JPWO2006040958A1 - リウマチ性多発筋痛症抗体エピトープペプチド及びリウマチ性多発筋痛症の検査試薬 - Google Patents

リウマチ性多発筋痛症抗体エピトープペプチド及びリウマチ性多発筋痛症の検査試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】 リウマチ性多発筋痛症患者に特異的に認められるリウマチ性多発筋痛症特有の抗体に対して特異的な結合性を有するエピトープペプチド及びこれを用いてリウマチ性多発筋痛症の罹患の有無を簡便且つ迅速に検出する検査試薬を提供する。【解決手段】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩からなるリウマチ性多発筋痛症抗体エピトープペプチド、及び該ペプチドを有効成分とするリウマチ性多発筋痛症の検査試薬及び検査方法。

Description

本発明は、リウマチ性多発筋痛症の診断に有効なペプチド及びそれを有効成分とする検査試薬に関する。本検査試薬は、血液などの生体試料を用いて免疫学的方法により簡便、迅速に実施できるリウマチ性多発筋痛症の検査方法に使用できる。
リウマチ性多発筋痛症は全身の筋痛を主症状とする原因不明の疾患で、高齢者に多く、男性にも多く見られる。その特徴としては、筋力低下や血清クレアチニンキナーゼ、ミオグロブリン値の上昇を認めず、筋電図にも異常を認めない。診断の決め手が無いことから除外診断の後に診断されるという性格を有し、筋痛以外の症状である微熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振、体重減少などの他のリウマチ性疾患と交叉する症状が的確な診断を妨げている。特に老人発症の関節リウマチ(以下、RAともいう)と相似しており、明確な診断基準が求められている。診断の遅れは重大な合併症(動脈炎)を招き、時には死に至る。しかし、治療法は確立しており多くの自己免疫疾患と異なって、ステロイドの少量投与で劇的な効果を示す為、リウマチ性多発筋痛症を簡便に精度良く判別できる体外診断薬・方法が求められている。
リウマチ性多発筋痛症の病因については、遺伝的、環境的、免疫学的などの要因においても不明である。初期症状の開始時にはアデノウィルスやRespiratory Syncytial Virus(RSV)などのウィルスによる感染が関与するとの報告があり、血清中の抗ウィルス抗体が高い頻度で検出されている(非特許文献1)。しかし、健常人でも高頻度で検出され、更に抗ウィルス抗体検査では感染症との鑑別はできないことから、診断方法には適切でない。他には、自己免疫異常の関与が示唆されており、幾つかの自己抗体の報告がなされている。Meyer O らは抗リン脂質抗体が側頭動脈炎合併型リウマチ性多発筋痛症で検出されると報告している(非特許文献2)が、血清中抗体の検出頻度は9〜36%とそれほど高くないうえに、そもそも抗リン脂質抗体は抗リン脂質抗体症候群と呼ばれる動脈血栓症候群の自己抗体で、全身性エリテマトーデス(SLE)などでも検出される特異性の低いものであることから、リウマチ性多発筋痛症の診断薬として使用されていない。Brito J はリウマチ性多発筋痛症患者血清中に存在するnuclear Lamin B2に対する自己抗体は、RAやSLE、慢性肝炎のものとは異なるエピトープであることを報告している(非特許文献3)が、Lamin B2自己抗体の頻度の点では特異性は無い。
以上のような視点から、リウマチ性多発筋痛症に特異的な抗原ペプチドを応用して、リウマチ性多発筋痛症の特異的な診断が簡便、迅速で精度良く実施できる臨床検査方法を開発する事は、極めて有意義な事と言える。
M. A. Cimmino et al., Clin Exp Rheumatol., 1993, 11, 309-313 Meyer O, et al., Rev Rhum Engl Ed., 1996, 63, 241-247 Brito J, et al., J Immunol., 1994, 153, 2268-2277
本発明の目的は、上述のような状況をふまえ、リウマチ性多発筋痛症患者に特異的に認められるリウマチ性多発筋痛症特有の抗体に対して特異的な結合性を有するペプチド、該ペプチドを有効成分とする検査試薬及び検査キット、並びにこれらを用いてリウマチ性多発筋痛症の羅患の有無を簡便且つ迅速に検出する検査方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく免疫学的、分子生物学的研究を重ねた結果、特定のペプチドがリウマチ性多発筋痛症(以下、PMRと略記する)患者血清中に存在する特有の抗体を特異的に認識して結合することを見出し、該ペプチドを用いることでPMRの罹患の有無を簡便、且つ精度良く判別できることを確認した。すなわち、本発明は下記[1]〜[4]に記載するものである。
[1]PMR抗体エピトープとしての性質を有する下記ペプチド(a)又は(b)。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩。
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加により改変されたアミノ酸配列を有し、且つPMR患者血清中の抗体と結合性を有するペプチド又はその塩。
[2]PMR抗体エピトープとしての性質を有する前記ペプチド(a)又は(b)を有効成分として含有するPMRの検査試薬。
[3]前記のPMR検査試薬をPMR抗体に対する抗原物質として含有するPMRの検査キット。
[4]生体試料中の、前記ペプチド(a)又は(b)に結合性を有する抗体の有無を検出する工程を含むPMRの検査方法。
以下、本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩基配列等の略号による表示は、IUPAC、IUBの規定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等に作成のためのガイドライン」(特許庁編)及び当該分野における慣用記号に従う。
