本発明のディスプレイ用フィルターを構成する積層体は、導電性メッシュを有する導電層と、前記導電層の一方の側にのみ配置される1枚のプラスチックフィルムと、前記導電層及びプラスチックフィルムに対して視認側に配置され、かつ反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層とを含む積層体である。ここで、機能層が、導電層及びプラスチックフィルムに対して視認側に配置されるとは、ディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着したときに、機能層が導電層及びプラスチックフィルムより鑑賞者側(外気側)に配置されるという意味である。
かかる本発明の積層体の好ましい1つの構成例(A)は、プラスチックフィルム、導電層、及び機能層をこの順に有する積層体である。他の好ましい構成例(B)は、導電層、プラスチックフィルム、及び機能層をこの順に有する積層体である。
本発明のディスプレイ用フィルターに用いる積層体に関しては、前記導電層とプラスチックフィルムとの間、導電層と機能層との間、及びプラスチックフィルムと機能層との間には、接着層が介在しない積層体を用いた、ディスプレイ用フィルターであることが好ましい。
つまり上記の構成例(A)の積層体としては、プラスチックフィルムと導電層との間、及び導電層と機能層との間には接着層が介在しないのが好ましい。
また構成例(A)の積層体においては、機能層は導電層上に塗工方式によって形成されるのが好ましい。
上記構成例(B)についても、導電層とプラスチックフィルムとの間、プラスチックフィルムと機能層との間には接着層が介在しないのが好ましい。
ここで、接着層は粘着材あるいは接着材で構成される層を意味する。上述したように、接着層を介在しないで、導電層、プラスチックフィルム、機能層を積層することによって、ディスプレイ用フィルターを構成する層の数が少なくなり、その結果、層界面における反射や散乱が減少し、コントラストアップ等の光学性能が向上する。
以下、本発明のディスプレイ用フィルターを構成する積層体について詳しく説明する。
本発明において、機能層は、反射防止機能、防眩機能、及びハードコート機能の中から選ばれる少なくとも1つの機能を有する。機能層は単一層であっても複数層で構成されていてもよく、また複数の機能を併せ持った層であってもよい。以下に機能層を構成する反射防止機能、防眩機能、及びハードコート機能を有する層について具体的に説明する。
反射防止機能を有する層(反射防止層)は、ディスプレイの画像表示に影響を与える蛍光灯などの外光の反射や映り込みを防止するものである。反射防止層は、表面の視感反射率が5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましく、特に3%以下であることが好ましい。ここで視感反射率は、分光光度計等を使用して可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて計算された視感反射率(Y)である。
このような反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層とを低屈折率層が視認側になるように2層以上積層したものを用いることが好ましい。高屈折率層の屈折率は1.5〜1.7の範囲が好ましく、特に1.55〜1.69の範囲が好ましい。低屈折率層の屈折率は1.25〜1.49の範囲が好ましく、特に1.3〜1.45の範囲が好ましい。
高屈折率層を形成する材料としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどを重合硬化させたもの、あるいはシリコーン系、メラミン系、エポキシ系の架橋性樹脂原料を架橋硬化させたもの等の有機系材料、酸化インジウムを主成分としこれに二酸化チタンなどを少量含ませたもの、あるいはAl2 O3 、MgO、TiO2 等の無機系材料が挙げられる。これらの中でも、有機系材料が好ましく用いられる。以下に本発明の高屈折率層の好ましい態様を説明する。
本発明において、高屈折率層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂、含リン系樹脂、含スルフィド樹脂、含ハロゲン樹脂などの樹脂成分を単体または混合系で用いることが出来るが、特に、硬度と耐久性などの点から、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂を用いるのが好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点から、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリレート系樹脂は、活性エネルギー線照射によって容易にラジカル重合が起こり、形成される膜の耐溶剤性や硬度が向上するので好ましい。
かかる(メタ)アクリレート系樹脂として、例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステルトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
高屈折率層には、更にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(モノマー)を使用することができる。具体的には、酸性官能基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和カルボン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸(メタ)アクリル酸エステル、2−スルホエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合などの極性を持った結合を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
高屈折率層には、塗布した樹脂成分の硬化を進めるために開始剤を含有させてもよい。該開始剤としては、塗布した樹脂成分を、ラジカル反応、アニオン反応、カチオン反応等による重合および/または架橋反応を開始あるいは促進せしめるものであり、従来から公知の各種光重合開始剤が使用可能である。
かかる光重合開始剤としては、具体的には、ソジウムメチルジチオカーバメイトサルファイド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾイルモノサルファイド及びジサルファイド等のサルファイド類や、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体や、ヒドラゾン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、ベンゼンジアゾニウム塩等のジアゾ化合物や、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−クロロアントラキノン等の芳香族カルボニル化合物や、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、D−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、p−ジエチルアミノ安息香酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸エステルや、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物や、9−フェニルアクリジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−アセチルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリジン誘導体や、9,10−ジメチルベンズフェナジン、9−メチルベンズフェナジン、10−メトキシベンズフェナジン等のフェナジン誘導体や、6,4’,4”−トリメトキシ−2、3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリン誘導体や、2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量体、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリフェニルピリリウム四弗化ホウ素塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、3,3’−カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。
また、高屈折率層には、上記開始剤の酸素阻害による感度の低下を防止するために、光重合開始剤にアミン化合物を共存させてもよい。このようなアミン化合物としては、例えば、脂肪族アミン化合物や、芳香族アミン化合物等の不揮発性のものであれば、特に限定されないが、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が好ましい。
また、高屈折率層には、金属酸化物微粒子を含有してもよい。これによって帯電防止効果が得られる。金属酸化物微粒子としては錫含有酸化アンチモン粒子(ATO)、亜鉛含有酸化アンチモン粒子、錫含有酸化インジウム粒子(ITO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子等が好ましく、より好ましくは錫含有酸化インジウム粒子(ITO)、錫含有酸化アンチモン粒子(ATO)である。
かかる金属酸化物粒子は、平均粒子径(BET法により測定される非表面積(JIS R1626:1996年)に基づく球相当径分布から計算される算術平均粒子径(JIS Z8819−1:1999年およびZ8819−2:2001年)が0.5μm以下の粒子が好適に使用されるが、より好ましくは、0.001〜0.3μm、更に好ましくは0.005〜0.2μmの粒子径のものが用いられる。該平均粒子径が、0.5μmを超えると高屈折率層の透明性を低下させることがあり、0.001μm未満では、該粒子が凝集し易くヘイズ値が増大する場合がある。高屈折率層中の金属酸化物粒子の含有量は、樹脂成分100質量%に対して、0.1〜20質量%の範囲が好ましい。
更に、高屈折率層には、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、分散剤等の各種添加剤を含有することができる。
高屈折率層の厚みは、ハードコート層を設けない場合は、0.5〜20μmの範囲が好ましく、1〜10μmの範囲がより好ましい。
反射防止層を構成する低屈折率層は、含フッ素ポリマー、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル、含フッ素シリコーン等の有機系材料、MgF2 、CaF2 、SiO2 等の無機系材料で構成することができる。以下に低屈折率層の好ましい態様を例示する。
低屈折率層の1つの好ましい態様として、MgF2やSiO2等の薄膜を真空蒸着法やスパッタリング、プラズマCVD法等の気相法により形成する方法、或いはSiO2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法等が挙げられる。
低屈折率層の他の好ましい態様として、シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーを主成分とする構成を採用することができる。なお、ここで言う「結合」とは、シリカ系微粒子のシリカ成分とマトリックスのシロキサンポリマーが反応して均質化している状態を意味する。シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーは、該シリカ系微粒子の存在下、多官能性シラン化合物を溶剤中、酸触媒により、公知の加水分解反応によって、一旦シラノール化合物を形成し、公知の縮合反応を利用することによって得ることができる。
かかる多官能性シラン化合物としては、多官能性フッ素含有シラン化合物を含むことが低屈折率化、防汚性の点から好ましく、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランなどの3官能性フッ素含有シラン化合物、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性フッ素含有シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点から、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランが、より好ましい。
多官能性シラン化合物として多官能性フッ素非含有シラン化合物を用いることができる。かかる多官能性フッ素非含有シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性シラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点からビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが、より好ましい。
また、上述のシリカ系微粒子としては、平均粒子径1nm〜200nmのシリカ系微粒子であることが好ましく、特に好ましくは、平均粒子径1nm〜70nmである。平均粒子径が1nmを下回ると、マトリックス材料との結合が不十分となり、硬度が低下することがある。一方、平均粒子径が200nmを越えると、粒子を多く導入して生じる粒子間の空隙の発生が少なくなり、低屈折率化の効果が十分発現しないことがある。さらに、かかるシリカ系微粒子の中でも、内部に空洞を有する構造のものが、屈折率を低下させるために、特に好ましく使用される。
