JPWO2006106903A1 - sc(Fv)2構造異性体 - Google Patents

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Abstract

ヒトMpl抗体およびヒト化抗ヒトMpl抗体のsc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離し、得られた構造異性体のリンカーを切断することにより、構造異性体がsingle chain diabody型とbivalent scFv型であることを確認した。また、これら構造異性体のアゴニスト活性が著しく異なることを明らかにした。さらに、本発明者らは、温度変化やsc(Fv)2のリンカーの長さおよび可変領域のアミノ酸の改変により、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の含有比率を調節可能であることを明らかにした。

Description

本発明は、sc(Fv)2医薬組成物、並びにその製造方法に関する。
sc(Fv)2は2つの軽鎖可変領域(VL)と2つの重鎖可変領域(VH)の4つの可変領域をリンカーなどで結合して一本鎖にした抗体である(Hudson et al、J Immunol. Methods 1999;231:177-189)。
例えば、VH1-linker-VL2-linker- VH3-linker-VL4やVL2-linker-VH1-linker-VL4-linker-VH3の配列を有する一本鎖抗体が知られている。sc(Fv)2の構造は、Fv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、VH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するsc(Fv)2と、VH1とVL4、VH3とVL2がそれぞれFvを形成するsc(Fv)2の2種類の構造異性体が存在すると考えられる。
しかしながら、これまで、sc(Fv)2の研究はBispecific sc(Fv)2に関するものが多かった為、sc(Fv)2の構造異性体についてはほとんど報告がない。
Bispecific sc(Fv)2は、VH1-linker-VL2-linker-VH3-linker-VL4の配列において、VH1とVL4、および、VH3とVL2(あるいはVH1とVL2、および、VH3とVL4)が異なるモノクローナル抗体由来の可変領域をもつsc(Fv)2である。Bispecific sc(Fv)2の場合には、VH1とVL4、または、VH3とVL2(あるいはVH1とVL2、または、VH3とVL4)が同じモノクローナル抗体由来であることからFvを形成する効率が高くなり、構造異性体の出現はある程度抑制されると考えられる。実際に、リンカー長を15-5-15と15-15-15のbispecific sc(Fv)2を作製しても、活性は変らないことが報告されている(非特許文献5)。従って、Bispecific sc(Fv)2の場合は構造異性体に関しては詳細な言及がされていないことが多い。例えば、非特許文献3、4、8、9は、bispecificな結合活性を確認することにより正しい組み合わせのFvが存在することは示しているが、正しくないFvの組み合わせの存在比率や両者の存在比の定量的な評価に関する記載はない。また、非特許文献6は、Bispecific sc(Fv)2のリンカーの長さを変化させること(両端あるいは中央のリンカーの長さの改変)により、monomer、dimerの構造変換を確認しているが、sc(Fv)2の構造異性体については分子構造モデル予測での議論に留まっており、実際の試料における構造異性体の存在比率や構造の同定に関する記載はない。
また、sc(FV)2の構造異性体について着目されていなかったので、構造異性体の制御についても詳細な検討はなされていない。非特許文献10においても、リンカーの長さを5-15-5あるいは15-5-15にすることで、それぞれsingle chain diabodyあるいはbivalent scFvの構造を取ることを予測している。これは、scFvにおいてリンカーの長さが12以下の場合、一般的に隣り合うVHとVLはFvを形成しにくい(つまりmonomerを形成しにくい)ことが報告されているためである。しかしながら、非特許文献2において、リンカーの長さが10あるいは5のFvにおいても少量だがmonomerが形成することが報告されており、非特許文献10におけるリンカーの長さを5-15-5あるいは15-5-15の場合においても、得られたsc(Fv)2は必ずしも100%のsingle chain diabodyあるいはbivalent scFvの構造であるとは限らない。
これまでの報告では構造異性体に関してはFvの組み合わせとリンカーの長さからの構造予測のみで、構造異性体の含有比率の定量的分析や得られた構造が目的の構造であるかどうかの確認・証明は行われておらず、構造異性体が十分に評価および制御されているとは言えない。すなわち、いかなるリンカーの長さのsc(Fv)2においても、Fvの組み合わせとリンカーの長さからは構造異性体の存在比を予測することは極めて困難であり、2組のVH、VLを有するsc(Fv)2型分子においては2つの構造異性体の存在は考えなければならない問題である。
低分子化合物に関しては、光学異性体や幾何異性体の分離方法は多数知られているが、これまでにタンパク質の異性体を分離する方法は報告されていない。タンパク質の1アミノ酸の違いを分離するような方法はすでに多数報告されているが、完全に同一なアミノ酸一次配列を有する2つの構造的な異性体を分離する方法はこれまでに報告がない。sc(Fv)2の構造異性体に関しても同様で、従来技術ではsc(Fv)2の2種類の構造異性体の分離分析法、確認方法はこれまでに存在しなかった。
これまでにsc(Fv)2の構造異性体の分離方法が存在しなかったことから、2種類の構造異性体の間での活性の違いに着目した報告はない。Bispecific sc(Fv)2においては、構造異性体により正しいFvの組み合わせと正しくないFvの組み合わせの間で活性が大きく異なることは当然予想されるが、Monospecific sc(Fv)2においては、同じ2価である構造異性体間で活性の違いに関しては予想し難しい。非特許文献10においては、2つの構造異性体間で活性が異なる可能性は考えず、活性(結合活性)は構造異性体の混合物で測定している。これはsc(Fv)2の構造異性体の分離精製の困難さから、それぞれの構造異性体を高純度に調製し活性を厳密に比較することができなかったためである。
リンカーの長さを改変したsc(Fv)2においても、リンカーの長さから想定される2つの構造異性体をそれぞれモデル予測ではなく"同定"し、その構造異性体の含有比率を定量的に評価することはこれまで不可能であった。そのため、sc(Fv)2のリンカーの長さと構造異性体の含有比率の関係を明らかにした定量的な検討はこれまで実施されておらず、実質的にリンカーの長さにより構造異性体の含有比率をコントロールした報告はない。
リンカーの長さを変化させることはsc(Fv)2の2つの抗原結合部位間の距離を変えることになることから、リンカーの長さはその生物活性(特にレセプターを二量体化するようなアゴニスト活性)に影響する可能性がある。そのため抗原の種類により、2つの抗原結合部位間距離はリンカーの長さによって任意に調節可能であることが望ましい。また、リンカーの長さは安定性に大きく影響を及ぼすことが報告されており(非特許文献1、非特許文献2)、scFvでは一般にリンカーが短いほど安定性が低いことが知られている。sc(Fv)2においても同様に考えられ、中央のリンカーを短くすることによって、会合体(dimer)が生成しやすくなることが報告されており(非特許文献6)、安定性の高いsc(Fv)2を作製するためにはリンカーの長さは任意に調節可能であることが望ましい。このようなことから、sc(Fv)2を医薬品として開発する場合、任意のリンカーの長さにおいて目的の構造異性体を単離できることが望ましいと考えられる。しかしながら、これまで任意のリンカー長を持つsc(Fv)2において、bivalent scFvとsingle chain diabodyの2種類の構造異性体をそれぞれ単離した報告はない。
構造異性体を含むsc(Fv)2を医薬品として開発するためには、目的の構造異性体のみを分離精製し、構造異性体の一方のみを含む原薬を製造すること、あるいは、原薬が構造異性体混合物の場合には、2種類の構造異性体の性質を決定し、各構造異性体の含有比率を定量的に分析する規格試験を実施することが必要となる。しかしながら、これまでsc(Fv)2の構造異性体の分離精製・定量的分析・構造同定する方法は知られていない。
また、リンカーの長さによるscFvのmonomer/dimer/trimer/tetramerの存在比率を制御する方法が報告されているが、sc(Fv)2の構造異性体に関しては、上述のとおり、構造異性体の定量的分析法が見出されていないため、リンカーの長さによる構造異性体存在比率の制御方法はこれまでに報告されていない。
Protein Engineering, 1993, 6(8), 989-995 Protein Engineering, 1994, 7(8), 1027-1033 Journal of Immunology, 1994, 152, 5368-5374 Journal of Immunology, 1995, 154, 4576-4582 PNAS, 1995, 92, 7021-7025 Journal of Molecular Biology, 1999, 293, 41-56 Protein Engineering, 2001, 14(10), 815-823 Journal of Molecular Biology, 2003, 330, 99-111 Protein Eng Des Sel. 2004 Apr,17(4),357-66 Clinical Cancer Research, 2004, 10, 1274-1281 Int. J. Cancer, 1998, 77, 763-772
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、sc(Fv)2の特定の構造異性体を有効成分として含有する医薬組成物、およびその製造方法、および医薬品開発のための構造異性体の構造決定方法と規格試験法を提供することにある。また、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合を増加させる方法、該方法を利用したsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分析する方法を提供することを目的とする。
ヒトMpl抗体およびヒト化抗ヒトMpl抗体のsc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離し、得られた構造異性体のリンカー又はリンカー近傍領域を切断することにより、構造異性体がsingle chain diabody型とbivalent scFv型であることを確認した。また、これら構造異性体のアゴニスト活性が著しく異なることを明らかにした。
さらに、本発明者らは、sc(Fv)2のリンカーの長さの改変により、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の含有比率を調節可能であることを明らかにした。
本発明は、以下の〔1〕〜〔44〕を提供するものである。
〔1〕以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
(a)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
(b)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
〔2〕以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
(a)sc(Fv)2の構造異性体の活性を比較して高活性の構造異性体をあらかじめ決定する工程
(b)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
(c)工程(a)により決定された高活性の構造異性体を取得する工程
〔3〕以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
(a)sc(Fv)2組成物中の構造異性体の比率が好ましい値になるようにリンカーの長さを決定する工程
(b)工程(a)で決定されたリンカーの長さを有するsc(Fv)2組成物を作製する工程
(c)作製されたsc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
(d)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
〔4〕以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
(a)リンカーの長さが異なる複数のsc(Fv)2組成物を作製する工程
(b)sc(Fv)2組成物中の構造異性体の比率が好ましい値となるリンカーを有するsc(Fv)2を選択する工程
(c)工程(b)で選択されたsc(Fv)2のリンカーと同じ長さのリンカーを有するsc(Fv)2組成物を作製する工程
(d)作製されたsc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
(e)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
〔5〕構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕構造異性体がアゴニスト活性を有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕sc(Fv)2のリンカーが15アミノ酸であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法により作製された医薬組成物。
〔9〕sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合が80%以上であることを特徴とする医薬組成物。
〔10〕構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である〔9〕に記載の医薬組成物。
〔11〕構造異性体が受容体に結合することを特徴とする〔9〕または〔10〕に記載の医薬組成物。
〔12〕構造異性体がアゴニスト活性を有することを特徴とする〔9〕〜〔11〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔13〕sc(Fv)2のリンカーが15アミノ酸である〔9〕〜〔12〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔14〕sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を変化させる工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を調節する方法。
〔15〕sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合を増加させる工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
〔16〕以下の工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
(a)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
(b)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
〔17〕以下の工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
(a)sc(Fv)2の構造異性体の活性を比較して高活性の構造異性体をあらかじめ決定する工程
(b)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
(c)工程(a)により決定された高活性の構造異性体を取得する工程
〔18〕以下の工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
(a)sc(Fv)2組成物をイオン交換カラムにかける工程
(b)特定の構造異性体を除去する工程
〔19〕構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である〔14〕〜〔18〕のいずれかに記載の方法。
〔20〕sc(Fv)2組成物を加熱する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
〔21〕構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である〔20〕に記載の方法。
〔22〕sc(Fv)2組成物を15℃〜50℃でインキュベートする工程を含む、sc(Fv)2組成物中のsingle chain diabody型の含有割合を増加させる方法。
〔23〕sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
〔24〕以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域の39位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
〔25〕以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
〔26〕以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
〔27〕sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
〔28〕以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域の39位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
〔29〕以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の活性を増加させる方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
〔30〕以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
〔31〕sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
〔32〕以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域の39位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
〔33〕以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
〔34〕以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
(1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
〔35〕sc(Fv)2のリンカーの長さを調節する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を調節する方法。
〔36〕構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である〔35〕に記載の方法。
〔37〕sc(Fv)2の両端のリンカーを0〜12アミノ酸、中央のリンカーを10〜30アミノ酸に調節する工程を含む、sc(Fv)2組成物中のsingle chain diabody型の割合を増加させる方法。
〔38〕sc(Fv)2の両端のリンカーを12〜30アミノ酸、中央のリンカーを0〜10アミノ酸に調節する工程を含む、sc(Fv)2組成物中のbivalent scFv型の割合を増加させる方法。
〔39〕sc(Fv)2の両端のリンカーを0〜12アミノ酸、中央のリンカーを0〜10アミノ酸に調節する工程を含む、single chain diabody型の含有割合が80%以上であるsc(Fv)2組成物を製造する方法。
〔40〕sc(Fv)2の両端のリンカーを12〜30アミノ酸、中央のリンカーを0〜10アミノ酸に調節する工程を含む、bivalent scFv型の含有割合が80%以上であるsc(Fv)2組成物を製造する方法。
〔41〕sc(Fv)2のリンカー又はリンカー近傍領域を切断する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分析する方法。
〔42〕酵素で処理することによりリンカー又はリンカー近傍領域を切断することを特徴とする〔41〕に記載の方法。
