JPWO2003015741A1 - 保湿剤並びに保湿剤を含有する化粧品及び外用剤 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、水分保持特性に優れ、かつ、40℃以上での高温安定性に優れた保湿剤及びそれらを含有する化粧品及び外用剤を提供することにある。この目的を達成するために、本発明は、成分A:グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、前記グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基を超えて残存させたエステル化物と、成分B:2価の水溶性アルコールと、成分C:3価以上の水溶性多価アルコールとを含有する保湿剤。また、該保湿剤を含有してなる化粧料又は外用剤。
Description
技術分野
本発明は、特定の成分からなる保湿剤及びこれを含有してなる化粧品及び外用剤に係り、特に高温安定性に優れた保湿剤と、それを含有する化粧品および外用剤とに関するものである。
背景技術
食品、化粧品、農薬、飼料、医薬品等の各種製品の配合成分には水分が深く関係しており、これら製品における保湿機能は、重要な品質機能の1つであることがよく知られている。化粧料又は外用剤に用いられる公知の保湿剤としては、グリセリン、1.3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコールが使用されている。この他に、NMF(天然保湿因子)の主成分であるピロリドンカルボン酸塩や乳酸塩など、また、微生物生産によるヒアルロン酸ナトリウムも使用されている。
また、保湿剤は前記製品そのものの水分保留剤として働いて、系の安定性の保持にも寄与する重要な役割も担っている。グリセリンやソルビトールなどの3価以上の多価アルコールは、優れた保湿性および水分保留性を有する上、安全性、安定性、および価格などの点からもっとも汎用性の高い保湿剤として使用されている。
保湿剤として具備すべき必要条件として、環境条件(温度、湿度、風など)に左右されず、特に周囲の湿度に影響を受けず、水分を長い間保持できることが挙げられる。しかしながら、どのような保湿剤でも蒸気圧の関係から吸湿量及び放出量が周囲の湿度に影響を受ける。例えば、グリセリンの場合、温度が25℃、相対湿度が75%のときの平衡水分量は60%、相対湿度が33%のときの平衡水分量は15%である。同様に、ソルビトールの場合では、相対湿度が75%のとき平衡水分量は50%、相対湿度が33%のとき5%である。このように、周囲の相対湿度の程度により、含水率に差異が生じる。
つまり、従来の保湿剤は、周囲の相対湿度が低い場合には、保留している水分を放出し、保水量が低くなってしまうという問題点を有している。したがって保湿剤としては、低湿度環境下における水分の蒸散が緩慢であることが必要である。低湿度環境下における水分の蒸散を重要視した場合、現在のところ、レシチンが汎用されている。しかしながら、低pH下での等電点における易析出性、低耐塩性、セタノール等との併用で粘性が低下する場合があること、易加水分解性、および熱に弱いなどの問題点を持ち合わせている。
さらに昨今、化粧料や外用剤が商品として流通する上で、高温安定性という新しい問題が浮上している。すなわち、化粧品や外用剤の流通における従来の保証制度では、40℃での安定性が求められていた。したがって、化粧品や外用剤の保存試験は40℃で行われており、また、加速試験も40℃で行われている。しかしながら、近年、オゾン層の破壊による温暖化や都市型の温暖化により、平均気温が上昇している。特に、都市部近郊での夏季の日中の気温上昇は著しく、35℃以上になることが多くなりつつある。このため、空調の効かない屋内、携行中のかばんの中、及び車中ではその温度が40℃を超えることがしばしばある。このような高温下では、製品の固さが極端に低下し、容器からの取り出し時に勢いよく流出してしまったり、容器からの漏れの原因になったり、さらには油層が分離してしまう場合が増えつつある。
そこで、環境条件に影響をうけにくい水分保持機能を有する保湿剤、および40℃以上の高温度下でも優れた粘度保持性および保存安定性を有する化粧品や外用剤が求められている。
従来、乳化系を設計する場合、系が有する欠点を補いながら、要求する物性を満たすよう、また所望の感触が得られるよう処方調整していた。しかしながら、優れた水分保持特性を有する上に、優れた高温安定性、特に40℃以上の高温下で高粘度を維持できる製剤を処方調整することは、非常に困難であった。
発明の開示
本発明の目的は、上記問題を改善することにあり、水分保持特性および高温安定性に優れた保湿剤と、それを含有する化粧品及び外用剤とを提供することにある。
なお、本願明細書では、「水分保持特性」とは、高温あるいは低温、高湿度あるいは低湿度にかかわらず、ほぼ一定の水分を保持できる特性のことをいい、「高温安定性」とは、特に40℃以上の高温下で高粘度を維持でき、安定して存在し得る特性をいう。
本発明者らは、このような状況に鑑み、水中油型を主体とする乳化系において、保湿性及び高温安定性を向上させるべく、従来とは異なる視点から開発に取りくんだ。つまり、乳化系物質に少量添加することで保湿機能を発揮し、しかも種々の乳化系物質に有用で、高温安定性に優れた保湿剤の開発を目指して鋭意検討した。その結果、水分保持特性に優れ、さらに高温安定性、特に40℃以上という高温下での安定性に優れた保湿剤を見出し、本発明を完成した。また、本発明の保湿剤を含有する化粧料又は外用剤も、保湿剤と同様に、水分保持特性および高温安定性に優れていることを見出した。
すなわち、本発明は、成分A:グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とからなるエステル化合物であって、上記グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存するエステル化物と、成分B:2価の水溶性アルコール、および成分C:3価以上の水溶性多価アルコールとを含有する保湿剤を提供する。
また、本発明は、上記保湿剤を含有する化粧品を提供する。
さらにまた、本発明は、上記保湿剤を含有する外用剤を提供する
発明を実施するための最良の形態
本発明の保湿剤は、下記成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤である。
つまり、成分A:グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、前記グリセリン及び/又はその縮合物の総水酸基数の1/2以上の水酸基を超えて残存させたエステル化物、
成分B:2価の水溶性アルコール、および
成分C:3価以上の水溶性多価アルコールを含有する保湿剤である。
上記成分を含有してなる本発明の保湿剤は、水分保持特性が高く、高温安定性にも優れている。
また、本発明は、前記成分Aのエステル化物が、グリセリン及その縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の脂肪族飽和二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方に、直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸をエステル結合させた場合に、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上が残存する仕込み量で、エステル化反応を行うことにより得られる保湿剤を提供する。
まず、本発明で成分Aとして用いるエステル化合物について説明する。
上記成分Aのエステル化物を製造するためには、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方が必須成分として用いられる。つまり、グリセリン、グリセリンの縮合物、またはグリセリンとグリセリン縮合物との混合物が必須成分として用いられる。
なお、本発明において、「グリセリンの縮合物」とは平均重合度が2以上のポリグリセリンを意味する。しかしながら、平均重合度が高い方が親水性が高く、保湿能も高くなるため、平均重合度が5以上のポリグリセリンがより好ましく、平均重合度が10程度のポリグリセリンが最も好ましい。具体的にはジグリセリン、トリグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等を例示でき、これらは単独もしくは混合物として使用できる。
次に直鎖状飽和脂肪酸(直鎖状飽和脂肪族一塩基酸)は、炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸であることを必須とする。炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸であることが必須であるが、その中でも炭素数18〜24の直鎖状飽和脂肪酸が好ましく、炭素数20又は22の直鎖状飽和脂肪酸が最も好ましい。かかる直鎖状飽和脂肪酸の炭素数が16未満であると、得られるエステル化物を配合した保湿剤の保存安定性が劣り、経時で分離等が起こり易くなるため好ましくない。逆に、炭素数が28を越えると、脱臭、脱色することが困難となるため、不適当である。また、分岐状飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸では、得られるエステル化物を配合した保湿剤の保存安定性が劣り、経時で分離等が起こりやすくなるため、好ましくない。
本発明で好適に使用できる上記直鎖状飽和脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、10−ケトステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ヘベン酸、モンタン酸等をあげることができ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。なお、脂肪酸の炭素数が多いエステル化物を配合した保湿剤ほど、保存安定性が向上する傾向があるが、原料入手の容易さの点及び融点上昇によるエステル化物の合成の困難さを考慮すると、ベヘン酸が最も好ましい。
また、飽和脂肪族二塩基酸としては、炭素数が16〜28の飽和脂肪族の二塩基酸であることを必須とする。炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸であることが必須であるが、炭素数18〜24の飽和脂肪族二塩基酸が好ましく、炭素数20又は22の飽和脂肪族二塩基酸が最も好ましい。不飽和脂肪族二塩基酸や炭素数が16未満の飽和脂肪族二塩基酸から得られるエステル化物(成分A)を配合した保湿剤は保存安定性が悪く、経時で分離が起こりやすい。また、炭素数が28を超える飽和脂肪族二塩基酸は工業的原料として入手しにくい。
本発明で好適に使用できる飽和脂肪族二塩基酸としては、例えば、エイコサンジカルボン酸、ドコサコサジカルボン酸、テトラコサジカルボン酸、ヘキサコサジカルボン酸、オクタコサジカルボン酸等を挙げることができ、これらを単独もしくは混合して使用することができる。二塩基酸の炭素数が多いエステル化物を配合した保湿剤ほど、保存安定性が向上する傾向があるが、原料入手の容易さの点及び融点上昇によるエステル化物の合成の困難さを考慮すると、これら飽和脂肪族二塩基酸の中でもエイコサジカルボン酸が最も好ましい。
成分Aであるエステル化物は、上記原料を適宜組み合わせて、次に述べる方法で得ることができる。
すなわち、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方と、炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とを同時にオリゴエステル化反応することにより所望の成分Aを得ることができる。また、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方と、炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸とをまずエステル化反応させ、得られた生成物と炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とをオリゴエステル化反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることもできる。さらに、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方と炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とをオリゴエステル化せしめ、次いで得られた生成物と直鎖状飽和脂肪酸とをエステル化反応させることにより得ることもできる。
なお、上記エステル化反応は、酸触媒、アルカリ触媒、又は金属触媒の存在下もしくは非存在下、好ましくは該反応に不活性な有機溶媒又は/及び気体中で、100〜240℃にて数時間〜20時間、副生する水を除去して行うことが好ましい。上記エステル交換反応は、金属アルコラート又はリパーゼ等の触媒を用い、20〜140℃にて数十分〜数十時間行うことが好ましい。なお、反応経過は、系中の酸価あるいは遊離した酸成分の組成を測定することにより判断でき、これにより反応の終了時点を決定すればよい。ここで、酸価が5以下、好ましくは1以下であって、酸価の低下が認められなくなるまで反応させて、反応終了とすることで、原料として仕込んだ直鎖状飽和脂肪酸と飽和脂肪族二塩基酸とのほとんどすべてがエステル化したエステル化物を得ることができる。得られたエステル化物に、溶剤除去、脱色、脱臭等の処理を施すことで精製されたエステル化物を得ることができる。
かくして得られるエステル化物は、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、直鎖状飽和脂肪酸と、脂肪族飽和二塩基酸とが、直鎖状及び/又は網目状にオリゴエステル化された混合物であり、融点は約50〜80℃である。
また、本発明に用いるエステル化物は、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存しているエステル化物であることを必須とする。エステル化物の残存水酸基数が1/2より少なくなると、エステル化物(成分A)と多価アルコール(成分Bおよび成分C)との相溶性が劣り、保湿剤保存時に不溶物が経時で析出し易くなり好ましくないからである。
なお、グリセリン縮合物の水酸基の数は平均重合度を基にして求めるが、この平均重合度は水酸基価を基に計算して求められるものである。平均重合度がn(nは整数)であるグリセリン縮合物の場合、1モル中の総水酸基数の1/2の数は(n+2)/2個となる。エステル化反応においては、直鎖状飽和脂肪酸1モルは、このグリセリン及び/又はその縮合物の水酸基1個とエステル結合し、脂肪族飽和二塩基酸1モルは、このグリセリン及び/又はその縮合物の水酸基2個とエステル結合する。
したがって、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存しているエステル化物は、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2が残存するエステル化物の仕込み原料割合を基準として、仕込み原料割合を変更することにより得ることができる。具体的には、まず、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、すべての直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸とをエステル化させた場合に、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数のちょうど1/2が残存するものが得られる原料の配合割合、すなわち仕込みのモル量を設定する。つまり、設定したモル量のグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、設定したモル量の直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸とを原料として仕込み、酸価が5以下、好ましくは1以下であって、酸価の低下がなくなるまでエステル化反応を行うと、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2の水酸基が残存しているエステル化物が得られる。このことから、設定したモル量のグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、設定したモル量より少ないモル量の直鎖状飽和脂肪酸又は脂肪族飽和二塩基酸とを原料として仕込み、上記条件を満たすまでエステル化反応を行うと、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2より多くの水酸基が残存しているエステル化物が得られる。
