JPS6358730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は４輪駆動車用トランスフア装置に関す
るものであり、特に自動変速機付４輪駆動車に装
着するのに好適な４輪駆動車用トランスフア装置
に関する。 ［従来の技術］ 荒れ地走行に適した４輪駆動車には、前輪駆動
用軸及び後輪駆動軸のいずれか一方に連結された
第１の出力軸と、他方に連結された第２の出力軸
を有し、変速機の出力軸からの動力を前記第１の
出力軸に伝達するとともに前記第２の出力軸には
選択的に動力を伝達可能であり、かつ変速機の出
力軸からの動力を直接的に２つの出力軸に伝達す
る高速走行状態と変速機の出力軸からの動力を減
速して２つの出力軸に伝達する低速走行状態との
切換えが可能な４輪駆動車用トランスフア装置が
装着されている。 また車両の走行中においては動力伝達が遮断さ
れない自動変速機付４輪駆動車において、上記の
２輪駆動走行状態、４輪駆動高速走行状態及び４
輪駆動低速走行状態の切換えを容易に且つ円滑に
行うようにするために上記の走行状態の切換えを
油圧式摩擦係合装置を用いて行なう４輪駆動車用
トランスフア装置が提案されている。 ［発明が解決しようとする問題点］ このような４輪駆動車用トランスフア装置にお
いても、比較的良好な車輪のグリツプ力が得られ
るような悪路走行時には、旋回走行時に前後輪の
回転数差が生じることによる内部循環トルクの発
生を防止するために４輪駆動走行状態での前後輪
間の差動作用が得られる走行状態が達成可能であ
ることが望まれている。 本発明は、従来の４輪駆動車用トランスフア装
置では困難であつた自動変速機付４輪駆動車の走
行中における２輪駆動と４輪駆動との相互の切換
え、トランスフア装置内での変速及び４輪駆動状
態での２つの出力軸間の差動作用を選択すること
のできる４輪駆動車用トランスフア装置を提供す
ることを目的とする。 ［問題点を解決するための手段］ 上記の問題点を解決するために本発明の４輪駆
動車用トランスフア装置は、入力軸１１と、該入
力軸に連結された変速機構１００と、該変速機構
に連結された差動機構２００と、該差動機構に連
結され前記入力軸と同軸的に配設された第１の出
力軸２５と、該第１の出力軸と平行的に配設され
た第２の出力軸２６と、該第２の出力軸を前記差
動機構に着脱自在に連結する４輪駆動切換機構４
００とからなり、前記変速機構は前記入力軸に連
結された入力歯車要素１２、出力歯車要素１５お
よび反力歯車要素１３を有する減速用遊星歯車機
構１０と、前記反力歯車要素を固定可能な油圧式
摩擦ブレーキ装置３３と、前記入力歯車要素、出
力歯車要素および反力歯車要素のうちいずれか２
つの要素を着脱自在に連結する第１の油圧式摩擦
クラツチ装置３０とを備え、前記差動機構は前記
変速機構の出力歯車要素に連結した入力歯車要素
２４、前記第１の出力軸に連結した第１の出力歯
車要素２２及び前記４輪駆動切換機構に連結した
第２の出力歯車要素２１を有する遊星歯車式差動
装置２０と、前記入力歯車要素、第１の出力歯車
要素及び第２の出力歯車要素のうちいずれか２つ
の要素を着脱自在に連結する第２の油圧式摩擦ク
ラツチ装置３１とを備え、前記４輪駆動切換機構
は前記第１の出力軸と同心的に配設されたスリー
ブ３５と、該スリーブと前記第２の出力軸とを連
結する伝動機構３００と、前記遊星歯車式差動装
置の第２の出力歯車要素と前記スリーブとを着脱
自在に連結する第３の油圧式摩擦クラツチ３２と
を備えることを特徴とする。 ［作用及び発明の効果］ 本発明の４輪駆動車用トランスフア装置は、変
速機構１００の第１の油圧式摩擦クラツチ装置３
０と油圧式摩擦ブレーキ装置３３に選択的に油圧
