速、容易、かつ確実に、適切な制御内容での制御ができる。
こうして、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとのそれぞれにおいて、制御経歴転送処理部303などの複数の構成が組み合わせられる。これにより、それぞれ、組み合わせによる相乗効果が生じる。これに対して、従来例では、これらの構成の1つ又は複数を欠き、相乗効果が生じない。この点で、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bのそれぞれは、従来例に対して相違する。
なお、上述された、1又は複数の機能を実現するためのコンピュータプログラムが構築されてもよいし、そのコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体が構築されてもよいし、それらの機能を実現するための集積回路が構築されてもよい。
なお、このようなシステム1における、単なる細部に関しては、適切な多くの形態のうちの、何れの形態が採られてもよい。具体的には、例えば、細部については、当業者が容易に思い付く形態が採られてもよいし、改良発明が適用された形態などの、容易には思い付かない形態が採られてもよい。何れのケースでも、本発明が適用されたシステムであれば、システム1の範囲に属する。
なお、こうして、建物内の複数種類の機器に対する最適な省エネ制御経験を、地域範囲で、自動的かつ迅速に共有する伝授方法が提供できる。
本発明を、上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
本願発明にかかるエネルギー管理装置、及び、エネルギー管理装置の省エネ制御経験伝授方法は、地域(例えば、図16の近傍領域101bRなど)の範囲で、省エネ制御経験を共有することが可能になる(図16の第1、第2のエネルギー管理装置101b、101aなどを参照)という効果を有し、消費エネルギーの抑制、及び、CO2排出量の削減の実現に用いられる方法及び装置として有用である。なお、開示された方法は、地域に限らず、類似度が満たされた、より広い範囲でも、また、住宅に限らず、オフィスビルにも適用可能である。
101 エネルギー管理装置
201 CPU
202 記憶部
203 通信I/F
301 機器情報処理部
302 機器運転処理部
303 制御経歴転送処理部
304 ユーティリティ情報処理部
305 消費エネルギー経歴管理部
306 制御経歴処理部
307 機器制御適用部
311 機器消費エネルギー情報保存部
11U ユーティリティ会社
11M 管理サーバ
本願発明は、複数の建物の間において、ユーティリティからの情報に対応して、消費エネルギーを制御するための技術に関するものである。
家(一戸建てあるいは集合住宅)やオフィスビル等の建物では、消費エネルギーを制御する。このために、機器種類別に、消費エネルギーの許容値を制限する方法や、センシング情報を基に、単体機器に対して自動運転制御する方法が、一般的に用いられている。その結果、建物内でのピーク消費電力の抑制や、単体機器のエネルギー利用効率の向上が可能となる。
例えば、特許文献1に記載の技術では、各機器の電力消費情報を収集し、系統別に消費電力を学習、ランク分けする。そして、消費電力が許容電力を上回った場合には、各々の系統のランク毎に、消費電力を合計する。そして、その合計値が、学習した消費電力と比較して過剰な機器から、消費電力を制御する。
また、特許文献2に記載の技術では、特定種類の機器の消費電力を収集し、収集した消費電力を基に、該種類の機器の消費電力が最小レベルとなる制御法を求める。そして、こうして、消費電力が最小レベルである制御法を求めると共に、この求められた制御法によって、該種類の機器を制御した場合の省エネルギー効果を予測する。そして、この予測の予測結果を、省エネルギー対策案として、該種類の全ての機器に対して実施する。
特開平11−178247号公報
特開2003−158823号公報
これらの技術により、建物内のピーク消費電力を抑制することや、単体機器のエネルギー利用効率の向上を図ることができる。しかしながら、建物全体のエネルギー機器(エネルギー需要機器、エネルギー蓄積機器…)全てに対する最適な制御、及びその制御での制御経験(制御経験情報)の伝授を行うことができない。
また、再生エネルギー利用拡大により、電力価格や電力構成が動的に変動すると考えられる。このため、その変動に対応した、建物まるごとの消費エネルギーを抑制する技術の確立が必要である。
一方、同じ地域にある、同様な複数の建物の間で、天候も同じで、電気会社やガス会社との利用契約も同じであるにも関わらず、建物の使用者によって、消費されるエネルギーや、そのコストなどに大きな差を生じることがある。それは、基本的に、使用者の使用スタイルや、機器に対する使用の仕方、又は運転設定の違いなどによって生じたものである。単体機器の場合には、マニュアルにより、使用者に、適切な省エネ使用方法を伝えることができる。しかし、機器が、組み合わせで使用された場合の省エネ方法については、使用者に伝えることは困難であり、使用者が、自分の知識や経験に頼らざるを得なかった。
本願発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、機器の組み合わせに対する、適切な省エネ制御経験(省エネ制御経験情報)を、建物の間で送信し、地域での省エネ制御方法の、自動的かつ迅速な普及が可能な省エネ制御経験情報の伝授方法(エネルギー管理装置)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願発明の一態様では、エネルギー管理装置は、建物でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置であって、前記建物内で使用されるエネルギー機器と内部通信ネットワークで接続されており、前記内部通信ネットワークにより、前記エネルギー機器の機能(を特定する情報)と、性能スペック情報とを予め収集して、機器プロファイル(情報)として保存する機器情報処理部と、前記エネルギー機器の運転経歴、及び、運転に伴って消費された、第1の時間単位でのエネルギーに関する消費エネルギー経歴(例えば、そのエネルギ量を示す情報)を収集する機器運転処理部と、前記消費エネルギー経歴を、消費エネルギー経歴プロファイルとして保存する消費エネルギー経歴管理部と、第2の時間単位での消費エネルギーの合計が互いに同等である複数の前記消費エネルギー経歴プロファイルのうちから、所定基準により評価される量が、当該所定基準により最適と評価(特定)される前記消費エネルギー経歴を抽出し、抽出された前記消費エネルギー経歴が含まれる最適消費エネルギーパターンを作成する制御経歴処理部と、作成された前記最適消費エネルギーパターンを、前記建物外で、かつ、隣接する他の建物内でのエネルギーの需給を管理する、当該エネルギー管理装置である第1のエネルギー管理装置とは別の第2のエネルギー管理装置に、第1の外部通信ネットワーク経由で送信する制御経歴転送処理部とを備えるエネルギー管理装置である。
また、他の一態様では、エネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置)は、建物でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置であって、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物外で、かつ、隣接する他の建物内でのエネルギーの需給を管理する第1のエネルギー管理装置から最適消費エネルギーパターンを受信する制御経歴転送処理部と、受信された前記最適消費エネルギーパターンに含まれた機器プロファイルが有する、当該第2のエネルギー管理装置の機器プロファイルと比較した類似度が、所定以上の類似度であり、かつ、受信された前記最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置の有している最適消費エネルギーパターンと比較して、所定基準に基づいて、より優れる場合に、受信された前記最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物内での各エネルギー機器の運転の参考計画として受け入れ、実施する機器制御適用部とを備えるエネルギー管理装置である。
なお、エネルギーの需給を管理するとは、例えば、エネルギー機器による、エネルギーの入出力などの動作を制御をすることなどをいう。機器プロファイルは、例えば、エネルギー機器の種類を特定する情報などである。2つが互いに同等であるとは、他方が、一方から所定範囲内であることでもよいし、一方と同じであることなどでもよい。最適と評価されるとは、算出される上述の量が、最も適切な量であることなどをいう。隣接するとは、予め定められた距離よりも離れているのでなく、その距離以内であることなどをいう。