〔43〕構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である〔41〕または〔42〕に記載の方法。
〔44〕以下の工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分析する方法。
(a)sc(Fv)2組成物を酵素で処理する工程
(b)処理後の生成物の分子量または構造を測定する工程
(a) VB22B sc(Fv)2のVH1-linker-VL1-linker-VH2-linker-VL2構造を示す図である。(b) VH1-linker-VL1-linker-VH2-linker-VL2構造の2種類の構造異性体を示す図である。VH1/VL1とVH2/VL2がそれぞれ会合したbivalent scFv構造(左)と、VH1/VL2とVH2/VL1がそれぞれ会合したsingle chain diabody構造(右)を示す。 peak1とpeak2の陰イオン交換クロマトグラフィーよる分離の結果を示す図である。 peak1、peak2、VB22B sc(Fv)2のsubtilisin処理前後の還元SDS-PAGEの結果を示す写真である。得られたバンドの推定構造を右に示した。 bivalent scFvとsingle chain antibodyの構造の違いにより生じるsubtilisin限定分解後の分解パターンの違いを示す図である。Bivalent scFv構造の場合、点線で囲った低分子量断片が生じる。 Subtilisinによるpeak1、peak2、VB22B sc(Fv)2の限定分解後のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す図である。矢印により低分子量ピークの溶出位置を示した。 VB22B sc(Fv)2構造異性体のTPO様アゴニスト活性評価の結果を示す図である。 peak1とpeak2の陽イオン交換クロマトグラフィーよる分離の結果を示す図である。 陽イオン交換クロマトグラフィーより分離したpeak1とpeak2のペプチドマッピングを示す図である。 peak1、peak2、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のsubtilisin処理後の還元SDS-PAGEの結果を示す写真及び図である。得られたバンドの構造を右に示した。 Subtilisinによるpeak1、peak2、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の限定分解後のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す図である。矢印により低分子量ピークの溶出位置を示した。 hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2構造異性体のTPO様アゴニスト活性評価の結果を示す図である。 各リンカー改変体のコンストラクトを示す図である。Gxxは中央のリンカー長がxxであり、Lxxは両端のリンカー長がxxであり、それぞれリンカーとして(GGGGS (配列番号:11))n配列を用いたコンストラクトである。L8は両端のリンカー長が8であり、GGGGSGGS配列(配列番号:20)を用いたコンストラクトである。L12は両端のリンカー長が12であり、GGGGSGGGGSGS配列(配列番号:21)を用いたコンストラクトである。Pxxはリンカーとして(GGPGS(配列番号:17))n配列を用いて中央のリンカー長をxxにしたコンストラクトである。 各リンカー改変体の陰イオン交換クロマトグラフィー分析結果と構造異性体の得られた存在比率を示す図である。bivalent scFv型構造のパーセントにより示した。 hydroxyapatiteカラムのクロマトグラムと精製画分のゲルろ過クロマトグラフィー分析の結果を示す図である。 SOURCE 15Sカラムのクロマトグラムの分析結果を示す図である。 陽イオン交換クロマトグラフィーの分析結果を示す図である。 大量精製したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 peak1とhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 peak2のSDS-PAGEの分析結果を示す写真である。 大量精製したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 peak1とhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 peak2のゲルろ過分析結果を示す図である。 u2-wz4、改変体v1、改変体v3のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す図である。 u2-wz4、改変体v1、改変体v3の陽イオン交換クロマトグラフィーの結果を示す図である。 u2-wz4、u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3の等電点電気泳動の結果を示す写真である。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3のプロテアーゼ限定分解後のゲルろ過クロマトグラフィー分析の結果を示す図である。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3 のTPO様アゴニスト活性評価の結果を示す図である。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3のDSC分析の結果を示す図である。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3の熱加速試験におけるゲルろ過クロマトグラフィー分析の結果を示す図である。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3の熱加速試験における陽イオン交換クロマトグラフィー分析の結果を示す図である。 ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1とpeak2の陽イオン交換クロマトグラフィーよる分離の結果を示す図である。 精製したヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1とpeak2の陽イオン交換クロマトグラフィーよる分析結果を示す図である。 ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1とpeak2のsubtilisin処理後の還元SDS-PAGEの結果を示す写真である。得られたバンドの推定構造を右に示した。 Subtilisinによるヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1とpeak2の限定分解後のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す図である。矢印により低分子量ピークの溶出位置を示した。 ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1とpeak2のBaF3/gp130におけるIL-6中和活性評価の結果を示す図である。 VB22B sc(Fv)2のpeak1を20mM sodium acetate, 150mM NaCl, pH6.0, 40℃でインキュベートした試料の陰イオン交換クロマトグラフィー分析し経時的にpeak2が増加することを示した図である。 VB22B sc(Fv)2のpeak1、peak2、及び、40℃で6日間incubateした試料のアゴニスト活性を評価し、peak1がpeak2に異性化することによって活性が増加することを確認した図である。 hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のpeak1を25℃で10日間、各条件下でincubateすることによるpeak2への異性化を示す図である。
本発明者らは、sc(Fv)2の構造異性体を解析する過程で、構造異性体間の活性に差が生じることを見出した。さらに、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を調節できること、また、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体を分離取得できることを見出した。本発明は、これら知見に基づくものである。
本発明は、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離し、分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程を含む、医薬組成物の製造方法を提供する。
本発明においてsc(Fv)2は、4つ以上の抗体可変領域をリンカー等で結合して一本鎖にした低分子化抗体である。例えば、[可変領域1](リンカー1)[可変領域2](リンカー2)[可変領域3](リンカー3)[可変領域4] の順に並んでいることを特徴とする抗体が挙げられる。
また、通常、sc(Fv)2は2つのVLと2つのVHの4つの可変領域をリンカーなどで結合して一本鎖にした抗体である(Hudson et al、J Immunol. Methods 1999;231:177-189)。この2つのVHとVLは異なるモノクローナル抗体由来であってもよい。
sc(Fv)2は、当業者に公知の方法で作製することができ、例えば、scFvをリンカーで結ぶことによって作製できる。scFvには、抗体のVHおよびVLが含まれ、これらの領域は単一のポリペプチド鎖中に存在する(scFvの総説については、Pluckthun『The Pharmacology of Monoclonal Antibodies』Vol.113(Rosenburg and Moore ed (Springer Verlag, New York) pp.269-315, 1994)を参照)。
また、本発明のsc(Fv)2としては、2つのVH及び2つのVLが、一本鎖ポリペプチドのN末端側を基点としてVH、VL、VH、VL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])の順に並んでいることを特徴とする抗体が挙げられるが、2つのVHと2つのVLの順序は特に上記配置に限定されず、どのような順序で並べられていてもよい。例えば以下のような、配置も挙げることができる。
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]
[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]
本発明のsc(Fv)2は抗体可変領域、リンカー以外のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
本発明で用いられる抗体の可変領域は、可変領域の全長でもよいが、抗原への結合活性を維持する限り可変領域の部分配列でもよい。又、可変領域中のアミノ酸配列を置換、欠失、付加、挿入などがされていてもよい。例えば、抗原性を低下させるために、キメラ化やヒト化されていてもよい。
また本発明のsc(Fv)2は、そのN末端あるいはC末端にIgGのFc部分等の別のタンパク質を融合してもよい(Clinical Cancer Research, 2004, 10, 1274-1281)。融合するタンパク質は当業者が適宜選択することができる。また本発明のsc(Fv)2は、Fcの各hingeのN末端に2つのscFvを結合させ、中央のリンカー(リンカー2)として抗体のFc領域を用いた(scFv)2-Fcの形であってもよい(J Immunol Methods. 2005;306(1-2):93-103.)。
また本発明のsc(Fv)2は、PEG等のキャリアー高分子や抗がん剤等の有機化合物をコンジュゲートしてもよい。また糖鎖付加配列を挿入し、糖鎖を付加してもよい。
抗体の可変領域を結合するリンカーとしては、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー(例えば、Protein Engineering, 9(3), 299-305, 1996参照)に開示されるリンカー等を用いることができるが、本発明においてはペプチドリンカーが好ましい。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、好ましい長さは5アミノ酸以上(上限は特に限定されないが、通常、30アミノ酸以下、好ましくは20アミノ酸以下)であり、特に好ましくは15アミノ酸である。sc(Fv)2に3つのペプチドリンカーが含まれる場合には、全て同じ長さのペプチドリンカーを用いてもよいし、異なる長さのペプチドリンカーをもちいてもよい。
例えば、ペプチドリンカーの場合:
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:9)
Ser・Gly・Gly・Gly(配列番号:10)
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:11)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:12)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:13)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:14)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:15)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:16)
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:11))n
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:12))n
[nは1以上の整数である]等を挙げることができる。但し、ペプチドリンカーの長さや配列は目的に応じて当業者が適宜選択することができる。
合成化学物リンカー(化学架橋剤)は、ペプチドの架橋に通常用いられている架橋剤、例えばN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ−DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、ビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ-BSOCOES)などであり、これらの架橋剤は市販されている。
4つの抗体可変領域を結合する場合には、通常、3つのリンカーが必要となるが、全て同じリンカーを用いてもよいし、異なるリンカーを用いてもよい。
本発明においてsc(Fv)2組成物とは、sc(Fv)2の構造異性体を1または複数含有する組成物を指す。
sc(Fv)2組成物は、当業者に周知の方法で作製することができる。例えば、sc(Fv)2をコードするDNAを挿入したベクターを宿主細胞へ導入し、sc(Fv)2を発現させ、発現産物を回収することで、sc(Fv)2組成物を作製できる。
該ベクターとしては、挿入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限されず、例えば宿主に大腸菌を用いるのであれば、クローニング用ベクターとしてはpBluescriptベクター(Stratagene社製)などが好ましいが、市販の種々のベクターを利用することができる。本発明のsc(Fv)2を生産する目的においてベクターを用いる場合には、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、試験管内、大腸菌内、培養細胞内、生物個体内でsc(Fv)2を発現するベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)、大腸菌であればpETベクター(Invitrogen社製)、培養細胞であればpME18S-FL3ベクター(GenBank Accession No. AB009864)、生物個体であればpME18Sベクター(Mol Cell Biol. 8:466-472(1988))などが好ましい。ベクターへの本発明のDNAの挿入は、常法により、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 11.4-11.11)。
上記宿主細胞としては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿主細胞が用いられる。sc(Fv)2を発現させるための細胞としては、例えば、細菌細胞(例:ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌)、真菌細胞(例:酵母、アスペルギルス)、昆虫細胞(例:ドロソフィラS2、スポドプテラSF9)、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、HEK293、Bowes メラノーマ細胞)および植物細胞を例示することができる。宿主細胞へのベクター導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクタミン法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法などの公知の方法で行うことが可能である。
sc(Fv)2組成物の回収は、本発明のsc(Fv)2が培地に分泌される場合は、培地を回収することで実施できる。また、sc(Fv)2が細胞内に産生される場合は、その細胞をまず溶解し、その後にsc(Fv)2組成物を回収する。
本発明のsc(Fv)2組成物は、sc(Fv)2の構造異性体を1または複数含有する組成物である限り、どのような状態であってもよく、例えば、組換え細胞培養物等のクルードな状態の組成物、精製された状態の組成物等が例示できるが、これらに制限されるものではない。
本発明において構造異性体とは、アミノ酸配列は同一であるが、立体構造(二次構造あるいは三次構造)が異なるタンパク質同士のことをいう。通常、構造異性体同士では化学的、生物学的、又は物理的性質のうち少なくとも1つは異なる。
sc(Fv)2における構造異性体としては、例えば、single chain diabody型とbivalent scFv型の構造異性体が存在する。
本発明においてsingle chain diabody型とは、sc(Fv)2が、[可変領域1](リンカー1)[可変領域2](リンカー2)[可変領域3](リンカー3)[可変領域4]の順で並んでいる場合、可変領域1と可変領域4が会合し、かつ可変領域2と可変領域3が会合した状態の構造を有するsc(Fv)2をいう。
また、本発明においてbivalent scFv型とは、可変領域1と可変領域2が会合し、かつ可変領域3と可変領域4が会合した状態の構造を有するsc(Fv)2のことをいう。
single chain diabody型、bivalent scFv型としては、例えば図1bに記載の構造を有するsc(Fv)2が挙げられる。sc(Fv)2の構造異性体がsingle chain diabody型またはbivalent scFv型のどちらの構造を有しているかは、後述される構造異性体の同定方法によって確認することができる。また、NMRを用いた解析、結晶構造解析などにより同定することができる。
sc(Fv)2組成物中の構造異性体の分離および取得(精製)は、例えば、sc(Fv)2組成物をイオン交換カラムやHydroxyapatiteカラムにかけ、特定の構造異性体を取得あるいは除去することで行うことができるが、これに制限されず、各種クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、キャピラリー等電点電気泳動、透析、再結晶等の当業者に公知の方法により行うことが可能である。
クロマトグラフィーとしては、例えばイオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization: A Laboratory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。クロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えばHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
イオン交換クロマトグラフィーを用いる場合、使用されるイオン交換カラムの種類は特に制限されず、陽イオン交換カラム、陰イオン交換カラムのいずれも使用することができ、目的の抗体や構造異性体などにより適宜決定することができる。例えば、SPイオン交換体カラム、Q イオン交換体カラムなどを用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。吸着クロマトグラフィーとしては、Hydroxyapatiteクロマトグラフィーが例示できるが、これに限定されるものではない。