例えば、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2の数が残存するものが得られる理論仕込み量は、デカグリセリン(水酸基価882.2)、ベヘン酸及びエイコサジカルボン酸からなるエステル化物の場合、例えば、デカグリセリン1モル、ベヘン酸5モル及びエイコサジカルボン酸0.5モルである。この場合、デカグリセリンにすべてのベヘン酸及びエイコサジカルボン酸がエステル結合すれば、デカグリセリンの総水酸基数の1/2個が残存することとなる。また、この理論仕込み量において、ベヘン酸の仕込み量を減らし、デカグリセリンにすべてのベヘン酸及びエイコサジカルボン酸がエステル結合すれば、デカグリセリンの総水酸基数は、1/2個以上残存することとなる。
本発明で好ましく使用される成分Aのエステル化物としては、デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物(商品名:ノムコートHK−P、日清製油(株)製)が挙げられる。
次に、本発明で成分Bとして用いる2価の水溶性アルコールについて説明する。成分Bとして用いる2価の水溶性アルコールは、1分子中に2個の水酸基を有する水溶性アルコールであれば、特に限定されない。代表的なものとして、1.2−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1.3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等があり、これらは単独であるいは混合して使用できる。これらの2価の水溶性アルコールうち、エステル化物との相溶性が高いため、1.3−ブチレングリコールが最も好ましい。1.3−ブチレングリコールとして、市販品(例えばダイセル化学工業(株)製)を利用するのが簡便である。
次に本発明で成分Cとして用いる3価以上の水溶性多価アルコールについて説明する。成分Cとして用いる3価以上の水溶性多価アルコールとは、1分子中に3個以上の水酸基を有する水溶性多価アルコールであれば、特に限定されない。代表的なものとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、グルコース、ガラクトース、フルクトース、シュクロース、マルトース、キシロース、キシロビオース、オリゴ糖の還元物等などがあり、これらは単独であるいは混合して使用できる。なお、これら3価以上の水溶性多価アルコールの中でも、保湿剤を、ゲル状にしやすいためグリセリンが好ましい。
また、本発明の保湿剤において、成分Aであるエステル化物の含量は、保湿剤100質量%に対して、0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、特に0.5〜30質量%が好ましい。エステル化物の含量が0.1質量%未満の場合、保湿剤の水分保持特性が不十分になる傾向にあり、逆に50質量%を超える場合、該保湿剤の系中にエステル化物が均一に溶存せず、不溶分が析出する傾向がみられるため好ましくない。
また、成分B及びCの合計含量は、保湿剤100質量%に対して、5〜99.9質量%、好ましくは10〜95質量%である。成分B及びCの合計含量が、5質量%未満の場合、保湿剤の水分保持特性が不十分になる傾向がみられるため好ましくない。さらに、上記成分Bである2価の水溶性アルコールと、上記成分Cである3価以上の水溶性多価アルコールとの質量比は1:0.1〜1:20が好ましく、1:0.1〜1:10がより好ましい。成分Bの質量1に対して成分Cの質量が0.1より小さい場合は、水分保持特性は満足できる程度にまで達しない。また、成分Bの質量1に対して成分Cの質量が20より大きい場合、水溶性多価アルコール(成分BおよびC)中でエステル化物(成分A)が安定的に溶存できなくなり、室温〜低温、例えば20℃〜5℃で沈澱を生じる傾向が大きくなるため、好ましくない。
本発明の保湿剤の調製方法について特に制限はないが、例えば、成分Aのエステル化物と、成分Bの2価の水溶性アルコールと、成分Cの3価以上の水溶性多価アルコールとを、60℃〜90℃、好ましくは70℃〜80℃に加熱した後、緩い棒撹拌、プロペラ撹拌、ホモミキサー撹拌、ディスパー撹拌等の撹拌により、10分〜1時間程度撹拌し、各成分を均一溶解せしめることにより調製できる。成分A、成分B、および成分Cを60℃未満で攪拌する場合、充分均一に攪拌できない場合があり、逆に90℃を越えた温度で攪拌した場合、各成分が熱により分解してしまう場合があるため、好ましくない。
本発明の成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤は非水系のままでも良いが、水を配合することもできる。水の配合量は、水添加後の全質量100質量%に対して、0.1〜80質量%、好ましくは1〜50質量%、1〜20質量%となる量が最も好ましい。水の配合量が水添加後の全質量100質量%に対して、80質量%を越えて配合してもさらなる保湿効果を望めないからである。
また特に、3価以上の水溶性多価アルコール(成分C)が、ショ糖およびグルコース等の固体の糖である場合、エステル化物と均一に混合しにくくなるため、水添加後の全質量100質量%に対して、10〜80質量%を占めるように水を加えることが好ましい。上記範囲の中でも、30〜80質量%がより好ましく、60〜80質量%が最も好ましい。
上記成分A、成分B、および成分Cを含有してなる保湿剤は、さらに油性物質を含有することもできる。また、上記保湿剤は、水と油性物質とを添加することもできる。油性物質を添加することにより、水分保持特性及び高温安定性をより改善することができる。油性物質の配合量は、油性物質添加後の保湿剤100質量%に対して、1〜80質量%、10〜70質量%となる量がより好ましい。油性物質が、油性物質添加後の保湿剤100質量%に対して、80質量を超えて添加した場合、油の分離が生じる傾向があるため好ましくない。
上記油性物質は特に限定されず、炭化水素類、エステル類、油脂類、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン系物質、ステロール類、樹脂類などがこれに含まれる。より具体的には、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソオクチル酸セチル(2−エチルヘキサン酸セチル)、トリイソオクチル酸グリセリル(トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリカプリル酸グリセリル、ジイソオクチル酸ネオペンチルグリコールエステル(ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールエステル)、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル(3,5,5−トリメチルヘキサン酸3,5,5−トリメチルヘキシルアルコールエステル)、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エメリー社製イソステアリン酸を用いるモノないしヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリトールエステル、o,m又はp−メトキシケイ皮酸イソオクチル、ユーカリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、米胚芽油、米ヌカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、アボガド油、ヒマシ油、月見草油、タートル油、ミンク油、オレンジラフィー油、ラノリン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セタノール、ラノリンアルコール、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、セラックロウ、大豆硬化油、菜種硬化油、トリステアリン酸グリセリル、ロジン、コレステロール、フィトステロール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、および動植物起源の精油成分などがある。これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらの油性物質の中でも、成分Aであるエステル化物に対して相乗作用を示し、保湿剤としての粘調性が著しく増大するため、セタノール等の高級アルコール類が好ましい。
本発明の保湿剤が水又は油性物質を含有する場合、上記成分Aと、成分Bと、成分Cとを加熱後、攪拌する際、水または油性物質を添加させることにより、得ることができる。
次に、本発明の保湿剤の性状について説明する。
本発明の保湿剤は、液状、粘性のある液体である粘稠状、流動性のない半固体であるゲル状とさまざまな性状とすることができる。
本発明の保湿剤は様々な性状で使用することができるが、特に、ゲル状保湿剤を基材として用いると、ゲル状形態の化粧料又は外用剤を調製することが可能となる。また、油性物質を配合していない保湿剤については、粘稠状保湿剤又はゲル状保湿剤は、水分保持特性及び高温安定性がより優れているため、好ましい。その中でも特に、ゲル状のものが水分保持特性及び高温安定性が高いため、最も好ましい。
本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤で非水系のものはゲル状である。また、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤に、水添加後の全質量100質量%に対して、0.1〜約50質量%となる水を配合した場合もゲル状を保っている。そして、約50質量%以上の水を配合することで液状又は粘稠状となる。ここで、保湿剤の性状がゲル状から液状又は粘稠状へと移行する時の水の配合量を約50質量%と記載しているが、移行する水の配合量は、成分A、成分B、及び成分Cの配合比率により変動するものである。
次に、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤1(質量)に対し、油性物質10倍量以下(質量)を配合した場合、非水系のものはゲル状である。また、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤1(質量)に対し、油性物質10倍量以下(質量)を配合し、さらに、水添加後の全質量100質量%に対して、0.1〜約40質量%となる水を配合した場合もゲル状を保っている。そして、約40質量%以上の水を配合することで液状又は粘稠状となる。ここで、保湿剤の性状がゲル状から液状又は粘稠状へと移行する時の水の配合量を約40質量%と記載しているが、移行する水の配合量は、成分A、成分B、及び成分Cの配合比率により変動するものである。
本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤に配合する油性物質の量は、保湿剤1(質量)に対して1〜20倍量(質量)がより好ましい。油性物質の量が1倍量(質量)であると、油性物質を添加することによる官能改善効果が得られにくくなり、20倍量(質量)を超えると、油の分離を生じる傾向がみられるため好ましくない。
そして、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤に、油性物質及び水を配合して得られる液状又は粘稠状の保湿剤は、油性物質を含有するものであるため、水中油型乳化状態又は可溶化状態となっている。ここで、水中油型乳化状態の保湿剤とは、平均粒子径が50nm以上の乳化粒子が水中に存在する乳化状態の保湿剤のことをいう。また、可溶化状態の保湿剤とは、水不溶性物質を可溶化して熱力学的に安定化させ外観を透明液状とした保湿剤や、マイクロエマルション等のような平均粒子径が50nm以下の油の微粒子が水中に分散した透明あるいは半透明の保湿剤のことをいう。
次に、水中油型乳化状態の保湿剤について説明する。
先に説明した成分A、成分B、成分C、および油性物質を含有するゲル状保湿剤に攪拌下で水を添加すると、水中油型乳化状態の保湿剤を得ることができる。また、成分A、成分B、成分C、水、及び油性物質を含有するゲル状保湿剤に攪拌下でさらに水を添加しても水中油型乳化状態の保湿剤を得ることができる。
水中油型乳化状態の保湿剤を得るには、水中油化型乳化状態の保湿剤100質量%に対して、含水率が50〜99質量%となるように、攪拌下で水を添加することが好ましく、含水率が60〜90質量%の範囲がより好ましい。含水率が99質量%より多いと、乳化状態が不良となるため、好ましくない。また、攪拌下で水を添加する前に、あらかじめ公知の界面活性剤や保湿剤などの水溶性又は水分散性成分を、本発明の保湿剤に配合しても良い。界面活性剤や、保湿剤などの水溶性成分又は水分散性成分を配合することで、さらなる保湿剤の経時安定性及び保湿能の向上という効果が得られる。
得られた水中油型乳化状態の保湿剤は、このまま化粧品又は外用剤として用いることができるし、水性製品基剤、化粧品基材としても使用できる。
次に可溶化状態の保湿剤について説明する。
先に明した成分A、成分B、成分C、さらに油性物質を含有するゲル状保湿剤に攪拌下で水を添加すると、しだいに粘度が低下していき、可溶化状態の保湿剤を得ることができる。また、成分A、成分B、成分C、水、及び油性物質を含有する保湿剤に攪拌下で水を添加しても可溶化状態のゲル状保湿剤を得ることができる。
可溶化状態の保湿剤を得るには、可溶化状態の保湿剤100質量%に対して、含水率が50質量%以上となるように、攪拌下で水を添加することが好ましく、含水率が60〜90質量%の範囲がより好ましい。
また、攪拌下で水を添加する前に、あらかじめ公知の界面活性剤や保湿剤などの水溶性又は水分散性成分を、本発明の保湿剤に配合しても良い。界面活性剤や、保湿剤などの水溶性成分又は水分散性成分を配合することで、さらなる保湿剤の経時安定性及び保湿能の向上という効果が得られる。
得られた可溶化状態の保湿剤は、このまま化粧品又は外用剤として用いることができるし、水性製品基剤、化粧品基材として使用できる。
かくして本発明の保湿剤は、その性状が液状、粘稠状、ゲル状、水中油型乳化状態及び可溶化状態のいずれであっても水分保持特性、高温安定性に優れている。また、優れた高温安定性、および各々の形状を活用して、園芸分野における草花への水分供給剤、土木分野における砂漠土や乾燥土壌の改良剤、そして医療分野あるいは化粧品分野における保湿剤等、種々の分野のさまざまな製品に応用することが可能となる。また、その利用の目的に応じて、最終製品には通常用いられる公知の成分を配合できる。
上記化粧品が先に説明した成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤、またはさらに水を配合した保湿剤を含有する場合、最終製品である化粧品100質量%に対して、上記保湿剤を0.1〜90質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜50質量%の範囲で含有することがより好ましい。
また、上記化粧品が油性物質を配合したゲル状保湿剤を含有する場合、最終製品である化粧品100質量%に対して、上記ゲル状保湿剤を、0.1〜50質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜40質量%の範囲で含有することがより好ましい。
さらに、上記化粧品が水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を含有する場合、最終製品である化粧品100質量%に対して、上記水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を、0.1〜100質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜100質量%の範囲で含有することがより好ましい。