上記の態様によれば、互いに知り合わない、同地域の複数の建物の使用者の間でも、省エネ制御経験情報を共有することができる(図16等を参照)。そして、個別の建物だけでなく地域全体で、消費エネルギーコストを抑えることや、CO2排出量の削減などを図ることができる。
適切な制御が簡単にされることと、行われる制御が十分適切であることとが両立できる。
図1は、処理の概要を示す図である。
図2は、エネルギー管理装置の構成を示す図である。
図3は、システム構成を示す図である。
図4は、管理サーバのある場合のシステム構成を示す図である。
図5は、機器プロファイルを示す図である。
図6は、消費エネルギー経歴プロファイルを示す図である。
図7は、ユーティリティ情報を示す図である。
図8は、最適消費エネルギーパターンを示す図である。
図9は、使用環境プロファイルを示す図である。
図10は、送信側、受信側のエネルギー管理装置を示す図である。
図11は、送信側、受信側のエネルギー管理装置と、他のエネルギー管理装置とを示す図である。
図12は、送信側、受信側のエネルギー管理装置と、他のエネルギー管理装置とを示す図である。
図13は、ユーティリティ会社と、エネルギー管理装置とを示す図である。
図14は、送信側、受信側のエネルギー管理装置を示す図である。
図15は、4つのエネルギー管理装置を示す図である。
図16は、本システムの一例を示す図である。
以下、本発明を実施する形態について、図面を参照して説明される。
実施形態におけるエネルギー管理装置A(第1のエネルギー管理装置101a(図11、図10、図1等)、エネルギー管理装置101(図2)など)は、建物(第1の建物11a(図1等))でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置である。エネルギー管理装置Aは、前記建物内で使用されるエネルギー機器(機器12a)と内部通信ネットワーク(内部通信ネットワーク102a:図3)で接続されている。エネルギー管理装置Aは、機器情報処理部(機器情報処理部301)と、機器運転処理部(機器運転処理部302)と、消費エネルギー経歴管理部(消費エネルギー経歴管理部305)と、制御経歴処理部(制御経歴処理部306)と、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)とを備えるエネルギー管理装置である。機器情報処理部(機器情報処理部301)は、前記内部通信ネットワークにより、前記エネルギー機器の機能を特定する情報と、性能スペック情報とを予め収集して、機器プロファイル(機器プロファイル510、機器の情報512:図5など参照)として保存する。機器運転処理部(機器運転処理部302)は、前記エネルギー機器の運転経歴、及び、運転に伴って消費された、第1の時間単位でのエネルギーに関する消費エネルギー経歴を収集する。消費エネルギー経歴管理部(消費エネルギー経歴管理部305)は、前記消費エネルギー経歴を、消費エネルギー経歴プロファイル(消費エネルギー経歴プロファイル610、運転経歴情報615:図6参照)として保存する。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、第2の時間単位での消費エネルギーの合計(消費エネルギー総量612:図6参照)が互いに同等である複数の前記消費エネルギー経歴プロファイルのうちから、所定基準により評価される量が、当該所定基準により最適と評価される前記消費エネルギー経歴を抽出する。ここで、第2の時間単位は、第2の時間区間611での時間単位である。所定基準は、後記の基準<1>〜<4>などであり、所定基準により評価される量は、消費エネルギー量6153、CO2排出相当量6155等からの量、これらの量から算出される算出量などである。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、抽出された前記消費エネルギー経歴が含まれる最適消費エネルギーパターン(最適消費エネルギーパターン810:図8参照)を作成する。制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、作成された前記最適消費エネルギーパターンを、前記建物(第1の建物11a)外で、かつ、隣接する他の建物(第2の建物11b)内でのエネルギーの需給を管理する第2のエネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置101b)に、第1の外部通信ネットワーク(外部通信ネットワーク103:図3)経由で送信する。
なお、例えば、こうして、予め収集された、機能の情報と、性能スペックの情報とが含まれてなる機器プロファイルが生成されて、保存されてもよい。また、例えば、上述のようにして、所定基準により比較的適切と評価される消費エネルギー経歴が抽出されてもよい。
また、実施形態におけるエネルギー管理装置B(第2のエネルギー管理装置101b(図11等)、エネルギー管理装置101等(図10、図2等))は、建物(第2の建物11b)でのエネルギーの需給を管理するエネルギー管理装置である。エネルギー管理装置Bは、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)と、機器制御適用部(機器制御適用部307)とを備えるエネルギー管理装置である。制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物(第2の建物11b)外で、かつ、隣接する他の建物(第1の建物11a)内でのエネルギーの需給を管理する第1のエネルギー管理装置(第1のエネルギー管理装置101a)から最適消費エネルギーパターン(最適消費エネルギーパターン810h)を受信する。機器制御適用部(機器制御適用部307)は、受信された前記最適消費エネルギーパターンに含まれた機器プロファイル(機器プロファイル510)が有する、当該第2のエネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置101b)の機器プロファイルと比較した類似度が、所定以上の類似度(後で詳述される)であり、かつ、受信された前記最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置の有している(第2のエネルギー管理装置で作成された)最適消費エネルギーパターンと比較して、所定基準(例えば、基準<1>〜<4>での、優劣の基準)に基づいて、より優れる(と判定される)場合に、受信された前記最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置の前記建物内での各エネルギー機器の運転の参考計画として受け入れ、実施する。
なお、前記所定基準により評価される前記量は、比較的長い前記第2の時間単位よりも短い第1の時間単位での消費エネルギーの総量、又は、前記第2時間単位でのCO2総排出相当量でもよい。なお、これらの量から算出される算出量が評価されてもよい。評価されるとは、つまり、例えば、その量(算出量)から、その量の評価値であって、他の評価値との間の差により、他の評価値の量と、その量との間の優劣が示される評価値を算出することである。
そして、例えば、最適と評価されるとは、上記された、複数の消費エネルギー経歴のうちで最も評価が高いことである。例えば、消費エネルギーの総量が最も少ないと評価されることである。
また、例えば、一方の機器プロファイルが、他方の機器プロファイルに対して有する類似度が、所定以上の類似度であるとは、一方の機器プロファイルが、後述される、第1の機器プロファイルと、第2の機器プロファイルとのうちの、第1の機器プロファイルであることでもよい。ここで、第1の機器プロファイルとは、当該第1の機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御が、他方の機器プロファイルを有する第2のエネルギー管理装置において可能である機器プロファイルである。第2の機器プロファイルは、当該第1の機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御が、他方の機器プロファイルを有する第2のエネルギー管理装置において可能ではない機器プロファイルである。
より具体的には、所定以上の類似度であるとは、一方の機器プロファイルが、他方の機器プロファイルと同一であることなどをいう。
つまり、例えば、同一の機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御は可能である一方で、同一ではない機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンでの制御は、可能ではなくてもよい。
以下、詳しく説明される。
図1は、実施形態の複数の建物が、任意の2つの建物(例えば2つの家)の場合における、2つの建物のうちの一方の建物A(第1の建物11a)から、他方の建物B(第2の建物11b)へ、最適省エネ制御経験(最適省エネ制御経験情報)を伝授する、全体的な処理の概要を示す。以下、エネルギー管理装置101と、システム1の構成、及び、各構成部の詳細処理を開示する。なお、最適省エネ制御経験情報については、適宜、単に制御経験と略称される。他の種類の経験情報についても、この例と同様に、適宜略称される。