本発明により、これらの精製方法を用い、特定の構造異性体の精製品を取得することもできる。
また、本発明の医薬組成物の製造方法は、sc(Fv)2組成物中の構造異性体間で活性に差が生じる場合に、sc(Fv)2の構造異性体の活性を比較して高活性の構造異性体をあらかじめ決定し、sc(Fv)2組成物中の構造異性体から高活性の構造異性体を分離取得することができる。さらに、本発明の医薬組成物の製造方法は、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する前に、後述の方法により、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の比率が好ましい値になるようにリンカーの長さを決定し、決定されたリンカー長を有するsc(Fv)2組成物を作製することもできる。また、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する前に、リンカーの長さが異なる複数のsc(Fv)2組成物を作製し、後述される構造異性体比率の分析法によって構造異性体比率を分析し、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の比率が好ましい値となるリンカーを有するsc(Fv)2を選択し、選択されたsc(Fv)2のsc(Fv)2組成物を作製することもできる。また後述の方法により、VHとVLが界面を形成するアミノ酸残基を改変することにより、選択されたsc(Fv)2のsc(Fv)2組成物を作製することもできる。
本発明において高活性の構造異性体とは、構造異性体間で活性に差が生じる場合、活性が高い構造異性体、好ましくは最も活性の高い構造異性体のことをいう。例えば、2種類の構造異性体が存在する場合、活性の高い方の構造異性体が本発明でいう高活性の構造異性体に該当する。
高活性の構造異性体の決定は当業者に公知の方法で行うことができ、例えば、それぞれの構造異性体を単離し、同一の条件下で目的の活性を測定することにより高活性の構造異性体を決定することができる。
本発明において活性は、結合活性、中和活性、細胞傷害活性、アゴニスト活性、アンタゴニスト活性、酵素活性など、いかなる活性でもよく、特に限定されないが、生体、組織、細胞、タンパク質、DNA、RNA等に量的及び/又は質的な変化、影響をもたらす活性であることが好ましく、特にアゴニスト活性が好ましい。
アゴニスト活性とは、受容体などの抗原に抗体が結合することにより、細胞内にシグナルが伝達される等して、何らかの生理的活性の変化を誘導する活性である。生理的活性としては、例えば、増殖活性、生存活性、分化活性、転写活性、膜輸送活性、結合活性、タンパク質分解活性、リン酸化/脱リン酸化活性、酸化還元活性、転移活性、核酸分解活性、脱水活性、細胞死誘導活性、アポトーシス誘導活性、などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
本発明において抗原は特に限定されず、どのような抗原でもよい。抗原の例としては、例えば、受容体、癌抗原、MHC抗原、分化抗原、などを挙げることができる。受容体の例としては、例えば、造血因子受容体ファミリー、サイトカイン受容体ファミリー、チロシンキナーゼ型受容体ファミリー、セリン/スレオニンキナーゼ型受容体ファミリー、TNF受容体ファミリー、Gタンパク質共役型受容体ファミリー、GPIアンカー型受容体ファミリー、チロシンホスファターゼ型受容体ファミリー、接着因子ファミリー、ホルモン受容体ファミリー、等の受容体ファミリーに属する受容体などを挙げることができる。これら受容体ファミリーに属する受容体、及びその特徴に関しては多数の文献が存在し、例えば、Cooke BA., King RJB., van der Molen HJ. ed. New Comprehesive Biochemistry Vol.18B "Hormones and their Actions Part II"pp.1-46 (1988) Elsevier Science Publishers BV., New York, USA、Patthy L. (1990) Cell, 61: 13-14.、Ullrich A., et al. (1990) Cell, 61: 203-212.、Massagul J. (1992) Cell, 69: 1067-1070.、Miyajima A., et al. (1992) Annu. Rev. Immunol., 10: 295-331.、Taga T. and Kishimoto T. (1992) FASEB J., 7: 3387-3396.、Fantl WI., et al. (1993) Annu. Rev. Biochem., 62: 453-481.、Smith CA., et al. (1994) Cell, 76: 959-962.、Flower DR. (1999) Biochim. Biophys. Acta, 1422: 207-234.、宮坂昌之監修, 細胞工学別冊ハンドブックシリーズ「接着因子ハンドブック」(1994) (秀潤社, 東京, 日本)等が挙げられる。
上記受容体ファミリーに属する具体的な受容体としては、例えば、ヒト又はマウスエリスロポエチン(EPO)受容体、ヒト又はマウス顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体、ヒト又はマウストロンボポイエチン(TPO)受容体、ヒト又はマウスインスリン受容体、ヒト又はマウスFlt-3リガンド受容体、ヒト又はマウス血小板由来増殖因子(PDGF)受容体、ヒト又はマウスインターフェロン(IFN)-α、β受容体、ヒト又はマウスレプチン受容体、ヒト又はマウス成長ホルモン(GH)受容体、ヒト又はマウスインターロイキン(IL)-10受容体、ヒト又はマウスインスリン様増殖因子(IGF)-I受容体、ヒト又はマウス白血病抑制因子(LIF)受容体、ヒト又はマウス毛様体神経栄養因子(CNTF)受容体等を例示することができる(hEPOR: Simon, S. et al. (1990) Blood 76, 31-35.; mEPOR: D'Andrea, AD. Et al. (1989) Cell 57, 277-285.; hG-CSFR: Fukunaga, R. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87, 8702-8706.; mG-CSFR: Fukunaga, R. et al. (1990) Cell 61, 341-350.; hTPOR: Vigon, I. et al. (1992) 89, 5640-5644.; mTPOR: Skoda, RC. Et al. (1993) 12, 2645-2653.; hInsR: Ullrich, A. et al. (1985) Nature 313, 756-761.; hFlt-3: Small, D. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91, 459-463.; hPDGFR: Gronwald, RGK. Et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85, 3435-3439.; hIFNα/βR: Uze, G. et al. (1990) Cell 60, 225-234.及びNovick, D. et al. (1994) Cell 77, 391-400.)。
癌抗原は細胞の悪性化に伴って発現する抗原であり、腫瘍特異性抗原とも呼ばれる。又、細胞が癌化した際に細胞表面やタンパク質分子上に現れる異常な糖鎖も癌抗原となり、特に癌糖鎖抗原と呼ばれる。癌抗原の例としては、例えば、CA19-9、CA15-3、シリアルSSEA-1(SLX)などを挙げることができる。
MHC抗原には、MHC class I抗原とMHC class II抗原に大別され、MHC class I抗原には、HLA-A,-B,-C,-E,-F,-G,-Hが含まれ、MHC class II抗原には、HLA-DR,-DQ,-DPが含まれる。
分化抗原には、CD1,CD2,CD3,CD4,CD5,CD6,CD7,CD8,CD10,CD11a,CD11b,CD11c,CD13,CD14,CD15s,CD16,CD18,CD19,CD20,CD21,CD23,CD25,CD28,CD29,CD30,CD32,CD33,CD34,CD35,CD38,CD40,CD41a,CD41b,CD42a,CD42b,CD43,CD44,CD45,CD45RO,CD48,CD49a,CD49b,CD49c,CD49d,CD49e,CD49f,CD51,CD54,CD55,CD56,CD57,CD58,CD61,CD62E,CD62L,CD62P,CD64,CD69,CD71,CD73,CD95,CD102,CD106,CD122,CD126,CDw130などが含まれる。
活性の変化を測定する為に用いる検出指標としては、量的及び/又は質的な変化が測定可能である限り使用することができる。例えば、無細胞系(cell free assay)の指標、細胞系(cell-based assay)の指標、組織系の指標、生体系の指標を用いることができる。
無細胞系の指標としては、酵素反応やタンパク質、DNA、RNAの量的及び/又は質的な変化を用いることができる。酵素反応としては、例えば、アミノ酸転移反応、糖転移反応、脱水反応、脱水素反応、基質切断反応等を用いることができる。また、タンパク質のリン酸化、脱リン酸化、二量化、多量化、分解、乖離等や、DNA、RNAの増幅、切断、伸長を用いることができる。例えばシグナル伝達経路の下流に存在するタンパク質のリン酸化を検出指標とすることができる。
細胞系の指標としては、細胞の表現型の変化、例えば、産生物質の量的及び/又は質的変化、増殖活性の変化、細胞数の変化、形態の変化、特性の変化等を用いることができる。産生物質としては、分泌タンパク質、表面抗原、細胞内タンパク質、mRNA等を用いることができる。形態の変化としては、突起形成及び/又は突起の数の変化、偏平度の変化、伸長度/縦横比の変化、細胞の大きさの変化、内部構造の変化、細胞集団としての異形性/均一性、細胞密度の変化等を用いることができる。これらの形態の変化は検鏡下での観察で確認することができる。特性の変化としては、足場依存性、サイトカイン依存応答性、ホルモン依存性、薬剤耐性、細胞運動性、細胞遊走活性、拍動性、細胞内物質の変化等を用いることができる。細胞運動性としては、細胞浸潤活性、細胞遊走活性がある。また、細胞内物質の変化としては例えば、酵素活性、mRNA量、Ca2+やcAMP等の細胞内情報伝達物質量、細胞内タンパク質量等を用いることができる。また、細胞膜受容体の場合には、受容体の刺激によって誘導される細胞の増殖活性の変化を指標とすることができる。
組織系の指標としては、使用する組織に応じた機能変化を検出指標とすることができる。生体系の指標としては組織重量変化、血液系の変化、例えば血球細胞数の変化、タンパク質量や、酵素活性、電解質量の変化、また、循環器系の変化、例えば、血圧、心拍数の変化等を用いることができる。
これらの検出指標を測定する方法としては、特に制限はなく、吸光、発光、発色、蛍光、放射活性、蛍光偏光度、表面プラズモン共鳴シグナル、時間分解蛍光度、質量、吸収スペクトル、光散乱、蛍光共鳴エネルギー移動、等を用いることができる。これらの測定方法は当業者にとっては周知であり、目的に応じて、適宜選択することができる。
例えば、吸収スペクトルは一般的に用いられるフォトメータやプレートリーダ等、発光はルミノメータ等、蛍光はフルオロメータ等で測定することができる。質量は質量分析計を用いて測定することができる。放射活性は、放射線の種類に応じてガンマカウンターなどの測定機器を用いて、蛍光偏光度はBEACON(宝酒造)、表面プラズモン共鳴シグナルはBIACORE、時間分解蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動などはARVOなどにより測定できる。さらに、フローサイトメータなども測定に用いることができる。これらの測定方法は、一つの測定方法で2種以上の検出指標を測定しても良く、簡便であれば、2種以上の測定を同時及び/又は連続して測定することによりさらに多数の検出指標を測定することも可能である。例えば、蛍光と蛍光共鳴エネルギー移動を同時にフルオロメータで測定することができる。
本発明において、アゴニスト活性の測定は当業者に公知の方法により行うことが可能である。例えば、実施例に記載のように細胞増殖を指標にアゴニスト活性を測定する方法により判定することが可能である。より具体的には、アゴニスト依存性増殖を示す細胞に、アゴニスト活性を測定したい抗体を添加し、培養する。その後、WST-8のような生細胞数に応じて特定の波長において発色反応を呈する試薬を添加して吸光度を測定し、得られた吸光度を指標にアゴニスト活性を測定することが可能である。
アゴニスト依存性増殖を示す細胞も当業者に公知の方法により作製することが可能であり、例えば、抗原が細胞増殖シグナルを発する受容体である場合には、該受容体を発現している細胞を用いればよい。又、抗原が細胞増殖シグナルを出さない受容体である場合には、細胞増殖シグナルを発する受容体の細胞内領域と、細胞増殖シグナルを出さない受容体の細胞外領域からなるキメラ受容体を作製し、該キメラ受容体を細胞で発現させればよい。細胞増殖シグナルを発する受容体の例としては、例えば、G-CSF受容体、mpl、neu、GM-CSF受容体、EPO受容体、c-kit、FLT-3等を挙げることができる。受容体を発現させる細胞としては、例えば、BaF3、NFS60、FDCP-1、FDCP-2、CTLL-2、DA-1、KT-3等を挙げることができる。
本発明においてsc(Fv)2医薬組成物とは、疾患の治療・予防などの為にヒトに投与されることを目的としたsc(Fv)2組成物のことをいう。
本発明の方法によって分離取得されたsc(Fv)2の特定の構造異性体、または、後述の方法により、特定の構造異性体の割合が増加されたsc(Fv)2組成物は、それらに対して不活性な薬学的に許容される担体、媒体等と混和することにより医薬組成物とすることができる。すなわち、本発明は、上記方法で分離取得されたsc(Fv)2の構造異性体、または、特定の構造異性体の割合が増加されたsc(Fv)2組成物を有効成分として含有する医薬組成物もまた提供するものである。
薬学的に許容される担体、媒体としては、例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO-50)等と併用してもよい。
また、必要に応じ、マイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)とすることもできる("Remington's Pharmaceutical Science 16th edition", Oslo Ed., 1980等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明に適用し得る(Langer et al., J.Biomed.Mater.Res. 1981, 15: 167-277; Langer, Chem. Tech. 1982, 12: 98-105;米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号; Sidman et al., Biopolymers 1983, 22: 547-556;EP第133,988号)。
本発明のsc(Fv)2医薬組成物は上述の方法に限定されず、当業者に公知の方法により作製することが可能である。
患者への投与は経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。また、患者の年齢、症状によって適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明はこれらの投与量および投与方法等に制限されるものではない。
本発明では、特定の構造異性体の含有割合が80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上のsc(Fv)2組成物を提供する。より具体的には、single chain diabody型の含有割合が80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上のsc(Fv)2組成物、又はbivalent scFv型の含有割合が80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上のsc(Fv)2組成物を挙げることができる。
本発明において特定の構造異性体の含有割合が80%とは、sc(Fv)2組成物に含まれる全ての構造異性体に対する特定の構造異性体の割合が80%であることを意味する。例えば、sc(Fv)2組成物中にsingle chain diabody型とbivalent scFv型の2種類の構造異性体が存在する場合、single chain diabody型の含有割合が80%とは、sngle chain diabody型とbivalent scFv型の比率が80:20であることを意味する。
本発明において80%以上、90%以上、95%以上の含有割合の上限は特に限定されないが、100%若しくは100%に近いことが好ましい。100%に近い上限は当業者の精製技術や分析技術に依存するが、例えば、99.999%、99.99%、99.9%、99%などである。構造異性体の含有割合は、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、等電点電気泳動、キャピラリー等電点電気泳動等を用いて構造異性体を分離することにより、測定することが可能である。
また、本発明は、特定の構造異性体の含有割合を80%以上にしたsc(Fv)2組成物を有効成分として含有する、医薬組成物を提供する。sc(Fv)2を医薬組成物として使用する場合、通常、活性は高い方が好ましいので、高活性の構造異性体の含有割合が80%以上のsc(Fv)2組成物を有効成分として含有することが好ましい。例えば、抗Mpl抗体のアゴニスト活性はsingle chain diabody型の方が高いので、Mplに対するsc(Fv)2をアゴニストとして使用する場合には、single chain diabody型の含有割合が80%以上であるsc(Fv)2組成物を有効成分として含有する、医薬組成物であることが好ましい。
本発明は、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を変化させる工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を調節する方法を提供する。
本発明においては、sc(Fv)2の構造異性体間において活性に著しい差があるという知見を基に、sc(Fv)2組成物に含まれる特定の構造異性体の含有割合を変化させることによりsc(Fv)2組成物の活性を調節することが可能であることを見出した。sc(Fv)2組成物の活性を調節する具体的な方法としては、例えば、sc(Fv)2組成物中に含まれるsingle chain diabody型とbivalent scFv型の割合を変化させることにより、sc(Fv)2組成物の活性を調節することが可能である。
また、本発明は、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合を増加させる工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法を提供する。上述したsc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体を分離取得する方法を使用することで実施することができる。
例えば、sc(Fv)2組成物中の高活性の構造異性体の割合を高くすることにより、活性が高いsc(Fv)2組成物を製造することが可能であり、逆に、sc(Fv)2組成物中の高活性の構造異性体の割合を低くすることにより、活性を抑えたsc(Fv)2組成物を製造することが可能である。
single chain diabody型の活性がbivalent scFv型よりも高い場合、sc(Fv)2組成物中のsingle chain diabody型の含有割合を増加させることにより、sc(Fv)2組成物の活性を増加させることができ、bivalent scFv型の含有割合を増加させることにより、sc(Fv)2組成物の活性を低下させることができる。逆に、bivalent scFv型の活性がsingle chain diabody型よりも高い場合、sc(Fv)2組成物中のbivalent scFv型の含有割合を増加させることにより、sc(Fv)2組成物の活性を増加させることができ、single chain diabody型の含有割合を増加させることにより、sc(Fv)2組成物の活性を低下させることができる。single chain diabody型とbivalent scFv型のどちらが高活性であるかは、目的とする活性に依存するが、当業者は公知の方法により容易に測定することが可能である。
