JPWO2003018131A1 - 放射線治療装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、腫瘍部を定位多軌道照射法により放射線治療する等に好適な放射線治療装置に関する。
背景技術
放射線治療法の一つに、患部に対し多方向から放射線を集中照射して治療効果を上げると共に患部の周囲組織は被曝量が最小限に抑制され得る定位多軌道照射法がある。
この定位多軌道照射法は、原発性良性脳腫瘍部、大きさが3cm以下の単発の転移性脳腫瘍部、手術が難しい頭蓋底転移のような脳内の小病変部、動脈奇形部又は静脈奇形部等の如き患部の治療に有効とされている。
かかる定位多軌道照射法が実施可能な放射線治療装置として、従来、位置決め手段を用いて照射ヘッドを患部に対して位置合せした後に放射線を照射するものが知られているが、医者又は補助者が照射野を直接見て病巣の位置を確認した上で放射線を照射するものではないので、放射線の高精度照射は望めない。
これに対し、特表平6−502330号公報及び特表平8−504347号公報には、X線CT装置の回転ドラム内にリニアアクセラレータを組込むことで、放射線治療装置をX線CT装置と組み合わせた構成が開示されている。この構成では照射野の画像を確認しながら放射線の照射を行うことが可能である。
しかし、これらの装置は、リニアアクセラレータをX線CT装置の回転ドラム内に組み込んだ構造であることから、1回転軸周りの照射に止まると共にアイソセントリック照射のみに限られている。
発明の開示
本発明の目的は、優れた治療性能を有する放射線治療装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、線形加速器及びこの線形加速器に一端部が電磁気的に接続されるヘッド内導波管部を有する照射ヘッドと、
この照射ヘッドを予め定めた第1球面座標上で支持し且つ移動させる支持移動機構と、
前記照射ヘッドに供給すべきマイクロ波電力を発生する、静止部に配置されるマイクロ波発振器と、
一端部が前記マイクロ波発振器に電磁気的に接続され、他端部が前記支持移動機構上に位置する固定導波管部と、
一端部が前記支持移動機構上に位置する前記固定導波管部の他端部に電磁気的に接続され、他端部が前記ヘッド内導波管部の他端部に電磁気的に接続される移動導波管部と
を具備する放射線治療装置、である。
発明を実施するための最良の態様
(第1実施形態)
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る放射線治療装置6−1は、患者4を載置する天板8を有する寝台7と、患者4に設定され得る照射野5に治療用放射線を照射する照射ヘッド10と、患部である照射野5の断層画像を取得するX線CT装置30とを備える。
図1において、天板8は、寝台7に内蔵された図示しないX−Y駆動機構により寝台長手方向(X軸方向)と、寝台幅方向(Y軸方向)と、寝台上下方向(Z軸方向)との3軸方向に移動可能である。また、天板8は図示しないTVカメラの撮影画像に基づいて患者4の照射野5がアイソセンタ5aに位置するように、図示しないコンピュータシステムにより位置制御されるようになっている。さらに、天板8は、画像取得装置であるX線CT装置30又はPET(Positron Emission Tomography)装置等に適合した材質及び形状が選定されている。符号3bは、X線CT装置30による画像取得用X線(画像取得用放射線)である。符号20は、X線CT装置30を図示K1方向に傾斜させる傾斜機構である。
ここに、患者4は、天板8の寝台長手方向に体軸が沿うように天板8上に載置される。また、X軸及びY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は垂直方向である。
照射ヘッド10は、周回移動機構68及び首振り機構69を介して略半円弧状アーチ型ガイドレール9に可動に支持され、治療用放射線3aを照射する。この周回移動機構68及び首振り機構69により、照射ヘッド10は、アイソセンタ5aを中心とする1/2球の範囲内で任意の照射位置に位置決めされる。
周回移動機構68は、図2に示すように、照射ヘッド10をガイドレール9に沿って周回移動(H1)させるものであり、ラック・アンド・ピニオン方式やベルト方式を採用することができる。また、照射ヘッド10には、導波管系11,15の第4の関節部16が連結されている。尚、照射ヘッド10は、詳細は後述する図4に示すように、照射ヘッド10は、導波管系11を構成する導波管路50,51,52を介してクライストロンの如きマイクロ波発振器70に電磁気的に接続されている。首振り機構69は、図2に示すように照射ヘッド10をガイドレール9上にて第4関節部16まわりに首振り(H2)させる。なお、照射ヘッド10は、全長が800〜1000mm、外寸が300〜500mmである。
ガイドレール9は、図2及び図3に示すように天板8より上半分の円弧状をなす半円リングからなり、天板8を幅方向に跨ぐように設けられている。このガイドレール9は、傾動機構及び一対のシリンダ機構28により可動に支持されている。傾動機構は、ガイドレール9を図2の傾動軸26まわりに0°〜180°の範囲内で図1に示すように傾動する(G1)。ガイドレール9は、例えばステンレス鋼のように剛性の大きい材料でつくられ、幅が200〜400mm、厚みが20〜50mm、アイソセンタ5aからの半径が800〜1000mmである。
一対のシリンダ機構28は、図2に示すようにガイドレール9の左右両下端部をそれぞれ支持し、ガイドレール9をZ軸方向に昇降(G2)させる。なお、両シリンダ機構28は動作が同期するように位置制御手段であるコンピュータ62により制御されている。
上述したように、本実施形態では、ガイドレール9の傾動(G1)と、照射ヘッド10の周回移動(H1)とにより、照射ヘッド10は、アイソセンタ5aを中心とする1/2球上でアイソセントリックな動きが可能になる。また、ガイドレール9の昇降(G2)と照射ヘッド10の首振り(H2)とにより、照射ヘッド10は、アイソセンタ5aを中心とする1/2球から外れた位置でノンアイソセントリックな動きが可能となる。
X線CT装置30は、ドーナツ状真空槽を備え、当該真空槽内に、同心円上配置した多数のX線発生ユニットを内蔵している。ここに、真空槽は中央開口を有し、該開口は診断用スペースに用いられる。すなわち、診断用スペースに患者4が天板8と共に出し入れされる。
本実施形態のX線CT装置30は非磁気型画像取得装置である。本実施形態のX線CT装置30は、X線源及び検出器が静止している所謂第5世代の装置であり、詳細は後述する。なお、本実施形態のX線CT装置30に代えて、X線源及び検出器が回転する第3世代のX線CT装置、X線源が回転し検出器が静止している第4世代のX線CT装置等も使用することができる。
本実施形態のX線CT装置30は、図1に示す画像取得装置傾射機構20により例えばZ軸に対して20°〜30°の傾斜した姿勢で支持され得る。傾斜機構20を駆動させると、X線CT装置30は傾動(K1)し、画像取得用X線3bの照射角が変えられるようになっている。なお、X線CT装置30とガイドレール9は機械的に密に結合されており、共通の座標基準を有するが、X線CT装置30は、ガイドレール9及び照射ヘッド10が干渉しないように制御される。画像取得装置としてX線CT装置30に代えてX線透視装置を用いる場合は、分解能やコントラストがX線CT装置30より劣るので、例えば小型金プレートを照射野の付近に埋め込んで、該プレートを透視画像に写し込む。これにより、プレートの画像をマーカとし、該マーカを基準に照射野を標識することにより、位置決めの精度を確保することができる。
なお、画像取得装置としては、上述したX線CT装置やX線透視装置の他に、PETを採用することができる。さらに、磁気型画像取得装置としてMRI装置も採用することができる。
図1に示すSAD(Source Axis Distance)は、アイソセンタ5aから照射ヘッド10内のターゲット110(図4参照)までの距離に相当するものである。本実施形態ではSADを80cmに設定している。
また、本実施形態では、図2に示すように、アイソセンタ5aからノンアイソセンタ5bへのシフト量DV1と、下式とをコンピュータ62により位置決め演算し、該演算結果に従ってノンアイソセンタ5bに対しX線を照射を行う際のガイドレール9の駆動(G1,G2)及び照射ヘッド10の駆動(H1,H2)を制御する。