(1)エネルギー管理装置の構成
図2は、エネルギー管理装置101の内部構成を示す図である。
システム1は、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとの2つのエネルギー管理装置101を含む(図1、11など)。
エネルギー管理装置101(図2)は、主に、CPU201、記憶部202と通信I/F(interface)203から構成される。
CPU201には、機器情報処理部301、機器運転処理部302、制御経歴転送処理部303、ユーティリティ情報処理部304、消費エネルギー経歴管理部305、制御経歴処理部306、機器制御適用部307が含まれる。つまり、例えば、CPU201により、これら機器情報処理部301等の各機能ブロックの機能が実現される。
記憶部202には、機器消費エネルギー情報保存部311が含まれる。
通信I/F203には、第1通信部321、第2通信部322、第3通信部323が含まれる。
なお、エネルギー管理装置101の一部又は全部は、例えば、CPU201、記憶部202等を含んだコンピュータでもよい。そして、機器情報処理部301等のそれぞれの機能ブロックは、このコンピュータによりプログラムが実行されることにより、エネルギー管理装置101に実現されてもよい。なお、機器情報処理部301は、CPU201の機能と共に、記憶部202などの他の機能が用いられることにより、エネルギー管理装置101に実現されてもよい。機器情報処理部301以外の他の機能ブロックについても、同様である。
機器情報処理部301は、第1通信部321を用いて、当該エネルギー管理装置101が設けられた建物(図15の対象建物11x(図1の建物A又は建物B))中の機器(図15の対象機器12x(図1の機器12a又は機器12b))の固有情報(機器情報)を収集する。そして、機器情報処理部301は、収集された固有情報を、機器消費エネルギー情報保存部311に保存する。なお、この処理は、例えば、エネルギー管理装置101をシステム初期化する際に、あるいは新しい機器が増設された際に行われる。
機器運転処理部302は、主に2つ機能をもつ。
1つ目は、当該エネルギー管理装置101の建物(対象建物11x)の機器(対象機器12x)の運転情報を収集する機能である。
そして、2つ目は、当該機器(対象機器12x)に対して最適制御を行う機能である。
制御経歴転送処理部303は、エネルギー管理装置101以外の他のエネルギー管理装置153(図15)から当該エネルギー管理装置101に送信された、図8に示すような最適消費エネルギーパターン810を、制御経歴処理部306に渡す。
なお、他のエネルギー管理装置153が有する、エネルギー管理装置101の第2通信部322と同様の通信部経由で、この送信がされてもよい。
また、制御経歴転送処理部303は、転送が必要と、制御経歴処理部306により指示された場合には、当該エネルギー管理装置101に送信された、上述の最適消費エネルギーパターン810を、上述された他のエネルギー管理装置153とは別の、他のエネルギー管理装置154(図15)に転送する。
ユーティリティ情報処理部304は、ユーティリティ会社11U(図3、ユーティリティ会社11Uのサーバ11Us)から、第3通信部323経由で当該エネルギー管理装置101に送信された、図7に示すようなユーティリティ情報710を受信する。そして、ユーティリティ情報処理部304は、受信されたユーティリティ情報710を、消費エネルギー経歴管理部305に提供する。
消費エネルギー経歴管理部305は、機器運転処理部302からの機器運転経歴(先述)と、ユーティリティ情報処理部304からのユーティリティ情報(上述)とを基に、図6に示すような消費エネルギー経歴プロファイル(消費エネルギー経歴)610を作成する。そして、消費エネルギー経歴管理部305は、作成された消費エネルギー経歴プロファイル610を、機器消費エネルギー情報保存部311に保存する。
制御経歴処理部306は、2つ機能を有する。
1つ目の機能では、制御経歴処理部306は、制御経歴転送処理部303から渡される、他のエネルギー管理装置153からの最適消費エネルギーパターン810(先述)と同様な最適消費エネルギーパターン810についての処理を行う。つまり、制御経歴処理部306は、同様である最適消費エネルギーパターン810が、当該エネルギー管理装置101の機器消費エネルギー情報保存部311に存在するか否かを判断する。また、制御経歴処理部306は、存在する場合には、送信された最適消費エネルギーパターン810の方が、より優れるか否かを判断する。そして、制御経歴処理部306は、存在しないと判断されるか、又は、送信された最適消費エネルギーパターン810の方が、より優れると判断される場合には、送信された最適消費エネルギーパターン810を、追加保存又は更新する。そして、制御経歴処理部306は、存在しない、又は、より優れるとの判断がされたこの場合においては、当該エネルギー管理装置101の制御経歴転送処理部303に、受信された最適消費エネルギーパターン810の、他のエネルギー管理装置154(先述)への転送を指示する。なお、ここで、最適消費エネルギーパターン810が同様であるとは、例えば、含まれる機器プロファイル510が同じであることなどをいう。
2つ目の機能では、制御経歴処理部306は、機器消費エネルギー情報保存部311に、当該エネルギー管理装置101の建物(対象建物11x)の機器(対象機器12x)に関する消費エネルギー経歴プロファイル610が更新された際の処理を行う。つまり、制御経歴処理部306は、この更新がされた際に、更新後の消費エネルギー経歴プロファイル610が、当該エネルギー管理装置101で生成された各消費エネルギー経歴プロファイル610のうちで、最適な消費エネルギー経歴プロファイル610であるか否かを判断する。そして、制御経歴処理部306は、最適な消費エネルギー経歴プロファイル610であると判断される場合には、最適との判断がされた消費エネルギー経歴プロファイル610が含まれる最適消費エネルギーパターン810を、機器消費エネルギー情報保存部311に保存する。
機器制御適用部307は、機器消費エネルギー情報保存部311に記憶される最適消費エネルギーパターン810に基づく処理を行う。つまり、機器制御適用部307は、記憶される最適消費エネルギーパターン810が、他のエネルギー管理装置153から受信された、新しい最適消費エネルギーパターン810に更新された際に、次の処理をする。その処理では、機器制御適用部307は、更新後の最適消費エネルギーパターン810が、自分の建物(対象建物11x)の機器(対象機器12x)に適用できるか否かを判断する。そして、その処理では、機器制御適用部307は、適用可能と判断される場合には、機器運転処理部302経由で、機器(対象機器12x)に対して、更新後の、受信された最適消費エネルギーパターン810による制御を行う。つまり、機器制御適用部307は、受信された最適消費エネルギーパターン810を参照した制御を行う。
図5は、機器プロファイルを示す図である。
機器消費エネルギー情報保存部311は、図5に示すような機器プロファイル510を保存する。
機器プロファイル510には、機器の数511、第1機器の情報512a、第2機器の情報512bなどの、各機器の固有情報(第1機器の情報512a〜第N機器の情報512z)が含まれる。
第1機器の情報512a〜第N機器の情報512zのそれぞれは、具体的には、例えば、図5右欄に示される、機器の情報512である。
具体的な機器の情報512は、例えば、機器の種類5121(例えば冷暖房、冷蔵庫、洗濯・乾燥機、食洗機、テレビ、照明など)、機器の静的エネルギー消費特性5122(例えば定格消費電力、最小消費電力、最大消費電力など)、機器の省エネ制御特性5123(例えば省エネモードの有無、可能な消費電力の削減量など)を含む。
図6は、消費エネルギー経歴プロファイル610を示す図である。
また、機器消費エネルギー情報保存部311は、図6に示すような消費エネルギー経歴プロファイル610を保存する。
消費エネルギー経歴プロファイル610には、例えば、第2の時間区間611と、該当第2の時間区間611での消費エネルギー総量612と、消費エネルギーコスト613と、CO2排出相当量614とが含まれる。ここで、第2の時間区間611は、比較的長い第2の時間単位であり、例えば1日(24時間)の時間区間である。
また、さらに、第1機器の運転経歴情報(運転経歴情報群)615a、第2機器の運転経歴情報615bなどの、各機器の運転経歴情報群(第1機器の運転経歴情報群615a〜第N機器の運転経歴情報群615z)が含まれる。
なお、消費エネルギー経歴プロファイル610は、複数の第2の時間区間611のそれぞれについて、その第2の時間区間611に関する、これらの情報を保存してもよい。
それぞれの運転経歴情報群(例えば、第1機器の運転経歴情報群615a)は、その運転経歴情報群の機器についての、1以上の運転経歴情報615(図6右欄)を含む。