化粧品としては、クリーム、乳液、化粧水、美容液、クレンジングジェルなどの化粧料や軟膏、ゲル等の外用剤が得られるほか、モイスチャージェル、パック剤などのスキンケア化粧料、乳化型ファンデーション、乳化アイシャドー、ネイルトリートメント等の保湿効果を期待するメイクアップ化粧品等が挙げられる。
さらに本発明は、上記保湿剤を含有する外用剤を提供する。
上記外用剤が先に説明した成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤、またはさらに水を配合した保湿剤を含有する場合、最終製品である外用剤100質量%に対して、上記保湿剤を0.1〜90質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜50質量%の範囲で含有することがより好ましい。
また、上記外用剤がさらに油性物質を配合したゲル状保湿剤を含有する場合、最終製品である外用剤100質量%に対して、上記ゲル状保湿剤を、0.1〜50質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜40質量%の範囲で含有することがより好ましい。
さらに、上記外用剤が水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を含有する場合、最終製品である外用剤100質量%に対して、上記水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を、0.1〜100質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜100質量%の範囲で含有することがより好ましい。
外用剤としては、あかぎれ、ひび、かゆみやアトピーなど皮膚の乾燥を伴う皮膚炎症用の医薬部外品、医薬品の軟膏、ゲル製剤等が挙げられる。
上記化粧料及び外用剤は、上記特定成分からなる保湿剤と他の公知の成分とを用いて、常法により調製することができる。すなわち公知の油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、顔料、粉体、pH調節剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、香料、色素、精製水等を、上記特定成分からなる保湿剤に適宜に配合すればよい。
より具体的には、上記油剤成分をはじめとした、化粧料や外用剤で使用される油剤成分および界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、レシチン、リゾレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖と前記脂肪酸とのモノ、ジ、トリまたはテトラエステル等があげられる。
増粘剤としては、アラビアゴム、トラガカント等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン等の微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系高分子、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子などがあげられる。
粉体としては酸化チタン、炭酸マグネシウム、雲母、ヒドロキシアパタイト等の無機粉体、ポリアミドパウダー等の有機粉体などがあげられる。
抗酸化剤としてはBHT、BHA、ビタミンA類およびそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンC類およびそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE類およびそれらの誘導体並びにそれらの塩等があげられる。
紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシケイ皮酸誘導体、ウロカニン酸等があげられる。
そして、顔料としては有色顔料、パール顔料等があげられる。
これらの化粧料成分または外用剤成分は、化粧品成分または外用剤成分として通常用いられるものを使用することができ、特に制限されない。
これらを適宜に組み合わせ、加温もしくは非加温状態で、混合、分散、乳化あるいは溶解させ、液状、ペースト状、ゲル状、クリーム状(半固形状を含む)または固形状となし、本発明の化粧料及び外用剤を得る。本発明の化粧料は肌に直接または間接に塗布して使用する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
製造比較例1
攪拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取付けた四ツ口フラスコに、デカグリセリン75g(0.1モル)、ステアリン酸185g(0.65モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)を仕込み、触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.1質量%、還流溶媒としてキシレンを5質量%加えた。それらを窒素ガス気流中、180〜230℃に加熱し、エステル化反応を行った。約8時間後には、反応生成物の酸価は0.8で、それ以上の酸価の低下は認められなくなっていた。反応終了後、反応生成物をキシレン留去し、活性炭で脱色、水蒸気吹込みによる脱臭処理を施し、エステル化物であるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物241gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物の仕込み原料割合は、デカグリセリン0.1モル、ステアリン酸0.5モル、エイコサジカルボン酸0.05モルであるが、ステアリン酸の仕込みモル量を多くしているため、得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の残存する水酸基の数はデカグリセリンの総水酸基数の1/2より少なく、得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の酸価は0.8、水酸基価は70.2であった。
製造比較例2
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、ベヘン酸238g(0.7モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)で反応を行い、305gのエステル化物を得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物の仕込み原料割合は、デカグリセリン0.1モル、ベヘン酸0.5モル、エイコサジカルボン酸0.05モルであり、ベヘン酸のモル量を増やして仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2より残存している水酸基が少ないエステル化物の酸価は0.8、水酸基価は75.7であった。
製造比較例3
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、パルミチン酸179g(0.7モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.1モル)で反応を行い、239gのエステル化物を得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物の仕込み原料割合は、デカグリセリン0.1モル、パルミチン酸0.1モル、エイコサジカルボン酸0.05モルであり、パルミチン酸のモル量を増やして仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2より残存している水酸基が少ないエステル化物の酸価は0.9、水酸基価は70.2であった。
製造実施例1
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、ステアリン酸114g(0.4モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)で反応を行い、本発明のA成分であるエステル化物、すなわちデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物138gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物は、製造比較例1に記載した仕込み原料割合であり、ステアリン酸の仕込みモル量を少なくしているため、得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の残存する水酸基の数はデカグリセリンの総水酸基数の1/2より多く、酸価は0.1、水酸基価は470.1であった。
製造実施例2
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、ベヘン酸34g(0.1モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)で反応を行い、本発明のA成分であるエステル化物、すなわちデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物101gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物は、製造比較例2に記載した仕込み原料割合であり、ステアリン酸のモル量を少なく仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2以上水酸基が残存しているデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の酸価は0.1、水酸基価は440.8であった。
製造実施例3
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、パルミチン酸26g(0.1モル)及びエイコサジカルボン酸34g(0.05モル)で反応を行い、本発明のA成分であるエステル化物、すなわちデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物110gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物は、製造比較例3に記載した仕込み原料割合であり、ステアリン酸のモル量を少なく仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2以上水酸基が残存しているデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の酸価は0.1、水酸基価は481.2であった。
上記製造比較例1〜3及び製造実施例1〜3で得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、2価の水溶性アルコールである1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業(株)製)と、3価以上の多価アルコールであるグリセリンとを表1〜表3に示す配合で混合し、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して保湿剤を調製した。このとき、1,3−ブチレングリコールとグリセリングリセリンとの配合比率は、1,3−ブチレングリコール=1:1(質量比)とした。保湿剤を50℃1ヶ月間保存し、保存安定性を調べた。結果を表1〜3に示す。
表1〜3の結果より、デカグリセリンの総水酸基数の1/2未満の水酸基が残存するデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を配合した保湿剤は、50℃1ヶ月保存後に析出を生じたが、デカグリセリンの総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存するデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を配合した保湿剤は、その配合量にかかわらず保存安定性が良好であることが認められた。
以下の比較例5、6、9、10、及び実施例1〜13で用いるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物は、製造実施例2の製造方法により得られるエステル化物であるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を使用した。
比較例1〜4
表4に示す成分割合を有する混合物100gを80℃に加温して溶解後、室温に冷却して比較用保湿剤1〜4を調製した。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表4に示す。
表4の結果から、いずれの比較例1〜4で得られた保湿剤も水分の減少速度が大きく、周囲の湿度によりその保水量が影響を受けやすいことがわかった。
比較例5
表5に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、グルコース(商品名:日食メディカロース、日本食品化工(株)社製)とを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して比較保湿剤(比較例5)を調製した。なお、比較例5では、
比較例6
表5に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、グルコースと、エリスリトール(商品名:エリスリトール、日研化学(株)社製)とを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して比較例6の保湿剤を調製した。
比較例5および6で得られた各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表5に示す。
表5の結果から、比較例5および6で得られた成分Bである2価の水溶性アルコールを含まないいずれの保湿剤も水分の減少速度が大きく、周囲の湿度によりその保水量が影響を受けやすいことがわかった。
実施例1〜3
下記表6に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、1,3−BGと、グリセリンとを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却することにより本実施例のゲル状の保湿剤1〜3を得た。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表6に示す。
表6の結果から、本実施例1〜3に係るゲル状の保湿剤はいずれも、水分の減少速度がゆるやかであり、水分の維持性能に優れており、保湿剤として有用でありかつ安定性が良好であることが認められた。また、実施例の評価結果を記載した表6と、比較例の評価結果を記載した表4および5を比較すると、本実施例1〜3の保湿剤は、比較例の保湿剤に対して、水分の維持性能に優れ、かつ優れた安定性を有することが明らかである。
実施例4〜7
表7に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、1,3−BGと、グリセリンとを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却することにより本実施例の粘調状(実施例4,5)、およびゲル状(実施例6、7)の保湿剤4〜7を得た。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表7に示す。
表7の結果から、実施例4〜7のいずれの保湿剤も、前述の比較例に比べて水分の減少速度がゆるやかで、保湿剤として適するものであることが認められた。
比較例7〜8
表8に示す成分割合で1,3−BGとグリセリンとを含有してなる混合物100gを80℃に加温して溶解後、室温に冷却して粘調状の比較例7,8の保湿剤を調製した。
実施例8〜9
表8に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、1,3−BGと、グリセリンとを含有してなる混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して粘調の実施例8,9の保湿剤を調製した。このとき保湿剤中の1,3−BGとグリセリンの混合比を1:1(質量比)とした。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、比較例7及び実施例8の保湿剤には80℃の精製水を5g混合し、比較例8及び実施例9の保湿剤には80℃の精製水20gを混合し、それぞれ十分に攪拌した後、室温に冷却後シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表8に示す。