H1=θ1 …(1)
H2=θ1−arctan((r sinθ1−DV1)/(r cosθ1)) …(2)
G1=0 …(3)
G2=z …(4)
但し、
θ1:ガイドレール9のアイソセンタ垂直軸方向からの回転角
r:ガイドレール9の曲率半径
z:アイソセンタ5aから垂直方向ずれ量
図2において、導波管系11の関節部14a〜14c,16は、加速用マイクロ波を軸回転で伝えるロータリRFカプラ50を内部に有する。
また、図5に示すように、導波管系11の中には、導波管51,52が設けられ、該導波管51,52は、関節部14a〜14c内のロータリRFカプラ50により電磁気的に連通している。
さらに、図6に示すように、ロータリRFカプラ50は、フランジ継手53,54により導波管51,52の各々に接続されている。なお、符号55a,55bは、導波管51,52の導波路である。
また、図7に示すように、導波管51,52の導波路55a,55bは、ロータリRFカプラ50の回転部材56,57に取り囲まれた回転スペースに連通し、該回転スペースに電界(ベクトル又はモード)が形成され、マイクロ波が伝播する。なお、図中にて符号58は軸受を示し、符号59はλ/4波長チョークを示す。このようなロータリRFカプラ50と導波管51,52との組み合わせにより、床等に固定されたクライストロンの如きマイクロ波発振器から、移動する照射ヘッド10へ、加速用マイクロ波を円滑に供給することができる。
図2に示すように、導波管系11は、その一端が第1の関節部14aを介してガイドレール9の端部に固定され、他端が第4の関節部16を介して照射ヘッド10に連結してなるリンク機構である。符号21はサーキュレータ、22はダミーロードである。
導波管系11は、ガイドレール9の端部に固定された第1の関節部14aと、この第1の関節部14aに一端が回転可能に連結された第1の導波管12と、この第1の導波管12の他端が連結された第2の関節部14bと、この第2の関節部14bに一端が連結された第2の導波管13と、この第2の導波管13の他端が連結された第3の関節部14cと、この第3の関節部14cに一端が連結された第3の導波管15と、この第3の導波管15の他端が連結され且つ照射ヘッド10に連結してなる第4の関節部16とからなる。
ここに、第1の関節部14aのみがY軸に沿って設けられ、第2〜第4の関節部14b,14c,16はそれぞれX軸に沿って設けられている。
次に、X線CT装置30について詳細に説明する。
X線CT装置30は、患者4の如き被検体の照射野5に、扇状X線である画像取得用X線3bを多方面から照射して透過X線を検出して、該検出データを画像処理することによりコンピュータ画面上に照射野5の断層像を表示させる。
本実施形態のX線CT装置30は、所謂第5世代装置と称されるものであり、診断用スペースである中央開口を有する図示しないドーナツ状真空槽を有する。真空槽の内部には、排気ポートを介して真空ポンプにより真空排気される。真空槽内には、外周寄りの同心円上に配列された図示しない多数のX線発生ユニットと、該多数のX線発生ユニットに対応して内周寄りの同心円上に配列された図示しない多数のセンサアレイとが設けられている。これらのX線発生ユニットとセンサアレイとは、X軸方向にシフトして配置され、画像取得用X線3bは真空槽の半径に対して前傾する方向に扇状に照射される。このため、扇状の画像取得用X線3bは、X線照射側のセンサアレイに遮られることなく、診断用スペースに在る患者4を透過し、該透過X線は反対側のセンサアレイで検出することができる。
さらに、真空槽内にはビームリミッタ、電子銃駆動回路、画像信号ディジタイザなどが配置されている。X線発生ユニットから出射された扇状X線3bは、コリメータにより絞られ、さらにビームリミッタにより照射位置での幅に規定される。
センサアレイは、診断用スペースを取り囲む円周上に稠密に固定して配置され、多数個の超高感度CdTeセンサからなるものであり、0.5mmの分解能を有している。ちなみに、画像取得時における1ショットの撮像幅は約80mmである。また、X線の照射時間は1ショット当たり0.01秒である。
図示しないX線発生制御装置には図示しないデータ収録装置が接続されており、コンピュータ62からX線発生指令信号が入力される。センサアレイで検出されたX線透過データは、透過X線量に比例した電流信号に変換され、図示しないプリアンプ及びメインアンプを介して図示しないディジタイザ及び図示しないデータ収録装置に送られて収録されるようになっている。データ収録のタイミングはコンピュータ62からのX線発生指令信号によって制御される。収録されたデータは、データ収録装置から図示しない信号処理装置に出力され、信号処理装置でデータ処理される。処理されたデータは、照射野5の断層像として図示しないディスプレイ上に再生表示される。
一方、X線発生制御装置の出力側には電源及びX線発生ユニット内の図示しないアノード、カソード、ゲートアレイのグリッド電極がそれぞれ接続されている。コンピュータ62からX線発生指令信号がX線発生制御装置に向けて出されると、その指令に基づいてX線発生制御装置は図示しない電源から図示しない電子銃駆動回路への給電動作を制御すると共に、ゲートアレイのなかから撮影部位に適したグリッド電極を選択する。これに応じてX線発生ユニット内のいずれかのカソードから電子線が出射され、選択したグリッド電極に印加したマイナスのバイアス電圧が解除されてゼロ電位となり、電子線がグリッド電極の孔を通過してアノードに入射する。アノードに電子線が入射すると、アノードから二次X線が発生し、窓に取り付けたコリメータを介して患者4に向けて扇状の画像取得用X線3bが出射されるようになっている。
コンピュータ62は、X線CT装置30から照射野5の透過X線データが入力されると、このデータに基づいて周回移動機構68、首振り機構69、傾斜機構20の駆動をそれぞれ制御することにより照射ヘッド10の位置と向きとを微調整し、アイソセンタ5a又はノンアイソセンタ5bにある照射野5に対して照射ヘッド10の照準を合わせて狙いをつけさせる。
次に、図4を参照して照射ヘッド10について詳しく説明する。
本実施形態の照射ヘッド10は、電子を4MeV〜20MeVのエネルギーに加速し、治療用放射線3aを発生するものであり、超小型の電子リニアックの照射ヘッドとして機能する。この照射ヘッド10は、放射線に対して遮蔽性のある外装ケース101で外側を覆われ、この外装ケース101内に電子銃103、加速器105、集束コイル109、X線ターゲット110、フラットニングフィルタ112、集束管113を備えている。
外装ケース110の尾端には絶縁キャップ102が被せられ、この絶縁キャップ102を介して電源64に接続されたケーブル104がケース101内に導入され、電子銃103に接続されている。なお、電子銃103の電源64はコンピュータ62により出力が制御されるようになっている。
電子銃103からフラットニングフィルタ112までは電子ビームの中心軸に沿って直列に配置されている。電子銃103から加速器105に続き、さらに加速器105から集束管113に続いている。
加速器105には導波管51が連通している。導波管51はマイクロ波発振器70に連通すると共に、真空ポンプ71にも連通している。このため、加速器105の内部は導波管51を介してポンプ71により真空排気される。なお、真空ポンプ71に分岐して連通する導波管51の主路にはセラミック窓72が嵌め込まれ、マイクロ波発振器70からセラミック窓72までの導波管内に封入されたSF6ガスを遮断して漏洩を防ぐと共に、マイクロ波のみを通過させるようにしている。
マイクロ波発振器70は出力安定性に優れたクライストロン方式のものである。マイクロ波発振器70の電源回路は、コンピュータ62に接続されている。電子銃103は、真空ポンプ71により真空排気されるチャンバ内に設けられたフィラメント(カソード)を備えている。
電子銃103が収納されたチャンバに連通連続して加速器105が設けられ、電子銃103から出射された電子線が加速されるようになっている。加速器105の内部は複数の仕切106で仕切られ、複数の加速室107が形成されている。仕切106の中央には電子ビーム通過孔106aが開口している。各加速室107の外周にはコイル108がそれぞれ巻き付けられ、コイル108はコンピュータ62により動作を制御される電源回路に接続されている。
