JPS6341127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈技術分野〉 この考案はスペーサー成形用型に関し、配筋時
に鉄筋を浮かせた状態で支承するために使用する
台状のスペーサーを製造するために使用する成形
用型に関している。

〈従来技術〉 上記配筋用のスペーサーとしては、従来コンク
リートあるいはモルタルにて成型された直方体ブ
ロツク状のスペーサーが使用されており、この直
方体状コンクリートスペーサーを製造するには、
金属製あるいは木製の枠板を組立てて構成した型
枠に、コンクリート等を注入成形して製造してい
る。

ところが、上記金属製等の型枠は型枠自体の製
造コストが高くつき、また嵩が高いため型枠の保
管に広いスペースが必要であり、コンクリート成
形時の取扱いにも手間がかかり、特に成形後のコ
ンクリートスペーサーの型抜きにも多くの労力を
要し、型枠の保全、補修も面倒であつた。しか
も、スペーサーの生産量はコストの高い型枠の保
有数に制限されるため、スペーサーを大量生産す
るには不適当なものであつた。さらに、スペーサ
ー自体の運搬や保管については、多数のスペーサ
ーをバラバラで取扱うのは非常に面倒で手数のか
かるものであつた。

また、上記直方体形状のスペーサーは、縦長に
起して使用した場合の安定性が良くなく、倒れた
り傾き易い欠点もあつた。

〈目的〉 そこで、この考案の目的としては、上記従来技
術の欠点を解消し、使用性能に優れたスペーサー
を能率よく製造できるスペーサー成形用型を提供
しようとしている。

〈構成〉 そして、上記目的を達成するための構成として
は、全体が合成樹脂シートにて一体に形成されて
あり、上面には複数個の成形用凹部が並設形成さ
れ、この成形用凹部は上部から底部へと狭くなる
テーパー状に形成され、さらに型上面には成形用
凹部全体の中心線に沿つて折曲用ヒンジ部が形成
されてあることを特徴としている。

〈実施例〉 次いで、この考案の実施例について、図を参照
しながら以下に説明する。

第１図および第２図に示すように、スペーサー
成形用型２は全体が長方形板状をなし、ポリスチ
レン等の合成樹脂シートにて一体形成されてあ
り、上面に複数個の成形用凹部２０が並設形成し
てあり、図では４個２列で計８個の成形用凹部２
０が並設してある。なお実施上、用途等に応じて
任意の個数を自由に配置して形成することができ
るが、後述する折重ね使用の為には、複数個の成
形用凹部２０を中心線から左右対象に並設形成し
たほうが良い。

成形用凹部２０は平面四角形状で上面から底面
へとテーパー状に狭くなつた、いわゆる截頭四角
錐形をなし、底面には半円形状の突条２１が形成
してある。但し、成形用凹部２０の形状として
は、成形するスペーサーの形状に対応して、四角
形以外の多角形その他の形状でも実施できる。成
形用凹部２０の底面には断面半円形の畝状に突出
した成形用突条２１が形成されてあり、後述する
スペーサーの凹溝の成形用となるが、この突条２
１が形成されていないものでも実施可能である。

次に、成形用型２全体の中央には、短手方向の
中心線に沿つて下方へ断面小半円形に凹入された
凹入溝からなるヒンジ部２４が形成されてあり、
このヒンジ部２４にて成形用型２を２つ折り自在
にしている。なお、ヒンジ部２４としては、上記
半円形の凹入溝のほか、角形あるいはＶ字形等の
凹入溝、その他従来のシート成形品に使用されて
いる各種のヒンジ構造でも実施可能である。ま
た、ヒンジ部２４としては成形用型２の短手方向
でなく、長手方向の中心線に沿つて形成すること
も可能である。

上記成形用型２を製造するための合成樹脂シー
トとしては、ポリスチレン、ハイインパクトポリ
スチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各
種合成樹脂からなるものが自由に使用可能であ
る。そして、上記合成樹脂シートから真空成形等
のシート成形手段によつて成形用型２の所要形状
を形成する。

次に、成形用型２の使用について説明すると、
第２図に示すように、成形用型２に形成された成
形用凹部２０に、コンクリートやモルタル等の通
常のスペーサー成形用原料を注入して成形固化さ
せることによつて、スペーサー１を製造する。但
し、強度的にはコンクリートから製造されたもの
が最も好ましい。

