従来より、圧電素子を有する振動型アクチュエータとしては、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に係る振動型アクチュエータは、圧電素子で構成されたアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に取り付けられた駆動子とを備えている。
このアクチュエータ本体は、長手方向を有する平板状の圧電素子で構成されており、対角位置にある2対の電極にそれぞれ位相の異なる交流電圧を印加することで、該圧電素子の長手方向への縦振動(所謂、伸縮振動)と該圧電素子の短手方向への屈曲振動とを調和的に発生させている。その結果、駆動子は、該圧電素子の長手方向と短手方向とを含む平面内で周回運動、詳しくは、楕円運動を行う。
前記駆動子は、略半球体に形成されていて、アクチュエータ本体の長辺側面に2つ設けられている。この長辺側面はアクチュエータ本体の屈曲振動の振動方向を向く面であって、アクチュエータ本体が屈曲振動する際にその屈曲振動に従って屈曲変形する、換言すれば、波打つ面である。これら2つの駆動子は、該長辺側面において、屈曲変位が最も大きくなる屈曲振動の腹の部分に取り付けられている。
このように構成された振動型アクチュエータは、固定体と、該固定体に対して相対的に移動可能に配置された可動体の間に配置される。詳しくは、振動型アクチュエータは、前記駆動子が固定体及び可動体のうちの一方(以下、被当接体ともいう)に当接した状態で、固定体及び可動体のうちの他方に固定されて配設されている。その状態で、振動型アクチュエータを作動させて駆動子を前述の如く周回運動させると、駆動子は周回運動の或る領域では被当接体を押圧しながら摩擦力を増大させて周回し、周回運動の別の領域では被当接体から離間して又は被当接体との間の摩擦力を低減した状態で周回することになる。そして、被当接体を押圧しながら周回するときに、駆動子と被当接体との間の摩擦力を介して駆動力が可動体に伝達され、可動体を所定の方向へ駆動する。
特開2004−304963号公報
前述の如く、アクチュエータ本体の振動に伴って周回運動する駆動子と該駆動子が当接する被当接体との間の摩擦力を介して可動体に駆動力を付与する振動型アクチュエータにおいては、駆動子における被当接体との当接部の変位が大きくなるほど、可動体に対して大きな駆動力を付与できる。そして、駆動子の外周形状を大きくすると、アクチュエータ本体に取り付けられた駆動子の基部と駆動子の当接部(被当接体と当接する部分)との距離が長くなるため、駆動子の該当接部の変位は大きくなると考えられる。しかしながら、駆動子を大きくしても、必ずしも、可動体に対して大きな駆動力を付与できるわけではない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可動体に対して大きな駆動力を付与して、振動型アクチュエータの駆動効率を向上させることにある。
この目的を達成するために、本発明は、駆動子に減肉部を設けることで、駆動子の倒れこみ振動の共振周波数を調節するようにしたものである。ここで、「駆動子の倒れこみ振動」とは、アクチュエータ本体に取り付けられた、駆動子の基部を中心とする、駆動力を出力する方向への駆動子の振動を意味する。
具体的には、本発明に係る振動型アクチュエータは、圧電素子で構成、又は圧電素子を含んで構成され、振動方向が異なる複数の振動を行うアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の一の側面である設置面上に設けられて、該アクチュエータ本体の振動に従って周回運動することで駆動力を出力する駆動子とを備え、前記駆動子には、減肉部が設けられているものとする。ここで、「減肉部」とは、それ以外の部分よりも肉が減っている(状態の)部分を意味するものであって、元となる形状から切削加工等の追加的な加工によって肉が減っている状態にされたか、鋳造等のように製造された時点で元々肉が減っている状態にされているかは問わない。
また、本発明に係る駆動装置は、相対移動可能な固定体及び可動体と、前記固定体及び可動体の間に介設される前記振動型アクチュエータとを備えている。そして、前記振動型アクチュエータは、前記駆動子が前記固定体及び可動体の一方に当接する状態で該固定体及び可動体の他方に配設されているものとする。
本発明によれば、駆動子に減肉部を設けることで駆動子の重量を調節して、駆動子の倒れこみ振動の共振周波数を調節することによって、駆動子の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体の振動の位相に近づける(好ましくは、一致させる)ことができるため、被当接体と当接する駆動子の先端部の変位を駆動子の基部の変位と同じ方向へ該基部の変位よりも拡大することができ、その結果、駆動効率を向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図2は、駆動装置の斜視図である。
図3は、圧電素子ユニットの分解斜視図である。
図4は、アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
図5は、超音波アクチュエータの断面図である。
図6は、アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
図7は、アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
図8は、アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
図9は、超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(a)は駆動前の状態、(b)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態、(c)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
図10は、駆動子が変形する様子を示す概略断面図である。
図11は、実施形態2に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図12は、実施形態3に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図13は、実施形態3の変形例に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図14は、実施形態4に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図15は、実施形態4に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図16は、実施形態5に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図17は、実施形態5に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図18は、実施形態5の変形例に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図19は、実施形態6に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図20は、実施形態6に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図21はその他の実施形態に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図22はその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図23は別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図24はさらに別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
符号の説明
1,801,901,101 駆動装置
11 ステージ(可動体)
2 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
4 アクチュエータ本体
40a 長辺側面(設置面)
40b 短辺側面(設置面)
8,208,308,408,508,508b,608,708 駆動子
80,280,380,580,780 貫通孔(減肉部)
480 凹部(減肉部)
680 切欠部(減肉部)
83 環状体
84 吸振部材
85 吸着部材
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図2に示すように、ステージ11と、超音波アクチュエータ2と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。
ステージ11は、互いに平行な状態で固定体としての基台(図示省略)上に固定されたガイド12,12に摺動可能に取り付けられている。つまり、ステージ11は、ガイド12,12が延びる方向に沿って移動可能に構成されている。このステージ11が可動体を構成する。これらガイド12,12の延びる方向がステージ11の可動方向となる。このステージ11は、平面視略方形の板状部材であって、アルミナで形成されている。尚、ステージ11の材質は、アルミナに限られるものではなく、任意の材質を用いて形成することができる。そして、前記超音波アクチュエータ2は、このステージ11の裏面(ガイド12,12が設けられている側の面)に後述する駆動子8,8が当接するように配設されている。
前記超音波アクチュエータ2は、図1に示すように、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4の駆動力をステージ11に伝達させる駆動子8,8と、該アクチュエータ本体4を収容するケース5と、アクチュエータ本体4とケース5との間に介設されてアクチュエータ本体4を弾性的に支持する支持ゴム61,61と、アクチュエータ本体4を前記ステージ11に付勢するための付勢ゴム62とを備えている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する(以下、同様)。
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子ユニット40で構成されている。
前記圧電素子ユニット40は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。
この圧電素子ユニット40は、図3に示すように、5つの圧電体層(圧電素子)41,41,…と4つの内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とで構成される。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44,44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層であって、前記圧電素子ユニット40と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41には、その長辺側面のうち一方の長辺側面の長手方向中央部に外部電極45aが、一方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極46aが、他方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極47aがそれぞれ形成されている。
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44の一方の長辺部には、その長手方向中央部から圧電体層41の前記外部電極45aまで延びる引出電極44aが形成されている。
前記第1給電電極層42は、図4に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、これら第1電極42a,42bを連結して導通させる導通電極42cとを有する。各第1電極42a(42b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第1電極42a(42b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのうちの一方の第1電極42aには、圧電体層41の前記外部電極46aまで延びる引出電極42dが設けられている。
前記第2給電電極層43は、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する前記2対の領域のうち他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bと、これら第2電極43a,43bを連結して導通させる導通電極43cとを有する。前記他方の対の領域のうち積層方向に見て前記第1電極42aの前記短手方向且つ前記第1電極42bの前記長手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43aであり、第1電極42aの該長手方向且つ第1電極42bの該短手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43bである。各第2電極43a(43b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第2電極43a(43b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第2電極43a,43bのうちの一方の第2電極43bには、圧電体層41の前記外部電極47aまで延びる引出電極43dが設けられている。
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成された圧電素子ユニット40においては、その一方の長辺側面の前記長手方向中央部に、各圧電体層41の外部電極45aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極45が形成されている。この外部電極45には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。同様に、圧電素子ユニット40の一方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層41の外部電極46aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極46が形成されている。この外部電極46には、前記第1給電電極層42の引出電極42dが電気的に接続されている。また、圧電素子ユニット40の他方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層41の外部電極47aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極47が形成されている。この外部電極47には、前記第2給電電極層43の引出電極43dが電気的に接続されている。
そして、圧電素子ユニット40の長辺側面のうち他方の長辺側面、即ち、前記外部電極45aが設けられていない側の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40aには、2個の駆動子8,8が設けられている。