また、本明細書におけるPMR抗体とは、前記のごとくPMRの罹患によって生体内で生成されるPMR特有の抗体であり、原因となる抗原物質の種別に関わらず、PMR患者に特異的に認められるPMR患者特有の抗体を意味するものである。
本発明によれば、PMRに罹患した患者で特有に認められるPMR抗体に特異的な結合性を有するPMR抗体エピトープペプチドが、PMRの診断における検査試薬又は検査キットとなり、PMR罹患の有無を簡便、且つ迅速に精度良く検出及び測定可能であり、有益なPMRの検査方法となる。
1.PMR抗体エピトープペプチド
本発明のPMR抗体エピトープペプチドとして、具体的には配列番号1で表されるアミノ酸配列であるペプチドを例示することができる。
さらに本発明のPMR抗体エピトープペプチドには、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの他に、配列番号1で表されるアミノ酸配列中の1若しくは数個(2個以上)のアミノ酸が、他のアミノ酸で置換、欠失又は付加されていても良い。このアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加により改変されたアミノ酸配列又はそのアミノ酸配列の一部のアミノ酸配列からなり、且つPMR抗体に特異的な結合性を有するペプチドも本発明のPMR抗体エピトープペプチドとして包含される。
上記のペプチドはいずれもPMR抗体に対して特異的な結合性を有することによって特徴付けられる。
アミノ酸の置換、欠失若しくは付加の程度及びそれらの位置などは、改変されたペプチドが、配列番号1で表されるアミノ酸配列のペプチドと同様に、PMR抗体に対して特異的に結合性を有する特徴を備えたものであれば特に制限されない。突然変異や翻訳後の修飾などで、アミノ酸配列の改変(変異)は生じることもあるが、人為的に改変することもできる。なお、アミノ酸配列の改変(変異)方法は、当業者において周知の技術である(サイトスペシフィック・ミュータゲネシスなどの遺伝子工学的手法〔Methods in Enzymology, 154, 350, 367-382(1987);同100, 468 (1983); Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984);続生化学実験講座1「遺伝子研究法II」〕、リン酸トリエステル法やリン酸アミダイト法などの化学合成手段〔J. Am. Chem. Soc., 89, 4801 (1967);同91, 3350 (1969); Science, 150, 178 (1968); Tetrahedoron Lett., 22, 1859 (1981);同24, 245 (1983)〕)。
また、配列番号1で表わされるアミノ酸配列のペプチドをはじめとする本発明のPMR抗体エピトープペプチドは、C末端がカルボキシル基(−COOH)、アミド基(−CONH2)又はエステル基(−COOR)のいずれであっても良い。ここでエステル基におけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルなどの炭素数1〜6のアルキル基や、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜8のシクロアルキル基や、フェニル、α−ナフチルなどの炭素数6〜12のアリール基などが用いられる。
本発明で用いられるペプチドがC末端以外にカルボキシル基を有している場合、カルボキシル基がアミド化又はエステル化されているものも本発明のペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記のようなC末端のエステルなどが用いられる。
さらに本発明のペプチドには、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などの炭素数1〜6のアシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば水酸基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
上記のような本発明のPMR抗体エピトープペプチドは、免疫学的に、抗体の認識性に要する最小限のアミノ酸数が4個であると考えられていることから、PMR患者に認められるPMR抗体に対して特異的な結合性及び認識性を有する限り、そのアミノ酸数は4個以上であるが上限は特に制限されない。通常、ペプチド合成などの化学合成の観点から、4〜500個程度のアミノ酸数を例示することができる。
さらに、本発明のペプチドの塩としては、生理学的に許容される酸や塩基との塩が用いられる。このような塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸との塩、あるいは酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩などが用いられる。その他、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩、モノメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン塩、トリメチルエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩などの塩が挙げられる。
以下に、前記載の配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩、並びに配列番号1のアミノ酸配列で、1若しくは数個(2個以上)のアミノ酸が置換、欠失又は付加により改変されたアミノ酸配列又はそれらアミノ酸配列の一部のアミノ酸配列からなり、且つPMR抗体に特異的な結合性を有するペプチド又はその塩などの本発明のPMR抗体エピトープペプチド又はその塩(以下、総称してPMR抗体エピトープペプチドともいう)の取得方法又は製造方法を詳述する。
