JPWO2008032847A1 - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、皮膚常在菌に対して抗菌性が高い皮膚外用剤を提供する。本発明の皮膚外用剤は、アポラクトフェリンを含有し、該アポラクトフェリンの鉄結合度は5%以下であり、そして該アポラクトフェリンを1w/v%の濃度で含む水溶液を調製した場合に、該水溶液中の総陽イオン濃度は5mmol/L以下である。皮膚常在菌に対して高い抗菌性を有し、安全性が高く副作用を引き起こさない。したがって、化粧品およびトイレタリー用品のような日常的に用いられる製品にも好適に使用することができる。

Description

本発明は、皮膚外用剤に関する。より詳細には、抗菌性を有するアポラクトフェリンを含有する皮膚外用剤に関する。
生体は、皮膚において、物理的な方法によって、または殺菌性物質もしくは粘液の分泌などの化学的方法によって、微生物の侵入に対して抵抗している。しかし、菌の感染能力が生体の抵抗性を上回れば、その生体には感染症状が現れる。そのような感染症状としては、例えば、ニキビ、アトピー性皮膚炎、および膿皮症が挙げられる。これらの症状のそれぞれの原因菌は、皮膚に常在する菌であり得る。このような症状の予防または治療のために種々の薬剤が用いられてきたが、そのほとんどは、抗生物質または合成抗菌剤であり、これらは、抗菌性は強いが副作用があるという問題を有する。
ラクトフェリンは、多くの哺乳動物の体液中、例えば、乳汁中に存在する。特に、母乳の初乳には、5〜10g/L含まれ、含有されている全蛋白の30%〜70%を占めることが知られている。ラクトフェリンは、乳児の健康維持および発育に重要な蛋白であると共に、近年、抗菌作用および抗バクテリア作用を有することが明らかになり、食品工業の他、様々な分野で利用されている。
ラクトフェリンは、1分子中に2個の鉄を結合している、分子量約80,000の鉄結合性の糖蛋白である。ラクトフェリンは、pH2のような酸性下で鉄を遊離し、アポラクトフェリンとなる。ラクトフェリンの静菌(制菌)作用に関して、以下のように考えられた。アポラクトフェリンのキレート作用によって、微生物の生育に必要とする鉄分が奪われ、その増殖が制限される。このため、生育の際に鉄分を強く要求する微生物が、ラクトフェリンの静菌(制菌)作用を受ける。このようなラクトフェリンの静菌(制菌)作用は、特に腸内環境において考察されている。このように、ラクトフェリンの静菌(制菌)作用に関してアポラクトフェリンのキレート作用が注目されている。しかし、アポラクトフェリン自体の性質については、まだ知られていない部分が多い。
特開平6−279310号公報には、ラクトフェリンを酸で加水分解することにより、特に皮膚常在病原菌およびう蝕原菌に対する抗菌性が増大する傾向にあることが記載されている。より詳細には、ウシ由来のラクトフェリンをクエン酸でpHを3以下に調整した後に高温(95℃)で5分〜3時間処理することにより、種々の鉄結合能の生成物を得、鉄結合能の低い生成物ほど皮膚常在病原菌およびう蝕原菌に対する抗菌効果が高かったことが記載されている。
本発明は、皮膚常在菌に対して抗菌性が高い皮膚外用剤を提供することを目的とする。
本発明は、アポラクトフェリンを含有する皮膚外用剤を提供し、この皮膚外用剤において、
該アポラクトフェリンの鉄結合度は5%以下であり、そして
該アポラクトフェリンを1w/v%の濃度で含む水溶液を調製した場合に、該水溶液中の総陽イオン濃度は5mmol/L以下である。
本発明によれば、皮膚常在菌に対して抗菌性が高い皮膚外用剤が提供される。この皮膚外用剤は、安全性が高く副作用を引き起こさない。
図1は、各酸処理により得られたアポラクトフェリンまたはラクトフェリンを種々の濃度で添加した場合の大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。
図2は、種々の濃度の塩化ナトリウムと共にアポラクトフェリンを添加した場合の大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。
図3は、種々の鉄結合度のアポラクトフェリンを種々の濃度で添加した場合の大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。
図4は、種々の鉄結合度および種々の総陽イオン濃度を有するアポラクトフェリンである試料A、B、またはCを添加した場合の大腸菌の培養液における吸光度を示すグラフである。
図5は、種々の鉄結合度および種々の総陽イオン濃度を有するアポラクトフェリンである試料A、B、またはCを添加した場合の表皮ブドウ球菌の培養液における吸光度を示すグラフである。
図6は、種々の濃度のアポラクトフェリンまたはラクトフェリンを添加した場合のMicrococcus luteu培養液における吸光度を示すグラフである。
図7は、種々の濃度のアポラクトフェリンまたはラクトフェリンを添加した場合のCandida albicans培養液における吸光度を示すグラフである。