具体的な機器の運転経歴情報615(図6右欄)は、例えば、機器の運転時間区間(第1の時間区間)6151、機器の運転モード6152、機器の消費エネルギー量6153、機器のCO2排出相当量6155、機器のエネルギー利用効率6156を含む。
なお、第1の時間区間6151は、先述された第2の時間区間611(図6左欄)の時間単位よりも短い時間単位の長さの時間区間である。そして、第1の時間区間6151は、その第1の時間区間6151の運転経歴情報615が含まれる運転経歴情報群が含まれる消費エネルギー経歴プロファイル610に含まれる第2の時間区間611の期間の一部よりなる期間である。
そして、第1の時間区間6151は、例えば、その第1の時間区間6151の運転経歴情報615が含まれる運転経歴情報群に含まれる、何れの他の運転経歴情報615の第1の時間区間6151とも相違する時間区間である。
なお、エネルギー利用効率6156(図6右欄)は、例えば、いわゆるCOP(Coefficient of Performance)でもよい。
図7は、ユーティリティ情報を示す図である。
ユーティリティ情報710は、先述のように、ユーティリティ会社11U(図3)から受信され、消費エネルギー経歴管理部305により保存される。
そして、例えば、ユーティリティ情報710は、図7に示されるように、時間別電力単価711と、単位電力のCO2排出相当量712とを含む。
図8は、最適消費エネルギーパターン810を示す図である。
また、機器消費エネルギー情報保存部311は、図8に示すような最適消費エネルギーパターン810を保存する。
例えば、図示されるように、最適消費エネルギーパターン810には、最適基準811、機器プロファイル510、消費エネルギー経歴プロファイル610が含まれる。
なお、最適消費エネルギーパターン810は、1セットの、機器プロファイル510(図5)及び、その機器プロファイル510に対応する(その機器プロファイル510の機器の)消費エネルギー経歴プロファイル610(図6)を含んでもよい。
なお、最適消費エネルギーパターン810は、例えば、1セットだけでなく、複数セットのデータを含んでもよい。
つまり、最適消費エネルギーパターン810は、互いに異なる複数の機器プロファイル510が含まれ、それら複数の機器プロファイル510に対応する、複数セットのデータを含んでもよい。
なお、最適基準811についても、それぞれの最適基準811が、複数のセットのそれぞれに対応する、複数の最適基準811が含まれてもよい。
図9は、使用環境プロファイル910を示す図である。
使用環境プロファイル910は、例えば、機器プロファイル510(図5)に含まれてもよい。
そして、使用環境プロファイル910は、図9に示されるように、例えば、建物プロファイル911と、使用者プロファイル912と、天候情報913とを含む。
ここで、図9右欄に示されるように、建物プロファイル911は、例えば、建物位置9111と、建物構造9112と、建物サイズ9113とを含む。
また、使用者プロファイル912は、例えば、使用者数9121と、使用時間帯9122と、使用者特徴9123とを含む。
また、天候情報913は、例えば、温度9131と、湿度9132とを含む。
第1通信部321は、有線方式又は無線方式を用いて、当該エネルギー管理装置101が設けられた対象建物11x(図15)の機器(対象機器12x(図15))との通信を行う。そして、第1通信部321は、この通信によって、通信する相手の機器の固有情報を収集したり、その機器の運転情報を収集したり、その機器に対する制御を行ったりする。
第2通信部322は、当該エネルギー管理装置101が設けられた対象建物11x以外の他の建物における、他のエネルギー管理装置(他のエネルギー管理装置152〜他のエネルギー管理装置154(図15))との通信を行う。そして、第2通信部322は、この通信を行うことにより、最適消費エネルギーパターンに関する情報交換を実現する。
なお、第1の通信部321〜第3の通信部323のそれぞれは、その通信部の通信を用いる他の機能ブロック(機器情報処理部301等)による指示を受けることにより、その通信部の通信を行う。なお、例えば、他の機能ブロックは、この指示により、当該通信部を用いて、その通信を行う。
なお、管理サーバ(例えば、図4の管理サーバ11M)が存在する場合には、第2通信部322は、当該管理サーバとの通信を行い、最適消費エネルギーパターンに関する情報交換を実現する。
第3通信部323は、ユーティリティ会社(図3、図4のユーティリティ会社11Uなど)の機器(図3、図4のサーバ11Usなど)との通信を行い、電力単価などの情報を取得する。
なお、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bのそれぞれ(図1、図10、図11)は、例えば、何れも、このようなエネルギー管理装置101であり、上述された、エネルギー管理装置101の機能のうちの全部を有する(図10参照)。
なお、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bのそれぞれは、エネルギー管理装置101の機能の一部のみを有してもよい。この点については、後で、詳述される(図11〜図14等)。
(2)システム構成
図3は、図1で示されるような処理を実現するための、システム1の構成の概要を示す図である。
例えば、建物Aの中において、第1のエネルギー管理装置101a(図1参照)と、機器(機器12a)との間が、内部通信ネットワーク102aによって接続されている。また、例えば、前述のように、第1のエネルギー管理装置101aは、当該第1のエネルギー管理装置101aの第1通信部321を用いて、内部通信ネットワーク102aに接続されている、建物Aの機器(機器12a)と通信を行う。
なお、機器の種類等によっては、その種類の機器が、第1のエネルギー管理装置101aの第1通信部321のような通信部を備えていなくてもよい。つまり、機器は、そのような種類の場合には、図示しない、当該機器のエージェントを介して、内部通信ネットワーク102aに接続してもよい。
また、機器の運転情報の収集に当たって、図示しないセンサーやメータを使った場合、採取された情報が、該当センサーやメータから、内部通信ネットワーク102a経由で、第1のエネルギー管理装置101aに送信されてもよい。
なお、建物Bにおいても、これらの点について、それぞれ、建物Aと同様である(図3における第2のエネルギー管理装置101b、機器12b、内部通信ネットワーク102bなどを参照)。
建物A及び建物B間では、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bが、外部通信ネットワーク103によって互いに接続されている。そして、そのように互いに接続されている環境の中で、エネルギー管理装置同士(第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101b)が、次の処理を行う。つまり、その処理とは、それぞれのエネルギー管理装置の第2通信部322(図2)を用いて、最適消費エネルギーパターン810、すなわち、最適消費エネルギーパターン810に含まれる最適省エネ制御経験(消費エネルギー経歴プロファイル610)の伝授・拡散を行う処理である。
それぞれの建物(エネルギー管理装置)と、ユーティリティ会社11U(サーバ11Us)との間は、外部通信ネットワーク104で接続されている。
そして、この外部通信ネットワーク104を経由して、ユーティリティ会社11Uからの、電力単価などの情報が、所定時間間隔で、サーバ11Us等により、配信される。具体的に、電力単価などの情報は、それぞれの建物に設置されている、図示しないスマートメータ(Smart Meter)に送信されてもよい。このような、電力単価などの情報がスマートメータへと送信される場合には、それぞれのエネルギー管理装置は、そのエネルギー管理装置が設けられた建物(対象建物11x(図15))のスマートメータから、電力単価などの情報を受け取ればよい。
例えば、こうして、サーバ11Usにより、情報が、それぞれのエネルギー管理装置に配信される。
なお、具体的には、例えば、外部通信ネットワーク103は、ネイバーエリアネットワーク(NAN:Neighbor Area Network)などでもよい。ここで、ネイバーエリアネットワークは、具体的には、例えば、IEEE802.15.4又はZigbeeにより実現されたネットワークでもよい。また、内部通信ネットワーク(内部通信ネットワーク102a等)は、具体的には、例えば、ホームエリアネットワーク(HAN:Home Area Network)でもよいし、LAN(Local Area Network)などでもよい。
図4は、管理サーバ11Mのある場合のシステム1(システム1a)の構成の概要を示す図である。