2.PMR抗体エピトープペプチドの取得
本発明のPMR抗体エピトープペプチドは、ディスプレイファージのライブラリー(ゲノムライブラリー、cDNAライブラリーもしくはランダムペプチドライブラリー)を用いたスクリーニング手法により取得することができる。このようなスクリーニング法はファージディスプレイ法と呼ばれ、多くの当業者により、外来性抗原エピトープをファージ表面タンパク質に融合させてファージ表面に発現誘導させ、抗体等のプローブにより選別する公知の手段として用いられている(Scott J. K. and Smith G. P., Science, 249, 386-390 (1990)、Dybwad A., et al, Clin Exp Immunol, 102, 438-442 (1995)、Bluthner M., et al, J Immunol Methods, 198, 187-198 (1996))。
ライブラリーに用いられるファージとしては、繊維状ファージ(M13、fi、fd、lf1等、Smith G. P., et al, Science, 228, 1315-1317 (1985)、Devlin J.J., et al, Science 249, 404-406 (1990)、Cwirla S.E., et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 6378-6382 (1990))やλファージ(Maruyama I. N., et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 8273-8277 (1994)、Santi E., et al, J Mol Biol, 296, 497-508 (2000))、T7ファージ(US patent 5,766,905、Novagen T7Select System Manual TB178 (2000))などが挙げられる。ライブラリーとしてファージ表面に発現誘導させるタンパク質は、公知の遺伝子操作技術を用いてゲノム、cDNA、ランダムオリゴヌクレオチドを、ファージ表面タンパク質をコードする遺伝子の上流または下流にクローン化することで、キャプシド融合タンパク質として発現され、それぞれゲノムライブラリー、cDNAライブラリー、ランダムペプチドライブラリーとして利用され得る。
このようなスクリーニング法を用いて、PMR抗体エピトープペプチドを取得する具体的な手法として、本発明で好適には、cDNAライブラリーを用いた以下の方法を挙げることができる。
まず、培養細胞から全RNAを抽出し、オリゴ(dT)カラムを用いてポリ(A)+RNAを精製する。これをもとに、ランダムオリゴヌクレオチド(好ましくは8塩基程度)と逆転写酵素を用いて1本鎖cDNAを合成する。ついで、RNase Hと大腸菌DNA polymeraseにより2本鎖cDNAを合成してリンカー配列を結合させ、さらに制限酵素で切断して粘着末端をもつ2本鎖cDNAとする。最後に、同じ制限酵素で切断したファージDNAと該cDNAを、DNAリガーゼにより連結し、in vitro packaging法によりcDNAライブラリーを構築することができる。
得られたcDNAライブラリーを、予めプロテインG等を介してPMR患者の血清抗体を固定化したマイクロプレート若しくはマイクロビーズ等に添加し、PMR患者血清中抗体と特異的に結合するファージを捕捉させる。マイクロプレート等に固定化させるPMR患者の血清抗体は、少なくとも抗原結合能を有するものであれば特に制限されず、例えばPMRに罹患した患者から採取した血清そのものでも、また該血清を硫酸アンモニウム溶液で沈降処理したものやプロテインAで精製したものであっても良い。
数回の操作を繰り返すことにより、結合能を有しない又は結合能の弱い無関係なファージを洗浄・除去した後、ドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSと略記)等により固定化されたPMR患者血清中抗体とファージとの結合を解離させ、PMR患者血清中のPMR抗体に結合能を有するファージを溶出することができる。
さらにPMR患者血清抗体に特異性を示すファージを選択するため、上記で溶出されたファージ懸濁液を宿主大腸菌に感染させて、タンパク質発現誘導剤(イソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシド等)を含むLB寒天培地上で単一プラークを形成させる。これらのプラークをニトロセルロースメンブレン等に転写させ、PMR患者血清を用いた免疫染色を実施することで、PMR患者血清中抗体結合ファージを特定し、単一化することができる。
このようにして得られたファージを、抗ファージ抗体を介してマイクロプレート上に固定化し、PMR患者、関節リウマチ患者血清および健常人血清を反応させて(以下、ファージELISAともいう)、その反応性からPMR患者の血清中抗体に特異的に反応するファージを選別することができる。具体的には、上記で得られたファージを、マイクロプレート等の任意の支持体に固定化した抗ファージ抗体と反応させて固定化する。その固定化ファージに対して、PMR患者の血清並びに対照血清として健常者の血清や関節リウマチなどに罹患した患者の血清を反応させて、その反応性からPMR患者の血清に特異的に反応するファージを選択することができる。
上記のように、ファージELISAによるスクリーニングで選別されたファージから、DNAを抽出精製し、ダイデオキシ法などにより挿入cDNA塩基配列を決定することができる。決定された塩基配列に基づき、アミノ酸配列を決定し、液相法及び固相法によるペプチド合成法などを含む一般的な化学合成法等により合成することでPMR抗体エピトープペプチドとして取得することができる。