かかる内部に空洞を有するシリカ系微粒子とは、外殻によって包囲された空洞部を有するシリカ系微粒子、多数の空洞部を有する多孔質のシリカ系微粒子等が挙げられ、いずれも好適に用いられる。このような例としては例えば、特許第3272111号公報に開示されている方法によって製造でき、微粒子内部の空洞の占める体積、すなわち微粒子の空隙率としては、5%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。空隙率は、例えば、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。また、該微粒子自体の屈折率は、1.20〜1.40であるのが好ましく、1.20〜1.35であるのがより好ましい。このようなシリカ系微粒子としては、例えば特開2001−233611号公報に開示されているものや、特許第3272111号公報等の一般に市販されているものを挙げることができる。
低屈折率層の厚みは、0.01〜0.4μmの範囲が好ましく、0.02〜0.2μmの範囲がより好ましい。
防眩機能を有する層(防眩層)は、画像のギラツキを防止するものであり、表面に微小な凹凸を有する膜が好ましく用いられる。防眩層としては、例えば、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。防眩層は、ヘイズ値(JIS K 7136;2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。
本発明の機能層として、反射防止機能と防眩機能を併せ持つ層を用いることは好ましい態様の1つである。
ハードコート機能を有する層(ハードコート層)は、傷防止のために設けられる。ハードコート層は硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が1H以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
ハードコート層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いることができる。
また、反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
また、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
ハードコート層形成組成物を構成するアクリル化合物の代表的なものを例示すると、1分子中に3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる混合物を主たる構成成分とし、活性エネルギー線硬化または熱硬化によって得られるハードコート層が、硬度、耐摩耗性および可撓性に優れている点で好ましく用いられる。(メタ)アクリロイルオキシ基が多すぎる場合には、単量体は高粘度となり取り扱いし難くなり、また、高分子量とならざるを得なくなって塗布液として用いることが困難となるので、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基は好ましくは10個以下である。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーとしては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを挙げることができる。具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。これらの単量体およびプレポリマーは、1種または2種以上を混合して使用することができる。特にこれらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物は、後述するイソシアネートとの併用により、ハードコート層と隣接層との接着性を向上させることができるので特に好ましい。
これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して20〜90質量%が好ましく、より好ましくは30〜80質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。
上記1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して20質量%未満の場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜を得るという点で不十分な場合がある。また、上記1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して90質量%を超える場合は、硬化による収縮が大きく、硬化被膜に歪が残ったり、被膜の可撓性が低下したり、硬化被膜側に大きくカールするなどの不都合を招く場合がある。
また、これらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して10質量%未満の場合には、ハードコート層とその隣接層との接着性を向上させる効果が小さい場合がある。少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して80質量%を超える場合は、ハードコート層内の架橋密度が低下して、ハードコート層の硬度が低下する傾向がある。
次に、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
また、分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレート等を用いることができる。
すなわち、(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど;
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど;
(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど;
(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど;
(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類など、および;
(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類など。
分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上混合して使用してもよい。
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、ハードコート層形成組成物総量に対して10〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して50質量%を超える場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られにくくなる場合がある。また、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合が、ハードコート層形成組成物総量に対して10質量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材フィルム上に設けた積層膜との接着性が低下する場合がある。
本発明において、ハードコート形成組成物を硬化させる方法としては、例えば、活性エネルギー線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、前記ハードコート層形成組成物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、ハードコート層形成組成物総量に対して0.01〜10質量%が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また220℃以上の高温で熱硬化させる場合には、熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明におけるハードコート層形成組成物は、ポリイソシアネート化合物を含有していることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等の少なくとも2量体以上のものが挙げられる。これらポリイソシアネート化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
これらのポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体は、前記したハードコート層形成組成物に混合されて塗布される。上記ポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量は、接着性、表面硬度、耐湿熱性および虹彩模様低減の点で、ハードコート層形成組成物総量に対し、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。上記ポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量が、ハードコート層形成組成物総量に対して0.5質量%未満の場合には、接着性向上効果が不足したり、虹彩模様の低減が不十分な場合があり、またポリイソシアネート化合物および/またはその誘導体の配合量が、ハードコート層形成組成物総量に対して50質量%を超えると、表面硬度が低下する場合がある。
上記ポリイソシアネートを添加したハードコート層形成組成物は、その硬化効率を高める目的で有機金属系触媒を含有させることも好ましい。
有機金属系触媒は、特に限定されるものではなく、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機4A族元素(チタン、ジルコニウムまたはハフニウム)化合物などが挙げられるが、安全性を考慮した場合、非錫系金属触媒である有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、および、有機チタン化合物から選ばれたものが好ましく適用される。有機錫化合物としては、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウリレートなどのジブチル錫脂肪酸塩、ジオクチル錫ジラウリレートなどのジオクチル錫脂肪酸塩が例示できる。
有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ハフニウム化合物、有機チタン化合物としては、これらの金属のオルトエステルとβ−ケトエステル(βジケトン)の反応生成物が例示され、具体的にはジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、アルミニウムテトラ−n−プロポキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムテトラ−n−ブトキシドなどの金属オルトエステルと、アセチルアセトン、メチルアセテート、エチルアセトアセテート、n−プロピルアセトアセテート、イソプロピルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどのβケトエステル(βジケトン)との反応生成物を挙げることができる。金属オルトエステルとβジケトエステル(βジケトン)の混合モル比率は4:1〜1:4程度が好ましく、より好ましくは2:1〜1:4である。4:1より金属オルトエステルが多い場合は触媒の反応性が高すぎてポットライフが短くなりやすく、1:4よりβジケトエステルが多い場合は触媒活性が低下するため好ましい態様では無い。上記有機金属系触媒の配合量は、ハードコート形成組成物総量に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜2質量%である。上記有機金属系触媒の配合量が、ハードコート形成組成物総量に対して0.001質量%より少ない場合には触媒添加効果が低く、10質量%より多くすることは経済的見地から好ましくない。
上記したハードコート層形成組成物の好ましい態様としては、ハードコート層形成組成物総量に対して、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物10〜80質量%、イソシアネート化合物1〜30質量%および必要に応じて有機金属系触媒0.001から10質量%の範囲とするのが望ましい。さらに必要に応じて1〜2個のエチレン性不飽和結合を有する単量体を0質量%以上50質量%以下添加しても良い。
本発明において、ハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサンを基本骨格とし、ポリオキシアルキレン基が付加されたものが好ましく、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
またハードコート層上にさらに積層膜を設ける場合には、接着性を阻害しないアクリル系レベリング剤を適用するのが好ましい。このようなレベリング剤としては「ARUFON−UP1000シリーズ、UH2000シリーズ、UC3000シリーズ(商品名):東亜合成化学(株)製)などを好ましく用いることができる。レベリング剤の添加量はハードコート形成組成物総量に対して、0.01〜5質量%の範囲とするのが望ましい。
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。またさらに、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、さらに好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
ハードコート層の厚さは、0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。ハードコート層の厚さが0.5μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために、表面硬度が十分でなく、傷が付きやすくなる傾向にある。一方、ハードコート層の厚さが20μmを超える場合には、折り曲げなどの応力により、硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にある。