これら駆動子8,8は、軸方向に同軸状の貫通孔80が穿孔された円柱状の部材、即ち、円筒状の部材であって、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。この貫通孔80が減肉部を構成する。
各駆動子8は、その軸方向が圧電素子ユニット40の厚み方向(以下、直交方向ともいう)を向くように設置面40a上に配設されている。この直交方向は、圧電素子ユニット40の積層方向でもあり、駆動子8が後述する周回運動を行う平面に直交する方向でもあり、圧電素子ユニット40の後述する屈曲振動の振動方向と縦振動の振動方向とに直交する方向でもある。
また、これら駆動子8,8は、図5に示すように、設置面40aに対して接着剤82を介して線接触状に取り付けられている。ここで、「線接触状」とは、駆動子8と設置面40aとが厳密に接触している状態に限られず、駆動子8と設置面40aとの間に接着剤82を介在させて該駆動子8と設置面40aとが実質的に線接触している状態も意味する。また、「円柱状」とは、厳密な円柱形状に限られず、駆動子8が設置面40aに対して概略線接触となるような実質的な円柱形状も含む意味である。
接着剤82としては、圧電素子ユニット40の材料及び駆動子8の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることにより圧電素子ユニット40の後述する振動をできるだけ阻害せずに駆動子8,8と設置面40aとの間の固定を実現することができる。
また、駆動子8,8が設けられた位置は、設置面40aにおいて、圧電素子ユニット40の長手方向両端部から該設置面40aの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、圧電素子ユニット40の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極45をグランドに接続し、前記外部電極46に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極47に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への縦振動(いわゆる、伸縮振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
縦振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、縦振動の1次モード(図6参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図7参照)の共振周波数とが一致するように圧電素子ユニット40の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、圧電素子ユニット40には、縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、圧電素子ユニット40に設けられた各駆動子8が該圧電素子ユニット40の主面と平行な平面、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(図8における紙面と平行な面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
前記ケース5は、樹脂製であって、前記圧電素子ユニット40に対応した略直方体状の概略箱形状をしている。このケース5は、前記圧電素子ユニット40の主面と平行で且つ略長方形状の主壁部51と、該主壁部51の前記長手方向の一側(図1における左側)に位置する短辺部に設けられた第1短辺壁部52と、該主壁部51の該長手方向の他側(図1における右側)に位置する短辺部に設けられた第2短辺壁部53と、該主壁部51の前記短手方向の一側(図1における下側)に位置する長辺部に設けられた長辺壁部54とを有している。つまり、ケース5は、主壁部51に対向する側及び該主壁部51の該短手方向の他側(図1における上側)に位置する長辺部(圧電素子ユニット40の駆動子8,8が設けられた長辺側面に対応する部分)には壁部が設けられておらず、圧電素子ユニット40の積層方向(主壁部51の法線方向)の一側及び該短手方向の他側に開口した形状となっている。
このように構成されたケース5内に前記アクチュエータ本体4が収容されている。アクチュエータ本体4は、圧電素子ユニット40の一方の主面が主壁部51と対向し且つ圧電素子ユニット40の一方の長辺側面(前記外部電極45が設けられている側の長辺側面)が長辺壁部54と対向するようにしてケース5内に収容されている。このとき、駆動子8,8はケース5から前記短手方向の他側に突出している。また、圧電素子ユニット40の一方の短辺側面とケース5の第1短辺壁部52との間および圧電素子ユニット40の他方の短辺側面とケース5の第2短辺壁部53との間にはそれぞれ支持ゴム61,61が介設されている。この圧電素子ユニット40の両短辺側面は縦振動の腹の部分であるが、支持ゴム61,61は弾性体であるため、圧電素子ユニット40の縦振動を阻害することなく、該圧電素子ユニット40を支持することができる。これら支持ゴム61,61は、アクチュエータ本体4並びに第1及び第2短辺壁部52,53だけでなく、主壁部51の内側表面とも当接している。また、圧電素子ユニット40の一方の長辺側面とケース5の長辺壁部54との間には付勢ゴム62が介設されている。この付勢ゴム62は、アクチュエータ本体4及び長辺壁部54だけでなく、主壁部51の内側表面とも当接している。
そして、主壁部51の内側表面における、前記支持ゴム61,61及び付勢ゴム62が当接する部分には電極51a(付勢ゴム62と当接する電極のみ図示)が設けられているこれらの電極は、主壁部51の外側表面に設けられた端子電極(図示省略)にそれぞれ導通している。
前記各支持ゴム61は、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。これら支持ゴム61,61は、アクチュエータ本体4をその長手方向に付勢した状態で弾性的に支持する。それと共に、支持ゴム61,61は、主壁部51の内側表面の該支持ゴム61,61の配設位置に対応する部分に設けられ且つ前記端子電極に導通する電極と圧電素子ユニット40の外部電極46,47とを導通させている。
また、前記付勢ゴム62も、支持ゴム61と同様に、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。この付勢ゴム62は、アクチュエータ本体4をその短手方向(即ち、短手方向が付勢方向に相当する)に付勢するためのものである。それと共に、付勢ゴム62は、圧電素子ユニット40の外部電極45と主壁部51の内側表面の電極51aとを導通させている。
尚、これら支持ゴム61及び付勢ゴム62の代わりに、板バネ等の弾性部材を採用してもよい。
つまり、ケース5の外側表面に設けられた前記端子電極に給電することによって、圧電素子ユニット40に給電することができる。
このように構成された超音波アクチュエータ2は、図2に示すように、駆動子8,8がステージ11の裏面と当接するように配設されると共に、ケース5が基台(図示省略)に固定される。詳しくは、超音波アクチュエータ2は、圧電素子ユニット40の短手方向がステージ11の裏面に直交すると共に、圧電素子ユニット40の長手方向がステージ11の裏面と平行で且つガイド12,12と平行になるように配置される。さらに換言すれば、超音波アクチュエータ2は、圧電素子ユニット40の屈曲振動の方向がステージ11の裏面と直交すると共に、圧電素子ユニット40の縦振動の方向がガイド12,12と平行な方向を向くように配置される。
このとき、前記付勢ゴム62が圧縮変形しており、この付勢ゴム62の弾性力によって駆動子8,8がステージ11に付勢されている。超音波アクチュエータ2のステージ11への付勢力は、付勢ゴム62の弾性力によって決まる。
前記制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で外部電極46,47に印加する。
制御装置は、前述の如く、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40に縦振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子8,8を図8に示すような周回運動させることで、ステージ11を移動させる。具体的には、圧電素子ユニット40の異常発熱を防止すべく、圧電素子ユニット40の縦振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧が外部電極46,47に印加される。このとき、かかる交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で外部電極46,47に印加される。
圧電素子ユニット40が、縦振動と屈曲振動との合成振動を行うと、駆動子8,8は圧電素子ユニット40の長手方向と短手方向とを含む平面内において略楕円運動を行う。こうすることで、駆動子8,8は、ステージ11との当接及び離間を周期的に繰り返しながら、ステージ11に対して摩擦力を介して圧電素子ユニット40の長手方向へ駆動力を付与しており、ステージ11はガイド12,12に沿って移動する。この圧電素子ユニット40の長手方向(ガイド12,12が延びる方向と一致する)が、駆動子8,8が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。
以下に、超音波アクチュエータ2によるステージ11の駆動を、図9を参照してさらに詳しく説明する。圧電素子ユニット40が長手方向(縦振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図9の左側)の駆動子8は、図9(b)に示すように、短手方向(屈曲振動の振動方向)においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該一方の駆動子8が変位する側(図9の左側)へ移動させる。このとき、他方(図9の右側)の駆動子8は、該長手方向において一方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側(ステージ11から離れる側)の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
一方、圧電素子ユニット40が長手方向に収縮するときは、他方(図9の右側)の駆動子8は、図9(c)に示すように、短手方向においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該他方の駆動子8が変位する側(図9の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、圧電素子ユニット40の伸張時における一方の駆動子8によるステージ11の移動方向と同じである。このとき、一方(図9の左側)の駆動子8は、該長手方向において他方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
尚、図9においては、ステージ11の移動に影響を与えない方の駆動子8はステージ11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子8は、ステージ11を移動させない程度の摩擦力で該ステージ11に当接してる状態であってもよい。
こうして、一方の駆動子8と他方の駆動子8とは、位相が180°ずれた状態で交互にステージ11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を位相を−90°ずらした状態で外部電極46,47に印加することによって、駆動子8,8が出力する駆動力を逆向きにすることができ、ステージ11を他方向へ移動させることができる。
尚、ステージ11の移動量、移動速度及び移動加速度は、外部電極46,47に給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は外部電極46,47に給電する各交流電圧の位相のずれを変更する等によって調整することができる。
このように、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8に縦振動の振動方向(長手方向)と屈曲振動の振動方向(短手方向)とを含む平面内で周回運動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力の増大と緩和とを繰り返しながら、該ステージ11を駆動している。
ここで、駆動子8の周回運動、特に、駆動子8におけるステージ11との当接部の周回運動は、駆動子8の外周形状が大きいほど大きくなる。これは、設置面40aに接着剤82によって取り付けた駆動子8が、設置面40aとの当接部(以下、基部)を中心として左右方向(駆動方向であるアクチュエータ本体4の長手方向)に倒れる、倒れこみ振動を併発するからである。この倒れこみ振動によって、駆動子8におけるステージ11との当接部(以下、先端部)は、駆動子8の基部よりも、アクチュエータ本体4の長手方向へ振れることになる(図8参照)。つまり、駆動子8の先端部は、アクチュエータ本体4の長手方向への変位が駆動子8の倒れこみ振動によって基部よりも大きくなり、すなわち変位が拡大されて、ステージ11へ大きな駆動力を付与できるようになる。尚、上述の倒れこみ振動は、駆動子8と設置面40aとの当接状態が上述の状態にあるものに限定されない。上述の当接状態は、好ましい一例である。別の好ましい一例としては、駆動子8が設置面40aに一定の面積を介して強固に固定されているような場合が挙げられる。かかる当接状態では、駆動子8の基部を中心とした振動よりも、駆動子8自体の曲げ振動が支配的(より低い周波数)となる場合がある。このような場合でも、曲げ振動によって駆動子8の先端部がアクチュエータ本体4の長手方向へ振れるので、駆動子8の先端部は基部よりも変位が拡大される。以下の説明においては、この曲げ振動を含む、駆動子8の先端部が基部に対して相対的に長手方向に振れる振動状態全般を、倒れこみ振動と称して説明を続ける。
そして、駆動子8の外周形状を大きくすると、駆動子8の基部と先端部との距離が長くなるため、倒れこみ振動の振幅が大きくなり、ステージ11へより大きな駆動力を付与できようになるものと考えられる。ところが、駆動子8の外周形状を大きくしても、必ずしも、大きな駆動力を出力できるわけではない。
すなわち、駆動子8の外周形状を大きくすると、駆動子8の重量が重くなり、倒れこみ振動の共振周波数が低くなる。倒れこみ振動の共振周波数が、圧電素子ユニット40の振動のうち駆動方向への振動である縦振動の共振周波数に対して相対的に低くなると、倒れこみ振動とアクチュエータ本体4の縦振動との位相がずれる。その結果、アクチュエータ本体4の縦振動による駆動子8の基部の振動変位と、駆動子8の倒れこみ振動による駆動子8の先端部の振動変位とのタイミングが合わず、駆動子8の基部の変位を拡大して先端部に伝えることができない。例えば、倒れこみ振動と縦振動との位相が180度ずれた場合には、駆動子8の基部の振れる方向と駆動子8の先端部の振れる方向とが逆になる。これでは、アクチュエータ本体4でいかにパワーを発生させても、それを打ち消す方向に倒れこみ振動が発生することになるので、駆動効率を低減させてしまう。