そして、スペーサー１の輸送保管等の取扱い
は、第３図に示すように、スペーサー１を成形用
凹部２０内に収納したまま、成形用型２を中央の
折曲用ヒンジ部２４から２つ折りにし、上下のス
ペーサー１が互いに対向した状態で取扱う。な
お、このとき成形用型２の重ね合わせた両端辺を
ステープラー止め、接着テープ、その他の手段で
止定し、成形用型２の折重ね状態を固定すれば、
取扱い中に分解せず好適となる。また、上記止定
手段としては、成形用型２の両端辺に互いに係合
自在な係合部を設けておいてもよい。

上記のようにして成形用型２にて製造されたス
ペーサー１について、第４図および第５図によつ
て説明する。

まず、スペーサー１は第４図に示すように、成
形用型１の成形用凹部２０に対応して、略四角形
状をなす上面１０と下面１１とが略平行に形成さ
れているとともに、側面１２は下面１１側から上
面１０側へと細くなるテーパー状に形成され、い
わゆる截頭四角錐形をなし、側面１２の四隅の稜
線は小さなアール形状に形成されたブロツク状を
なしている。そして、スペーサー１の上面１０に
は、成形用型２の突条２１に対応する半円状の鉄
筋載置用凹溝１３が形成されている。この凹溝１
３の大きさは、使用する鉄筋の口径に合わせて形
成されてある。但し、鉄筋を位置止定できれば、
鉄筋の外形状に完全に密着する必要は無く、鉄筋
の径より少し大きなもの、Ｕ字形の凹溝１３ある
いは角形の凹溝１３やＶ字形の凹溝１３でも実施
可能である。また、凹溝１３は無くても、平坦な
上下何れかの面に鉄筋を載置すれば、スペーサー
１として使用することはできる。

なお、スペーサー１の形状としては、上下面１
０，１１が略平行であれば、図示した截頭四角錐
形のほか、三角、六角等の多角形あるいは円形そ
の他任意の形状の截頭錐形をなすもので実施で
き、スペーサー１の高さとしても、使用時の配筋
高さに応じて種々の高さのものが使用され、その
ほか凹溝１３の形状等のスペーサー１の形状は、
成形用型２に形成する成形用凹部２０の形状によ
つて容易に変更可能である。特に、側面１２のテ
ーパーは、スペーサー１成形時の型抜きの容易
さ、使用時の安定性、あるいはコンクリート施工
後のコンクリートとの一体性、等を考慮して適宜
設定する。

以上のごときスペーサー１の使用状態として、
第５図に建築物の床施工を行う場合を例示してあ
り、膜板Ｍの上部に鉄筋Ｔを配筋する際に、鉄筋
Ｔと膜板Ｍの間の適宜位置に、スペーサー１の下
面１１を下にして挿入し、スペーサー１上に鉄筋
Ｔを支承する状態で配設していく。

なお、配筋する鉄筋Ｔの高さに応じて、適宜高
さの異なるスペーサー１を使用する。そして、こ
の状態でコンクリートＣを打ち込み、スペーサー
１を埋め込んだままでコンクリート床の施工が完
成する。

なお、上記スペーサー１は図示した床施工のほ
か、壁、天井その他の各種建築物における鉄筋コ
ンクリート施工に対しても自由に適用できるもの
である。

以上に述べたスペーサー１は、面積の広い下面
１１を下にして使用すれば、安定良く配置できる
とともに、コンクリートＣを打ち込む際に、コン
クリートＣがテーパー状の側面１２に沿つてスム
ーズに流れ込み、施工が行い易い効果がある。ま
た、逆に面積の広い面１１を上にして使用すれ
ば、鉄筋Ｔの載置面を広くとれるとともに、コン
クリートＣ内に逆クサビ状に埋め込まれるので、
コンクリートＣとの一体性がよくなる。さらに、
鉄筋Ｔの載置用凹溝１３があれば、鉄筋Ｔが移動
することなく確実に位置止定しておけ好適であ
る。

