しかしながら、上述の如きOPCでは、試し書きデータを用いて最適パワーを算出している。一方、実際に記録動作を行なう場合には、実データを用いて記録を行なう。このため、試し書きデータと実データとの相違により、必ずしも最適パワーが求められるとは限らないという技術的な問題点を有している。更には、上述の如きOPCでは、例えばディスクの所定の位置に設けられたOPCエリアにおいて試し書きデータを記録してキャリブレーションを行っている。しかし、ディスクの製造工程における製造条件のばらつき等により、ディスクの全面に渡って記録特性が均一ではないという技術的な問題点を有している。このため、係るOPCエリアでのOPCによっても、例えば該エリアに対して相対的に遠い位置に位置する部分においては、最適パワーを設定することができないという技術的な問題点を有している。
また、ランニングOPCにおいても、例えばレーザを用いてデータを記録する場合にあっては、記録動作時の反射光量を測定するにすぎず、必ずしも最適パワーが求められるとは限らないという技術的な問題点を有している。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばより最適な記録パワーによって、情報を記録することを可能ならしめる情報記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような情報記録装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
(情報記録装置)
本発明の情報記録装置は上記課題を解決するために、調整可能な記録パワーを有する記録用レーザ光で情報記録媒体に情報を記録する記録手段と、前記記録手段を制御することで、少なくとも前記記録パワーを複数通りに変更しつつ、前記記録手段が前記情報を記録する際に用いるデータに相当する実データを記録し、前記記録パワーの最適値を求める最適化手段と、前記記録手段における前記記録パワーを前記求められた最適値となるように調整する調整手段とを備える。
本発明の情報記録装置によれば、例えば光ピックアップ、バッファ、エンコーダ等からなる記録手段により、例えばDVDやCD等の情報記録媒体に映像情報や音声情報を含んでなるコンテンツ情報或いはコンピュータ用のデータ情報等を含む各種情報を記録する。このとき、記録手段は、記録用のレーザ光を情報記録媒体に照射することで、各種情報を記録する。
本発明では特に、例えばCPU、エンベロープ検波器等を含んで構成される最適化手段を備えており、記録手段が情報の記録動作時に実際に用いるデータに相当する実データを記録することで、記録パワーの最適値を求めることが可能に構成されている。より具体的には、最適化手段は、まず記録パワー調整用の実データを情報記録媒体に記録する。尚、実データとして、例えば情報記録媒体としてのDVDを例にあげると、所定のデータに対してECCデータを付加し且つDVD変調を加えたデータを用いる。即ち、実際のコンテンツ情報等を記録する場合と同様のデータを記録する。この点で、実際のコンテンツ情報を記録する場合と異なるデータを用いる通常のOPC(或いは、ランニングOPC)と異なる。そして、記録した実データに基づいて最適値を求める。ここでは、例えばOPCと同様の動作により、最適値を求めてもよい。
そして、例えばCPU、ドライバ/ストラテジ回路等を含んで構成される調整手段は、記録手段の記録パワーが、最適化手段により求められた最適値となるようにその記録パワーを調整する。これにより、通常のOPCの如く特殊な記録パターンを用いて最適値を求めるのではなく、実データを用いて最適値を求めている。従って、実際の記録条件に即した最適値に係る記録パワーにて情報の記録を行なうことが可能となる。
尚、記録中に記録パワーの調整を行なう技術として「ランニングOPC」があるが、これは情報を記録しながら記録レーザの反射光量を検出することで、情報記録媒体上の記録状態を把握し、適宜記録パワーの調整を行なうに過ぎない。しかるに、本発明では、記録中に実データを記録し、その実データを元に記録パワーの調整を行っているため、より実際の記録時の条件に適合した最適値を求めることができるという大きな利点を有している。
以上の結果、本発明に係る情報記録装置によれば、実データを用いて記録パワーの調整を行なうことで、実際の記録条件に適合した、即ち、より好適に記録パワーの調整が可能となる。
なお、これらの記録パワーの調整は、所定の周期毎に行ってもよいし、或いは不定期に行ってもよい。また、当該情報記録装置のユーザの指示に応じて行ってもよいし、例えばマイコン等の指示により自動的に行ってもよいし、或いは記録手段が記録する情報の位置が大きく変化する(例えば、後述の円盤状の光ディスクであれば、内周側から外周側へ記録する位置が変化する)場合に行ってもよい。
本発明の情報記録装置の一の態様では、所定の記録パターンを用いて前記記録パワーの較正値を求める較正手段を更に備え、前記最適化手段は、前記較正手段により求められた前記記録パワーの較正値を基準として、前記記録パワーを複数通りに変更させることで前記最適値を求める。
この態様によれば、例えば通常のOPC等により予め求められた記録パワーの較正値に基づいて最適値を求めることが可能となる。その際、該較正値がある程度適切な記録パワーの値であることを考慮して、該構成値を基準として、記録パワーを複数通りに変更すれば、当該記録パワーの変更に係る処理負担を軽減することが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適化手段は、前記記録手段を制御することで、前記最適値を装置判別情報と共に前記情報記録媒体に記録する。
この態様によれば、装置判別情報を読み取ることで、比較的容易に最適値に相当する記録パワーにて情報を記録することが可能となる。また、最適値及び装置判別情報が情報記録媒体に記録されているため、情報記録装置の種類等によらず、最適値に相当する記録パワーにて情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適化手段は、前記情報記録媒体に前記求められた前記最適値が記録されている時、当該最適値を基準として前記記録パワーを複数通りに変更させる。
この態様によれば、最適化手段により求められた最適値を基準として新たな最適値を求めることができるため、最適値を求めるための処理負担の軽減を図ることができる。
上述の如く最適値を基準として記録パワーを複数通りに変更する情報記録装置の態様では、前記最適化手段は、前記情報記録媒体に前記求められた前記最適値が記録されていないが、前記求められた前記較正値が記録されている時、当該較正値を基準として前記記録パワーを複数通りに変更するように構成してもよい。
このように構成すれば、最適化手段により求められた最適値がなくとも、較正手段により求められた較正値を基準として新たな最適値を求めることができるため、最適値を求めるための処理負担の軽減を図ることが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適化手段は、前記情報のうちコンテンツ情報が記録される部分であるデータ記録エリア内に前記実データを記録することで、前記最適値を求める。
この態様によれば、映画や音楽等の実際のコンテンツ情報を記録するデータ記録エリアにおいて実データの記録することで最適値を求めるため、より実際の記録時の状態に即した最適値を求めることが可能となる。なお、通常のOPCによるキャリブレーション(即ち、予め行なわれる較正)は、データ記録エリアではなく、後述の管理情報エリア(例えば、リードインエリア等)においてOPC用のデータを記録して最適値を求めている。しかしながら、情報記録媒体の部分領域毎の記録特性の相違によっては、そのように求められた最適値では、情報記録媒体全体に渡って好適な記録ができるとは限らなかった。しかるにこの態様では、実際に情報を記録するデータ記録エリアでキャリブレーションを行なうことができるため、情報記録媒体の部分領域毎の記録特性に左右されない記録パワーの最適値を求めることができる。
また、複数の記録層を有する情報記録媒体であれば、夫々の層においても実データを記録することで、夫々の層により好適な最適値を求めることが可能となる。更に、当該データ記録エリアの複数の個所において最適値を求めれば、部分領域毎に最適な複数の記録パワーを使い分けることで、より好適な記録動作を行なうことが可能となる。
上述の如くデータ記録エリアに実データを記録する情報記録装置の態様では、前記最適化手段は、前記データ記録エリア内に位置すると共に前記最適値を求めた後に前記記録手段が前記情報の記録を行なうべき記録領域に相隣接する記録領域に前記実データを記録することで、前記最適値を求めるように構成してもよい。
