JPS6312814B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は自動車用自動変速機に装着される４輪
駆動用トランスフア装置に関し、特に２輪駆動直
結走行状態、４輪駆動直結走行状態及び４輪駆動
減速走行状態が達成可能な４輪駆動用トランスフ
ア装置に関する。 ［従来の技術］ 荒れ地走行に適した４輪駆動車には、前輪駆動
用プロペラシヤフトおよび後輪駆動用プロペラシ
ヤフトのいずれか一方に連結された一方の出力軸
と、他方に連結された他方の出力軸を有し、変速
機の出力軸からの動力を前記一方の出力軸に伝達
するとともに前記他方の出力軸には選択的に動力
を伝達可能であり、かつ変速機の出力軸からの動
力を直接的に２つの出力軸に伝達する直結走行状
態と変速機の出力軸からの動力を減速して２つの
出力軸に伝達する減速走行状態との切換えが可能
であり、これらの切換えによつて旋回走行時に生
ずる前記２つの出力軸間の相対回転を許容し、燃
費を向上させることができる舗装路走行に好適な
２輪駆動直結走行状態と、車両を前輪と後輪の両
車輪で駆動することによつて車輪のグリツプ力の
低い悪路においても良好な走行性能を発揮するこ
とのできる４輪駆動直結走行状態と、悪路におい
て急坂路を走行する時等に特に前輪と後輪の両車
輪に大きな駆動力を発生することのできる４輪駆
動減速走行状態とを選択可能な４輪駆動トランス
フア装置が装着されている。 ［発明が解決しようととする問題点］ しかし従来の４輪駆動用トランスフア装置は、
２輪駆動走行状態と４輪駆動走行状態の切り換え
及び４輪駆動直結走行状態と４輪駆動減速走行状
態の切り換えに噛合式係合装置を用いていたの
で、車輪の有効径が異なつている場合や車両の旋
回走行時などには２輪駆動走行状態と４輪駆動走
行状態との切換えが困難であり、この切換えは直
進走行中に限定されるかあるいはこの切換えのた
めに一旦車両を停止状態にしなければならず、ま
た４輪駆動直結走行状態と４輪駆動減速走行状態
との切換えはトランスフア装置が連結される変速
機のクラツチを解放して該変速機をニユートラル
状態としてから行なう必要があり、特に変速機と
して自動変速機を用いている場合にはシフトレバ
ーを操作して自動変速機をニユートラル状態にし
てから上記切り換えを行なわなければならず、通
常の変速が自動的に行われるだけにトランスフア
装置の切換操作が非常に煩わしく感じられるとい
う欠点があつた。 本発明は上記の問題点に鑑みて成されたもので
あり、２輪駆動直結走行状態、４輪駆動直結走行
状態及び４輪駆動減速走行状態を達成可能である
と共に、これらの走行状態を容易に且つ円滑に切
り換えることのできる４輪駆動用トランスフア装
置を提供することを目的とする。 ［問題点を解決すための手段］ 本発明の４輪駆動用トランスフア装置は、入力
軸２と、該入力軸と同軸的に配設された一方の出
力軸１１と、前記入力軸と一方の出力軸に連結し
た変速機構４０と、前記一方の出力軸と平行的に
配設された他方の出力軸１７と、前記一方の出力
軸と同心的に配設されたスリーブ９と、該スリー
ブと前記他方の出力軸を連結する伝動機構１２
と、前記一方の出力軸と前記スリーブとを着脱自
在に連結する第１の油圧式摩擦クラツチ８とから
なり、前記変速機構はピニオン４２を回転自在に
保持したキヤリア４４、前記ピニオンと噛合する
リングギア４１および前記ピニオンと噛合するサ
ンギア４３を有するとともに、これらの３つの部
材のうちの２つの部材が他の１つの部材が固定さ
れたときに前記入力軸からの回転を前記一方の出
力軸に減速して伝達するように前記入力軸および
一方の出力軸にそれぞれ連結された遊星歯車装置
４と、前記他の１つの部材を選択的に固定する油
圧式摩擦ブレーキ５と、前記３つの部材のうちの
いずれか２つの部材を着脱自在に連結する第２の
油圧式摩擦クラツチ７とを備えることを特徴とす
る。 ［作用及び発明の効果］ 本発明の４輪駆動用トランスフア装置によれ