図4の例においては、互いに遠く離れた、複数の建物の間で、管理サーバ11Mと、外部通信ネットワーク105とを介して、最適消費エネルギーパターン810、すなわち、最適省エネ制御経験の伝授・拡散を、迅速で効率的に行う。なお、建物A及び建物Bは、互いに遠く離れていてもよいし、ある程度離れているだけなど、他の形態を有してもよい。つまり、一方の建物が、他方の建物の位置の、予め定められた近傍領域(近隣の領域)にあればよい。また、管理サーバ11Mは、エネルギー管理装置101により保存される種類と同等以上に多くの種類の、機器プロファイル510、消費エネルギー経歴プロファイル610、最適消費エネルギーパターン810を保存する。つまり、管理サーバ11Mは、この保存をすることにより、新規設置された建物(例えば、建物B)のエネルギー管理装置(第2のエネルギー管理装置101b)への、初期用省エネ制御経験を適切に伝授することができる。また、例えば、管理サーバ11Mは、エネルギー管理装置101(図2)のCPU201に含まれた機能処理部の一部を備えてもよい。つまり、例えば、管理サーバ11Mは、エネルギー管理装置101の一部の機能、具体的には、例えば、消費エネルギー経歴管理部や制御経歴処理部の機能などの処理を、エネルギー管理装置101に代行してもよい。
システム1は、より具体的には、例えば、このようなシステム1aでもよい。
(3)機器情報管理
エネルギー管理装置101において、機器情報に対する管理では、図5に示す機器プロファイル510の形で、機器情報を管理する。機器(図15の対象機器12x)を増設したり、撤去したりする際に、機器情報処理部301は、機器プロファイル510(図5)に対して、増設等がされる該当機器の情報エントリー(例えば、図5における、第1機器の情報512a)を追加したり削除したりする。
また、エネルギー管理装置101により制御される機器(対象機器12x(図15))の中では、エネルギー需要機器のみならず、エネルギー蓄積機器があってもよい。例えば、蓄電池が、それらの複数の機器のうちの1つの機器として含まれてもよい。そして、例えば、この蓄電池が、電力単価が低い場合に、又は、単位電力のCO2排出相当量が低い場合に、充電し、逆の場合には、放電する。なお、建物に設けられた複数のエネルギー需要機器の中では、電気機器のみならず、ガス機器を含んでもよい。その場合には、機器情報の管理で、管理される消費エネルギーの情報として、電気・ガスの両方ともの情報が含まれ、両方ともの情報を管理すればよい。
なお、CO2排出相当量とは、機器の動作により排出されたとみなすことが相当である排出量、例えば、その動作での電力の発電により、発電所等で発生するCO2の量などを含んだ、その動作による、CO2の排出量である。
(4)最適省エネ制御経験抽出
エネルギー管理装置101の建物(対象建物11x)における、複数の消費エネルギー経歴(消費エネルギー経歴プロファイル)610から、最適省エネ制御経験(最適な消費エネルギー経歴610)を抽出するに当たって、例えば、下記4つの基準(<1>〜<4>)の何れかに基づいて、抽出を行う。
なお、例えば、抽出の対象の複数の消費エネルギー経歴610のうちのそれぞれについて、次の通りでもよい。つまり、例えば、それぞれの、抽出の対象の消費エネルギー経歴610の第2の時間区間611(図6)が、抽出の対象の第2の時間区間と同じでもよい。そして、かつ、その消費エネルギー経歴610の消費エネルギー総量612が、抽出の対象の消費エネルギー総量と同じでもよい。つまり、抽出の対象の複数の消費エネルギー経歴610は、例えば、1以上の個数の、このような消費エネルギー経歴610である。
なお、例えば、それぞれの、抽出の対象の第2の時間区間と、抽出の対象の消費エネルギー総量との組について、その組の第2の時間区間及び消費エネルギー総量を有する1以上の消費エネルギー経歴610の中から、消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。
基準<1>〜基準<4>のそれぞれの基準は、その基準で抽出される消費エネルギー経歴610が、次の通りである基準である。
つまり、基準<1>では、抽出の対象の第2の時間区間と同じ第2の時間区間611の1以上の消費エネルギー経歴610のうちにおいて、消費エネルギー経歴プロファイル610が抽出される。そして、抽出される消費エネルギー経歴プロファイル610の消費エネルギー総量612が、対象の消費エネルギー総量と同等である。そして、抽出される消費エネルギー経歴プロファイル610の、小さい第1の時間区間のピーク消費エネルギー(後述)が、最小レベルである。ここで、第2の時間区間611は、比較的長い第2の時間単位であり、例えば1日(24時間)である。第1の時間区間は、第2の時間単位より短い第1の時間単位であり、例えば1分間である。
なお、より具体的には、例えば、それぞれの消費エネルギー経歴610について、次の算出が行われてもよい。つまり、その算出の処理の対象の消費エネルギー経歴610の第2の時間区間611に含まれる、それぞれの第1の時間区間について、次の算出が行われてもよい。すなわち、それぞれの第1の時間区間について、その第1の時間区間における複数の運転経歴情報615の消費エネルギー量6153の合計が算出されてもよい。そして、算出される合計が最大である第1の時間区分での、算出された当該合計が、その消費エネルギー経歴610の、上記ピーク消費エネルギーと特定されてもよい。そして、このような、特定されるピーク消費エネルギーが最小レベルである消費エネルギー経歴プロファイル610が抽出されてもよい。
そして、基準<2>では、次の通りでもよい。つまり、抽出の対象の第2の時間区間と同じ第2の時間区間611(例えば1日24時間)の1以上の消費エネルギー経歴610が考えられる。そして、この1以上の消費エネルギー経歴610のうちにおいて、それらのうちの一部である、消費エネルギー総量612が、対象の消費エネルギー総量と同等である1以上の消費エネルギー経歴610(上述)が考えられる。つまり、消費エネルギー総量612が同等である、それらの1以上の消費エネルギー経歴610の中で、含まれる消費エネルギーコスト613(図6)が最小レベルな、消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。
そして、基準<3>では、次の通りでもよい。つまり、同じ第2の時間区間において、消費エネルギー総量612が同等である1以上の消費エネルギー経歴610(上述)が考えられる。そして、これらの1以上の消費エネルギー経歴610の中で、CO2排出相当量614(図6)が最小レベルな、消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。
そして、基準<4>では、次の通りでもよい。つまり、同じ第2の時間区間において、消費エネルギー総量612が同等である1以上の消費エネルギー経歴610(上述)が考えられる。これらの1以上の消費エネルギー経歴610の中で、その消費エネルギー総量612にかかる全ての機器の平均エネルギー利用効率(後述)が最大な消費エネルギー経歴610が抽出されてもよい。ただし、上述された平均エネルギー利用効率の算式は、例えば、次の通りでもよい。つまり、図6に示される、消費エネルギー総量612と、その消費エネルギー経歴610における、それぞれの機器(それぞれの運転経歴情報群、運転経歴情報615)における消費エネルギー量(消費エネルギー量6153参照)及びエネルギー利用効率(エネルギー利用効率6156参照)とについて、次の通りでもよい。すなわち、その算式は、例えば、それらからの算出がされる、次の算式「(機器1の消費エネルギー量×機器1の消費エネルギー利用効率+機器2の消費エネルギー量×機器2の消費エネルギー利用効率+・・・)/消費エネルギー総量」でもよい。
実際に、これらの基準<1>〜<4>のうちのどれを、利用する基準として選択するかは、例えば、システム設定又は使用者の選択により決める。
なお、管理サーバ11Mのあるシステム1a(図4)の場合には、例えば、次の通りである。つまり、この管理サーバ11Mが、シミュレーションにより、上記の何れかの基準に従って、最適省エネ制御方法を算出してもよい。そして、最適省エネ制御経験の参考として使われてもよい。
なお、こうして、制御経歴処理部306は、最適な消費エネルギー経歴610(最適省エネ制御経験)を抽出することにより、抽出された最適省エネ制御経験が含まれる最適消費エネルギーパターン810を作成する。
(5)最適省エネ制御経験転送
第1のエネルギー管理装置101aにおいては、最適省エネ制御経験(消費エネルギー経歴610)を抽出した後に(図1のSa1、Sa3x(Sa2、Sa3)、Sa4)、次の処理を行う。つまり、その処理は、抽出された消費エネルギー経歴610を、当該第1のエネルギー管理装置101aの記憶部202(図2、図10)に保存する処理である。そして、これと共に、第1のエネルギー管理装置101aは、保存された消費エネルギー経歴610が含まれる最適消費エネルギーパターン810を、近隣の第2のエネルギー管理装置101b(図15の他のエネルギー管理装置152)に送信する(Sa5)。なお、具体的には、送信されるデータは、例えば、図8に示す、抽出された消費エネルギー経歴610から作成された、その消費エネルギー経歴610が含まれる最適消費エネルギーパターン810である。