ハードコート層には、前述した反射防止層を構成する高屈折率層としての機能を付与することができる。ハードコート層の高屈折率化は、ハードコート層形成用樹脂組成物中に高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加することにより、あるいは高屈折率成分の分子や原子を含んだ樹脂を用いることにより図られる。
前記高屈折率を有する超微粒子は、その粒径が5〜50nmで、屈折率が1.65〜2.7程度のものが好ましく、具体的には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO2(屈折率2.3〜2.7)、CeO2(屈折率1.95)、Sb2 O5(屈折率1.71)、SnO2、ITO(屈折率1.95)、Y2O3(屈折率1.87)、La2O3(屈折率1.95)、ZrO2(屈折率2.05)、Al2O3(屈折率1.63)等の微粉末が挙げられる。
前記屈折率を向上させる樹脂に含まれる分子及び原子としては、F以外のハロゲン原子、S、N、Pの原子、芳香族環等が挙げられる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、導電層からの電極取り出しのために、前記積層体の周辺部の少なくとも一部に、前記機能層側の表面から、機能層を貫通して、少なくとも導電層に達する空隙を有することを特徴とする。さらに本発明のディスプレイ用フィルターは、導電層からの電極取り出しのために、積層体の周辺部に空隙を形成するが、後述するようにレーザーを用いて機能層を燃焼・蒸発して空隙を形成するのが好ましく、機能層はレーザー照射によって燃焼・蒸発が可能な構成にするのが好ましい。従って、機能層は有機物を含む構成にするのが好ましく、機能層を構成する全成分に対して、樹脂等の有機系材料を30質量%以上含有するのが好ましく、50質量%以上含有するのがより好ましく、特に70質量%以上含有するのが好ましい。
前述したように本発明の機能層は単一層であっても、複数層であってもよい。複数構成の機能層としては、a)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、b)高屈折率ハードコート層/低屈折率層、c)ハードコート層/防眩層、d)ハードコート層/防眩性反射防止層、等が例示される。尚、上記a)〜d)の構成において、右側に記載の層が視認側に配置される。
また、機能層が単一層の場合は、複数の機能を併せ持つのが好ましい。かかる単一層の例としては、e)反射防止性ハードコート層(反射防止機能とハードコート機能を有する単一層)、f)防眩性ハードコート層(防眩機能とハードコート機能を有する単一層、g)防眩性反射防止ハードコート層(防眩機能と反射防止機能とハードコート機能を有する単一層)、h)防眩性反射防止層(防眩機能と反射防止機能を有する単一層)、等が例示される。
本発明の積層体の好ましい1つの構成例(A)は、プラスチックフィルム、導電層、及び機能層をこの順に有する。この構成例(A)の積層体は、導電層上に機能層を直接に塗工することによって形成するのが好ましい。機能層を導電層上に塗布ムラ等の故障が発生しないように塗工形成するためには、機能層の合計厚みは後述する導電層の厚みより大きいのが好ましく、導電層の厚みに対して機能層の合計厚みは130%以上が好ましく、150%以上がより好ましい。上限は2000%程度である。導電層の厚みに対して機能層合計の厚みを大きくすることによって導電性メッシュの凹凸面を十分に埋めて均一化することができる。機能層の合計厚みとしては、1〜20μmの範囲が好ましく、2〜10μmの範囲がより好ましい。機能層の厚みが20μmを超えて大きくなると、塗工速度、乾燥速度あるいは硬化速度が低下することによる生産効率ダウン、及び原材料費の増大によって、本発明の所期の目的である低価格化を実現するのが難しくなる。また、機能層の厚みが厚くなると、機能層自体に亀裂が入りやすくなるという不都合が生じる場合がある。機能層の厚みが1μmより小さくなると、均一な塗工面を得るのが難しくなり、また機能層としての本来の機能を発揮できなくなる場合がある。
機能層を塗工形成するための塗布方式としては、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、スプレー法、ロールコーティング法等の公知のウェットコーティング法を用いることができる。
本発明における導電層は、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するための層であり、導電性メッシュからなる。導電層の面抵抗値は、低い方が好ましく、10Ω/□以下が好ましく、5Ω/□以下がより好ましく、特に3Ω/□以下が好ましい。面抵抗の下限値は0.01Ω/□程度である。導電層の面抵抗値は、4端子法により測定することができる。
導電性メッシュを有する導電層は、スパッタ法や真空蒸着法等によって形成された金属薄膜あるいは導電性フィラーと樹脂バインダーからなる導電層に比べて、低い面抵抗値が得られるという利点がある。特に、導電性フィラーと樹脂バインダーからなる導電層では本発明が所望する低い面抵抗値を得るのは難しい。また、スパッタ法や真空蒸着法等によって金属薄膜を形成するためには大がかりな装置が必要であり、高い生産性が得られないという問題がある。
また、導電層上に機能層を有する構成例(A)の積層体の場合、導電層上に積層される機能層との密着性(接着力)の観点からも、導電性メッシュが好ましい。本発明の構成例(A)においては、導電層上に機能層を塗工形成するのが生産性の観点から好ましいが、スパッタ法や真空蒸着法等によって形成された金属薄膜の上に組成の異なる機能層を塗工形成した場合、密着性が不十分となり機能層が剥離することがある。
これに対して導電性メッシュは、上記した10Ω/□以下の面抵抗値が容易に得られ、また導電性メッシュの開口部を通して機能層と基材のプラスチックフィルムとが接するので、機能層とプラスチックフィルムとの密着性も十分に確保することができる。導電性メッシュの場合は、ディスプレイ用フィルターの透過率を低下させないために70%以上の開口率になるように設計するのが好ましく(ここで、導電性メッシュの開口率とは、導電性メッシュの投影面積における開口部分が占める面積割合を意味する)、従って導電性メッシュからなる導電層の上に塗工される機能層と導電層との接触面積はわずかであり、上記のような密着性の問題は生じない。
導電層上に機能層を塗工形成する構成例(A)の場合は、機能層の塗工性の観点から、導電層(導電性メッシュ)の厚みは小さい方が好ましく、導電層(導電性メッシュ)の厚みは6μm以下が好ましい。導電層(導電性メッシュ)の厚みが、上記範囲を超えて大きくなると導電層表面の凹凸が大きくなり平滑性が低下するので機能層の塗布性が悪化する場合がある。導電層(性メッシュ)の厚みの下限は電磁波遮蔽性能の観点から0.2μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。
導電性メッシュの線幅及び線間隔(ピッチ)は、開口率が70%以上となるように設計されるが、線幅としては5〜40μmが好ましく、線間隔は100〜500μmの範囲が好ましい。
導電性メッシュを得るための方法としては、従来から一般的に用いられている、銅箔等の金属箔膜をエッチングする方法を採用することができる。この方法は、銅箔等の金属箔膜をプラスチックフィルムに接着材を介して貼り合わせた金属膜積層フィルムを、フォトリソグラフ法、あるいはスクリーン印刷法を利用してエッチングレジストパターンを作製した後、金属箔膜をエッチングする方法である。エッチングする方法としては、ケミカルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、エッチングレジストで保護された導体部分以外の不要導体をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。
フォトリソグラフ法は、金属膜積層フィルムの金属膜に紫外線等の照射により感光する感光層を設け、この感光層にフォトマスク等を用いて像様露光し、現像してレジスト像を形成し、次に、金属箔膜をエッチングして導電性メッシュを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
導電層上に機能層を塗工形成する構成例(A)の場合は、導電性メッシュはプラスチックフィルム上に接着層を介さずに形成するのが好ましい。ここで接着層は、粘着材あるいは接着材で構成される層を意味する。導電層とプラスチックフィルムとの間に接着層が存在すると導電層面の平滑性が更に低下し、機能層の塗布性を悪化させる場合がある。また更に、プラスチックフィルム上に接着層を介さずに直接に導電性メッシュを形成することによって、導電性メッシュ上に塗工形成された機能層の大部分はプラスチックと接触するので、上述したような樹脂を含む機能層を用いることによってプラスチックフィルムと機能層との密着性が向上する。プラスチックフィルムと機能層との密着性を向上させるために、下引き層(プライマー層)を有するプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。
接着層を介在せずにプラスチックフィルム上に導電性メッシュを形成する方法として、1)金属薄膜をエッチング加工する方法、2)印刷パターン上にメッキする方法、3)感光性銀塩を用いる方法、4)印刷パターン上に金属膜積層後に現像する方法、及び5)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法が挙げられる。以下にそれぞれの方法を詳細に説明する。
1)金属薄膜をエッチング加工する方法は、プラスチックフィルム上に粘着材あるいは接着材からなる接着層を介さずに金属薄膜を形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフ法あるいはスクリーン印刷法等を利用してエッチングレジストパターンを作製した後、金属薄膜をエッチングする方法である。金属薄膜の形成は、金属(例えば銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金など)をスパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、あるいはメッキ等の公知の方法を用いて行うことができる。
上記フォトリソグラフ法は、金属薄膜に紫外線等の照射により感光する感光層を設け、この感光層にフォトマスク等を用いて像様露光し、現像してレジスト像を形成し、次に、金属薄膜をエッチングして導電性メッシュを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
上記スクリーン印刷法は、金属薄膜表面にエッチングレジストインクをパターン印刷し、硬化させた後エッチング処理により導電性メッシュを形成し、この後レジストを剥離する方法である。
エッチングする方法としては、ケミカルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、エッチングレジストで保護された導体部分以外の不要導体をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。
2)印刷パターン上にメッキする方法は、プラスチックフィルムに触媒インク等でメッシュパターンを印刷し、これに金属メッキを施す方法である。この1つの方法として、パラジウムコロイド含有ペーストからなる触媒インクを用いてメッシュパターンに印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して導電性メッシュパターンを形成する方法がある。
3)感光性銀塩を用いる方法は、ハロゲン化銀などの銀塩乳剤層をプラスチックフィルムにコーティングし、フォトマスク露光あるいはレーザー露光の後、現像処理して銀のメッシュを形成する方法である。形成された銀メッシュは更に銅、ニッケル等の金属でメッキするのが好ましい。この方法は、WO2004/7810、特開2004−221564号、特開2006−12935号公報等に記載されており、参照することができる。
4)印刷パターン上に金属膜形成後に現像する方法は、プラスチックフィルム上に剥離可能な樹脂でメッシュパターンとは逆パターンの印刷を施し、その印刷パターン上に金属薄膜を上記1)と同様の方法で形成した後、現像して樹脂とその上の金属膜を剥離して金属のメッシュパターンを形成する方法である。剥離可能な樹脂として、水、有機溶剤あるいはアルカリに可溶な樹脂やレジストを用いることができる。この方法は、特開2001−185834号、特開2001−332889号、特開2003−243881号、特開2006−140346号、特開2006−156642号公報等に記載されており、参照することができる。
5)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法は、上記1)と同様の方法でプラスチックフィルム上に形成された金属薄膜をレーザーアブレーション方式で金属メッシュを作製する方法である。
レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、レーザーアブレーション法により高い加工精度を得ることが出来る。
かかるアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることが出来る。
かかる固体レーザーの中でも、プラスチックフィルムを加工しないという観点から、波長が254nmから533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来るが,加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅がns以下のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
金属薄膜の上(視認側)に更に0.01〜0.1μmの金属酸化物層を形成した後に、金属薄膜と金属酸化物層とをレーザーアブレーションするのが好ましい。金属酸化物としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、すずなどの金属酸化物を用いることができるが、価格や膜の安定性などの点から銅酸化物が好ましい。金属酸化物の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法等を用いることができる。