を給排すると共に、差動機構２００の第２の油圧
式摩擦クラツチ装置３１に選択的に油圧を給排す
ることによつて、自動変速機付４輪駆動車の走行
中における低速及び高速の切換え及び４輪駆動状
態での２つの出力軸間の差動作用の切換えが可能
であると共に、４輪駆動切換機構４００の第３の
油圧式摩擦クラツチ装置３２に選択的に油圧を給
排すると共に、これに調時して差動機構２００の
第２の油圧式摩擦クラツチ装置３１に油圧を給排
することによつて、自動変速機付４輪駆動車の走
行中における２輪駆動と４輪駆動の相互の切換え
が可能であり、走行条件に応じて走行状態を選択
可能とし、多様な走行条件に優れた走行性能を発
揮することができる。 ［実施例］ 次に本発明の４輪駆動車用トランスフア装置が
適用される自動車の一例を第１図に示す。自動車
はエンジン１とこのエンジンに接続された自動変
速機２とを有している。４輪駆動車用トランスフ
ア装置３は自動変速機２に接続され、かつ後輪駆
動軸４及び前輪駆動軸５に連結されている。後輪
駆動軸４及び前輪駆動軸５は各々差動装置６，７
を介して後輪及び前輪にトルクを伝達するように
構成されている。 第２図は本発明の４輪駆動車用トランスフア装
置の一例を示す断面図である。 本発明の４輪駆動車用トランスフア装置３は、
自動変速機２の出力軸である入力軸１１と、入力
軸１１に連結された変速機構１００と、変速機構
１００に連結された差動機構２００と、差動機構
２００に連結され入力軸１１と同軸的に配設され
た第１の出力軸である後輪駆動出力軸２５と、後
輪駆動出力軸２５と平行的に配設された第２の出
力軸である前輪駆動出力軸２６と、前輪駆動出力
軸２６を差動機構２００に着脱自在に連結する４
輪駆動切換機構４００とから構成されている。後
輪駆動出力軸２５と前輪駆動出力軸２６はそれぞ
れ第１図に示した後輪駆動軸４と前輪駆動軸５に
接続される。 変速機構１００は減速用遊星歯車機構１０、第
１の油圧式摩擦クラツチ３０および油圧式摩擦ブ
レーキ３３を備えており、減速用遊星歯車機構１
０はリングギヤ１２、サンギヤ１３、リングギヤ
１２およびサンギヤ１３に噛み合うプラネタリピ
ニオン１４を回転可能に保持するキヤリヤ１５か
ら構成され、リングギヤ１２は減速用遊星歯車機
構１０の入力歯車要素として入力軸１１に連結さ
れ、キヤリヤ１５は出力歯車要素として差動機構
２００に連結され、サンギヤ１３は反力歯車要素
として油圧式摩擦ブレーキ３３によつて固定可能
に構成されている。第１の油圧式摩擦クラツチ３
０はキヤリヤ１５とサンギヤ１３とを着脱自在に
連結している。 差動機構２００は遊星歯車式差動装置２０と第
２の油圧式摩擦クラツチ３１を備えており、遊星
歯車式差動装置２０はサンギヤ２１、リングギヤ
２２、サンギヤ２１およびリングギヤ２２に噛み
合うプラネタリピニオン２３を回転可能に保持す
るキヤリヤ２４から構成され、キヤリヤ２４は遊
星歯車式差動装置２０の入力歯車要素として減速
用遊星歯車機構１０のキヤリヤ１５に連結されて
おり、リングギヤ２２は第１の出力歯車要素とし
て後輪駆動出力軸２５に連結され、サンギヤ２１
は第２の出力歯車要素として４輪駆動切換機構４
００に連結されている。またサンギヤ２１は第２
の油圧式摩擦クラツチ３１を介してキヤリヤ２４
に着脱自在に連結されている。 ４輪駆動切換機構４００は後輪駆動出力軸２５
と同心的に配設されたスリーブ３５と、スリーブ
３５と前輪駆動出力軸２６とを連結する伝動機構
３００と、遊星歯車式差動装置２０のサンギヤ２
１とスリーブ３５とを着脱自在に連結する第３の
油圧式摩擦クラツチ３２とから構成され、伝動機
構３０はスリーブ３５に連結された駆動スプロケ
ツト４０、前輪駆動出力軸２６に連結された被動