sc(Fv)2を医薬組成物として使用する場合、通常、活性は高い方が好ましいことが多いので、sc(Fv)2組成物中に含まれる特定の構造異性体の割合を変化させることにより、医薬組成物の活性を増加させることが可能である。
sc(Fv)2組成物中に含まれる特定の構造異性体の含有割合を増加させ、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法は如何なる方法により行われてもよく、例えば、sc(Fv)2組成物を得た後に特定の構造異性体の含有割合を高くしてもよいし、特定の構造異性体の含有割合が高くなるようにsc(Fv)2をコードするDNAを設計してもよい。
sc(Fv)2組成物を得た後に特定の構造異性体の割合を高くする具体的な方法としては、例えば、得られたsc(Fv)2組成物から目的の構造異性体を単離(あるいは目的でない構造異性体を除去)する方法を挙げることができる。目的の構造異性体の単離は、上記のように当業者に公知のタンパク質の分離取得方法により行うことが可能である。
また、例えば、sc(Fv)2組成物を加熱することにより、特定の構造異性体の含有割合を増加させることもできる。本発明者らは、sc(Fv)2組成物を一定温度でインキュベートすることにより、single chain diabody型の含有割合を増加させることが可能であることを見出している。よって、sc(Fv)2組成物を15℃〜50℃、好ましくは20℃〜40℃、特に好ましくは25℃〜35℃にてインキュベートすることにより、single chain diabody型の含有割合を増加させることが可能である。インキュベートされたsc(Fv)2組成物は、その後、元の温度に戻しても、増加したsingle chain diabody型の含有割合は維持される。
特定の構造異性体の含有割合が高くなるようにsc(Fv)2をコードするDNAを設計する方法としては、例えば、上述のように適切なリンカーの長さになるようにDNAを設計する方法が挙げられる。
さらに、sc(Fv)2の可変領域の会合を制御することで、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させることも可能である。具体的には、sc(Fv)2の可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基を改変すべく、sc(Fv)2をコードするDNAを改変する。
本発明における「会合」とは、例えば、sc(Fv)2の可変領域が相互作用する状態を指すものと換言することができる。
本発明において「会合を制御する」とは、所望の会合状態になるように制御することを言い、より具体的には、sc(Fv)2内において望ましくない会合が形成されないように制御することを言う。
本発明における「界面」とは、通常、会合(相互作用)する際の会合面を指し、界面を形成するアミノ酸残基とは、通常、その会合に供されるsc(Fv)2の可変領域に含まれる1もしくは複数のアミノ酸残基であって、より好ましくは、会合の際に接近し相互作用に関与するアミノ酸残基を言う。該相互作用には、具体的には、会合の際に接近するアミノ酸残基同士が水素結合、静電的相互作用、塩橋を形成している場合等が含まれる。
本発明における「界面を形成するアミノ酸残基」とは、詳述すれば、界面を構成するsc(Fv)2の可変領域において、該可変領域に含まれるアミノ酸残基を言う。
本発明の方法におけるアミノ酸残基の「改変」とは、具体的には、元(改変前)のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基へ置換すること、元のアミノ酸残基を欠失させること、新たなアミノ酸残基を付加すること等を指すが、好ましくは、元のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基へ置換することを指す。
本発明の上記方法において「DNAを改変する」とは、本発明における「改変」によって導入されるアミノ酸残基に対応するようにDNAを改変することを言う。より具体的には、元のアミノ酸残基をコードするDNAについて、改変によって導入されるアミノ酸残基をコードするDNAへ改変することを言う。通常、目的のアミノ酸残基をコードするコドンとなるように、元のDNAに対して、少なくとも1塩基を挿入、欠失または置換するような遺伝子操作もしくは変異処理を行うことを意味する。即ち、元のアミノ酸残基をコードするコドンは、改変によって導入されるアミノ酸残基をコードするコドンによって置換される。このようなDNAの改変は、当業者においては公知の技術、例えば、部位特異的変異誘発法、PCR変異導入法等を用いて、適宜実施することが可能である。
本発明の好ましい態様においては、例えば、sc(Fv)2の可変領域の界面を形成する2残基以上のアミノ酸残基が、同種の電荷となるように該界面にアミノ酸残基の変異を導入する。界面において会合に関与する2以上のアミノ酸残基が互いに同種の電荷となるように改変されることにより、その電荷の反発力によって、これらアミノ酸残基の会合が阻害されるものと考えられる。従って、上記方法において、改変されるアミノ酸残基は、界面を形成するsc(Fv)2の可変領域間において、会合の際に互いに接近した2以上のアミノ酸残基であることが好ましい。
会合の際に接近するアミノ酸残基は、例えば、sc(Fv)2の立体構造を解析し、該sc(Fv)2の会合の際に界面を形成する可変領域のアミノ酸配列を調べることにより見出すことができる。界面において互いに接近したアミノ酸残基は、本発明の方法における「改変」の好ましいターゲットとなる。
アミノ酸の中には、電荷を帯びたアミノ酸が知られている。一般的に正の電荷を帯びたアミノ酸(正電荷アミノ酸)としては、リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)が知られている。負の電荷を帯びたアミノ酸(負電荷アミノ酸)としては、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)等が知られている。従って、好ましくは、本発明において同種の電荷のアミノ酸とは、正の電荷同士のアミノ酸、あるいは負の電荷同士のアミノ酸を言う。
本発明においては、界面を形成するアミノ酸残基が同種の電荷となるように改変されることが好ましく、同種のアミノ酸の中でも、同一のアミノ酸であればさらに好ましい。例えば、改変後のアミノ酸残基は、リジンとアルギニンであってもよいが、2つのリジン、あるいは2つのアルギニンであることがより好ましい。
また、改変によって導入されるアミノ酸残基が複数の場合、これらアミノ酸残基の中に電荷を持たないアミノ酸残基が少数程度含まれていてもよい。
本発明の方法において改変に供されるアミノ酸残基の数は、特に制限されないが、抗原との結合活性を低下させないために、なるべく少数のアミノ酸残基を改変することが好ましい。上記「少数」とは、例えば、1〜10個程度の数、好ましくは、1〜5程度の数、より好ましくは1〜3程度の数、最も好ましくは1または2を表す。
なお、元のsc(Fv)2において、界面を形成するアミノ酸残基(X)が既に電荷を有する場合、あるいは水素結合を形成している場合、会合の際に該アミノ酸残基と近接し相対するアミノ酸残基を、該アミノ酸残基(X)と同一のアミノ酸残基(もしくは同種の電荷のアミノ酸残基)となるように改変することも本発明の好ましい態様の一つである。この態様においては、界面を形成するアミノ酸残基の一方を改変すればよい。
また、本発明の好ましい態様においては、sc(Fv)2の可変領域の界面を形成するアミノ酸残基の改変が、界面に存在する疎水性コアを形成するアミノ酸残基が電荷を有するアミノ酸残基となるように、該界面にアミノ酸残基の変異を導入する。
一般的に、「疎水性コア(hydrophobic core)」は、会合したポリペプチドの内側に疎水性アミノ酸の側鎖が集合して形成する部分を指す。疎水性アミノ酸は、例えばアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、バリンなどが含まれる。また、疎水性コアの形成には、疎水性アミノ酸以外のアミノ酸残基(例えばチロシン)が関わることもある。この疎水性コアは、親水性アミノ酸の側鎖が外側に露出する親水性表面とともに、水溶性のポリペプチドの会合を進める駆動力となる。異なる2つのドメインの疎水性アミノ酸が分子表面に存在し、水分子に暴露されるとエントロピーが増大し自由エネルギーが増大してしまう。よって、2つのドメインは自由エネルギーを減少させ、安定化するために、互いに会合し、界面の疎水性アミノ酸は分子内部に埋もれ、疎水性コアを形成することになる。
ポリペプチドの会合の際に、形成された疎水性コアを形成するアミノ酸残基から電荷を持つ極性アミノ酸へ改変することにより、疎水性コアの形成が阻害され、その結果、ポリペプチドの会合が阻害されるものと考えられる。ポリペプチドであるsc(Fv)2も同様に、可変領域の会合により疎水性コアが形成される。よって、この疎水性コアのアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸に置換することにより、可変領域の会合を制御できるものと考えられる。
当業者においては、所望のsc(Fv)2についてアミノ酸配列を解析することにより、疎水コアの存在の有無、および形成部位(領域)等を知ることが可能である。
また、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基において、望ましい会合を促進するためにknobs-into-holes (特表2001-523971)技術を利用することも考えられる。knobs-into-holesは、ヘテロマルチマー形成を促進し、ホモマルチマー形成を抑制するように、第一のポリペプチドの界面と第二のポリペプチドの界面で特異的かつ相補的な相互作用を導入する(例えば、非天然のジスルフィド結合が第一のポリペプチドと第二のポリペプチド間に形成されるように、第一のポリペプチドの界面に遊離チオール含有残基を、第二のポリペプチドの界面中に相当する遊離チオール含有残基を導入する)方法であるが、本発明に利用することができる。knobs-into-holesは当業者に公知の技術であり、当業者は適宜、sc(Fv)2に導入することが可能である。さらに、上記技術を組み合わせて利用することもできる。
可変領域は、通常3つのCDR領域と4つのFR領域によって構成されている。本発明の好ましい態様において「改変」に供するアミノ酸残基としては、例えば、CDR領域あるいはFR領域に位置するアミノ酸残基の中から適宜選択することができる。一般的にCDR領域のアミノ酸残基の改変は、抗原に対する結合能を低下させる場合がある。従って、本発明において「改変」に供するアミノ酸残基としては、特に限定されるものではないが、FR領域に位置するアミノ酸残基の中から適宜選択することが好ましい。
当業者であれば、本発明の方法によって会合を制御したい所望のsc(Fv)2について、会合した際のFRの界面において接近するアミノ酸残基の種類を適宜知ることが可能である。
例えば、会合した際のFRの界面において接近するアミノ酸残基の具体例として、VH上の39位(FR2領域)のグルタミン(Q)と、相対(接触)するVL上の38位の(FR2領域)のグルタミン(Q)を挙げることができる。さらに、VH上の45位(FR2)のロイシン(L)と、相対するVL上の44位の(FR2)のプロリン(P)を好適に例示することができる。なお、これら部位のナンバーリングについては、Kabatらの方法(Kabat EA et al. 1991. Sequence of Proteins of Immunological Interest. NIH)を参考にしている。
これらアミノ酸残基は、ヒトおよびマウスにおいて高度に保存されていることが知られている(J. Mol. Recognit. 2003; 16: 113-120)ことから、実施例に示すsc(Fv)2以外のsc(Fv)2についても、上記アミノ酸残基に対応するアミノ酸残基を改変することによって、sc(Fv)2の可変領域の会合を制御することができる。
[可変領域1](リンカー1)[可変領域2](リンカー2)[可変領域3](リンカー3)[可変領域4]の順で並んでいるsc(Fv)2において、single chain diabody型の含有割合を増加させる方法を例示する。
該sc(Fv)2において、bivalent scFv型が生じる場合は、可変領域1と可変領域2の会合および可変領域3と可変領域4の会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域4の会合および可変領域2と可変領域3の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
該sc(Fv)2において、可変領域1と可変領域3が会合し、かつ可変領域2と可変領域4が会合した状態の構造を有する構造異性体が生じる場合は、これらの会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域4の会合および可変領域2と可変領域3の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
該sc(Fv)2において、可変領域1と可変領域3が会合した状態の構造を有する構造異性体が生じる場合は、この会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域4の会合および可変領域2と可変領域3の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
該sc(Fv)2において、可変領域2と可変領域4が会合した状態の構造を有する構造異性体が生じる場合は、この会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域4の会合および可変領域2と可変領域3の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
また、[可変領域1](リンカー1)[可変領域2](リンカー2)[可変領域3](リンカー3)[可変領域4]の順で並んでいるsc(Fv)2において、bivalent scFv型の含有割合を増加させる方法を例示する。
該sc(Fv)2において、single chain diabody型が生じる場合は、可変領域1と可変領域4の会合および可変領域2と可変領域3の会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域2の会合および可変領域3と可変領域4の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
該sc(Fv)2において、可変領域1と可変領域3が会合し、かつ可変領域2と可変領域4が会合した状態の構造を有する構造異性体が生じる場合は、これらの会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域2の会合および可変領域3と可変領域4の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
該sc(Fv)2において、可変領域1と可変領域3が会合した状態の構造を有する構造異性体が生じる場合は、この会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域2の会合および可変領域3と可変領域4の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
該sc(Fv)2において、可変領域2と可変領域4が会合した状態の構造を有する構造異性体が生じる場合は、この会合を抑制し、かつ、可変領域1と可変領域2の会合および可変領域3と可変領域4の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)、可変領域の界面を形成しているアミノ酸残基に置換変異を導入する。
以下に、より詳細な例を示すが、これに限定されるものではない。
例えば、[VH1]リンカー[VL2]リンカー[VH3]リンカー[VL4]の順に並んでいるsc(Fv)2において、bivalent scFv型の割合を減少させて、single chain diabody型の割合を増加させるには、例えば、VH1とVL2の界面を形成しているアミノ酸残基を同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換し、VH3とVL4の界面を形成しているアミノ酸残基を同種の電荷を有するアミノ酸残基であって、VH1とVL2に導入したアミノ酸残基と反発しない電荷(好ましくは親和性のある電荷)を有するアミノ酸残基に置換する。また、例えば、VH1とVL2の界面を形成しているアミノ酸側鎖をより大きい側鎖(knob; 突起)に置換し、VH3とVL4の界面を形成しているアミノ酸側鎖をより小さい側鎖(hole; 空隙)に置換する。このような置換により、VH1とVL2の会合およびVH3とVL4の会合を抑制し、かつ、VH1とVL4の会合およびVL2とVH3の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)制御できる。
また、[VH1]リンカー[VL2]リンカー[VH3]リンカー[VL4]の順に並んでいるsc(Fv)2において、single chain diabody型の割合を減少させて、bivalent scFv型の割合を増加させるには、例えば、VH1とVL4の界面を形成しているアミノ酸残基を同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換し、VH3とVL2の界面を形成しているアミノ酸残基を同種の電荷を有するアミノ酸残基であって、VH1とVL4に導入したアミノ酸残基と反発しない電荷(好ましくは親和性のある電荷)を有するアミノ酸残基に置換する。また、例えば、VH1とVL4の界面を形成しているアミノ酸側鎖をより大きい側鎖(knob; 突起)に置換し、VH3とVL2の界面を形成しているアミノ酸側鎖をより小さい側鎖(hole; 空隙)に置換する。このような置換により、VH1とVL4の会合およびVH3とVL2の会合を抑制し、かつ、VH1とVL2の会合およびVH3とVL4の会合を抑制しないように(あるいは促進するように)制御できる。
本発明の好ましい態様において、以下の(1)および(2)、または(3)および(4)のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法を提供する。
(1)sc(Fv)2のVHに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における39位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2のVLに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
(3)sc(Fv)2のVHに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(4)sc(Fv)2のVLに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
さらに本発明は、以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基、または(3)および(4)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法を提供する。
(1)sc(Fv)2のVHに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における39位に相当するアミノ酸残基
(2)sc(Fv)2のVLに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
(3)sc(Fv)2のVHに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
(4)sc(Fv)2のVLに含まれるアミノ酸残基であって、重鎖のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
上記(1)〜(4)に記載のアミノ酸残基は、通常、ヒトおよびマウスにおいては、それぞれ、(1)グルタミン(Q)、(2)グルタミン(Q)、(3)ロイシン(L)、(4)プロリン(P)であるが、必ずしもこのアミノ酸残基に限定されず、このアミノ酸に相当する他のアミノ酸であってもよい。例えば、VL上のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸として、ヒトの場合、例えば、ヒスチジン(H)であってもよい。当業者においては、公知文献等(例えば、J. Mol. Recognit. 2003; 16: 113-120)を参照することにより、任意の位置について、その位置に相当するアミノ酸残基の種類を知ることが可能である。
sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換することで、sc(Fv)2組成物中の後述される構造異性体の異性化反応を抑制することもできる。本発明は、sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法もまた提供するものである。sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程の具体的な態様は上述の通りである。
本発明はsc(Fv)2の両端のリンカー又は/及び中央のリンカーの長さを調節することにより、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を調節する方法を提供する。本発明において両端のリンカーとは、sc(Fv)2が[可変領域1](リンカー1)[可変領域2](リンカー2)[可変領域3](リンカー3)[可変領域4]の順で並んでいる場合、リンカー1とリンカー3が両端のリンカーとなり、リンカー2が中央のリンカーとなる。
具体的には、両端のリンカーを0〜12アミノ酸とし、中央のリンカーを10〜30アミノ酸とすることにより、sc(Fv)2組成物中のsingle chain diabody型の比率を増加することが可能となり、両端のリンカーを12〜30アミノ酸とし、中央のリンカーを0〜10アミノ酸とすることにより、sc(Fv)2組成物中のbivalent scFv型の比率を増加させることが可能となる。
さらに、本発明は両端のリンカー又は/及び中央のリンカーの長さを調節することにより、single chain diabody型の含有比率が80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上のsc(Fv)2組成物を製造する方法を提供する。さらに、本発明は、両端のリンカー又は/及び中央のリンカーの長さを調節することにより、bivalent scFv型の含有比率が80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上のsc(Fv)2組成物を製造する方法を提供する。
具体的には、両端のリンカーを0〜12アミノ酸とし、中央のリンカーを0〜10アミノ酸とすることにより、single chain diabody型の含有比率が80%以上のsc(Fv)2組成物を製造することが可能であり、両端のリンカーを12〜30アミノ酸とし、中央のリンカーを0〜10アミノ酸とすることにより、bivalent scFv型の含有比率が80%以上のsc(Fv)2組成物を製造することが可能となる。
さらに、本発明は、sc(Fv)2のリンカー部位を切断する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の構造を同定する方法を提供する。
本発明においてリンカー部位とは、リンカーおよびリンカー近傍領域を含んだ部位のことをいう。リンカー近傍領域とは、リンカーに隣接したアミノ酸から、該アミノ酸から可変領域側に20番目のアミノ酸までの20アミノ酸からなる領域のことをいう。従って、リンカー部位は、リンカーの両端にそれぞれ20アミノ酸からなる領域が付加された部位となる。
この方法は、クロマトグラフィー等によるsingle chain diabody型、bivalent scFv型の解析方法に比較して、より簡便な方法である。クロマトグラフィーでは構造異性体の分離が出来ても、分離されたsc(Fv)2の構造の同定を行うことは出来ない。この方法によりクロマトグラフィー等で分離された構造異性体の構造を同定することが可能である。
single chain diabody型とbivalent scFv型で立体構造が違うことから、酵素などにより3つのリンカー部位のうちいずれか1つのリンカー部位が切断された場合、single chain diabody型とbivalent scFv型では切断後の生成物に違いがでる。
具体的には、sc(Fv)2が[可変領域1](リンカー1)[可変領域2](リンカー2)[可変領域3](リンカー3)[可変領域4]の順で並んでいる場合、bivalent scFv型では、リンカー1または3の部位で切断されると、4つの可変領域は共有結合又は非共有結合で結合しているので、2つのscFvに分離することはないが、リンカー2の部位で切断された場合、可変領域1と2からなるscFvと可変領域3と4からなるscFvの2つのscFvに分離される。single chain diabody型ではリンカー1、2または3のいずれのリンカー部位で切断された場合でも4つの可変領域は共有結合又は非共有結合に結合しているので、2つのscFvに分離することはない(図4参照)。
従って、bivalent scFv型では3つのリンカー部位のうちいずれか1つのリンカー部位を切断した場合、4つの可変領域を含む生成物と2つの可変領域を含む生成物の2種類が生成されるが、single chain diabody型では3つのリンカー部位のうちいずれか1つのリンカー部位を切断した場合、4つの可変領域を含む生成物のみが生成される。
以上のように、sc(Fv)のリンカー部位のうちの1つを酵素などで切断し、切断後の生成物を比較することにより、sc(Fv)2がsingle chain diabody型、bivalent scFv型のいずれであるかを調べることが可能である。従って、本発明は、sc(Fv)のリンカー部位を切断する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の型を分析する方法を提供する。
具体的には、
(a)sc(Fv)2組成物中のsc(Fv)のリンカー部位を切断する工程、
(b)切断後の生成物の分子量または構造を測定する工程、
を含む方法である。
一般にsc(Fv)2のリンカー部分は、高次構造を取っていないため、プロテアーゼ等の分解を受けやすいことが知られている(Hoedemaeker et al、J Biol Chem. 1997; 272 : 29784-29789)。リンカーを切断する方法は特に限定されないが、酵素による切断が好ましく、特にプロテアーゼによる切断が好ましい。使用されるプロテアーゼは特に限定されず、エキソペプチダーゼ、エンドペプチダーゼのいずれでもよいが、リンカーを切断するという目的からエンドペプチダーゼが好ましい。エンドペプチダーゼは、セリンプロテアーゼ、チオールペプチダーゼ、酸性プロテアーゼ、メタロプロテアーゼなど如何なるものでもよく、当業者であれば、リンカーの種類やアミノ酸配列に応じて適宜選択することが可能である。例えば、セリンプロテアーゼとして、Arg, Lys残基のC末端側を特異的に加水分解するトリプシンやタンパク質・ペプチドを非特異的に加水分解するサブチリシンなどが挙げられる。また、チオールプロテアーゼとして、タンパク質・ペプチドのN末端のpGlu残基を特異的に加水分解するピログルタメートアミノペプチダーゼやタンパク質・ペプチドを非特異的に加水分解するパパインなどが挙げられる。
切断されるリンカーの数は限定されるものではないが、1つであることが好ましい。リンカーを1つ切断する場合の条件は当業者に公知の方法で決定することができる。
又、切断後の生成物の分子量または構造の測定は、可変領域間の非共有結合を維持したまま測定することが好ましく、例えば、native pageやゲルろ過などを用いることが可能である。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕VB22B sc(Fv)2の構造異性体の分離、構造決定、および活性評価
1-1. 抗ヒトMpl抗体VB22B sc(Fv)2の作製
抗ヒトMpl抗体VB22B sc(Fv)2は、PCT/JP2004/18506(国際公開WO2005/56604)に示す通りに作製した。具体的には、抗ヒトMpl抗体を産生するマウスハイブリドーマVB22Bの抗体可変領域cDNAをクローニングし、リンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3(配列番号:1)をコードする塩基配列およびFLAG配列(AspTyrLysAspAspAspAspLys)(配列番号:2)をコードする塩基配列を用いて、VH−リンカー配列−VL−リンカー配列−VH−リンカー配列−VL−Flagタグ配列で構成される塩基配列(配列番号:3)を持つようなDNAを作製した。このDNA断片を発現ベクターpCXND3にクローニングしてVB22B sc(Fv)2発現ベクターを構築し、CHO-DG44細胞に遺伝子導入することで、安定発現細胞株を作製した。具体的には、発現ベクター(25μg)とPBSに懸濁したCHO-DG44細胞(1×107細胞/mL)の0.75mLを混合したものを氷上で10分間冷却し、キュベットに移した後にGene PulserII(BioRad)を用いて1.5kV、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、500μg/mL Geneticin(Invitrogen)を含むCHO-S-SFMII培地(Invitrogen)に加えて選抜し、VB22B sc(Fv)2産生CHO細胞株を樹立した。
続いて、この細胞株より培養上清を20mM リン酸緩衝液(pH6.8)で平衡化したMacro-Prep Ceramic Hydroxyapatite Type I (Bio-Rad)カラムにかけ、250mM リン酸緩衝液(pH6.8)で段階的に溶出した。溶出画分は、限外ろ過膜を用いて濃縮後、HiLoad 26/60 Superdex200pgカラムを用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、分子量が約70kD〜40kDに相当する画分を分取した。この画分を、50mM Tris-HCl(pH7.4), 150mM NaCl, 0.05% Tween20で平衡化したAnti-Flag M2 Affinity Gel(SIGMA-ALDRICH)カラムに吸着させ、100 mM Glycine-HCl(pH 3.5)で溶出させた。溶出画分は、直ちに1M Tris-HCl (pH8.0)で中和を行い、HiLoad 26/60 Superdex200pg (Amersham-Bioscience)カラムを用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。ゲルろ過クロマトグラフィーのバッファーは、20 mM酢酸 (pH6.0), 150 mM NaCl, 0.01% Tween 80を使用した。
1-2. VB22B sc(Fv)2の構造異性体の分離
VB22B sc(Fv)2はVH1-linker-VL2-linker-VH3-linker-VL4の配列を有するsc(Fv)2であることから、Fv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、構造はVH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するbivalent scFv型と、VH1とVL4、VH2とVL3がそれぞれFvを形成するsingle chain diabody型の2種類の構造異性体が存在すると考えられる(図1)。VB22B sc(Fv)2の構造異性体の分離を検討した結果、下記の溶離条件下で陰イオン交換クロマトグラフィーMONO Q (Amersham Bioscience)を用いることによりVB22B sc(Fv)2の各種構造異性体の分離に成功した。
<溶離条件>
移動相A : 20mM Tris-HCl, pH8.0
移動相B : 20mM Tris-HCl, 500mM NaCl, pH8.0
流速 : 1.0ml/min
グラジエント : B0%→B35%(30min)
上記条件により、VB22B sc(Fv)2は4つのピークに分離した。図2に示すようなクロマトグラムが得られ、保持時間の短いピークからそれぞれ、pre peak1、pre peak2、peak1、peak2と命名した。
peak1及びpeak2に関して、Q-TOF型質量分析計(Q Tof Ultima, Micro Mass)に、Infusionにて試料溶液を導入し得られた多価イオンスペクトル(+)を付属ソフト(MassLynx)を用いたデコンボリューションを行った結果、それぞれの分子量はpeak1;54115Da、peak2;54112Daであったことから、peak1とpeak2は同一の分子量を有することが分かった。
VB22B sc(Fv)2は糖鎖付加がないこと、またpeak1とpeak2は同一のアミノ酸一次配列を持ち、且つ、イオン交換クロマトグラフィーで分離される互いに異なる立体構造を有することから、peak1とpeak2は構造異性体(conformational isomer)であることが示唆された。公知文献では、構造異性体の存在は示唆されていたが、本検討により初めて構造異性体を分離することが可能になった。
1-3. VB22B sc(Fv)2の構造異性体の構造決定
VB22B sc(Fv)2はVH1-linker-VL2-linker-VH3-linker-VL4の配列を有するsc(Fv)2であることから、Fv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、VH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するbivalent scFv型、VH1とVL4、VH2とVL3がそれぞれFvを形成するsingle chain diabody型の2種類の構造異性体が存在すると予想されることから、peak1とpeak2はこれらの構造異性体であると考えられた。
本検討により2種類の構造異性体を同定する分析法として、プロテアーゼ限定分解法を見出した。sc(Fv)2のリンカー部分は、比較的自由な構造を取っていると考えられ、プロテアーゼに対する耐性が低いと考えられ、プロテアーゼの一種であるsubtilisin Aを用いて、以下の条件でpeak1及びpeak2及びVB22B bulk (peak1 : peak2 〜 1 : 3)と反応させた。
<反応条件>
20mM sodium citrate, 150mM NaCl, pH7.5
VB22B sc(Fv)2 peak1 or peak2 : 0.14mg/mL
Subtilisin A : 1ug/mL
37℃, 30min
上記の反応後、TrisGlycine SDS gel 12%を用いて、還元SDS-PAGEを行った。その結果、VB22B bulk(構造異性体分離前)、peak1、peak2はいずれも同様のバンドパターンを示した(図3)。VB22B sc(Fv)2の3箇所のリンカー部分の切断によると思われる各断片の特異的なバンドが得られたことから、上記反応条件を用いることで、VB22B sc(Fv)2のリンカー部分を部分的且つ限定的に分解できることが判明した。
2種類の構造異性体において、3箇所のリンカーの中で1箇所の切断が起こった場合、図4に示すように、未変性状態ではVHとVLの間の非共有的な結合によりsingle chain diabody型の構造においては、3箇所のリンカーの中でどのリンカーに切断が起こっても見かけの分子量には変化が見られないが、bivalent scFv型においては、中央のリンカーに切断が起こった場合、半分の分子量の分子種が生成する。そこで、上記反応条件により部分的にリンカーを切断した、VB22B sc(Fv)2 bulk、peak1、peak2をTSK Super2000(TOSOH)を用いてゲルろ過クロマトグラフィー分析を行った。ゲルろ過クロマトグラフィーは以下の条件で行った。
移動相 : DPBS(-) pH7.4
流速 : 0.2ml/min
その結果、図5に示すように、peak2では低分子量のピークが全く確認されなかったのに対して、peak1は低分子量(約半分の分子量)のピークが確認された。peak1とpeak2の混合物であるVB22B sc(Fv)2 bulkは、peak1の存在比に相当する量の低分子量のピークが確認された。よって、peak1はbivalent scFv型、peak2はsingle chain diabody型であると同定された。
一連の手法により、VB22B sc(Fv)2に含有する構造異性体を分離し、その構造を同定することが可能となった。公知文献では、構造異性体の構造はモデル予測にて推定していたが、本検討により分離された構造異性体の構造を同定する方法を見出した。またイオン交換クロマトグラフィーのピーク面積から、VB22B sc(Fv)2に含有するbivalent scFv構造とsingle chain diabody構造の構造異性体の存在比を定量的に評価することが可能となった。
1-4. VB22B sc(Fv)2の構造異性体の生物活性評価
抗ヒトMpl抗体VB22B sc(Fv)2は、文献(Blood 2005;105:562-566)においてTPO様アゴニスト活性を示すことが報告されている。そこで、TPO依存性増殖を示すBaF3-human MplまたはBaF3-monkey Mplを用いて分離した構造異性体のTPO様アゴニスト活性を評価した。
各細胞を1% Fetal Bovine Serum(Invitrogen)を含むRPMI1640 (Invitrogen)で2回洗浄した後、4x105cells/mLとなるように10% Fetal Bovine Serumを含むRPMI1640に懸濁し、60μL/wellで96well plateに分注した。rhTPO (R&D)または構造異性体サンプルの濃度を振り、各wellに40μL加え、37℃、5%CO2条件下で、24時間培養した。10μL/wellでWST-8試薬(Cell Count Reagent SF、ナカライテスク)を加え、直後にBenchmark Plusを用いて450nmの吸光度(対照655nm)を測定し、2時間培養後に、再度450 nmの吸光度(対照655nm)を測定した。WST-8試薬は生細胞数に応じて450nmの発色反応を呈することから、2時間の吸光度変化を指標にTPO様アゴニスト活性を評価した。
精製したVB22B sc(Fv)2の構造異性体を用いて、BaF3-human Mpl、BaF3-monkey MplにおけるTPO様アゴニスト活性を評価した結果をそれぞれ図6に示す。peak1とpeak2の構造異性体のアゴニスト活性を比較すると、peak2の方が著しく高い活性を示すことが明らかになった。このことから、抗Mpl抗体sc(Fv)2がTPO様アゴニスト活性を発揮するためには、single chain diabodyの構造を取る必要があることが示唆された。
〔実施例2〕hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の構造異性体の分離、構造決定、および活性評価
2-1. ヒト化抗ヒトMpl抗体hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の作製
実施例1で作製したVB22B sc(Fv)2の可変領域のフレームワーク領域(以下、FR)に相補性抗原決定領域(以下、CDR)を移植したヒト化抗体を作製した。具体的には、リンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3(配列番号:1)をコードする塩基配列をコードする塩基配列を用いて、VH−リンカー配列−VL−リンカー配列−VH−リンカー配列−VLで構成される塩基配列(配列番号:4)を持つような遺伝子になるように、50base程度の合成オリゴDNAを約20base程度ハイブリダイズするように設計し、これらの合成オリゴDNAをPCR法によりアッセンブリさせて各可変領域をコードする遺伝子を作製した。得られた遺伝子を動物細胞で発現するように、実施例1-1の方法と同様に発現ベクター構築、定常発現CHO-DG44細胞株の作製を行い、培養上清を回収した。ヒト化抗体 hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2はFlagタグを付加していないことから、培養上清からの精製は、VB22B sc(Fv)2が認識するエピトープであるMG10(ヒトMplアミノ酸配列のGln213からAla231)とGST融合蛋白質を利用して行った。MG10とGST融合蛋白質の精製は、Glutathione Sepharose 4B(Amersham Biosciences社製)を用いて、メーカーのプロトコールに従って精製した。さらに、精製したMG10 とGST融合蛋白質をメーカーのプロトコールに従って、HiTrap NHS-activated HP(Amersham Biosciences社製)に固定化し、アフィニティカラムを作製した。ヒト化抗体 hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2発現CHO細胞の培養上清をMG10-GST融合蛋白質固定化カラムに流し、ヒト化抗体 hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2を吸着させ、100mM Glycine-HCl(pH3.5),0.01% Tween80で溶出させた。溶出画分は直ちに1M Tris-HCl(pH7.4)で中和を行い、HiLoad 16/60 Superdex200pg(Amersham Biosciences社製)を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。ゲルろ過クロマトグラフィーの緩衝液は、20mMクエン酸緩衝液(pH7.5), 300mM NaCl, 0.01% Tween 80を使用した。