図8は、アポラクトフェリンまたはラクトフェリンを添加した場合の一皿あたりのアクネ菌コロニー数を示すグラフである。
図9は、アポラクトフェリン含有エタノール水またはアポラクトフェリン非含有エタノール水を用いた試験の開始前および後での、被験体頭皮のフケスコアの変化を示すグラフである。
図10は、アポラクトフェリン含有エタノール水またはアポラクトフェリン非含有エタノール水を用いた試験の開始前および後での、被験体頭皮の赤斑スコアの変化を示すグラフである。
(アポラクトフェリン)
本発明の皮膚外用剤は、アポラクトフェリンを含有する。アポラクトフェリンとは、ラクフェリン分子中に結合されている鉄が遊離した糖蛋白分子である。本発明で使用するアポラクトフェリンは、以下の特性を有する限り、特に限定されない。
本発明におけるアポラクトフェリンは、その分子中の鉄結合度が5%以下、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。ここで、鉄結合度とは、アポラクトフェリンのモル数に対する鉄のモル数の割合をいう。鉄結合度は、分光分析によりアポラクトフェリンの吸光度を測定すること、あるいは原子吸光分析やICP分光分析によりアポラクトフェリン中の鉄量を直接測定することによって決定され得る。本発明においては、鉄結合度は、アポラクトフェリン粉末を純水に溶解して1w/v%溶液とし、これを470nmの吸光度で測定して求めたものをいう。
本発明におけるアポラクトフェリンは、1w/v%の濃度でアポラクトフェリンを含む水溶液を調製した場合に、該水溶液中の総陽イオン濃度が5mmol/L以下である。総陽イオン濃度の決定は、アポラクトフェリン粉末を0.1N塩酸に溶解して0.1w/v%溶液を調製し、原子吸光光度法によって各陽イオン量を測定することにより各陽イオンの濃度を求め、これらを合算する。総陽イオン濃度は、アポラクトフェリン粉末に不純物として含有される塩(イオン)に相当し得る。上記の0.1N塩酸によって、ラクトフェリンに結合しているイオンではなく、その粉末に混入している塩のみが溶け出され得るためである。総陽イオン濃度は、好ましくは、3.0mmol/L以下であり、より好ましくは、1.0mmol/L以下である。
アポラクトフェリンは、通常、ラクトフェリンを含有する水溶液のpHを、酸性側に調節して、ラクトフェリン分子が有する2価の鉄イオンを解離させることにより、製造され得る。
アポラクトフェリンの原料となるラクトフェリンは、乳汁(例えば、牛乳)などの哺乳動物の分泌液または脱脂乳、ホエイ(乳清)などの乳汁加工物からの分離精製(例えば、カチオン交換樹脂に吸着させた後、高濃度塩類溶液で脱離させる方法、電気泳動による分離法、アフィニティークロマトグラフィーによる分離法など)を利用することによって得られたものであってもよい。さらに遺伝子組換えにより得られる種々の細胞(微生物、植物細胞、動物細胞、昆虫細胞などを含む)、植物、動物などにより産生されたものであってもよい。ラクトフェリンは、医薬品、試薬などとして市販されているものであってもよい。ラクトフェリンは、好ましくは、天然物に由来する。好ましくは、乳清由来のものである。牛乳または脱脂乳から乳製品(例えば、チーズ、カゼインなど)を製造する際に発生する副産物として得られるホエイは、ラクトフェリンの供給源として好適に用いられ得る。
アポラクトフェリンは、好適には、例えば、ラクトフェリン含有液を限外濾過する際に該液に酸を添加し、ラクトフェリンに結合している鉄イオンを解離させることによって製造され得る。ここで用いられ得る酸としては、例えば、クエン酸、塩酸、リン酸、リンゴ酸、または(0.4M以上の)酢酸が挙げられるが、クエン酸が好ましい。あるいは、アポラクトフェリンは、例えば、カチオン交換膜とアニオン交換膜とが張り合わさった構造を有する複合イオン交換膜であるバイポーラ膜とカチオン交換膜とが交互に配列されて、これらの膜により仕切られた酸室と塩基室とを有する電気透析装置を使用することによっても、好適に製造され得る。この場合、酸としては、電気透析装置での製造工程の間に産生される塩酸が用いられる。
本発明におけるアポラクトフェリンの製造において、調節される酸性側のpHは、好ましくは0.5〜3.0であり、より好ましくは1.5〜2.5である。pHが中性に近い場合(例えば、5.5)では、得られるアポラクトフェリンの抗菌性が弱くなることがある。ラクトフェリンを含有する水溶液のpH調整剤としては、上記酸だけでなく、フタル酸、グリシンなども用いられ得る。これらのpH調整剤は、ラクトフェリンを含有する水溶液に、そのpHを上記の値に調節するに適切な量で添加される。
ラクトフェリンを含有する水溶液のpHを酸性側へ調節する際の温度は、蛋白の変性を考慮すると高温でないほうが好ましい。通常5℃〜60℃、より好ましくは15℃〜35℃であり、さらにより好ましくは室温である。