そこで、本実施形態では、駆動子8に貫通孔80を形成して、円筒状にすることによって駆動子8を軽量化して、倒れこみ振動の共振周波数を調節している。そのため、駆動子8の倒れこみ振動の振幅を大きくすべく駆動子8の外周形状を大きくしても、駆動子8の重量が重くなることを防止することができ、倒れこみ振動の共振周波数が低くなることを防止することができる。その結果、駆動子8の外周形状を大きくして駆動子8の倒れこみ振動の振幅を大きくしつつ、駆動子8の倒れこみ振動の位相を圧電素子ユニット40の縦振動の位相に近づけることができる。これによって、駆動子8の倒れこみ振動の振幅を大きくしつつ、駆動子8の先端部の振動変位のタイミングをアクチュエータ本体4の振動変位のタイミングに合わせることができるため、駆動子8の先端部の変位を駆動子8の基部の変位と同じ方向へ該基部の変位よりも拡大することができ、ステージ11へ大きな駆動力を付与できるようになる。尚、駆動子8の倒れこみ振動の位相を、圧電素子ユニット40の縦振動の位相と実質的に一致させるのが、最も大きな駆動力を付与でき、最も好ましい。
したがって、本実施形態1によれば、駆動子8に貫通孔80を設けることによって、駆動子8の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動(本実施形態では縦振動)の位相に近づくように調節することができるため、駆動子8の倒れこみ振動を有効に活用して、駆動子8の基部の駆動方向への変位、即ち、該基部におけるアクチュエータ本体4の駆動方向への変位を拡大して、駆動子8の先端部を該駆動方向へ変位させることができる。つまり、駆動子8の基部の駆動力をより大きな駆動力として駆動子8の先端部から出力することができ、その結果、超音波アクチュエータ2の駆動効率を向上させることができる。
このことは、倒れこみ振動の振幅を大きくすべく、駆動子8の外周形状を大きくしたときに特に有効である。つまり、駆動子8の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子8に貫通孔80を設けることによって、駆動子8の倒れこみ振動の共振周波数を調節して、駆動子8の倒れこみ振動とアクチュエータ本体4の縦振動との位相を合わせることができる。そして、駆動子8の外周形状が大きくなったことで駆動子8の倒れこみ振動の振幅が大きくなるため、駆動子8の基部の駆動方向への変位をより大きく拡大して、駆動子8の先端部を該駆動方向へ変位させることができる。その結果、超音波アクチュエータ2の駆動効率をさらに向上させることができる。
また、駆動子8に貫通孔80を形成して駆動子8を中空状にすることによって、駆動子8が変形し易くなる。その結果、駆動子8がステージ11に押圧されたときに、該駆動子8は、その剛性によっては、図10に示すように、押圧方向に変形する。そうすると、駆動子8とステージ11との当接部の面積が、特に、駆動方向であるアクチュエータ本体4の長手方向に拡がるため、駆動子8の変位をステージ11へ確実に伝えることができ、超音波アクチュエータ2の駆動効率をさらに向上させることができる。
さらに、駆動子8が変形して、ステージ11との当接面積が拡大すると、駆動子8及びステージ11の単位面積当たりの荷重を低減することができ、駆動子8及びステージ11の摩耗を低減させることができる。
また、近年、電子機器の小型化にともない超音波アクチュエータ2も小型化が求められているが、超音波アクチュエータ2を小型化した場合、効率を低下させてしまう虞があった。すなわち、駆動子8,8の形状がアクチュエータ本体4に対して相対的に大きくなってしまい、前述のようにアクチュエータ本体4の屈曲振動の腹の部分に駆動子8,8を設けた構成ではアクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害してしまい、その結果、効率を低下させてしまう虞があった。
それに対し、本実施形態では、駆動子8の形状を円柱状(円筒状)とすることによって、各駆動子8と設置面40aとの接触面積を小さくすることができ、駆動子8,8をアクチュエータ本体4の屈曲振動によって波打つ長辺側面に設けるにもかかわらず、アクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害することを抑制することができる。それに加えて、該各駆動子8をその円柱の軸がアクチュエータ本体4の屈曲振動の振動方向と縦振動の振動方向とに直交する方向を向くように配設して設置面40aに取り付けることによって、アクチュエータ本体4の屈曲振動の阻害をさらに抑制することができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る超音波アクチュエータ202について説明する。
実施形態2に係る超音波アクチュエータ202は、駆動子208の貫通孔280内に吸振部材を内蔵している点で実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ202の各駆動子208は、図11に示すように、貫通孔280内に吸振部材84が配設されている。この貫通孔280が減肉部を構成する。
吸振部材84の材料としては、駆動子8よりも弾性係数が低く、吸振特性に優れた樹脂やゴム材料(例えば、シリコーンゴム)等を用いることができる。
ここで、前述の如く、内部に空孔が形成された駆動子は、ステージ11に押圧される際に変形する。しかも、この変形は駆動子の周回運動に同期して繰り返される。このため、駆動子が単独で共振して、アクチュエータ本体4の屈曲振動及び縦振動の共振周波数とは異なる周波数で変形振動する場合がある。この駆動子の変形振動の共振周波数は、駆動子の形状、比重、弾性係数によって異なるが、極端な場合には駆動子とステージ11との当接状態を変化させ、超音波アクチュエータ202としての効率を下げる場合がある。また、駆動子の変形振動の共振が騒音となって発生し、超音波アクチュエータ202の静音性を低下させる場合もある。
それに対し、本実施形態では、駆動子208の貫通孔280は吸振部材84が内蔵されているため、駆動子208の変形振動を吸振部材84で吸収することができ、超音波アクチュエータ202の効率を低下させることを防止することができると共に、騒音が発生することを防止することができる。
ただし、吸振部材84は、弾性係数が駆動子208よりも低いため、駆動子208の変形を阻害することはない。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る超音波アクチュエータ302について説明する。
実施形態3に係る超音波アクチュエータ302は、駆動子308が球状である点で、駆動子8,208が円柱状の実施形態1,2とは異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ302の各駆動子308は、図12に示すように、球状の部材であって、貫通孔380が形成されている。この貫通孔380が減肉部を構成する。
各駆動子308は、貫通孔380の軸がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くようにして設置面40aに取り付けられている。
各駆動子308は、設置面40aに対して接着剤82を介して点接触状に取り付けられている。ここで、「点接触状」とは、駆動子308と設置面40aとが厳密に接触している状態に限られず、駆動子308と設置面40aとの間に接着剤82を介在させて該駆動子308と設置面40aとが実質的に点接触している状態も意味する。
したがって、実施形態3によれば、駆動子308に貫通孔380を設けることによって、駆動子308の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子308の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子308の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ302の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子308の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子308に貫通孔380を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子308の先端部から出力することができる。そして、駆動子308の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
また、駆動子308の形状を球状とすることによって、駆動子308とアクチュエータ本体4の設置面40aとの接触面積を小さくでき、アクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害することを抑制することができる。その結果、超音波アクチュエータ302としての効率を向上させることができる。ここで、「球状」とは、厳密な球形状に限られず、駆動子308が圧電素子ユニット40に対して概略点接触となるような実質的な球形状も含む意味である。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
尚、駆動子308の貫通孔380には、前記実施形態2と同様に吸振部材を内蔵させてもよい。
また、図13に示すように、環状体83を各駆動子308の周囲に配してもよい。つまり、各駆動子308と設置面40aとの接触点の周囲に環状体83を配置したものである。すなわち、各駆動子308は、設置面40aに対して点接触状に取り付けられるだけでなく、環状体83を介しても設置面40aに取り付けられている。この環状体83は、各駆動子308及び設置面40aそれぞれに対して線接触状に取り付けられている。また、各駆動子308と環状体83、および環状体83と設置面40aとは、それぞれ接着剤82を介して取り付けられている。尚、各駆動子308は、設置面40aに対して点接触状には取り付けられておらず、環状体83を介して線接触状にのみ取り付けられる構成であってもよい。ここで、「線接触状」とは、環状体83と駆動子308又は設置面40aとが厳密に接触している状態に限られず、環状体83と駆動子308又は設置面40aとの間に接着剤82を介在させて該環状体83と駆動子308又は設置面40aとが実質的に線接触している状態も意味する。
このように環状体83を配置させることによって、各駆動子308と環状体83、および環状体83と設置面40aとの間で、それぞれの接触点を増やすことができ、これにより駆動子308と設置面40aとの接続強度を向上させることができる。環状体83は、振動を妨げず接着強度を向上させる意味より、駆動子308より柔らかく、接着剤82より堅い材質が望ましい。具体的には、アルミ、鉄などの金属や硬度の高いエポキシ、フェノールなどの樹脂である。
《発明の実施形態4》
続いて、本発明の実施形態4に係る超音波アクチュエータ402について説明する。
実施形態4に係る超音波アクチュエータ402は、駆動子408の形状が前記実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ402の各駆動子408は、図14に示すように、円柱と半球体とを結合した形状をしている。すなわち、駆動子408は、その一端側に形成された平面部408aと、他端側に形成された球面部408bとを有している。
前記平面部408aは、その中央に他端側に向かって穿孔された凹部480が形成されている。つまり、凹部480が減肉部を構成し、平面部408aは凹部480の開口端縁部を構成する。
このように構成された各駆動子408は、球面部408bがアクチュエータ本体4の設置面40aに対して接着剤82を介して点接触状に取り付けられている。このとき、駆動子408の平面部408aは、設置面40aと平行となっており、凹部480が設置面40aと反対側に向かって開口している。
かかる駆動子408,408を備えた超音波アクチュエータ402は、図15に示すように、駆動子408の平面部408aがステージ11と当接するように配設される。すなわち、駆動子408は、球面部408bを介してアクチュエータ本体4の設置面40aに取り付けられている一方、平面部408aがステージ11に当接する。
以上、説明してきた超音波アクチュエータ402によれば、駆動子408の凹部480内に、駆動子408及びステージ11の摩耗粉を収集することができる。
すなわち、駆動子408,408とステージ11との間の摩擦力を介してステージ11を駆動する超音波アクチュエータ402においては、駆動子408,408とステージ11とが摩耗する。この磨耗によって生じる磨耗粉が飛散すると、アクチュエータとしての性能を確保できない虞や、アクチュエータを組み込んだ装置の性能に影響を及ぼす虞がある。
そこで、本実施形態では、駆動子408に凹部480を形成すると共に、該凹部480がステージ11の方を向くように駆動子408を配設している。こうすることで、駆動子408およびステージ11の磨耗粉を凹部480内に堆積させることができ、外部に飛散する磨耗粉の量を大幅に削減することができる。
したがって、実施形態4によれば、駆動子408に凹部480を設けることによって、駆動子408の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子408の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子408の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ402の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子408の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子408に凹部480を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子408の先端部から出力することができる。そして、駆動子408の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
それに加えて、凹部480がステージ11の方を向くように駆動子408を配設することによって、駆動子408及びステージ11の摩耗粉を該凹部480内に収集することができ、摩耗粉の飛散に起因する超音波アクチュエータ402の性能低下や超音波アクチュエータ402を組み込んだ装置の性能低下を防止することができる。
特に、環状の平面部408aの中央に凹部480を形成することで、ステージ11が駆動方向であるアクチュエータ本体4の長手方向の何れの方向に駆動される場合であっても、摩耗粉を効果的に収集することができる。
さらに、駆動子408のステージ11との当接部を平面部408aで構成することによって、付勢ゴム62によりアクチュエータ本体4をステージ11側に付勢しながら超音波アクチュエータ402を配置する際に、駆動子408の平面部408aがステージ11に合わさるようにアクチュエータ本体4を回転させることができ、アクチュエータ本体4の姿勢を所望の姿勢に修正することができる。
つまり、アクチュエータ本体4をケース5内において支持ゴム61,61で支持する構成においては、支持ゴム61,61の変形によりアクチュエータ本体4の姿勢を柔軟に変更することができる。そして、この構成において、駆動子408の当接部をステージ11の被当接部、即ち、裏面に対応した平面部408aとすることによって、アクチュエータ本体4をステージ11側に付勢することで駆動子408の平面部408aがステージ11の裏面に合わさるようにアクチュエータ本体4の姿勢を矯正することができる。このことは、アクチュエータ本体4を保持する支持ゴム61,61やアクチュエータ本体4を付勢する付勢ゴム62、あるいはそれらを収容するケース5などの形状精度によってアクチュエータ本体4が所望の姿勢よりも傾いていた場合に特に有効である。