このように構成すれば、記録動作を行なう記録領域における情報記録媒体の記録特性をも考慮した最適値を求めることが可能となる。即ち、通常のOPCでは考慮することのできない情報記録媒体の記録領域の部分毎の記録特性の相違に応じて、より最適な記録パワーを実現することが可能となる。
尚、本発明における「相隣接する記録領域」とは、文字通り隣り合う記録領域を含むほか、記録を行なうべき場所と記録特性が同一程度の近傍部分をも含んだ広い趣旨である。
上述の如くデータ記録エリアに実データを記録する情報記録装置の態様では、前記実データが記録される部分の再生が可能であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により再生可能でないと判定された場合、前記実データが記録される部分を使用不可能エリアとして登録するように前記記録手段を制御する制御手段を備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、最適値を求めるために実データを記録した部分であって、再生ができない部分を誤って再生するという不都合を防ぎ、その結果例えば情報再生装置をしてその後適切に再生せしめることが可能となる。
上述の如く使用不可能エリアとして登録する情報記録装置の態様では、前記情報記録媒体は多層の情報記録媒体であって、前記制御手段は、前記使用不可能エリアとして登録された一の層における前記実データを記録した記録領域に対応する他の層における記録領域を合わせて使用不可能エリアとして登録するように前記記録手段を制御するように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば一の層に実データを記録した場合においても、当該一の層への実データの記録により他の層に与えうる影響を抑止し、より信頼性のある情報の記録が可能となる。より具体的には、例えば2層の記録層を有する情報記録媒体であれば、記録手段から見て奥側にある記録層へ実データを記録した場合、当該実データの記録に起因して、奥側の記録層のみならず、記録手段と奥側の記録層との間にある手前側の記録層へも何らかの影響が及んでいると推測される。この場合、手前側の記録層のうち、何らかの影響が及んでいると推測される記録領域を使用不可能エリアとして登録する。
なお、本発明における「一の層における実データを記録した記録領域に対応する他の層における記録領域」とは、例えば一の層のトラック番号100の位置における記録領域に実データを記録した場合、他の層のトラック番号100の位置における記録領域のみならず、その実データの記録による影響が及んでいると推測される周辺の記録領域部分をも含めて使用不可能エリアとして登録する趣旨である。即ち、本発明における「対応する」とは、例えば一の層とトラック番号が同一である他の層の記録領域のみならず、実データの記録による影響が及びうる周辺の記録領域部分をも含み得ることを示す趣旨である。但し、一の層とトラック番号が同一である他の層の記録領域を使用不可能エリアとして登録することも、当然本発明の範囲に含まれるものである。
上述の如く多層の情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置の態様では、前記判定手段は、前記最適化手段が、前記最適値と比較して大きな値の記録パワーで前記実データの記録を行った場合に、再生可能でないと判定するように構成してもよい。
例えば通常の記録動作(例えば、最適値による記録パワーでの記録動作)と比較して大きな値の記録パワーにて実データを記録した場合、当該実データが記録された部分は、記録層が破壊されているおそれがある。従って、このように構成すれば、記録層が破壊されているおそれがある記録領域を適切に使用不可能エリアとして登録することが可能となる。また、実際に実データを記録した記録領域を再生しなくとも、実データを記録した際の記録パワーを参照すれば、比較的容易に再生可能か否かの判定を行なうことができる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適化手段は、前記情報のうちコンテンツ情報の再生に関する管理情報が記録される部分である管理情報エリアに前記実データを記録することで、前記最適値を求める。
この態様によれば、本来コンテンツ情報等ではない最適値を求めるための実データを、コンテンツ情報等と分けて記録することができる。従って、コンテンツ情報の再生中において、実データに誤ってアクセスしコンテンツ情報の再生が妨げられるといった不都合を防ぐことが可能となる。
上述の如く管理情報エリアに実データを記録する情報記録装置の態様では、前記情報記録媒体は、前記管理情報エリアを複数備えており、前記最適化手段は、前記複数の管理情報エリアのうち前記最適値を求めた後に前記記録手段が前記情報の記録を行なうべき記録領域に相対的に近接する一の管理情報エリアに前記実データを記録するように構成してもよい。
このように構成すれば、情報の記録を行なう記録領域により近い場所において実データの記録を行い、その部分の記録特性等を考慮した最適値を求めることが可能となる。より具体的には、例えば後述の如く、管理情報エリアの一例たるリードインエリアとリードアウトエリアとを有する情報記録媒体にあっては、情報の記録を行なうべき記録領域がリードインエリアにより近ければ、リードインエリアにて実データの記録を行なうことが好ましい。他方、リードアウトエリアにより近ければ、リードアウトエリアにて実データの記録を行なうことが好ましい。従って、上述の如くデータ記録エリアにおいて実データの記録を行なわなくとも、より好適な最適値を求めることが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様は、前記情報記録媒体は、前記情報の追記に関わる追記管理エリアを備えており、前記最適化手段は、追記すべき前記情報が記録されるデータ記録エリアに隣接する前記追記管理エリアにおいて前記実データを記録することで前記最適値を求める。
この態様によれば、これから情報を記録しようとするデータ記録エリアに隣接する追記管理エリアに実データを記録するため、記録位置の相違による記録特性の違いをも考慮したより好適な最適値を求めることが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適化手段は、前記実データを読み込んで得られるジッタ及びアシンメトリ、並びに前記実データを読み込む際の読込エラーレートのうち少なくとも一つを測定することで前記最適値を求める。
この態様によれば、最適化手段が測定したこれらのパラメータに基づいて、例えば、ジッタが少なくなるように、アシンメトリが最小となるように、またエラーレートが最小になるように記録パワーを調整することができ、その結果、より好適な最適値を求めることが可能となる。尚、ジッタ、アシンメトリ及びエラーレートについては、後述の実施例中において詳述する。
尚、本発明の情報記録装置の他の態様では、前記最適化手段は、前記記録手段を制御することで、前記最適値を前記情報記録媒体に記録する。
この態様によれば、最適化手段は、過去において実データの記録により求められた最適値に係るデータを比較的容易に参照することが可能となると共に、記録された最適値を参照して、より好適な記録パワーで記録された実データにより最適値を求めることも可能となる。尚、最適値を記録する位置はデータ記録エリアでもよいし、管理情報エリアであってもよいし、或いはその他のエリアであってもよい。要は、情報記録媒体上に最適値が記録されており、且つ読み込んで利用することができれば足りるものである。加えて、当該情報記録装置が、最適値を記録する格納手段(例えばRAMやフラッシュメモリ、ハードディスク等)を備えていれば、該格納手段に記録してもよい。
(情報記録方法)
本発明の情報記録方法は上記課題を解決するために、調整可能な記録パワーを有する記録用レーザ光で情報記録媒体に情報を記録する記録手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記記録手段を制御することで、少なくとも前記記録パワーを複数通りに変更しつつ、前記記録手段が前記情報を記録する際に用いるデータに相当する実データを記録し、前記記録パワーにおける最適値を求める最適化工程と、前記記録手段における前記記録パワーを前記求められた最適値となるように調整する調整工程とを備える。