2-2. hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の構造異性体の分離、精製
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2はVH1-linker-VL2-linker- VH3-linker-VL4の配列を有するsc(Fv)2であることから、VB22B sc(Fv)2と同様に構造はFv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、VH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するbivalent scFv型と、VH1とVL4、VH2とVL3がそれぞれFvを形成するsingle chain diabody型の2種類の構造異性体が存在すると考えられる(図1)。
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の構造異性体の分離を検討した結果、陽イオン交換クロマトグラフィーBioAssist S(TOSOH)を用いて、下記の溶離条件によりhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の各種成分の分離できることが示唆された。
移動相A : 20mM sodium phosphate, pH7.5
移動相B : 20mM sodium phosphate, 500mM NaCl, pH7.5
流速 : 0.8ml/min
グラジエント : B0%→B35%(30min)
上記条件により、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2は2つのピークに分離した。図7に示すようなクロマトグラムが得られ、保持時間の短いピークからそれぞれ、peak1、peak2と命名した。
peak1及びpeak2に関して、Q-TOF型質量分析計(Q Tof Ultima, Micro Mass)を用いて分子量の測定を行った。Q-TOFにinfusionにて試料溶液を導入し、得られた多価イオンスペクトル(+)を、付属ソフト(MassLynx)を用いたデコンボリューションを行った結果、peak1の分子量として53768Da、peak2の分子量とし53769Daを得た。このことから、peak1とpeak2は同一の分子量を有することが分かった。
peak1及びpeak2に関して、ペプチドマッピングを行った。還元変性、carboxymethyl化後、トリプシンを用いてペプチド断片に分解し、逆相クロマトグラフィー(YMC-Pack-ODS)によりペプチドマップを得た。Peak1とpeak2のペプチドマップを比較したところ、図8に示すようにpeak1とpeak2のマッピングのパターンは同一であったことから、アミノ酸一次構造は同一であることが分かった。
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2は糖鎖付加がなく、peak1とpeak2はTOF-MASS測定による分子量が同一であること、peak1とpeak2はマッピングのパターンが同一であることから、peak1とpeak2は互いに異なる立体構造を有する構造異性体(conformational isomer)であることが分かった。
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2はVH1-linker-VL2-linker- VH3-linker-VL4の配列を有するsc(Fv)2であることから、図1に示すとおり、構造はFv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、VH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するbivalent scFv型と、VH1とVL4、VH2とVL3がそれぞれFvを形成するsingle chain diabody型の2種類の構造異性体が存在し、peak1とpeak2はそれぞれbivalent scFv型とsingle chain diabody型のどちらかの構造であると考えられた。
2種類の構造異性体を同定する分析法として、プロテアーゼ限定分解法を見出した。sc(Fv)2のリンカー部分は、比較的自由な構造を取っているためプロテアーゼに対する耐性が低いと考えられ、プロテアーゼの一種であるsubtilisin Aを用いて、以下の条件でpeak1及びpeak2及びhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 (peak1 : peak2 〜 1 : 4)と反応させた。
20mM sodium citrate, 150mM NaCl, pH7.5
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 peak1 or peak2 : 0.15mg/mL
Subtilisin A : 10ug/mL
37℃, 30min
反応後、Phastgel Homogeneous 12.5%を用いて、還元SDS-PAGEを行った。その結果、図9に示すとおり、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 bulk、peak1、peak2いずれも同様のバンドパターンを示した。hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の3箇所のリンカー部分の切断によると思われる各断片の特異的なバンドが得られたことから、上記反応条件を用いることで、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のリンカー部分を部分的且つ限定的に分解できることが分かった。
bivalent scFv型とsingle chain diabody型の構造において、3つのうちのリンカーの一箇所の切断が起こった場合、図4に示すように、未変性状態では、VHとVLの間の非共有的な結合によりsingle chain diabody型の構造においては、3つのうちのどのリンカーに切断が起こっても見かけの分子量には変化が見られないが、bivalent scFv型においては、中央のリンカーに切断が起こった場合、半分の分子量の分子種が生成する。そこで、上記反応条件により部分的にリンカーを切断した、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 bulk、peak1、peak2をTSK SuperSW2000(TOSOH)を用いてゲルろ過クロマトグラフィー分析を行った。ゲルろ過クロマトグラフィーは以下の条件で行った。
移動相 : DPBS(-) pH7.4
流速 : 0.2ml/min
その結果、図10に示すように、peak2においては低分子量のピークが全く確認されなかったのに対して、peak1においては低分子量(約半分の分子量)のピークが確認された。peak1とpeak2の混合物であるhVB22B sc(Fv)2 u2-wz4 bulkは、peak1の存在比に相当する量の低分子量のピークが確認された。よって、本結果より、peak1がbivalent scFv型であり、peak2がsingle chain diabody型であると同定された。
2-3. hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の構造異性体の結合活性評価
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2より分離したpeak1、peak2及びhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の結合活性の評価を以下のとおり行った。Biacore 3000(Biacore社製)にSensor Chip CM5(Biacore社製)を装着し、アミンカップリング法にて2-1で示したMG10(ヒトMplのGln213からAla231とGST融合蛋白質)を固定化した。測定のランニングバッファーはHBS-EP Buffer(Biacore社製)を使用し、流速は20μL/minとした。HBS-EP Bufferにより、およそ5 nMから150 nM程度の6点の濃度になるように、ヒト化VB22B u2-wz4 sc(Fv)2 bulk, peak1, peak2を調製し、前述のMG10固定化セルに、これらのサンプルをそれぞれ、2分間添加して結合領域を得た後に、解離領域を2分間測定した。MG10-GST融合蛋白質に結合したVB22B sc(Fv)2は、20mM HClを1分間添加して除去し、固定化セルを再生した。得られたセンサーグラムより、BIAevaluation ver.3.1ソフトウェア(Biacore社製)を用いて、Bivalent analyte modelを適用し、結合速度定数(ka)・解離速度定数(kd)を算出した。その結果、表1に示すとおり、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 bulk, peak1, peak2の解離定数(KD)は、それぞれ 1.02x10-8 M, 1.24x10-8 M, 9.92 x10-9 Mであり、ほぼ2つの構造異性体はほぼ同等の結合活性を持つことが分かった。
2-4. hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の構造異性体のアゴニスト活性評価
peak1及びpeak2及びhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のアゴニスト活性の評価を行った。図11に示すように、アゴニスト活性は構造異性体間で大きく異なり、single chain diabody構造のpeak2が非常に高いアゴニスト活性を示したのに対して、bivalent scFv構造のpeak1の活性は極めて小さかった。2つの構造異性体は、結合活性はほぼ同程度であったのに対して、アゴニスト活性は著しく異なった。公知文献においては構造異性体の分離・同定が行われていなかったため、本検討で初めて2種類の構造異性体の間で生物学的な活性が異なることが見出された。
本実施例において、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2に含有する構造異性体を分離し、その構造を同定することが可能となった。またクロマトグラフィーのピーク面積により、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2に含有するbivalent scFv構造とsingle chain diabody構造の構造異性体の存在比を定量的に分析することが可能となった。hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2においてはbivalent scFv構造とsingle chain diabody構造ではアゴニスト活性に著しい違いがあることが分かり、これらの活性の著しく異なる構造異性体を含むhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2を医薬品として開発するためには、2種類の構造異性体の性質を決定し、各構造異性体の含有比率を定量的に分析する規格試験は必要不可欠である。
〔実施例3〕VB22B sc(Fv)2リンカー改変体の構造異性体存在比の分析および構造異性体比の制御
VB22B sc(Fv)2はVH1-linker-VL2-linker- VH3-linker-VL4の配列を有するsc(Fv)2であることから、構造はFv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、VH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するbivalent scFv型と、VH1とVL4、VH2とVL3がそれぞれFvを形成するsingle chain diabody型の2種類の構造異性体が存在すると考えられる。
中央のリンカーをmiddle linkerとし、両端のリンカーをedge linkerとし、図12に示すようなmiddle linkerあるいはedge linkerの長さの異なる各種VB22B sc(Fv)2を作製し、それらの構造異性体存在比の定量的な分析を以下の条件で行った。
カラム : MONO Q (Amershambioscience)
移動相A : 20mM Tris-HCl, pH8.0
移動相B : 20mM Tris-HCl, 500mM NaCl, pH8.0
流速 : 1.0ml/min
グラジエント : B0%→B35%(30min)
その結果、図13に示すように、任意の長さのリンカーにおいて実施例2に示した分析法により2つの構造異性体を分離することができ、構造異性体存在含有比率を測定することが出来た。リンカーの長さによって、bivalent scFv型とsingle chain diabody型の比を制御することが可能であることが分かり、本分析法を用いることにより目的の構造異性体比を得ることが出来る適切なリンカー長を設計することが可能となった。
公知文献では、2つの構造異性体の構造同定法、及び、定量的な分析法が見出されていなかったため、このようなリンカーの長さと構造異性体の存在比を定量的に評価することは出来なかった。Protein Engineering, 1993, 6(8), 989-995やProtein Engineering, 1994, 7(8), 1027-1033等においてリンカーの長さが12以下の場合は、近接するVHとVL同士はFvを形成しにくいことが一般的に報告されていたが、本検討により、G5やG10においては、近接するVHとVL同士がFvを形成したsingle chain diabody型の構造が少量ながら存在することが分かった。すなわち、いかなるリンカーにおいても2つの構造(すなわち構造異性体)が存在する可能性が考えられた。そのため医薬品としてsc(Fv)2型の分子を開発するためには、いかなるリンカーにおいても構造異性体の存在比率を定量的に分析する必要があると考えられ、このことから構造異性体の存在比率を定量的に分析可能且つ分離生成可能な本分離分析法は、sc(Fv)2型の医薬品分子を開発するにあたって極めて有用である。
〔実施例4〕陽イオン交換クロマトグラフィー(SOURCE 15S)による構造異性体の大量精製
実施例2-1で使用したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2発現CHO細胞の培養上清から精製を行った。培養上清は、精製水で3倍に希釈した後、1 M酢酸でpHを6.0に調整した。この後、20 mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH 6.0で平衡化したSP Sepharose Fast Flow column(Amersham Biosciences社製)にかけ、同緩衝液でカラムを洗浄後、同緩衝液中0 Mから0.5 MまでのNaClの直線濃度勾配で、カラムに吸着したポリペプチドを溶出した(第一工程)。得られた画分をTrisGlycine SDS gel 12%を用いた還元SDS-PAGEで分析し、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2を含む画分を集めた。
第一工程のhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2画分は、10 mMリン酸緩衝液、pH 6.8で平衡化したハイドロキシアパタイトカラム, タイプI, 20μm (BIO-RAD社製)に添加し、同緩衝液でカラムを洗浄後、pH 6.8のリン酸緩衝液濃度を160 mMまで直線的に上げ、カラムに吸着したポリペプチドを溶出した(図14)。メインピークの後に、小さなピークが溶出したが、SDS-PAGE分析の結果、これらはいずれもhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2であることが確認された。図14右に示したように、Superdex 200 PC 3.2/30 column(Amersham Biosciences社製)を使用した分析ゲルろ過により、メインピークはほとんどがhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のモノマーであり、後ろのピークはhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のダイマー以上のアグリゲート画分であることがわかった。以上より、この工程でhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のモノマー画分を分離できることがわかった。
第二工程で得られたhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のモノマー画分は、精製水で5倍に希釈した後、20 mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH 7.0で平衡化したSOURCE 15S column(Amersham Biosciences社製)にかけ、同緩衝液でカラムを洗浄後、同緩衝液中0 mMから36 mMまでのNaClの直線濃度勾配をかけたのち、2つのピークを最大限に分離して溶出させるため、一旦36 mM でNaClの濃度を固定した。図15に示すように、2つのhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のピークが溶出されたのち、再びNaClの濃度を上げて、さらに強くカラムに吸着したポリペプチドを溶出しカラムを洗浄した。これら2つのピークは、2-2で示したBioAssist Sカラムによる分析で、先に溶出するメインピークがpeak2で、後から溶出するのがpeak1であることが判明した(図16)。
精製したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のpeak1とpeak2は、前述のSDS gelを用いて還元と非還元両条件でSDS-PAGE分析をおこなったところ、いずれも分子量約55 kDaの位置にシングルバンドとして観察された(図17)。さらにhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のpeak1とpeak2は、1-3で示したTSK Super2000カラムによるゲルろ過クロマトグラフィー分析で、いずれもシングルピークで見かけ上の分子量約50 kDaを示した(図18)。
以上より、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2の目的とする構造異性体のモノマーのみを、大量精製に不向きなゲルろ過クロマトグラフィーを使用せずに精製する方法の開発に成功した。
〔実施例5〕VH/VL界面改変型sc(Fv)2の作製、構造異性体分析および同定
5-1. VH/VL界面改変型sc(Fv)2の作製
実施例2で作製したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2(以下、u2-wz4)のVH/VL界面を形成するアミノ酸であるVHの39番目(WO2005/56604の配列番号:289に記載のアミノ酸配列における39位)のGlnとVLの38番目(WO2005/56604の配列番号:291に記載のアミノ酸配列における43位)のGlnを以下のようにして改変した。u2-wz4は[VH1]リンカー[VL2]リンカー[VH3]リンカー[VL4]の順にアミノ酸リンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3(配列番号:1)で連結されており、配列番号4で記載した塩基配列で転写、翻訳される。はじめに、VH1の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VL2の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VH3の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VL4の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に改変した遺伝子hVB22B u2-wz4(v1) sc(Fv)2(以下v1、塩基配列を配列番号:5に、アミノ酸配列を配列番号:6に示す)を作製した。さらに、VH1の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VL2の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VH3の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VL4の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に改変した遺伝子hVB22B u2-wz4(v3) sc(Fv)2(以下v3、塩基配列を配列番号:7に、アミノ酸配列を配列番号:8に示す)を作製した。遺伝子の改変はQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)を用いてメーカーのプロトコールに従い、点突然変異を導入した。各遺伝子の塩基配列を確認した後、DNA断片を発現ベクターpCXND3にクローニングして発現ベクターを構築し、CHO-DG44細胞に遺伝子導入することで、安定発現細胞株を作製した。具体的には、発現ベクター(20μg)とPBSに懸濁したCHO-DG44細胞(1×107細胞/mL)の0.75mLを混合したものを氷上で10分間冷却し、キュベットに移した後にGene Pulser Xcell(BioRad)を用いて1.5kV、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、500μg/mL Geneticin(Invitrogen)を含むCHO-S-SFMII培地(Invitrogen)に加えて選抜し、v1産生CHO細胞株およびv3産生CHO細胞株を樹立した。