表8から、保湿剤に水分を添加した場合であっても、実施例8及び9の保湿剤は、成分Aのデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物が無添加の比較例7及び8に比べて、水分の減少速度がゆるやかで保湿剤として適することが認められた。なお、このことは、水の配合量を変えても同様であった。
比較例9〜10、実施例10〜13
表9に示す配合で各成分を混合し、80℃で加熱攪拌した後、冷却して比較例およぼ実施例の保湿剤を調製した。
各保湿剤の安定性を調べるため、室温(20℃)で及び低温(5℃)における24時間経過後の状態を観察した。その結果を表9に示す。
表9から、実施例10および11の粘稠状保湿剤、および実施例12および13のゲル状保湿剤は、室温及び低温のいずれにおいても安定性に優れることが認められた。
次に、比較例2及び4で得られた比較例用保湿剤100質量%に対して、また実施例3及び5で得られた実施例用保湿剤100質量%に対して、それぞれ精製水50質量%を添加して、水を含有してなる保湿剤を得た。まず、得られた水を含有してなる保湿剤の25℃での粘度を測定した。また、得られた保湿剤を50℃で1ヶ月保存した後の粘度(BL型粘度計使用)も併せて測定した。さらに、50℃で1ヶ月保存した後の保湿剤に分離が認められるか否かを目視によりにより、保湿剤の安定性を評価した。結果を表10に示す。
表10から、実施例3および5の保湿剤に対して精製水を50質量%加えた混合物であっても、常温(25℃)および高温(50℃)のいずれの場合において高粘度状態を保てることが明らかである。また、50℃で1箇月保存した場合であっても保湿剤の分離が認められないことから、高温安定性に優れていることも確認された。
実施例14
表11および12に示す基本処方により水中油型保湿剤を含有する乳液タイプの化粧品ベースを以下の通り調製した。
試料の調製法:温度80℃にて、攪拌しながら第1成分に第2成分を混合し、第3成分を徐々に添加後、さらに精製水を加えて乳化させ、20℃に冷却した。
次いで得られた化粧品ベースを以下の通り評価、測定した。その結果を表11および12に示す。
皮膚表面のコンダクタンスの測定法:女性健常人の上腕内側部をエタノールで清拭後、得られた上記化粧品ベース0.02gを半径3cmの領域に塗布し、そのまま60分経過した時点で当該部のコンダクタンスを、高周波伝導度計(IBS社製、SKICON−200)を用い、温度19〜21℃、相対湿度30〜40%の室内で測定した。測定値は被験者3名の平均値とした。
保湿能の評価:皮膚表面のコンダクタンス測定結果にもとづき、4段階で評価を行った。なお、表中、◎は顕著に保湿効果がある、○は保湿効果がある、△はあまり保湿効果は認められない、そして×は保湿効果は認められないを意味する。
安定性の評価:得られた化粧品ベースを50℃1箇月で保存し、目視により分離が認められるか否かを元に、安定性を評価した。なお、表中、○は分離が認められない状態を示し、△は分離が認められた状態を示す。
表11および12に示す結果から、2価の水溶性アルコールを含有しない試料(試料No.5、6)やデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を併用しない試料(試料No.12〜16)では、コンダクタンスが小さく、したがって保湿効果に乏しいことが確認された。これに対して、実施例の試料(試料No.1〜4及び8〜11)では、皮膚表面のコンダクタンスが大きい値となり、皮膚に対する優れた保湿効果が認められることが確認された。またに安定性も良好であることが確認された。
実施例15
表13および14に示す基本処方により水中油型保湿剤を含有する化粧水タイプの化粧品ベースを以下の通り調製した。
試料の調製法:温度80℃にて、攪拌しながら第1成分に第2成分を混合し、第3成分を徐々に添加後、pH調整剤を加えた精製水を徐々に添加した後、20℃に冷却した。なお、精製水の配合量は、微量のpH調整剤を含む値で示した。また、加えたpH調整剤の量を微量と表現したが、これは得られる試料のpHを6.5〜7.0程度に保つのに最低限の量を意味する。
次いで得られた化粧品ベースを上記実施例14と同様に、評価、測定した。その結果を表13および14に示す。
表13および14の結果から、2価アルコールを併用しない試料(試料No.5、6)やデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を併用しない試料(試料7〜11)では、コンダクタンスが小さく、したがって保湿効果に乏しいことが確認された。これに対して、実施例の試料(試料No.1〜4及び12〜15)では、皮膚表面のコンダクタンスが大きい値となり、皮膚に対する優れた保湿効果が認められることが確認された。またに安定性も良好であることが確認された。
実施例16
表15に示す基本処方により粘調状保湿剤を含有するクレンジング料タイプの化粧品ベースを以下の通り調整した。
試料の調製法:温度80℃にて、攪拌しながら第1成分に第2成分を混合し、第3成分を徐々に添加後、さらに精製水等を加えて乳化させ、20℃に冷却した。
次いで得られた化粧品ベースを以下の通り評価、測定した。その結果を表15に示す。
皮膚表面のコンダクタンスの測定法:女性健常人の上腕内側部をエタノールで清拭後、得られた上記化粧品ベース0.02gを半径3cmの領域に塗布し、マッサージした後、水洗し、水分を拭きとり60分経過した時点で当該部のコンダクタンスを、高周波伝導度計(IBS社製、SKICON−200)を用い、温度19〜21℃、相対湿度30〜40%の室内で測定した。測定値は被験者3名の平均値とした。
保湿能の評価:皮膚表面のコンダクタンス測定結果にもとづき、4段階で評価を行った。表中、◎は顕著に保湿効果がある、○は保湿効果がある、△はあまり保湿効果は認められない、そして×は保湿効果は認められないを意味する。
表15の結果から、第1〜第3成分の他に、水、ラウリン酸カリウム水溶液、及び通常のクレンジングオイル(試料No.4〜6)を含有する試料では、クレンジング処理後の皮膚表面のコンダクタンスは小さく、したがって保湿効果に乏しいことが確認された。これに対して、実施例の試料(試料No.1〜3)では、クレンジング処理後の皮膚表面のコンダクタンスが大きく、皮膚に対する優れた保湿効果が認められることが確認された。またに安定性も良好であることが確認された。
実施例17〔クリームの試作〕
下記表16に示す(1)〜(10)の原料成分を用い、水中油型保湿クリームを得た。保湿クリームを得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(4)〜(9)を85℃に加温、混合して、油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠状保湿剤を得た。得られた粘稠保湿剤に80℃に加温した(10)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、室温まで冷却し、水中油型保湿クリームを得た。
本実施例で得られたクリームは、乾性肌の女性に対してしっとり感の優れたものであった。また1年間、室内(20〜25℃、湿度40〜60%、以下同じ。)で成分の分離や析出物を生じることなく物性は安定していた。
実施例18〔乳液の試作〕
表17に示す(1)〜(11)の原料成分を用い、水中油型乳液を試作した。乳液を得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(4)〜(10)を85℃に加温、混合して、油相を得た。温度80℃で、攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠状保湿剤を得た。この粘稠状保湿剤に80℃に加温した(11)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、室温まで冷却し、水中油型乳液を得た。
本実施例で得られた乳液は、使用時に違和感なく、使用後1日経過してもしっとり感が十分に残っており、また1年間、室内で安定であった。
実施例19〔化粧水の試作1〕
表18に示す(1)〜(8)の原料成分を用い、可溶化状化粧水1を試作した。化粧水を得るには、まず成分(1)〜(6)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(7)、(8)を80℃に加温、混合して水溶液を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に水溶液を徐々に添加し、等方性の可溶化液とした後、室温まで冷却し、化粧水を得た。
本実施例で得られた化粧水は、使用時の感触が良く、使用後1日経過してもしっとり感があり、また1年間、室内で安定であった。
実施例20〔化粧水の試作2〕
表19に示す(1)〜(8)の原料成分を用い、化粧水2を試作した。化粧水2を得るには、まず成分(1)〜(6)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(7)(8)を80℃に加温、混合して水溶液を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に水溶液を徐々に添加し、白濁状の乳化液とした後、室温まで冷却し、化粧水2を得た。
本実施例で得られた化粧水2は、使用時の感触が良く、使用後1日経過してもしっとり感が十分に残っており、また室内で1年間、安定であった。
実施例21〔クレンジングジェルの試作〕
表20に示す(1)〜(11)の原料成分を用い、クレンジングジェルを試作した。クレンジングジェルを得るには、まず、成分(1)〜(5)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(6)〜(11)を80℃に加温、混合して油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加してゲル状保湿剤とした後、室温まで冷却し、クレンジングジェルを得た。
本実施例で得られたクレンジングジェルは、クレンジング性に優れ、水による洗い流し性も良好であり、洗い流しの肌のしっとり感が十分にあり、つっぱり感の少ないものであった。
実施例22〔モイスチャージェルの試作〕
表21に示す(1)〜(7)の原料成分を用い、モイスチャージェルを試作した。モイスチャージェルを得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。得られた保湿剤に80℃に加温した(4)を混合した後、さらに成分(5)〜(7)の混合溶液を加えて混合し、透明状のモイスチャージェルを得た。
本実施例で得られたモイスチャージェルは、安定性が良好で、使用後1日目のしっとり感は極めて優れたものであった。
実施例23〔パック剤の試作〕
表22に示す(1)〜(10)の原料成分を用い、パック剤を試作した。パック財を得るには、まず、成分(1)〜(4)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(10)に(5)、(6)を加え、分散させた後、得られた保湿剤を分散させ、最後に成分(7)〜(9)を分散させ、泥状のパック剤を得た。
本実施例で得られたパック剤は、使用後の肌の柔軟感、うるおい感に優れるものであった。
実施例24〔乳化ファンデーションの試作〕
表23に示す(1)〜(14)の原料成分を用い、乳化ファンデーションを試作した。乳化ファンデーションを得るには、まず、成分(1)〜(4)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(9)〜(13)を85℃に加温、混合して、油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠状保湿剤を得た。この粘稠保湿剤に80℃に加温した成分(14)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、成分(5)〜(8)を分散させ、室温まで冷却し、乳化ファンデーションを得た。
本実施例で得られた乳化ファンデーションは、使用して拭きとった後の肌のかさつき感が極めて少ないものであった。
実施例25〔浴用剤の試作〕
表24に示す(1)〜(9)の原料成分を用い、浴用剤を試作した。入浴剤を得るには、まず、成分(1)〜(6)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(7)〜(9)を80℃に加温、混合して油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、ゲル状の保湿剤とした後、室温まで冷却し、白濁浴用剤を得た。
本実施例で得られた浴用剤は、これを用いた入浴後の肌のしっとり感が十分に残っているが、べたつき感のないものであった。
実施例26〔軟膏剤〕
表25に示す(1)〜(12)の原料成分を用い、軟膏剤を試作した。軟鋼材を得るには、まず、成分(1)〜(4)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(5)〜(11)を85℃に加温、混合して油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠な保湿剤を得た。この粘稠保湿剤に80℃に加温した成分(12)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、室温まで冷却し、親水軟膏剤を得た。
本実施例で得られた軟膏剤は、肌になじみやすく、しっとり感を与えるものであり、また1年間、室内で成分が分離することなく安定性に優れていた。
実施例27〔ゲル剤〕
表26に示す(1)〜(9)の原料成分を用い、ゲル剤を試作した。ゲル財を得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。80℃に加温した成分(4)〜(6)の混合溶液を得られた保湿剤と混合した後、冷却し、成分(7)〜(9)をそれぞれ加えてゲル剤を得た。
本実施例で得られたゲル剤は、使用時の感触が良く、肌にしっとりした感じ、湿潤感を与え、また1年間、室内で成分分離、析出物や異臭の発生のない安定性に優れたものであった。
産業上の利用の可能性
本発明の保湿剤は、水分保持特性及び高温安定性に優れている。また、本発明の保湿剤含有した化粧料又は外用剤も、水分保持特性及び高温安定性に優れ、且つ、使用時及び使用後の感触も良好である。さらに、本発明の保湿剤は、増粘剤等を添加することなく乳化物粘度を高くすることができるため、本発明の保湿剤を用いることにより粘稠状ないしはゲル状の化粧料又は外用剤を得ることができる。また、本発明の保湿剤は、水中油型乳化状や可溶化状とすることができるため、本発明の保湿剤を用いることにより水中油型乳化状や可溶化状形態の化粧料又は外用剤を得ることができる。
本発明は、特定の成分からなる保湿剤及びこれを含有してなる化粧品及び外用剤に係り、特に高温安定性に優れた保湿剤と、それを含有する化粧品および外用剤とに関するものである。
背景技術
食品、化粧品、農薬、飼料、医薬品等の各種製品の配合成分には水分が深く関係しており、これら製品における保湿機能は、重要な品質機能の1つであることがよく知られている。化粧料又は外用剤に用いられる公知の保湿剤としては、グリセリン、1.3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコールが使用されている。この他に、NMF(天然保湿因子)の主成分であるピロリドンカルボン酸塩や乳酸塩など、また、微生物生産によるヒアルロン酸ナトリウムも使用されている。
また、保湿剤は前記製品そのものの水分保留剤として働いて、系の安定性の保持にも寄与する重要な役割も担っている。グリセリンやソルビトールなどの3価以上の多価アルコールは、優れた保湿性および水分保留性を有する上、安全性、安定性、および価格などの点からもっとも汎用性の高い保湿剤として使用されている。