加速器105に連続して集束管113が設けられている。集束管113には集束コイル109、X線ターゲット110、フラットニングフィルタ112がこの順に取り付けられている。集束コイル109は加速器105で加速された電子をX線ターゲット110に向けて絞り込むものである。
X線ターゲット110は、高エネルギの加速電子が入射して制動輻射X線を出射するものであるため、流路111aを有する水冷ジャケット111が取り付けられ、熱損傷を防ぐために強制冷却されるようになっている。なお、ターゲット110にはタングステン、モリブデン、タンタル等の単体金属またはこれらの合金を用いることが好ましい。
フラットニングフィルタ112は、金属でつくられ、ターゲット110から出射されるX線の強度を平均化してほぼ均一なエネルギ密度をもつ治療用放射線3aとするためのものである。
さらに、外装ケース101の外側にはコリメータ114及び線量計測管120が取り付けられている。コリメータ114は外装ケース101の先端にねじ込まれ、集束管113に連通する中空部を有している。コリメータ114は治療用の放射線3aが透過できない鉛などの遮蔽性の高い材料でつくられ、中空部を通って線量計測管120にX線3aが送られるようになっている。
線量計測管120は、ガスが封入された電離箱からなり、放射線通過時に発生する電離したガスの電荷量を検出して、放射線の線量を計測する。
次に、図8を参照して本実施形態装置の制御システムについて説明する。
本実施形態の放射線治療装置は、治療用寝台システム7,8、照射ヘッド10、X線CT装置30、信号処理装置31、マイクロ波発振器70、システム制御装置80、システムユーティリティ90からなる制御システムを有する。システム制御装置80が全体を統括して制御する。
システム制御装置80は、システム制御計算機、システム管理アルゴリズム、画像追尾アルゴリズム、治療計画アルゴリズム、治療管理アルゴリズム、グラフィカルユーザインターフェイス、治療データベース、インターロックアルゴリズム及びシステムモニタを含む。システム制御装置80が制御システムの全体を統括し、他のブロックとの間で入出力信号のやりとりがなされる。
X線CT装置30は、信号処理装置31を経由してシステム制御装置80に接続されていることにより、放射線治療中に、X線CT装置30による画像取得がリアルタイムでなされ、医師はディスプレイ上に表示された画像を観ながら治療を行うことができる。
マイクロ波発振器70は、クライストロンモジュレータ・アンド・リニアックシステム制御装置、クライストロン及びRFドライバを具備している。加速器110にマイクロ波を供給する供給源であるクライストロンは、導波管系11を介して照射ヘッド10に接続されている。
照射ヘッド10のアイソセントリック駆動機構及び首振り駆動機構の各ドライバはシステム制御装置80に接続され、アイソセントリック照射時における照射ヘッド10の周回移動駆動及び擬似ノンアイソセントリック照射時における照射ヘッド10の2軸首振り駆動がそれぞれ制御されるようになっている。
次に、図9を参照して本発明の装置を用いた治療方法について説明する。
放射線治療においては、医師が治療計画を立てる。この治療計画は術前に行われる種々の検査に基づくものである。さらに医師は手術中において本実施形態の放射線治療装置を用いることにより患部の病巣を、直接的にリアルタイムで画像取得する。この画像取得により、高精度で確実性の高いの放射線治療を行うことができる。
図9の(a)に示すように、X線CT装置30のみを用いて照射野5及びその近傍領域の取得画像を得る。システム画面で照射野5の各断面図を確認して、画像追尾のための輪郭線を定義する。治療開始に先立って照射野5のマッピングは終了しており、これを参考に複数のスライスで照射野5の輪郭を定義する。
図9の(b)に示すように、放射線治療装置の画像追尾システムにより、実際の照射野5の画像の輪郭抽出を行う。この抽出した輪郭と定義された輪郭線とのパターンマッチングを行って画像追尾を開始する。医師は画像追尾状況を目視で確認する。
図9の(c)に示すように、画像追尾が安定した後に、医師はマスターアームスイッチ(Master Arm SW)を操作して、システムをARMED状態にする。システムは、照準をクロスヘアラインで画像上に表示すると共に、また照射ボリュームを赤色で同じ画像上に表示する。画像追尾が継続しているため、照準及び照射ボリュームは照射野の移動とともに自動的に追従する。
図9の(d)に示すように、医師のトリガ操作で治療用放射線3aの照射を開始する。治療計画の段階で予定の照射時間は決まっており、画面上ではカウントダウンが開始され、カウントゼロ(時刻t4)になると治療用放射線は自動的に停止する。画面上には線量分布が継続的に表示され、この表示された線量分布を医師は確認しながらトリガを引き続けて照射を継続する。システムは画像のサンプリング、治療用放射線3aの照射を高速に交互に続け、画像追尾と治療ビームの照射とをリアルタイムで継続する。カウントダウンがゼロになる前であっても、医師がトリガを離せば、そのタイミングで直ちに治療用放射線3aは停止するので、安全性は十分に確保される。
図9の(e)に示すように、医師はマスターアームスイッチ(Master Arm SW)をSAFE位置としてシステムを安全な状態にし、照射ヘッド10を次の照射位置へ移動させる。医師は、各ポータルにおける照射時間終了時と一連の照射終了後に累積被曝線量の総計にあたるトータルドウズ(Total Dose)を確認する。累積線量及び1クール内の累積線量分布が画面に表示され、患者毎に作成される治療ファイルに記憶される。
以上のように本実施形態によれば、放射線の照射位置及び照射時間等の条件を、X線CT装置30により照射野を確認しながら高精度に制御することができる。このため、臓器自体に動きがない頭部の治療に適用できることは勿論のこと、心臓や肺などの動きのある臓器の小病巣に対しても放射線を正確に照射することができ、放射線治療の分野において用途が拡大することが大いに期待される。
また本実施形態によれば、剛性の点で問題の多い片持型のロボットアームと異なり、高強度・高剛性の照射ヘッド支持構造を採用することができ、高い絶対精度を機械的に保証することが可能となる。このため、ロボットアームを使用して所要の位置決め精度を確保する場合に必要となるティーチングが不要となり、効率的な治療が可能となる。
従来、ノンアイソセントリックな照射治療に、所要の自由度を遙かに超える過剰な自由度を持つ汎用の産業用ロボットアームを適用するのは患者の安全性の点で問題がある。即ち、ロボットアームの誤動作等の事故の際に、ロボットアームもしくはその先端の照射ヘッドが患者に接触して、患者に対して外傷的な危害が及ぶ可能性がある。これに対して、本実施形態の放射線治療装置では、照射ヘッド支持機構及び照射ヘッド自体が機械的に可動範囲が制限されており、患者に対する絶対的な安全性が確保できる。
従来技術では、照射治療中に照射野をリアルタイムに監視することができず、推定に基づく照射を余儀なくされたが、本実施形態の放射線治療装置によれば、X線透視装置、X線CT装置、PET、DSA等の画像取得装置で、照射治療中に照射野をリアルタイムで監視することが可能となり、信頼性・安全性の高い照射治療が可能となる。また、リアルタイムに得られる上記の照射野画像を基にして画像追尾を行い、移動する照射野への追従照射が可能となる。
また本実施形態の放射線治療装置によれば、医師とのマンマシンインタフェイスが図られるので、安全性・信頼性に優れた確実な放射線治療が可能となる。
(第2実施形態)
次に、図1〜図9と同一部分には同一符号を付した図10〜図25を参照して、本発明の第2実施形態の放射線治療装置6−2を説明する。なお、図10〜図12は図1〜図3に相当し、図18は図8に相当し、図21〜図22は図5〜図6に相当し、図25は図9に相当するので、これら図において重複部分の説明は省略する。
本実施形態の照射ヘッド1000は、図10〜図12及び図20A〜図20Dに示すように、周回移動機構68及び第1及び第2の首振り機構1310,1320によりガイドレール9に支持されている。周回移動機構68及び第1及び第2の首振り機構1310,1320は、アイソセンタ5aを中心とする上半部後方の四分の一球(1/2球)の範囲内で任意の照射位置に、照射ヘッド1000を位置決めする。