上述した1)〜5)の方法は、プラスチックフィルム上に接着層を介在せずに導電性メッシュを形成することができ、また、厚みが6μm以下の導電性メッシュを作製することができるので、機能層を導電層上に直接に塗工形成するのに好適である。
本発明に用いることができる導電性メッシュのメッシュパターンとしては、格子状パターン、5角形以上の多角形からなるパターン、円形パターン、あるいはこれらの複合パターンが挙げられ、更にランダムパターンも好ましく用いられる。
本発明において、導電性メッシュは黒化処理するのが好ましい。黒化処理は、酸化処理や黒色印刷により行うことができる。例えば、特開平10−41682号、特開2000−9484号、2005−317703号公報等に記載の方法を用いることができる。黒化処理は、導電性メッシュの視認側の表面と両側面を行うのが好ましく、更に導電性メッシュの両面及び両側面を黒化処理するのが好ましい。
また、ディスプレイ用フィルターに用いられる積層体を連続生産ラインで効率よく製造するためには、導電性メッシュは連続メッシュであることが好ましい。連続メッシュとは、メッシュパターンが途切れることなく形成されていることであり、例えば、導電性メッシュを有する導電層を少なくとも有する積層体を、長尺ロール状で製造した場合に、ロールの巻き方向にメッシュが連続的に形成されていることである。このような連続メッシュを用いることにより、ロール状の積層体をカットして、シート状のディスプレイ用フィルターを製造するときに、歩留まり及び生産性が向上する。また、導電性メッシュが連続メッシュであると、様々なサイズのディスプレイへの対応が容易であること、及び、ディスプレイ用フィルターの製造過程において欠陥が発生した場合は、欠陥部分のみの限られた量の廃棄ですむこと等の利点がある。特に構成例(A)の積層体は、導電性メッシュを有する導電層上に機能層を連続塗布するのが好ましく、従って導電層として連続メッシュを用いることによって生産効率が大幅に向上する。
本発明のディスプレイ用フィルターには、導電層の一方の側のみに、1枚のプラスチックフィルムが用いられる。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コストの観点及びディスプレイ用フィルターの剛性を確保するという観点から90〜250μmの範囲が特に好ましい。
本発明に用いられるプラスチックフィルムは、導電層あるいは後述する近赤外線遮蔽層との密着性(接着強度)を強化するための下引き層(プライマー層)を設けておくのが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターは、機能層は視認側の最表面に配置するのが好ましいが、機能層の機能を阻害しない範囲で極薄膜の防汚層等を、機能層の上に更に設けることができる。防汚層は、ディスプレイ用フィルターに、人が指で触ることによって油脂性物質が付着するのを防止したり、大気中のごみや埃が付着するのを防止したり、あるいはこれらの付着物が付着しても除去しやすくするための層である。かかる防汚層としては、例えば、フッ素系コート剤、シリコーン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が用いられる。防汚層の厚さは、1〜10nmの範囲が好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターには、更に近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能の中から選ばれる少なくとも一つの機能を有する層を付与するのが好ましい。
近赤外線遮蔽機能は、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が15%以下となるように調整するのが好ましい。近赤外線遮蔽機能は、プラスチックフィルムや機能層、あるいは後述する接着層に近赤外線吸収剤を混錬、分散することによって付与してもよいし、近赤外線遮蔽層を新たに設けてもよい。近赤外線遮蔽機能は、近赤外線吸収剤を用いることによって、あるいは導電性薄膜のような金属の自由電子によって近赤外線を反射する層を設けることによって付与することができる。本発明においては、近赤外線吸収剤を樹脂バインダー中に分散もしくは溶解した塗料を塗布乾燥して形成した近赤外線遮蔽層を用いること、あるいは機能層や接着層に上記近赤外線吸収剤を含有させる態様が好ましく用いられる。近赤外線吸収剤としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等の有機系近赤外線吸収剤、あるいは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛、セシウム含有酸化タングステン等の無機系近赤外線吸収剤を用いることができる。
上記した近赤外線遮蔽層を新たに設ける場合は、プラスチックフィルムと導電層との間、もしくはプラスチックフィルムに対して導電層とは反対面に、プラスチックフィルムに塗工形成して設けることができる。
近赤外線遮蔽機能をプラスチックフィルムより視認側に付与する場合は、耐光性に優れる無機系近赤外線吸収剤を用いるのが好ましい。
色調調整機能は、ディスプレイから発光される特定波長の光を吸収して色純度や白色度を向上させるための機能である。特に赤色発光の色純度を低下させるオレンジ光を遮蔽するのが好ましく、波長580〜620nmの範囲に吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。更に、白色度を向上させるために波長480〜500nmに吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。色調調整機能は、上記した波長の光を吸収する色素を含有する層を新たに設けてもよいし、上述の近赤外線遮蔽層、機能層あるいは接着層に色素を含有させてもよい。
可視光透過率調整機能は、可視光の透過率を調整するための機能であり、染料や顔料を含有させて調整することができる。可視光透過率調整機能は、プラスチックフィルム、近赤外線遮蔽層、機能層、あるいは接着層に付与してもよいし、新たに透過率調整層を設けてもよい。
上述した色調調整機能を有する層及び可視光透過率調整機能を有する層をそれぞれ新たに設ける場合、これらの層はプラスチックフィルムと導電層との間、もしくはプラスチックフィルムに対して導電層とは反対面に設けることができる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、ディスプレイに直接、あるいはガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板等の公知の高剛性基板を介して装着することができる。ディスプレイ用フィルターには、ディスプレイあるいは高剛性基板に貼り付けるための接着層を設けるのが好ましい。
接着層には、前述したように近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能を付与することができる。また、接着層に、ディスプレイを衝撃から保護するための衝撃緩和機能を付与することは好ましい態様である。接着層に衝撃緩和機能を付与するには、接着層の厚みを100μm以上にすることが好ましく、300μm以上がより好ましい。上限の厚みは、接着層のコーティング適性を考慮して3000μm以下が好ましい。
接着層には、公知の接着材あるいは粘着材を用いることができる。粘着材としては、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
本発明の積層体の他の好ましい構成例(B)について説明する。構成例(B)の積層体は、導電層、プラスチックフィルム、及び機能層をこの順に有する。構成例(B)は、プラスチックフィルムを挟んで導電層と機能層とが配置されているので、導電層と機能層との関係(例えば導電層の厚み、機能層の厚み、及び両者の厚みの関係)、導電性メッシュの種類や製造方法については制約を受けない。しかし、本発明の目的であるディスプレイ用フィルターの低価格化を実現するためには、プラスチックフィルムと導電層との間、及びプラスチックフィルムと機能層との間には接着層が介在しないのが好ましい。
従って、機能層はプラスチックフィルム上に塗工形成するのが好ましく、導電性メッシュの形成は前述の1)〜5)の方法を用いるのが好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルターは前述した構成の積層体からなり、積層体の機能層側表面から機能層を貫通して、あるいは機能層とプラスチックフィルムを貫通して、少なくとも導電層に達する空隙を、積層体の周辺部の少なくとも一部に有する。ディスプレイ用フィルターの強度や取り扱い性の観点から、空隙は積層体を貫通しないのが好ましい。
本発明が対象とするディスプレイ用フィルターは、ディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着し筐体に組み立てたときに、導電層と筐体の外部電極とを電気的に接続するための電極を設けることが重要である。上記した空隙は導電層が露出しており、この導電層の露出部が電極となる。
本発明において、空隙は積層体の周辺部の少なくとも一部に設けられるが、ここで、積層体の周辺部とは、かかる積層体からなるディスプレイ用フィルターをディスプレイに設置した際に、ディスプレイの画像表示領域の外周に相当する部分のことを言い、好ましくはディスプレイ用フィルターの端部から1mm以上内側で、画像表示領域に相当する部分から1mm以上外側の範囲である。
本発明が対象とするディスプレイ用フィルターは通常長方形であり、それに用いられる積層体も長方形である。空隙は、少なくとも対向する2辺の端縁部に設けるのが好ましく、積層体の4辺の端縁部にそれぞれ形成するのがより好ましい。空隙は、側辺に略平行に直線状に細長く溝状に形成するのが好ましい。なお、ここでいう「直線状」には、曲がりのない一直線の形状みではなく、多少曲がりのあるほぼ直線の形状も含むものとする。空隙の幅は、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、更に1.5mm以下が好ましい。空隙の幅の下限としては、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。空隙の幅が3mmを越えて大きくなると、導電層の露出面が大きくなり導電層が酸化劣化しやすくなるという問題、後述するように生産効率が低下するという問題、及び後述するように空隙に導電性材料を配置したときに導電性材料が剥離しやすくなるという問題が生じる場合がある。一方、空隙の幅が0.3mmより小さくなるとディスプレイ筐体(外部電極)との導通が不十分になり十分な電磁波遮蔽効果が得られない場合がある。
ディスプレイ用フィルターの1辺における空隙の長さは、辺の長さに対して10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、特に50%以上が好ましい。上記の比率は高い方が電磁波遮蔽性能の観点から好ましい。本発明における空隙は、直線状に連続した空隙であってもよいし、破線状の不連続な空隙であってもよい。後者の不連続な空隙の場合は合計の長さが上記比率の対象となる。
以下、本発明のディスプレイ用フィルターについて図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明のディスプレイ用フィルターの一例(構成例A)の平面図、図2は図1のA−Aの模式断面図である。ディスプレイ用フィルターの周辺部に、4辺の側辺に略平行に直線状に細長い空隙1が設けられている。このディスプレイ用フィルターは、プラスチックフィルム4の上に導電層3が形成され、導電層3の上に機能層2が積層されている。プラスチックフィルム4の反対面には近赤外線遮蔽層5、及び接着層6が積層されている。図2において、空隙1は機能層側表面から機能層2を貫通して導電層3に達しており、導電層3が露出している。なお、図2における導電層3は導電性メッシュとなっている。
図3は、空隙を直線状に不連続(破線状)に設けた態様の平面図である。ディスプレイ用フィルターの周辺部に、4辺の側辺に略平行に空隙1が破線状に設けられている。空隙を破線状に設ける場合は、1辺当たりの空隙部分の数は3〜50個が好ましく、5〜40個の範囲がより好ましい。1辺当たりの空隙部分の合計の長さ(A)と空隙部分と空隙部分の距離(間隔)の合計長さ(B)の比率(A/B)は、0.2〜20の範囲が好ましく、0.5〜10の範囲がより好ましい。
次に、空隙の形成方法について説明する。本発明において、導電層の上に位置する機能層等を物理的な方法で剥離することなく空隙を形成することが好ましく、機能層等の有機物を蒸発あるいは燃焼させることによって空隙を形成する方法が好ましく用いられる。かかる方法として、レーザーを照射する方法が好ましく用いられる。レーザーを照射する方法は、積層体に物理的な接触なしに空隙が形成できること、ほぼ一定の幅で空隙を形成できること、及び空隙の深さ方向の制御が精度よくできるという利点がある。このようなレーザーの出力源としては、ヨウ素、YAG、CO2などがあるが、特にCO2レーザーは、空隙幅及び空隙深さが精度よく制御できること、及び金属からなる導電層は破壊せずに機能層を蒸発・燃焼させて空隙を形成できる点で好ましい。
空隙形成方法として、ナイフ等のカッター刃を用いて積層体表面から切り込みを入れる方法があるが、この方法では本発明の好ましい実施態様である空隙、即ち0.3mm以上の幅の空隙の形成が困難で導通が取れないこと、及び導電性メッシュが切断されやすく導通が不十分になる場合がある。空隙形成の他の方法として、超音波半田コテを用いて機能層を除去する方法があるが、この方法は高温のコテ先を積層体に接触させるので積層体のプラスチックフィルムが熱変形を起こす可能性があること、及び導電層の露出を完全にかつ安定的に行うことが難しいという問題がある。更に他の方法として、ドライエッチングする方法があるが、この方法は装置が大がかりとなること、及び操作中に高温となり積層体が変形することがある。
