JP4848150B2 - 電磁波シールドメッシュの製造方法、該方法で製造された電磁波シールドメッシュ、及び該電磁波シールドメッシュを備えるディスプレイ - Google Patents
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Description
各種ディスプレイの前面から発生する電磁波を遮蔽するためには、電磁波シールド性と透明性とを併せ持つ電磁波遮蔽構成体を各種ディスプレイに取り付け、該電磁波遮蔽構成体を接地のための外部電極と接続することが行われている。
この課題を克服する為に、特許第3480898号公報において、粗化された金属の凹凸面が転写した接着剤層を透明化したディスプレイ用電磁波シールド性フィルム、具体的には粗化された金属の凹凸面が転写した接着剤層の上に、加熱又は加圧により接着した透明層を設け、接着剤層の凹凸面を濡らすことにより透明化を図ったものが提案されている。
そこで、本発明は、従来からの方法である黒化処理された金属と透明フィルムを接着剤
で積層し、その後エッチングにより金属メッシュを作る方法に比べ、透過部位(エッチングされる部分)の凹凸がなく、透過性に優れるディスプレイ用電磁波シールド性フィルムを製造する方法の提供を目的とする。
また、高い耐性を有する電磁波シールド性フィルムを確実かつ簡易に提供することも目的とする。
さらに、本発明は、透過性に優れる電磁波シールドディスプレイの提供を目的とする。
(1)金属箔と、基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を介して貼付すること、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成すること、
(3)前記金属箔または前記金属メッシュを黒化処理すること、
(4)活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤および金属メッシュを含有してなる積層体の金属メッシュ面と、転写用支持体とを、接着剤を介して貼り付けること、及び
(5)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離すること。
また、前記金属箔の選択的エッチング(2)前に活性エネルギー線照射を行い、さらに、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する前に活性エネルギー線照射を行うことも好ましい。
また、前記金属箔の選択的エッチング(2)以後に活性エネルギー線照射を行うことも好ましい。
また、前記金属箔の選択的エッチング(2)前に活性エネルギー線照射を行う場合において、金属箔と基材フィルムとの剥離強度が、活性エネルギー線照射前においては200g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、金属箔の選択的エッチング(2)前に活性エネルギー線照射を行ったときは30g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、基材フィルムを金属メッシュから剥離するときは30g/25mm(90°ピール剥離)未満であることが好ましい。
また、基材フィルムを剥離した後の金属メッシュ上の金属原子濃度が50%以上であることが好ましい。
(B)従来法では予め表面を黒化処理された金属箔を幾何学図形にした後、エッチングにより現れた横面の黒化処理を別工程で行っていたが、本発明では金属箔の表面や横面の黒化処理を自由なタイミングで少なくとも1回以上行うことで黒化処理の程度を調節できる。
(C)予め黒化処理された金属箔を用いる必要がない。
(D)予め黒化処理された金属箔を使用しても、エッチング後においては(A)と同様の効果を奏し、好適な電磁波シールドメッシュを提供できる。
(E)活性エネルギー線照射の時期や回数を調整することで、高いエッチング耐性を有する電磁波シールドメッシュを簡易に製造できる。
(F)金属メッシュ開口部に対する損傷や異物の付着を防止できる。
本発明は、下記の(1)〜(5)を任意の順序で行い、かつ、活性エネルギー線照射を任意の時に、任意の回数で行うことを特徴とするディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法である。
(1)金属箔と、基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を介して貼付すること、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成すること、
(3)前記金属箔または前記金属メッシュを黒化処理すること、
(4)活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤および金属メッシュを含有してなる積層体の金属メッシュ面と、転写用支持体とを、接着剤を介して貼付すること、及び
(5)前記基材フィルムを前記金属箔または前記金属メッシュから剥離すること。
(i)金属箔と、基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を介して貼付すること、
(ii)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成すること、
(iii)前記金属メッシュを黒化処理すること、
(iv)前記基材フィルム、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤および金属メッシュを含有してなる積層体の金属メッシュ面と、転写用支持体とを、接着剤を介して貼付すること、及び
(v)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離すること。
基材フィルムは、エッチング工程後に剥離するので、耐熱性、耐エッチング性があれば良い。
基材フィルムの厚みは、5〜200μm程度が好ましい。5μm未満だと取扱い性が悪くなり、200μmを越えてもフレキシブル性が無くなり、取扱い性が悪くなる。