本発明におけるアポラクトフェリンの具体的な製造については、以下の調製例に詳述するが、アポラクトフェリンの製造方法はこれらに限定されない。本発明におけるアポラクトフェリンは、アポラクトフェリンとして市販されているものを上記の鉄結合度および総陽イオン濃度を有するように改質することによっても得られ得る。
アポラクトフェリンの製造の際に、通常、アポラクトフェリンは水溶液の形態で得られ得る。アポラクトフェリンを用いて本発明の皮膚外用剤を調製する場合、水溶液の形態で用いても、あるいは溶媒を除去して粉末化した形態で用いてもよい。
(皮膚外用剤)
本発明の皮膚外用剤中に含まれるアポラクトフェリンの量については、剤形に応じて変わるため、特に制限はない。好ましくは0.01質量%〜20質量%または0.01w/v%〜20w/v%であり、より好ましくは0.1質量%〜10質量%または0.1w/v%〜10w/v%であり、さらにより好ましくは1質量%〜5質量%または1w/v%〜5w/v%である。
本発明の皮膚外用剤は、外観、使用感および保存安定性をより向上させるために、必要に応じて、当業者が皮膚外用剤に通常用いる基剤および添加剤を含有してもよい。さらに、本発明の外用剤の有する機能をより増強したり、補填したりする目的で、様々な助剤を添加することもできる。
上記基剤としては、グリセロール、エタノール、パラベン、またはブチレングリコールなどが挙げられる、上記添加剤としては、賦形剤(デキストリンなど)、香料、色素、保存剤(パラベンなど)、増粘剤(シリコン系ポリマー、アクリル系ポリマー、カルボキシビニル系ポリマーなど)、キレート剤(EDTAなど)、甘味料(スクラロースなど)、清涼剤(メントールなど)、防腐防黴剤(フェノキシエタノールなど)などが挙げられる。
上記助剤としては、例えば、他の薬効成分や他の油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸及びその誘導体や亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油、ヒマシ油などの動植物より抽出された油及びその誘導体など)、保湿剤(コラーゲンまたはその分解物、カロットエキスなどに含まれるコラーゲン類似ペプチド、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ糖、トレハロースなどの糖類、海藻類、アルギン酸、グルコマンナン、ペクチンなどの水溶性食物繊維、リン脂質など)、界面活性剤(レシチンや脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体など)、紫外線吸収剤(酸化亜鉛や酸化チタンなど)、吸収促進剤などが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に適用可能である任意の形態をとり得る。本発明の皮膚外用剤の剤形は、例えば、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤などにすることができる。本発明の外用剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品、トイレタリー用品などとして使用できる。これらは、必要に応じて当業者が通常用いる成分を含有し、当業者が通常用いる方法に従って調製され得る。化粧品の場合、例えば、洗浄用化粧料、基礎化粧料、仕上げ化粧料、頭髪用化粧料として利用することもできる。洗浄用化粧料としては、洗顔剤、石鹸、ボディシャンプーなどが挙げられる。基礎化粧料としては、化粧水、化粧クリーム、乳液、パックなどが挙げられる。仕上げ用化粧料としては、ファンデーション、白粉、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドーなどが挙げられる。頭髪用化粧料としては、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、スタイリング剤などが挙げられる。髭剃り用剤、脱毛剤、脱色剤などにも用いられ得る。シートに含ませて拭き取り用とすること(例えば、ウェットタイプのティッシュ、拭き取り用ペーパー類)もできる。医薬品としては、育毛剤、水性軟膏、油性軟膏、シップ、ゲルなどが挙げられる。
アポラクトフェリンは、皮膚外用剤に、当業者が通常用いる手順によって添加、配合または含有され得る。例えば、水またはアルコールなどの溶媒に予め溶解後、他の配合成分と混合することによって、または粉末のまま他の配合成分と攪拌混合することによって、皮膚外用剤中に添加、配合または含有させ得る。
本発明の皮膚外用剤は、上記で説明したような形態とされ、その形態での投与または適用に通常用いられる手段(例えば、塗布、塗擦、スプレー)に従って、個体に投与または適用され得る。