本発明の情報記録方法によれば、最適化工程において、実データを記録して最適値が求められ、調整工程において記録手段の記録パワーの調整がなされる。従って、上述した本発明の情報記録装置と同様の各種利益を享受することが可能である。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録方法も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラム)
本発明に係るコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを上述した情報記録装置(但し、その各種形態も含む)として機能させる。より具体的には、コンピュータを上述した情報記録装置における記録手段、最適化手段及び調整手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記記録手段、最適化手段及び調整手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記記録手段、最適化手段及び調整手段の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した前記記録手段、最適化手段及び調整手段の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置及び方法は、記録手段、最適化手段及び調整手段、又は最適化工程及び調整工程を備える。従って、実データを用いて記録パワーの調整を行なうことで、実際の記録条件に適合した調整が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
先ず、図1を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例において用いられる情報記録媒体について説明する。本実施例では、情報記録媒体として光ディスクを用いて説明を進める。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものである。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データ記録エリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウオブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、後述するように、リードインエリア104やリードアウト108は更に細分化された構成であってもよい(図6等参照)。
続いて、図2から図13を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例について説明する。
(情報記録装置の基本構成)
先ず、図2を参照して本実施例に係る情報記録装置の基本構成について説明する。ここに、図2は、本実施例に係る情報記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図2に示すように、情報記録装置1は、光ピックアップ501と、スピンドルモータ502と、ヘッドアンプ503と、ドライバ/ストラテジ回路504と、バッファ505と、DVDモジュレータ506と、データECC(Error Correction Code)生成器507と、バッファ508と、インタフェース509と、総和生成器520と、デモジュレータ521と、ピットデータECC回路522と、ドロップアウト検出器523と、プッシュプル生成器530と、LPF(Low Pass Filter)531と、BPF(Band Pass Filter)532と、HPF(High Pass Filter)533と、TE(Tracking Error)検出器534と、ウォブル検出器535と、LPP(Land Pre Pit)検出器536と、FE(Focus Error)検出器537と、サーボユニット540と、記録クロック生成器541と、LPPデータ検出器542と、デトラック検出器550と、CPU560とを有している。
光ピックアップ501は、本発明における「記録手段」の一具体例であり、光ディスク100への記録又は再生を行なうもので、半導体レーザ装置、各種レンズ、アクチュエータ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ501は、光ディスク100に対してレーザ光等の光ビームBを、書き込み光として所定のパワーで且つ変調させながら照射する。光ピックアップ501は、サーボユニット540の制御により駆動される図示しないアクチュエータ、スライダ等により、トラッキングサーボに応じて光ディスク100の半径方向等に移動できるように構成されている。加えて、サーボユニット540の制御により、フォーカスサーボに応じて光ビームBの焦点を変化させ、フォーカス制御可能に構成されている。
更に、光ピックアップ501は、図示しない4分割検出回路を備える。4分割検出回路は、光ビームBの反射光を図2の上方に示す領域A、B、C、Dに4分割し、各領域の光量に応じた信号を各々出力する。
スピンドルモータ502は、サーボユニット540等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
ヘッドアンプ503は、光ピックアップ501の各出力信号(即ち、光ビームBの反射光)を各々増幅し、領域Aに対応する分割読取信号a、領域Bに対応する分割読取信号b、領域Cに対応する分割読取信号c、及び領域Dに対応する分割読取信号dを出力する。
ドライバ/ストラテジ回路504は、最適な記録パワーの決定が行なえるように、光ピックアップ501内に設けられた半導体レーザを駆動する。その後、ドライバ/ストラテジ回路504は、データ記録時には、前述のOPC処理や後述の実データOPC処理により決定された記録パワーにおける最適値で、光ピックアップ501の半導体レーザを駆動するように構成されている。このデータ記録時には、最適な記録パワーは、記録データに応じて変調される。
尚、OPC処理とは、適切な記録パワーの検出(即ち、記録レーザパワーのキャリブレーション)処理である。より具体的には、例えば後述のOPCエリア110(図7等参照)に、例えば3Tパルスに相当する短ピット及び11Tパルスに相当する長ピットを夫々同一の長さの無記録区間と共に交互に形成し、この動作を例えば16個の異なるレーザパワーにて行なうことで、アシンメトリ(Asymmetry)の影響を最小にし、最も優れた再生品質が得られるように記録するための記録パワーを算出する。また、「アシンメトリ」とは、光ディスクの量産時に短ピット又は長ピットがその長さ方向の前後に同じ量だけ、少しずつ長く、或いは短くなる現象である。
バッファ505は、DVDモジュレータ506より変調された記録データを格納し、ドライバ/ストラテジ回路504に出力可能に構成されている。
DVDモジュレータ506は、記録データに対してDVD変調を施し、バッファ505に出力可能に構成されている。DVD変調として、例えばEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調が施されてもよい。
データECC生成器507は、インタフェース509より入力される記録データに対してエラー訂正用の符号を付加する。具体的には、所定のブロック単位(例えば、ECCクラスタ単位)毎にECCコードを付加し、DVDモジュレータ508へ出力する。
バッファ508は、インタフェース509より入力される記録データをバッファリングし、適宜データECC生成器507に出力する。また、ピットデータECC回路522より出力される再生データをバッファリングし、適宜インタフェース509を介して外部出力機器に出力する。
インタフェース509は、外部入力機器より記録データの入力を受け付け、また外部出力機器に対して再生データを出力可能に構成されている。
従って、通常のデータの記録時においては、バッファ508を介してインタフェースより入力される記録信号に対して、データECC生成器507においてECCが付加され、その後DVDモジュレータ506においてDVD変調がかけられる。そして、バッファ505を介してドライバ/ストラテジ回路504に出力されることで、最適値による記録パワーで光ピックアップを駆動し、光ディスク100に記録していく。
総和生成回路520は、分割読取信号a、b、c、及びdを加算して、総和読取信号SRF(即ち、本発明における「RF信号」の一具体例)を出力する加算回路からなる。なお、総和読取信号SRFは、記録マークの長短を表す信号である。