VH/VL界面改変型sc(Fv)2はFlagタグを付加していないことから、培養上清からの精製は、VB22B sc(Fv)2が認識するエピトープであるMG10(ヒトMplアミノ酸配列のGln213からAla231)とGST融合蛋白質を利用して行った。MG10とGST融合蛋白質の精製は、Glutathione Sepharose 4B(Amersham Biosciences社製)を用いて、メーカーのプロトコールに従って精製した。さらに、精製したMG10 とGST融合蛋白質をメーカーのプロトコールに従って、HiTrap NHS-activated HP(Amersham Biosciences社製)に固定化し、アフィニティカラムを作製した。v1発現CHO細胞株またはv3発現CHO細胞株の培養上清をMG10-GST融合蛋白質固定化カラムに流し、v1またはv3を吸着させ、100mM Glycine-HCl(pH3.5),0.01% Tween80で溶出させた。溶出画分は直ちに1M Tris-HCl(pH7.4)で中和を行い、HiLoad 16/60 Superdex200pg(Amersham Biosciences社製)を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、モノマー分子を精製した。ゲルろ過クロマトグラフィーの緩衝液は、20mMクエン酸緩衝液(pH7.5), 300mM NaCl, 0.01% Tween 80を使用した。図19に示したゲルろ過クロマトグラフィーの結果から、改変体v1, v3は培養上清中でダイマー以上の凝集体が低下し、モノマー比率は改変前のu2-wz4の59%と比較して、v1が89%、v3が77%と上昇していることが明らかになった。改変体v1, v3はVH/VL界面のアミノ酸を改変することにより、電荷的な反発により好ましくない会合を阻害し、好ましい会合を促進したことが推測される。以上のことからこの会合制御により、効率的なモノマー分子の発現に成功した。
5-2.VH/VL界面改変型sc(Fv)2の構造異性体分析および同定
得られたVH/VL界面改変体であるv1、v3および未改変体であるu2-wz4の構造異性体存在比を陽イオン交換クロマトグライフィーおよび等電点電気泳動により分析した。また、プロテアーゼ限定分解法による構造同定を実施した。
陽イオン交換クロマトグラフィーは以下のとおり実施した。
カラム:TSK-gel Bioassist S,4.6 mmφ×50 mm(TOSOH社製)
流速:0.8mL/min
検出波長:220nm
溶出条件:
Eluent A:20 mmol/L Phosphate buffer(pH 7.0)
Eluent B:20 mmol/L Phosphate buffer / 500 mmol/L NaCl(pH7.0)
グラジエント:
Time(min) B%
0 0
5 0
25 30
25.1 100
35 100
35.1 0
等電点電気泳動は以下のとおり実施した。PhastGel Dry IEFゲル(Amersham Biosciences社製)を以下のゲル膨潤液にて30分以上膨潤した。試料を先に膨潤させたゲルに添加し、PhastSystemにより以下の泳動条件で電気泳動した。泳動後、20%TCA溶液に30分間浸した後、ミリQ水で5分間×3回以上洗浄し、試料のタンパク質濃度に応じてクマシー染色、または銀染色した。クマシー染色では、染色液として0.1%CuSO4(w/v)を含む0.02%CBBを用い、染色を行い、10%酢酸を含む30%メタノールで脱色した。銀染色では、Silver stain kit, Protein(Amersham Biosciences社製)を用い、キットに添付された標準プロトコールにより染色を行った。
<ゲル膨潤液>
Pharmalyte 8.5-10 80μL
Biolyte 7-9 10μL
Biolyte 3-9 10μL
20% Glycerol 2.0mL
<電気泳動プログラム>
SAMPLE APPLICATION DOWN AT step2 0Vh
SAMPLE APPLICATION UP AT step3 0Vh
Step 1 2000V 2.5mA 3.5W 15℃ 75Vh
Step 2 200V 2.5mA 3.5W 15℃ 15Vh
Step 3 2000V 2.5mA 3.5W 15℃ 410Vh
プロテアーゼ限定分解法による構造同定は以下の条件で実施した。subtilisin Aを用いて、以下の条件でu2-wz4精製peak1とu2-wz4精製peak2、及び、改変体v1と改変体v3を反応させた。
20mM sodium citrate, 150mM NaCl, pH7.5
hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2 peak1 or peak2 : 0.15mg/mL
Subtilisin A : 10ug/mL
37℃, 30min
得られた反応液をゲルろ過クロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。
Column : TSKgel Super2000sw (TOSOH)
Eluent : 50mM sodium phosphate, 300mM KCl, pH7.0
Flow rate : 0.2ml/min
Detection : 220nm
図20および図21に示した陽イオン交換クロマトグラフィーと等電点電気泳動による構造異性体の分析結果から、u2-wz4は24%がbivalent scFv型、76%がsingle chain diabody型として両構造異性体の混合物として発現しているのに対して、改変体v1は100%がsingle chain diabody型の構造異性体として発現しており、改変体v3は100%がbivalent scFv型の構造異性体として発現していることが分かった。また図22に示すとおり、プロテアーゼ限定分解の結果からも、改変体v3はu2-wz4精製peak1と同様に低分子のピークが見られ、改変体v1はu2-wz4精製peak2と同様に低分子のピークが見られなかったことから、改変体v1はsingle chain diabody型の構造異性体として発現しており、改変体v3はbivalent scFv型の構造異性体として発現していることが示された。
〔実施例6〕VH/VL界面改変型sc(Fv)2の活性評価および安定性評価
6-1. VH/VL界面改変型sc(Fv)2の生物活性評価
実施例1に示す方法に従って、VH/VL界面改変体v1およびv3のアゴニスト活性の評価を行った。アゴニスト活性は構造異性体間で大きく異なり図11に示すように、single chain diabody構造のpeak2が非常に高いアゴニスト活性を示すのに対して、bivalent scFv構造のpeak1の活性は極めて低下する。図23に示すとおり、改変体v1はpeak2と同等の活性を示し、改変体v3はpeak1とほぼ同等の活性を示した。以上のことから生物活性においても、改変体v1がsingle chain diabody構造を、改変体v3がbivalent scFv構造を形成していることが確認された。
6-2. VH/VL界面改変型sc(Fv)2の安定性評価
u2-wz4精製peak1とu2-wz4精製peak2、および、改変体v1と改変体v3の安定性評価として、示走査型熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)を用いて変性中間温度(Tm値)の測定を以下の条件下で行った。
DSC : N-DSCII (Applied Thermodynamics社製)
溶液条件:20mM sodium citrate, 300mM NaCl, pH7.0
タンパク質濃度:0.1mg/mL
スキャニング速度:1℃/分
各DSC測定の結果を図24に示した。u2-wz4精製peak2と改変体v1のTm値は未改変体とほぼ同等であり、安定性は同等であることが分かった。u2-wz4精製peak1と改変体v3とでは、若干改変体v3のほうが低い安定性を示した。knobs-into-hole 技術を用いた方法による界面制御においては、例えばIgGのCH3ドメインのヘテロ会合において、未改変CH3ドメインのTm値が80.4℃であったのに対して、改変CH3ドメインのTm値は69.4℃であり、大幅にTm値が低下し安定性が低下してしまうことが報告されている(Acta Pharmacologica Sinica, 2005, 26, 649-658)。それに対して、本発明においては安定性を低下させること無く会合を制御できることが確認された。
続いて、u2-wz4精製peak1とu2-wz4精製peak2およびVH/VL界面改変体である改変体v1と改変体v3の安定性評価として、以下の条件における熱加速試験による安定性評価を実施した。
<熱加速条件>
溶液条件:20mM sodium citrate, pH6.0
タンパク質濃度:0.25mg/mL
加速条件:40℃-6day, 12day
熱加速サンプルは、ゲルろ過クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。
図25に示すとおり、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分析の結果、u2-wz4精製peak2と改変体v1のモノマー残存率はほぼ同等であり、会合化に対する安定性はほぼ同等であることが確認された。また、u2-wz4精製peak1と改変体v3のモノマー残存率もモノマー残存率はほぼ同等であり、両構造異性体において会合化に対する安定性はほぼ同等であることが分かった。
図26に示すとおり、陽イオン交換クロマトグラフィーによる分析の結果、未改変体の精製peak1は異性化反応によりpeak2に異性化し、未改変体精製peak2は異性化反応によりpeak1に異性化したのに対して、VH/VL界面改変体v1とv3は熱加速後も異性化反応は起こさなかった。VH/VL界面の改変を適用することによって、2種類の構造異性体のうち一方のみの構造異性体が100%の状態で発現できることに加えて、得られた各構造異性体は異性化反応を起こさず安定に保存可能であることが分かった。
本実施例において、v1およびv3に適用したVH/VL界面改変を用いることによって、2種類の構造異性体のうち一方のみの構造異性体が100%存在する状態で発現できることを見出した。目的の構造の一本鎖抗体を得るためのVH/VL界面制御としては、knobs-into-hole 技術を用いてBispecific diabodyの構造を制御する方法(Protein Sci. 1997 Apr;6(4):781-8, Remodeling domain interfaces to enhance heterodimer formation., Zhu Z, Presta LG, Zapata G, Carter P.)が知られている。この方法では、VH/VL界面あたり合計4箇所のアミノ酸を改変することにより目的のヘテロダイマー構造の形成率が72%から92%まで上昇したことを報告している。それに対して、本発明は4箇所のアミノ酸(VH/VL界面あたりでは2箇所のアミノ酸)を改変することにより、熱安定性および構造異性体の安定性を低下させることなく、目的の構造を100%の比率で取得することに成功した。
〔実施例6〕ヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体の分離、構造決定
6-1. ヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体sc(Fv)2の作製
Sato K.ら(Cancer Research 1993;53:851-856)により報告されているヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体のVHとVLを用いて、リンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3(配列番号:1)をコードする遺伝子を用いて、VH−リンカー配列−VL−リンカー配列−VH−リンカー配列−VLで構成されるように連結したsc(Fv)2遺伝子(アミノ酸配列;配列番号:18、塩基配列;配列番号:19)を作製した。得られた遺伝子を動物細胞で発現するように、発現ベクターpMCDNに挿入した。本ベクターpMCDNの構築の流れについて、以下に述べる。pUC19ベクターにマウスサイトメガロウイルス(mCMV)エンハンサーおよびプロモーター、シミアンウイルス-40(SV40)の後期ポリアデニル部位を挿入したベクターをpMCと命名した。次に、DHFR-ΔE-rVH-PM1-f(WO92/ 19759参照)の抗体H鎖遺伝子とベクターを分割するために、制限酵素EcoRI, SmaI部位で消化し、ベクター側のみ回収した後に、EcoRI-NotI-BamHI adaptor(宝酒造)をクローニングした。このベクターをpCHOIと命名した。pCHOIのDHFR遺伝子発現部位とpCXN(Niwaら、Gene 1991;108:193-200)の制限酵素のNeomycin耐性遺伝子発現部位をpMCベクターに挿入した発現ベクターをpMCDNと命名した。構築したヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2発現ベクターを制限酵素で直鎖上にしたのちに、CHO-DG44細胞に遺伝子導入して抗体発現細胞株を樹立した。
安定発現細胞株の作製は次に示すようにして行った。細胞への遺伝子導入は、GenePulserXcell(Bio-Rad)を用いたエレクトロポレーション法により行った。各抗体発現ベクターとPBSに懸濁したCHO細胞(1×10細胞/mL)の0.75mLを混合したものを氷上で10分間冷却し、キュベットに移した後に1.5kV、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、HT supplement(Invitrogen)を1倍濃度で含むCHO-S-SFMII培地(Invitrogen)40mLに懸濁した。同様の培地で10-50倍希釈液を作製し、96ウェル培養用プレートに100μL/wellで分注した。CO2インキュベーター(5% CO2)で24時間培養後、Geneticin(Invitrogen)を0.5mg/mLになるように添加して、2週間培養した。薬剤耐性を示す形質転換細胞のコロニーを順次拡大培養し、樹立した高産生細胞株を用いて大量培養を行い、培養上清を得た。
ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 のL鎖がProtein Lに結合することを利用して、ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2発現CHO細胞の培養上清をProtein L(Actigen社製)を充填したカラムに流し、ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2を吸着させ、100mM Glycine-HCl(pH2.7)で溶出させた。溶出画分は直ちに1M Tris-HCl(pH8.5)で中和を行い、HiLoad 26/60 Superdex200pg(Amersham Biosciences社製)を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。ゲルろ過クロマトグラフィーの緩衝液は、ダルベッコPBSを使用した。
6-2. ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体の分離、精製
ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2はVH1-linker-VL2-linker-VH3-linker-VL4の配列を有するsc(Fv)2であることから、実施例1のVB22B、実施例2のhVB22Bと同様にFv(VH,VL間で非共有結合した分子)の組み合わせにより、構造はVH1とVL2、VH3とVL4がそれぞれFvを形成するbivalent scFv型と、VH1とVL4、VH2とVL3がそれぞれFvを形成するsingle chain diabody型の2種類の構造異性体が存在すると考えられる(図1)。ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体の分離を検討した結果、下記の溶離条件下で陽イオン交換クロマトグラフィーBioAssist S (TOSOH)を用いることによりヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体の分離に成功した。
<溶離条件>
移動相 : 20mM Tris-HCl pH8.5, 75 mM NaCl
流速 : 0.8ml/min
グラジエント : イソクラティック(グラジエント無し)
上記条件により、ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2は2つのピークに分離した。図27に示すようなクロマトグラムが得られ、保持時間の短いピークをpeak1、長いピークをpeak2と命名した。同方法によりPeak1とpeak2を精製することができた。精製後のpeak1とpeak2の陽イオン交換クロマトグラフィー分析の結果を図28に示した。
6-3. ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体の同定
分取したヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1とpeak2は構造異性体と考えられたためで、2種類の構造異性体を同定する分析法として、実施例1、2、3で実施したプロテアーゼ限定分解法を用いた。以下の条件でヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2のpeak1およびpeak2と反応させた。
PBS (pH7.4)
ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2 peak1 or peak2 : 0.05mg/mL
Subtilisin A : 0.5ug/mL
37℃, 60min
上記反応後、Phastgel Homogeneous 12.5%を用いて、還元SDS-PAGEを行った。その結果、図29に示すとおり、peak1、peak2いずれも同様のバンドパターンを示した。上記反応条件により部分的にリンカーを切断した、peak1、peak2を以下の条件でTSK SuperSW2000(TOSOH)を用いてゲルろ過クロマトグラフィー分析を行った。
移動相 : 50mM sodium phosphate, 300mM KCl, pH7.0
流速 : 0.2ml/min
その結果、図30に示すように、peak1においては低分子量のピークがほとんど確認されなかったのに対して、peak2においては低分子量(約半分の分子量)のピークが確認された。よって、本結果より、peak1がsingle chain diabody型であり、peak2がbivalent scFv型であると同定された。図27よりヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2においてはpeak1よりもpeak2の含量が多いことから、ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2においてはbivalent scFv型が主成分であり、single chain diabody型はマイナー成分であることが分かった。実施例1におけるVB22B sc(Fv)2、および実施例2におけるhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2においては、single chain diabody型が主成分であったことから、sc(Fv)2の可変領域配列の違いにより、構造異性体の含有率が大きく変化することが分かった。構造異性体含有率がsc(Fv)2の可変領域配列により大きく変化することから、sc(Fv)2を医薬品として開発するにあたっては、構造異性体の分離と構造同定は重要であると考えられる。