上述に鑑み、導電性メッシュの上に積層された機能層等を貫通し導電性メッシュが露出するような空隙を形成する方法として、レーザーを用いる方法が極めて有益であることを見いだした。
空隙をレーザー照射で形成する場合、空隙の幅及び深さは、レーザーの焦点位置、レーザーの出力、及びレーザーの走査速度(ヘードスピード)を調整することによって制御することができる。空隙の幅は更に走査回数を調整することによって制御することができるが、1回の走査でも本発明が所望とする空隙を形成することができる。空隙の幅は3mm以下が好ましいことは前述した通りであるが、幅が3mmを越える空隙を形成するためにはレーザーの走査回数を多くする必要があり、生産効率が低下する。
本発明の空隙の好ましい製造方法は、レーザーを用いて機能層を蒸発あるいは燃焼させて形成するので、導電層を完全に露出することが可能となる。
本発明では、上記した空隙を設けることによってアース効率を十分に確保することができる。本発明の構成例Aのディスプレイ用フィルターは、導電層の上にはプラスチックフィルム及び接着層は存在しないので、導電層表面からフィルターの機能層側最表面までの距離が従来の一般的なディスプレイ用フィルターに比べて大幅に小さいので、空隙の幅が3mm以下であっても外部電極との導通が十分に得られる。即ち、導電層表面から最表面までの距離(L)を十分に小さくすることによって、電極取出しのための空隙の幅を小さくすることが可能となる。
上記観点から本発明の構成例Aのディスプレイ用フィルターでは、導電層表面からフィルターの機能層側最表面までの距離(L)は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、特に10μm以下が好ましい。上記距離(L)は、機能層の厚みに大きく左右されるので、機能層の合計の厚みを調整することによって上記範囲内に納めることができる。
また、レーザーによる空隙形成の観点からも、導電層表面から最表面までの距離(L)を小さくすることは有益である。距離(L)を小さくすることは、即ち機能層等を構成する有機物の絶対量が小さくなることであり、これによってレーザー照射による空隙形成時に発生する有機物の分解物残渣の量が少なくなるので、分解物残渣によるディスプレイ用フィルターの空隙部周辺への汚染や周辺機器のへの汚染が軽減できるという利点がある。更に、上記距離(L)を小さくすることによって、レーザー照射の出力を小さくできるのでレーザー装置の低価格化が図られる。
一方、レーザーによる空隙形成の精度(空隙の深さ精度)や安定操業の観点からは、レーザーによる加工深さはある程度の厚みがあった方がよい。本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法では、積層体を得る工程の中に、機能層上に更にカバーフィルムを積層する工程を有し、また空隙を形成する工程が、カバーフィルム表面からレーザーを照射して少なくとも導電層に達する空隙を形成する工程であることが好ましい。ディスプレイ用フィルターの機能層側表面に更にカバーフィルムを積層し、カバーフィルムの上からレーザー加工することによってレーザーによる加工厚みを稼ぐことでき、レーザー加工の精度が向上するので好ましい。カバーフィルムは機能層を保護する等の目的で設けられるものであり、最終的には剥離除去される。また、カバーフィルムの上からレーザーを照射して空隙形成することによって、空隙形成時に発生する有機物の分解物残渣がディスプレイ用フィルターへ再付着するのを防止するという利点もある。
上述した、レーザー加工による分解物残渣の発生量、レーザー照射装置の低価格化、及び空隙形成の精度を考慮し、カバーフィルムの厚み(積層のための粘着層が必要な場合は粘着層を含む)は20〜80μmの範囲が好ましい。
本発明に用いられるカバーフィルムとしては、各種プラスチックフィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられ、これらの中でもポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられる。
カバーフィルムは、最終的にはディスプレイ用フィルターから剥離除去されるので、剥離可能な粘着材または接着材が用いられる。あるいは、カバーフィルムとして粘着性を有するフィルムを用いる場合には、粘着材等は不要である。カバーフィルムはディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着する前もしくは装着した後に剥離除去するのが好ましい。
図4は、積層体の最表面に更にカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体の周辺部に形成された空隙部分の模式断面図である。空隙1は、カバーフィルム7から導電層3に達している。
本発明のディスプレイ用フィルターは、前述したように空隙形成のみで十分に導電層と外部電極との導通を取ることができるが、空隙部に導電性材料を配置することによって更に外部電極との導通が安定的に確保することができる。また、空隙によって導電層が空気中に露出している部分に導電性材料を配置することによって、導電層の空気酸化等による劣化を防止できるという利点もある。
空隙に導電性材料を配置する1つの態様として、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填する態様がある。導電性ペーストとしては、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などを含有する金属ペーストを用いることができる。
導電層として導電性メッシュを用いた積層体にレーザーで空隙を形成する方法は、導電性メッシュを破壊せずに導電性メッシュの開口部を通して導電層の下側の層(例えば、図2のプラスチックフィルム4、後述する図7、8の接着層15)まで達する空隙を形成することができる。この空隙に導電性ペースト等の流動性の導電性材料を塗布あるいは充填することによって導電性メッシュの下側にも導電性ペースト等が入り込み、その結果、導電性メッシュと導電性ペースト等の導電性材料との接触面積が増大し、導電層と外部電極との導通を更に安定的に確保することができる。
空隙に導電性材料を配置する他の態様として、空隙に挿入することができるように加工された導電性固体を配置する態様がある。導電性固体としては導電性金属あるいは非導電体の表面に導電性金属を被覆したものが用いられる。
空隙に導電性材料を配置する更に他の態様として、導電性粘着テープを空隙の上から貼り付ける態様がある。導電性粘着テープを貼り付けた後にヒートシーラー等で導電性粘着テープを加熱加圧するのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルターは、フィルター最表面から導電層表面までの距離が短いため、導電性粘着テープを加熱加圧することで、導電性粘着テープを導電層と接触させることができる。導電性粘着テープは、金属箔の一方の面に導電性粒子を分散させた粘着層を設けたものであって、この粘着層には、アクリル系、ゴム系、シリコン系粘着剤や、エポキシ系、フェノール系樹脂に硬化剤を配合したものを用いることができるが、特に架橋型導電粘着剤であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体を主成分とするポリマーとその架橋剤とを含む後架橋型接着層であるものが好ましい。
図5は、空隙に導電性材料を配置したディスプレイ用フィルターの模式断面図である。空隙1に導電性ペースト等からなる導電性材料8が塗布されて、導電層3と電気的に接続された電極が形成されている。
空隙形成及び空隙への導電性材料(特に導電性ペースト等の流動性の導電性材料)の配置は、カバーフィルムが存在する状態で行うのが好ましい。
次に、構成例(B)の積層体を用いたディスプレイ用フィルターについて図面を用いて詳細に説明する。図6は構成例(B)の積層体を用いたディスプレイ用フィルターの一例の平面図、図7は図6のA−Aの模式断面図である。ディスプレイ用フィルターの周辺部に、4辺の側辺に略平行に直線状に細長い空隙11が設けられている。このディスプレイ用フィルターは、導電層14の一方の面に機能層12及び近赤外線遮蔽層16を有するプラスチックフィルム13が接着層17を介して積層され、導電層14の他方の面には接着層15を有する構成になっている。また、この構成において、導電層14が金属メッシュの場合は、導電層14は接着層15及び/または接着層17に埋設された形態をとる。図7において、空隙11は機能層12から導電層14に達しており、導電層14が露出している。
図8は、構成例(B)の積層体を用いたディスプレイ用フィルターの他の例の模式断面図である。このディスプレイ用フィルターは、導電層14の一方の面にプラスチックフィルム13と機能層12を有し、導電層14の他面に接着層15を有する構成である。導電層14は、プラスチックフィルム13に下引き層(図示せず)等を介して直接に(接着層を介さずに)設けられている。空隙11は、機能層12からプラスチックフィルム13を貫通して導電層14に達しており、導電層14が露出している。接着層15は、近赤外線遮蔽機能を有する。
上記の図7及び8において、空隙11は導電層14を貫通して接着層15まで達していてもよく、本発明のディスプレイ用フィルターは導電層が導電性メッシュを含む点から、この態様が好ましい。但し、空隙11はディスプレイ用フィルターを貫通しないのが好ましい。
図9は、空隙を直線状に不連続(破線状)に設けた態様の平面図である。ディスプレイ用フィルターの周辺部に、4辺の側辺に略平行に空隙11が破線状に設けられている。空隙を直線状に不連続に設ける場合の仕様は、前述の構成例(A)と同様である。
構成例(B)の積層体は、導電層に対して機能層とは反対側にプラスチックフィルムを有しないので、積層体の空隙が設けられた周辺部の剛性が低下することがある。従って、不連続な空隙は積層体周辺部の剛性の低下を抑制できるので好ましい。
構成例(B)の空隙の形成方法は、構成例(A)の場合と同様にレーザーを用いるのが好ましい。構成例(B)の積層体は、導電層と機能層との間にプラスチックフィルムが介在するので、空隙の深さは、構成例(A)に比べて大きくなる。従って、導電層と外部電極の導通を安定的に確保するために、空隙に導電性材料を配置するのがより好ましい。導電性材料は構成例(A)の場合と同様である。
構成例(B)についても、機能層上にカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体を用いて、カバーフィルムの上から空隙を形成し、更に空隙に導電性ペースト等の流動性の導電性材料を配置するのが好ましい。カバーフィルムの材質等は、構成例(A)の場合と同様である。構成例(B)に用いられるカバーフィルムの厚みは、20〜200μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。
レーザーを照射して空隙を形成する方法は、レーザーを照射した部分(機能層やプラスチックフィルム)の有機物を蒸発あるいは燃焼させることによって空隙を形成するが、この際、発生する有機物の分解物残渣が積層体の表面に再付着して汚染することがある。カバーフィルムの上からレーザーを照射して空隙を形成することによって、蒸発した有機物残渣の機能層への再付着を防止することができる。
更に、空隙に導電性ペーストやはんだ等の流動性の導電性材料を、ディスペンサー等を用いて塗布あるいは充填する場合においても、カバーフィルム表面から形成された空隙は有益である。本発明の空隙は、前述したように従来の電極に対して狭幅であるため、導電性材料を空隙に塗布あるいは充填するときに、塗布あるいは充填の操作位置がずれて空隙の周辺(機能層の表面)に導電性材料が付着したり、あるいは空隙から溢れた導電性材料が機能層に付着することがある。このような問題は、カバーフィルム表面から形成された空隙を用いることによって解消することができる。
また、カバーフィルム表面から形成された空隙に導電性材料を塗布あるいは充填するときに、機能層とカバーフィルムとの界面よりもカバーフィルム側まで充填することによって、機能層から突出した電極を形成することが可能となる。機能層から電極を突出させることによって、電極と筐体の外部電極との導通がより安定確実に確保できる。電極の機能層から突出する高さは、10〜200μmの範囲が好ましく、15〜150μmの範囲がより好ましく、20〜100μmの範囲が特に好ましい。電極の機能層から突出する高さを10μm以上とすることによって、外部電極との接続がより確実になる。一方、前記突出する高さが200μmを越えると電極が積層体から剥離しやすくなる場合がある。
以下、構成例(B)の積層体の機能層の上に更にカバーフィルムを有する態様について図面を用いて詳細に説明する。図10は、機能層の上にカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体の周辺部に形成された空隙部分の模式断面図である。空隙11は、カバーフィルム18から導電層14に達している。
図11は、図10の空隙11に導電性ペースト等の導電性材料19を配置したときの模式断面図である。導電性ペーストが空隙11のカバーフィルム18の表面まで充填されて電極を形成している。前述したように、カバーフィルムは最終的には剥離除去されるが、図11の構成からカバーフィルム18を剥離除去したときの模式断面図を図12に示す。導電性ペースト等の導電性材料19からなる電極は、カバーフィルムの厚みに相当する部分が表面層から突出した形状になっている。
上記したカバーフィルム付き積層体を用いる場合は、積層体からのカバーフィルムの剥離性の観点から、連続した空隙より不連続な空隙が好ましい。連続した空隙をカバーフィルムの上から4辺全てに形成した場合、空隙の長さにもよるが4辺の空隙に対して内側と外側のカバーフィルムが4隅の一部分を残してほとんどが寸断されていたり、あるいは完全に寸断されていたりする。このような状態では、1回の剥離操作でカバーフィルムを完全に剥離することがでない。しかしながら、カバーフィルムの上から不連続な空隙を設けた場合は、空隙に対して内側と外側のカバーフィルムのつながり部分の合計面積が大きくなるので1回の剥離操作でカバーフィルムを完全に剥離することが可能となる。