デモジュレータ521は、総和読取信号SRFに基づいてピットデータを再生する。より具体的にはデモジュレータ521は、例えば再生用の同期信号を基準位置として、再生されたピットデータを所定のテーブルを用いて復調して再生データを生成する。例えば、変調方式としてEFM変調が採用される場合には、14ビットのピットデータを8ビットの再生データに変換する処理が施される。そして、再生データの順序を予め定められた規則に従って並べ換えるデスクランブル処理が実行されて、処理済の再生データが出力される。
ピットデータECC回路522は、デモジュレータ521において生成された再生データに対してエラー訂正処理や補間処理等を施す。その後、当該再生データは、バッファ508を介してインタフェース509に出力され、例えばスピーカやディスプレイ等の外部出力機器において再生されることとなる。
ドロップアウト検出器523は、総和生成器520より総和読取信号SRFが出力されているか否かを検出可能に構成されている。そして、その検出結果、即ち、総和読取信号SRFが出力されている、又は出力されていない旨を、デトラック検出器550に出力する。
プッシュプル信号生成器530は、分割読取信号を用いて、(a+d)−(b+c)を算出して、プッシュプル信号を生成する。成分(a+d)は、読取方向に対して左側の領域A及びDに対応する一方、成分(b+c)は、読取方向に対して右側の領域B及びCに対応する。そして、プッシュプル信号の値は光ビームBとピットの相対的な位置関係を表している。
LPF531は、プッシュプル生成器530より出力されるプッシュプル信号のうち、高周波数域側の信号成分をカットし、低周波数域側の信号成分をTE検出器534へ出力する。即ち、ここでは、トラッキングエラー信号成分が抽出され、TE検出器534へ出力される。
BPF532は、プッシュプル生成器530より出力されるプッシュプル信号のうち、ウォブル信号に係る信号成分を抽出してウォブル検出器535へ出力する。
HPF533は、プッシュプル生成器530より出力されるプッシュプル信号のうち、低周波数域側の信号成分をカットし、高周波数域側の信号成分をLPP検出器536へ出力する。即ち、ここでは、LPP信号が抽出され、LPP検出器536へ出力される。
TE検出器534は、LPF531を介して入力されたプッシュプル信号のうちのトラッキングエラー信号成分より、トラッキングエラーを検出する。そして、トラッキングエラー信号をサーボユニット540へ出力する。また、このトラッキングエラー信号はデトラック検出器550へも出力される。
ウォブル検出器535は、BPF532を介して入力されたプッシュプル信号のうちのウォブル信号成分を検出すると共に、当該ウォブル信号の周期に基づいて、例えば、ウォブル信号の一周期の自然数倍の長さに相当するスロット単位を基準とした相対位置情報を検出する。そして、この相対位置情報を記録クロック生成器541へ出力するように構成されている。また、この相対位置情報は、サーボユニット540及びLPPデータ検出器542へも出力される。
LPP検出器536は、HPF533を介して入力されたプッシュプル信号のうちのLPP信号成分を検出するとともに、当該LPP信号に基づいて、LPP(ランドプリピット)により示されたプリフォーマットアドレス情報を検出する。そして、当該プリフォーマットアドレス情報を記録クロック生成器541へ出力するように構成されている。またこのプリフォーマットアドレス情報はサーボユニット540及びLPPデータ検出器542へも出力される。
FE検出器537は、総和生成器520より出力される総和読取信号SRFより、4分割ディテクターにおける信号強度の分布に基づいてフォーカスエラーを検出する。そして、フォーカスエラー信号をサーボユニット540へ出力する。また、このフォーカスエラー信号は、デトラック検出器550へも出力される。
サーボユニット540は、光ピックアップ501の受光結果を処理して得られるトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、ウォブル信号及びLPP信号等に基づいて、光ピックアップ501の対物レンズを移動し、これによりトラッキング制御、フォーカス制御或いはスピンドル制御等の各種サーボ処理を実行する。
記録クロック生成器541は、ウォブル検出器535から出力されたウォブル信号の周期(或いは、相対位置情報)及びLPP検出器536から出力されたプリフォーマットアドレス情報に基づいて、データ記録を行なう基準クロックを示すタイミング信号を生成して出力する。よって、データ記録時における記録開始位置がプリフォーマットアドレス情報の管理単位から開始されるか否かにかかわらず、その記録開始位置を特定することが可能である。
LPPデータ検出器542は、LPP検出器536より出力されるLPP信号より、記録時に必要な各種管理情報等を取得可能に構成されている。例えば、後述の如く、LPPにより記録されている推奨記録パワーや推奨ストラテジ等を取得可能に構成されている。
デトラック検出器550は、光ディスク100へのデータの記録中に、デトラックが発生しているか否かを検出可能に構成されている。より具体的には、デトラック検出器550には、TE検出器534よりトラッキングエラー信号が夫々入力され、且つFE検出器537よりフォーカスエラー信号が入力され、これらの信号が所定の値よりも大きいか否かを監視可能に構成されている。また、デトラック検出器550は、総和生成器520より出力される総和読取信号SRFの入力があるか否かを、ドロップアウト検出器523の出力としてモニター可能に構成されている。更に、デトラック検出器550は、光ピックアップ501が記録を行なうタイミング(或いは、ウォブル信号の周期)と記録クロック生成器541が生成するタイミング信号とを比較可能に構成されている。また、光ピックアップ501が記録している位置におけるプリフォーマットアドレス情報(或いは、物理アドレス値)をモニター可能に構成されている。この場合、デトラック検出器550には、図示しない信号線によりLPP検出器536よりプリフォーマットアドレス情報を取得可能に構成されていることが好ましい。更に、光ディスク100が多層の記録層を有する光ディスクであれば、各々の層を識別する層フラグを検出可能に構成されていることが好ましい。
そして、デトラック検出器550は、これら監視している信号やフラグ等に基づいて、記録中の光ディスク100においてデトラックが発生しているか否かを検出する。これらの信号のうち少なくとも一つが異常な値を示していればデトラックが発生していると判断してもよいし、或いは、これらの信号のうち2つ以上の組合せが異常な値を示していればデトラックが発生していると判断してもよい。
加えて、デトラック検出器550は、光ディスク100上におけるデトラックが発生した位置(例えば、光ディスク100上における物理アドレス値)とデトラックの発生後光ディスク100に対して誤記録を行った時間を検出可能に構成されていてもよい。
CPU560は、例えば、ドライバ/ストラテジ回路504、サーボユニット540、LPPデータ検出器542、デトラック検出器550等の各手段へ指示する、即ちシステムコマンドを出力することで、情報記録装置1全体の制御を行なう。また、デトラックの発生がデトラック検出器550より入力されれば、以後のデータの記録を停止させるような指令を光ピックアップ50等に出力するように構成することが好ましい。通常、CPU560が動作するためのソフトウェアは、内部又は外部のメモリ内に格納されている。
OPCパターン生成器570は、本発明における「較正手段」の一具体例であって、OPC処理におけるOPCパターンの記録時の、記録クロック生成器541からのタイミング信号に基づいて、OPCパターンを示す信号を光ピックアップ501に対して出力するように構成されている。更に、これらのOPCパターンを示す信号を、その記録パワーを順次段階低に切り替えながら記録するように、ドライバ/ストラテジ回路504に指示するように構成してもよい。
エンベロープ検波器571は、OPC処理におけるOPCパターンの再生時に、CPU560の制御の下で、最適値を求めるために、SRF信号のエンベロープ検波のピーク値及びボトム値を検出するように構成されている。そして、そのピーク値及びボトム値より後述のアシンメトリを検出可能に構成されている。なお、「アシンメトリ(Asymmetry)」とは、光ディスクの量産時に短ピット又は長ピットがその長さ方向の前後に同じ量だけ、少しずつ長く、或いは短くなる現象である。本実施例では、後述される「アシンメトリ値」によってこのアシンメトリの影響の度合いが定量的に示される。