《発明の実施形態5》
続いて、本発明の実施形態5に係る超音波アクチュエータ502について説明する。
実施形態5に係る超音波アクチュエータ502は、駆動子508の形状が円柱状であるものの、その配設姿勢が前記実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ502の各駆動子508は、図16に示すように、軸方向に同軸状の貫通孔580が穿孔された円柱状の部材、即ち、円筒状の部材である。各駆動子508の端面は、平面に形成されている。この貫通孔580が減肉部及び凹部を構成し、駆動子508の環状の先端面が凹部の開口端縁部を構成する。
この各駆動子508は、その軸方向が設置面40aに直交する状態で該設置面40aに配設されている。すなわち、駆動子508の貫通孔580は設置面40aと反対側に開口している。尚、各駆動子508は、設置面40aに対して接着剤82を介して取り付けられている。
かかる駆動子508,508を備えた超音波アクチュエータ502は、図17に示すように、各駆動子508の環状の端面がステージ11と当接するように配設される。
このように構成された超音波アクチュエータ502によれば、駆動子508の貫通孔580内に、駆動子508及びステージ11の摩耗粉を収集することができる。
すなわち、駆動子508,508とステージ11との間の摩擦力を介してステージ11を駆動する超音波アクチュエータ502においては、駆動子508,508とステージ11とが摩耗する。この磨耗によって生じる磨耗粉が飛散すると、超音波アクチュエータ502としての性能を確保できない虞や、超音波アクチュエータ502を組み込んだ装置の性能に影響を及ぼす虞がある。
そこで、本実施形態では、駆動子508に貫通孔580を形成すると共に、該貫通孔580の開口端縁部がステージ11に当接するように駆動子508を構成している。こうすることで、駆動子508およびステージ11の磨耗粉を貫通孔580内に堆積させることができ、外部に飛散する磨耗粉の量を大幅に削減することができる。特に、駆動子508の当接部である開口端縁部は、円筒の端面であって貫通孔580の全周を覆っているため、ステージ11がアクチュエータ本体4の長手方向の何れの方向に駆動される場合であっても、摩耗粉を効果的に収集することができる。
したがって、実施形態5によれば、駆動子508に貫通孔580を設けることによって、駆動子508の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子508の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子508の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ502の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子508の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子508に貫通孔580を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子508の先端部から出力することができる。そして、駆動子508の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
それに加えて、貫通孔580がステージ11の方を向くように駆動子508を配設することによって、駆動子508及びステージ11の摩耗粉を該貫通孔580内に収集することができ、摩耗分の飛散に起因する超音波アクチュエータ502の性能低下や超音波アクチュエータ502を組み込んだ装置の性能低下を防止することができる。
また、駆動子508の開口端縁部は、円筒の端面であって同一平面上に位置するため、実施形態4と同様に、付勢ゴム62によりアクチュエータ本体4をステージ11側に付勢しながら超音波アクチュエータ502を配置する際に、駆動子508の開口端縁部がステージ11に合わさるようにアクチュエータ本体4を回転させることができ、アクチュエータ本体4の姿勢を所望の姿勢に修正することができる。
尚、図18に示す駆動子508bのように、円筒の端面をR面に形成してもよい。この場合、駆動子508bが設置面40aに対して線接触状に取り付けられることになるため、駆動子508bとアクチュエータ本体4の設置面40aとの接触面積を小さくでき、アクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害することを抑制することができる。その結果、超音波アクチュエータ502としての効率を向上させることができる。
また、駆動子508bの端面をR面に形成することによって、駆動子508bがステージ11に対しても線接触状となって接触面積が小さくなるため、単位面積当たりの押圧力を確保することができ、駆動子508bのステージ11への押圧力が弱い場合でも、ステージ11を駆動することができる。すなわち、超音波アクチュエータ502の消費電力を低減さることができる。
《発明の実施形態6》
続いて、本発明の実施形態6に係る超音波アクチュエータ602について説明する。
実施形態6に係る超音波アクチュエータ602は、駆動子608に切欠部が形成されている点で前記実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ602の各駆動子608は、図19に示すように、柱状部材である。駆動子608は、側面が円柱側面に形成された円柱部608aと、柱状部材の軸方向に切り欠かれた切欠部680と、該切欠部680を挟んで形成されてステージ11と当接する当接部608b,608bとを有している。
前記切欠部680及び当接部608b,608bは、円柱部608aの反対側に形成されている。つまり、駆動子608における円柱部608aと反対側の部分に切欠部680を形成することによって、切欠部680の両側に残った部分で当接部608b,608bが形成されている。このように形成された当接部608b,608bの先端は、R面に形成されている。また、切欠部680の内部には、吸着性を有する吸着部材85が配設されている。この切欠部680が減肉部及び凹部を構成し、当接部608b,608bが切欠部680の開口端縁部を構成する。
吸着部材85の材料としては、例えば、粘着性を有する天然ゴムや、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)やNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)等の粘着性を有する合成ゴムを用いることができる。あるいは、合成樹脂系粘着剤を塗布した樹脂・金属材料で吸着部材85を構成してもよい。
このように構成された各駆動子608は、その軸方向がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くように設置面40a上に配設されている。そして、各駆動子608は、円柱部608aがアクチュエータ本体4の設置面40aに対して接着剤82を介して線接触状に取り付けられている。このとき、切欠部680の長手方向も同様に厚み方向を向いており、その結果、2つの当接部608b,608bは、アクチュエータ本体4の長手方向に並んでいる。
かかる駆動子608,608を備えた超音波アクチュエータ602は、図20に示すように、各駆動子608の当接部608b,608bがステージ11と当接するように配設される。
このように構成された超音波アクチュエータ602によれば、駆動子608の切欠部680内に、駆動子608及びステージ11の摩耗粉を収集することができる。
したがって、実施形態6によれば、駆動子608に切欠部680を設けることによって、駆動子608の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子608の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子608の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ602の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子608の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子608に切欠部680を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子608の先端部から出力することができる。そして、駆動子608の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
それに加えて、切欠部680がステージ11の方を向くように駆動子608を配設することによって、駆動子608及びステージ11の摩耗粉を該切欠部680内に収集することができ、摩耗分の飛散に起因する超音波アクチュエータ602の性能低下や超音波アクチュエータ602を組み込んだ装置の性能低下を防止することができる。
また、切欠部680を挟んで、アクチュエータ本体4の長手方向の両側に当接部608b,608bを設けることによって、ステージ11がアクチュエータ本体4の長手方向の何れの方向に駆動される場合であっても、当接部608b,608b及びステージ11の摩耗粉を効果的に収集することができる。
さらに、駆動子608の当接部608b,608bの先端は、同一平面上に位置するため、実施形態4と同様に、付勢ゴム62によりアクチュエータ本体4をステージ11側に付勢しながら超音波アクチュエータ602を配置する際に、駆動子608の当接部608b,608bの先端がステージ11に合わさるようにアクチュエータ本体4を回転させることができ、アクチュエータ本体4の姿勢を所望の姿勢に修正することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、実施形態1〜3において、各駆動子に貫通孔が形成されているが、これに限られるものではない。すなわち、貫通孔ではなく、有底状の孔であってもよく、駆動子を減肉する構成であれば、任意の形状を採用することができる。また、貫通孔の軸が向く方向も、アクチュエータ本体4の厚み方向に限られるものではなく、任意の方向を向くことができる。ただし、ステージ11への押圧による変形を容易にするためには、貫通孔の軸が設置面40aに平行であることが好ましい。
また、前記実施形態の駆動子は、球状や円柱状であるが、これに限られるものではない。角柱状や台形状など、任意の形状の駆動子を採用することができる。
さらに、駆動子の個数は前記実施形態に制限されるものではなく、任意の個数の駆動子を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2を、アクチュエータ本体4に長手方向への縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとを調和的に発生させるように構成したが、これに限られるものではない。これ以外の振動又はモードを発生させるものであってもよく、アクチュエータ本体4を振動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力を介して駆動力を出力する振動型アクチュエータであれば任意の構成を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2は、前記の構成に限られるものではない。例えば、前記支持ゴム61,61及び付勢ゴム62を介して圧電素子ユニット40に給電する構成ではなく、リード線を圧電素子ユニット40に接続して給電する構成でもよい。また、圧電素子ユニット40の振動のノード部(節の部分)を非弾性部材で支持する構成であってもよい。
さらには、図21に示すように、圧電素子ユニット40の一方の短辺側面40b(この面が設置面に相当する)に駆動子708が設けられた超音波アクチュエータ702を採用してもよい。この駆動子708には、減肉部としての貫通孔780が形成されている。かかる構成であっても、圧電素子ユニット40が長手方向への縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとの合成振動を行うことによって駆動子708が周回運動を行い、ステージとの間の摩擦力を介して、該ステージを所定の可動方向(短手方向と平行な方向)へ移動させることができる。
さらにまた、アクチュエータ本体4は圧電素子ユニット40で構成されているが、金属などの基板に圧電素子を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し、圧電素子を挟み込んだ構成であってもよい。この場合、圧電素子を含んで構成された共振器がアクチュエータ本体を構成する。
さらに、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2を基台に固定すると共に、駆動子8,8を移動可能なステージ11に当接させて、該超音波アクチュエータ2を作動させることで該ステージ11を駆動させているが、図22に示すように、超音波アクチュエータ2をステージに固定する構成としてもよい。詳しくは、駆動装置801は、互いに平行な状態で基台に固定されたガイド13,13と、該ガイド13,13に摺動自在に取り付けられたステージ14と、超音波アクチュエータ2とを備えている。該ガイド13,13のうちの一方のガイド13には、該ガイド13に固定された当接部材13aが設けられている。一方、ステージ14には、アクチュエータ取付部14aが設けられている。そして、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8が該ガイド13の当接部材13aに当接する状態で、該ステージ14のアクチュエータ取付部14aにケース5が取り付けられている。この状態で、超音波アクチュエータ2を作動させると、駆動子8,8は当接部材13aに対して駆動力を出力するが、該当接部材13aは固定されているため、超音波アクチュエータ2自体が当接部材13aに対して相対的にガイド13,13の長手方向に振動する。その結果、アクチュエータ取付部14aを介してケース5と連結されたステージ14がガイド13,13の長手方向に駆動される。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動されるステージ11は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図23に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体15であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体15の側周面15aに当接するように構成された駆動装置901を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体15が所定の軸X回りに回動させられる。また、図24に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体16であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体16の平面部16aに当接するように構成された駆動装置101を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体16が駆動子8,8と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体16が所定の軸X回りに回動させられる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本発明の振動型アクチュエータは、駆動効率の向上させることができるため、高効率化が要求される電子機器等に有用である。