基材フィルムの金属箔と貼付する面には、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤との接着性を良くする為に、易接着処理を施しても良い。易接着処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等の乾式処理と、プライマー処理等の湿式処理がある。
活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤には、公知の粘着付与樹脂、公知の微粒子、公知の重合禁止剤、公知の防錆剤、公知の可塑剤、公知の紫外線吸収剤などを配合することができる。
公知の粘着付与樹脂としては、ロジンエステルなどある。公知の微粒子としては、シリカ化合物などの無機微粒子、アクリル樹脂やナイロン樹脂などで形成される有機微粒子などがある。ただし、微粒子の平均粒子径20μm以下であることが好ましい。また、重合禁止剤としてはヒドロキノンなどがある。
アクリル系ポリマーとしては、反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体、反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体を用いることができる。アクリル系ポリマーは公知の方法により合成される。アクリル系ポリマーは、粘着性を付与するために、ガラス転移点が10℃以下であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は粘着力と凝集力のバランスの点から20万〜200万が好ましく、更に40〜150万が好ましい。
他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等を挙げることが
できる。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
上記ポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの酸成分してはテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、ポリオール成分としてはグリセリン、トチメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものが用いられる。ポリエステルポリオール及びポリエステルポリオールの重量平均分子量は1000〜5000が好ましく、更に2500〜3500が好ましい。重量平均分子量が1000以下のポリエステルポリオール及びポリエステルポリオールでは反応が早くゲル化しやすくなり、5000以上のポリエステルポリオール及びポリエステルポリオールは反応性が低くなり凝集力も低くなる。ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させる際には、多価アミン類を併用できる。
上記有機ポリイソシアネートには、上記有機ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。
ウレタン系ポリマーの重量平均分子量は、粘着力と凝集力のバランスの点から5,000〜300,000が好ましく、更に10,000〜200,000が好ましい。
上記モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができる。
上記オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと有機ポリイソシアネート、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート等を反応させて得られ
る末端イソシアネートプレポリマーに、水酸基を有するアクリレートあるいはメタクリレート、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を反応させて得られるものを使用できる。ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量は500〜30,000が好ましく、更に1,000〜20,000が好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2〜10個有することが好ましく、更に4〜10個有することが好ましく、特に6〜10個有することが好ましい。
イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が挙げられる。
アジリジニル系化合物としては、N,N‘−ジフェニルメタン−4,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタンートリ−β−−アジリジニルプロピオナート、N,N‘−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
金属箔の厚みは、0.5〜40μmが好ましい。40μmを越えると、細かいラインの形成が困難になったり、視野角が狭くなる。また、厚さ0.5μm未満では表面抵抗が大きくなり、電磁波シールド効果が劣る傾向にある。電磁波シールド性の観点から、1〜20μmが更に好ましい。
(a) 予め金属箔の黒化処理を行っておくと、金属メッシュの上(表面)1面のみが黒化処理された電磁波シールドメッシュを製造できる。
(b) 予め黒化処理済みの基材を用い、金属メッシュ形成後に、さらに黒化処理を行うと、金属メッシュの上下(裏表の両面)左右(側面)4面が黒化処理された電磁波シールドメッシュを製造できる。
(c) 予め黒化処理済みの基材を用い、金属メッシュを形成し、転写用支持体との貼り合わせ(転写)を行った後に、さらに黒化処理を行うと、金属メッシュの上下(表裏)左右(側面)4面が黒化処理された電磁波シールドメッシュを製造できる。
(d) 金属メッシュを形成した後に、黒化処理を行うと、下(裏面)左右(両面)3面が黒化処理された電磁波シールドメッシュを製造できる。
上記(a)〜(d)において、上面(表面)や下面(裏面)は、つまり金属メッシュの片面を表す。上記(a)〜(d)のうちで、本発明においては(a)または(d)が好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、放射線等の電磁波が挙げられるが、本発明では紫外線が好ましい。紫外線照射は、メタルハライドランプや高圧水銀灯、無電極ランプ、パルスUVランプ、発光ダイオードランプ、半導体レーザー等公知の光源を用いて行うことができる。