本発明の皮膚外用剤は、皮膚常在菌に対して有効であり得る。このような菌としては、例えば、Staphylococcus属(Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)など)、Micrococcus属(Micrococcus luteuなど)、Streptococcus属、Pityrosporum属、Candida属(Candida albicansなど)、Propionibacterium属(Propionibacterium acnes(アクネ菌)など)、Malassezia属(Malassezia furfur(マラセチア菌)など)、Echerichia coli(大腸菌)などが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、不快臭の軽減(デオドラント作用)、頭皮状況の改善(フケ防止を含む)、ニキビの防止、アトピー性皮膚炎の緩和、皮膚炎(膿皮症を含む)の予防などの効能を有し得る。
また、本発明の皮膚外用剤は、皮膚の保湿性にも優れ、化粧品およびトイレタリー用品などの製品として日常的な使用にも適している。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
(調製例1:種々の酸処理によるアポラクトフェリンの製造)
マイクローザUFラボテスト機(LX−22001;旭化成ケミカルズ株式会社))に、同社製のUFモジュールであるLOV(中空糸モジュール:膜内径0.8mm、有効膜面積41m、膜素材:ポリアクリロニトリル、公称分画分子量:50,000)を組み込んだ限外濾過装置を用いて、以下のようにアポラクトフェリンを製造した。
50mg/mLのラクトフェリン(フォンテラ製;鉄結合度は約20%)溶液を10kg用いた。アポラクトフェリンの製造工程において、ラクトフェリンを以下のいずれかの酸で処理した:0.1Mクエン酸、0.1M乳酸、0.1M塩酸、0.1Mリンゴ酸、0.1M酢酸、または0.4M酢酸。まず、上記ラクトフェリン溶液を装置の供給タンクに投入し、10分間循環させた後、5秒間逆方向に循環させて、溶液を濃縮した。このとき、UF膜の入口および出口の圧力、循環液流量を、それぞれ0.12Mpa、0.08Mpa、15L/分と設定した。この操作を非透過の濃縮液が半減するまで繰り返した(これを1ラウンドとする)。次いで、ラクトフェリン溶液の代わりにクエン酸溶液をタンクに投入し、上と同様の操作を2ラウンド行った。次いで、8MΩ・cm以上の純水をタンクに投入し、上記の操作を5ラウンド行い、非透過の濃縮液中に残存する酸を除去した。なお、循環液の温度は、製造工程を通して10〜28℃の範囲内であり、pHは2〜3であった。
上記製造工程により、40kgの濃縮液を得た。次いで、濃縮液を凍結乾燥し、9.5gの白色粉末を得た。
各酸処理により得られた粉末がアポラクトフェリンであることおよびアポラクトフェリンの純度を、粉末を純水に溶解後、BIOXYTECH(登録商標)Lacto f EIATM(OXIS International Inc.米国・オレゴン)を用いて抗体定量を行うことにより決定した。アポラクトフェリンの純度はそれぞれ、以下の通りであった:0.1Mクエン酸では93%、0.1M乳酸では94%、0.1M塩酸では96%、0.1Mリンゴ酸では91%、0.1M酢酸では91%、0.4M酢酸では91%。
さらに、各酸処理により得られた粉末の鉄結合度を、粉末を純水に1w/v%の濃度になるように溶解し、次いで、アポラクトフェリンに結合している鉄量を470nmの吸光度で測定することにより決定した。得られたアポラクトフェリンの鉄結合度をそれぞれ表1に示す。ここで、鉄結合度は、鉄結合度(%)=(1w/v%溶液中の鉄モル数/1w/v%溶液中のアポラクトフェリンモル数)×100によって算出した。
Figure 2008032847
(調製例2:種々のクエン酸処理回数によるアポラクトフェリンの製造)
クエン酸処理回数を増減させたこと以外は、上記調製例1に記載の手順に従ってアポラクトフェリン粉末を製造し、鉄結合度を測定した。得られたアポラクトフェリンの鉄結合度を表2に示す。
Figure 2008032847
(実施例1:大腸菌を用いたアポラクトフェリン抗菌試験)
上記調製例1で製造した種々の酸処理によるアポラクトフェリン粉末について抗菌性を調べた。対照として、ラクトフェリン粉末(フォンテラ製)を用いた。
独立行政法人・製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から購入した大腸菌(E.coli)(NBRC 3972)をSCDブイヨン(日水製薬株式会社)5mL中に継代培養法(液体)で保存した。この保存された大腸菌液50μLをSCDブイヨン5mL中に接種し、振盪水浴中で30℃にて16時間培養した(前培養)。前培養した菌液を滅菌水で希釈し、10倍までの10倍段階希釈液を調製した。96ウェル平底マイクロプレート(BD Falcon)の各ウェルに、アポラクトフェリンまたはラクトフェリン粉末を滅菌水に溶解し倍数希釈した系列を50μL、2倍濃度のSCDブイヨンを100μL、および上記で調製した希釈液のうち10希釈の菌液を50μL加えた。上記マイクロプレートを35℃にて24時間培養した。培養後、マイクロプレートはマイクロプレートリーダー(マルチスキャンJX:Thermo Labsystems)にて、630nmの波長で濁度(吸光度)を測定し、抗菌作用を確認した。