スプロケツト４１、スプロケツト４０とスプロケ
ツト４１とを連結するチエーン４２を備えてい
る。 次に作動を説明する。 第１表に本発明の４輪駆動車用トランスフア装
置の走行状態の一例を示す。第１表に示す一例で
はH2、H4、L4の３種類のパターンを有し、H2
は２輪駆動のエコノミー走行を、H4は４輪駆動
の高速走行（差動装置使用）を、L4は４輪駆動
の低速走行を示す。

【表】 この第１表において、〇は油圧式摩擦クラツチ
３０，３１，３２及び油圧式摩擦ブレーキ３３が
各走行状態において係合していることを示す。 H2（２輪駆動）…油圧式摩擦クラツチ３０及び３
１が係合している。自動変速機２の出力軸１１
からの動力はリングギヤ１２に伝えられる。こ
のとき遊星歯車機構１０は油圧式摩擦クラツチ
３０の作動により一体化されて回転し、キヤリ
ヤ１５に伝えられ、遊星歯車式差動装置２０の
キヤリヤに伝えられる。このとき油圧式摩擦ク
ラツチ３１の作動により、遊星歯車式差動装置
２０は一体化されて回転し、キヤリヤ２４の回
転は後輪駆動出力軸２５に伝えられる。このと
き油圧式摩擦クラツチ３２は係合していないの
で前輪駆動出力軸２６には動力は伝えられな
い。 H4（４輪駆動高速）…油圧式摩擦クラツチ３０及
び３２が係合している。自動変速機２の出力軸
１１からの動力はリングギヤ１２に伝えられ
る。このとき油圧式摩擦クラツチ３０の作動で
遊星歯車機構１０が一体化されて回転し、リン
グギヤ１２の動力がキヤリヤ１５に伝えられ
る。キヤリヤ１５の回転は、遊星歯車式差動装
置２０を介して後輪駆動出力軸２５に伝えられ
るとともに、サンギヤ２１に連結された油圧式
摩擦クラツチ３２を介してスプロケツト４０に
伝えられ、チエーン４２、スプロケツト４１を
介して前輪駆動出力軸２６に伝えられる。差動
作用はプラネタリピニオン２３が後輪駆動出力
軸２５に連結されたリングギヤ２２と前輪駆動
出力軸２６に連結されたサンギヤ２１の周囲を
回転するだけでなく、ピニオンシヤフト２４ａ
上を回転することにより、リングギヤ２２とサ
ンギヤ２１の間に相対回転を許容することによ
り得られる。 L4（４輪駆動低速）…油圧式摩擦クラツチ３１及
び３２、油圧式摩擦ブレーキ３３が係合してい
る。変速機の出力軸１１からの動力はリングギ
ヤ１２に伝えられる。このとき油圧式摩擦ブレ
ーキ３３の作動によりサンギヤ１３が固定され
ているので、リングギヤ１２の回転は減速され
てキヤリヤ１５に伝えられる。キヤリヤ１５の
回転は遊星歯車式差動装置２０のキヤリヤ２４
に伝えられるとともに、油圧式摩擦クラツチ３
２を介してサンギヤ２１に伝えられるので、遊
星歯車式作動装置２０は一体化されて回転しそ
の差動機能をなくす。キヤリヤ２４の回転はリ
ングギヤ２２を介して後輪駆動出力軸２５に伝
えられるとともに、サンギヤ２１、油圧式摩擦
クラツチ３２、スプロケツト４０、チエーン４
２、スプロケツト４１を介して前輪駆動出力軸
２６に伝えられる。 上記の走行状態の切換えは、変速機構１００、
差動機構２００及び４輪駆動切換機構４００が油
圧式摩擦クラツチ３０，３１，３２及び油圧式摩
擦ブレーキ３３により切換えられることから、動
力伝達状態のまま円滑且つ迅速に行なわれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の４輪駆動車用トランスフア装
置が適用される自動車の一例を示す図、第２図は
本発明の４輪駆動車用トランスフア装置の一例を
示す断面図である。 符号の説明、１００……変速機構、１０……減
速用遊星歯車機構、１１……入力軸、１２……入
力歯車要素（リングギヤ）、１３……反力歯車要
素（サンギヤ）、１５……出力歯車要素（キヤリ