本発明は、振動型アクチュエータ及びそれを備えた駆動装置に関するものである。
従来より、圧電素子を有する振動型アクチュエータとしては、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に係る振動型アクチュエータは、圧電素子で構成されたアクチュエータ本体と、該アクチュエータ本体に取り付けられた駆動子とを備えている。
このアクチュエータ本体は、長手方向を有する平板状の圧電素子で構成されており、対角位置にある2対の電極にそれぞれ位相の異なる交流電圧を印加することで、該圧電素子の長手方向への縦振動(所謂、伸縮振動)と該圧電素子の短手方向への屈曲振動とを調和的に発生させている。その結果、駆動子は、該圧電素子の長手方向と短手方向とを含む平面内で周回運動、詳しくは、楕円運動を行う。
前記駆動子は、略半球体に形成されていて、アクチュエータ本体の長辺側面に2つ設けられている。この長辺側面はアクチュエータ本体の屈曲振動の振動方向を向く面であって、アクチュエータ本体が屈曲振動する際にその屈曲振動に従って屈曲変形する、換言すれば、波打つ面である。これら2つの駆動子は、該長辺側面において、屈曲変位が最も大きくなる屈曲振動の腹の部分に取り付けられている。
このように構成された振動型アクチュエータは、固定体と、該固定体に対して相対的に移動可能に配置された可動体の間に配置される。詳しくは、振動型アクチュエータは、前記駆動子が固定体及び可動体のうちの一方(以下、被当接体ともいう)に当接した状態で、固定体及び可動体のうちの他方に固定されて配設されている。その状態で、振動型アクチュエータを作動させて駆動子を前述の如く周回運動させると、駆動子は周回運動の或る領域では被当接体を押圧しながら摩擦力を増大させて周回し、周回運動の別の領域では被当接体から離間して又は被当接体との間の摩擦力を低減した状態で周回することになる。そして、被当接体を押圧しながら周回するときに、駆動子と被当接体との間の摩擦力を介して駆動力が可動体に伝達され、可動体を所定の方向へ駆動する。
前述の如く、アクチュエータ本体の振動に伴って周回運動する駆動子と該駆動子が当接する被当接体との間の摩擦力を介して可動体に駆動力を付与する振動型アクチュエータにおいては、駆動子における被当接体との当接部の変位が大きくなるほど、可動体に対して大きな駆動力を付与できる。そして、駆動子の外周形状を大きくすると、アクチュエータ本体に取り付けられた駆動子の基部と駆動子の当接部(被当接体と当接する部分)との距離が長くなるため、駆動子の該当接部の変位は大きくなると考えられる。しかしながら、駆動子を大きくしても、必ずしも、可動体に対して大きな駆動力を付与できるわけではない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可動体に対して大きな駆動力を付与して、振動型アクチュエータの駆動効率を向上させることにある。
この目的を達成するために、本発明は、駆動子に減肉部を設けることで、駆動子の倒れこみ振動の共振周波数を調節するようにしたものである。ここで、「駆動子の倒れこみ振動」とは、アクチュエータ本体に取り付けられた、駆動子の基部を中心とする、駆動力を出力する方向への駆動子の振動を意味する。
具体的には、本発明に係る振動型アクチュエータは、圧電素子で構成、又は圧電素子を含んで構成され、振動方向が異なる複数の振動を行うアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体の一の側面である設置面上に設けられて、該アクチュエータ本体の振動に従って周回運動することで駆動力を出力する駆動子とを備え、前記駆動子には、減肉部が設けられているものとする。ここで、「減肉部」とは、それ以外の部分よりも肉が減っている(状態の)部分を意味するものであって、元となる形状から切削加工等の追加的な加工によって肉が減っている状態にされたか、鋳造等のように製造された時点で元々肉が減っている状態にされているかは問わない。
また、本発明に係る駆動装置は、相対移動可能な固定体及び可動体と、前記固定体及び可動体の間に介設される前記振動型アクチュエータとを備えている。そして、前記振動型アクチュエータは、前記駆動子が前記固定体及び可動体の一方に当接する状態で該固定体及び可動体の他方に配設されているものとする。
本発明によれば、駆動子に減肉部を設けることで駆動子の重量を調節して、駆動子の倒れこみ振動の共振周波数を調節することによって、駆動子の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体の振動の位相に近づける(好ましくは、一致させる)ことができるため、被当接体と当接する駆動子の先端部の変位を駆動子の基部の変位と同じ方向へ該基部の変位よりも拡大することができ、その結果、駆動効率を向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図2は、駆動装置の斜視図である。
図3は、圧電素子ユニットの分解斜視図である。
図4は、アクチュエータ本体の概略構成を示す概略正面図である。
図5は、超音波アクチュエータの断面図である。
図6は、アクチュエータ本体の長手方向への縦振動の1次モードによる変位を示す概念図である。
図7は、アクチュエータ本体の屈曲振動の2次モードによる変位を示す概念図である。
図8は、アクチュエータ本体の動作を示す概念図である。
図9は、超音波アクチュエータによるステージの駆動を説明するための概念図であって、(a)は駆動前の状態、(b)はアクチュエータ本体が長手方向に伸張することで一方の駆動子によってステージを駆動する状態、(c)はアクチュエータ本体が長手方向に収縮することで他方の駆動子によってステージを駆動する状態を示す。
図10は、駆動子が変形する様子を示す概略断面図である。
図11は、実施形態2に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図12は、実施形態3に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図13は、実施形態3の変形例に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図14は、実施形態4に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図15は、実施形態4に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図16は、実施形態5に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図17は、実施形態5に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図18は、実施形態5の変形例に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図19は、実施形態6に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図20は、実施形態6に係る超音波アクチュエータの断面図である。
図21はその他の実施形態に係る超音波アクチュエータの斜視図である。
図22はその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図23は別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
図24はさらに別のその他の実施形態に係る駆動装置の斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る駆動装置1は、図2に示すように、ステージ11と、超音波アクチュエータ2と、該超音波アクチュエータ2を駆動制御する制御装置(図示省略)とを備えている。
ステージ11は、互いに平行な状態で固定体としての基台(図示省略)上に固定されたガイド12,12に摺動可能に取り付けられている。つまり、ステージ11は、ガイド12,12が延びる方向に沿って移動可能に構成されている。このステージ11が可動体を構成する。これらガイド12,12の延びる方向がステージ11の可動方向となる。このステージ11は、平面視略方形の板状部材であって、アルミナで形成されている。尚、ステージ11の材質は、アルミナに限られるものではなく、任意の材質を用いて形成することができる。そして、前記超音波アクチュエータ2は、このステージ11の裏面(ガイド12,12が設けられている側の面)に後述する駆動子8,8が当接するように配設されている。
前記超音波アクチュエータ2は、図1に示すように、振動を発生させるアクチュエータ本体4と、該アクチュエータ本体4の駆動力をステージ11に伝達させる駆動子8,8と、該アクチュエータ本体4を収容するケース5と、アクチュエータ本体4とケース5との間に介設されてアクチュエータ本体4を弾性的に支持する支持ゴム61,61と、アクチュエータ本体4を前記ステージ11に付勢するための付勢ゴム62とを備えている。この超音波アクチュエータ2が振動型アクチュエータを構成する(以下、同様)。
前記アクチュエータ本体4は、圧電素子ユニット40で構成されている。
前記圧電素子ユニット40は、略長方形状の互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して該主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の長辺側面と、これら主面及び長辺側面の両方と直交して該主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。
この圧電素子ユニット40は、図3に示すように、5つの圧電体層(圧電素子)41,41,…と4つの内部電極層42,44,43,44とを交互に積層して構成される。内部電極層42,44,43,44は、積層方向に圧電体層41を介して交互に配された、第1給電電極層42と共通電極層44と第2給電電極層43と共通電極層44とで構成される。これら第1給電電極層42、第2給電電極層43及び共通電極層44,44のそれぞれは、各圧電体層41の主面上に印刷されている。
前記各圧電体層41は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層であって、前記圧電素子ユニット40と同様に、一対の主面と、一対の長辺側面と、一対の短辺側面とを有する略直方体状をしている。また、各圧電体層41には、その長辺側面のうち一方の長辺側面の長手方向中央部に外部電極45aが、一方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極46aが、他方の短辺側面の短手方向中央部に外部電極47aがそれぞれ形成されている。
前記各共通電極層44は、圧電体層41の主面の略全面に亘って設けられた略長方形状をしている。また、各共通電極層44の一方の長辺部には、その長手方向中央部から圧電体層41の前記外部電極45aまで延びる引出電極44aが形成されている。
前記第1給電電極層42は、図4に示すように、圧電体層41の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2等分してなる4つの領域のうち該主面の対角線方向に位置する2対の領域のうち一方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第1電極42a,42bと、これら第1電極42a,42bを連結して導通させる導通電極42cとを有する。各第1電極42a(42b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第1電極42a(42b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第1電極42a,42bのうちの一方の第1電極42aには、圧電体層41の前記外部電極46aまで延びる引出電極42dが設けられている。
前記第2給電電極層43は、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する前記2対の領域のうち他方の対の領域にそれぞれ形成された一対の第2電極43a,43bと、これら第2電極43a,43bを連結して導通させる導通電極43cとを有する。前記他方の対の領域のうち積層方向に見て前記第1電極42aの前記短手方向且つ前記第1電極42bの前記長手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43aであり、第1電極42aの該長手方向且つ第1電極42bの該短手方向に隣接する領域に設けられる電極が第2電極43bである。各第2電極43a(43b)は略矩形状の電極であり、積層方向に見て共通電極層44と重なっている。つまり、各第2電極43a(43b)は、圧電体層41を挟んで共通電極層44と対向している。また、第2電極43a,43bのうちの一方の第2電極43bには、圧電体層41の前記外部電極47aまで延びる引出電極43dが設けられている。
これら圧電体層41,41,…と内部電極層42,44,43,44とを交互に積層することで構成された圧電素子ユニット40においては、その一方の長辺側面の前記長手方向中央部に、各圧電体層41の外部電極45aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極45が形成されている。この外部電極45には、前記共通電極層44,44に形成された引出電極44a,44aが電気的に接続されている。同様に、圧電素子ユニット40の一方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層41の外部電極46aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極46が形成されている。この外部電極46には、前記第1給電電極層42の引出電極42dが電気的に接続されている。また、圧電素子ユニット40の他方の短辺側面の前記短手方向中央部には、各圧電体層41の外部電極47aが積層方向に並んで一まとまりの外部電極47が形成されている。この外部電極47には、前記第2給電電極層43の引出電極43dが電気的に接続されている。
そして、圧電素子ユニット40の長辺側面のうち他方の長辺側面、即ち、前記外部電極45aが設けられていない側の長辺側面(すなわち、後述する屈曲振動の振動方向を向く一対の面のうちの一方の面。以下、設置面ともいう)40aには、2個の駆動子8,8が設けられている。
これら駆動子8,8は、軸方向に同軸状の貫通孔80が穿孔された円柱状の部材、即ち、円筒状の部材であって、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等で形成されている。この貫通孔80が減肉部を構成する。
各駆動子8は、その軸方向が圧電素子ユニット40の厚み方向(以下、直交方向ともいう)を向くように設置面40a上に配設されている。この直交方向は、圧電素子ユニット40の積層方向でもあり、駆動子8が後述する周回運動を行う平面に直交する方向でもあり、圧電素子ユニット40の後述する屈曲振動の振動方向と縦振動の振動方向とに直交する方向でもある。
