JPS6346103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は液状物の循環処理経路中に設けられ低
速撹拌槽の改良にかかるものであり、詳しくは槽
上部から連続的に供給される液状物が槽内におい
て偏液、滞留することなく、槽底中央から順次流
出せしめるように、槽内に低速回転する特定構造
の撹拌翼を設けた低速撹拌槽を提供することを目
的とするものである。

化学工業、食品工業、薬品工業等において、液
状物に対して混合、分散、化学反応などの各種の
処理を行う場合に、比較的に処理容量の小さな処
理装置を通して大量の被処理液状物を連続的に供
給流過せしめて複数回の処理を繰返すように該流
動経路を閉回路とした循環処理装置があり、この
場合には上記閉回路中に被処理液状物を一時的に
保留しつつ流過せしめる大容量の貯留槽を介在せ
しめている。

上記の循環処理用の貯留槽は、槽内に供給流過
せしめる大量の被処理液状物が流入口から流出口
に向つて局部的に停滞することなく均一に流動す
ることが必要であり、従来この目的のために槽内
に高速回転撹拌翼を設けることが行われている
が、槽内壁面への液状物の付着、保留液中に生ず
る偏流、槽隅角部に生ずる滞留などの防止が充分
でなく、結果的に循環処理が均一になるまでに、
過度の処理時間と多大の処理動力を要する問題点
があつた。

本考案は上記の問題点を解決するものであつ
て、循環処理用の液貯留槽中に、槽内面に生ずる
液付着停滞部分を掻き取る壁面ブレード、底ブレ
ード、保留液中に生ずる偏流を分断分散する水平
ブレードを有する低速撹拌翼を設けることによ
り、槽内液流を均一化することに成功したもので
ある。

以下、本考案の実施例を図面に従つて説明す
る。第１図は本考案の低速撹拌槽を循環処理経路
中に設けた装置の要部を断面とした説明的側面図
であり図面において１は低速撹拌槽であつて、周
壁２、底３、蓋４よりなる槽体の上部周壁に流入
口５、底中央に流出口６が設けられる。７は蓋４
の中央上部から槽内上部に突出した回転軸であつ
て、適宜の動力源により回転される。８は撹拌翼
であつて、壁面ブレード９、底ブレード１０、水
平ブレード１１を一体として構成され上部支持部
材１２により前記回転軸７端に固着される。

壁面ブレード９は槽周壁２の内面に近接し上下
方向に延び、底ブレード１０は底３内面に近接し
て略回転半径方向に延び、水平ブレード１１は槽
１に貯留される被処理液の深さに応じて１または
複数枚設け、その回転方向の面は鉛直面をなし、
略回転半径方向に延びる。底ブレード１０、水平
ブレード１１は第１図のＡ−Ａ線における低速撹
拌槽の断面図である第２図に示すように、その内
端縁の位相が回転軸と壁面ブレードとを結ぶ回転
半径に対し回転方向で遅れるように傾斜（通常20
〜40゜）し、且つその端縁が回転中心から適当な
距離を置くように回転半径より短い長さに規制す
るのが好ましい。

また、壁面ブレード９、底ブレード１０と槽内
面との間隙は成可く小さいことが望ましいが被処
理液の粘度により生ずる付着力の降伏値以上の粘
性応力が回転する撹拌翼と槽内面との間に生ずれ
ば、槽内面に付着した液の剥脱流動を生ずるもの
であり、通常粘度50Pa.s以下の液状物の場合に
は、５mm以下の間隙で、液状物の槽内面への付着
が防止できるものである。

撹拌翼の回転は液状物の混合をするものではな
く、偏流の分断分散と槽内面への付着液の掻き取
りを図るものであるので、高速である必要はな
く、液の粘性特性及び槽の寸法的条件により異る
が通常0.5〜3r.p.m程度の低速回転で充分目的を
達成することができる。

上記の条件を具備した低速撹拌槽１は第１図に
示すようにその流入口５に連続流過型処理装置Ｔ
の吐出側が接続され、流出口６にポンプＰを介し
て連続流過型処理装置Ｔの供給側が接続されて循
環処理経路が形成され、低速撹拌槽１内に大量の
被処理液状物が流入口５以下の液面になるように
収容されて、ポンプＰ、回転軸７を回転するとと
もに連続流過型処理装置を稼動せしめて、液状物
の所要の循環処理が行われるのである。

流入口５から供給された液状物は、撹拌翼部材
による撹拌が行われない場合は一点鎖線で示すよ
うな流出口に向う短絡した偏流を生じ、該偏流ゾ
ーンから離れた部分の液状物の流動は僅かとなり
特に周壁２の内面並びに底３の内面に接する液状
物は殆んど流動することなく滞留し、循環処理を
長時間行つても、その系内の被処理液の均一処理
は殆んど不可能に近いものであるが、本考案にお
ける壁面ブレード９、底ブレード１０の回転によ
り槽内面に付着停滞する液状物は強制的に剥脱さ
れつつ撹拌され、且つ水平ブレード１１の回転に
よる撹拌液流によつて短絡偏流は分断分散されて
全体として略均一な下降液流を生じつつ流出口６
からポンプＰに吸引されて連続流過型処理装置に
供給される。

前述の回転軸７の下端並びに支持部材１２が槽
内の被処理液状物の液面下に位置せしめると、該
回転軸７の低速回転にともない液状物と接触する
部分はその相対速度は極めて小となるために液状
物の付着による部分的滞留を生じ、均一流動の目
的から好ましくない。

また、水平ブレード１１、底ブレード１０を前
述のように回転半径方向に対し傾斜せしめておく
と、これらブレードの回転による撹拌作用ととも
に槽直径方向の流動を生ずるので、均一液流を形
成する上で好ましい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであつて、第
１図は本考案の低速撹拌層を循環処理経路中に設
けた装置の要部を断面とした説明的側面図であ
り、第２図は第１図Ａ−Ａ線における低速撹拌槽
の断面図である。 １……低速撹拌槽、２……周壁、３……底、４
……蓋、５……流入口、６……流出口、７……回
転軸、８……撹拌翼、９……壁面ブレード、１０
……底ブレード、１１……水平ブレード、１２…
…支持部材、Ｔ……連続流過型処理装置、Ｐ……
ポンプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に流入口、底部中央に流出口を設けた縦型
   円筒槽の上部中心から槽内上部に突出した回転軸
   を垂設し、該回転軸に壁面ブレード、底ブレー
   ド、水平ブレードよりなる撹拌翼を固設し、前記
   壁面ブレード及び底ブレードは槽内面に対し、５
   mm以下の間隙を有せしめてなり、該底ブレードお
   よび該水平ブレードの内端縁の位相が回転軸と壁
   面ブレードとを結ぶ回転半径に対し回転方向で遅
   れるように傾斜し、かつ該回転軸が液面下に位置
   しないようにしたことを特徴とする循環処理用低
   速撹拌槽。