周回移動機構68は、ラック・アンド・ピニオン方式、ベルト方式等により照射ヘッド1000をガイドレール9に沿って周回移動(H1)させる。
第1の首振り機構1310は、図20A〜図20Dに示すように、サーボモータを備え、照射ヘッド1000をガイドレール9上でロータリRFカプラ16の第1の軸S1まわりに首振り動作させる。また、この場合、ロータリRFカプラ16は、照射ヘッド1000が首振りしたときの慣性力が小さくなるように、照射ヘッド1000の慣性中心をほぼ通る軸上に設けられている。
第2の首振り機構1320は、図20A〜図20Dに示すように、サーボモータを備え、照射ヘッド1000をロータリRFカプラ500A,500Bの第2の軸S2まわりに首振り動作させる。ロータリRFカプラ500A,500Bは、照射ヘッド1000が首振りしたときの慣性力が小さくなるように、照射ヘッド1000の慣性中心をほぼ通る軸上に設けられている。ちなみに、本実施形態の照射ヘッド1000は、全長が500〜600mm、幅500mm×深さ300mm、重量が60〜80kgである。
また、照射ヘッド1000は、導波管系11のロータリRFカプラ16に首振り可能に連結される。図20Aに示すジンバル機構上の導波管510及びロータリRFカプラ500によりマイクロ波発振器70に接続されている。
上記2軸の駆動(G1,H1)により、照射ヘッド1000は、アイソセンタ5aを中心とする1/2球殻上で、アイソセントリックな動きが可能になる。さらに、上記2軸の駆動(S1,S2)により、照射ヘッド1000は、1/2球殻上で、擬似的にノンアイソセントリックな動きが可能となる。
この擬似ノンアイソセントリック動作は、照射ヘッド1000の慣性中心まわりの首振り運動であるため、アイソセントリック動作と比べて格段に素早い動きとなる。擬似ノンアイソセントリックな高応答性の迅速な追尾モーションにより、例えば心鼓動等の早い動きに対してもヘッド照準を高応答かつ精密に追従させることが可能となる。
本実施形態において、照射野の移動に追従して照射するには、図15、図16及び図17に示すように、画像データから得られるシフト量DV1,DV2と、所定の算式とを用いてS1首振りドライブ軸まわりの微小変位角θ1とS2首振りドライブ軸まわりの微小変位角θ2とを演算し、該演算結果に従って首振り機構1310,1320の駆動をそれぞれ制御し、照射ヘッド1000を微小変位角θ1及び微小変位角θ2の分だけ高速首振りさせる。これにより呼吸、心鼓動、蠕動、膀胱内の尿量等の動きを伴う腫瘍等の頚部下の患部5に対し、照射ヘッド1000の照準が迅速かつ高応答に追随させることが可能となり、放射線の高精度照射が実現される。ちなみに、本実施形態の放射線治療装置においては、取得画像の処理時間を含めて0.1秒以内に照射ヘッド1000を高速で首振り動作させることができ、照射野(患部)の動きに対して迅速に追随させることができる。
また、図23Aに示すように、導波管510の導波路550a,550bはロータリRFカプラ500の回転部材560,570に取り囲まれた回転スペースに連通し、このなかを図23Bに例示するような管内モードでマイクロ波が導かれる。
システム制御装置80は、画像取得装置としてのX線CT装置30から照射野5の断層像データが入力されると、このデータに基づいて周回移動機構68、傾動機構、寝台7の駆動をそれぞれ制御することにより、アイソセンタ5aにある照射野5に照射ヘッド1000の照準を合わせる。
さらに、照射野5が動いた場合には、システム制御装置80はX線CT装置30からの入力データに基づいて画像追尾のための演算を行い、その演算結果に基づいて第1及び第2の首振り機構1310,1320の動作をそれぞれ制御して照射ヘッド1000を首振りさせる。なお、照射ヘッド1000の首振り動作中はインターロックが作動して放射線の照射は禁止されるので、近傍部位の被曝量は最小限に抑えられる。
次に、本実施形態の照射ヘッド1000の詳細を説明する。
照射ヘッド1000は、図13A〜図13C及び図19に示すように、ヘッド本体部をカバー1010で覆い、該ヘッド本体部の先端側に放射線を出射するための出射部1200が取り付けられている。ヘッド本体部を覆うカバー1010内には、電気回路/冷却水回路1160、加速器1100、RF窓520、導波管510、ロータリRFカプラの一部500B、排気管1070、イオンポンプ1120、ターゲット排気室1190、ターゲット1210、冷却板1220が設けられている。また、加速器1100の尾部の絶縁碍子1030から外部電源に接続された図示しないケーブルがカバー1010内に導入され、電子銃1040のカソード1050に接続されている。このカソード1050と向き合ってアノード1060が配置されている。カソード1050とアノード1060との間は、イオンポンプ1120に連通する排気管1070により排気される。電子銃1040の電源は、システム制御装置80により制御される。なお、電子銃1040は、加速器1100から出射部1200に続いている。また、絶縁碍子1030から加速器1100の先端までの長さは、約360mmである。
図14に示すように、電子銃1040のアノード1060の中央孔は、加速器1100のバンチャ空洞1090に連通している。加速器1100は、電子銃1040から出射された電子線を加速させ、高エネルギの電子ビームをX線ターゲット1210に衝突させる。加速器1100の内部には電子ビーム通過用の中央孔を有する加速空胴1110bが配置されている。加速空胴1110bは、サイドカップルキャビティ1110aを介して左右一対の側方排気管1080にそれぞれ連通している。左右一対の側方排気管1080は、イオンポンプ1120に接続される。これにより左右一対の側方排気管1080は、イオンポンプ1120によって真空排気される。すなわち、加速器1100の内部は、側方サイドカップルキャビティ1110a及び側方排気管1080を介してイオンポンプ1120により真空排気される。
加速器1100には導波管510が連通している。導波管510はセラミック製のRF窓520及びロータリRFカプラ500A,500Bを経由してマイクロ波発振器70に連通している。RF窓520は、導波管510内に封入されたSF6ガスの漏洩を防ぐとともに、マイクロ波を加速器1100へ導入させる入口である。なお、マイクロ波発振器70は出力安定性に優れたクライストロン方式のものである。マイクロ波発振器70の電源回路はシステム制御装置80に接続されている。
出射部1200は、カバー1010で覆われたヘッド本体部の先端に設けられ、X線ターゲット1210、ターゲット冷却板1220、一次コリメータ1230、フラットニングフィルタ1240を備えている。電子銃1040から加速器1100を経てフラットニングフィルタ1240に至るまでは電子ビームの光軸に沿って直列に並び、加速された電子線はターゲット排気室1190を通って出射部1200のターゲット1210に入射するようになっている。
X線ターゲット1210は、高エネルギの加速電子が入射して制動ふく射X線を出射する。このためX線ターゲット1210は、熱損傷を受け易い。この熱対策として、冷却板1220によりX線ターゲット1210を冷却する。なお、ターゲット1210にはタングステン、タンタル等の高融点金属単体またはこれらの合金を用いている。
一次コリメータ1230は、タングステンなどの放射線に対する遮蔽性に優れ、かつ熱中性子発生の少ない材料でつくられ、ターゲット1210からのX線をフラットニングフィルタ1240に導くものである。
フラットニングフィルタ1240は、ターゲット1210から出射される放射線(X線)の強度を平均化して均一なドーズ分布をもつ治療用放射線3aとするためのものである。
さらに、出射部1200の先端側には二次コリメータ1250及び線量計測用電離箱1260が取り付けられている。二次コリメータ1250は、治療用放射線3aが透過できないタングステンなどの遮蔽性の高い材料でつくられ、中空部を通って線量計測用電離箱1260に治療用放射線3aが送られるようになっている。この二次コリメータ1250は一次コリメータ1230の端面部に着脱可能にネジ込まれている。
線量計測用電離箱1260は、二次コリメータ1250の先端に取り付けられ、所定成分のガスが封入された電離箱であり、放電電荷を検出する図示しない検出回路が接続されている。この検出回路はシステム制御装置80の入力側に接続されている。システム制御装置80は、線量計測用電離箱1260からの入力信号に基づいて照射ヘッド1000から出射される治療用放射線の線量を算出し、患者4が受ける治療用ドーズデータとしてメモリに保存するようになっている。