また、エンベロープ検波より時間軸上でのブレを示すジッタを検出可能に構成されている。そしてエンベロープ検波器571は、例えばA/D(Analog/Digital)コンバータ等を含んで構成されていてもよい。加えて、実データOPCを行なった際にも、同様にアシンメトリやジッタを検出することができる。
本実施例では特に、以下に説明する如き「実データOPC」を実施するために、本発明に係る「最適化手段」の一例が、CPU560、エンベロープ検波器571等から構成されており、本発明に係る「調整手段」の一例が、CPU560、ドライバ/ストラテジ回路504等から構成されている。
尚、図2を参照して説明した本実施例に係る情報記録装置は、情報記録再生装置の実施例も兼ねる。即ち、ヘッドアンプ503、総和生成器520、デモジュレータ521及びピットデータECC回路522を介して、記録情報を再生可能であり、本実施例は、情報再生装置の機能或いは情報記録再生装置の機能を含む。
(情報記録装置の動作原理)
続いて、図3から図13を参照して、情報記録装置1の記録動作について説明する。
先ず、図3から図5を参照して、記録動作の流れを概念的に説明する。ここに、図3は、本実施例に係る情報記録装置1の記録動作全体の流れを示すフローチャートであり、図4は、実際のOPC動作全体の流れを示すフローチャートであり、図5は、当該記録動作時における実データOPCの動作の流れを示すフローチャートである。
なお、本実施例における「実データOPC」とは、実際に情報記録装置1が光ディスク100に情報を書き込む際に用いるデータを用いてOPCを行なうことを示す。より具体的には、例えば“0”及び“1”を適宜組み合わせたデータに対して、ECCデータを付加し、更にDVD変調を施して得られるデータを用いて、記録パワーを順次段階的に切り替えながら当該データを記録することでOPCを行なうことを示す。これに対して、いわゆる通常の「OPC」は、例えばDVDにあっては、“3T”及び“11T”のピット長区間を有するOPCデータ(即ち、OPCパターン)を、記録パワーを変えながら記録することで行われるキャリブレーションを示す。そして、そのいずれも、記録したデータを再生することで、例えばアシンメトリ等の影響を最小にし、最も優れた再生品質が得られるように記録するための記録パワーを求める。
図3に示すように、先ず光ディスク100がローディングされる(ステップS101)。続いて、リードインエリア104等に記録された制御情報等が読み込まれ、ディスクチェックが行われる(ステップS102)。その後、ディスクチェックの結果に基づき、ローディングされた光ディスク100が記録用ディスク(例えば、DVD−R/RWやDVD−RAM等)であるか否かが判定される(ステップS103)。
この判定の結果、記録用ディスクでない(例えば、DVD−ROM等である)と判定された場合(ステップS103:No)、この光ディスク100においてOPCを含めた記録動作を行なうことはできないため、記録動作を終了する。
他方、記録用ディスクであると判定された場合(ステップS103:Yes)、続けてOPC処理を行なう(ステップS104)。このOPC処理については、後に詳述する(図4及び図5参照)。その後、OPCが正常に行なわれたか(即ち、好適な最適記録パワーを算出できたか)否かを判定する(ステップS105)。ここでは、例えば後述するように、CPU560上で動作するプログラム中において、OPCの結果が正常であるか否かを示すOPCフラグにより、ステップS104のOPCが正常に行なわれたか否かを判定してもよい。
この判定の結果、OPCが正常に行なわれたと判定されれば(ステップS105:Yes)、そのOPCの結果によるレーザパワーにて記録動作を行なう(ステップS106)。他方、OPC正常に行われなかったと判定された場合(ステップS105:No)、正常な記録動作を行なうことはできないため、記録動作を終了する。
続いて、図4を参照して、図3のステップS104におけるOPC動作について説明する。
図4に示すように、まずリードインエリア104等に記録された制御情報等が読み込まれ、ディスクチェックが行われる(ステップS111)。続いて、そのディスクチェックの結果に基づき、光ディスク100をローディングした情報記録装置1が、前回当該光ディスク100をローディングした装置と同一機種であるか否かが判定される(ステップS112)。ここでの「機種」とは、例えば情報記録装置1の型番や品番等を示すものであり、より具体的にはDVR−77HやDVR−99H等の型番により識別される。そして、この「機種」を示す情報は、後述するように、OPC処理を行なった情報記録装置1により光ディスク100に記録されるものである。
この判定の結果、同一機種であると判定された場合(ステップS112:Yes)、更に情報記録装置1が、前回当該光ディスク100をローディングした装置と同一機器であるか否かが判定される(ステップS113)。ここでの「機器」とは、同一の情報記録装置を示すもので、装置自体に固有の番号等により識別される。そして、この「機器」を示す情報は、後述するように、OPC処理を行なった情報記録装置1により光ディスク100に記録されるものである。
この判定の結果、同一機器であると判定されれば(ステップS113:Yes)、続いて、当該装置において、前回実データOPCを行なった際の結果である前回実データOPCデータ(即ち、本発明における「最適値」の一具体例)が記録されているか否かを判定する(ステップS114)。例えば、実データOPCデータとして、以前に実行された実データOPCにより求められた最適値が光ディスク100に記録されているか否かが判定される。
この判定の結果、実データOPCデータが記録されていると判定された場合(ステップS114:Yes)、当該実データOPCデータを用いて実データOPCを行なう(ステップS115)。具体的には、例えば実データOPCデータとして記録されていた最適値を中心として実データOPCを行なう。この実データOPCの動作については、後に詳述する(図5等参照)。
その後、この実データOPCにより適切な最適値を求めることができたか否かが判定される(ステップS116)。具体的には、目標となるアシンメトリ値(即ち、ターゲットβ値)を有する記録パワーを求めることができたか否かが判定される。
この判定の結果、適切な最適値を求めることができたと判定されれば(ステップS116:Yes)、OPC処理を終了する。そして、求めた最適値(即ち、実データOPCデータ)を光ディスク100に記録し、更に実データOPCを行なった情報記録装置1を識別可能な装置識別情報(例えば、上述の機種や機器を識別する固有番号や型番等)も光ディスク100に記録する(ステップS123)。合わせて、例えばCPU560上で動作するプログラム中において、OPCの結果が正常であるか否かを示すOPCフラグを“OK”と上書きしてもよい。
他方、適切な最適値を求めることができなかったと判定されれば(ステップS116:No)、OPCが適切に行われなかったと判断する(ステップS122)。ここでは、例えばCPU560上で動作するプログラム中において、OPCの結果が正常であるか否かを示すOPCフラグを“NG”と上書きしてもよい。
一方、ステップS114において、実データOPCデータが記録されていないと判定された場合(ステップS114:No)、前回行なわれた通常のOPCにより求められたOPCデータ(本発明に置ける「較正値」の一具体例であって、例えば当該OPCにより求められた記録パワーの値)を用いて実データOPCを行なう(ステップS121)。この動作が可能なのは、同一機種で且つ同一機器であれば、光ディスク100がローディングされた情報記録装置1によりなされたOPCに基づく前回OPCデータが、光ディスク100に記録されているからである。その後は、上述したように、ステップS121の実データOPCにより適切な最適値を求めることができたか否かを判定する(ステップS116)。
一方、ステップS113における判定の結果、同一機器でないと判定された場合(ステップS113:No)、前回行なわれた通常のOPCにより求められたOPCデータである前回OPCデータがあるか否かを判定する(ステップS117)。具体的には、光ディスク100に、前回のOPCにより求められた記録パワーの値が記録されているか否かを判定する。
この判定の結果、前回OPCデータがあると判定された場合(ステップS117:Yes)、この前回OPCデータを中心に再度通常のOPCを行なう(ステップS118)。この前回OPCデータを中心に行なうOPCについても後に詳述する(図6等参照)。