図1は、各酸処理により得られたアポラクトフェリンまたはラクトフェリンを種々の濃度で添加した場合の大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。横軸は培養液中のアポラクトフェリンまたはラクトフェリン濃度(%)(w/v)を示す。縦軸は吸光度を示し、吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。図1から明らかなように、ラクトフェリンでは抗菌作用があまり見られないのに対し、アポラクトフェリンでは、添加濃度の増加と共に抗菌作用が見られた。特に、クエン酸処理によって得られたアポラクトフェリンの抗菌効果が最も優れていた。
(実施例2:大腸菌を用いたアポラクトフェリン抗菌試験における鉄結合度の影響)
上記調製例2で得られたアポラクトフェリン、市販のラクトフェリン(フォンテラ製)、および市販のアポラクトフェリン(タツア・デイリー製)を用いて、上記実施例1と同様にして大腸菌に対する抗菌性を調べた。ここで市販のラクトフェリンの鉄結合度は19.8%であり、そして市販のアポラクトフェリンの鉄結合度は4.39%であった。
図2は、種々の鉄結合度のアポラクトフェリンを種々の濃度で添加した場合の大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。横軸はアポラクトフェリン添加濃度(%)(w/v)を示し、縦軸は吸光度を示す。吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。図2から、鉄結合度が19.8%であったラクトフェリンは吸光度が低下せず、抗菌作用が見られなかった。鉄結合度が5%以下のアポラクトフェリンでは、添加量の増大と共に吸光度が低下し、優れた抗菌作用が見られた。さらに、鉄結合度が約4%以下のアポラクトフェリン(鉄結合度4.09%、鉄結合度2.95%、鉄結合度2.2%、鉄結合度1.66%、および鉄結合度1.04%)では、5w/v%の濃度でアポラクトフェリン含む水溶液においても、十分な抗菌性が見られた。
(実施例3:大腸菌を用いたアポラクトフェリン抗菌試験における塩の影響)
上記実施例1の大腸菌の抗菌試験において、クエン酸処理アポラクトフェリンを用いて、塩の影響を調べた。1w/v%のクエン酸処理アポラクトフェリン溶液に種々のイオン濃度となるように塩化ナトリウムを加えたこと以外は、実施例1と同様の手順に従って抗菌性を調べた。
図3は、種々の濃度の塩化ナトリウムおよび2.0w/v%アポラクトフェリンを含む大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。横軸は、塩化ナトリウム濃度(mmol/L)を示し、縦軸は吸光度を示す。吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。図3では、塩添加濃度が増大するにつれて、抗菌作用が減少していた。したがって、アポラクトフェリン粉末に不純物として混在され得る塩の量が抗菌性に影響を与えると理解される。さらに、そのような塩の量は、アポラクトフェリンを1%溶液とした場合に、全イオンに対して5mmol/L以下であることが望ましいことが明らかとなった。
そこで、調製例2にて得た鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンの総陽イオン濃度を決定した。アポラクトフェリンの凍結乾燥粉末に0.1N塩酸を加え、0.1w/v%アポラクトフェリン溶液を調製し、原子吸光光度法によってNa、K、Ca、Mg、およびCuについて測定することにより、これらの各陽イオンの濃度を求め、合計したものを総陽イオン濃度とした。比較のために、市販のラクトフェリンおよびアポラクトフェリンの総陽イオン濃度も決定した。この結果を表3に示す。
Figure 2008032847
調製例2にて得た鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンは、総陽イオン濃度が5mmol/L以下であった。実施例2において、市販のアポラクトフェリン(タツア・デイリー製)では、鉄結合度が5%以下であったにも関わらず、吸光度は一定以上には低下しかった。このアポラクトフェリンは、本実施例に示されるように、総陽イオン濃度が5mmol/Lを上回る。したがって、アポラクトフェリン粉末の鉄結合度と総陽イオン濃度との両方が抗菌性に影響すると考えられた。
(実施例4:所定の鉄結合度および総陽イオン濃度を有するアポラクトフェリンの抗菌試験)