次に、図18を参照して本実施形態の放射線治療装置の制御システムについて説明する。
本実施形態装置の制御システムは、寝台8、照射ヘッド1000、X線CT装置30、信号処理装置31、マイクロ波発振器70、システム制御装置80、システムユーティリティ90からなり、システム制御装置80が全体を統括して制御する。
システム制御装置80は、システム制御計算機、システム管理アルゴリズム、画像追尾アルゴリズム、治療計画アルゴリズム、治療管理アルゴリズム、グラフィカルユーザインターフェイス、治療データベース、インターロックアルゴリズム及びシステムモニタを含む。
X線CT装置30は、信号処理装置31を経由してシステム制御装置80に接続されている。これにより画像取得が治療中にリアルタイムでなされ、医師はディスプレイ上に表示された取得画像を観ながら治療を行うことができるようになっている。
マイクロ波発振器70は、クライストロンモジュレータ・アンド・リニアックシステム制御装置、クライストロン及びRFドライバを具備している。加速器1100にマイクロ波を供給するクライストロンは、導波管系11を介して照射ヘッド1000に接続される。
照射ヘッド1000のアイソセントリック駆動機構及び首振り駆動機構の各ドライバは、システム制御装置80に接続され、アイソセントリック照射時には、周回移動機構68が制御され、また擬似ノンアイソセントリック照射時には、2軸首振り機構1310,1320が制御される。
次に、本実施形態における首振り機構について、図15〜図17と、図19、図20A〜図20Dとを参照して詳細に説明する。
図19に示すように、本実施形態の照射ヘッド1000は、ヘッドカバー1010のジンバル構造支持フレーム1020に支持されている。支持フレーム1020は照射ヘッド1000の慣性中心を含むS1軸及びS2軸が通る位置座標に取り付けられている。
図20Aに示すように、支持フレーム1020には導波管系11のロータリRFカプラ16、一対のロータリRFカプラ500A,500B、サーボモータからなるS1首振り機構1310、サーボモータからなるS2首振り機構1320がそれぞれ各辺に取り付けられている。
図20Bに示すように、導波管系11のロータリRFカプラ16は支持フレーム1020の一方側長辺の中央に取り付けられ、これと向き合うようにS1首振り機構1310の駆動軸1310aがフレーム1020の対向長辺の中央に取り付けられている。駆動軸1310aを回転駆動させると、図17に示すようにS1ドライブ軸まわりに照射ヘッド1000が首振りするようになっている。
図20Dに示すように、一対のロータリRFカプラ500A,500Bは支持フレーム1020の一方側短辺の中央に取り付けられている。
図20Cに示すように、一対のロータリRFカプラ500A,500Bに向き合うようにS2首振り機構1320の駆動軸1320aが、フレーム1020の対向短辺の中央に取り付けられている。すなわち、S2首振り機構1320の本体は、支持フレーム102側のブラケット1020aに固定支持され、駆動軸1320aは、軸受1330を介して支持フレーム1020に回転可能に支持されている。駆動軸1320aを回転駆動させると、図16に示すように、S2ドライブ軸まわりに照射ヘッド1000が首振りする。
図20Aに示すように、導波管系11の各リンクアーム13,15内には導波管510が設けられている。各関節部14,16内には、ロータリRFカプラ500が設けられている。一対のロータリRFカプラ500A,500Bを通って照射ヘッド内の加速器1100に、マイクロ波が導入される。
次に、本実施形態の放射線と治療装置6−2の動作、特に、治療用放射線の直接線、漏洩線及び散乱線の検出器への影響を防止し、画像取得用X線の照射と治療用放射線の照射とのリアルタイム時分割処理を実現する方法を、図24に示すタイミングチャートを参照して説明する。
先ず放射線治療装置6−2のメインスイッチをONすると、治療用寝台システム7、照射ヘッド1000、X線CT装置30、マイクロ波発振器70、システム制御装置80、システムユーティリティ90の電源がそれぞれ待機状態となる。天板7が移動して患者4を治療エリア内に移動させる。このとき、X線CT装置30及び/又は寝台8を移動させて、患部5がアイソセンタ5aに一致するように位置合わせする。このアイソセントリック位置合わせ完了後、X線CT装置30によるリアルタイム画像取得と、照射ヘッド1000による放射線治療とを開始する。
図24中の時間t0において、X線CT装置30は、照射野5に向けて画像取得用X線3bの照射を開始する。その透過像を図24に示す時間t0〜t1において取得画像として検出する。なお、被曝を最小限度とするため画像取得用X線3bの照射時間も時間t0〜t1の間に限定する。また、少なくとも画像取得用X線3bを照射している時間t0〜t1において、治療用放射線3aの直接線、漏洩線及び散乱線が検出器に影響を与えないようにするため、照射ヘッド1000は、治療用放射線3aを出射しないようにインターロックされている。
検出された取得画像は、時間t1〜t2において取り込まれる(収録される)。取り込まれた取得画像の追尾画像データなどの情報は、時間t2〜t3において信号処理装置31やシステム制御装置80で処理され、処理画像をディスプレイ上に表示される。また、この画像追尾計算の結果、処理された情報は、位置補正データとして、首振り機構1310,1320に送られる。そして、時間t0〜t3までと同じ画像取得から画像処理までのサイクルが、時間t3以降、繰返される。
時間t3〜t5にかけて次の画像検出と画像取り込みが行なわれている間に、首振り機構1310,1320の首振りサーボは、位置補正データとして送られてきた画像追尾計算の結果を基に、微小首振り角θ1及びθ2、駆動される。首振り機構1310,1320を駆動させている時間t3〜t5の間、治療用放射線3aを照射しないように、照射ヘッド1000は、安全性を考慮してインターロックされている。
首振り機構1310,1320が停止する時間t5において、照射ヘッド1000のインターロックは、解除され、治療用放射線3aは、照射されはじめる。治療用放射線3aの照射時間は、次に首振り機構1310,1320が駆動されるまでの、時間t5〜t6である。また、この時間t5〜t6と同期して、時間t3〜t5の間に取得された取得画像の追尾画像データの画像追尾計算が実行される。時間t6において、3回目の画像検出と2回目の首振りサーボ駆動が開始され、2回目の画像追尾計算と1回目の治療用放射線3aの照射が完了する。
治療用放射線3aの照射停止後、時間t6に画像取得用X線3bの照射を開始し、時間t6から始まる次の取得画像処理サイクルに移行する。時間t0から3回目の画像取り込み後のタイミングt8に照射ヘッド1000のインターロックが解除され、2回目の治療用放射線3aの照射が再開される。
このように、画像処理のサイクルと首振り及び照射のサイクルとは、互いにオーバーラップしている。ある画像処理のサイクルの間に行なわれる首振りヘッドの駆動及び治療用放射線3aの照射を行うサイクルは、この画像処理のサイクルの1つ前に行なわれた画像処理のサイクルの情報に基づいて行なわれる。
なお、心鼓動などの早い動きに追従する場合、画像検出の開始から、照射ヘッド1000を首振りさせて、治療用放射線3aを照射し終わるまでの時間t0〜t6は、0.1秒以内が一つの目安とされている。そこで、図24に示すタイムチャートは、画像処理の1サイクル及び首振り及び照射の1サイクルをそれぞれ0.05秒とした場合を示している。したがって、図24に示すタイムチャート中の時間は、一例であって、これ以外の時間間隔で実施されてもよい。
また、画像取得や画像追尾計算に異常が生じた場合、その時点で治療用放射線3aの照射を停止するようにインターロックをかけ、安全性を向上させる。なお、本実施形態の放射線治療装置6−2では、照射ヘッド1000の首振り及び位置決めが正常に行われたことを確認してから治療用放射線3aの照射がなされるよう構成されている。
このように本実施形態の放射線治療装置6−2において、画像検出のサイクル、画像取込のサイクル、画像追尾計算のサイクル、それに基づくヘッド首振り制御のサイクル、治療用放射線3aの照射のサイクルが繰返され、寝台の1/2球殻の位置から照射野5への追従照射による治療が行われる。