他方、前回OPCデータがないと判定された場合(ステップS117:No)、新たにOPCを行なう(ステップS119)。これは、後述のOPCエリア(図6等参照)において、“3T”及び“11T”のパターンのOPCデータを、記録パワーをたとえば16段階に渡って順次変化させながら記録し、その記録したOPCデータの再生信号について“3T”パターンと“11T”パターンとのアシンメトリが最小になるように、光ピックアップ501の記録パワーが、例えばドライバ/ストラテジ回路504により調整される。係るOPCパターンはOPCパターン生成器570により出力され、またそのアシンメトリはエンベロープ検波器571により検出され、例えばCPU560が、当該アシンメトリが最小となるような記録パワーを決定する。
また、OPCを行なう際、光ディスク100上に形成されたLPPにより記録されているディスク情報を読み取り、予め推奨記録パワーや推奨ストラテジ等を読み取るように構成してもよい。このとき、ステップS102におけるOPCの記録パワーは、推奨記録パワーを基準とした一定の範囲のパワー値を有していることが好ましい。
その後、ステップS118又はステップS119において行なわれたOPCにより、適切な記録パワーの値を求めることができたか否かが判定される(ステップS120)。この動作については、上述した実データOPCにおける判定動作(即ち、ステップS116)と同様である。
この判定の結果、適切な記録パワーの値が求められたと判定された場合(ステップS120:Yes)、前回OPCデータ(ここでは、ステップS118又はステップS119において求められたOPCデータ)を中心に実データOPCを行なう(ステップS121)。他方、適切な記録パワーの値が求められなかったと判定された場合(ステップS120:No)、ステップS122に進み上述した各種動作が行なわれる。
一方、ステップS112における判定の結果、同一機種でないと判定されれば(ステップS112:No)、上述したように新たにOPCがなされる(ステップS119)。その後は、上述したように、ステップS120において適切な記録パワーの値を求めることができたか否かが判定され、実データOPCが行われる。
このように、実際に記録されるデータを用いてOPCを行なうことができるため、実際の記録条件に即した最適値を求めることが可能となる。
尚、上述の実施例では、光ディスク100のローディング時に実データOPCを行なうようにしているが、実データOPCが行なわれるのはこれに限られるものではない。例えば記録動作中であっても、一定期間毎に実データOPCを行なうように構成してもよい。また、例えば光ディスク100上において、記録が実際になされている場所が大きく変化した場合に、実データOPCを行なうように構成してもよい。例えば、内周側から外周側に記録位置が移動した場合や、複数の記録層を有する光ディスクであれば、記録する層が変化した場合等に実データOPCを行なうように構成してもよい。或いは、例えばリモコンや操作ボタン等から入力される当該情報記録装置1のユーザの指示があれば、実データOPCを行なうように構成してもよい。
続いて、図5を参照して、図4のステップS115又はS121における実データOPCにおける動作についてより詳細に説明を進める。
図5に示すように、まず、実データを光ディスク100のデータ記録エリアの所定の位置に記録する(ステップS201)。ここで記録する実データは、例えば“0”が連続的に並んだ元データをデータECC生成器507に入力することで、ECCデータが付加され、その後更に、DVDモジュレータ506に入力することで、当該データに対してDVD変調(例えば、EFM変調)が施されている。このようにDVD変調がなされたデータを、最適値を求めるための実データとして、光ディスク100に記録する。
また、このとき、実データを数段階(例えば、2段階、4段階、8段階、16段階等)の記録パワーにて記録する。係る記録パワーは、上述の前回OPCデータ又は実データOPCデータが示す最適値を基準として設定する。これにより、実データOPCを行なう場合において、実データを記録する記録パワーを決定する際に、比較的容易にOPCにおける記録パワーを参照することが可能となる。
ここで、この実データの記録パワーについて、図6を参照してより具体的に説明する。ここに、図6は、順次段階的に切り替えられる記録パワーとアシンメトリ値との相関関係を示すグラフである。
例えば通常のOPC(ここでは、本実施例の如くある記録パワーを中心に記録パワーの切り替えを行なわないOPC)によれば、例えば16段階の比較的広い記録パワーの範囲において記録パワーを段階的に調整する。具体的には、図6に示すように記録パワーAから記録パワーBの範囲で、順次段階的に記録パワーが切り替えられる。しかしながら、本実施例では、既に通常のOPCにより求められる記録パワーの値(即ち、較正値)又は実データOPCにより求められる最適値を中心として、より狭い範囲で記録パワーの段階的な切り替えを行なうことができる。この較正値又は最適値をSとすると、本実施例における実データOPCでは、図6に示すように、記録パワーaから記録パワーbの範囲で、順次段階的に記録パワーが切り替えられる。即ち、通常のOPCにおいて変化させる記録パワーの範囲と比較して、より狭い範囲で記録パワーを変化させる。これは、例えば光ディスク100の記録特性等の変化により最適値が変化するとしても、その値は以前に行なわれた通常のOPC又は実データOPCにより既に求められた適切な記録パワーSに近い値であろうと推測できることによる。これにより、実データOPCでは、比較的狭い記録パワーの範囲において順次段階的に記録パワーを切り替えれば、最適値を求めることが可能となる。従って、通常のOPCと比較しても、比較的容易に且つより効率的に最適値を求めることが可能となる。
そして図4のステップS118におけるOPCも、図6に示すように、前回OPCデータが示す最低値を中心として、比較的狭い記録パワーの範囲において順次段階的に記録パワーが切り替えられるものである。
尚、この実データは、データ記録エリア上において、ファイルとして扱われてもよい。即ち、記録された実データの領域を一つのファイルデータとして、後述のファイルシステム(図7等参照)に登録してもよい。更に、実データを行なった時間や場所等を光ディスク100上に記録するように構成してもよい。
再び図5において、続いて、記録した実データを再生することで各種パラメータを測定する(ステップS202)。例えば、再生信号のジッタ値やアシンメトリ値或いはエラーレート等を測定する。
例えばアシンメトリ値であれば、実データを再生して得られる総和読取信号SRFをエンベロープ検波器571に入力することで検出されるエンベロープ検波のピーク値及びボトム値より測定する。また、例えばジッタ値であれば、同様にエンベロープ検波器571の出力から、エンベロープ波形の時間軸上に対するブレを測定する。また、エラーレートであれば、例えばデモジュレータ521において復調された総和読取信号SRFが入力されるピットデータECC回路522において、エラー訂正を行なう際に、そのエラーの発生率を算出することで測定してもよい。
そして、これらのパラメータに基づいて、CPU560の制御の下に、最適値を求める(ステップS203)。ここでは、例えばジッタ値が最小となり、アシンメトリ値が最小となり、エラーレートが最小となる場合が最適値となる。従って、このような条件を満たす最適値の値を、CPU560は、例えば図6に示すような相関関係等に基づき求める。
但し、これらのパラメータ相互の関連において、いずれかのパラメータが優先的に最小となるような記録パワーの値を最適値としてもよい。例えばジッタ値が最小でなくともアシンメトリ値が最小となるような記録パワーの値を最適値とするように構成してもよい。また、最適値を求める際に用いられるパラメータはこれらに限られるものではなく、その他の各種再生特性パラメータ等を考慮してもよい。
他方、上述の実データの再生による最適値を求める動作と並行して又はその動作の後に、本発明における「判定手段」の一具体例たるCPU560の制御の下で、実データを記録した部分が再生可能であるか否かを判定する(ステップS204)。例えば、実データを記録した部分を再生することで、“0”が連続的に並んだ元データを再生できるか否かを判定する。係る判定は、例えばCPU560によりなされてもよい。
尚、実際に実データを再生しなくとも、実データを記録した際の記録パワーの大きさにより、再生可能か否かを判定してもよい。より具体的には、実データを記録した際の記録パワーが、コンテンツデータを記録する際に一般的に用いられる記録パワーよりも比較的大きければ、再生可能でないと判定してもよい。これは、記録パワーが大きければ、光ディスク100の記録面が破壊され、その記録面において再生することができないという一般的事実に基づく判定である。これにより、再生可能であるか否かの判定を、実際に実データの再生を行なうことなく比較的容易に行なうことが可能となる。