保湿剤として具備すべき必要条件として、環境条件(温度、湿度、風など)に左右されず、特に周囲の湿度に影響を受けず、水分を長い間保持できることが挙げられる。しかしながら、どのような保湿剤でも蒸気圧の関係から吸湿量及び放出量が周囲の湿度に影響を受ける。例えば、グリセリンの場合、温度が25℃、相対湿度が75%のときの平衡水分量は60%、相対湿度が33%のときの平衡水分量は15%である。同様に、ソルビトールの場合では、相対湿度が75%のとき平衡水分量は50%、相対湿度が33%のとき5%である。このように、周囲の相対湿度の程度により、含水率に差異が生じる。
つまり、従来の保湿剤は、周囲の相対湿度が低い場合には、保留している水分を放出し、保水量が低くなってしまうという問題点を有している。したがって保湿剤としては、低湿度環境下における水分の蒸散が緩慢であることが必要である。低湿度環境下における水分の蒸散を重要視した場合、現在のところ、レシチンが汎用されている。しかしながら、低pH下での等電点における易析出性、低耐塩性、セタノール等との併用で粘性が低下する場合があること、易加水分解性、および熱に弱いなどの問題点を持ち合わせている。
さらに昨今、化粧料や外用剤が商品として流通する上で、高温安定性という新しい問題が浮上している。すなわち、化粧品や外用剤の流通における従来の保証制度では、40℃での安定性が求められていた。したがって、化粧品や外用剤の保存試験は40℃で行われており、また、加速試験も40℃で行われている。しかしながら、近年、オゾン層の破壊による温暖化や都市型の温暖化により、平均気温が上昇している。特に、都市部近郊での夏季の日中の気温上昇は著しく、35℃以上になることが多くなりつつある。このため、空調の効かない屋内、携行中のかばんの中、及び車中ではその温度が40℃を超えることがしばしばある。このような高温下では、製品の固さが極端に低下し、容器からの取り出し時に勢いよく流出してしまったり、容器からの漏れの原因になったり、さらには油層が分離してしまう場合が増えつつある。
そこで、環境条件に影響をうけにくい水分保持機能を有する保湿剤、および40℃以上の高温度下でも優れた粘度保持性および保存安定性を有する化粧品や外用剤が求められている。
従来、乳化系を設計する場合、系が有する欠点を補いながら、要求する物性を満たすよう、また所望の感触が得られるよう処方調整していた。しかしながら、優れた水分保持特性を有する上に、優れた高温安定性、特に40℃以上の高温下で高粘度を維持できる製剤を処方調整することは、非常に困難であった。
発明の開示
本発明の目的は、上記問題を改善することにあり、水分保持特性および高温安定性に優れた保湿剤と、それを含有する化粧品及び外用剤とを提供することにある。
なお、本願明細書では、「水分保持特性」とは、高温あるいは低温、高湿度あるいは低湿度にかかわらず、ほぼ一定の水分を保持できる特性のことをいい、「高温安定性」とは、特に40℃以上の高温下で高粘度を維持でき、安定して存在し得る特性をいう。
本発明者らは、このような状況に鑑み、水中油型を主体とする乳化系において、保湿性及び高温安定性を向上させるべく、従来とは異なる視点から開発に取りくんだ。つまり、乳化系物質に少量添加することで保湿機能を発揮し、しかも種々の乳化系物質に有用で、高温安定性に優れた保湿剤の開発を目指して鋭意検討した。その結果、水分保持特性に優れ、さらに高温安定性、特に40℃以上という高温下での安定性に優れた保湿剤を見出し、本発明を完成した。また、本発明の保湿剤を含有する化粧料又は外用剤も、保湿剤と同様に、水分保持特性および高温安定性に優れていることを見出した。
すなわち、本発明は、成分A:グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とからなるエステル化合物であって、上記グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存するエステル化物と、成分B:2価の水溶性アルコール、および成分C:3価以上の水溶性多価アルコールとを含有する保湿剤を提供する。
また、本発明は、上記保湿剤を含有する化粧品を提供する。
さらにまた、本発明は、上記保湿剤を含有する外用剤を提供する
発明を実施するための最良の形態
本発明の保湿剤は、下記成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤である。
つまり、成分A:グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、前記グリセリン及び/又はその縮合物の総水酸基数の1/2以上の水酸基を超えて残存させたエステル化物、
成分B:2価の水溶性アルコール、および
成分C:3価以上の水溶性多価アルコールを含有する保湿剤である。
上記成分を含有してなる本発明の保湿剤は、水分保持特性が高く、高温安定性にも優れている。
また、本発明は、前記成分Aのエステル化物が、グリセリン及その縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の脂肪族飽和二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方に、直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸をエステル結合させた場合に、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上が残存する仕込み量で、エステル化反応を行うことにより得られる保湿剤を提供する。
まず、本発明で成分Aとして用いるエステル化合物について説明する。
上記成分Aのエステル化物を製造するためには、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方が必須成分として用いられる。つまり、グリセリン、グリセリンの縮合物、またはグリセリンとグリセリン縮合物との混合物が必須成分として用いられる。
なお、本発明において、「グリセリンの縮合物」とは平均重合度が2以上のポリグリセリンを意味する。しかしながら、平均重合度が高い方が親水性が高く、保湿能も高くなるため、平均重合度が5以上のポリグリセリンがより好ましく、平均重合度が10程度のポリグリセリンが最も好ましい。具体的にはジグリセリン、トリグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等を例示でき、これらは単独もしくは混合物として使用できる。
次に直鎖状飽和脂肪酸(直鎖状飽和脂肪族一塩基酸)は、炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸であることを必須とする。炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸であることが必須であるが、その中でも炭素数18〜24の直鎖状飽和脂肪酸が好ましく、炭素数20又は22の直鎖状飽和脂肪酸が最も好ましい。かかる直鎖状飽和脂肪酸の炭素数が16未満であると、得られるエステル化物を配合した保湿剤の保存安定性が劣り、経時で分離等が起こり易くなるため好ましくない。逆に、炭素数が28を越えると、脱臭、脱色することが困難となるため、不適当である。また、分岐状飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸では、得られるエステル化物を配合した保湿剤の保存安定性が劣り、経時で分離等が起こりやすくなるため、好ましくない。
本発明で好適に使用できる上記直鎖状飽和脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、10−ケトステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ヘベン酸、モンタン酸等をあげることができ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。なお、脂肪酸の炭素数が多いエステル化物を配合した保湿剤ほど、保存安定性が向上する傾向があるが、原料入手の容易さの点及び融点上昇によるエステル化物の合成の困難さを考慮すると、ベヘン酸が最も好ましい。
また、飽和脂肪族二塩基酸としては、炭素数が16〜28の飽和脂肪族の二塩基酸であることを必須とする。炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸であることが必須であるが、炭素数18〜24の飽和脂肪族二塩基酸が好ましく、炭素数20又は22の飽和脂肪族二塩基酸が最も好ましい。不飽和脂肪族二塩基酸や炭素数が16未満の飽和脂肪族二塩基酸から得られるエステル化物(成分A)を配合した保湿剤は保存安定性が悪く、経時で分離が起こりやすい。また、炭素数が28を超える飽和脂肪族二塩基酸は工業的原料として入手しにくい。
本発明で好適に使用できる飽和脂肪族二塩基酸としては、例えば、エイコサンジカルボン酸、ドコサコサジカルボン酸、テトラコサジカルボン酸、ヘキサコサジカルボン酸、オクタコサジカルボン酸等を挙げることができ、これらを単独もしくは混合して使用することができる。二塩基酸の炭素数が多いエステル化物を配合した保湿剤ほど、保存安定性が向上する傾向があるが、原料入手の容易さの点及び融点上昇によるエステル化物の合成の困難さを考慮すると、これら飽和脂肪族二塩基酸の中でもエイコサジカルボン酸が最も好ましい。
成分Aであるエステル化物は、上記原料を適宜組み合わせて、次に述べる方法で得ることができる。
すなわち、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方と、炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とを同時にオリゴエステル化反応することにより所望の成分Aを得ることができる。また、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方と、炭素数が16〜28の直鎖状飽和脂肪酸とをまずエステル化反応させ、得られた生成物と炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とをオリゴエステル化反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることもできる。さらに、グリセリンおよびその縮合物の少なくとも一方と炭素数が16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とをオリゴエステル化せしめ、次いで得られた生成物と直鎖状飽和脂肪酸とをエステル化反応させることにより得ることもできる。
なお、上記エステル化反応は、酸触媒、アルカリ触媒、又は金属触媒の存在下もしくは非存在下、好ましくは該反応に不活性な有機溶媒又は/及び気体中で、100〜240℃にて数時間〜20時間、副生する水を除去して行うことが好ましい。上記エステル交換反応は、金属アルコラート又はリパーゼ等の触媒を用い、20〜140℃にて数十分〜数十時間行うことが好ましい。なお、反応経過は、系中の酸価あるいは遊離した酸成分の組成を測定することにより判断でき、これにより反応の終了時点を決定すればよい。ここで、酸価が5以下、好ましくは1以下であって、酸価の低下が認められなくなるまで反応させて、反応終了とすることで、原料として仕込んだ直鎖状飽和脂肪酸と飽和脂肪族二塩基酸とのほとんどすべてがエステル化したエステル化物を得ることができる。得られたエステル化物に、溶剤除去、脱色、脱臭等の処理を施すことで精製されたエステル化物を得ることができる。
かくして得られるエステル化物は、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、直鎖状飽和脂肪酸と、脂肪族飽和二塩基酸とが、直鎖状及び/又は網目状にオリゴエステル化された混合物であり、融点は約50〜80℃である。
また、本発明に用いるエステル化物は、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存しているエステル化物であることを必須とする。エステル化物の残存水酸基数が1/2より少なくなると、エステル化物(成分A)と多価アルコール(成分Bおよび成分C)との相溶性が劣り、保湿剤保存時に不溶物が経時で析出し易くなり好ましくないからである。
なお、グリセリン縮合物の水酸基の数は平均重合度を基にして求めるが、この平均重合度は水酸基価を基に計算して求められるものである。平均重合度がn(nは整数)であるグリセリン縮合物の場合、1モル中の総水酸基数の1/2の数は(n+2)/2個となる。エステル化反応においては、直鎖状飽和脂肪酸1モルは、このグリセリン及び/又はその縮合物の水酸基1個とエステル結合し、脂肪族飽和二塩基酸1モルは、このグリセリン及び/又はその縮合物の水酸基2個とエステル結合する。
したがって、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存しているエステル化物は、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2が残存するエステル化物の仕込み原料割合を基準として、仕込み原料割合を変更することにより得ることができる。具体的には、まず、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、すべての直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸とをエステル化させた場合に、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数のちょうど1/2が残存するものが得られる原料の配合割合、すなわち仕込みのモル量を設定する。つまり、設定したモル量のグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、設定したモル量の直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸とを原料として仕込み、酸価が5以下、好ましくは1以下であって、酸価の低下がなくなるまでエステル化反応を行うと、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2の水酸基が残存しているエステル化物が得られる。このことから、設定したモル量のグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、設定したモル量より少ないモル量の直鎖状飽和脂肪酸又は脂肪族飽和二塩基酸とを原料として仕込み、上記条件を満たすまでエステル化反応を行うと、原料であるグリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2より多くの水酸基が残存しているエステル化物が得られる。
例えば、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2の数が残存するものが得られる理論仕込み量は、デカグリセリン(水酸基価882.2)、ベヘン酸及びエイコサジカルボン酸からなるエステル化物の場合、例えば、デカグリセリン1モル、ベヘン酸5モル及びエイコサジカルボン酸0.5モルである。この場合、デカグリセリンにすべてのベヘン酸及びエイコサジカルボン酸がエステル結合すれば、デカグリセリンの総水酸基数の1/2個が残存することとなる。また、この理論仕込み量において、ベヘン酸の仕込み量を減らし、デカグリセリンにすべてのベヘン酸及びエイコサジカルボン酸がエステル結合すれば、デカグリセリンの総水酸基数は、1/2個以上残存することとなる。
本発明で好ましく使用される成分Aのエステル化物としては、デカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物(商品名:ノムコートHK−P、日清製油(株)製)が挙げられる。
次に、本発明で成分Bとして用いる2価の水溶性アルコールについて説明する。成分Bとして用いる2価の水溶性アルコールは、1分子中に2個の水酸基を有する水溶性アルコールであれば、特に限定されない。代表的なものとして、1.2−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1.3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等があり、これらは単独であるいは混合して使用できる。これらの2価の水溶性アルコールうち、エステル化物との相溶性が高いため、1.3−ブチレングリコールが最も好ましい。1.3−ブチレングリコールとして、市販品(例えばダイセル化学工業(株)製)を利用するのが簡便である。