上記実施例3の結果を考慮して、鉄結合度が5%以下であり、かつ総陽イオン濃度が5mmol/L以下であるアポラクトフェリンの抗菌性についてさらに検討した。以下の3種のアポラクトフェリンを使用した:試料A(市販のアポラクトフェリン:鉄結合度4.39%、総陽イオン濃度14.7mmol/L);試料B(試料Aを調製例1の方法に従って温度25±1℃、pH2.6にて再処理した:鉄結合度3.89%、総陽イオン濃度4.5mmol/L);および試料C(上記調製例2にて得られたアポラクトフェリン:鉄結合度4.56%、総陽イオン濃度4.4mmol/L)。
抗菌性については、大腸菌および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(それぞれNBRC 3972およびNBRC 13889:独立行政法人・製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から入手)を用いて試験したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。表皮ブドウ球菌は、腋臭症の原因となる皮膚常在細菌である。なお、アポラクトフェリンの最終濃度は20mg/mLとした。
試料A、B、およびCを添加した場合の大腸菌および表皮ブドウ球菌の培養液における吸光度を示すグラフをそれぞれ図4および図5に示す。縦軸は吸光度を示し、吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。鉄結合度が5%以下であるが総陽イオン濃度が5mmol/Lを上回る試料Aでは、アポラクトフェリンを添加していない培養液と比較して吸光度にあまり差異は見られなかった。これに対して、鉄結合度が5%以下であり、かつ総陽イオン濃度が5mmol/Lである試料BおよびCは、アポラクトフェリンを添加していない培養液と比較して吸光度が低く、良好な抗菌性を示した。
(実施例5:Micrococcus属細菌に対するアポラクトフェリンの抗菌試験)
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンについて、Micrococcus属細菌に対する抗菌性を調べた。対照として市販のラクトフェリン(フォンテラ製)を用いた。Micrococcus属細菌は、不快臭の発生に関与する皮膚常在細菌であり得る。試験は、試験菌としてMicrococcus luteu(NBRC 13867:独立行政法人・製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から入手)を用いた以外は、上記実施例1と同様に行った。
図6は、種々の濃度のアポラクトフェリン(Apo−Lfn)またはラクトフェリン(Lfn)を添加した場合のMicrococcus luteu培養液における吸光度を示すグラフである。横軸はアポラクトフェリンまたはラクトフェリン添加濃度(%)(w/v)を示し、縦軸は吸光度を示す。吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。図6から、Micrococcus属細菌においても、ラクトフェリンでは抗菌作用があまり見られないのに対し、アポラクトフェリンでは、添加量の増加と共に抗菌作用が見られた。
(実施例6:Candida属細菌に対するアポラクトフェリンの抗菌試験)
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンについて、Candida属細菌に対する抗菌性を調べた。対照として市販のラクトフェリン(フォンテラ製)を用いた。Candida属細菌は、皮膚炎の一因となり得る。試験は、試験菌としてCandida albicans(NBRC 1594:独立行政法人・製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から入手)を用い、この菌の生育培地としてYMブロス(日本ベクトンデッキンソン株式会社)を用い、前培養および本培養の培養条件を24℃にて24時間としたこと以外は、上記実施例1と同様に行った。
図7は、種々の濃度のアポラクトフェリン(Apo−Lfn)またはラクトフェリン(Lfn)を添加した場合のCandida albicans培養液における吸光度を示すグラフである。横軸はアポラクトフェリンまたはラクトフェリン添加濃度(%)(w/v)を示し、縦軸は吸光度を示す。吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。図7から、Candida属細菌においても、ラクトフェリンでは抗菌作用があまり見られないのに対し、アポラクトフェリンでは、添加量の増加と共に抗菌作用が見られた。
(実施例7:アクネ菌(Propionibacterium acnes)に対するアポラクトフェリンの抗菌試験)