すなわち、決定したアミノ酸配列に基づいて、ステップワイズエロゲーション法やフラグメント・コンデンセーション法などが採用できる。ペプチド合成法で用いられるアミノ酸の保護基の脱離方法や縮合方法等には、従来公知の方法が採用でき、目的のペプチドを製造することができる。例えば、M. Bodanszky及びM.A. Ondetti,ペプチド・シンセシスPeptide Synthesis, Interscience Publishers, New York 1966年、Schroeder及びLuebke、ザ・ペプチドThe Peptide, Academic Press, NewYork 1965年、泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)1975年、矢島治明及び榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205,1977年、矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合成、広川書店、などに記載された方法が挙げられる。
さらに、決定したアミノ酸配列をもとに1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加により人為的に改変されたペプチドを作製することができる。具体的には前記のサイトスペシフィックミュータジェネシスなどの遺伝子工学的手法やリン酸アミダイト法などの従来公知の化学合成法により作製でき、これら改変ペプチドも本発明のPMR抗体エピトープペプチドとして用いることができる。
また、決定したアミノ酸配列を基に相同性を有するペプチド配列をデータベースから検索することができる。相同性の高いペプチド若しくはそれを含むタンパク質は公知の分子生物学的手法により作製することができ、本発明のPMR抗体エピトープペプチドとしても用いることもできる。
上記のようにして取得された本発明のPMR抗体エピトープペプチドは、従来公知のタンパク質又はペプチドの分離・精製方法を組み合わせて、単離・精製することができる。これら公知の分離・精製方法としては、塩析や溶媒沈殿法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーおよびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。また、精製されたペプチドのアミノ酸組成は、アミノ酸分析装置により容易に測定及び解析することができる。
上記の方法で得られるペプチドが遊離体である場合は、公知の方法或いはそれに準じた方法によって適当な塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することもできる。
3.PMRの検査試薬、検査キット及び検査方法
前記のようにして得られたPMR抗体エピトープペプチドは、PMR患者血清中のPMR抗体と特異的に結合することを利用し、該ペプチドを有効成分とするPMRの検査試薬、検査キット及び検査方法を提供することができる。
すなわち、1)上記PMR抗体エピトープペプチドを有効成分とするPMRの検査試薬、2)上記1)の検査試薬を含有するPMRの検査キット、3)生体試料中の、上記PMR抗体エピトープペプチド又はその塩に特異的な結合性を有する抗体の有無を検出する工程を含むPMRの検査方法、及び4)上記検査試薬又は検査キットを用いる工程を含むPMRの検査方法、である。
1)PMRの検査試薬
上記PMR抗体エピトープペプチドを有効成分として使用する場合、具体的な有効成分は、前述の(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩、及び(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加により改変されたアミノ酸配列又はそのアミノ酸配列の一部のアミノ酸配列からなり、且つPMR患者血清中の抗体と特異的な結合性を有するペプチド又はその塩、からなる群より選ばれる少なくとも1つのペプチド又はその塩である。
PMRの検査試薬の有効成分として、上記PMR抗体エピトープペプチドのいずれか1種類を単独で使用することができるが、2種以上を任意に組合わせて用いることもできる。
本発明のPMRの検査試薬は、PMR抗体と特異的に結合する抗原物質として、PMR抗体の検出や捕捉などに用いることができる。従って、この目的の範囲内において、有効成分として上記PMR抗体エピトープペプチドのみならず、該ペプチドが任意の標識化合物で標識された標識体(標識ペプチド)も含まれる。また、その他の成分を含有するものであっても良い。
上記ペプチドの標識化合物としては、当業界で通常用いられる標識化合物が適用できるが、例えば、具体的に例示すれば、3H、14C、131I及び99mTc等の放射性同位元素;β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等の酵素;フルオレスカミン、フルオレセインイソチオシアネート等の蛍光物質;ルシフェリン、ルミノール誘導体、イソルミノール誘導体等の発光物質等が挙げられる。
酵素又は放射性同位元素などで標識された本発明のペプチドを用いてPMR抗体の検出及び捕捉などをすることができる。その他、以下にも詳述するが、本発明のペプチドを標識せずに、ラジオイムノアッセイや酵素免疫測定法などの免疫測定法などを利用した検査試薬としても使用できる。
2)PMRの検査キット
被験者の血液(血清又は血漿)などの生体試料を用いて、PMRの検査を行うには、上記PMR抗体エピトープペプチドを有効成分とする検査試薬を含有する検査キットを利用することが容易で簡便である。
本発明のPMR検査キットは、前述の検査試薬をPMR抗体と結合させる目的で含むものであれば、上記の通り、本発明のPMR抗体エピトープペプチドのみならず、該ペプチドが任意の標識化合物で標識された標識体(標識ペプチド)も用いることができる。また、該ペプチドは、予め任意の支持体(固相)に固定化させて固定化物としても用いることもできる。