次に、成形用型２の変更例について、第６図以
下に示している。

まず、第６図および第７図には、突条２１を一
方向のみでなく、直交する縦横両方向に上下に段
差をつけて高さの異なる突条２１，２１′を交差
させて形成した場合であり、製造されたスペーサ
ー１は、縦横の凹溝１３，１３′に鉄筋Ｔを縦横
両方向に交差させて配筋したり、高さの異なる位
置に配筋することができ至便である。

次に、第８図には成形用型２の成形用凹部２０
周縁の上面に半円状の凹入部２５を形成してあ
り、スペーサー１の成形製造時には、第９図に示
すように、円弧状の成形用凸型２３を上記凹入部
２５から成形用凹部２０上面を横断して配置した
状態で成形を行ない、スペーサー１の面積が広い
面１１に凹溝１３を形成できるようにしている。
そして、スペーサー１の使用時は、上記凹溝１３
を形成した面積の広い面１１を上面にして、コン
クリートＣ内に埋め込んで使用するものである。
この変更例によれば、使用時にコンクリートＣ内
に埋め込まれたスペーサー１が抜け難く、コンク
リートＣとの一体性に優れていて好適である。

〈効果〉 以上のごとく構成された、この考案の成形用型
２によれば、全体が合成樹脂シートからなり、複
数のスペーサー成形用凹部２０が並設形成されて
あるので、型自体は極めて軽量でスペースもとら
ず取扱い易いものである。また、通常のシート成
形手段で大量生産することが可能であるから、コ
ストも安くなる。さらに、成形後のスペーサー１
の輸送保管をこの成形用型２に収納された状態の
ままで行えば、多数のスペーサー１をまとめて取
扱えるとともに、輸送中におけるスペーサー１の
保護を果す効果もある。

特に成形用型２には、折曲用のヒンジ部２４を
設けてあるので、全体を２つ折りにした状態で取
扱え、スペーサー１を成形用型２に収納したまま
での輸送保管が非常にコンパクトな状態で取扱え
輸送効率も良くなる。また、成形用凹部２０の開
放された上面同士を対向させて折重ねておけるの
で、スペーサー１全面が全く外部に露出せず、成
形用型２の合成樹脂シートで良好に保護できるの
である。

さらに、成形用型２からスペーサー１を取出す
際には、合成樹脂シートからなる成形用型２を弾
力的に変形させれば、型外しも容易でスペーサー
１を損傷するおそれもない。

しかも、成形用型２の成形用凹部２０は、側面
を上方から下方へと狭くなるテーパー状に形成し
てあるので、合成樹脂シートによる成形用型２自
体の成形製造、特に型外しが容易であるととも
に、スペーサー１の成形製造も容易になる。そし
て、スペーサー１に形成されるテーパー状の側面
１２は、使用時の安定性を高めたり、コンクリー
トＣの流し込みをスムーズにしたり、コンクリー
トとの一体性を良好にする効果がある。

以上に述べたように、鉄筋コンクリート施工全
体の能率化等に対しても有効なスペーサーを提供
するのに適した、種々の優れた実用的効果を発揮
できるものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示すものであり、第１
図は一部切欠斜視図、第２図はスペーサー成形時
の断面図、第３図は折重ね状態の断面図、第４図
はスペーサーの斜視図、第５図は同上の使用状態
の断面図、第６図は変更例の要部斜視図、第７図
はスペーサーの使用状態の断面図、第８図はさら
に変更例の要部斜視図、第９図はスペーサーの使
用状態の断面図である。 １……スペーサー、１０……上面、１１……下
面、１２……側面、１３，１３′……鉄筋載置用
凹溝、２……成形用型、２０……成形用凹部、２
１……突条、２４……ヒンジ部、Ｍ……膜板、Ｔ
……鉄筋、Ｃ……コンクリート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 全体が合成樹脂シートにて一体に形成されて
   あり、上面には複数個の成形用凹部が並設形成
   され、この成形用凹部は上部から底部へと狭く
   なるテーパー状に形成され、さらに型上面には
   成形用凹部全体の中心線に沿つて折曲用ヒンジ
   部が形成されてあることを特徴とするスペーサ
   ー成形用型。 ２ 成形用凹部の底部に突条を形成している上記
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のスペーサ
   ー成形用型。 ３ 折曲用ヒンジ部が断面半円形の凹入溝からな
   る上記実用新案登録請求の範囲第１項記載のス
   ペーサー成形用型。