ば、第２の油圧式摩擦クラツチに油圧を供給して
係合せしめるとともに油圧式摩擦ブレーキ及び第
１の油圧式摩擦クラツチを排圧して解放せしめる
ことによつて遊星歯車装置の２つの部材が連結さ
れて遊星歯車装置は一体化して回転し、動力は入
力軸から一方の出力軸に減速比１で伝達される２
輪駆動直結走行状態が得られ、第１の油圧式摩擦
クラツチ及び第２の油圧式摩擦クラツチに油圧を
供給して係合せしめるとともに油圧式摩擦ブレー
キを排圧して解放せしめることによつて遊星歯車
装置の２つの部材が連結されて遊星歯車装置は一
体化して回転し、動力は入力軸から一方の出力軸
に減速比１で伝達されると共に第１の油圧式摩擦
クラツチによつて一方の出力軸とスリーブとが連
結されて伝動機構を経て他方の出力軸にも動力が
伝達される４輪駆動直結走行状態が得られ、さら
に第１の油圧式摩擦クラツチ及び油圧式摩擦ブレ
ーキに油圧を供給して係合せしめるとともに第２
の油圧式摩擦クラツチを排圧して解放せしめるこ
とによつて入力軸からの動力は遊星歯車装置によ
り減速されて一方の出力軸に伝達されると共に第
１の油圧式摩擦クラツチによつて一方の出力軸と
スリーブとが連結されて伝動機構を経て他方の出
力軸にも動力が伝達される４輪駆動減速走行状態
を得ることができる。 また、これらの走行状態の切り換えが上記油圧
式摩擦係合装置の係合・解放の切り換えによつて
行なわれるので、車両の走行状態にかかわらず、
且つトランスフア装置が連結される変速機をニユ
ートラル状態にする等の特別な操作を必要とせず
に、単に上記油圧式摩擦係合装置に油圧を給排す
るのみで容易に且つ円滑に上記走行状態の切換え
が可能である。 ［実施例］ つぎに本発明を図に示す一実施例に基き説明す
る。 １は自動変速機の歯車変速装置、２は歯車変速
装置１の出力軸であると同時にトランスフア装置
の入力軸、３は入力軸２に固着されたガバナ弁、
１１は入力軸２と同軸的に配設されたトランスフ
ア装置の一方の出力軸、４０は入力軸２の後端部
にスプライン嵌合されたリングギア４１、サンギ
ア４３、およびトランスフア装置の一方の出力軸
１１にハブ１０を介してスプライン嵌合されたキ
ヤリア４４、および前記リングギア４１とサンギ
ア４３に噛合するとともに前記キヤリア４４に回
転自在に保持されたピニオン４２を有する遊星歯
車装置４と、ハブ６を介してサンギア４３を前部
トランスフアケース１８に係合するための摩擦ブ
レーキ５およびサンギア４３とキヤリア４４とを
着脱自在に連結する摩擦クラツチ７を備える変速
機構、９は一方の出力軸１１と同心的に配設され
ベアリング２５、２６を介して中間部トランスフ
アケース１９および後部トランスフアケース２０
に回転自在に保持されたスリーブであり、スリー
ブ９と中間部トランスフアケース１９および後部
トランスフアケース２０との間にはそれぞれオイ
ルシール３０，３１が配設されている。８はキヤ
リア４４とスリーブ９とを着脱自在に連結するた
めの摩擦クラツチ、８０は中間部トランスフアケ
ース１９および後部トランスフアケース２０に回
転自在に保持されたスリーブ９にリブ９１を介し
て溶接されたシリンダ８１と該シリンダ８１に装
着されたピストン８２とで構成されるクラツチ８
の油圧サーボ、１７は一方の出力軸１１と平行的
に配設されベアリング２８，２９を介して中間部
トランスフアケース１９および後部トランスフア
ケース２０に回転自在に保持されたトランスフア
装置の他方の出力軸、１２はスリーブ９とスプラ
イン嵌合された第１のスプロケツト１４、他方の
出力軸１７にスプライン嵌合された第２のスプロ
ケツト１５およびこれらスプロケツト間に張設さ
れたチエーン１６からなる他方の出力軸１７駆動
用チエーン伝動機構、３２は一方の出力軸１１と
後部トランスフアケース２０との間に配設された
オイルシール、３３は他方の出力軸１７と中間部
トランスフアケース１９との間に配設されたオイ
ルシール、５０は前部トランスフアケース１８内
に形成されたシリンダ１８Ａと該シリンダ１８Ａ