本発明のPMR検査キットには、上記の検査試薬のほか、後述するPMRの検査に利用する免疫測定法の種類や適用される検出方法に応じて、適宜選択して用いることができる。例えば、放射性同位体で該PMR抗体エピトープペプチドを標識した標識体を用いる場合、液体シンチレーションカウンター等の放射線検出装置が必要であり、また、酵素、蛍光物質や発光物質で標識する場合、各々の検出装置が必要であり、それらのための検出試薬、溶媒、基材等が本発明の検査キットのその他の成分として含有される。
なかでもとくに、本発明の検査キットには、上記PMR抗体エピトープペプチドを有効成分とする上記検査試薬以外のその他の成分として、ヒト免疫グロブリン(ヒトIgGともいう)を検出するための二次抗体(抗ヒトIgG抗体、例えば、抗ヒトIgGマウス抗体など)が含まれることが好ましい。なお、抗ヒトIgG抗体は、前述の標識化合物で標識されていても良く、また予め任意の支持体(固相)に固定化されていても良い。
そのほか、該検査キットには、標識化合物に応じた酵素基質や酵素、または標識化合物と酵素基質との反応を検出するための検出試薬や、測定実施の利便性のため、適切な各種試料、試薬や二次抗体等の希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄液、酵素基質溶液、反応停止液などが含まれていても良い。さらに、上記の検査試薬又は抗ヒトIgG抗体を標識又は固定化していないものを使用する場合は、検査キットのその他の成分として、前述の標識化合物や支持体(固相)を含めることもできる。
本発明のPMR検査キットは、上記のPMR抗体エピトープペプチドを有効成分とする検査試薬(該ペプチドは固定化及び/又は標識されていても良い)、抗ヒトIgG抗体(該二次抗体は固定化及び/又は標識されていても良い)、標識化合物に応じた基質(酵素を標識化合物とした場合は酵素基質、蛍光物質や発光物質を標識化合物とした場合は酵素など)、抗体希釈液、標準抗体、緩衝液、洗浄液、基質溶解液、反応停止液、支持体(固相)、及び標識化合物の中から任意に選択される少なくとも一つを組合わせたものである。本発明のPMR検査キットでは、操作の簡便性、安全性、測定感度や精度などの観点から、酵素を標識化合物として用いることが好ましい。
3)PMRの検査方法
本発明のPMRの検査方法は、被験者の生体試料を被験試料として用い、個々の被験者についてPMRの罹患の有無を検出するものである。より具体的には、PMR患者の生体試料に特有に存在する特定の抗体を指標として、個々の被験者についてPMRの罹患の有無を検出するものである。被験試料としては、被験者(ヒト)の血液(血清、血漿)、尿、汗、唾液、***又は髄液等の各種の生体試料、なかでも血清及び血漿を用いることが好ましい。
本発明のPMRの検査方法は、前記のPMR抗体エピトープペプチドを抗原物質として利用することが特徴である。すなわち、抗原であるPMR抗体エピトープペプチドに対して、被験者の生体試料中にPMR抗体が存在すると、抗原抗体反応による複合体が生成され、この複合体を検出及び測定することによりPMRの罹患の有無などを診断するものである。
抗原であるPMR抗体エピトープペプチドと、PMR患者に特有のPMR抗体との反応によって生じる複合体の検出方法は、従来公知の方法を採用することができる。例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫測定法、イムノクロマトグラフィー法等が挙げられる。これら個々の免疫学的測定法を本発明の検査方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要としない。各々の方法における通常の条件、操作方法に当業者の通常の技術的配慮を加えて測定系を構築すれば良い。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)などを参照することができる。
また、本発明のPMRの検査方法には、前記のPMR抗体エピトープペプチドを有効成分とする検査試薬又は検査キットを使用することが好ましい。
つまり、本発明のPMRの検査方法は、抗原物質として前述のPMR抗体エピトープペプチドを利用した各種の免疫測定法が採用できる。例えば、ヒト血清を被験試料とする固相化酵素免疫測定法(以下、ELISAともいう)を例示するならば、測定対象のPMR抗体は、以下の方法で検出及び測定することができる。
まず、抗原物質として用いる上記PMR抗体エピトープペプチドを支持体などに固定化し、これに被験試料としての生体試料を加える。被験試料中にPMR抗体が存在すると、固定化された該ペプチドに結合する。次に、ヒトIgGと特異的に結合し得る抗ヒトIgG抗体(二次抗体)(標識化合物で標識されたものも含む)などの検出試薬を用いて、再度抗原抗体反応及び検出反応などを行うことで、被験試料中に存在するPMR抗体を検出し測定することができる。
また他にも、抗ヒトIgG抗体などの検出試薬を、予め支持体に固定化し、これに被験試料を添加して生体試料中のPMR抗体を捕捉させ、次いで、これに上記抗原物質であるPMR抗体エピトープペプチドを加えることで、被験試料中に存在するPMR抗体を検出し、測定することも可能である。これらの測定手法における各種手段の選択やそれらの改変などはいずれも当業者の良く知るところであり、本発明においてそれら各手法をいずれも採用することができる(「臨床検査法提要」金原出版、1995年等参照)。
PMR抗体を検出するための抗ヒトIgG抗体などの検出試薬は、特に制限されることなく一般に使用されている各種市販の試薬を用いることができる。例えば、好適には、ヒトIgGに特異的に結合するマウス、ウサギ、ヤギやブタなどの異種動物に、ヒトIgGを抗原として感作させて得た抗ヒトIgG抗体などが挙げられる。これらの抗ヒトIgG抗体やヒトIgGは、前記の標識化合物で標識されていても良く、かかる標識に用いられる標識化合物は前記と同様のものが挙げられ、なかでも酵素などの標識化合物で標識されていることが好ましい。これらの標識された抗ヒトIgG抗体やヒトIgGは市販品として入手できるが、常法に従い調製することもできる。