この判定の結果、再生可能であると判定されれば(ステップS204:Yes)、ステップS206へ進む。他方、再生可能でないと判定されれば(ステップS204:No)、本発明の「制御手段」の一具体例たるCPU560の制御の下で、実データが記録されたエリアを使用不可能エリアとすべくディフェクトエリアとして登録する(ステップS205)。ここでディフェクトエリアについて図7を参照して説明する。ここに、図7は、ディフェクト管理可能な光ディスク101のデータ構造を概念的に示すデータ構造図である。
図7(a)に示すように、光ディスク101は、2つの記録層を有する光ディスクであって、図7(a)中下側の層にはリードインエリア114、データ記録エリア116及びリードアウトエリア118を備えている。リードインエリア114には更に、OPCエリア110、ディフェクト管理エリア111及び制御情報エリア112を有しており、ファイルシステム113が記録されている。また図7(a)中上側の層には、リードインエリア124、データ記録エリア126及びリードアウトエリア128を備えている。リードインエリア124には更に、OPCエリア120、ディフェクト管理エリア121及び制御情報エリア122を有しており、ファイルシステム123が記録されている。
OPCエリア110(120)は、上述したように、適切な記録パワーの検出(即ち、記録パワーのキャリブレーション)処理に用いられる領域である。例えば、OPCパターンの試し書きの完了後には、試し書きされたOPCパターンが再生され、再生されたOPCパターンのサンプリングが順次行われて、適切な記録パワーが検出される。また、OPCにより求めた適切な記録パワーの値が記録されていてもよい。
ディフェクト管理エリア111(121)は、光ディスク101上に発生したディフェクトを管理するデータであるディフェクト管理情報が記録される。ディフェクト管理情報には、例えばデータ記録エリア116(126)におけるディフェクトが発生した位置(或いは、そのアドレス)やサイズ、またディフェクトが発生した位置に本来記録すべきであったデータ又は記録されていたデータである退避データの退避先のアドレス値が記録されている。
制御情報エリア112(122)は、制御情報が記録されるエリアである。制御情報は、データ記録エリア116への記録及び読取を制御する情報であり、例えば、光ディスク101の属性や種類などを示す情報、データのアドレス管理をするための情報、例えばディスクドライブ等の情報記録装置1の記録動作及び読取動作を制御するための情報などである。
ファイルシステム113(123)は、光ディスク101の記録動作及び再生動作に必要な各種管理情報が記録されている。例えば、光ディスク101全体のエリア構成データ(例えば、記録済のデータ記録エリアや未記録のデータ記録エリアの分布図等)や使用可能エリアを特定するための情報等が含まれている。
更に、リードアウトエリア118には、スペアエリア119が設けられており、リードアウトエリア128には、スペアエリア129が設けられている。スペアエリア119(129)は、退避データを退避させるためのエリアである。そして、スペアエリア119(129)に退避された退避データのスペアエリア119(129)上におけるアドレス値等は、上述のディフェクト管理情報に記録される。
尚、図7(a)に示すこれらのエリアの配列はあくまで一例であってこの順番に限られるものではなく、夫々のエリアがいずれの場所に存在していたとしても、本実施例に係る情報記録装置1の記録動作を行なうことができることは言うまでもない。
そして、このとき、データ記録エリア116上における所定のエリア115において実データを記録し、実データOPCを行なったとする。すると、図7(b)に示すように、エリア115のアドレス値及びサイズを特定し、当該アドレス値及びサイズを含んでなるディフェクト管理情報を、ディフェクト管理エリア111中に記録する。
また、図7に示すように、2つの記録層を有する光ディスク101であれば、例えば光ピックアップ501から見て奥側の層に係る最適値は、光ピックアップ501と奥側の層との間に位置する手前側の層の状態(例えば、記録済であるか、或いは未記録であるか等)により変化すると推測される。従って、奥側の層において実データOPCを行なう際に、手前側の層の状態をも考慮することが好ましい。例えば、手前側の層が記録済状態にある奥側の層に記録を行なう場合は、奥側の層において実データOPCを行なう際に、当該実データを記録する部分に対応する手前側の層の部分が記録済状態となっていることが好ましい。また、手前側の層が未記録状態にある奥側の層に記録を行なう場合は、奥側の層において実データOPCを行なう際に、当該実データを記録する部分に対応する手前側の層の部分が未記録状態となっていることが好ましい。
尚、図8(a)及び図8(b)に示すようにファイルシステム113(123)を用いて当該実データを記録したエリアを使用不可能エリアとすべくアンアロケーテッド・エリア(unallocated area)として登録するように構成してもよい。例えば、図8(a)に示すように、ディフェクト管理エリア111(122)及びスペアエリア119(129)を持たない光ディスク102であれば、図7に示すようにディフェクトエリアとして登録することはできない。従って、この場合、図8(b)に示すように、ファイルシステム113中において、当該エリアをアンアロケーテッド・エリアとして登録すれば、当該光ディスク102の再生時において、実データが記録された記録されたエリア115を誤って再生することを予め防ぐことが可能となる。
再び図5において、ステップS205における動作が終了後、ステップS206へ進む。そして、CPU560の制御の下に、本発明の「調整手段」の一具体例たるドライバ/ストラテジ回路504の動作により、光ピックアップ501の記録パワーが設定される(ステップS206)。ここでは、ステップS203において求められた最適値とすることが好ましい。
以上の結果、実データを用いて記録パワーの調整を行なうことから、実際の記録条件に適合した記録パワーの調整が可能となる。特に、予め行なう記録パワーの較正(即ち、図3のステップS102におけるOPC処理)に加えて更に実データを用いた記録パワーの調整を行なうため、より好適な最適値によって、データを記録することが可能となる。
尚、上述の図7及び図8では、パラレルトラックパスタイプの光ディスク101又は102を例に説明を進めたが、これに限らず例えば図9に示すようなオポジットトラックパスタイプの光ディスク103であっても、実データOPCを行なうことは可能である。図9に示すオポジットトラックパスタイプの光ディスク103では、図9中下側の層の左側よりデータを記録していき、例えば下側の層のデータ記録エリア116の記録が終了した後、図9中上側の層の右側よりデータを記録していくタイプの光ディスクである。即ち、上側の層と下側の層との記録の方向が逆向きとなる光ディスクである。このオポジットトラックパスタイプの光ディスク103は、図9に示すように、下側の層にリードインエリア114、データ記録エリア116及びミドルエリア117を備えており、且つミドルエリア117にはスペアエリア119を有している。また、上側の層には、リードアウトエリア128、データ記録エリア126、ミドルエリア127を備えており、ミドルエリア127にはスペアエリア129を、リードアウトエリア128にはOPCエリア120及びディフェクト管理エリア121を有している。対して、図7および図8に示すパラレルトラックパスタイプの光ディスク101(102)では、上側の層と下側の層との記録の方向が同じ向きとなる光ディスクである。
また、実データを記録する位置は、データ記録エリア116(126)であればいずれの位置であってもよいが、より好ましくは当該実データOPC処理を行なった後にコンテンツデータを記録する位置の近傍であることが好ましい。即ち、図10に示すように、後にコンテンツデータを記録する位置がエリア116aであれば、実データは当該エリア116aに相隣接するエリア115に記録することが好ましい。これにより、コンテンツデータを記録するエリア116aの特性に応じた好適な最適値を求めることができ、極めて好適な記録動作が可能という大きな利点を有する。
但し、必ずしもエリア116aとエリア115とは相隣接している必要はなく、エリア116aと記録特性等が同一或いは概ね同一であるデータ記録エリア116のエリアであれば、実データを記録してより好適な最適値を求めることができる。