また、これら駆動子8,8は、図5に示すように、設置面40aに対して接着剤82を介して線接触状に取り付けられている。ここで、「線接触状」とは、駆動子8と設置面40aとが厳密に接触している状態に限られず、駆動子8と設置面40aとの間に接着剤82を介在させて該駆動子8と設置面40aとが実質的に線接触している状態も意味する。また、「円柱状」とは、厳密な円柱形状に限られず、駆動子8が設置面40aに対して概略線接触となるような実質的な円柱形状も含む意味である。
接着剤82としては、圧電素子ユニット40の材料及び駆動子8の材料よりも柔らかいことが望ましい。具体的には、合成樹脂、特にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。このような材料を用いることにより圧電素子ユニット40の後述する振動をできるだけ阻害せずに駆動子8,8と設置面40aとの間の固定を実現することができる。
また、駆動子8,8が設けられた位置は、設置面40aにおいて、圧電素子ユニット40の長手方向両端部から該設置面40aの全長の30〜35%距離だけ内側に入った位置であり、即ち、圧電素子ユニット40の後述する屈曲振動の2次モードの腹の位置であって、振動が最も大きくなる位置である。
このように構成されたアクチュエータ本体4は、前記外部電極45をグランドに接続し、前記外部電極46に所定周波数の交流電圧を、前記外部電極47に該交流電圧と位相が90°ずれた交流電圧を印加することによって、圧電体層41の主面の対角線方向に位置する一方の対の第1電極42a,42bと、他方の対の第2電極43a,43bとに互いに位相が90°ずれた交流電圧が印加され、その長手方向への縦振動(いわゆる、伸縮振動)とその短手方向への屈曲振動(いわゆる、横振動)とが誘起される。
縦振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数はそれぞれ、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40の材料、形状等により決定される。さらに、両共振周波数は、アクチュエータ本体4を支持する力及び支持する部分によっても影響を受ける。これらを考慮して、両共振周波数を略一致させ、その近傍の周波数の交流電圧を位相を90°ずらした状態で外部電極46,47のそれぞれに印加する。例えば、縦振動の1次モード(図6参照)の共振周波数と屈曲振動の2次モード(図7参照)の共振周波数とが一致するように圧電素子ユニット40の形状等を設計して、該共振周波数近傍の交流電圧を前述の如く、位相を90°ずらして印加することによって、圧電素子ユニット40には、縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとが調和的に誘起され、図8(a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順番に起こす。
その結果、圧電素子ユニット40に設けられた各駆動子8が該圧電素子ユニット40の主面と平行な平面、即ち、長手方向と短手方向とを含む平面(図8における紙面と平行な面)内で略楕円運動、即ち、周回運動を行う。
前記ケース5は、樹脂製であって、前記圧電素子ユニット40に対応した略直方体状の概略箱形状をしている。このケース5は、前記圧電素子ユニット40の主面と平行で且つ略長方形状の主壁部51と、該主壁部51の前記長手方向の一側(図1における左側)に位置する短辺部に設けられた第1短辺壁部52と、該主壁部51の該長手方向の他側(図1における右側)に位置する短辺部に設けられた第2短辺壁部53と、該主壁部51の前記短手方向の一側(図1における下側)に位置する長辺部に設けられた長辺壁部54とを有している。つまり、ケース5は、主壁部51に対向する側及び該主壁部51の該短手方向の他側(図1における上側)に位置する長辺部(圧電素子ユニット40の駆動子8,8が設けられた長辺側面に対応する部分)には壁部が設けられておらず、圧電素子ユニット40の積層方向(主壁部51の法線方向)の一側及び該短手方向の他側に開口した形状となっている。
このように構成されたケース5内に前記アクチュエータ本体4が収容されている。アクチュエータ本体4は、圧電素子ユニット40の一方の主面が主壁部51と対向し且つ圧電素子ユニット40の一方の長辺側面(前記外部電極45が設けられている側の長辺側面)が長辺壁部54と対向するようにしてケース5内に収容されている。このとき、駆動子8,8はケース5から前記短手方向の他側に突出している。また、圧電素子ユニット40の一方の短辺側面とケース5の第1短辺壁部52との間および圧電素子ユニット40の他方の短辺側面とケース5の第2短辺壁部53との間にはそれぞれ支持ゴム61,61が介設されている。この圧電素子ユニット40の両短辺側面は縦振動の腹の部分であるが、支持ゴム61,61は弾性体であるため、圧電素子ユニット40の縦振動を阻害することなく、該圧電素子ユニット40を支持することができる。これら支持ゴム61,61は、アクチュエータ本体4並びに第1及び第2短辺壁部52,53だけでなく、主壁部51の内側表面とも当接している。また、圧電素子ユニット40の一方の長辺側面とケース5の長辺壁部54との間には付勢ゴム62が介設されている。この付勢ゴム62は、アクチュエータ本体4及び長辺壁部54だけでなく、主壁部51の内側表面とも当接している。
そして、主壁部51の内側表面における、前記支持ゴム61,61及び付勢ゴム62が当接する部分には電極51a(付勢ゴム62と当接する電極のみ図示)が設けられているこれらの電極は、主壁部51の外側表面に設けられた端子電極(図示省略)にそれぞれ導通している。
前記各支持ゴム61は、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。これら支持ゴム61,61は、アクチュエータ本体4をその長手方向に付勢した状態で弾性的に支持する。それと共に、支持ゴム61,61は、主壁部51の内側表面の該支持ゴム61,61の配設位置に対応する部分に設けられ且つ前記端子電極に導通する電極と圧電素子ユニット40の外部電極46,47とを導通させている。
また、前記付勢ゴム62も、支持ゴム61と同様に、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムで構成され、略直方体状をしている。この付勢ゴム62は、アクチュエータ本体4をその短手方向(即ち、短手方向が付勢方向に相当する)に付勢するためのものである。それと共に、付勢ゴム62は、圧電素子ユニット40の外部電極45と主壁部51の内側表面の電極51aとを導通させている。
尚、これら支持ゴム61及び付勢ゴム62の代わりに、板バネ等の弾性部材を採用してもよい。
つまり、ケース5の外側表面に設けられた前記端子電極に給電することによって、圧電素子ユニット40に給電することができる。
このように構成された超音波アクチュエータ2は、図2に示すように、駆動子8,8がステージ11の裏面と当接するように配設されると共に、ケース5が基台(図示省略)に固定される。詳しくは、超音波アクチュエータ2は、圧電素子ユニット40の短手方向がステージ11の裏面に直交すると共に、圧電素子ユニット40の長手方向がステージ11の裏面と平行で且つガイド12,12と平行になるように配置される。さらに換言すれば、超音波アクチュエータ2は、圧電素子ユニット40の屈曲振動の方向がステージ11の裏面と直交すると共に、圧電素子ユニット40の縦振動の方向がガイド12,12と平行な方向を向くように配置される。
このとき、前記付勢ゴム62が圧縮変形しており、この付勢ゴム62の弾性力によって駆動子8,8がステージ11に付勢されている。超音波アクチュエータ2のステージ11への付勢力は、付勢ゴム62の弾性力によって決まる。
前記制御装置は、外部からの動作指令を受けて、その動作指令に応じた周波数の交流電圧を動作指令に応じた位相差で外部電極46,47に印加する。
制御装置は、前述の如く、アクチュエータ本体4、即ち、圧電素子ユニット40に縦振動と屈曲振動とを調和的に発生させて、駆動子8,8を図8に示すような周回運動させることで、ステージ11を移動させる。具体的には、圧電素子ユニット40の異常発熱を防止すべく、圧電素子ユニット40の縦振動と屈曲振動との共通の共振周波数よりも少し高い周波数の交流電圧が外部電極46,47に印加される。このとき、かかる交流電圧は、互いに位相が90°ずれた状態で外部電極46,47に印加される。
圧電素子ユニット40が、縦振動と屈曲振動との合成振動を行うと、駆動子8,8は圧電素子ユニット40の長手方向と短手方向とを含む平面内において略楕円運動を行う。こうすることで、駆動子8,8は、ステージ11との当接及び離間を周期的に繰り返しながら、ステージ11に対して摩擦力を介して圧電素子ユニット40の長手方向へ駆動力を付与しており、ステージ11はガイド12,12に沿って移動する。この圧電素子ユニット40の長手方向(ガイド12,12が延びる方向と一致する)が、駆動子8,8が駆動力を出力する方向である駆動方向に相当する。
以下に、超音波アクチュエータ2によるステージ11の駆動を、図9を参照してさらに詳しく説明する。圧電素子ユニット40が長手方向(縦振動の振動方向)に伸張するとき、一方(例えば、図9の左側)の駆動子8は、図9(b)に示すように、短手方向(屈曲振動の振動方向)においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該一方の駆動子8が変位する側(図9の左側)へ移動させる。このとき、他方(図9の右側)の駆動子8は、該長手方向において一方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側(ステージ11から離れる側)の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
一方、圧電素子ユニット40が長手方向に収縮するときは、他方(図9の右側)の駆動子8は、図9(c)に示すように、短手方向においてステージ11側の領域を変位するため、ステージ11との間の摩擦力が増大し、この摩擦力によってステージ11を該長手方向における該他方の駆動子8が変位する側(図9の左側)へ移動させる。この移動方向は、前述した、圧電素子ユニット40の伸張時における一方の駆動子8によるステージ11の移動方向と同じである。このとき、一方(図9の左側)の駆動子8は、該長手方向において他方の駆動子8とは逆向きに変位するが、該短手方向において反ステージ11側の領域を変位するため、ステージ11から離れて摩擦力が作用せず、ステージ11の移動にはほとんど影響を与えない。
尚、図9においては、ステージ11の移動に影響を与えない方の駆動子8はステージ11から離れているが、必ずしも離れている必要はない。すなわち、駆動子8は、ステージ11を移動させない程度の摩擦力で該ステージ11に当接してる状態であってもよい。
こうして、一方の駆動子8と他方の駆動子8とは、位相が180°ずれた状態で交互にステージ11を所定の一方向へ移動させる。尚、前記交流電圧を位相を−90°ずらした状態で外部電極46,47に印加することによって、駆動子8,8が出力する駆動力を逆向きにすることができ、ステージ11を他方向へ移動させることができる。
尚、ステージ11の移動量、移動速度及び移動加速度は、外部電極46,47に給電する交流電圧の電圧値、周波数及び給電時間の少なくとも1つを調整する、又は外部電極46,47に給電する各交流電圧の位相のずれを変更する等によって調整することができる。
このように、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8に縦振動の振動方向(長手方向)と屈曲振動の振動方向(短手方向)とを含む平面内で周回運動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力の増大と緩和とを繰り返しながら、該ステージ11を駆動している。
ここで、駆動子8の周回運動、特に、駆動子8におけるステージ11との当接部の周回運動は、駆動子8の外周形状が大きいほど大きくなる。これは、設置面40aに接着剤82によって取り付けた駆動子8が、設置面40aとの当接部(以下、基部)を中心として左右方向(駆動方向であるアクチュエータ本体4の長手方向)に倒れる、倒れこみ振動を併発するからである。この倒れこみ振動によって、駆動子8におけるステージ11との当接部(以下、先端部)は、駆動子8の基部よりも、アクチュエータ本体4の長手方向へ振れることになる(図8参照)。つまり、駆動子8の先端部は、アクチュエータ本体4の長手方向への変位が駆動子8の倒れこみ振動によって基部よりも大きくなり、すなわち変位が拡大されて、ステージ11へ大きな駆動力を付与できるようになる。尚、上述の倒れこみ振動は、駆動子8と設置面40aとの当接状態が上述の状態にあるものに限定されない。上述の当接状態は、好ましい一例である。別の好ましい一例としては、駆動子8が設置面40aに一定の面積を介して強固に固定されているような場合が挙げられる。かかる当接状態では、駆動子8の基部を中心とした振動よりも、駆動子8自体の曲げ振動が支配的(より低い周波数)となる場合がある。このような場合でも、曲げ振動によって駆動子8の先端部がアクチュエータ本体4の長手方向へ振れるので、駆動子8の先端部は基部よりも変位が拡大される。以下の説明においては、この曲げ振動を含む、駆動子8の先端部が基部に対して相対的に長手方向に振れる振動状態全般を、倒れこみ振動と称して説明を続ける。
そして、駆動子8の外周形状を大きくすると、駆動子8の基部と先端部との距離が長くなるため、倒れこみ振動の振幅が大きくなり、ステージ11へより大きな駆動力を付与できようになるものと考えられる。ところが、駆動子8の外周形状を大きくしても、必ずしも、大きな駆動力を出力できるわけではない。
すなわち、駆動子8の外周形状を大きくすると、駆動子8の重量が重くなり、倒れこみ振動の共振周波数が低くなる。倒れこみ振動の共振周波数が、圧電素子ユニット40の振動のうち駆動方向への振動である縦振動の共振周波数に対して相対的に低くなると、倒れこみ振動とアクチュエータ本体4の縦振動との位相がずれる。その結果、アクチュエータ本体4の縦振動による駆動子8の基部の振動変位と、駆動子8の倒れこみ振動による駆動子8の先端部の振動変位とのタイミングが合わず、駆動子8の基部の変位を拡大して先端部に伝えることができない。例えば、倒れこみ振動と縦振動との位相が180度ずれた場合には、駆動子8の基部の振れる方向と駆動子8の先端部の振れる方向とが逆になる。これでは、アクチュエータ本体4でいかにパワーを発生させても、それを打ち消す方向に倒れこみ振動が発生することになるので、駆動効率を低減させてしまう。
そこで、本実施形態では、駆動子8に貫通孔80を形成して、円筒状にすることによって駆動子8を軽量化して、倒れこみ振動の共振周波数を調節している。そのため、駆動子8の倒れこみ振動の振幅を大きくすべく駆動子8の外周形状を大きくしても、駆動子8の重量が重くなることを防止することができ、倒れこみ振動の共振周波数が低くなることを防止することができる。その結果、駆動子8の外周形状を大きくして駆動子8の倒れこみ振動の振幅を大きくしつつ、駆動子8の倒れこみ振動の位相を圧電素子ユニット40の縦振動の位相に近づけることができる。これによって、駆動子8の倒れこみ振動の振幅を大きくしつつ、駆動子8の先端部の振動変位のタイミングをアクチュエータ本体4の振動変位のタイミングに合わせることができるため、駆動子8の先端部の変位を駆動子8の基部の変位と同じ方向へ該基部の変位よりも拡大することができ、ステージ11へ大きな駆動力を付与できるようになる。尚、駆動子8の倒れこみ振動の位相を、圧電素子ユニット40の縦振動の位相と実質的に一致させるのが、最も大きな駆動力を付与でき、最も好ましい。