近隣の第2のエネルギー管理装置101bは、次の処理をする。つまり、その処理では、当該第2のエネルギー管理装置101bの記憶部202(図2、図10)における、次のような最適消費エネルギーパターン810の有無を確認する。つまり、第1のエネルギー管理装置101a(他のエネルギー管理装置153)により送信された最適消費エネルギーパターン810の機器プロファイル510がある。そして、上述の処理では、その機器プロファイル510と同様な機器プロファイル510を有する最適消費エネルギーパターン810があるか否か(有無)を確認する(Sb2(Sb1及びSb2))。そして、あると確認された場合には、例えば、最適基準により、次の判断をする。その判断とは、第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターン810よりも、受信された最適消費エネルギーパターン810の方が優れているか否かの判断(Sb3(Sb4x))である。そして、優れていると判断された場合には、第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンを、受信された最適消費エネルギーパターンに取り替える(Sb4(Sb4x))。この取り替えがされることにより、機器12bに対して、受信された最適消費エネルギーパターンでの制御が行われる。
第2のエネルギー管理装置101bは、受信された最適消費エネルギーパターンの方が優れるとの判断がされた場合には、この取り替えと同時に、次の動作をする。つまり、その動作とは、受信された最適消費エネルギーパターン810を、他の近隣の、第1及び第2のエネルギー管理装置101a、101b以外のその他のエネルギー管理装置101e(図11、図15のエネルギー管理装置154)に転送する動作である。
そして、第2のエネルギー管理装置101bは、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンの方が優れていると判断された場合には、このような、最適消費エネルギーパターンの取り替えも、他の近隣のエネルギー管理装置への転送も、何れも行わない。
(6)最適省エネ制御経験適用
そして、第1のエネルギー管理装置101aは、最適省エネ制御経験(消費エネルギー経歴610)を抽出した場合、抽出された最適省エネ制御経験に基づいて、この抽出の後に、制御を行う。行われる制御は、建物A(第1のエネルギー管理装置101aの対象建物11x)の機器(図15の対象機器12x)に対しての制御である。
一方、近隣の第2のエネルギー管理装置101bは、当該第2のエネルギー管理装置101bでの機器プロファイル510と同様な機器プロファイル510を有する最適消費エネルギーパターン810を受信する。そして、第2のエネルギー管理装置101bは、受信された当該最適消費エネルギーパターン810の方が、最適基準により、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターン810に比較し、優れていると判断した場合に、次の処理をする。行われる処理は、受信されたこの最適消費エネルギーパターン810(に含まれた消費エネルギー経歴プロファイル610)を参照して行われる処理である。つまり、その処理は、この参照をして、当該第2のエネルギー管理装置101bの機器(機器12b、第2のエネルギー管理装置101bの対象機器12x)に対して、制御を行う(Sb4(Sb4x))処理である。
なお、第2のエネルギー管理装置101bは、機器(機器12b)に対して、受信された最適消費エネルギーパターン810を参照した制御を実施する前に、次の処理をしてもよい。つまり、その処理において、所定のユーザインタフェースを用いて、制御がされる機器の使用者の了承を得るようにしてもよい。
図10は、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとを示す図である。
図10に示されるように、第1のエネルギー管理装置101aは、例えば、図2における第1のエネルギー管理装置101に示される各機能ブロックの全部を含んでもよい。また、第2のエネルギー管理装置101bも、例えば、図2における第2のエネルギー管理装置101に示される各機能ブロックの全部を含んでもよい(先述)。
図11は、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとを示す図である。
図12及び図13のそれぞれは、第1のエネルギー管理装置101a(101a1、101a2)を示す図である。
他方、図11〜図13に示されるように、第1のエネルギー管理装置101aは、図10における、当該第1のエネルギー管理装置101aの各機能ブロックのうちの全部を含まなくてもよい。つまり、例えば、各機能ブロックのうちの一部のみを含んでもよい。
図14は、第2のエネルギー管理装置101bを示す図である。
同様に、第2のエネルギー管理装置101bも、図14に示されるように、図10における、当該第2のエネルギー管理装置101bの各機能ブロックのうちの一部のみを含んでもよい。
なお、このように実施形態の第2のエネルギー管理装置101b(エネルギー管理装置101)は、次のように動作してもよい。具体的には、例えば、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、当該第2のエネルギー管理装置101bの前記建物(第2の建物11b、対象建物11x)外で、かつ、隣接する他の建物(第1の建物11a)内でのエネルギーの需給を管理する第1のエネルギー管理装置101a(他のエネルギー管理装置153:図15)から、第1の外部通信ネットワーク(外部通信ネットワーク103)経由で当該第2のエネルギー管理装置101bに送信された最適消費エネルギーパターンを受信する。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、受信された最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンと比較する。制御経歴処理部(制御経歴処理部306)は、所定基準に基づいて、より優れるかを判定する。より優れるとの判定がされた場合に、制御経歴転送処理部(制御経歴転送処理部303)は、受信された最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置101bの建物(図3の第2の建物11b)と隣接する他の建物(図略)内の他のエネルギー管理装置(図11のエネルギー管理装置101e、図15の他のエネルギー管理装置154)に転送する。
さらに、具体的には、次のように実施してもよい。例えば、第2のエネルギー管理装置101bでは、機器制御適用部(機器制御適用部307)を備える(図14参照)。制御経歴転送処理部は、第1のエネルギー管理装置101a(他のエネルギー管理装置153)から、機器プロファイルが含まれる最適消費エネルギーパターンを受信する。制御経歴処理部は、受信された最適消費エネルギーパターンに含まれる機器プロファイルが有する、当該第2のエネルギー管理装置101bの機器プロファイルと比較した類似度が、所定以上の類似度であり、かつ、受信された最適消費エネルギーパターンが、当該第2のエネルギー管理装置101bの有している最適消費エネルギーパターンと比較して、所定基準に基づいてより優れる場合に、第2の判定を行う。機器制御適用部は、当該第2の判定がされた場合に、受信された最適消費エネルギーパターンを、当該第2のエネルギー管理装置101bの建物(第2の建物11b)内でのエネルギー機器(機器12b:図3など)の運転の参考計画として受け入れる。
また、第2のエネルギー管理装置101bでは、当該第2のエネルギー管理装置101bの建物(第2の建物11b)の構造とサイズと位置とを含む建物情報(建物プロファイル911:図9)と、温度と湿度とを含む天候情報(天候情報913:図9)と、当該建物内で使用されるエネルギー機器(機器12b)の使用者の数及び特徴の情報を含む使用者情報(使用者プロファイル912:図9)とにより、使用環境プロファイル(使用環境プロファイル910:図9)を作成し、作成された使用環境プロファイルを、送信された最適消費エネルギーパターンの機器プロファイルとは異なる方の、当該第2のエネルギー管理装置101bの(制御する機器12bの)上述の機器プロファイルに追加する機器情報処理部(図14の機器情報処理部301)を備えてもよい。制御経歴処理部は、第1のエネルギー管理装置101aから送信された最適消費エネルギーパターンの機器プロファイルを、当該第2のエネルギー管理装置101bの当該機器プロファイルと比較する際に、2つの当該機器プロファイルの使用環境プロファイルの間の類似度に関しても、併せて比較し、使用環境プロファイルの上述の類似度が、所定以上の類似度である場合に限り、受信された最適消費エネルギーパターンを受け入れる判定を行ってもよい。