上述した本実施形態の放射線治療装置6−2の治療方法は、図25の(a)〜(e)にて示される。この図25は、図9と同様なので説明は省略する。
上述した本実施形態の放射線治療装置6−2によれば、画像処理時間を含めて0.1秒以内に照射ヘッド1000を高速首振り動作させ、照射野(患部)の動きに対して追随させることができるので、高精度な放射線を照射を実現することができる。
このように本実施形態の放射線治療装置6−2は、患部の動きに対応して高応答かつ高精度にノンアイソセントリック照射することが可能であるので、呼吸、心鼓動、蠕動、膀胱内の尿量等、臓器の運動や状態の影響を受けて腫瘍等の照射対象が移動する頚部以下の部位を治療対象とすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る放射線治療装置を、図26及び図27を参照して説明する。なお、図26及び図27においては、先の図と重複する部分についてはその説明は省略する。
本実施形態の放射線治療装置6−3は、回転ドラム9上に、照射ヘッド10、X線CT装置のX線管である画像取得用X線源97及びセンサアレイ98を搭載した構成であり、第3世代X線CT装置等のドラム部上に、照射ヘッド1000を装備した構造としている。回転ドラム9の回転中心は、アイソセンタ5aとされている。照射ヘッド1000は、4MeV〜10MeVの放射線を発生する電子リニアックに相当し、図示のように2軸(S1,S2)の首振り機構を有し、これらの首振り機構による動作によって、回転ドラム9の回転軸周りにノンアイソセントリックな照射が可能である。なお、S2軸の首振りには、回転ドラム9の回転に伴う照準角度補正も含める必要があるが、S1軸の首振りに関しての照準角度補正は不要である。
画像取得用X線源97及びセンサアレイ98は、照射ヘッド1000と干渉を生じない回転ドラム9上に所定箇所にそれぞれ取り付けられ、画像取得用X線源97とセンサアレイ98とは互いに向き合っている。センサアレイ98は Multirowタイプの多列センサである。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る放射線治療装置を、図28を参照して説明する。なお、図28においては、先の図と重複する部分についてはその説明は省略する。
本実施形態の放射線治療装置6−4は、回転ドラム9上に、照射ヘッド10と、X線源97A,97B及びセンサアレイ98A,98Bが装備されている。このX線源97Aとセンサアレイ98Aとのセットと、X線源97Bとセンサアレイ98BとのセットとはそれぞれX線透視装置として機能する。2つのX線透視装置の目視線は互いに一致しないようになっている。これにより患者4の体内のランドマーク又は微小金プレート等のマーカを写し込んだX線透視画像を2軸方向について取得することができ、患部位置の動きを把握可能としている。なお、X線透視画像の画像強調方法としては、造影剤を用いてDSAのような画像処理を行うことも可能である。なお、照射ヘッド1000については第3実施形態と同様である。
(第5実施形態)
次に、図29〜図37を参照して本発明の第5実施形態に係る放射線治療装置を説明する。
図29に示すように、本実施形態の放射線治療装置は、治療室200側に配置される要素と、隔壁201により治療室200から隔離された操作室202に配置される要素とからなる。
治療室200に配置される要素は、支持移動機構210と、この支持移動機構210により予め定めた第1球面座標上で支持され且つ移動する照射ヘッド220と、マイクロ波発振器230と、照射ヘッド220内の治療用放射線発生部221にマイクロ波発振器230で発生させたマイクロ波電力を伝送するマイクロ波伝送系である固定導波管部240、移動導波管部250及びヘッド内導波管部260と、寝台部270とである。
操作室202に配置される要素は、システム制御卓280である。
支持移動機構210は、治療室200の床に固定される一対の基台211,212と、この基台211,212に設けられた一対の傾動機構213,214と、照射ヘッド220を支持且つ移動させるための半円弧状軌道が形成されたガイドレール215と、一対のウエイト216,217とを含む。すなわち、ガイドレール215の中間部に前記軌道215Aが形成されると共にその両端215B1,215B2は、基台211,212に設けた傾動機構213,214により支持される。傾動機構213,214を駆動することにより、アイソセンタ300を中心に符号301に示す方向にガイドレール215は回転駆動される。
照射ヘッド220は、電子銃、加速器、ターゲット、コリメータ、真空ポンプ等からなる治療用放射線発生部221と、ラック・アンド・ピニオン、ベルト及びプーリ等の機構により照射ヘッド220を軌道215Aに沿って符号302に示す方向に周回移動させる周回移動機構222と、治療用放射線発生部221を符号303に示す直行2方向に首振りさせるジンバル機構223とを有する。ここに、傾動機構213,214及び周回移動機構222の動作により、照射ヘッド220を、アイソセンタ300をアイソセントリック回転させることができる。また、後述するジンバル機構223の動作は、照射ヘッド220を疑似ノンアイソセントリック回転させることができる。
マイクロ波発振器230は、クライストロンの如きマイクロ波電子管からなる。このマイクロ波発振器230、マイクロ波伝送系及び治療用放射線発生部221は、従来の小型電子リニアックの如き放射線治療装置では回転体である照射ヘッドを含むガントリ内に一体化されて組み込まれているものがあったが、本実施形態の放射線治療装置においては、重量物であるマイクロ波発振器230を治療室200の床に設置することで、軽量化された照射ヘッドを実現している。このような軽量化された照射ヘッド220であることと、特徴的な支持移動機構210との組合せにより、照射ヘッド220を、治療室200の空間上で規定される球面座標系上での任意位置への移動を可能としている。
移動導波管部250は、第1,第2直線形導波管251,252と、第1,第2,第3ロータリカプラ253,254,255を含むパンタグラフ機構であり、固定導波管部240とヘッド内導波管部260とを連結する。すなわち、同種の第1,第2,第3ロータリRFカプラ253,254,255のうち、代表として第2ロータリRFカプラ254を第1,第2直線形導波管251,252を含めて、図30を参照して説明する。
図30において、第2ロータリRFカプラ254は、一端側に第1直線導波管251が接続される第1筒体254Aと、この第1筒体254Aと同一の軸芯を持ち第1筒体254Aの他端側に一端側がベアリング254Cを介して回転可能に組み合わされ且つ他端側に第2直線導波管252が接続される第2筒体254Bとを含む。尚、第1,第2筒体254A,254Bの軸心方向と、第1,第2直線導波管251,252の伸長方向とは直角である。
また、第1,第2筒体254A,254Bの開口部には、2つの開口を形成してなる帯域フィルタ板254Dが設けられている。さらに第1筒体254Aと第2筒体254Bとの間には磁性シール機構254Eが設けられている。この磁性シール機構254Eは気密封止のためOリングに代わるものであり、一対の電磁石254E1,254E2により磁性流体254E3を挟みこんだ構造である。このような磁性シール機構254Eを第1筒体254Aと第2筒体254Bとの間に設けていることにより、従来のような劣化に伴う定期交換を必要とするOリングに比べて、保守管理の面で有利である。
このような第2ロータリRFカプラ254及び第1,第2直線形導波管251,252によれば、第1直線導波管251の伸長方向から伝送されたマイクロ波電力は、第2ロータリRFカプラ254の入口で直角に曲げられて、出口で再度直角に曲げられて第2直線導波管252の伸長方向に伝送される。また、第2ロータリRFカプラ254の第1筒体254A,第2筒体254Bは互いに回転可能であるので、第1,第2筒体254A,254Bに直角に接続された第1直線導波管251と第2直線導波管252とを互いに異なる方向に回転させることができる。