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンについて、アクネ菌に対する抗菌性を調べた。対照として市販のラクトフェリン(フォンテラ製)を用いた。アクネ菌は、ニキビの原因となる皮膚常在細菌である。Propionibacterium acnes(THE VAN Kampen Group,Inc.製)を購入し、液体培地SCDブイヨン(日水製薬株式会社)を準備し、嫌気条件下(嫌気性容器に入れ嫌気雰囲気)においた。嫌気性グローブボックスの中で、アポラクトフェリンまたはラクトフェリンを、それらの濃度が2w/v%となるように上記液体培地と混合した。このまま嫌気条件下で3日間培養し、菌を10倍希釈してSCD寒天培地(日水製薬株式会社)に移した。さらに嫌気条件下で3日間培養し、生じたコロニー数を計数した。コロニー数は、10皿の平均で求めた。
図8は、アポラクトフェリンまたはラクトフェリンを添加した場合の一皿あたりのアクネ菌コロニー数を示すグラフである。対照群であるラクトフェリン添加の場合に比べて、アポラクトフェリン添加の場合にはコロニー数が少なく、アクネ菌に対してもアポラクトフェリンの抗菌性が確認された。
(実施例8:マラセチア菌(Malassezia furfur)に対するアポラクトフェリンの抗菌試験)
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンについて、マラセチア菌に対する抗菌性を調べた。マラセチア菌は、フケや脱毛を生じ得る脂漏性皮膚炎の原因となる皮膚常在酵母菌である。
Malassezia furfur(独立行政法人・製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から入手)を購入し、YM液体培地(Difco製)は、オリーブオイル添加前に、塩酸を用いてpH5.6に調整し、この培地1000mLにオリーブオイル10gを添加した。この培地50mLに斜面培養菌体を1白金耳懸濁し、マクファーランド2の菌懸濁液(×10程度)を得た。この懸濁液を原液として10倍、100倍、および1000倍希釈液を調製し、これらを試験菌液とした。
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンを蒸留水に溶解して10%(w/v、100mg/mL)溶液を調製し、次いで0.45μmのフィルターで滅菌ろ過した。その後、4%、2%(ともにw/v)に希釈し、これらをサンプル溶液とした。
24穴プレートのウェル中にサンプル溶液500μLと菌体懸濁液500μLとを添加した。ブランクとして滅菌水を用いた。このため、各試験区のアポラクトフェリンの濃度は2倍希釈されて、以下の表に示す通り、5%、2%、および1%(いずれもw/v)となる。30℃にて3日間静置培養し、菌の生育を目視確認した。n=3の条件で試験を行った。結果は以下の表4に示す。表中、+は「菌の生育あり」、−は「菌の生育が検出できなかった」ことを表す。
Figure 2008032847
上記の表4に示されるように、水ではMalassezia furfurの生育が見られたのに対し、アポラクトフェリン試験区ではいずれの濃度区でもMalassezia furfurの生育が見られなかった。
(実施例9:頭皮に対するアポラクトフェリンの効果)
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンを用いて、ボランティアで二重盲験にて頭皮への影響を調べた。
5v/v%エタノール水に上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンを1w/v%溶解した溶液(アポラクトフェリン含有エタノール水ともいう)を調製し、瓶詰めした。対照としてアポラクトフェリンを含まない5v/v%エタノール水(アポラクトフェリン非含有エタノール水ともいう)を用いた。すべてのボランティア(10人)には、試験開始1週間前より、予め配布した同一の市販シャンプーおよび市販コンディショナーで頭皮および頭髪を洗浄して頂いた。試験開始から、それらのボランティアから各5人ずつ、アポラクトフェリン含有エタノール水またはアポラクトフェリン非含有エタノール水のいずれかを、上記の頭皮および頭髪洗浄後に直接地肌に適量で塗布して頂いた。この塗布試験を4週間行った。試験開始前および終了後に、頭皮の状態を皮膚科専門医によって診断した。ボランティアの頭部を右前頭部、左前頭部、上頭部、右後頭部、および左後頭部の5箇所に区分し、判定箇所に光が垂直にあたるようにし、皮膚科専門医によって、フケの量のスコアリングおよび頭皮赤斑判定を行った。
(フケの量のスコアリングの基準)
1 フケなし
2 極僅かなフケ
3 誰もが確認できる程度のフケ
4 中程度の量のフケ
5 大量のフケ
(頭皮赤斑判定基準)
1 発赤なし
2 一部が僅かに赤色
3 全体が僅かに赤色
4 全体が赤色
5 全体に炎症が広がる
フケのスコアリングおよび頭皮赤斑判定の結果をそれぞれ図9および図10に示す。図9は、縦軸に、上に示したフケのスコアを示し、横軸は試験前および試験後の経過を示す。図9中、黒丸はアポラクトフェリン含有エタノール水の結果を表し、そして白丸はアポラクトフェリン非含有エタノール水の結果を表す。図10は、縦軸に、上に示した赤斑のスコアを示し、横軸は試験前および試験後の経過を示す。同様に、図10中、黒丸はアポラクトフェリン含有エタノール水の結果を表し、そして白丸はアポラクトフェリン非含有エタノール水の結果を表す。