次に本発明で成分Cとして用いる3価以上の水溶性多価アルコールについて説明する。成分Cとして用いる3価以上の水溶性多価アルコールとは、1分子中に3個以上の水酸基を有する水溶性多価アルコールであれば、特に限定されない。代表的なものとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、グルコース、ガラクトース、フルクトース、シュクロース、マルトース、キシロース、キシロビオース、オリゴ糖の還元物等などがあり、これらは単独であるいは混合して使用できる。なお、これら3価以上の水溶性多価アルコールの中でも、保湿剤を、ゲル状にしやすいためグリセリンが好ましい。
また、本発明の保湿剤において、成分Aであるエステル化物の含量は、保湿剤100質量%に対して、0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、特に0.5〜30質量%が好ましい。エステル化物の含量が0.1質量%未満の場合、保湿剤の水分保持特性が不十分になる傾向にあり、逆に50質量%を超える場合、該保湿剤の系中にエステル化物が均一に溶存せず、不溶分が析出する傾向がみられるため好ましくない。
また、成分B及びCの合計含量は、保湿剤100質量%に対して、5〜99.9質量%、好ましくは10〜95質量%である。成分B及びCの合計含量が、5質量%未満の場合、保湿剤の水分保持特性が不十分になる傾向がみられるため好ましくない。さらに、上記成分Bである2価の水溶性アルコールと、上記成分Cである3価以上の水溶性多価アルコールとの質量比は1:0.1〜1:20が好ましく、1:0.1〜1:10がより好ましい。成分Bの質量1に対して成分Cの質量が0.1より小さい場合は、水分保持特性は満足できる程度にまで達しない。また、成分Bの質量1に対して成分Cの質量が20より大きい場合、水溶性多価アルコール(成分BおよびC)中でエステル化物(成分A)が安定的に溶存できなくなり、室温〜低温、例えば20℃〜5℃で沈澱を生じる傾向が大きくなるため、好ましくない。
本発明の保湿剤の調製方法について特に制限はないが、例えば、成分Aのエステル化物と、成分Bの2価の水溶性アルコールと、成分Cの3価以上の水溶性多価アルコールとを、60℃〜90℃、好ましくは70℃〜80℃に加熱した後、緩い棒撹拌、プロペラ撹拌、ホモミキサー撹拌、ディスパー撹拌等の撹拌により、10分〜1時間程度撹拌し、各成分を均一溶解せしめることにより調製できる。成分A、成分B、および成分Cを60℃未満で攪拌する場合、充分均一に攪拌できない場合があり、逆に90℃を越えた温度で攪拌した場合、各成分が熱により分解してしまう場合があるため、好ましくない。
本発明の成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤は非水系のままでも良いが、水を配合することもできる。水の配合量は、水添加後の全質量100質量%に対して、0.1〜80質量%、好ましくは1〜50質量%、1〜20質量%となる量が最も好ましい。水の配合量が水添加後の全質量100質量%に対して、80質量%を越えて配合してもさらなる保湿効果を望めないからである。
また特に、3価以上の水溶性多価アルコール(成分C)が、ショ糖およびグルコース等の固体の糖である場合、エステル化物と均一に混合しにくくなるため、水添加後の全質量100質量%に対して、10〜80質量%を占めるように水を加えることが好ましい。上記範囲の中でも、30〜80質量%がより好ましく、60〜80質量%が最も好ましい。
上記成分A、成分B、および成分Cを含有してなる保湿剤は、さらに油性物質を含有することもできる。また、上記保湿剤は、水と油性物質とを添加することもできる。油性物質を添加することにより、水分保持特性及び高温安定性をより改善することができる。油性物質の配合量は、油性物質添加後の保湿剤100質量%に対して、1〜80質量%、10〜70質量%となる量がより好ましい。油性物質が、油性物質添加後の保湿剤100質量%に対して、80質量を超えて添加した場合、油の分離が生じる傾向があるため好ましくない。
上記油性物質は特に限定されず、炭化水素類、エステル類、油脂類、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン系物質、ステロール類、樹脂類などがこれに含まれる。より具体的には、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソオクチル酸セチル(2−エチルヘキサン酸セチル)、トリイソオクチル酸グリセリル(トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル)、トリカプリル酸グリセリル、ジイソオクチル酸ネオペンチルグリコールエステル(ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールエステル)、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル(3,5,5−トリメチルヘキサン酸3,5,5−トリメチルヘキシルアルコールエステル)、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エメリー社製イソステアリン酸を用いるモノないしヘキサイソステアリン酸ジペンタエリスリトールエステル、o,m又はp−メトキシケイ皮酸イソオクチル、ユーカリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、米胚芽油、米ヌカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、アボガド油、ヒマシ油、月見草油、タートル油、ミンク油、オレンジラフィー油、ラノリン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セタノール、ラノリンアルコール、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、セラックロウ、大豆硬化油、菜種硬化油、トリステアリン酸グリセリル、ロジン、コレステロール、フィトステロール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、および動植物起源の精油成分などがある。これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらの油性物質の中でも、成分Aであるエステル化物に対して相乗作用を示し、保湿剤としての粘調性が著しく増大するため、セタノール等の高級アルコール類が好ましい。
本発明の保湿剤が水又は油性物質を含有する場合、上記成分Aと、成分Bと、成分Cとを加熱後、攪拌する際、水または油性物質を添加させることにより、得ることができる。
次に、本発明の保湿剤の性状について説明する。
本発明の保湿剤は、液状、粘性のある液体である粘稠状、流動性のない半固体であるゲル状とさまざまな性状とすることができる。
本発明の保湿剤は様々な性状で使用することができるが、特に、ゲル状保湿剤を基材として用いると、ゲル状形態の化粧料又は外用剤を調製することが可能となる。また、油性物質を配合していない保湿剤については、粘稠状保湿剤又はゲル状保湿剤は、水分保持特性及び高温安定性がより優れているため、好ましい。その中でも特に、ゲル状のものが水分保持特性及び高温安定性が高いため、最も好ましい。
本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤で非水系のものはゲル状である。また、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤に、水添加後の全質量100質量%に対して、0.1〜約50質量%となる水を配合した場合もゲル状を保っている。そして、約50質量%以上の水を配合することで液状又は粘稠状となる。ここで、保湿剤の性状がゲル状から液状又は粘稠状へと移行する時の水の配合量を約50質量%と記載しているが、移行する水の配合量は、成分A、成分B、及び成分Cの配合比率により変動するものである。
次に、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤1(質量)に対し、油性物質10倍量以下(質量)を配合した場合、非水系のものはゲル状である。また、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤1(質量)に対し、油性物質10倍量以下(質量)を配合し、さらに、水添加後の全質量100質量%に対して、0.1〜約40質量%となる水を配合した場合もゲル状を保っている。そして、約40質量%以上の水を配合することで液状又は粘稠状となる。ここで、保湿剤の性状がゲル状から液状又は粘稠状へと移行する時の水の配合量を約40質量%と記載しているが、移行する水の配合量は、成分A、成分B、及び成分Cの配合比率により変動するものである。
本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤に配合する油性物質の量は、保湿剤1(質量)に対して1〜20倍量(質量)がより好ましい。油性物質の量が1倍量(質量)であると、油性物質を添加することによる官能改善効果が得られにくくなり、20倍量(質量)を超えると、油の分離を生じる傾向がみられるため好ましくない。
そして、本発明の成分A、成分B、及び成分Cを含有する保湿剤に、油性物質及び水を配合して得られる液状又は粘稠状の保湿剤は、油性物質を含有するものであるため、水中油型乳化状態又は可溶化状態となっている。ここで、水中油型乳化状態の保湿剤とは、平均粒子径が50nm以上の乳化粒子が水中に存在する乳化状態の保湿剤のことをいう。また、可溶化状態の保湿剤とは、水不溶性物質を可溶化して熱力学的に安定化させ外観を透明液状とした保湿剤や、マイクロエマルション等のような平均粒子径が50nm以下の油の微粒子が水中に分散した透明あるいは半透明の保湿剤のことをいう。
次に、水中油型乳化状態の保湿剤について説明する。
先に説明した成分A、成分B、成分C、および油性物質を含有するゲル状保湿剤に攪拌下で水を添加すると、水中油型乳化状態の保湿剤を得ることができる。また、成分A、成分B、成分C、水、及び油性物質を含有するゲル状保湿剤に攪拌下でさらに水を添加しても水中油型乳化状態の保湿剤を得ることができる。
水中油型乳化状態の保湿剤を得るには、水中油化型乳化状態の保湿剤100質量%に対して、含水率が50〜99質量%となるように、攪拌下で水を添加することが好ましく、含水率が60〜90質量%の範囲がより好ましい。含水率が99質量%より多いと、乳化状態が不良となるため、好ましくない。また、攪拌下で水を添加する前に、あらかじめ公知の界面活性剤や保湿剤などの水溶性又は水分散性成分を、本発明の保湿剤に配合しても良い。界面活性剤や、保湿剤などの水溶性成分又は水分散性成分を配合することで、さらなる保湿剤の経時安定性及び保湿能の向上という効果が得られる。
得られた水中油型乳化状態の保湿剤は、このまま化粧品又は外用剤として用いることができるし、水性製品基剤、化粧品基材としても使用できる。
次に可溶化状態の保湿剤について説明する。
先に明した成分A、成分B、成分C、さらに油性物質を含有するゲル状保湿剤に攪拌下で水を添加すると、しだいに粘度が低下していき、可溶化状態の保湿剤を得ることができる。また、成分A、成分B、成分C、水、及び油性物質を含有する保湿剤に攪拌下で水を添加しても可溶化状態のゲル状保湿剤を得ることができる。
可溶化状態の保湿剤を得るには、可溶化状態の保湿剤100質量%に対して、含水率が50質量%以上となるように、攪拌下で水を添加することが好ましく、含水率が60〜90質量%の範囲がより好ましい。
また、攪拌下で水を添加する前に、あらかじめ公知の界面活性剤や保湿剤などの水溶性又は水分散性成分を、本発明の保湿剤に配合しても良い。界面活性剤や、保湿剤などの水溶性成分又は水分散性成分を配合することで、さらなる保湿剤の経時安定性及び保湿能の向上という効果が得られる。
得られた可溶化状態の保湿剤は、このまま化粧品又は外用剤として用いることができるし、水性製品基剤、化粧品基材として使用できる。
かくして本発明の保湿剤は、その性状が液状、粘稠状、ゲル状、水中油型乳化状態及び可溶化状態のいずれであっても水分保持特性、高温安定性に優れている。また、優れた高温安定性、および各々の形状を活用して、園芸分野における草花への水分供給剤、土木分野における砂漠土や乾燥土壌の改良剤、そして医療分野あるいは化粧品分野における保湿剤等、種々の分野のさまざまな製品に応用することが可能となる。また、その利用の目的に応じて、最終製品には通常用いられる公知の成分を配合できる。
上記化粧品が先に説明した成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤、またはさらに水を配合した保湿剤を含有する場合、最終製品である化粧品100質量%に対して、上記保湿剤を0.1〜90質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜50質量%の範囲で含有することがより好ましい。
また、上記化粧品が油性物質を配合したゲル状保湿剤を含有する場合、最終製品である化粧品100質量%に対して、上記ゲル状保湿剤を、0.1〜50質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜40質量%の範囲で含有することがより好ましい。
さらに、上記化粧品が水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を含有する場合、最終製品である化粧品100質量%に対して、上記水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を、0.1〜100質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜100質量%の範囲で含有することがより好ましい。
化粧品としては、クリーム、乳液、化粧水、美容液、クレンジングジェルなどの化粧料や軟膏、ゲル等の外用剤が得られるほか、モイスチャージェル、パック剤などのスキンケア化粧料、乳化型ファンデーション、乳化アイシャドー、ネイルトリートメント等の保湿効果を期待するメイクアップ化粧品等が挙げられる。
さらに本発明は、上記保湿剤を含有する外用剤を提供する。
上記外用剤が先に説明した成分A、成分B、および成分Cを含有する保湿剤、またはさらに水を配合した保湿剤を含有する場合、最終製品である外用剤100質量%に対して、上記保湿剤を0.1〜90質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜50質量%の範囲で含有することがより好ましい。
また、上記外用剤がさらに油性物質を配合したゲル状保湿剤を含有する場合、最終製品である外用剤100質量%に対して、上記ゲル状保湿剤を、0.1〜50質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1〜40質量%の範囲で含有することがより好ましい。
さらに、上記外用剤が水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を含有する場合、最終製品である外用剤100質量%に対して、上記水中油型乳化状態の保湿剤又は可溶化状態の保湿剤を、0.1〜100質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜100質量%の範囲で含有することがより好ましい。
外用剤としては、あかぎれ、ひび、かゆみやアトピーなど皮膚の乾燥を伴う皮膚炎症用の医薬部外品、医薬品の軟膏、ゲル製剤等が挙げられる。
上記化粧料及び外用剤は、上記特定成分からなる保湿剤と他の公知の成分とを用いて、常法により調製することができる。すなわち公知の油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、顔料、粉体、pH調節剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、香料、色素、精製水等を、上記特定成分からなる保湿剤に適宜に配合すればよい。
より具体的には、上記油剤成分をはじめとした、化粧料や外用剤で使用される油剤成分および界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、レシチン、リゾレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖と前記脂肪酸とのモノ、ジ、トリまたはテトラエステル等があげられる。