内に装着されたピストン５１とで構成されるブレ
ーキ５の油圧サーボ、７０はハブ６に溶接された
シリンダ７１と該シリンダ７１内に装着されたピ
ストン７２とで構成される摩擦クラツチ７の油圧
サーボである。 上記のように変速機構４０を遊星歯車装置４
と、油圧式摩擦ブレーキ５と、油圧式摩擦クラツ
チ７とから構成し、変速機構１２を介して他方の
出力軸１７に連結したスリーブ９を一方の出力軸
１１と同心的に配設し、スリーブ９と一方の出力
軸１１とを油圧式摩擦クラツチ８によつて着脱自
在に連結しているので、油圧式摩擦クラツチ８、
油圧式摩擦クラツチ７及び油圧式摩擦ブレーキ５
を入力軸２の軸線上に同軸的に配設して、トラン
スフア装置をコンパクトに構成できると共にこれ
ら油圧式摩擦係合装置５，７，８へのライン圧の
給排が容易である。 このトランスフア装置は第２図に示すＡの如く
車両の機関Ｅに装着された自動変速機Ｔに取付け
られ、一方の出力軸１１は後輪駆動用プロペラシ
ヤフトＣに連結され、他方の出力軸１７は前輪駆
動用プロペラシヤフトＢに連結されて使用され
る。 通常走行時には油圧サーボ７０に自動変速機の
油圧制御装置に供給されるライン圧を供給してク
ラツチ７を係合せしめ油圧サーボ５０および８０
を排圧してブレーキ５およびクラツチ８を解放せ
しめる。これにより遊星歯車装置４のサンギア４
３とキヤリア４４とは連結されて遊星歯車装置４
は一体化して回転し、動力は入力軸２から後輪駆
動用出力軸である一方の出力軸１１に減速比１で
伝達される後輪による２輪駆動直結走行状態が得
られる。 この２輪駆動直結走行状態のときには伝動機構
１２の空転による異音が発生しやすいが、伝動機
構１２はクラツチ８の解放によつて一方の出力軸
１１と非連結状態とされるので、前輪にハブクラ
ツチを装着して前輪からの回転を伝動機構１２に
伝えないようにしてやれば、２輪駆動直結走行状
態において伝動機構１２の空転を防ぎ、伝動機構
１２からの異音の発生を無くすことが可能であ
る。 この２輪駆動走行中に４輪駆動走行が必要とな
つたときには運転席等に設けたレバーを操作し、
トランスフア装置の油圧サーボへの油圧給排制御
弁（図示せず）を作用せしめ、油圧サーボ８０に
ライン圧を徐々に供給してクラツチ８を円滑に係
合せしめると、一方の出力軸１１とスリーブ９と
が連結され、チエーン伝動機構１２を経て前輪駆
動用出力軸である他方の出力軸１７にも動力が伝
達されて入力軸２から後輪駆動用出力軸１７およ
び前輪駆動用出力軸１１に減速比１で動力伝達が
なされる４輪駆動直結走行状態が得られる。この
ときクラツチ８が油圧式摩擦クラツチとされてい
ることから、車輪の有効径が異なつていたり車両
の旋回走行中など一方の出力軸１１と他方の出力
軸１７に連結したスリーブ９との間に回転差が生
じているときでも油圧サーボ８０にライン圧を供
給することによつてクラツチ８を係合させ、一方
の出力軸１１と他方の出力軸１７に連結したスリ
ーブ９とを同期せしめて連結して容易に２輪駆動
直結走行状態から４輪駆動直結走行状態に切換え
ることが可能である。 この４輪駆動直結走行中急坂路など出力トルク
の増大が必要なときは油圧サーボへの油圧給排制
御弁を作用せしめて油圧サーボ５０へライン圧を
徐々に供給すると共に適切なタイミングで油圧サ
ーボ７０の油圧を排圧し、ブレーキ５を徐々に係
合せしめると共にクラツチ７を円滑に解放させ
る。これによりサンギア４３とキヤリア４４とは
解放されると共にサンギア４３は固定され、動力
は入力軸２からリングギア４１、ピニオン４２、
キヤリア４４を介して減速されて出力軸１１およ
び１７に伝達され、トルクの大きな４輪駆動減速
走行状態が得られる。このときクラツチ７及びブ
レーキ５が油圧式摩擦係合装置とされていること
から自動変速機１をニユートラル状態にする必要
が無く、動力伝達状態のままで容易に４輪駆動直
結走行状態から４輪駆動減速走行状態へ切り換え
ることが可能である。これは４輪駆動減速走行状
態から４輪駆動直結走行状態に切換える時にも同