本発明での活性エネルギー線照射は1回若しくは複数回照射することができる。1回若しくは複数回の照射によって、目標とする積算照射量に達すればよい。積算照射量としては、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤の粘着力を低下させることができれば特に限定はないが、紫外線の場合には20〜3000mJ/cm2が好ましく、50〜2000mJ/cm2がより好ましい。20mJ/cm2未満の照射量では活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤の粘着力を消失させることが難しく、3000mJ/cm2を超える照射は経済的に不利である。
活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤の厚みは、0.5μm〜50μm程度であることが好ましい。感圧性接着剤の厚みが0.5μm未満であると十分な接着性が得られ
ず、また50μmを越えると経済的に不利である。
基材フィルムと、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を塗布したセパレータとを貼り合わせる方法としては、常温ラミネートや加温ラミネート、加圧ラミネート、加熱加圧ラミネートがある。基材フィルムと感圧性接着剤層との間に空気が入ると、所望の性能が得られないことから、真空ラミネートを実施することが好ましい。
エッチングレジストパターンの形成に利用されるマイクロリソグラフ法としては、フォトリソグラフ法、X線リソグラフ法、電子線リソグラフ法、イオンビームリソグラフ法などがある。これらの中でも、その簡便性、量産性の点からフォトリソグラフ法が最も効率がよい。なかでもケミカルエッチングを用いたフォトリソグラフ法は、その簡便性、経済性、金属メッシュ加工精度などの点から最も好ましい。
フォトリソグラフ法には、ネガ型、ポジ型のいずれのエッチングレジストも使用することができる。エッチングレジストインキは、硬化物が金属のエッチング処理に対して、耐性を有するものであればよく、一般的に知られている、フォトレジスト組成物、感光性樹脂組成物、熱硬化樹脂組成物がある。
、電磁波シールド性が低下する為、ライン間隔は1000μm(1mm)以下とすることが好ましい。ここで開口率とは、電磁波シールド性フィルムの有効面積に対する、有効面積から金属メッシュの面積を引いた面積の比の百分率である。
黒化処理は、例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/リットル)、水酸化ナトリウム(15g/リットル)、燐酸三ナトリウム(12g/リットル)の水溶液中、95℃で2分間処理することにより、行うことができる。
転写用支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン樹脂、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアセタール、三酢酸セルロース、フッ素樹脂板、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、フタル酸ジアリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂等のプラスチックフィルムやプラスチック板が挙げられ公知のフィルム・シートが使用できるが、価格や特性の面でポリエチレンテレフタレートが好ましい。
アクリル樹脂系転写用接着剤は、公知のアクリル系モノマーを共重合させて得られるア
クリル樹脂と、凝集力の確保、耐熱・耐候性等を付与する目的で添加される硬化剤とから構成される。硬化剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系等の硬化剤が挙げられる。
これらの硬化剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
硬化剤の使用量は、アクリルモノマーの種類や粘着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。
公知のポリオールとしては、高分子量ポリオール類の1種または2種以上、あるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたグリコール類、その他のポリオール類等も用いることができる。さらに、これらの中の1種または2種以上とオレフィン類、芳香族炭化水素類等他の化合物との反応によって得られる2個以上の水酸基を有する化合物も使用することができる。
有機ポリイソシアネートとしては、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を構成するウレタン系ポリマーの原料として例示した有機ポリイソシアネートを用いることができる。
転写用接着剤には、公知の粘着付与剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤、濡れ剤、各種薬剤、充填剤、顔料、染料、希釈剤、硬化促進剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜用いてもよい。また、添加剤の添加量は、目的とする物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
また、転写用接着剤には、赤外線カットを目的として、赤外線吸収材料を入れても構わない。赤外線吸収材料としては、酸化鉄、酸化セリウム、酸化錫、酸化アンチモン、インジウム−錫酸化物(ITO)等の金属酸化物、または六塩化タングステン、塩化錫、硫化第二銅、クロム−コバルト錯体、チオール−ニッケル錯体、アントラキノン等が挙げられる。
そのため、本発明の電磁波シールドメッシュの製造方法において、2段階で活性エネルギー線を照射するとき、金属箔と基材フィルムとの剥離強度は、活性エネルギー線照射前においては200g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、金属箔の選択的エッチング前に1回目の活性エネルギー線照射を行ったときは30g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、さらに、金属箔の選択的エッチング以後に2回目の活性エネルギー線照射を行って基材フィルムを金属メッシュから剥離するときは30g/25mm(90°ピール剥離)未満であることが好ましい。