次に、本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法について説明する。
本発明のディスプレイ用フィルターの好ましい製造方法は、導電性メッシュを有する導電層と、前記導電層の一方の側にのみ配置される1枚のプラスチックフィルムと、前記導電層及びプラスチックフィルムに対して視認側に配置され、かつ反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層とを含む積層体を得る工程と、該積層体の周辺部の少なくとも一部に機能層側表面からレーザーを照射して少なくとも導電層に達する空隙を形成する工程とを少なくとも有する。
構成例(A)の積層体からなるディスプレイ用フィルターの製造方法は、プラスチックフィルム上に導電層を形成する工程、導電層上に反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を塗工して積層体を得る工程、積層体の周辺部の少なくとも一部に機能層側表面からレーザーを照射して少なくとも導電層に達する空隙を形成する工程を有することが好ましい。
上記のそれぞれの工程については前述した通りであるが、プラスチックフィルム上に導電層を形成する工程、及び導電層上に機能層を塗工して積層体を得る工程は、ロール・ツー・ロール方式で連続的に行うのが好ましい。
前述したように、本発明の好ましい態様は、機能層側の表面にカバーフィルムを積層したカバーフィルム付き積層体を用いることである。かかる製造方法は、プラスチックフィルム上に導電層を形成する工程、導電層上に反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を塗工して積層体を得る工程、前記積層体の機能層側表面にカバーフィルムを積層してカバーフィルム付き積層体を得る工程、カバーフィルム付き積層体の周辺部の少なくとも一部にレーザーを照射してカバーフィルム表面からカバーフィルム及び機能層を貫通して導電層に達する空隙を形成する工程を有することが好ましい。
上記製造方法においても、カバーフィルム付き積層体を得る工程まではロール・ツー・ロール方式で連続的に行うのが好ましい。
本発明の製造方法において、プラスチックフィルムの導電層とは反対面に近赤外線遮蔽層を積層する工程を有するのが好ましく、更に近赤外線遮蔽層の上に接着層を積層する工程を有するのが好ましい。これらの工程もロール・ツー・ロール方式で連続的に行うのが好ましい。
本発明の製造方法は、更に空隙に導電性材料を配置する工程を有するのが好ましい。かかる工程は、導電性ペーストもしくははんだをディスペンサー等で空隙に塗布するのが好適である。
構成例(B)の積層体の製造方法を以下に例示する。かかる積層体の製造方法は、プラスチックフィルムの一方の面に機能層を塗工する工程と、プラスチックフィルムの他方の面に導電層を形成する工程を少なくとも有する。機能層を塗工する工程においては、前述の構成例(A)の機能層を塗工する方法と同様の方法でプラスチックフィルム上に塗工することができる。プラスチックフィルムの他方の面に導電層を形成する1つの方法として、特開2006−66909号公報に記載の方法を利用した方法が挙げられる。即ち、
1)プラスチックフィルム(a)に紫外線等の活性エネルギー線照射で粘着力が消失する接着材(b)を介して銅箔等の金属箔を積層する工程、
2)前記金属箔を選択的エッチングによって導電性メッシュ(d)に成形加工する工程、
3)導電性メッシュ(d)面と機能層を有するプラスチックフィルム(e)とを、プラスチックフィルム(e)の機能層を有さない面が導電性メッシュ(d)面を向くようにして、接着材(f)を介して積層する工程、
4)前記プラスチックフィルム(a)から紫外線を照射する工程、
5)プラスチックフィルム(a)と接着材(b)とを剥離する工程、
6)前記剥離工程で露出した導電性メッシュ(d)面に接着材を積層する工程、
を含む方法である。
上記製造方法において、機能層を有するプラスチックフィルム(e)の機能層とは反対面に近赤外線遮蔽層を予め設けておくのが好ましく、近赤外線遮蔽層には更に色調調整機能を併せて持つのがより好ましい。
プラスチックフィルムの他方の面に導電層を形成する他の方法として、特開2006−153950号公報を利用した方法が挙げられる。即ち、
1)機能層を有するプラスチックフィルム(g)の機能層とは反対面に直接に導電層(h)を形成する工程、
2)導電層上に接着材(i)を積層する工程、
を含む方法である。
上記製造方法において、プラスチックフィルム(g)に直接に導電層(h)を形成する方法としては、前述したような1)〜5)の方法を適用することができる。
また、上記製造方法において、接着材(i)は近赤外線遮蔽性能を有するのが好ましく、更に色調調整機能を併せ持つのがより好ましい。
上述したような積層体の製造方法において、それぞれの工程はロール・ツー・ロール方式で連続的に行うのが好ましい。また、2以上の材料(長尺ウェブ)を、接着材を介して積層する工程、及び導電性メッシュ面に接着材を積層する工程は、減圧雰囲気下で行うのが好ましい。例えば、減圧状態を維持できる真空チャンバーの中で前記の積層工程を実施する。減圧下で積層することにより、層間への気泡の混入を効果的に防止することができ、その結果ヘイズ値の低い透明なディスプレイ用フィルターを得ることができる。減圧の程度は、気泡の混入を効果的に防止するために、20kPa以下が好ましく、15kPa以下がより好ましく、特に10kPa以下が好ましい。下限は、設定気圧に到達するまでの時間等の観点から500Pa程度が好ましい。気泡が混入した場合は、積層体をオートクレーブ等で長時間(一般的には30分以上)加熱加圧して、積層体内部に混入した気泡を微細化または拡散することによって透明化する必要がある。減圧雰囲気下で積層工程を実施することによって、気泡の混入を防ぎ、オートクレーブ処理が省略できるので、生産性が大幅に向上する。
本発明のディスプレイ用フィルターは、前述したようにディスプレイに直接、あるいはガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板等の公知の高剛性基板を介して装着することができる。後者のガラス板等の公知の高剛性基板を介してディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着する場合、本発明の積層体をガラス板等の高剛性基板に貼り付けた後、本発明のレーザーを用いて電極を形成する方法を用いて、積層体に空隙を形成することができる。更に、上記空隙に導電性材料を配置することができる。
また、本発明のレーザーを用いて電極を形成する方法は、積層体をディスプレイに装着した後にも適用することができる。即ち、導電性メッシュを有する導電層と、前記導電層の一方の側にのみ配置される1枚のプラスチックフィルムと、前記導電層及びプラスチックフィルムに対して視認側に配置され、かつ反射防止機能、ハードコート機能、及び防眩機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層とを含む積層体を、前記機能層の反対面がディスプレイ側になるようにディスプレイに装着した後、積層体の周辺部の少なくとも一部に機能層側表面からレーザーを照射して少なくとも導電層に達する空隙を形成する、ディスプレイの製造方法であり、積層体の周辺部にレーザーを照射して空隙を形成して本発明のディスプレイ用フィルターを完成させた後、ディスプレイ筐体を組み立てることができる。更に空隙に導電性ペースト等の導電性材料をディスペンサー等で塗布した後、ディスプレイ筐体を組み立てることができる。
また本発明のディスプレイの好ましい製造方法によれば、前記機能層の上に更にカバーフィルムを有するカバーフィルム付き積層体をディスプレイに装着した後、積層体の周辺部の少なくとも一部にカバーフィルム表面からレーザーを照射して少なくとも導電層に達する空隙を形成し、次いでカバーフィルム剥離除去する、ディスプレイの製造方法である。カバーフィルム付き積層体を用いた場合は、空隙を形成後、あるいは導電性ペーストを空隙に塗布した後にカバーフィルムを剥離して、本発明のディスプレイ用フィルターを完成させた後、ディスプレイ筐体を組み立てることができる。
本発明の電極形成方法は、積層体に電極を形成したディスプレイ用フィルターをディスプレイに装着することもできるし、また、上記したようにディスプレイの製造過程の中でディスプレイに本発明の積層体を装着した後に電極を形成することもできる。
後者のディスプレイの製造過程に適用する場合は、本発明の積層体をロール形状で供給し、ディスプレイの製造工程の中で、ロール状積層体を所定サイズのシート状に切断して用いることが好ましい。
なお、本発明のディスプレイの製造方法に用いられる積層体は、プラスチックフィルム、導電層、及び機能層をこの順に有する積層体を用いることも好ましく、また導電層、プラスチックフィルム、及び機能層をこの順に有する積層体を用いる事も好ましい。
本発明の積層体は、1枚のみのプラスチックフィルムで構成されるので、剛性が比較的弱く、ディスプレイに積層体を装着した後に空隙を形成することは、予め積層体に空隙を形成したディスプレイ用フィルターの取り扱い性を考慮すれば、好ましい態様である。
本発明のディスプレイ用フィルターを構成する積層体は、従来技術では4辺に電極を取り出すことはできなかったが、上述した本発明によって電極の取り出しが可能となった。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
<導電性メッシュを有する導電層の形成>
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U34)に、抵抗加熱による真空蒸着法(真空度:3×10−3Pa)にて銅蒸着を行い、厚み0.3μmの銅の金属薄膜を形成した。次いでスパッタリング法(真空度:0.5Pa、ターゲット:銅、導入ガス分率:酸素100%)にて、上記金属薄膜の上に厚み0.05μmの酸化銅(金属酸化物層)を形成した。
作製したフィルムの金属薄膜/金属酸化物層面側へ、波長355nmのNd:YAGレーザーの第3高調波を照射し、線幅10μm、線ピッチ150μm、開口率87%の格子状メッシュパターンからなる導電層をPETフィルム上に形成した。
<機能層の塗工>
上記の導電層が形成されたPETフィルムの導電層上に、下記のハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層を順次塗工した。
<ハードコート層>
市販のハードコート剤(JSR製“デソライトZ7528”)をイソプロピルアルコールで固形分濃度30質量%に希釈した塗料を、マイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して硬化させ、厚み3μmのハードコート層を設けた。
<高屈折率層>
錫含有酸化インジウム粒子(ITO)6質量部、多官能アクリレート2質量部、メタノール18質量部とポリプロピレングリコールモノエチルエーテル54質量部、イソプロピルアルコール20質量部の混合物を攪拌して塗膜屈折率1.67の高屈折率塗料を調製した。この塗料をハードコート層上にマイクログラビアコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化させ、厚さ約0.1μmの高屈折率層を形成した。
<低屈折率層>
一次粒子径50nmの外殻を有する中空シリカ粒子(空隙率40%)144質量部、イソプロピルアルコール560質量部からなるシリカスラリーを準備し、メチルトリメトキシシラン219質量部、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン158質量部、上述シリカスラリー704質量部、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル713質量部を攪拌混合し、燐酸1質量部と水130質量部を配合して、30℃±10℃で攪拌しながら60分加水分解し、さらに温度を80℃±5℃に上げて60分攪拌しながら重合し、シリカ粒子含有ポリマーを得た。
次に、このシリカ粒子含有ポリマー1200質量部、イソプロピルアルコール5244質量部を攪拌混合した後、硬化触媒としてアセトキシアルミニウムを15質量部添加して再度攪拌混合し、屈折率1.35の塗料を調整した。
この塗料を高屈折率層上に小径グラビアコーターで塗工し、130℃で乾燥、硬化して、厚さ約0.1μmの低屈折率層を形成した。
<カバーフィルムの積層>
低屈折率層の上に、カバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層した。
<近赤外線遮蔽層の積層>
前記PETフィルムの導電層とは反対面に、オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ近赤外線遮蔽層(近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を、乾燥膜厚みが12μmになるように塗工した層)を設けた。
<接着層の積層>
セパレートフィルム上に紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日立化成ポリマー(株)製のハイボン(登録商標))をスリットダイコーターで、厚みが300μmになるように塗布した後、UV照射装置を用いて塗布膜を硬化し、続いてセパレートフィルムを貼り付けて、セパレートフィルムにサンドウィッチされた接着層を得た。次に、上記で作製した積層体の近赤外線遮蔽層の上に、一方のセパレートフィルムを剥離しながら接着層を積層した。
上記のようにして作製したカバーフィルム付き積層体の構成を以下に示す。
<積層体の構成>
接着層/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/導電層/機能層(ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層)/カバーフィルム。
<空隙の形成>