従って、移動導波管部250は、第2ロータリRFカプラ254に一端部が接続された第1直線導波管251の他端部を、第2ロータリRFカプラ254と同様の構造を有しガイドレール215の端部に固定された第1ロータリRFカプラ253に接続し、第2ロータリRFカプラ254に一端部が接続された第2直線導波管252の他端部を、第2ロータリRFカプラ254と同様の構造を有し照射ヘッド220に固定された第3ロータリRFカプラ255に接続しているので、照射ヘッド220の移動に伴って、第1,第2,第3ロータリRFカプラ253,254,255それぞれの第1,第2筒体254A,254Bが回転して第1,第2直線導波管251,252を、第2ロータリRFカプラ254を中心に開閉することができる。これは、第1,第2直線形導波管251,252と、第1,第2,第3ロータリRFカプラ253,254,255とを含む移動導波管部250が、パンタグラフ機構であることを示している。
また、図31は、2つのロータリRFカプラ254,254′と、5本の導波管とを用いて、曲がった伝送経路を形成する例を示している。この例では、図30と同様のロータリRFカプラ254及び直線導波管256,257と、これと同様のロータリRFカプラ254′及び直線導波管256′,257′とを、ベンド形導波管258により連結した構成である。
このように、図30に示すロータリRFカプラ254及び複数の導波管の組を複数製作し、これらをベンド形導波管により連結することにより、曲がった伝送経路を容易に形成することができる。
次に図32を参照して、照射ヘッド220と移動導波管部250との関係を説明する。すなわち、図29においてアイソセンタ300を規定したとき、照射ヘッド220は、支持移動機構210により治療室200の空間上で規定される球面座標系上での任意位置への移動を可能としている。この球面座標系を図32において、P1(r1,θ1,φ1)で示すことができる。この場合、r1は、アイソセンタ300とターゲットとの間の距離とする。また、移動導波管部250の第3ロータリRFカプラ255は、照射ヘッド220が球面座標系P1(r1,θ1,φ1)で移動すると、この座標系に応動してP2(r2,θ2,φ2)で示す球面座標系上での移動が行われる。r2は、アイソセンタ300と第3ロータリRFカプラ255の軸心との間の距離とする。
このように本実施形態の放射線治療装置によれば、照射ヘッド220が移動する球面座標系P1に従って移動導波管部250を球面座標系P2上で移動することができ、移動導波管部250の動きを照射ヘッド220の動きに追従させることができる。
次に、固定導波管部240について説明する。すなわち、固定導波管部240は、移動導波管部250で用いた直線形導波管と同様の導波管、図33に示す両端にフランジ241,242が設けられたEベント形導波管243、図34に示す両端にフランジ244,245が設けられたHベント形導波管245、移動導波管部250で用いたロータリRFカプラ253,254,255と同様のロータリRFカプラを含み、マイクロ波発振器230と移動導波管部250とを連結する。図29において、固定導波管部240は、マイクロ波発振器230の出力端から基台212内を通ってガイドレール215の端部215B2に設けた第1ロータリRFカプラ253に接続されている。
次に、図35A及び図35Bを参照して、照射ヘッド220及びヘッド内導波管部260について説明する。照射ヘッド220は、図29で説明したように、治療用放射線発生部221、周回移動機構222、ジンバル機構223を有すると共にヘッド内導波管部260を付設している。なお、図35A及び図35Bにおいては、図面に周回移動機構222は現れない。ジンバル機構223のフレーム223Aに直行2方向に首振りさせるサーボ機構223B,223Cが設けられており、周回移動機構で位置決めされた位置で、フレーム223A全体を首振りさせる。フレーム223Aには、電子銃221A,Cバンド定在波線形加速器の如き加速器221B,ターゲット221C,コリーメータ221D及び加速器221Bに連結される真空ポンプ221Eが搭載されている。
このような治療用放射線発生部221は、電子銃221Aから発射した電子線を加速器221Bより加速して、該加速した電子線をターゲット221Cに衝突させて放射線を発生させ、また該放射線をコリーメータ221Dで成形して、治療用放射線を照射ヘッド220から図示しない患者に照射する。
上記において加速器221Bにはヘッド内導波管部260が接続されている。このヘッド内導波管部260は、RF窓262を内部に有しつ且つ一端側が加速器221Bに接続されたロータリRFカプラ261を有する。このロータリRFカプラ261の他端側には、ベンド形導波管263が接続されている。RF窓262を内部に有するロータリRFカプラ261及びベンド形導波管263は、ジンバル機構223のフレーム223Aに搭載されている。また、周回移動機構側には、導波管265,266,267が設けられ、導波管267は移動導波管部250の第3ロータリRFカプラ255に接続されている。ここにジンバル機構223のフレーム223Aに搭載されたベンド形導波管263と、周回移動機構側に設けられた導波管265とは、詳細を図35に示すフランジ264A,264Bを有するフレキシブル導波管264により連結されている。なお、図33,図34,図36におけるフランジは、図37に示すフランジ268を用いることができる。なお、ヘッド内導波管部260においても、曲った伝送路を構成する場合には、図33に示す両端にフランジ241,242が設けられたEベント形導波管243、図34に示す両端にフランジ244,245が設けられたHベント形導波管245を用いることができる。
図29に示す、寝台部270は、患者272を載置しつつZ方向(垂直方向)と、X,Y方向(水平方向)とのうち少なくとも一方に移動する天板271を有する。この天板271の移動は、寝台部270に備わる図示しない移動機構により行われる。
図29に示す、システム制御卓280は、傾動機構213,214、照射ヘッド220の治療用放射線発生部221、周回移動機構222、ジンバル機構223、マイクロ波発振器230及び寝台部270を、自動又は手動により制御する。
以上のように構成された本実施形態の放射線治療装置によれば、次のような効果がある。すなわち、重量物であるマイクロ波発振器230を治療室200の床に設置して軽量化された照射ヘッド220を実現し且つ特徴的な支持移動機構210との組合せにより、照射ヘッド220を、治療室200の空間上で規定される球面座標系P1上での任意位置に移動することが可能となる。
また、本実施形態の放射線治療装置によれば、照射ヘッド220が移動する球面座標系P1に従って移動導波管部250を球面座標系P2上で移動することができ、移動導波管部250の動きを照射ヘッド220の動きに追従させることができ、任意の位置における照射ヘッド220に対しマイクロ波電力を容易に供給することができる。
さらに、移動導波管部250は、第1,第2直線形導波管251,252と、第1,第2,第3ロータリRFカプラ253,254,255とによりパンタグラフ機構を構成しているので、第2ロータリRFカプラ254を中心に第1直線形導波管251と第2直線形導波管252とを容易に開閉し且つ移動量を吸収することができ、患者272への干渉を未然に防止とすることができる。
また、固定導波管部240及びヘッド内導波管部260は、直線形導波管と共にEベント形導波管243、Hベント形導波管245、ロータリRFカプラ253,254,255と同様のロータリRFカプラを用いて構成しているので、曲がった伝送路を最短距離で形成することができ、小型化に寄与するものとなる。
さらに、ロータリRFカプラ254の第1筒体254Aと第2筒体254Bとの間には磁性シール機構254Eを設けていることにより、従来のOリングに比べて、摩耗に伴うリーク発生を抑制することができ、また劣化に伴う交換サイクルを延ばすことができる。
また、ヘッド内導波管部260におけるジンバル機構223に搭載されるベンド形導波管263と、周回移動機構側に設けられた導波管265とは、フレキシブル導波管264により連結しているので、ジンバル機構223によりベンド形導波管263を含む治療用放射線発生部221が首振り動作により微少角変位しても、この首振り動作の伴う治療用放射線発生部221の位置ずれは容易にフレキシブル導波管264により吸収することができる。これにより、治療用放射線発生部221に所定のマイクロ波電力を供給しつつジンバル機構223により、照射ヘッド220を円滑に疑似ノンアイソセントリックな回転をさせることが可能となる。