したがって、本実施形態1によれば、駆動子8に貫通孔80を設けることによって、駆動子8の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動(本実施形態では縦振動)の位相に近づくように調節することができるため、駆動子8の倒れこみ振動を有効に活用して、駆動子8の基部の駆動方向への変位、即ち、該基部におけるアクチュエータ本体4の駆動方向への変位を拡大して、駆動子8の先端部を該駆動方向へ変位させることができる。つまり、駆動子8の基部の駆動力をより大きな駆動力として駆動子8の先端部から出力することができ、その結果、超音波アクチュエータ2の駆動効率を向上させることができる。
このことは、倒れこみ振動の振幅を大きくすべく、駆動子8の外周形状を大きくしたときに特に有効である。つまり、駆動子8の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子8に貫通孔80を設けることによって、駆動子8の倒れこみ振動の共振周波数を調節して、駆動子8の倒れこみ振動とアクチュエータ本体4の縦振動との位相を合わせることができる。そして、駆動子8の外周形状が大きくなったことで駆動子8の倒れこみ振動の振幅が大きくなるため、駆動子8の基部の駆動方向への変位をより大きく拡大して、駆動子8の先端部を該駆動方向へ変位させることができる。その結果、超音波アクチュエータ2の駆動効率をさらに向上させることができる。
また、駆動子8に貫通孔80を形成して駆動子8を中空状にすることによって、駆動子8が変形し易くなる。その結果、駆動子8がステージ11に押圧されたときに、該駆動子8は、その剛性によっては、図10に示すように、押圧方向に変形する。そうすると、駆動子8とステージ11との当接部の面積が、特に、駆動方向であるアクチュエータ本体4の長手方向に拡がるため、駆動子8の変位をステージ11へ確実に伝えることができ、超音波アクチュエータ2の駆動効率をさらに向上させることができる。
さらに、駆動子8が変形して、ステージ11との当接面積が拡大すると、駆動子8及びステージ11の単位面積当たりの荷重を低減することができ、駆動子8及びステージ11の摩耗を低減させることができる。
また、近年、電子機器の小型化にともない超音波アクチュエータ2も小型化が求められているが、超音波アクチュエータ2を小型化した場合、効率を低下させてしまう虞があった。すなわち、駆動子8,8の形状がアクチュエータ本体4に対して相対的に大きくなってしまい、前述のようにアクチュエータ本体4の屈曲振動の腹の部分に駆動子8,8を設けた構成ではアクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害してしまい、その結果、効率を低下させてしまう虞があった。
それに対し、本実施形態では、駆動子8の形状を円柱状(円筒状)とすることによって、各駆動子8と設置面40aとの接触面積を小さくすることができ、駆動子8,8をアクチュエータ本体4の屈曲振動によって波打つ長辺側面に設けるにもかかわらず、アクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害することを抑制することができる。それに加えて、該各駆動子8をその円柱の軸がアクチュエータ本体4の屈曲振動の振動方向と縦振動の振動方向とに直交する方向を向くように配設して設置面40aに取り付けることによって、アクチュエータ本体4の屈曲振動の阻害をさらに抑制することができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る超音波アクチュエータ202について説明する。
実施形態2に係る超音波アクチュエータ202は、駆動子208の貫通孔280内に吸振部材を内蔵している点で実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ202の各駆動子208は、図11に示すように、貫通孔280内に吸振部材84が配設されている。この貫通孔280が減肉部を構成する。
吸振部材84の材料としては、駆動子8よりも弾性係数が低く、吸振特性に優れた樹脂やゴム材料(例えば、シリコーンゴム)等を用いることができる。
ここで、前述の如く、内部に空孔が形成された駆動子は、ステージ11に押圧される際に変形する。しかも、この変形は駆動子の周回運動に同期して繰り返される。このため、駆動子が単独で共振して、アクチュエータ本体4の屈曲振動及び縦振動の共振周波数とは異なる周波数で変形振動する場合がある。この駆動子の変形振動の共振周波数は、駆動子の形状、比重、弾性係数によって異なるが、極端な場合には駆動子とステージ11との当接状態を変化させ、超音波アクチュエータ202としての効率を下げる場合がある。また、駆動子の変形振動の共振が騒音となって発生し、超音波アクチュエータ202の静音性を低下させる場合もある。
それに対し、本実施形態では、駆動子208の貫通孔280は吸振部材84が内蔵されているため、駆動子208の変形振動を吸振部材84で吸収することができ、超音波アクチュエータ202の効率を低下させることを防止することができると共に、騒音が発生することを防止することができる。
ただし、吸振部材84は、弾性係数が駆動子208よりも低いため、駆動子208の変形を阻害することはない。
《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る超音波アクチュエータ302について説明する。
実施形態3に係る超音波アクチュエータ302は、駆動子308が球状である点で、駆動子8,208が円柱状の実施形態1,2とは異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ302の各駆動子308は、図12に示すように、球状の部材であって、貫通孔380が形成されている。この貫通孔380が減肉部を構成する。
各駆動子308は、貫通孔380の軸がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くようにして設置面40aに取り付けられている。
各駆動子308は、設置面40aに対して接着剤82を介して点接触状に取り付けられている。ここで、「点接触状」とは、駆動子308と設置面40aとが厳密に接触している状態に限られず、駆動子308と設置面40aとの間に接着剤82を介在させて該駆動子308と設置面40aとが実質的に点接触している状態も意味する。
したがって、実施形態3によれば、駆動子308に貫通孔380を設けることによって、駆動子308の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子308の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子308の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ302の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子308の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子308に貫通孔380を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子308の先端部から出力することができる。そして、駆動子308の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
また、駆動子308の形状を球状とすることによって、駆動子308とアクチュエータ本体4の設置面40aとの接触面積を小さくでき、アクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害することを抑制することができる。その結果、超音波アクチュエータ302としての効率を向上させることができる。ここで、「球状」とは、厳密な球形状に限られず、駆動子308が圧電素子ユニット40に対して概略点接触となるような実質的な球形状も含む意味である。
その他、実施形態1と同様の作用・効果を奏することができる。
尚、駆動子308の貫通孔380には、前記実施形態2と同様に吸振部材を内蔵させてもよい。
また、図13に示すように、環状体83を各駆動子308の周囲に配してもよい。つまり、各駆動子308と設置面40aとの接触点の周囲に環状体83を配置したものである。すなわち、各駆動子308は、設置面40aに対して点接触状に取り付けられるだけでなく、環状体83を介しても設置面40aに取り付けられている。この環状体83は、各駆動子308及び設置面40aそれぞれに対して線接触状に取り付けられている。また、各駆動子308と環状体83、および環状体83と設置面40aとは、それぞれ接着剤82を介して取り付けられている。尚、各駆動子308は、設置面40aに対して点接触状には取り付けられておらず、環状体83を介して線接触状にのみ取り付けられる構成であってもよい。ここで、「線接触状」とは、環状体83と駆動子308又は設置面40aとが厳密に接触している状態に限られず、環状体83と駆動子308又は設置面40aとの間に接着剤82を介在させて該環状体83と駆動子308又は設置面40aとが実質的に線接触している状態も意味する。
このように環状体83を配置させることによって、各駆動子308と環状体83、および環状体83と設置面40aとの間で、それぞれの接触点を増やすことができ、これにより駆動子308と設置面40aとの接続強度を向上させることができる。環状体83は、振動を妨げず接着強度を向上させる意味より、駆動子308より柔らかく、接着剤82より堅い材質が望ましい。具体的には、アルミ、鉄などの金属や硬度の高いエポキシ、フェノールなどの樹脂である。
《発明の実施形態4》
続いて、本発明の実施形態4に係る超音波アクチュエータ402について説明する。
実施形態4に係る超音波アクチュエータ402は、駆動子408の形状が前記実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ402の各駆動子408は、図14に示すように、円柱と半球体とを結合した形状をしている。すなわち、駆動子408は、その一端側に形成された平面部408aと、他端側に形成された球面部408bとを有している。
前記平面部408aは、その中央に他端側に向かって穿孔された凹部480が形成されている。つまり、凹部480が減肉部を構成し、平面部408aは凹部480の開口端縁部を構成する。
このように構成された各駆動子408は、球面部408bがアクチュエータ本体4の設置面40aに対して接着剤82を介して点接触状に取り付けられている。このとき、駆動子408の平面部408aは、設置面40aと平行となっており、凹部480が設置面40aと反対側に向かって開口している。
かかる駆動子408,408を備えた超音波アクチュエータ402は、図15に示すように、駆動子408の平面部408aがステージ11と当接するように配設される。すなわち、駆動子408は、球面部408bを介してアクチュエータ本体4の設置面40aに取り付けられている一方、平面部408aがステージ11に当接する。
以上、説明してきた超音波アクチュエータ402によれば、駆動子408の凹部480内に、駆動子408及びステージ11の摩耗粉を収集することができる。
すなわち、駆動子408,408とステージ11との間の摩擦力を介してステージ11を駆動する超音波アクチュエータ402においては、駆動子408,408とステージ11とが摩耗する。この磨耗によって生じる磨耗粉が飛散すると、アクチュエータとしての性能を確保できない虞や、アクチュエータを組み込んだ装置の性能に影響を及ぼす虞がある。
そこで、本実施形態では、駆動子408に凹部480を形成すると共に、該凹部480がステージ11の方を向くように駆動子408を配設している。こうすることで、駆動子408およびステージ11の磨耗粉を凹部480内に堆積させることができ、外部に飛散する磨耗粉の量を大幅に削減することができる。
したがって、実施形態4によれば、駆動子408に凹部480を設けることによって、駆動子408の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子408の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子408の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ402の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子408の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子408に凹部480を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子408の先端部から出力することができる。そして、駆動子408の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
それに加えて、凹部480がステージ11の方を向くように駆動子408を配設することによって、駆動子408及びステージ11の摩耗粉を該凹部480内に収集することができ、摩耗粉の飛散に起因する超音波アクチュエータ402の性能低下や超音波アクチュエータ402を組み込んだ装置の性能低下を防止することができる。
特に、環状の平面部408aの中央に凹部480を形成することで、ステージ11が駆動方向であるアクチュエータ本体4の長手方向の何れの方向に駆動される場合であっても、摩耗粉を効果的に収集することができる。
さらに、駆動子408のステージ11との当接部を平面部408aで構成することによって、付勢ゴム62によりアクチュエータ本体4をステージ11側に付勢しながら超音波アクチュエータ402を配置する際に、駆動子408の平面部408aがステージ11に合わさるようにアクチュエータ本体4を回転させることができ、アクチュエータ本体4の姿勢を所望の姿勢に修正することができる。
つまり、アクチュエータ本体4をケース5内において支持ゴム61,61で支持する構成においては、支持ゴム61,61の変形によりアクチュエータ本体4の姿勢を柔軟に変更することができる。そして、この構成において、駆動子408の当接部をステージ11の被当接部、即ち、裏面に対応した平面部408aとすることによって、アクチュエータ本体4をステージ11側に付勢することで駆動子408の平面部408aがステージ11の裏面に合わさるようにアクチュエータ本体4の姿勢を矯正することができる。このことは、アクチュエータ本体4を保持する支持ゴム61,61やアクチュエータ本体4を付勢する付勢ゴム62、あるいはそれらを収容するケース5などの形状精度によってアクチュエータ本体4が所望の姿勢よりも傾いていた場合に特に有効である。
《発明の実施形態5》
続いて、本発明の実施形態5に係る超音波アクチュエータ502について説明する。
実施形態5に係る超音波アクチュエータ502は、駆動子508の形状が円柱状であるものの、その配設姿勢が前記実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ502の各駆動子508は、図16に示すように、軸方向に同軸状の貫通孔580が穿孔された円柱状の部材、即ち、円筒状の部材である。各駆動子508の端面は、平面に形成されている。この貫通孔580が減肉部及び凹部を構成し、駆動子508の環状の先端面が凹部の開口端縁部を構成する。