本発明のPMR検査方法においては、操作の簡便性、安全性、測定感度及び精度等の観点から、酵素を標識化合物として用いる上記のELISA等のエンザイムイムノアッセイが好ましく採用される。酵素標識のための標識化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。また、これらの標識化合物による標識方法は、従来公知の方法に従って行うことができる(「酵素免疫測定法」第2版、石川栄治 他著、医学書院、1982年等)。
また、上記測定方法において、固相法を採用する場合の支持体としては、不溶性、不活性担体であれば特に制限されず、通常使用されているものが広く用いられる。例えば、ガラス、セファデックス、セファロース、プラスチック樹脂(ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等)などの素材からなるマイクロプレート、ビーズ、メンブレン、スティック、試験管が挙げられる。
さらに、抗原物質としての本発明のPMR抗体エピトープペプチド、あるいは二次抗体である抗ヒトIgG抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いても良く、また通常タンパク質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でも良い。
上記ELISAにおいては、固相化されたPMR抗体エピトープペプチドに被検試料を反応させ(1次反応)、さらに標識した抗ヒトIgG抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識化合物の活性を測定することにより被検液中のPMR抗体を検出または定量をすることができる。1次反応と2次反応は同時に行なっても良いし時間をずらして行なっても良い。標識化合物及び不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、ELISAによる免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いても良い。
上記の測定系において使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば一般的に使用されているものであれば良く、例えば、リン酸緩衝液(以下、PBSと略記)、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液などのpHが約6〜9程度の緩衝液及び、Tween 20、Triton X−100などの界面活性剤及びウシ血清アルブミン(以下、BSAと略記)やミルクタンパク質などの安定化剤、NaN3などの防腐剤を含んだ上記緩衝液などが挙げられる。
免疫反応条件も特に制限はなく、一般的に免疫測定法で用いられている通常の条件が適用される。通常、4〜40℃程度の温度条件下で0.5〜24時間程度を設定することができる。
上記の工程で、抗原抗体反応の複合体(標識化合物による標識体が含まれる)の測定は、使用する標識化合物の種類に応じた方法で行うことができる。例えば、標識化合物に酵素を使用した場合、標識体の酵素活性を測定するが、酵素活性の測定は、使用する酵素の種類に応じて公知の方法に従って行うことができる。
これらの酵素活性を測定する為には、酵素に応じた基質、例えばパーオキシダーゼでは3,3’,5’,5−テトラメチルベンジジン(TMBと略記)やo−フェニレンジアミン(OPDと略記)を、アルカリフォスファターゼにはp−ニトロフェニルフォスフェート(pNPPと略記)を添加して一定時間反応させた後、分光光度計などで発色を測定する方法が広く用いられている。
本発明のPMR検査方法の概要を以下に要約する。
<1>抗原物質としてPMR抗体エピトープペプチドをマイクロプレートの各ウェル内に固相化する。通常、ウェル内の非特異的な結合部位をふさぐため、BSAやカゼイン等の蛋白質、Tween20等の界面活性剤でブロッキング操作を行う。
<2>被験試料(血清あるいは血漿検体)を、必要であればBSAやカゼイン等の蛋白質、Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液(検体希釈液)で希釈し、上記の固相化されたマイクロプレートに加え、抗原抗体反応を行う(1次反応)。
<3>マイクロプレートを、できればTween20等の界面活性剤を含む緩衝液(洗浄液)で洗浄後、標識された抗ヒトIgG抗体を、BSAやカゼイン等の蛋白質、Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液(希釈液)で希釈して加え、抗原抗体反応を行う(2次反応)。
<4>マイクロプレートを、上記洗浄液で洗浄後、標識に応じた方法、放射性標識であれば放射活性を、酵素標識であれば酵素活性を測定する。
以下、本発明を更に詳しく説明する為、実施例を挙げるが、これにより本発明が限定される物ではない。
<PMR抗体エピトープペプチドの選別及びその同定>
1)T7ファージを用いたcDNAファージディスプレイライブラリーの作製
HUVEC(Human umberical vascular endotherial cell carcinoma ;RIKEN CELL BANK)培養細胞約108個より、キアゲン社製RNA抽出キットを用いて全RNAの抽出精製を行い、760μgを得た。オリゴ(dT)-セルロースカラムを用いて、34μgのポリ(A)+RNAを精製し、ランダムオリゴマー(nnnnnnCG)および逆転写酵素(キアゲン社製 Omni−RT)を用いて、1本鎖cDNAを合成した。