図9に示されるように、アポラクトフェリン含有エタノール水では、試験後にはフケスコアの低下が見られ、フケの量が減少することが分かった。また図10に示されるように、アポラクトフェリン含有エタノール水では、試験後には赤斑スコアの低下が見られ、頭皮の状態が改善され得ることが分かった。
(実施例10:アポラクトフェリンの保湿効果)
皮膚の保湿効果を測定するために、125名の女性(平均年齢21.3±6.5歳)において、額やや下、目尻、頬、および前腕内側の保湿度(肌中の水分量%)およびpHをモイスチャーチェッカー(MY−707S;Sato Shoji Ltd.,Japan)および肌用pH計(Skincheck−1;Sato Shoji Ltd.,Japan)を用いて測定した。
被験者の化粧を十分に落とした素肌の保湿度およびpHを測定した後、顔の右側および右腕に、乳清水(オーム乳業社製)をコットンにて塗布した。また、顔の左側および左腕に、乳清水(オーム乳業社製)に10mg/mlで上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンを溶解した溶液をコットンで塗布した。両方の塗布部位を、5分間風乾した後、保湿度およびpHを測定した。これらの結果をそれぞれ以下の表5および表6に示す。
Figure 2008032847
Figure 2008032847
表5および6に示される結果から、アポラクトフェリンを含有する場合、皮膚の保湿効果が保持されることが分かった。
さらに、70名の女性(平均年齢28±7.6歳)に、乳清水(オーム乳業社製)に10mg/mlで上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンを溶解した溶液を瓶詰めして配布し、朝晩に化粧水として1ヶ月間使用して頂いた。その結果、しっとりした感じが得られたとの回答が多かった。
したがって、アポラクトフェリンは、その抗菌性と共に、皮膚の保湿効果も期待される。
(実施例11:種々の試薬とのアポラクトフェリンの組合せ)
上記調製例2にて調製した鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンについて、種々の試薬と組み合わせて抗菌性への影響を調べた。用いた併用試薬は以下の表7に示すとおりである。
マイクロタイターを用いる微量液体希釈法によって試薬を蒸留水に希釈して、濃度を互いに変えてアポラクトフェリン溶液および併用試薬の溶液を調製した。アポラクトフェリン溶液および併用試薬の溶液とも、最終濃度が2w/v%となるように調製し、順次希釈した。アポラクトフェリン溶液(Apo)と各併用試薬とを種々の濃度で組み合わせて、10〜10cfu/mの大腸菌(E.coli)(NBRC 3972:独立行政法人・製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から入手)を添加して室温にて24時間培養した。次いで、菌の増殖の有無をマイクロプレートリーダーにより吸光度を測定して判断して、最小発育阻止濃度(MIC)を決定し、fractional inhibitory concentration index(FIC index)を下記の計算式に従い算出した:
FIC index
=併用時のApo溶液MIC/単独時のApo溶液MIC+併用時の併用試薬MIC/単独時の併用試薬MIC
得られたFIC indexより、≦0.5を相乗効果、0.5<〜<2を相加効果、=2を無関係、>2を拮抗関係として評価を行った。
Figure 2008032847
この結果、併用試薬がNisinおよびPoly−L−lysinである場合に相乗効果が、そして併用試薬がクエン酸、ホエイペプチド(HWP 202)Tatua、アスコルビン酸、Glycine、メチルパラベン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、および2,4−ヘキサジエン酸カリウム(ソルビン酸K)である場合に相加効果が見られた。
本発明の皮膚外用剤は、皮膚常在菌に対して高い抗菌性を有する。また、安全性が高く副作用を引き起こさない。したがって、本発明の皮膚外用剤は、ニキビ、アトピー性皮膚炎、および膿皮症の予防、不快臭の軽減、ならびに頭皮状況の改善などのために、化粧品およびトイレタリー用品のような日常的に用いられる製品にも好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. アポラクトフェリンを含有する皮膚外用剤であって、
    該アポラクトフェリンの鉄結合度が5%以下であり、そして
    該アポラクトフェリンを1w/v%の濃度で含む水溶液を調製した場合に、該水溶液中の総陽イオン濃度が5mmol/L以下である、
    皮膚外用剤。
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