ヤ）、２００……差動機構、２０……遊星歯車式
差動装置、２１……第２の出力歯車要素（サンギ
ヤ）、２２……第１の出力歯車要素（リングギ
ヤ）、２４……入力歯車要素（キヤリヤ）、２５…
…第１の出力軸（後輪駆動出力軸）、２６……第
２の出力軸（前輪駆動出力軸）、３００……伝動
機構、３０……第１の油圧式摩擦クラツチ、３１
……第２の油圧式摩擦クラツチ、３２……第３の
油圧式摩擦クラツチ、３３……油圧式摩擦ブレー
キ、３５……スリーブ、４００……４輪駆動切換
機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入力軸と、該入力軸に連結された変速機構
   と、該変速機構に連結された差動機構と、該差動
   機構に連結され前記入力軸と同軸的に配設された
   第１の出力軸と、該第１の出力軸と平行的に配設
   された第２の出力軸と、該第２の出力軸を前記差
   動機構に着脱自在に連結する４輪駆動切換機構と
   からなり、前記変速機構は前記入力軸に連結され
   た入力歯車要素、出力歯車要素及び反力歯車要素
   を有する減速用遊星歯車機構と、前記反力歯車要
   素を固定可能な油圧式摩擦ブレーキ装置と、前記
   入力歯車要素、出力歯車要素及び反力歯車要素の
   うちいずれか２つの要素を着脱自在に連結する第
   １の油圧式摩擦クラツチ装置とを備え、前記差動
   機構は前記変速機構の出力歯車要素に連結した入
   力歯車要素、前記第１の出力軸に連結した第１の
   出力歯車要素及び前記４輪駆動切換機構に連結し
   た第２の出力歯車要素を有する遊星歯車式差動装
   置と、前記入力歯車要素、第１の出力歯車要素及
   び第２の出力歯車要素のうちいずれか２つの要素
   を着脱自在に連結する第２の油圧式摩擦クラツチ
   装置とを備え、前記４輪駆動切換機構は前記第１
   の出力軸と同心的に配設されたスリーブと、該ス
   リーブと前記第２の出力軸とを連結する伝動機構
   と、前記遊星歯車式差動装置の第２の出力歯車要
   素と前記スリーブとを着脱自在に連結する第３の
   油圧式摩擦クラツチとを備えることを特徴とする
   ４輪駆動車用トランスフア装置。 ２ 前記減速用遊星歯車機構はリングギヤと、サ
   ンギヤと、前記リングギヤおよびサンギヤに噛み
   合うプラネタリピニオンを回転可能に保持するキ
   ヤリヤとを有し、前記入力歯車要素は前記リング
   ギヤであり、前記出力歯車要素は前記キヤリヤで
   あり、前記反力歯車要素は前記サンギヤであり、
   前記第１の油圧式摩擦クラツチ装置は前記キヤリ
   ヤとサンギヤとを着脱自在に連結し、前記遊星歯
   車式差動装置はリングギヤと、サンギヤと、前記
   リングギヤおよびサンギヤに噛み合うプラネタリ
   ピニオンを回転可能に保持するキヤリヤとを有
   し、前記入力歯車要素は前記キヤリヤであり、前
   記第１の出力歯車要素は前記リングギヤであり、
   前記第２の出力歯車要素は前記サンギヤであり、
   前記第２の油圧式摩擦クラツチ装置は前記キヤリ
   ヤとサンギヤとを着脱自在に連結することを特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載の４輪駆動車
   用トランスフア装置。 ３ 前記伝動機構は前記スリーブに連結された駆
   動スプロケツトと、前記第２の出力軸に連結され
   た被動スプロケツトと、前記駆動スプロケツトと
   被動スプロケツトとを連結するチエーンとを有し
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の４輪駆動車用トランスフア装置。