ついで、RNase Hと大腸菌DNAポリメラーゼIを用いて2本鎖cDNAを合成した後、T4 DNAポリメラーゼによる末端平滑化を行った。メチラーゼによるcDNAのメチル化を行った後、T4 DNAリガーゼによりリンカー配列(18mer オリゴDNA)を連結し、更に制限酵素(EcoRI及び NotI)によるcDNA末端の切断を行った後、ゲルろ過スピンカラム(クロンテック社製)で未反応のリンカー及び小サイズの切断断片を除去した。
T7ファージベクター(Novagen社製)を同じ制限酵素により切断し、上記で得られたcDNA断片をT4 DNAリガーゼによって連結させた。この連結反応溶液とT7ファージ インビトロ パッケージングキット(Novagen社製)を用いてファージ粒子を形成させ、宿主大腸菌BLT5615株に感染させて増幅した。およそ2.1 x 106サイズのcDNAライブラリーを作製した。
2)PMR患者血清抗体結合性抗原ファージのスクリーニング
宿主大腸菌BLT5615株のシングルコロニーを 50μg/mlのアンピシリンを含むLB 培地に植菌し、37℃で600 nmにおける濁度が0.5になるまで培養した。この大腸菌培養液に終濃度1mMとなるようイソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシド(以下、IPTGと略記)を添加し、37℃で30分間培養した後、(1)で作製した若しくは市販の大腸癌由来cDNAライブラリーを加えて完全に溶菌するまで37℃で培養した。溶菌後直ちに、氷上で冷却した後、遠心分離を行い溶菌細胞片を除いた上清を得た。この上清に等容のミルクバッファー(5%スキムミルクと0.1%Tween20を含有する、25mM Tris−HClバッファー[137mM NaCl、2.68mM KCl含、pH7.4](以下、TBSと略記))をファージ溶菌液として以下の操作に使用した。
マイクロプレート(Dynatec Lab.社製)に、PBSで20μg/mlに希釈したプロテインG(SIGMA社製)を添加し、4℃で一晩反応させた。反応後、ミルクバッファーで洗浄した後、同バッファーでブロッキングして、プロテインG結合プレートを作製した。
PMR患者21人より得られた血清検体から1人乃至3人分の血清プールを0.05% NaN3を含むPBSで希釈し、プロテインG結合プレートに添加した。22℃で2時間静置して血清中の抗体をプレートに結合させた後、ミルクバッファーで3回洗浄して、リウマチ性多発筋痛症患者血清中抗体結合プレートを作製した。
PMR患者血清中抗体結合プレートに、上記のファージ溶菌液(約1×1011pfuのファージタイター)を添加し、室温で3時間緩やかに振盪しながら抗原発現ファージを結合させた。ミルクバッファー及びTBSでプレートを洗浄して未結合のファージ懸濁液を除いた後、0.5%のSDSを含むPBSを添加し、室温で20分間振盪してプレートに結合したファージを溶出し、これをファージ溶出液とした。
3)ファージプラーク免疫染色およびPMR患者血清抗体結合性抗原ファージの単一化
こうして得られたファージ溶出液を宿主大腸菌BLT5615に感染させ、50μg/mlのアンピシリン及び1mM IPTGを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で3時間培養してプラークを形成させた。4℃で1時間静置した後、ニトロセルロースメンブレン (OSMONICS社製)をかぶせ、室温で5分間静置してファージ粒子をメンブレン上に転写した。
メンブレンをミルクバッファーでブロッキングした後、同バッファーで希釈したPMR患者血清液中に浸し、4℃で一晩穏やかに振盪した。このメンブレンを、ミルクバッファーを用いて3回洗浄した後、同バッファーで1/5000希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体(SIGMA社製)溶液に浸し、室温で1時間穏やかに振盪した。
このメンブレンを、ミルクバッファーを用いて3回洗浄した後、100mM Tris−HCl[100mM NaCl、5mM MgCl2含、pH9.5](以下、APバッファーと略記)で洗浄し、発色溶液[0.33mg/ml ニトロブルーテトラゾリウム(以下、NBTと略記)及び0.165mg/ml ブロモクロロインドリルフォスフェイト(以下、BCIPと略記)]を含むAPバッファー中に浸して室温で発色させた。
免疫染色された単ファージプラークを掻き取り、50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に懸濁し、その一部を宿主大腸菌BLT5615培養液に添加して37℃で完全に溶菌するまで培養した。この溶菌液を遠心して溶菌細胞片を除いた上清にCHCl3を終濃度0.3%になるように加え、これをクローン化したPMR患者血清抗体結合性抗原ファージ溶液として4℃で保存した。
4)ファージELISA
宿主大腸菌BLT5615培養液に、上記3)で得られたPMR患者血清抗体結合性抗原ファージを添加して37℃で完全に溶菌するまで培養した。この溶菌液を遠心して溶菌細胞片を除いた上清に4倍量のミルクバッファーを加えたものを1次反応液として以降の操作に使用した。
マイクロプレートに、PBSで1μg/mlに希釈した抗T7ファージ抗体(ウサギポリクローナル抗体)を添加し、4℃で一晩反応させた。反応後、ミルクバッファーで洗浄した後、同バッファーでブロッキングして、抗T7ファージ抗体結合プレートを作製した。
上記1次反応液を抗T7ファージ抗体結合プレートに添加し、22℃で2時間穏やかに振盪させてファージをプレートに結合させた後、ミルクバッファーで3回洗浄した。同バッファーで1/250希釈した各種血清(PMR患者、関節リウマチ患者または健常人由来)を添加し、22℃で1時間静置した後、同バッファーで6回洗浄した。同バッファーで1/5000希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体溶液を添加し、22℃で1時間静置した後、同バッファーで6回洗浄した。更にAPバッファーで洗浄した後、p−ニトロフェニルフォスフェート溶液(SIGMA社製)を添加し、22℃で40分間反応させた。停止液(2N NaOH)を添加して反応を停止した後、プレートリーダーにて吸光度(405nm)を測定し、血清中の抗体価を比較した。反応性の結果からPMR患者血清に特異性の高かったクローン(便宜上、PMR#111と略記)を選択した。