上記のようにして作成した積層体を長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断してシート状積層体を作製した後、このシート状積層体をレーザーカッター(コマックス製のCO2レーザーカッター)に固定して、積層体の4辺にそれぞれ端部から10mm内側に直線状にレーザーを照射して連続した直線状の空隙を形成して、本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
レーザーのヘッドスピードを1200cm/minとし、レーザーの出力、及び焦点位置を調整して、カバーフィルム表面から導電層に達する空隙を形成した。レーザーの走査回数は1辺当たり2回とした。空隙の長さは、長辺側で930mm、短辺側で520mmである。カバーフィルムを剥離除去して測定した空隙の幅は1.5mmであった。
<ディスプレイ用フィルターのアース性能の評価>
厚み1mm、幅2cmのアルミ板の一方の面に、スポンジの周辺に導電性繊維で織った布を巻き付けたガスケットを導電性接着材で接合して、簡易的な筐体(外部電極)を作製した。
次に厚み3mmのアクリル板の上に、上記で作製したディスプレイ用フィルターを設置した後、カバーフィルムを剥離し、ディスプレイ用フィルターの4辺の端部に上記の簡易的筐体を配置しクランプでアクリル板に固定した。アクリル板と簡易的筐体の距離が一定になるようにクランプの締め付けを調整した。
次に、マルチ計測器(株)製の抵抗測定器「ポケットマルチメーター」を使用し、簡易的筐体のアルミ板に端針を当てて対向する2辺の電極間の導通性を確認した。
その結果、導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例2)
実施例1と同様にしてシート状積層体を作製し、実施例1と同様に積層体に空隙を形成した。但し、レーザーの走査回数は1回とした。空隙の幅は0.8mmであった。
続いて、空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
このようにして作製したディスプレイ用フィルターを実施例1と同様にしてアース性能を評価した。その結果、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例3)
実施例1と同様にしてシート状積層体を作製し、空隙を破線状(詳細を以下に示す)にする以外は実施例2と同様にして空隙を形成し、実施例2と同様にして導電性ペーストを空隙に塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
破線状の空隙;1個当たりの空隙部分の長さ2cm、空隙部分と空隙部分の間隔が1cm。積層体の長辺側の空隙部分は31個で、長辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は62cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は30cm。積層体の短辺側の空隙部分は17個で、短辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は34cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は16cm。
上記のようにして作製した本発明のディスプレイ用フィルターについて、実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例4)
実施例1と同様にしてシート状積層体を作製し、実施例1と同様に積層体に空隙を形成した。但し、レーザーの走査回数は1回とした。空隙の幅は0.8mmであった。
続いて、カバーフィルムを剥離除去し、空隙に導電性粘着テープを貼り付け、ヒートシーラーで加熱加圧して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
このようにして作製したディスプレイ用フィルターを実施例1と同様にしてアース性能を評価した。その結果、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(比較例1)
実施例1と同様にしてシート状積層体を作製した。カバーフィルムを剥離後、機能層の上からレーザーを照射して、端部から5mmの位置と10mmの位置に2本の切り込み線を入れた。この5mmの間隔で設けた2本の切り込み線に沿って機能層を物理的に剥離し、導電層を露出させることを試みたが、機能層のみを剥離することはできなかった。また、強引に機能層を剥離すると導電層も一緒に剥離し、導電層から電極を取り出すことができなかった。
(実施例5)
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U34)に、パラジウムコロイド含有ペーストを線幅30μm、線ピッチ250μmの格子状メッシュパターンを有するスクリーンを用いて印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して、無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して厚みが5μmの導電性メッシュを有する導電層を形成した。導電性メッシュの開口率は77%である。
次に、導電層の上に、実施例1のハードコート層を厚み8μmで形成し、更にハードコート層の上に、実施例1と同様に高屈折率層、低屈折率層を塗工した。更に、実施例1と同様にして、カバーフィルム、近赤外線遮蔽層、接着層を積層してカバーフィルム付き積層体を得た。
次に、実施例1と同様にして、幅が1.5mmの空隙を4辺に形成し、実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例6)
実施例5と同様にしてシート状積層体を作製し、実施例5と同様に積層体に空隙を形成した。但し、レーザーの走査回数は1回とした。空隙の幅は0.8mmであった。続いて、空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
このようにして作製したディスプレイ用フィルターを実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例7)
実施例5と同様にしてシート状積層体を作製し、空隙を破線状(詳細を以下に示す)にする以外は実施例6と同様にして空隙を形成し、実施例6と同様にして導電性ペーストを空隙に塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
破線状の空隙;1個当たりの空隙部分の長さ2cm、空隙部分と空隙部分の間隔が1cm。積層体の長辺側の空隙部分は31個で、長辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は62cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は30cm。積層体の短辺側の空隙部分は17個で、短辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は34cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は16cm。
上記のようにして作製した本発明のディスプレイ用フィルターについて、実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例8)
実施例5と同様にしてシート状積層体を作製し、実施例5と同様に積層体に空隙を形成した。但し、レーザーの走査回数は1回とした。空隙の幅は0.8mmであった。
続いて、カバーフィルムを剥離除去し、空隙に導電性粘着テープを貼り付け、ヒートシーラーで加熱加圧して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
このようにして作製したディスプレイ用フィルターを実施例1と同様にしてアース性能を評価した。その結果、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例9)
実施例1と同様にして作製したロール状積層体を、長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断して得られたシート状積層体を、プラズマディスプレイの前面板ガラス(日本電気硝子(株)製「PP−8」、厚み1.8mm)に、積層体の接着層を介して貼り付けた。
続いて、積層体のカバーフィルムの上から実施例2と同様にして空隙を形成し、更に空隙に導電性ペーストを塗布して電極を形成した。
次に、積層体からカバーフィルムを剥離後、実施例1で用いた簡易的筐体を積層体の4辺の端部に配置しクランプで前面板に固定した。前面板と簡易的筐体の距離が一定になるようにクランプの締め付けを調整した。
次に、マルチ計測器(株)製の抵抗測定器「ポケットマルチメーター」を使用し、簡易的筐体のアルミ板に端針を当てて対向する2辺の電極間の導通を確認した。その結果、導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例10)
実施例5と同様にして、PETフィルム上に厚み5μmの導電性メッシュからなる導電層を形成した。
更に、導電層上に下記組成のハードコート層用塗料をマイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化させ、厚みが10μmのハードコート層を形成した。
<ハードコート層組成>
ウレタンアクリレートA(根上工業(株)製のUN−3220HA);2.75部
ウレタンアクリレートB(新中村化学(株))製のU4HA;2.75部
光重合開始剤(チバガイギー社製のイルガキュウアー184);0.3部
イソプロピルアルコール;1.25部
メチルエチルケトン;1.25部
次に、上記PETフィルムの導電層とは反対面に、実施例1と同様にして近赤外線遮蔽層と接着層を積層して積層体を得た。
<積層体の構成>
接着層/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/導電層/機能層(ハードコート層)。
次に、上記積層体を実施例1と同様にしてシート状に切断してシート状積層体とし、このシート状積層体に実施例1と同様にレーザーを照射して(但し、操作回数は1回)、機能層表面から導電層に達する空隙(幅が0.8mm)を4辺に形成した。
実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(比較例2)
実施例10と同様にしてシート状積層体を得た。このシート状積層体の4辺にそれぞれ端部から10mm内側に、カッターナイフで直線状の切り込みを入れた。切り込みの長さは、長辺側で930mm、短辺側で520mmである。
次に、この切り込みの上に実施例2と同様にして導電性ペーストを塗布した。
実施例1と同様にしてアース性能を評価した。その結果、対向する2辺の電極間に導通はなく、アースをとることができなかった。
(実施例11)
実施例5と同様にして、PETフィルム上に厚み5μmの導電性メッシュからなる導電層を形成した。更に、導電層上に下記の防眩性ハードコート層用塗料をマイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化させ、厚みが8μmの防眩性ハードコート層を形成した。
<防眩性ハードコート層塗料>
市販のハードコート剤(JSR製 オプスター(登録商標)Z7534)をメチルエチルケトンで固形分濃度が50質量%になるように希釈し、更に平均粒子径が1.5μmのアクリル系微粒子(綜研化学製 ケミスノー(登録商標)MXシリーズ)を上記ハードコート剤の固形分に対して1質量%添加して塗料を調製した。
<積層体の製造>
次に、上記PETフィルムの導電層とは反対面に実施例1と同様にして近赤外線遮蔽層と接着層を積層して積層体を得た。
<積層体の構成>
接着層/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/導電層/機能層(防眩性ハードコート層)。
次に、上記積層体を実施例1と同様にしてシート状に切断してシート状積層体とし、このシート状積層体に実施例1と同様にレーザーを照射して(但し、操作回数は1回)、機能層表面から導電層に達する空隙(幅が0.8mm)を4辺に形成した。実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例12)
厚み100μmのPETフィルム上に、下記の感光性銀塩を含む感光層(ハロゲン化銀乳剤層)を塗工し、露光、現像、メッキ処理を施して、導電性メッシュからなる導電層を形成した。
<感光層>
水媒体中の銀60gに対してゼラチン7.5gを含む、球相当径平均0.05μmの沃臭化銀粒子(AgI=2モル%)を含有する乳剤を調製した。また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6をそれぞれ濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と界面活性剤を加えて、感光層の塗工液を調製した。
前記PETフィルムの一方の面に、上記感光層の塗工液を銀の塗布量が1g/m2となるように塗工した。
<露光、現像>
PETフィルム上に設けられた感光層にメッシュパターンのフォトマスクを介して紫外線ランプを用いて露光し、下記の現像液及び定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
[現像液]
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
[定着液]
富士フィルム(株)製の「スーパーフジフィックス」
<メッキ処理>
上記のようにして作製した現像銀からなるメッシュに、メッキ液(硫酸銅0.06モル/L,ホルマリン0.22モル/L,トリエタノールアミン0.12モル/L,ポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α、α‘−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液)で45℃にて無電解銅メッキ処理を施した後、10ppmのFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行なって導電性メッシュを得た。上記のようにして形成された導電性メッシュは、厚みが5μm、線幅が10μm、線ピッチが200μm、開口率90%であった。