活性エネルギー線の照射前の剥離強度が30g/25mm(90°ピール剥離)未満であると、エッチングから黒化処理までの工程中に金属メッシュが活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤層から剥離する恐れが生じ、3000g/25mm(90°ピール剥離)を超えると、活性エネルギー線を照射しても、剥離強度が十分に低下しない。また、金属メッシュ剥離時の剥離強度が30g/25mm(90°ピール剥離)以上であると、エッチングして形成した金属メッシュを安定して転写用支持体に貼付することができずに、メッシュの変形や破断の恐れが生じる。2回目の活性エネルギー線照射は、エッチングから金属メッシュ剥離前までの任意の時に照射すれば良く、複数回行っても良い。
の存在率から算出される値である。
金属原子濃度については、未処理の金属箔表面にある金属元素の存在率を基準とし、この値を分母とし、金属箔の片面に活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を介して基材フィルムを貼付した積層体に活性エネルギー線を照射し、基材フィルムを剥離した後の
金属箔表面にある金属元素の存在率を分子とした値の百分率で表記される。
金属原子濃度(%)=――――――――――――――――――――――――― ×100
(未処理の金属箔表面の金属元素存在率)
金属箔の1種である銅箔の場合は、銅表面がすぐに酸化されるため、あるいは酸化を抑えることを目的として防錆剤が塗布されているため、未処理の銅箔表面にある銅元素の存在率が100%でないことがあるが、金属原子濃度を算出する上では差し支えない。
電磁波シールドメッシュは、導通部を通し、アースすることが好ましい。具体的には、ディスプレイの大きさに応じた電磁波シールドメッシュを作成し、その端部は電磁波シールドメッシュに物理強度を与えるために額縁状にする。そして、その端部の一部から導通をとり、電磁波シールド性を確実にすることが好ましい。
[ピール剥離試験] JIS Z 0237を参考にし、ピール角度を90°にして評価を行った。
[ループタック試験] 粘着テープの評価基準「TEST METHODS 14th Edition」(発刊 Pressure Sensitive Tape Council)中の「PSTC−16 Loop Tack」で規定された方法で評価を行った。
[金属原子濃度]ESCA(X線光電子分光分析装置、島津製作所/Kratos製「AXIS-HS」)を用いて金属元素の原子濃度を測定し、金属元素の存在率から前述の式を用いて、金属原子濃度を算出した。
[シールドメッシュの作成]形成したシールドメッシュを粘着剤担持転写用支持体へ転写したときのメッシュ形状を電子顕微鏡(日立製作所製「S−4300」)で観察して、シールドメッシュが形状を保持したまま転写できているか判定した。形状が保持できていれば合格、出来ていなければ不合格と判定した。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート9.4重量部、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製光重合開始剤「イルガキュア2959」)13.6重量部、ジブチル錫ジラウレート0.02重量部、ヒドロキノン0.02重量部、メチルエチルケトン76.96重量部の混合物を、窒素と酸素の混合気流雰囲気下で80℃−5時間反応させて、不揮発分22.5%の光重合開始剤グラフトポリマー合成用中間体溶液を得た。前記中間体溶液70重量部、アクリル酸ブチル113重量部、アクリル酸5重量部、アゾビスイソブチロニトリル 0.12重量部、酢酸エチル212重量部の混合物を、窒素雰囲気下で加熱還流して7時間反応させて重量平均分子量44万、不揮発分33%の光重合開始剤グラフトポリマー溶液を得た。得られた光重合開始剤グラフトポリマー溶液100重量部に、硬化剤としてグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製「デナコールEX−421」)2.0重量部、硬化触媒としてジメチルベンジルアミン(3級アミン)0.05重量部、6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルUCB製「Ebecryl1290K」、重量平均分子量1000)25重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤得た。
得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルムに、12μmの銅箔(日鉱マテリアル製)を常温で加圧ラミネート(2kg/cm2)した。ここでの銅箔とポリエチレンテレフタレートフィルムとの剥離強度は、600g/25mm(90°ピール剥離)であった。
銅箔に活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルムを積層した積層体の銅箔上に、スクリーン印刷機を用い、ニッケル合金製メッシュレスメタル板及びスキージを利用して、エッチングレジスト(日立化成製「RAYCAST」)をライン幅40μm、ライン間隔250μm塗工した。感光後、200g/リットルの塩化第二銅水溶液を3分間噴霧してケミカルエッチングし、ライン幅25μm、ライン間隔250μmの銅メッシュパターンを形成した。水洗後に銅メッシュ上のエッチングレジスト除去のために40℃で濃度5%のカセイソーダ水溶液を噴霧した。水洗後に3%塩酸水溶液を噴霧して中和を行った。
次に、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製「A4300」)に、アクリル系粘着剤(東洋インキ製造製主剤「BPS5896」と硬化剤「BXX4773」を100:0.5の重量比で配合)を膜厚が20μmになるように塗工し、粘着剤担持転写用支持体を得た。