なお、このような、第2のエネルギー管理装置101bの処理に対応する処理が、第1のエネルギー管理装置101aにより行われてもよい。つまり、第1のエネルギー管理装置101a(図12)が、第1の他のエネルギー管理装置101c(図12、他のエネルギー管理装置153)から受信された最適消費エネルギーパターン810を、第2の他のエネルギー管理装置101d(他のエネルギー管理装置154)に転送してもよい。また、第1のエネルギー管理装置101a(図12)が、第1の他のエネルギー管理装置101c(図12)から受信された当該最適消費エネルギーパターン810での制御を、第1の建物11aの機器12aに行ったり、使用環境プロファイル910の処理を行ったりしてもよい。
なお、先述のように、基準としては、複数の基準(例えば、基準<1>〜<4>)が考えられる。つまり、第2のエネルギー管理装置101bで利用される第2の基準とは異なる第1の基準での抽出により、第1のエネルギー管理装置101aで作成された最適消費エネルギーパターン810があってもよい。そして、この最適消費エネルギーパターン810が、第2のエネルギー管理装置101bに送信されてもよい。そして、第1のエネルギー管理装置101aによって第1の基準を用いて抽出された最適消費エネルギーパターン810での制御が、第2のエネルギー管理装置101bにより行われてもよい。
これにより、第2のエネルギー管理装置101bにより、第2の基準による抽出での制御だけでなく、第1のエネルギー管理装置101aにおける第1の基準での抽出からの制御もされる。これにより、第2のエネルギー管理装置101bにより、より確実に、適切な制御ができる。
また、複数の基準のそれぞれについて、その基準での抽出が第1のエネルギー管理装置101aにより行われてもよい。そして、例えば、複数の基準での抽出からの複数の最適消費エネルギーパターン810が、第2のエネルギー管理装置101bに送信されてもよい。そして、それら複数の最適消費エネルギーパターン810のうちから、第2のエネルギー管理装置101b等により、最適消費エネルギーパターン810が選択されてもよい。そして、選択された最適消費エネルギーパターン810での制御が、第2のエネルギー管理装置101bにより行われてもよい。
これにより、第1のエネルギー管理装置101aにより適切な基準が選択されなくても、適切な基準での最適消費エネルギーパターン810が選択され、適切な基準からの最適消費エネルギーパターン810による制御ができる。
こうして、例えば、エネルギー管理装置101が設けられる建物(対象建物11x:図15)に、エネルギー機器(対象機器12x)が設けられる。
ここで、設けられるエネルギー機器は、具体的には、例えば、電力の発電を行う太陽光発電システム、電力の蓄電をする蓄電システム、熱を蓄熱する貯湯槽、熱を発生するヒートポンプ、電力を発電すると共に、熱を発生する燃料電池などである。つまり、設けられるエネルギー機器は、エネルギーを供給したり、供給されたり、消費したり、エネルギーを蓄積したりして、エネルギーを扱う機器である。
そして、対象建物11xに設けられるエネルギー機器は、通常、複数である。
そして、エネルギー管理装置101により、対象建物11xに設けられた、これら複数のエネルギー機器のそれぞれが制御される。つまり、エネルギー管理装置101は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)における制御装置のうちの全部又は一部などである。
そして、複数の建物(第1の建物11a、第2の建物11b)のそれぞれに、機器(機器12a、機器12b:図3参照)が設けられてもよい。そして、設けられた機器が、その機器の建物のエネルギー管理装置101(第1のエネルギー管理装置101a、第2のエネルギー管理装置101b)により制御されてもよい。
そこで、例えば、ある局面において、第1のエネルギー管理装置101aにおいて、次の処理がされてもよい。
つまり、制御経歴処理部306(図11など参照)が、最適消費エネルギーパターン810(図8)を作成してもよい。そして、作成される最適消費エネルギーパターン810は、エネルギー機器の種類(機器の種類5121(図5)参照)と、その種類のエネルギー機器への、第2の制御内容よりも適切な第1の制御内容(運転経歴情報615)とをそれぞれ示してもよい。
そして、制御経歴転送処理部303が、作成された最適消費エネルギーパターン810を、第2のエネルギー管理装置101b(図11など参照)に送信してもよい。
他方、第2のエネルギー管理装置101bにおいて、ある局面において、例えば、次の処理がされてもよい。
つまり、制御経歴転送処理部303が、第1のエネルギー管理装置101aの制御経歴転送処理部303により送信された、上記の最適消費エネルギーパターン810を受信してもよい。
そして、機器制御適用部307が、最適消費エネルギーパターン810が受信された場合に、受信された最適消費エネルギーパターン810により示される第1の制御内容での制御を、機器12bに対して行い、第2の制御内容での制御はしなくてもよい。
そして、より具体的には、最適消費エネルギーパターン810が受信された場合でも、受信された最適消費エネルギーパターン810により示される上記種類が、機器12bの種類ではないときもあるし、機器12bの種類であるときもある。機器制御適用部307は、例えば、この受信がされた場合でも、機器12bの種類でないときには、第1の制御内容での制御を行わず、機器12bの種類であるときには、その制御を行ってもよい。
また、具体的には、例えば、最適消費エネルギーパターン810が受信された場合でも、最適消費エネルギーパターン810が受信された第1のエネルギー管理装置101aの第1の建物11aの位置が、第2の建物11bの近隣(近傍)の領域内ではないときもある。機器制御適用部307は、このときには、前記第1の制御内容での制御を行わず、第2の制御内容での制御を行ってもよい。
また、制御経歴処理部306が、受信された最適消費エネルギーパターン810により示される、第1の建物11aの位置が、上記された、近隣の領域内か否かを判定してもよい。
そして、機器制御適用部307が、近隣の領域内との判定がされない場合には、第1の制御内容の制御を行わず、第2の制御内容での制御をしてもよい。
このように、エネルギー(の需給)を管理するとは、つまり、エネルギーを扱うエネルギー機器の動作を制御することでもよい。
また、隣接するとは、一方の建物の領域と、他方の建物の領域とが接していることでもよいし、一方の領域の予め定められた近傍内に、他方の領域があることでもよい。
また、消費されたエネルギーに関する消費エネルギー経歴とは、つまり、例えば、消費されたエネルギーを示す情報(消費エネルギー経歴)でもよい。
また、例えば、第2時間単位でのCO2総排出相当量とは、つまり、当該第2時間単位の各時刻のCO2排出相当量の総量である。
また、エネルギー管理装置の有している最適消費エネルギーパターンとは、つまり、例えば、当該エネルギー管理装置による制御による、対象機器12xの運転がされることで作成された、当該エネルギー管理装置の最適消費エネルギーパターンである。
また、管理サーバ11Mは、つまり、例えば、第1のエネルギー管理装置101aが第2のエネルギー管理装置101bに送信するデータ(例えば最適消費エネルギーパターン)を受信してもよい。そして、管理サーバ11Mが、受信されたデータを保存してもよい。保存された当該データが、第2のエネルギー管理装置101bにより受信されてもよい。
また、最適消費エネルギーパターンを受け入れ、実施するとは、つまり、例えば、当該最適消費エネルギーパターンを参照した制御を行うことであり、すなわち、当該最適消費エネルギーパターンにより示される制御内容での制御を行うことである。
また、使用環境プロファイルの類似度の細かい点については、例えば、機器プロファイルの類似度における例と同様である。
図16は、本システム1の一例を示す図である。
なお、第2のエネルギー管理装置101b(エネルギー管理装置101)の制御経歴転送処理部は、複数のエネルギー管理装置101(例えば図16の2つのエネルギー管理装置101h、101i)のうちから、当該第2のエネルギー管理装置101bの近傍領域101bR(図16)内のエネルギー管理装置101(101h)を、当該第1のエネルギー管理装置101aにより送信される最適消費エネルギーパターン810を受信する、上述の第1のエネルギー管理装置101aとして特定してもよい。そして、特定された第1のエネルギー管理装置101aから、最適消費エネルギーパターン810h(図16)が受信されてもよい。
なお、第2の建物11bは、例えば、深夜などの夜間において営業する店舗が多く、夜間の消費電力が多い、繁華街などの商業地の建物であってもよい(図16参照)。
そして、第1の建物11aは、このような、第2の建物11bの近傍領域101bR内(上記の商業地内)における、第2の建物11b以外の他の建物(建物11h参照)であってもよい。