5)抗原ペプチドをコードするDNA塩基配列及びアミノ酸配列の決定
上記ファージELISAによって選択したPMR患者血清抗体結合性抗原ファージを宿主大腸菌BLT5615に感染させ、溶菌させた。得られた溶菌液からキアゲンラムダキット(キアゲン社製)を用いてファージDNAを抽出した。ファージDNAの挿入cDNA塩基配列の決定は、ダイデオキシ法に従い実施した。得られた挿入cDNA塩基配列から決定したクローンPMR#111のアミノ酸配列を1文字表記として表1に示す。
Figure 2006040958
クローンPMR#111のアミノ酸配列を直鎖状ペプチド(便宜上、TPP−111と略記する)として合成及び精製し(SIGMA GENOSIS社に合成依頼)、PMR抗体エピトープペプチドとして以降の実験に使用した。表2に作製したペプチドの性質を示す。
Figure 2006040958

表2のなかで、分子量の単位はkDaであり、純度は液体クロマトグラフィーによる分析(225nm吸光度測定)結果から得られた面積比率である。また、疎水性度は疎水性アミノ酸の含有比率である。
<TPP−111の血清検体に対する反応性>
実施例1で得られたPMR抗体エピトープペプチドを抗原としてELISAを実施し、各種血清(PMR患者、関節リウマチ患者または健常人由来)に対する反応性を調べた。
マイクロプレートに、PBSで2μg/mlに希釈したTPP−111を添加し、4℃で一晩反応させた。反応後、ブロッキングバッファー(2%BSA、5%シュクロース、0.1%NaN3を含むPBS)で洗浄した後、同バッファーでブロッキングして、ペプチド固相化プレートを作製した。
検体希釈液(1%BSA、0.1%Tween20を含むPBS)で1/100希釈した各種血清(PMR患者血清30検体、関節リウマチ患者血清47検体、健常人血清48検体)を添加し、22℃で1時間静置した後、洗浄バッファー(0.1%Tween20を含むPBS)で6回洗浄した。同バッファーで1/4000希釈したHRP標識抗ヒトIgG抗体(DAKO)溶液を添加し、22℃で1時間静置した後、同洗浄バッファーで8回洗浄した。発色基質としてTMB溶液(DAKO社製)を添加し、22℃で30分間反応させた後、停止液(2N H2SO4)を添加して反応を停止して、プレートリーダーにて吸光度(450−600nm)を測定した。測定結果を散布図として図1に示す。
この結果に基づいて有意差検定を行ったところ、TPP−111のペプチドはPMR患者血清との反応性が関節リウマチ患者または健常人血清のものよりも有意に高値を示した。また、健常人血清48検体の測定値平均+2SDをカットオフ値にした時の陽性患者血清数および陽性率を表3に示す。
Figure 2006040958
表3に示すように、PMR患者血清に対する陽性率は、43.3%(13/30)であったのに対し、偽陽性率は関節リウマチ患者が8.5%(4/47)、健常人血清が4.2%(2/48)であった。以上の結果より、TPP−111はPMR患者血清中の抗体と特異的に結合すること、及び本測定法をPMRの罹患の有無およびその他の類縁疾患、特に関節リウマチとの鑑別に利用できる事が示された。
<PMR抗体エピトープペプチドのホモロジー検索>
得られたPMR抗体エピトープペプチド(TPP−111)のアミノ酸配列について、BLAST検索を行い、アミノ酸配列相同性をもつペプチド若しくはタンパク質を検索した。結果を図2に示す。TPP−111は、CA125やmethothelinといった癌関連タンパク質や、病原性細菌など感染症との関連を示唆するタンパク質との一致がみられた。
本発明のPMR抗体エピトープペプチド及び当該ペプチドを用いた検査試薬は、PMR罹患の有無を、簡便且つ迅速で正確な測定が可能であり、PMRの診断に極めて有益な診断薬及び検査方法として利用することができる。
実施例1で得られたPMR抗体エピトープペプチド(TPP−111)について、PMR30例、関節リウマチ47例の患者血清および健常人血清48例に対する反応性をELISAにより測定し、結果を散布図として表した図である。図中、*、**、***、****はそれぞれのペプチドとPMR患者血清との反応性を、関節リウマチ血清及び健常人血清との反応性と比較した際の統計学的有意差を表す(NS:p>0.05、***:p<0.005)。また、点線はカットオフ値を表す。
タンパク質データベースよりBLAST検索により判明した、TPP−111とアミノ酸配列に相同性のあるタンパク質を表した図である。図中、|はアミノ酸が一致する事を、:は類似性のある事を示す。

Claims (4)

  1. リウマチ性多発筋痛症抗体エピトープとしての性質を有する下記ペプチド(a)又は(b)。
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はその塩。
    (b)配列番号1で表されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加により改変されたアミノ酸配列を有し、且つリウマチ性多発筋痛症患者血清中の抗体と結合性を有するペプチド又はその塩。
  2. リウマチ性多発筋痛症抗体エピトープとしての性質を有する前記ペプチド(a)又は(b)を有効成分として含有するリウマチ性多発筋痛症の検査試薬。
  3. 請求項2に記載の検査試薬をリウマチ性多発筋痛症抗体に対する抗原物質として含有するリウマチ性多発筋痛症の検査キット。
  4. 生体試料中の、前記ペプチド(a)又は(b)に結合性を有する抗体の有無を検出する工程を含むリウマチ性多発筋痛症の検査方法。

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