〔実施例7〕ヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体の活性評価
7-1. ヒトgp130発現BaF3細胞株、ヒトgp130/ヒトIL-6受容体共発現BaF3細胞株の樹立
IL-6依存増殖性を示す細胞株を得るために、以下に示すとおり、ヒトgp130を発現したBaF3細胞株の樹立を行った。
全長ヒトgp130 cDNA (Hibiら、Cell 1990;63:1149-1157 (GenBank # NM_002184))をPCRにより増幅し、pCHOI (Hirataら、FEBS Letter 1994;356:244-248)のDHFR遺伝子発現部位を除去し、Zeocin耐性遺伝子発現部位を挿入した発現ベクターpCOS2Zeoにクローニングし、pCOS2Zeo/gp130を構築した。
10μgのpCOS2Zeo/gp130をPBSに懸濁したBaF3細胞(0.8x107cells) に混合し、Gene Pulser (Bio-Rad)を用いて0.33kV, 950μFDの容量でパルスを加えた。エレクトロポーレーション処理により遺伝子導入したBaF3細胞を0.2ng/mLのmouse interleukin-3(Peprotech)、10% Fetal Bovine Serum(以下FBS、HyClone)を含むRPMI1640培地(Invitrogen)で一昼夜培養し、100ng/mLのhuman interleukin-6(R&D)、100ng/mL のhuman interleukin-6 soluble receptor (R&D systems)および10%FBSを含むRPMI1640培地を加えて選抜し、ヒトgp130発現BaF3細胞株(以下、BaF3/gp130)を樹立した。
7-2. ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体のヒトIL-6中和活性評価
IL-6依存性増殖を示すBaF3/gp130を用いて、以下に示すとおり、IL-6中和活性を評価した。精製したヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体を10μg/mLになるように10% FBSを含むRPMI1640に希釈した。この溶液を用いて希釈公比3、合計6系列の希釈液を調製し、96well-plate(FALCON)の各wellに50μLずつ分注した。次に、BaF3/gp130を10% FBS (HyClone)を含むRPMI1640培地で3回洗浄した後に、5x104cells/mLとなるように60ng/mLのhuman interleukin-6 (R&D systems)、60ng/mL の可溶性ヒトIL-6受容体(自社調製品)および10% FBSを含むRPMI1640培地に懸濁し、抗体サンプルを分注したwellに50μLずつ混合した。ヒト可溶性IL-6受容体は以下に示す方法で調製した。ヒト可溶性IL-6受容体(Yamasakiら、Science 1988;241:825-828 (GenBank # X12830))の1番目から344番目のアミノ酸をコードする遺伝子をCHO細胞に導入後に培養上清から精製して調製した。
37℃、5%CO2条件下で、72時間培養し、PBSで2倍に希釈したWST-8試薬(Cell Counting Kit-8、株式会社同仁化学研究所)を20μL/wellで加え、直後にSUNRISE CLASSIC(TECAN)を用いて450nmの吸光度(参照波長620nm)を測定した。2時間培養した後に、再度450 nmの吸光度(参照波長620nm)を測定し、2時間の吸光度変化を指標にIL-6中和活性を評価した。
その結果、図31に示すとおり、ヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2の構造異性体(peak1, peak2)は、分画前の精製品(bulk)と中和活性が同等であった。実施例1のVB22B sc(Fv)2および実施例2のhVB22B sc(Fv)2においては、2つの構造異性体の間で活性に大きな違いが見られたが、本実施例のヒト化抗ヒト IL-6受容体抗体 sc(Fv)2においては中和活性に違いが見られなかった。このようにsc(Fv)2の2つの構造異性体の活性の差は、ターゲットとなる抗原の種類やsc(Fv)2分子のアミノ酸配列によって異なることが考えられ、sc(Fv)2分子を医薬品として開発するにあたっては、構造異性体の分離と構造同定および構造異性体の制御は重要であると考えられる。また実施例6で示されるように各構造異性体は保存中に異性化反応が起きる可能性があり、sc(Fv)2製剤の品質規格の点からも構造異性体の分離と構造同定および構造異性体の制御は重要であると考えられる。
〔実施例8〕VB22B sc(Fv)2のsingle chain diabodyを高収率で得る方法
VB22B sc(Fv)2より精製したsingle chain diabody (peak2)とbivalent scFv (peak1)をそれぞれ、20mM sodium acetate, 150mM NaCl, pH6.0の条件下、40℃においてインキュベートした。実施例1に示した陰イオン交換クロマトグラフィーの方法でpeak1とpeak2比を測定した結果、図32に示したように、peak1のピークエリアが減少し、それに代わって、peak2のピークエリアが増大した。そこで、peak1を同条件下で6日間インキュベートしたサンプルを実施例1に示した方法でアゴニスト活性を評価したところ、図33に示したようにincubateする前のサンプルに比べて大幅にアゴニスト活性が増大した。実施例1に示したとおりpeak1はsingle chain diabodyであるpeak2に比べて著しく活性が低いことから、bivalent scFvであるpeak1は、20mM sodium acetate, 150mM NaCl, pH6.0, 40℃でインキュベートすることによって、高活性のsingle chain diabodyであるpeak2に構造変換する(構造異性体が異性化する)ことが分かった。すなわち、これによりbivalent scFvとsingle chain diabodyの混合物を適当な条件下に暴露することによって、bivalent scFvであるpeak1をsingle chain diabodyであるpeak2に変換することが可能であり、peak2の含有率を増加させることが可能であることが示された。peak1からpeak2に異性化させる本方法を用いることで、細胞より産生されたpeak1とpeak2の混合物からpeak1をpeak2に異性化させることによって、高収率でsingle chain diabodyであるpeak2を得ることが可能である。
〔実施例9〕hVB22B sc(Fv)2のsingle chain diabody型を高収率で得る方法
実施例4においてhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2より精製したbivalent scFv (peak1)を20mM sodium citrate, 0mM/150mM/300mM NaCl, pH3.0/3.5/4.0/4.5/5.0/5.5/6.0/6.5/7.0/7.5の計30条件下、25℃において10日間インキュベートした。実施例1に示した陽イオン交換クロマトグラフィーの方法でpeak1とpeak2比を測定した結果、図34に示したように、 インキュベート前に比べてpeak2存在比が増大した。これよりhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2においても、bivalent scFvであるpeak1は、single chain diabodyであるpeak2に構造変換することを見出した。その異性化速度は、低pH及び低塩濃度ほど早いことを見出した。Peak1からpeak2に異性化させる本方法を用いることで、細胞より産生されたpeak1とpeak2の混合物からpeak1をpeak2に異性化させることによって、高収率でsingle chain diabodyであるpeak2を得ることが可能である。
本発明により、sc(Fv)2組成物中の2種の構造異性体を分離取得する方法、分離された2種の構造異性体の構造を同定する方法、及び、2種の構造異性体を定量的に分析する方法が提供された。またリンカー長を調節することによりsc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合を増加させる方法が提供された。さらに可変領域内のアミノ酸を改変することにより構造異性体の生成を制御する方法が提供された。これらの方法を利用することにより、sc(Fv)2の特定の構造異性体を有効成分として含有する医薬組成物を製造することができ、従来と比較して高活性の医薬組成物を提供することが可能となった。また、医薬品としての開発に必要な規格試験により、構造が同定された構造異性体の含有比率を規定したsc(Fv)2を医薬品組成物として提供することが可能となった。

Claims (44)

  1. 以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
    (a)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
    (b)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
  2. 以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
    (a)sc(Fv)2の構造異性体の活性を比較して高活性の構造異性体をあらかじめ決定する工程
    (b)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
    (c)工程(a)により決定された高活性の構造異性体を取得する工程
  3. 以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
    (a)sc(Fv)2組成物中の構造異性体の比率が好ましい値になるようにリンカーの長さを決定する工程
    (b)工程(a)で決定されたリンカーの長さを有するsc(Fv)2組成物を作製する工程
    (c)作製されたsc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
    (d)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
  4. 以下の工程を含むsc(Fv)2医薬組成物の製造方法。
    (a)リンカーの長さが異なる複数のsc(Fv)2組成物を作製する工程
    (b)sc(Fv)2組成物中の構造異性体の比率が好ましい値となるリンカーを有するsc(Fv)2を選択する工程
    (c)工程(b)で選択されたsc(Fv)2のリンカーと同じ長さのリンカーを有するsc(Fv)2組成物を作製する工程
    (d)作製されたsc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
    (e)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
  5. 構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 構造異性体がアゴニスト活性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. sc(Fv)2のリンカーが15アミノ酸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により作製された医薬組成物。
  9. sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合が80%以上であることを特徴とする医薬組成物。
  10. 構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 構造異性体が受容体に結合することを特徴とする請求項9または10に記載の医薬組成物。
  12. 構造異性体がアゴニスト活性を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の医薬組成物。
  13. sc(Fv)2のリンカーが15アミノ酸である請求項9〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
  14. sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を変化させる工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を調節する方法。
  15. sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の割合を増加させる工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
  16. 以下の工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
    (a)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
    (b)分離された構造異性体のうち、特定の構造異性体を取得する工程
  17. 以下の工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
    (a)sc(Fv)2の構造異性体の活性を比較して高活性の構造異性体をあらかじめ決定する工程
    (b)sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分離する工程
    (c)工程(a)により決定された高活性の構造異性体を取得する工程
  18. 以下の工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
    (a)sc(Fv)2組成物をイオン交換カラムにかける工程
    (b)特定の構造異性体を除去する工程
  19. 構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である請求項14〜18のいずれかに記載の方法。
  20. sc(Fv)2組成物を加熱する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
  21. 構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である請求項20に記載の方法。
  22. sc(Fv)2組成物を15℃〜50℃でインキュベートする工程を含む、sc(Fv)2組成物中のsingle chain diabody型の含有割合を増加させる方法。
  23. sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
  24. 以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域の39位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
  25. 以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
  26. 以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の特定の構造異性体の含有割合を増加させる方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
  27. sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
  28. 以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域の39位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
  29. 以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の活性を増加させる方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
  30. 以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物の活性を増加させる方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
  31. sc(Fv)2の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が界面を形成しているアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含むsc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
  32. 以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域の39位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における38位に相当するアミノ酸残基
  33. 以下の(1)および(2)に記載のアミノ酸残基を、同種の電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
  34. 以下の(1)および(2)のいずれか一方のアミノ酸残基を、電荷を有するアミノ酸残基に置換する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の異性化反応を抑制する方法。
    (1)sc(Fv)2の重鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、重鎖可変領域のアミノ酸配列における45位に相当するアミノ酸残基
    (2)sc(Fv)2の軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸残基であって、軽鎖可変領域のアミノ酸配列における44位に相当するアミノ酸残基
  35. sc(Fv)2のリンカーの長さを調節する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体の割合を調節する方法。
  36. 構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である請求項35に記載の方法。
  37. sc(Fv)2の両端のリンカーを0〜12アミノ酸、中央のリンカーを10〜30アミノ酸に調節する工程を含む、sc(Fv)2組成物中のsingle chain diabody型の割合を増加させる方法。
  38. sc(Fv)2の両端のリンカーを12〜30アミノ酸、中央のリンカーを0〜10アミノ酸に調節する工程を含む、sc(Fv)2組成物中のbivalent scFv型の割合を増加させる方法。
  39. sc(Fv)2の両端のリンカーを0〜12アミノ酸、中央のリンカーを0〜10アミノ酸に調節する工程を含む、single chain diabody型の含有割合が80%以上であるsc(Fv)2組成物を製造する方法。
  40. sc(Fv)2の両端のリンカーを12〜30アミノ酸、中央のリンカーを0〜10アミノ酸に調節する工程を含む、bivalent scFv型の含有割合が80%以上であるsc(Fv)2組成物を製造する方法。
  41. sc(Fv)2のリンカー又はリンカー近傍領域を切断する工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分析する方法。
  42. 酵素で処理することによりリンカー又はリンカー近傍領域を切断することを特徴とする請求項41に記載の方法。
  43. 構造異性体がsingle chain diabody型又はbivalent scFv型である請求項41または42に記載の方法。
  44. 以下の工程を含む、sc(Fv)2組成物中の構造異性体を分析する方法。
    (a)sc(Fv)2組成物を酵素で処理する工程
    (b)処理後の生成物の分子量または構造を測定する工程
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