<ハードコート層の塗工>
上記で形成した導電層上に、実施例10と同様にしてハードコート層を塗工形成した。
<積層体の製造>
上記PETフィルムの導電層とは反対面に実施例1と同様にして近赤外線遮蔽層と接着層を積層して積層体を得た。
次に、上記積層体を実施例1と同様にしてシート状に切断してシート状積層体とし、このシート状積層体に実施例1と同様にレーザーを照射して(但し、操作回数は1回)、機能層表面から導電層に達する空隙(幅が0.8mm)を4辺に形成した。
実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例13)
厚みが約100μmのPETフィルムに反射防止層(機能層)を有する反射防止フィルム(東レ(株)製の反射防止フィルム「ルミクリア」(登録商標))の反射防止層の上に更にカバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層したカバーフィルム付き反射防止フィルムを用意した。
この反射防止フィルムの反射防止層が設けられている面とは反対側の面に、オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ近赤外線遮蔽層(近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料を、乾燥膜厚みが12μmになるようにコーティングした層)を設けた。
上記の近赤外線遮蔽層の上に更に、アクリル系粘着材(東洋インキ製造製主剤「BPS5896」と硬化剤「BXX4773」を100:0.5の重量比で配合)を膜厚が20μmになるように塗工した。
一方、25μmのPETフィルムに以下に示す粘着材を厚みが10μmになるように塗工した。
<接着材組成>
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート9.4重量部、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製光重合開始剤「イルガキュア2959」)13.6重量部、ジブチル錫ジラウレート0.02重量部、ヒドロキノン0.02重量部、メチルエチルケトン76.96重量部の混合物を、窒素と酸素の混合気流雰囲気下で80℃−5時間反応させて、不揮発分22.5%の光重合開始剤グラフトポリマー合成用中間体溶液を得た。
前記中間体溶液70重量部、アクリル酸ブチル113重量部、アクリル酸5重量部、アゾビスイソブチロニトリル 0.12重量部、酢酸エチル212重量部の混合物を、窒素雰囲気下で加熱還流して7時間反応させて重量平均分子量44万、不揮発分33%の光重合開始剤グラフトポリマー溶液を得た。
得られた光重合開始剤グラフトポリマー溶液100重量部に、硬化剤としてグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製「デナコールEX−421」)2.0重量部、硬化触媒としてジメチルベンジルアミン(3級アミン)0.05重量部、6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルUCB製「Ebecryl1290K」、重量平均分子量1000)25重量部を配合して接着材を得た。
次に、この粘着材面に厚み10μmの銅箔をラミネートした。続いて、この銅箔をフォトリソ工程(レジストフィルム貼付け−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、線幅15μm、線間隔250μmで開口率88%の格子状の銅メッシュに成形加工し、PETフィルム上に接着材を介して銅メッシュからなる導電層を形成した。更に、得られた銅メッシュの表面と両側面に黒化処理(酸化処理)を施した。
次に、上記で作製した銅メッシュを有するフィルム(銅メッシュフィルム)と上記の反射防止フィルムとを、銅メッシュ面と反射防止フィルムの粘着面とが向き合うように積層した。続いて、積層体の銅メッシュフィルムのPETフィルム側からメタルハライドランプを照射した後、積層体から銅メッシュフィルム側のPETフィルムと接着材とを剥離して銅メッシュ面を露出させた。
次に、積層体の銅メッシュ面に、アクリル系粘着材シート(東洋インキ製造製主剤「BPS5896」と硬化剤「BXX4773」を100:0.5の重量比で配合、粘着材の両面にセパレートフィルムを配置)の一方のセパレートフィルムを剥離して積層した。粘着材の厚みは20μmである。
上記のようにして作製したカバーフィルム付き積層体の層構成を以下に示す。
<積層体の層構成>
粘着材/銅メッシュ(導電層)/粘着材/近赤外線遮蔽層/PETフィルム/反射防止層/カバーフィルム。
上記積層体を長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断してシート状積層体を作製した後、このシート状積層体をレーザーカッター(コマックス製レーザーカッター、CO2レーザーヘッド、最大出力200W)に固定して、積層体の4辺にそれぞれ端部から10mm内側に直線状にレーザーを照射して連続した直線状の空隙を形成して、本発明のディスプレイ用部材を得た。
レーザーのヘッドスピードを1200cm/minとし、レーザーの出力、及び焦点位置を調整して、カバーフィルム表面から銅メッシュに達する空隙を形成した。レーザーの走査回数は1辺当たり12回とした。
空隙の長さは、長辺側で930mm、短辺側で520mmであり、空隙の幅は0.8mmであった。
続いて、空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。導電性ペーストで形成された電極は機能層(反射防止層)から、約40μm突出した形状であった。
<ディスプレイ用フィルターのアース性能の評価>
実施例1と同様にして評価した。その結果、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例14)
実施例13と同様にしてシート状積層体を作製し、空隙を破線状(詳細を以下に示す)にする以外は実施例13と同様にして空隙を形成し、実施例13と同様にして導電性ペーストを空隙に塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
破線状の空隙;1個当たりの空隙部分の長さ2cm、空隙部分と空隙部分の間隔が1cm。積層体の長辺側の空隙部分は31個で、長辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は62cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は30cm。積層体の短辺側の空隙部分は17個で、短辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は34cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は16cm。
上記のようにして作製した本発明のディスプレイ用フィルターについて、実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(比較例3)
実施例13と同様にしてシート状積層体を作製した。
カバーフィルムを剥離後、機能層(反射防止層)の上からレーザーを照射して、端部から5mmの位置と10mmの位置に2本の切り込み線を入れた。この5mmの間隔で設けた2本の切り込み線に沿って反射防止フィルムを物理的に剥離し、銅メッシュを露出させることを試みたが、反射防止フィルムを剥離するときに銅メッシュが破断したり、あるいは銅メッシュ上の粘着材が残留し、導電層から電極を取り出すことができなかった。
(実施例15)
厚みが約100μmのPETフィルムに反射防止層(機能層)を有する反射防止フィルム(東レ(株)製の反射防止フィルム「ルミクリア」(登録商標))の反射防止層の上に更にカバーフィルム(日東電工(株)製の「E−MASK IP300」;38μmのPETフィルムに5μmの微粘着層を積層)を積層したカバーフィルム付き反射防止フィルムを用意した。
次に、上記反射防止フィルムの反射防止層が設けられた面とは反対側の面に、パラジウムコロイド含有ペーストを線幅30μm、線間隔250μmで開口率77%の格子状メッシュパターンを有するスクリーンを用いて印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して、無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施してメッシュ状の導電層を形成した。
次に、導電層の表面に、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系接着剤を厚さ25μmで形成した。
上記のようにして作製したカバーフィルム付き積層体の構成を以下に示す。
<積層体の構成>
接着材(近赤外線吸収色素含有)/導電層/PETフィルム/反射防止層/カバーフィルム。
上記積層体を長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断してシート状積層体を作製した後、このシート状積層体をレーザーカッター(コマックス製レーザーカッター、CO2レーザーヘッド、最大出力200W)に固定して、積層体の4辺にそれぞれ端部から10mm内側に直線状にレーザーを照射して連続した直線状の空隙を形成して本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
レーザーのヘッドスピードを1200cm/minとし、レーザーの出力、及び焦点位置を調整して、カバーフィルム表面から導電層に達する空隙を形成した。
レーザーの走査回数は1辺当たり1回とした。空隙の長さは、長辺側で930mm、短辺側で520mmであり、空隙の幅は、0.8であった。
続いて、空隙に導電性ペースト(藤倉化成(株)製の銀ペースト「ドータイト」(登録商標))をディスペンサーで塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。導電性ペーストで形成された電極は機能層(反射防止層)から、約40μm突出した形状であった。
このようにして作製したディスプレイ用フィルターを実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例16)
実施例15と同様にしてシート状積層体を作製し、空隙を破線状(詳細を以下に示す)にする以外は実施例15と同様にして空隙を形成し、実施例15と同様にして導電性ペーストを空隙に塗布して電極が形成された本発明のディスプレイ用フィルターを得た。
破線状の空隙;1個当たりの空隙部分の長さ2cm、空隙部分と空隙部分の間隔が1cm。積層体の長辺側の空隙部分は31個で、長辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は62cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は30cm。積層体の短辺側の空隙部分は17個で、短辺の1辺当たりの空隙部分の合計長さ(A)は34cm、空隙部分と空隙部分の間隔の合計長さ(B)は16cm。
上記のようにして作製した本発明のディスプレイ用フィルターについて、実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。
(比較例4)
実施例15と同様にしてシート状積層体を作製した。
カバーフィルムを剥離後、機能層(反射防止層)の上からレーザーを照射して、端部から5mmの位置と10mmの位置に2本の切り込み線を入れた。この5mmの間隔で設けた2本の切り込み線に沿って反射防止フィルムを物理的に剥離し、導電層を露出させることを試みたが、導電層を残した状態で反射防止フィルムのみを剥離することはできなかった。即ち、反射防止層面側から導電層に導通する電極を取り出すことはできなかった。
(実施例17)
実施例15と同様にして作製したロール状積層体を、長辺964mm、短辺554mmのシート状に切断して得られたシート状積層体を、プラズマディスプレイの前面板ガラス(日本電気硝子(株)製「PP−8」、厚み1.8mm)に、積層体の接着材(近赤外線吸収色素含有)を介して貼り付けた。
続いて、積層体のカバーフィルムの上から実施例5と同様にして空隙を形成し、更に空隙に導電性ペーストを塗布して電極を形成した。
次に、積層体からカバーフィルムを剥離後、実施例1で用いた簡易的筐体を積層体の4辺の端部に配置しクランプで前面板に固定した。前面板と簡易的筐体の距離が一定になるようにクランプの締め付けを調整した。
次に、マルチ計測器(株)製の抵抗測定器「ポケットマルチメーター」を使用し、簡易的筐体のアルミ板に端針を当てて対向する2辺の電極間の導通を確認した。その結果、導通があり、アースがとれることを確認した。
(実施例18)
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U34)の一方の面に、実施例11と同様にして防眩性ハードコート層を厚みが3μmとなるように塗工形成した。
上記PETフィルムの他方の面に、実施例15と同様にして導電層を形成し、更に導電層の表面に、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素とを含有するアクリル樹脂系接着剤を厚さ25μmで形成して積層体を得た。
<積層体の構成>
接着材(近赤外線吸収色素含有)/導電層/PETフィルム/防眩性ハードコート層/カバーフィルム。
次に、上記積層体を実施例15と同様にして、シート状積層体を作製し、同様にして空隙形成、及び導電性ペーストの塗布を行った。但し、電極が防眩性ハードコート層から突出する高さが20μmとなるように導電性ペーストの塗布量を調整した。
このようにして作製したディスプレイ用フィルターを実施例1と同様にしてアース性能を評価したところ、対向する2辺の電極間に導通があり、アースがとれることを確認した。