得られた黒化処理済み銅メッシュ積層体と粘着剤担持転写用支持体とを、銅メッシュ面と粘着剤面とが接するように加圧ラミネート(2kg/cm2)した。ラミネートした後に
活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルム側から、メタルハライドランプ(UV)120W/cm を用い、700mJ/cm2の紫外線を照射し、感圧性接着
剤の粘着力を消失させた。次いで、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルムを剥離し、この時に黒化処理した銅メッシュは粘着剤担持転写用支持体の粘着剤面に転写し、電磁波シールドメッシュを得た。また紫外線照度は紫外線照度計UV−350(オーク製作所製)を用いて測定した。
イソフォロンジイソシアネート25.7重量部、光重合開始剤「イルガキュア2959」26.1重量部、ジブチル錫ジラウレート0.04重量部、酢酸エチル148重量部からなる混合物を、窒素雰囲気下で70℃−5時間反応させて不揮発分26%の光重合開始剤グラフトポリマー用中間体溶液を得た。一方、アクリル酸ブチル94.3重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル3.2重量部、アクリル酸2.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部、酢酸エチル187.8重量部の混合物を、窒素雰囲気下で加熱還流して7時間反応させてガラス転移点−51℃、重量平均分子量40万、不揮発分35%のアクリル系ポリマー溶液を得た。そして、前記光重合開始剤グラフトポリマー用中間体溶液12.9重量部、前記アクリル系ポリマー溶液100重量部、酢酸エチル15.0重量部の混合物を、窒素雰囲気下で加熱還流して7時間反応させて不揮発分30%の光重合開始剤グラフトポリマー溶液を得た。
前記光重合開始剤グラフトポリマー溶液100重量部と硬化剤「EX−421」2重量部、硬化触媒ジメチルベンジルアミン0.05重量部、ウレタンアクリレートオリゴマー「Ebecryl1290K」28重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を得た。
得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を用い、実施例1と同様にして、電磁波シールドメッシュを得た。
アクリル酸プチル92重量部、メタクリル酸メチル6重量部、アクリル酸2重量部からなるモノマー混合物を、アゾビスイソブチロニトリル0.04重量部及び酢酸エチル150重量部を用いて加熱還流して窒素雰囲気下で7時間反応させて、ガラス転移点−46℃、平均分子量45万、不揮発分40%のアクリル系ポリマー溶液を得た。アクリル系ポリマー溶液100重量部に対して、硬化剤としてグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製「デナコールEX−421」)1.5重量部、硬化触媒としてジメチルベンジルアミン(3級アミン)0.05重量部、6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルUCB製「Ebecryl1290K」、重量平均分子量1000)32重量部、光重合開始剤として2−メチル−1(4−メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ スペシャルティ・ケミカルズ製「イルガキュア907」)1.6重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を得た。
得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を用い、実施例1と同様にして、電磁波シールドメッシュを得た。
アクリル酸ブチル91.5重量部、メタクリル酸メチル6重量部、アクリル酸2重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5重量部からなるモノマー混合物を、アゾビスイソブチロニトリル0.04重量部及び酢酸エチル150重量部を用いて加熱還流して窒素雰囲気下で7時間反応させて、ガラス転移点−46℃、平均分子量45万、不揮発分40%のアクリル系ポリマー溶液を得た。アクリル系ポリマー溶液100重量部に対して、硬化剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダククト体(日本ポリウレタン製「コロネートL」)1.0重量部、ウレタンアクリレートオリゴマーEbecryl1290K 32重量部、イルガキュア907 1.6重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を得た。
得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を用い、実施例1と同様にして、電磁波シールドメッシュを得た。
実施例4で得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を用いて、25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製「E5100」)に、得られた活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を厚さ10μmになるように塗工し、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルムを得た。
銅箔に活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルムを積層した積層体の銅箔上に、スクリーン印刷機を用い、ニッケル合金製メッシュレスメタル板及びスキージを利用して、エッチングレジスト(日立化成製「RAYCAST」)をライン幅40μm、ライン間隔250μm塗工した。感光・現像後に積層体のPETフィルム側から、高圧水銀ランプ(UV)120W/cmを用い、50mJ/cm2の紫外線を照射した。その後銅箔側から200g/リットルの塩化第二銅水溶液を3分間噴霧してケミカルエッチングし、ライン幅25μm、ライン間隔250μmの銅メッシュパターンを形成した。水洗後に銅メッシュ上のエッチングレジスト除去のために40℃で濃度5%のカセイソーダ水溶液を噴霧した。水洗後に3%塩酸水溶液を噴霧して中和を行った。