(第6実施形態)
次に、図38及び図39を参照して本発明の第6実施形態に係る放射線治療装置を説明する。図38及び図39においては、図29〜図37と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
第6実施形態に係る放射線治療装置は、移動導波管部250におけるパンタグラフ機構を一層活用するために、支持移動機構210における一対の傾動機構213,214を治療室200の天井203と床204とに配置した構成である。
このように構成することにより、第5実施形態に係る放射線治療装置と同様の作用効果を奏する他に、移動導波管部250の第1,第2直線形導波管251,252は天井203と床204との間で開閉するようになり、患者272かに天井203方向に照射ヘッド220を待避させることができ、患者への干渉及び圧迫感を抑制することができる。なお、この構成においては、固定導波管部240を天井203及び壁に沿い又は天井203及び壁に埋め込んで配置することができ、治療室200をより治療のために活用することができる上に、医師、技師、看護士への衝突等を未然に防止することができ、また治療効率の向上が図られる。
なお、第5,第6実施形態の放射線治療装置においても、第1〜第4実施形態におけるX線CT装置、MRI装置等の画像取得装置を組み合わせることができ、第1〜第4実施形態と同様に、取得した患部画像により照射野を位置決めすることができる。この場合、制御卓280により放射線治療装置と画像取得装置とを連携することができる。
産業上の利用の可能性
以上のように本発明によれば、優れた治療性能を有する放射線治療装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施形態に係る放射線治療装置を寝台軸に直交する方向から見た構成図。
図2は、同実施形態の放射線治療装置を寝台軸方向から見た構成図。
図3は、同実施形態の放射線治療装置による放射線治療を説明する斜視図。
図4は、同実施形態の放射線治療装置における照射ヘッドの部分断面図。
図5は、同実施形態の放射線治療装置における導波管系及びロータリRFカプラを示す斜視図。
図6は、同実施形態の放射線治療装置におけるロータリRFカプラ及び導波管を示す斜視図。
図7は同実施形態の放射線治療装置におけるロータリRFカプラを説明する図。
図8は、同実施形態に係る放射線治療装置のブロック図。
図9は同実施形態における放射線治療の操作手順を、モニタ画面の変化で示す図。
図10は、本発明の第2実施形態に係る放射線治療装置を寝台軸に直交する方向から見た構成図。
図11は、同実施形態の放射線治療装置を寝台軸方向から見た構成図。
図12は、同実施形態の放射線治療装置による放射線治療を説明する斜視図。
図13A、図13B及び図13Cは夫々本発明の第2実施形態に係る放射線治療装置における照射ヘッドを示し、図13Bは図13AにおけるXIIIB−XIIIBに沿う断面図、図13Cは図13AにおけるXIIIC−XIIICに沿う断面図。
図14は、同実施形態の放射線治療装置における照射ヘッドに備わる超小型C−Band加速器を示す構成図。
図15は、同実施形態の放射線治療装置による擬似ノンアイソセントリックで放射線治療を行う際の照射ヘッド及び患者を示す斜視図。
図16は、同実施形態の放射線治療装置による擬似ノンアイソセントリックで放射線治療を行う際の照射ヘッドの首振り動作の一例を説明するものであって、図15におけるXVI−XVIに沿う部分断面図。
図17は、同実施形態の放射線治療装置による擬似ノンアイソセントリックで放射線治療を行う際の照射ヘッドの首振り動作の他例を説明するものであって、図15におけるXVII−XVIIに沿う部分断面図。
図18は、本発明の第2実施形態に係る放射線治療装置のブロック図。
図19は、本発明の第2実施形態に係る放射線治療装置の照射ヘッドを示す斜視図。
図20A〜Dは同実施形態における首振り機構を示し、図20Aは導波管と首振り機構及び駆動モータを示す斜視図、
図20Bは図20AにおけるXXB−XXBに沿う断面図、
図20Cは図20AにおけるXXC−XXCに沿う断面図、
図20Dは図20AにおけるXXD−XXDに沿う断面図。
図21は、同実施形態の放射線治療装置における導波管系及びロータリRFカプラを示す斜視図。
図22は、同実施形態の放射線治療装置におけるロータリRFカプラ及び導波管を示す斜視図。
図23A,図23Bは夫々同実施形態の放射線治療装置におけるロータリRFカプラを説明する図。
図24は同実施形態における動作を示すタイミングチャート。
図25は同実施形態における放射線治療の操作手順を、モニタ画面の変化で示す図。
図26は、本発明の第3実施形態に係る放射線治療装置を、寝台軸の方向から見た構成図。
図27は、同実施形態に係る放射線治療装置を、寝台軸の方向から見た構成図。
図28は、本発明の第4実施形態に係る放射線治療装置を、寝台軸の方向から見た構成図。
図29は、本発明の第5実施形態に係る放射線治療装置を示す斜視図。
図30は、同実施形態におけるロータリRFプラの断面図。
図31は、同実施形態におけるロータリRFカプラ及び導波管を組み合わせた伝送系を示す図。
図32は、同実施形態における照射ヘッドに係る球面座標系と移動導波管部に係る球面座標系との関係を示す図。
図33は、同実施形態におけるEベンド形導波管を示す図。
図34は、同実施形態におけるHベンド形導波管を示す図。
図35A及び図35Bは、同実施形態における照射ヘッドを示し、図35Aは正面図、図35Bは側面図。
図36は、同実施形態におけるフレキシブル導波管を示す図。
図37は、同実施形態におけるフランジを示す図。
図38は、本発明の第6実施形態に係る放射線治療装置を示す斜視図。
図39は、同実施形態に係る放射線治療装置の移動導波管部の動作を示す図。
Claims (12)
- 線形加速器及びこの線形加速器に一端部が電磁気的に接続されるヘッド内導波管部を有する照射ヘッドと、
この照射ヘッドを予め定めた第1球面座標上で支持し且つ移動させる支持移動機構と、
前記照射ヘッドに供給すべきマイクロ波を発生する、静止位置に配置されるマイクロ波発振器と、
一端部が前記マイクロ波発振器に電磁気的に接続され、他端部が前記支持移動機構上に位置する固定導波管部と、
一端部が前記支持移動機構上に位置する前記固定導波管部の他端部に電磁気的に接続され、他端部が前記ヘッド内導波管部の他端部に電磁気的に接続される移動導波管部と
を具備する放射線治療装置。 - 前記移動導波管部は前記第1球面座標に従う第2球面座標で移動する手段を備える請求項1の放射線治療装置。
- 前記ヘッド内導波管部、前記固定導波管部及び前記移動導波管部は、導波管及びロータリRFカプラを含む請求項1の放射線治療装置。
- 前記移動導波管部は、前記照射ヘッドの移動に従って開閉動作する導波管及びロータリRFカプラを含むパンタグラフ機構を備える請求項1の放射線治療装置。
- 前記パンタグラフ機構は、前記照射ヘッドからの治療用放射線が照射される患者から離れる方向に閉じる手段を備える請求項4の放射線治療装置。
- 前記固定導波管部は、治療室の天井及び壁に沿って配置される請求項5の放射線治療装置。
- 前記ヘッド内導波管部及び前記固定導波管部のうち少なくとも一つは、ベンド導波管を含む請求項1の放射線治療装置。
- 前記ヘッド内導波管部及び前記固定導波管部のうち少なくとも一つは、フレキシブル導波管を含む請求項1の放射線治療装置。
- 前記ロータリRFカプラは、一端側に導波管が接続される第1筒体と、この第1筒体と同一の軸芯を持ち前記第1筒体の他端側に一端側が回転可能に組み合わされ且つ他端側に別の導波管が接続される第2筒体とを含む請求項3の放射線治療装置。
- 前記ロータリRFカプラは、内部の真空及び封入ガスのうち少なくとも一方をシールする磁気シールを含む請求項3の放射線治療装置。
- 前記照射ヘッドは、少なくとも直行2方向に首振りさせるジンバル機構を具備する請求項1の放射線治療装置。
- 前記照射ヘッドをアイソセンタを中心に回転させるアイソセントリック回転機構と、
前記アイソセントリック回転機構により前記照射ヘッドを所定角回転した位置で前記照射ヘッドの首振りを行う疑似ノンアイソセントリック回転機構と、
を更に具備する請求項1の放射線治療装置。
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