更に、図11(a)に示すように、例えば下側の層のエリア115に実データを記録する場合、当該エリア115をディフェクトエリアとして登録することに加えて、上側の層の対応するエリア125(例えば、エリア115と同一トラック番号を有するエリア)もディフェクトエリアとして登録するように構成してもよい。
より具体的には、図11(b)に示すように、光ピックアップ501からの光ビームBが下側の層側より照射されているとする。このとき、光ビームBは、下側の層のエリア115のみならず、下側の層を透過して上側の層のエリア125にも照射されるとも考えられる。そして、その光ビームBの照射により、エリア125にも何らかの影響が及んでいると推測される。従って、エリア125も合わせてディフェクトエリアとして登録することで、より信頼性の高い記録動作が可能となると共に、再生動作時における再生エラー等を効果的に防ぐことが可能となる。
ここで、エリア125は、エリア115と同一の大きさ(或いは同一のトラック番号)を有するエリアに限られない。即ち、例えば図1に示す円盤状の光ディスクであれば、上側の層と下側の層との夫々のセンターホール102のズレ(即ち、偏心)により、同一トラック番号に係る上側の層のエリアと下側の層とのエリアとが光ビームBに対して直線状に並ばないことも考えられる。従って、この場合、例えばエリア115と同一のトラック番号を有する上側の層のエリアのみならず、その近傍付近のエリアも合わせてディフェクトエリアとして登録することが、信頼性のある記録及び再生という観点からは好ましい。また、光ビームBは光ピックアップ501からエリア115に向かって収束しているため、エリア15に照射されている大きさ以上に、上側の層には光ビームBが照射されているとも考えられる。したがって、係る観点からも、例えばエリア115と同一のトラック番号を有する上側の層のエリアのみならず、その近傍付近のエリアも合わせてディフェクトエリアとして登録することが好ましい。
(他の動作例)
続いて、図12及び図13を参照して、本実施例に係る情報記録装置1の他の動作例について説明する。ここに、図12は、本実施例に係る情報記録装置1の他の記録動作中、実データOPC処理の流れを示すフローチャートであり、図13は、他の記録動作時における光ディスク101のデータ構造を概念的に示すデータ構造図である。尚、上述した実施例に係る情報記録装置1の場合と同様の構成要素には同一の参照符号又はステップ番号を付与し、その詳細な説明を省略する。
尚、変形例に係る動作は、実データOPCをデータ記録エリア106ではなく、その他のエリア(例えば、本発明の「管理情報エリア」の一具体例たるリードインエリア104やリードアウトエリア108等)において行なうものである。尚、係る実データOPC処理の前提として、図3に示す記録動作が、当該他の動作例においてもなされる。
図12に示すように、先ず、記録位置に近傍の管理情報エリアを指定する(ステップS301)。例えば、次にコンテンツデータを記録する位置が、リードアウトエリア118よりもリードインエリア114に近ければ、リードインエリア114にて実データOPCを行なうと指定する。或いは、次にコンテンツデータを記録する位置が、リードインエリア114よりもリードアウトエリア118に近ければ、リードアウトエリア118にて実データOPCを行なうと指定する。これ以外の手法により、管理情報エリアを指定してもよい。
その後、指定した管理情報エリア(即ち、リードインエリア114又はリードアウトエリア118)において、実データを記録する(ステップS202)。以後は、上述の図5における処理と同様に、パラメータを測定し(ステップS203)、最適値を求め(ステップS204)、光ピックアップ501の記録パワーを設定する(ステップS206)。
このように管理情報エリアに実データを記録することで、本来コンテンツデータではない最適値を求めるための実データを、コンテンツデータと分けて記録することができる。従って、例えばコンテンツデータの再生中において、実データに誤ってアクセスしコンテンツデータの再生が妨げられるといった不都合を防ぐことが可能となる。
尚、管理情報エリアは、コンテンツデータ等が記録されるエリアではないため、実データを記録したエリアを使用不可能エリア(ディフェクトエリアやアンアロケーテッド・エリア)として登録する必要はない。但し、管理情報エリアであっても、実データを記録したエリアを使用不可能エリアとして登録してもよい。
続いて、図13において、他の動作例における光ディスク上のデータ構造について説明する。図13(a)に示すように、パラレルトラックパスタイプの光ディスク101において、例えば次にコンテンツデータを記録するエリア116aがリードアウトエリア118に相対的に近ければ、リードアウトエリア118の一部のエリア115において実データOPCを行なう。他方、図13(b)に示すように次にコンテンツデータを記録するエリア116aがリードインエリア114に相対的に近ければ、リードインエリア114の一部のエリア115において実データOPCを行なう。これにより、管理情報エリアを用いて実データOPCを行なっても、より好適な最適値を求めることが可能となる。
また、図14に示すように、データ追記が可能なマルチボーダー対応の光ディスクにおいては、ボーダーゾーン内において実データを記録するように構成してもよい。具体的に、図14を参照して説明する。ここに、図14は、マルチボーダー対応の光ディスクにおけるデータ構造を概念的に示す説明図である。
図14に示すように、マルチボーダー対応の光ディスク100aは、上述した光ディスク100が有するデータ構造に加えて、本発明における「追記管理エリア」の一具体例たるボーダーインエリア及びボーダエリアを備えている。そして、データ記録エリア#1において一旦データを記録した後、ボーダーインエリア及びボーダーアウトエリアを作成するボーダークローズ処理を行なうことで、当該光ディスクを、例えばマルチボーダー対応のDVD−ROMプレーヤ等の情報再生装置において再生することが可能となる。これは、ボーダーインエリア(但し、データ記録エリア#1にあってはファイルシステム)、データ記録エリア及びボーダーアウトエリアによって、上述した光ディスク100と同様のデータ構造をとることができるからである。
ボーダーアウトエリアには、ネクストボーダーマーカが記録されており、情報記録装置1は、このネクストボーダーマーカを参照することで、当該ネクストボーダーアウトエリア以降にもデータが記録されているか否かを認識することができる。また、ボーダーインエリアには、リードインエリア104内に記録されている最新物理フォーマット情報(Updated Physical format information)と同一の情報が記録されている。
マルチボーダー対応の光ディスク100aでは、このボーダーインエリア又はボーダーアウトエリアにおいて上述の実データOPCを行なうように構成してもよい。このとき、次にデータを記録すべきデータ記録エリアに隣接する或いは近接するボーダーインエリア或いはボーダーアウトエリアにおいて実データOPCを行なうことが好ましい。具体的には、例えば次にデータ記録エリア#2にデータを記録する場合には、当該データ記録エリア#2のボーダーインエリア内に含まれる記録領域106zにおいて、実データOPCを行なうことが好ましい。もちろん、ボーダーアウトエリアにおいて実データOPCをおこなってもよいことはいうまでもない。特に、ボーダーアウトエリアは、ネクストボーダーマーカ等の必要な情報が記録されない記録領域においては、例えば“00h”データが記録されるため、この領域を用いて“00h”データが記録される前に実データOPCを行なえは、光ディスク100aの記録容量を有効に利用できるという利点も有している。
尚、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100及び情報再生装置の一例として光ディスク100に係るプレーヤについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのプレーヤに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのプレーヤにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体、情報再生装置及び方法、並びに、再生制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。