増粘剤としては、アラビアゴム、トラガカント等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン等の微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系高分子、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子などがあげられる。
粉体としては酸化チタン、炭酸マグネシウム、雲母、ヒドロキシアパタイト等の無機粉体、ポリアミドパウダー等の有機粉体などがあげられる。
抗酸化剤としてはBHT、BHA、ビタミンA類およびそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンC類およびそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE類およびそれらの誘導体並びにそれらの塩等があげられる。
紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシケイ皮酸誘導体、ウロカニン酸等があげられる。
そして、顔料としては有色顔料、パール顔料等があげられる。
これらの化粧料成分または外用剤成分は、化粧品成分または外用剤成分として通常用いられるものを使用することができ、特に制限されない。
これらを適宜に組み合わせ、加温もしくは非加温状態で、混合、分散、乳化あるいは溶解させ、液状、ペースト状、ゲル状、クリーム状(半固形状を含む)または固形状となし、本発明の化粧料及び外用剤を得る。本発明の化粧料は肌に直接または間接に塗布して使用する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
製造比較例1
攪拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取付けた四ツ口フラスコに、デカグリセリン75g(0.1モル)、ステアリン酸185g(0.65モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)を仕込み、触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.1質量%、還流溶媒としてキシレンを5質量%加えた。それらを窒素ガス気流中、180〜230℃に加熱し、エステル化反応を行った。約8時間後には、反応生成物の酸価は0.8で、それ以上の酸価の低下は認められなくなっていた。反応終了後、反応生成物をキシレン留去し、活性炭で脱色、水蒸気吹込みによる脱臭処理を施し、エステル化物であるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物241gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物の仕込み原料割合は、デカグリセリン0.1モル、ステアリン酸0.5モル、エイコサジカルボン酸0.05モルであるが、ステアリン酸の仕込みモル量を多くしているため、得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の残存する水酸基の数はデカグリセリンの総水酸基数の1/2より少なく、得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の酸価は0.8、水酸基価は70.2であった。
製造比較例2
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、ベヘン酸238g(0.7モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)で反応を行い、305gのエステル化物を得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物の仕込み原料割合は、デカグリセリン0.1モル、ベヘン酸0.5モル、エイコサジカルボン酸0.05モルであり、ベヘン酸のモル量を増やして仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2より残存している水酸基が少ないエステル化物の酸価は0.8、水酸基価は75.7であった。
製造比較例3
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、パルミチン酸179g(0.7モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.1モル)で反応を行い、239gのエステル化物を得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物の仕込み原料割合は、デカグリセリン0.1モル、パルミチン酸0.1モル、エイコサジカルボン酸0.05モルであり、パルミチン酸のモル量を増やして仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2より残存している水酸基が少ないエステル化物の酸価は0.9、水酸基価は70.2であった。
製造実施例1
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、ステアリン酸114g(0.4モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)で反応を行い、本発明のA成分であるエステル化物、すなわちデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物138gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物は、製造比較例1に記載した仕込み原料割合であり、ステアリン酸の仕込みモル量を少なくしているため、得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の残存する水酸基の数はデカグリセリンの総水酸基数の1/2より多く、酸価は0.1、水酸基価は470.1であった。
製造実施例2
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、ベヘン酸34g(0.1モル)及びエイコサジカルボン酸17g(0.05モル)で反応を行い、本発明のA成分であるエステル化物、すなわちデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物101gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物は、製造比較例2に記載した仕込み原料割合であり、ステアリン酸のモル量を少なく仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2以上水酸基が残存しているデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の酸価は0.1、水酸基価は440.8であった。
製造実施例3
製造比較例1と同様の方法で、デカグリセリン75g(0.1モル)、パルミチン酸26g(0.1モル)及びエイコサジカルボン酸34g(0.05モル)で反応を行い、本発明のA成分であるエステル化物、すなわちデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物110gを得た。ここで、デカグリセリンの総水酸基数の1/2の数が残存するエステル化物は、製造比較例3に記載した仕込み原料割合であり、ステアリン酸のモル量を少なく仕込んで得られたデカグリセリンの総水酸基数の1/2以上水酸基が残存しているデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物の酸価は0.1、水酸基価は481.2であった。
上記製造比較例1〜3及び製造実施例1〜3で得られたデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、2価の水溶性アルコールである1,3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業(株)製)と、3価以上の多価アルコールであるグリセリンとを表1〜表3に示す配合で混合し、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して保湿剤を調製した。このとき、1,3−ブチレングリコールとグリセリングリセリンとの配合比率は、1,3−ブチレングリコール=1:1(質量比)とした。保湿剤を50℃1ヶ月間保存し、保存安定性を調べた。結果を表1〜3に示す。
表1〜3の結果より、デカグリセリンの総水酸基数の1/2未満の水酸基が残存するデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を配合した保湿剤は、50℃1ヶ月保存後に析出を生じたが、デカグリセリンの総水酸基数の1/2以上の水酸基が残存するデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を配合した保湿剤は、その配合量にかかわらず保存安定性が良好であることが認められた。
以下の比較例5、6、9、10、及び実施例1〜13で用いるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物は、製造実施例2の製造方法により得られるエステル化物であるデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を使用した。
比較例1〜4
表4に示す成分割合を有する混合物100gを80℃に加温して溶解後、室温に冷却して比較用保湿剤1〜4を調製した。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表4に示す。
表4の結果から、いずれの比較例1〜4で得られた保湿剤も水分の減少速度が大きく、周囲の湿度によりその保水量が影響を受けやすいことがわかった。
比較例5
表5に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、グルコース(商品名:日食メディカロース、日本食品化工(株)社製)とを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して比較保湿剤(比較例5)を調製した。なお、比較例5では、
比較例6
表5に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、グルコースと、エリスリトール(商品名:エリスリトール、日研化学(株)社製)とを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して比較例6の保湿剤を調製した。
比較例5および6で得られた各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表5に示す。
表5の結果から、比較例5および6で得られた成分Bである2価の水溶性アルコールを含まないいずれの保湿剤も水分の減少速度が大きく、周囲の湿度によりその保水量が影響を受けやすいことがわかった。
実施例1〜3
下記表6に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、1,3−BGと、グリセリンとを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却することにより本実施例のゲル状の保湿剤1〜3を得た。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表6に示す。
表6の結果から、本実施例1〜3に係るゲル状の保湿剤はいずれも、水分の減少速度がゆるやかであり、水分の維持性能に優れており、保湿剤として有用でありかつ安定性が良好であることが認められた。また、実施例の評価結果を記載した表6と、比較例の評価結果を記載した表4および5を比較すると、本実施例1〜3の保湿剤は、比較例の保湿剤に対して、水分の維持性能に優れ、かつ優れた安定性を有することが明らかである。
実施例4〜7
表7に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、1,3−BGと、グリセリンとを含有する混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却することにより本実施例の粘調状(実施例4,5)、およびゲル状(実施例6、7)の保湿剤4〜7を得た。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、同温度の精製水10gを混合して十分に攪拌し、室温に冷却後、シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表7に示す。
表7の結果から、実施例4〜7のいずれの保湿剤も、前述の比較例に比べて水分の減少速度がゆるやかで、保湿剤として適するものであることが認められた。
比較例7〜8
表8に示す成分割合で1,3−BGとグリセリンとを含有してなる混合物100gを80℃に加温して溶解後、室温に冷却して粘調状の比較例7,8の保湿剤を調製した。
実施例8〜9
表8に示す成分割合でデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物と、1,3−BGと、グリセリンとを含有してなる混合物100gを得た後、80℃に加温して溶解後、室温に冷却して粘調の実施例8,9の保湿剤を調製した。このとき保湿剤中の1,3−BGとグリセリンの混合比を1:1(質量比)とした。
次に、各保湿剤20gを80℃に再加温し、比較例7及び実施例8の保湿剤には80℃の精製水を5g混合し、比較例8及び実施例9の保湿剤には80℃の精製水20gを混合し、それぞれ十分に攪拌した後、室温に冷却後シャーレに入れ、温度25℃、相対湿度30%の室内に放置し、その水分の減少量を経時的に測定した。結果を表8に示す。
表8から、保湿剤に水分を添加した場合であっても、実施例8及び9の保湿剤は、成分Aのデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物が無添加の比較例7及び8に比べて、水分の減少速度がゆるやかで保湿剤として適することが認められた。なお、このことは、水の配合量を変えても同様であった。
比較例9〜10、実施例10〜13
表9に示す配合で各成分を混合し、80℃で加熱攪拌した後、冷却して比較例およぼ実施例の保湿剤を調製した。
各保湿剤の安定性を調べるため、室温(20℃)で及び低温(5℃)における24時間経過後の状態を観察した。その結果を表9に示す。
表9から、実施例10および11の粘稠状保湿剤、および実施例12および13のゲル状保湿剤は、室温及び低温のいずれにおいても安定性に優れることが認められた。
次に、比較例2及び4で得られた比較例用保湿剤100質量%に対して、また実施例3及び5で得られた実施例用保湿剤100質量%に対して、それぞれ精製水50質量%を添加して、水を含有してなる保湿剤を得た。まず、得られた水を含有してなる保湿剤の25℃での粘度を測定した。また、得られた保湿剤を50℃で1ヶ月保存した後の粘度(BL型粘度計使用)も併せて測定した。さらに、50℃で1ヶ月保存した後の保湿剤に分離が認められるか否かを目視によりにより、保湿剤の安定性を評価した。結果を表10に示す。
表10から、実施例3および5の保湿剤に対して精製水を50質量%加えた混合物であっても、常温(25℃)および高温(50℃)のいずれの場合において高粘度状態を保てることが明らかである。また、50℃で1箇月保存した場合であっても保湿剤の分離が認められないことから、高温安定性に優れていることも確認された。
実施例14
表11および12に示す基本処方により水中油型保湿剤を含有する乳液タイプの化粧品ベースを以下の通り調製した。
試料の調製法:温度80℃にて、攪拌しながら第1成分に第2成分を混合し、第3成分を徐々に添加後、さらに精製水を加えて乳化させ、20℃に冷却した。
次いで得られた化粧品ベースを以下の通り評価、測定した。その結果を表11および12に示す。
皮膚表面のコンダクタンスの測定法:女性健常人の上腕内側部をエタノールで清拭後、得られた上記化粧品ベース0.02gを半径3cmの領域に塗布し、そのまま60分経過した時点で当該部のコンダクタンスを、高周波伝導度計(IBS社製、SKICON−200)を用い、温度19〜21℃、相対湿度30〜40%の室内で測定した。測定値は被験者3名の平均値とした。