次に、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製「A4300」)に、アクリル系粘着剤(東洋インキ製造製主剤「BPS5896」と硬化剤「BXX4773」を100:0.5の重量比で配合)を膜厚が10μmになるように塗工し、粘着剤担持転写用支持体を得た。
得られた黒化処理済み銅メッシュ積層体と粘着剤担持転写用支持体とを、銅メッシュ面と粘着剤面とが接するように加圧ラミネート(2kg/cm2)した。ラミネートした後に
活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルム側から、メタルハライドランプ(UV)120W/cm を用い、1000mJ/cm2の紫外線を照射し、感圧性接着剤の粘着力を消失させた。次いで、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤担持保護フィルムを剥離し、この時に黒化処理した銅メッシュは粘着剤担持転写用支持体の粘着剤面に転写し、電磁波シールドメッシュを得た。
実施例3で得られたアクリル系ポリマー溶液100重量部に対して、硬化剤「EX−421」1.5重量部を配合して活性エネルギー線粘着力消失型でない、通常の感圧接着剤を得た。
得られた感圧性接着剤を用い、実施例1と同様に、電磁波シールドメッシュを作製しようとしたが、最初に銅箔と貼り合わせたポリエチレンテレフタレートフィルムをスムーズに剥離できず、力を入れて剥離すると、銅メッシュが破壊され、所期の電磁波シールドメッシュが得られなかった。
2 基材フィルム
3 活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤
4 金属メッシュ
5 黒化処理された金属メッシュ
6 転写用支持体
7 転写用接着剤
Claims (12)
- 下記の(1)〜(5)の順序で行い、かつ、活性エネルギー線照射を少なくとも(4)と(5)との間に1回行うことを特徴とするディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
(1)金属箔と、基材フィルムとを、活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤を介して貼付すること、
(2)前記金属箔の選択的エッチングによって金属メッシュを形成すること、
(3)前記金属箔または前記金属メッシュを黒化処理すること、
(4)活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤および金属メッシュを含有してなる積層体の金属メッシュ面と、転写用支持体とを、接着剤を介して貼り付けること、及び
(5)前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離すること。 - さらに前記金属箔の選択的エッチング(2)前に活性エネルギー線照射を行うことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 前記金属箔の選択的エッチング(2)前に活性エネルギー線照射を行い、さらに、前記基材フィルムを前記金属メッシュから剥離する前に活性エネルギー線照射を行うことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 前記金属箔の選択的エッチング(2)以後に活性エネルギー線照射を行うことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 金属箔と基材フィルムとの剥離強度が、活性エネルギー線照射前においては200g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、基材フィルムを金属メッシュから剥離するときは30g/25mm(90°ピール剥離)未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 金属箔と基材フィルムとの剥離強度が、活性エネルギー線照射前においては200g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、金属箔の選択的エッチング(2)前に活性エネルギー線照射を行ったときは30g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であり、基材フィルムを金属メッシュから剥離するときは30g/25mm(90°ピール剥離)未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 金属箔と基材フィルムとのループタックが、エッチング液に曝露前は100g/25mm以上であり、かつ、エッチング液曝露後に活性エネルギー線を照射したときは100g/25mm未満であることを特徴とする請求項4記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 基材フィルムを剥離した後の金属メッシュ上の金属原子濃度が50%以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 前記の活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤が、反応性官能基を有する弾性重合体、活性エネルギー線反応性化合物、及び硬化剤を含むことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 前記の活性エネルギー線粘着力消失型感圧性接着剤が、さらに光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項9記載のディスプレイ用電磁波シールドメッシュの製造方法。
- 請求項1〜10いずれか1項に記載の方法で製造されたディスプレイ用電磁波シールドメッシュ。
- 請求項11記載の電磁波シールドメッシュが、ディスプレイの表面に貼り合わされていることを特徴とする電磁波シールドディスプレイ。
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