この各駆動子508は、その軸方向が設置面40aに直交する状態で該設置面40aに配設されている。すなわち、駆動子508の貫通孔580は設置面40aと反対側に開口している。尚、各駆動子508は、設置面40aに対して接着剤82を介して取り付けられている。
かかる駆動子508,508を備えた超音波アクチュエータ502は、図17に示すように、各駆動子508の環状の端面がステージ11と当接するように配設される。
このように構成された超音波アクチュエータ502によれば、駆動子508の貫通孔580内に、駆動子508及びステージ11の摩耗粉を収集することができる。
すなわち、駆動子508,508とステージ11との間の摩擦力を介してステージ11を駆動する超音波アクチュエータ502においては、駆動子508,508とステージ11とが摩耗する。この磨耗によって生じる磨耗粉が飛散すると、超音波アクチュエータ502としての性能を確保できない虞や、超音波アクチュエータ502を組み込んだ装置の性能に影響を及ぼす虞がある。
そこで、本実施形態では、駆動子508に貫通孔580を形成すると共に、該貫通孔580の開口端縁部がステージ11に当接するように駆動子508を構成している。こうすることで、駆動子508およびステージ11の磨耗粉を貫通孔580内に堆積させることができ、外部に飛散する磨耗粉の量を大幅に削減することができる。特に、駆動子508の当接部である開口端縁部は、円筒の端面であって貫通孔580の全周を覆っているため、ステージ11がアクチュエータ本体4の長手方向の何れの方向に駆動される場合であっても、摩耗粉を効果的に収集することができる。
したがって、実施形態5によれば、駆動子508に貫通孔580を設けることによって、駆動子508の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子508の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子508の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ502の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子508の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子508に貫通孔580を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子508の先端部から出力することができる。そして、駆動子508の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
それに加えて、貫通孔580がステージ11の方を向くように駆動子508を配設することによって、駆動子508及びステージ11の摩耗粉を該貫通孔580内に収集することができ、摩耗分の飛散に起因する超音波アクチュエータ502の性能低下や超音波アクチュエータ502を組み込んだ装置の性能低下を防止することができる。
また、駆動子508の開口端縁部は、円筒の端面であって同一平面上に位置するため、実施形態4と同様に、付勢ゴム62によりアクチュエータ本体4をステージ11側に付勢しながら超音波アクチュエータ502を配置する際に、駆動子508の開口端縁部がステージ11に合わさるようにアクチュエータ本体4を回転させることができ、アクチュエータ本体4の姿勢を所望の姿勢に修正することができる。
尚、図18に示す駆動子508bのように、円筒の端面をR面に形成してもよい。この場合、駆動子508bが設置面40aに対して線接触状に取り付けられることになるため、駆動子508bとアクチュエータ本体4の設置面40aとの接触面積を小さくでき、アクチュエータ本体4の屈曲振動を阻害することを抑制することができる。その結果、超音波アクチュエータ502としての効率を向上させることができる。
また、駆動子508bの端面をR面に形成することによって、駆動子508bがステージ11に対しても線接触状となって接触面積が小さくなるため、単位面積当たりの押圧力を確保することができ、駆動子508bのステージ11への押圧力が弱い場合でも、ステージ11を駆動することができる。すなわち、超音波アクチュエータ502の消費電力を低減さることができる。
《発明の実施形態6》
続いて、本発明の実施形態6に係る超音波アクチュエータ602について説明する。
実施形態6に係る超音波アクチュエータ602は、駆動子608に切欠部が形成されている点で前記実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
詳しくは、超音波アクチュエータ602の各駆動子608は、図19に示すように、柱状部材である。駆動子608は、側面が円柱側面に形成された円柱部608aと、柱状部材の軸方向に切り欠かれた切欠部680と、該切欠部680を挟んで形成されてステージ11と当接する当接部608b,608bとを有している。
前記切欠部680及び当接部608b,608bは、円柱部608aの反対側に形成されている。つまり、駆動子608における円柱部608aと反対側の部分に切欠部680を形成することによって、切欠部680の両側に残った部分で当接部608b,608bが形成されている。このように形成された当接部608b,608bの先端は、R面に形成されている。また、切欠部680の内部には、吸着性を有する吸着部材85が配設されている。この切欠部680が減肉部及び凹部を構成し、当接部608b,608bが切欠部680の開口端縁部を構成する。
吸着部材85の材料としては、例えば、粘着性を有する天然ゴムや、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)やNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)等の粘着性を有する合成ゴムを用いることができる。あるいは、合成樹脂系粘着剤を塗布した樹脂・金属材料で吸着部材85を構成してもよい。
このように構成された各駆動子608は、その軸方向がアクチュエータ本体4の厚み方向を向くように設置面40a上に配設されている。そして、各駆動子608は、円柱部608aがアクチュエータ本体4の設置面40aに対して接着剤82を介して線接触状に取り付けられている。このとき、切欠部680の長手方向も同様に厚み方向を向いており、その結果、2つの当接部608b,608bは、アクチュエータ本体4の長手方向に並んでいる。
かかる駆動子608,608を備えた超音波アクチュエータ602は、図20に示すように、各駆動子608の当接部608b,608bがステージ11と当接するように配設される。
このように構成された超音波アクチュエータ602によれば、駆動子608の切欠部680内に、駆動子608及びステージ11の摩耗粉を収集することができる。
したがって、実施形態6によれば、駆動子608に切欠部680を設けることによって、駆動子608の倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、駆動子608の倒れこみ振動を有効に活用して、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きな駆動力として駆動子608の先端部から出力することができる。その結果、超音波アクチュエータ602の駆動効率を向上させることができる。
さらに、駆動子608の外周形状を大きくした場合であっても、駆動子608に切欠部680を設けることによって、該倒れこみ振動の位相をアクチュエータ本体4の駆動方向への振動の位相に近づくように調節することができるため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力を倒れこみ振動により拡大して、駆動子608の先端部から出力することができる。そして、駆動子608の外周形状を大きくしているため、アクチュエータ本体4で発生した駆動力をより大きく拡大することができる。
それに加えて、切欠部680がステージ11の方を向くように駆動子608を配設することによって、駆動子608及びステージ11の摩耗粉を該切欠部680内に収集することができ、摩耗分の飛散に起因する超音波アクチュエータ602の性能低下や超音波アクチュエータ602を組み込んだ装置の性能低下を防止することができる。
また、切欠部680を挟んで、アクチュエータ本体4の長手方向の両側に当接部608b,608bを設けることによって、ステージ11がアクチュエータ本体4の長手方向の何れの方向に駆動される場合であっても、当接部608b,608b及びステージ11の摩耗粉を効果的に収集することができる。
さらに、駆動子608の当接部608b,608bの先端は、同一平面上に位置するため、実施形態4と同様に、付勢ゴム62によりアクチュエータ本体4をステージ11側に付勢しながら超音波アクチュエータ602を配置する際に、駆動子608の当接部608b,608bの先端がステージ11に合わさるようにアクチュエータ本体4を回転させることができ、アクチュエータ本体4の姿勢を所望の姿勢に修正することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、実施形態1〜3において、各駆動子に貫通孔が形成されているが、これに限られるものではない。すなわち、貫通孔ではなく、有底状の孔であってもよく、駆動子を減肉する構成であれば、任意の形状を採用することができる。また、貫通孔の軸が向く方向も、アクチュエータ本体4の厚み方向に限られるものではなく、任意の方向を向くことができる。ただし、ステージ11への押圧による変形を容易にするためには、貫通孔の軸が設置面40aに平行であることが好ましい。
また、前記実施形態の駆動子は、球状や円柱状であるが、これに限られるものではない。角柱状や台形状など、任意の形状の駆動子を採用することができる。
さらに、駆動子の個数は前記実施形態に制限されるものではなく、任意の個数の駆動子を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2を、アクチュエータ本体4に長手方向への縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとを調和的に発生させるように構成したが、これに限られるものではない。これ以外の振動又はモードを発生させるものであってもよく、アクチュエータ本体4を振動させて駆動子8,8とステージ11との間の摩擦力を介して駆動力を出力する振動型アクチュエータであれば任意の構成を採用することができる。
また、超音波アクチュエータ2は、前記の構成に限られるものではない。例えば、前記支持ゴム61,61及び付勢ゴム62を介して圧電素子ユニット40に給電する構成ではなく、リード線を圧電素子ユニット40に接続して給電する構成でもよい。また、圧電素子ユニット40の振動のノード部(節の部分)を非弾性部材で支持する構成であってもよい。
さらには、図21に示すように、圧電素子ユニット40の一方の短辺側面40b(この面が設置面に相当する)に駆動子708が設けられた超音波アクチュエータ702を採用してもよい。この駆動子708には、減肉部としての貫通孔780が形成されている。かかる構成であっても、圧電素子ユニット40が長手方向への縦振動の1次モードと屈曲振動の2次モードとの合成振動を行うことによって駆動子708が周回運動を行い、ステージとの間の摩擦力を介して、該ステージを所定の可動方向(短手方向と平行な方向)へ移動させることができる。
さらにまた、アクチュエータ本体4は圧電素子ユニット40で構成されているが、金属などの基板に圧電素子を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し、圧電素子を挟み込んだ構成であってもよい。この場合、圧電素子を含んで構成された共振器がアクチュエータ本体を構成する。
さらに、前記実施形態では、超音波アクチュエータ2を基台に固定すると共に、駆動子8,8を移動可能なステージ11に当接させて、該超音波アクチュエータ2を作動させることで該ステージ11を駆動させているが、図22に示すように、超音波アクチュエータ2をステージに固定する構成としてもよい。詳しくは、駆動装置801は、互いに平行な状態で基台に固定されたガイド13,13と、該ガイド13,13に摺動自在に取り付けられたステージ14と、超音波アクチュエータ2とを備えている。該ガイド13,13のうちの一方のガイド13には、該ガイド13に固定された当接部材13aが設けられている。一方、ステージ14には、アクチュエータ取付部14aが設けられている。そして、超音波アクチュエータ2は、駆動子8,8が該ガイド13の当接部材13aに当接する状態で、該ステージ14のアクチュエータ取付部14aにケース5が取り付けられている。この状態で、超音波アクチュエータ2を作動させると、駆動子8,8は当接部材13aに対して駆動力を出力するが、該当接部材13aは固定されているため、超音波アクチュエータ2自体が当接部材13aに対して相対的にガイド13,13の長手方向に振動する。その結果、アクチュエータ取付部14aを介してケース5と連結されたステージ14がガイド13,13の長手方向に駆動される。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動されるステージ11は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図23に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体15であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体15の側周面15aに当接するように構成された駆動装置901を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体15が所定の軸X回りに回動させられる。また、図24に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体16であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が該円板体16の平面部16aに当接するように構成された駆動装置101を採用してもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の概略楕円運動によって、該円板体16が駆動子8,8と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体16が所定の軸X回りに回動させられる。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本発明の振動型アクチュエータは、駆動効率の向上させることができるため、高効率化が要求される電子機器等に有用である。
1,801,901,101 駆動装置
11 ステージ(可動体)
2 超音波アクチュエータ(振動型アクチュエータ)
4 アクチュエータ本体
40a 長辺側面(設置面)
40b 短辺側面(設置面)
8,208,308,408,508,508b,608,708 駆動子
80,280,380,580,780 貫通孔(減肉部)
480 凹部(減肉部)
680 切欠部(減肉部)
83 環状体
84 吸振部材
85 吸着部材