そして、第1の建物11aにおける第1のエネルギー管理装置101aは、夜間の消費電力が多い建物、つまり、この商業地の建物(第1の建物11a、第2の建物11bなど)において、その制御内容による制御がされる場合に、第2の制御内容よりも適切である第1の制御内容を示す最適消費エネルギーパターン810(図16の810h参照)を送信してもよい。
なお、例えば、第1のエネルギー管理装置101aは、第1の建物11aにおいて比較的多く行われる制御の制御内容を、第1の制御内容として特定してもよい。より具体的には、例えば、このような、多く行われる制御内容は、第1の建物11aの住人の設定により指示されるなどで、第1の建物11aにおいて、多く行われてもよい。
なお、制御内容とは、具体的には、例えば、動作モードや、動作時刻などの、エネルギー機器の動作の種類を特定する情報である。つまり、制御内容とは、さらに具体的には、例えば、公知の技術における、それらの情報でもよい。
そして、第2のエネルギー管理装置101bにおいて、制御経歴処理部306が、当該第2のエネルギー管理装置101bが、第2の建物11bに設置されたことを検知してもよい。具体的には、例えば、設置されたことを示す入力が、ユーザにより入力されてもよい。
そして、制御経歴処理部306が、設置されたことが検知された場合に、設置された第2の建物11bの位置(図16参照)を特定してもよい。この特定は、具体的には、ユーザにより、その位置が入力されることにより行われてもよい。
そして、制御経歴処理部306が、特定された位置の近傍領域を、当該第2の建物11bの近傍領域101bR(図16)として特定してもよい。この特定は、具体的には、例えば、位置と、その位置の近傍領域とを対応付けて記憶するサーバ(例えば図16のサーバ11bS)から、特定された位置に対応付けられた近傍領域のデータを取得することによって行われてもよい。なお、上述のサーバ11bSは、例えば、図3のサーバ11Usなどでもよい。
このように、例えば、近傍領域を特定するデータ(第2の建物11bの位置)が、ユーザにより入力されてもよい。そして、この入力がされることにより、入力されたデータにより特定される近傍領域が、当該第2のエネルギー管理装置101b(が設置された第2の建物11b)の近傍領域101bRとして特定されてもよい。
そして、制御経歴処理部306が、当該第2のエネルギー管理装置101bに対して、外部通信ネットワーク103により接続された複数のエネルギー管理装置101(例えば図16における、一方のエネルギー管理装置101h、及び、他方のエネルギー管理装置101i)のうちから、特定された近傍領域101bR(繁華街の領域)の建物11aにおけるエネルギー管理装置101(101h)を、第1のエネルギー管理装置101aとして特定してもよい。つまり、近傍領域101bRから比較的遠い、近傍領域101bRの外部にある外部領域101iRの建物11iにおけるエネルギー管理装置101(101i)は、第1のエネルギー管理装置101aとして特定されなくてもよい。
なお、例えば、当該第2のエネルギー管理装置101bの制御経歴処理部306が、接続された1以上のエネルギー管理装置101(101h、101i)のそれぞれから、接続された当該エネルギー管理装置101の位置を受信してもよい。そして、受信された位置が、特定された近傍領域101bR内か否かが判定されてもよい。そして、近傍領域101bR内と判定された場合に、接続された、その判定がされたエネルギー管理装置101(101h)が、第1のエネルギー管理装置101aと特定されてもよい。なお、エネルギー管理装置101(101h、101iなど)から受信される位置は、そのエネルギー管理装置101により上記のサーバ11bSから受信された位置などでもよい。
そして、機器制御適用部307が、特定された第1のエネルギー管理装置101a(101h)から受信された最適消費エネルギーパターン810(図16の810h)により示される第1の制御内容での制御を行い、当該第1の制御内容とは異なる第2の制御内容の制御を行わなくてもよい。具体的には、例えば、示される第1の制御内容での制御が、比較的多く行われ、第2の制御内容での制御が比較的少なく行われてもよい。なお、第2の制御内容は、例えば、先述された、第1のエネルギー管理装置101aと特定されなかった、外部領域101iRにあるエネルギー管理装置101iにより生成される最適消費エネルギーパターン810(図16の810i)により示される制御内容などである。
なお、上述の動作がされるのに際して、例えば、次の通りでもよい。
つまり、上述の近傍領域101bRは、例えば、その近傍領域101bRにあるエネルギー管理装置101hにより生成される最適消費エネルギーパターン810hは、十分に適切である領域である。
そして、近傍領域101bRは、例えば、この近傍領域101bRの外部にある外部領域101iRにあるエネルギー管理装置101iにより生成される最適消費エネルギーパターン810iは、十分に適切ではない領域である。
つまり、ここで、十分に適切であるとは、例えば、上述の第2のエネルギー管理装置101bにより用いられるのに際して十分に適切であることなどをいう。
なお、本システム1が実施される際に、実験がされてもよい。そして、上述の近傍領域101bRは、具体的には、例えば、その実験において、適切であることが確認された領域などでもよい。
これにより、第2のエネルギー管理装置101bのユーザによる複雑な設定などがされなくても、第2のエネルギー管理装置101bにより、適切な消費エネルギーパターン810(図16の消費エネルギーパターン810h)に基づく制御がされる。これにより、簡単に、適切な制御ができる。
しかも、この最適消費エネルギーパターン810hは、近傍領域101bR(繁華街の領域内など)で生成されたものであり、外部領域101iR(繁華街の外など)で生成される最適消費エネルギーパターン810iではなく、十分に適切である。これにより、より十分に適切な制御ができる。
これにより、簡単に、適切な制御がされることと、行われる制御が十分適切であることとが両立できる。
また、第1の建物11aだけでなく、第2の建物11bでも適切な動作が行われ、より多くの建物で適切な動作ができる。これにより、例えば、より十分に、CO2排出量が削減できる。
こうして、先述の通り、同地域(近傍領域101bR参照)の複数の建物(2つの建物11b、11h参照)の間で、省エネ制御経験情報(先述の最適消費エネルギーパターン810h参照)を共有することができる。
これにより、第2の建物11bにおいても、迅速、容易、かつ確実に、適切な制御内容での制御ができる。
こうして、第1のエネルギー管理装置101aと、第2のエネルギー管理装置101bとのそれぞれにおいて、制御経歴転送処理部303などの複数の構成が組み合わせられる。これにより、それぞれ、組み合わせによる相乗効果が生じる。これに対して、従来例では、これらの構成の1つ又は複数を欠き、相乗効果が生じない。この点で、第1のエネルギー管理装置101a及び第2のエネルギー管理装置101bのそれぞれは、従来例に対して相違する。
なお、上述された、1又は複数の機能を実現するためのコンピュータプログラムが構築されてもよいし、そのコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体が構築されてもよいし、それらの機能を実現するための集積回路が構築されてもよい。
なお、このようなシステム1における、単なる細部に関しては、適切な多くの形態のうちの、何れの形態が採られてもよい。具体的には、例えば、細部については、当業者が容易に思い付く形態が採られてもよいし、改良発明が適用された形態などの、容易には思い付かない形態が採られてもよい。何れのケースでも、本発明が適用されたシステムであれば、システム1の範囲に属する。
なお、こうして、建物内の複数種類の機器に対する最適な省エネ制御経験を、地域範囲で、自動的かつ迅速に共有する伝授方法が提供できる。
本発明を、上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
本願発明にかかるエネルギー管理装置、及び、エネルギー管理装置の省エネ制御経験伝授方法は、地域(例えば、図16の近傍領域101bRなど)の範囲で、省エネ制御経験を共有することが可能になる(図16の第1、第2のエネルギー管理装置101b、101aなどを参照)という効果を有し、消費エネルギーの抑制、及び、CO2排出量の削減の実現に用いられる方法及び装置として有用である。なお、開示された方法は、地域に限らず、類似度が満たされた、より広い範囲でも、また、住宅に限らず、オフィスビルにも適用可能である。
101 エネルギー管理装置
201 CPU
202 記憶部
203 通信I/F
301 機器情報処理部
302 機器運転処理部
303 制御経歴転送処理部
304 ユーティリティ情報処理部
305 消費エネルギー経歴管理部
306 制御経歴処理部
307 機器制御適用部
311 機器消費エネルギー情報保存部
11U ユーティリティ会社
11M 管理サーバ