様である。 また２輪駆動直結走行状態から４輪駆動減速走
行状態に切り換えるときにはクラツチ７を解放
し、ブレーキ５を係合すると共にクラツチ８を係
合するが、ブレーキ５の係合による減速走行状態
への切り換えに対してクラツチ８の係合が遅れて
しまうと、一方の出力軸１１のみに大きな駆動力
が伝達されてしまい、後輪のみが大きな力で車両
を駆動しようとしてスリツプしやすいが、クラツ
チ８を油圧式摩擦クラツチとしているので、ブレ
ーキ５の係合による減速走行状態への切り換えに
対して遅れることなくクラツチ８を係合して円滑
に２輪駆動走行状態から４輪駆動走行状態に切換
え、変速機構４０から出力される大きな駆動力を
直ちに一方の出力軸１１と他方の出力軸１７の両
出力軸に伝達することが可能であるので、前輪と
後輪により確実に大きな力で車両を駆動すること
ができる。 表にブレーキ５、クラツチ７および８の係合
および解放と車両の走行状態を示す。

【表】 表において○は摩擦係合装置の係合状態を示
し、×は解放状態を示す。減速比のλは、遊星歯
車装置のサンギア４３とリングギア４１との歯数
比であり、減速比の値はλを0.5とした場合のも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のトランスフア装置の断面図、
第２図は車両の動力伝達系を示す概略図である。 図中、１……変速歯車装置、２……入力軸、４
……遊星歯車装置、４０……変速機構、４１……
キヤリア、４２……ピニオン、４３……サンギ
ア、４４……リングギア、５……油圧式摩擦ブレ
ーキ、７，８……油圧式摩擦クラツチ、９……ス
リーブ、１１，１７……出力軸、１２……伝動機
構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入力軸と、該入力軸と同軸的に配設された一
   方の出力軸と、前記入力軸と一方の出力軸に連結
   した変速機構と、前記一方の出力軸と平行的に配
   設された他方の出力軸と、前記一方の出力軸と同
   心的に配設されたスリーブと、該スリーブと前記
   他方の出力軸を連結する伝動機構と、前記一方の
   出力軸と前記スリーブとを着脱自在に連結する第
   １の油圧式摩擦クラツチとからなり、前記変速機
   構はピニオンを回転自在に保持したキヤリア、前
   記ピニオンと噛合するリングギアおよび前記ピニ
   オンと噛合するサンギアを有するとともに、これ
   らの３つの部材のうちの２つの部材が他の１つの
   部材が固定されたときに前記入力軸からの回転を
   前記一方の出力軸に減速して伝達するように前記
   入力軸および一方の出力軸にそれぞれ連結された
   遊星歯車装置と、前記他の１つの部材を選択的に
   固定する油圧式摩擦ブレーキと、前記３つの部材
   のうちのいずれか２つの部材を着脱自在に連結す
   る第２の油圧式摩擦クラツチとを備えることを特
   徴とする４輪駆動用トランスフア装置。 ２ 前記キヤリアは前記一方の出力軸に連結し、
   前記リングギアは前記入力軸に連結し、前記サン
   ギアは前記油圧式摩擦ブレーキによつて固定可能
   とされていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項に記載の４輪駆動用トランスフア装置。 ３ 前記第２の油圧式摩擦クラツチは前記遊星歯
   車装置のサンギアとキヤリアを着脱自在に連結す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載
   の４輪駆動用トランスフア装置。 ４ 前記伝動機構は前記スリーブに連結した第１
   のスプロケツトと、前記他方の出力軸に連結した
   第２のスプロケツトと、前記第１および第２スプ
   ロケツト間に張設されたチエーンとを有すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の４輪
   駆動用トランスフア装置。