保湿能の評価:皮膚表面のコンダクタンス測定結果にもとづき、4段階で評価を行った。なお、表中、◎は顕著に保湿効果がある、○は保湿効果がある、△はあまり保湿効果は認められない、そして×は保湿効果は認められないを意味する。
安定性の評価:得られた化粧品ベースを50℃1箇月で保存し、目視により分離が認められるか否かを元に、安定性を評価した。なお、表中、○は分離が認められない状態を示し、△は分離が認められた状態を示す。
表11および12に示す結果から、2価の水溶性アルコールを含有しない試料(試料No.5、6)やデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を併用しない試料(試料No.12〜16)では、コンダクタンスが小さく、したがって保湿効果に乏しいことが確認された。これに対して、実施例の試料(試料No.1〜4及び8〜11)では、皮膚表面のコンダクタンスが大きい値となり、皮膚に対する優れた保湿効果が認められることが確認された。またに安定性も良好であることが確認された。
実施例15
表13および14に示す基本処方により水中油型保湿剤を含有する化粧水タイプの化粧品ベースを以下の通り調製した。
試料の調製法:温度80℃にて、攪拌しながら第1成分に第2成分を混合し、第3成分を徐々に添加後、pH調整剤を加えた精製水を徐々に添加した後、20℃に冷却した。なお、精製水の配合量は、微量のpH調整剤を含む値で示した。また、加えたpH調整剤の量を微量と表現したが、これは得られる試料のpHを6.5〜7.0程度に保つのに最低限の量を意味する。
次いで得られた化粧品ベースを上記実施例14と同様に、評価、測定した。その結果を表13および14に示す。
表13および14の結果から、2価アルコールを併用しない試料(試料No.5、6)やデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサン二酸縮合物を併用しない試料(試料7〜11)では、コンダクタンスが小さく、したがって保湿効果に乏しいことが確認された。これに対して、実施例の試料(試料No.1〜4及び12〜15)では、皮膚表面のコンダクタンスが大きい値となり、皮膚に対する優れた保湿効果が認められることが確認された。またに安定性も良好であることが確認された。
実施例16
表15に示す基本処方により粘調状保湿剤を含有するクレンジング料タイプの化粧品ベースを以下の通り調整した。
試料の調製法:温度80℃にて、攪拌しながら第1成分に第2成分を混合し、第3成分を徐々に添加後、さらに精製水等を加えて乳化させ、20℃に冷却した。
次いで得られた化粧品ベースを以下の通り評価、測定した。その結果を表15に示す。
皮膚表面のコンダクタンスの測定法:女性健常人の上腕内側部をエタノールで清拭後、得られた上記化粧品ベース0.02gを半径3cmの領域に塗布し、マッサージした後、水洗し、水分を拭きとり60分経過した時点で当該部のコンダクタンスを、高周波伝導度計(IBS社製、SKICON−200)を用い、温度19〜21℃、相対湿度30〜40%の室内で測定した。測定値は被験者3名の平均値とした。
保湿能の評価:皮膚表面のコンダクタンス測定結果にもとづき、4段階で評価を行った。表中、◎は顕著に保湿効果がある、○は保湿効果がある、△はあまり保湿効果は認められない、そして×は保湿効果は認められないを意味する。
表15の結果から、第1〜第3成分の他に、水、ラウリン酸カリウム水溶液、及び通常のクレンジングオイル(試料No.4〜6)を含有する試料では、クレンジング処理後の皮膚表面のコンダクタンスは小さく、したがって保湿効果に乏しいことが確認された。これに対して、実施例の試料(試料No.1〜3)では、クレンジング処理後の皮膚表面のコンダクタンスが大きく、皮膚に対する優れた保湿効果が認められることが確認された。またに安定性も良好であることが確認された。
実施例17〔クリームの試作〕
下記表16に示す(1)〜(10)の原料成分を用い、水中油型保湿クリームを得た。保湿クリームを得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(4)〜(9)を85℃に加温、混合して、油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠状保湿剤を得た。得られた粘稠保湿剤に80℃に加温した(10)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、室温まで冷却し、水中油型保湿クリームを得た。
本実施例で得られたクリームは、乾性肌の女性に対してしっとり感の優れたものであった。また1年間、室内(20〜25℃、湿度40〜60%、以下同じ。)で成分の分離や析出物を生じることなく物性は安定していた。
実施例18〔乳液の試作〕
表17に示す(1)〜(11)の原料成分を用い、水中油型乳液を試作した。乳液を得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(4)〜(10)を85℃に加温、混合して、油相を得た。温度80℃で、攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠状保湿剤を得た。この粘稠状保湿剤に80℃に加温した(11)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、室温まで冷却し、水中油型乳液を得た。
本実施例で得られた乳液は、使用時に違和感なく、使用後1日経過してもしっとり感が十分に残っており、また1年間、室内で安定であった。
実施例19〔化粧水の試作1〕
表18に示す(1)〜(8)の原料成分を用い、可溶化状化粧水1を試作した。化粧水を得るには、まず成分(1)〜(6)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(7)、(8)を80℃に加温、混合して水溶液を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に水溶液を徐々に添加し、等方性の可溶化液とした後、室温まで冷却し、化粧水を得た。
本実施例で得られた化粧水は、使用時の感触が良く、使用後1日経過してもしっとり感があり、また1年間、室内で安定であった。
実施例20〔化粧水の試作2〕
表19に示す(1)〜(8)の原料成分を用い、化粧水2を試作した。化粧水2を得るには、まず成分(1)〜(6)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(7)(8)を80℃に加温、混合して水溶液を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に水溶液を徐々に添加し、白濁状の乳化液とした後、室温まで冷却し、化粧水2を得た。
本実施例で得られた化粧水2は、使用時の感触が良く、使用後1日経過してもしっとり感が十分に残っており、また室内で1年間、安定であった。
実施例21〔クレンジングジェルの試作〕
表20に示す(1)〜(11)の原料成分を用い、クレンジングジェルを試作した。クレンジングジェルを得るには、まず、成分(1)〜(5)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(6)〜(11)を80℃に加温、混合して油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加してゲル状保湿剤とした後、室温まで冷却し、クレンジングジェルを得た。
本実施例で得られたクレンジングジェルは、クレンジング性に優れ、水による洗い流し性も良好であり、洗い流しの肌のしっとり感が十分にあり、つっぱり感の少ないものであった。
実施例22〔モイスチャージェルの試作〕
表21に示す(1)〜(7)の原料成分を用い、モイスチャージェルを試作した。モイスチャージェルを得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。得られた保湿剤に80℃に加温した(4)を混合した後、さらに成分(5)〜(7)の混合溶液を加えて混合し、透明状のモイスチャージェルを得た。
本実施例で得られたモイスチャージェルは、安定性が良好で、使用後1日目のしっとり感は極めて優れたものであった。
実施例23〔パック剤の試作〕
表22に示す(1)〜(10)の原料成分を用い、パック剤を試作した。パック財を得るには、まず、成分(1)〜(4)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(10)に(5)、(6)を加え、分散させた後、得られた保湿剤を分散させ、最後に成分(7)〜(9)を分散させ、泥状のパック剤を得た。
本実施例で得られたパック剤は、使用後の肌の柔軟感、うるおい感に優れるものであった。
実施例24〔乳化ファンデーションの試作〕
表23に示す(1)〜(14)の原料成分を用い、乳化ファンデーションを試作した。乳化ファンデーションを得るには、まず、成分(1)〜(4)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(9)〜(13)を85℃に加温、混合して、油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠状保湿剤を得た。この粘稠保湿剤に80℃に加温した成分(14)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、成分(5)〜(8)を分散させ、室温まで冷却し、乳化ファンデーションを得た。
本実施例で得られた乳化ファンデーションは、使用して拭きとった後の肌のかさつき感が極めて少ないものであった。
実施例25〔浴用剤の試作〕
表24に示す(1)〜(9)の原料成分を用い、浴用剤を試作した。入浴剤を得るには、まず、成分(1)〜(6)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(7)〜(9)を80℃に加温、混合して油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、ゲル状の保湿剤とした後、室温まで冷却し、白濁浴用剤を得た。
本実施例で得られた浴用剤は、これを用いた入浴後の肌のしっとり感が十分に残っているが、べたつき感のないものであった。
実施例26〔軟膏剤〕
表25に示す(1)〜(12)の原料成分を用い、軟膏剤を試作した。軟鋼材を得るには、まず、成分(1)〜(4)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。また、成分(5)〜(11)を85℃に加温、混合して油相を得た。温度80℃で攪拌しながら、保湿剤に油相を徐々に添加し、粘稠な保湿剤を得た。この粘稠保湿剤に80℃に加温した成分(12)を注ぎ、攪拌して乳化液とした後、室温まで冷却し、親水軟膏剤を得た。
本実施例で得られた軟膏剤は、肌になじみやすく、しっとり感を与えるものであり、また1年間、室内で成分が分離することなく安定性に優れていた。
実施例27〔ゲル剤〕
表26に示す(1)〜(9)の原料成分を用い、ゲル剤を試作した。ゲル財を得るには、まず、成分(1)〜(3)を80℃に加温、混合し、均一に溶解した保湿剤を得た。80℃に加温した成分(4)〜(6)の混合溶液を得られた保湿剤と混合した後、冷却し、成分(7)〜(9)をそれぞれ加えてゲル剤を得た。
本実施例で得られたゲル剤は、使用時の感触が良く、肌にしっとりした感じ、湿潤感を与え、また1年間、室内で成分分離、析出物や異臭の発生のない安定性に優れたものであった。
産業上の利用の可能性
本発明の保湿剤は、水分保持特性及び高温安定性に優れている。また、本発明の保湿剤含有した化粧料又は外用剤も、水分保持特性及び高温安定性に優れ、且つ、使用時及び使用後の感触も良好である。さらに、本発明の保湿剤は、増粘剤等を添加することなく乳化物粘度を高くすることができるため、本発明の保湿剤を用いることにより粘稠状ないしはゲル状の化粧料又は外用剤を得ることができる。また、本発明の保湿剤は、水中油型乳化状や可溶化状とすることができるため、本発明の保湿剤を用いることにより水中油型乳化状や可溶化状形態の化粧料又は外用剤を得ることができる。
Claims (32)
- 成分A:グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の飽和脂肪族二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、前記グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上の水酸基を超えて残存させたエステル化物と、
成分B:2価の水溶性アルコールと、
成分C:3価以上の水溶性多価アルコールとを含有する保湿剤。 - 前記成分Aのエステル化物が、グリセリン及その縮合物の少なくとも一方と、炭素数16〜28の直鎖状飽和脂肪酸と、炭素数16〜28の脂肪族飽和二塩基酸とからなるエステル化物であって、且つ、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方に、直鎖状飽和脂肪酸及び脂肪族飽和二塩基酸をエステル結合させた場合に、グリセリン及びその縮合物の少なくとも一方の総水酸基数の1/2以上が残存する仕込み量で、エステル化反応を行うことにより得られるものである請求項1記載の保湿剤。
- さらに水を含有してなる請求項1記載の保湿剤。
- さらに水を含有してなる請求項2記載の保湿剤。
- さらに油性物質を含有してなる請求項1記載の保湿剤。
- さらに油性物質を含有してなる請求項2記載の保湿剤。
- さらに水と油性物質とを含有してなる請求項1記載の保湿剤。
- さらに水と油性物質とを含有してなる請求項2記載の保湿剤。
- 請求項1に記載の保湿剤と油性物質を含有してなるゲル状保湿剤。
- 請求項2に記載の保湿剤と油性物質を含有してなるゲル状保湿剤。
- 請求項1に記載の保湿剤と、水と、油性物質とを含有してなるゲル状保湿剤。
- 請求項2に記載の保湿剤と、水と、油性物質とを含有してなるゲル状保湿剤。
- 請求項1に記載の保湿剤と、水と、油性物質とを含有してなる水中油型乳化状保湿剤。
- 請求項2に記載の保湿剤と、水と、油性物質とを含有してなる水中油型乳化状保湿剤。
- 請求項9に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる水中油化型乳化状保湿剤。
- 請求項10に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる水中油化型乳化状保湿剤。
- 請求項11に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる水中油化型乳化状保湿剤。
- 請求項12に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる水中油化型乳化状保湿剤。
- 請求項1に記載の保湿剤と、水と、油性物質とを含有してなる可溶化状保湿剤。
- 請求項2に記載の保湿剤と、水と、油性物質とを含有してなる可溶化状保湿剤。
- 請求項9に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる可溶化状保湿剤。
- 請求項10に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる可溶化状保湿剤。
- 請求項11に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる可溶化状保湿剤。
- 請求項12に記載のゲル状保湿剤に水を添加して得られる可溶化状保湿剤。
- 成分Bの2価の水溶性アルコールが1.3−ブチレングリコールである請求項1項に記載の保湿剤。
- 成分Bの2価の水溶性アルコールが1.3−ブチレングリコールである請求項2項に記載の保湿剤。
- 得られる保湿剤100質量%に対して、前記成分Aの含量が0.1〜50質量%で、かつ、前記成分Bと前記成分Cの質量比が1:0.1〜1:20である請求項1項に記載の保湿剤。
- 得られる保湿剤100質量%に対して、前記成分Aの含量が0.1〜50質量%で、かつ、前記成分Bと前記成分Cの質量比が1:0.1〜1:20である請求項2項に記載の保湿剤。
- 請求項1に記載の保湿剤を含有してなる化粧品。
- 請求項2に記載の保湿剤を含有してなる化粧品。
- 請求項1に記載の保湿剤を含有してなる外用剤。
- 請求項2に記載の保湿剤を含有してなる外用剤。
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