JPH0972028A - 型枠パネルの連結具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 型枠パネルを連結して積み重ね可能とする連
結具において横筋及び立ち上がり筋の支持をおこなう。 【解決手段】 対向して設置される発泡性の合成樹脂か
らなる型枠パネル間にコンクリートを流し込んで固化さ
せて壁、柱等の構造部材を形成してなる施工構造におい
て、型枠パネル１０を縦方向に積み重ねる際に用いられ
る連結具１に、横筋１１を保持する複数の嵌入部５と、
立ち上がり筋１２を保持する複数の嵌入部６を備え、該
嵌入部６は、連結具１に対し着脱自在に構成することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、対向して設置され
る発泡性の合成樹脂からなる型枠パネル間にコンクリー
トを流し込んで固化させて壁、柱等の構造部材を形成し
てなる施工構造において、上記型枠パネルを縦方向に積
み重ねる際に用いられる連結具に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、コンクリート打ちにより布基
礎、地中梁等の構造部材を形成する場合には、合板パネ
ルや金属製のパネルを用いて型枠パネルを形成し、該型
枠パネル間にコンクリートを流し込んで、これが固化し
た後で型枠パネルを取り外すようにして施工を行ってい
るが、これに変わるものとして、近年、発泡性の合成樹
脂からなる型枠パネルを用いた工法が利用されている。

【０００３】この工法は、従来法と同様にして発泡性の
合成樹脂からなる型枠パネルを設置しコンクリートの流
し込みを行うが、コンクリートが固化した後に、該型枠
パネルを取り外すことなく、断熱材として用いるもので
あり、施工が極めて簡略化できると共に、発泡性合成樹
脂による型枠パネルは、断熱、消音効果が高く、また腐
蝕しにくいという利点がある。

【０００４】従来、この発泡性合成樹脂からなる型枠パ
ネルにより壁、柱等、ある程度の高さのある構造部材を
施工する場合に、図１０に示すように、略方形状の複数
の型枠パネル１０を、その各角部に設けられた連結具４
０によって相互に連結して、積層していく工法が知られ
ている。すなわち、連結具４０は、図９に示すように、
両側に４つの受け部４１をそれぞれ備え、対向して配置
された型枠パネル１０の角部を受け入れると共に、連結
部４２の上下に複数の嵌合部４３を備えて、該嵌合部４
３に、コンクリートの芯材となる横方向の鉄筋（以下、
横筋１１）を受け入れる構造を有している。これによっ
て、横筋１１は、連結具によって保持され、従来行われ
ていた、横筋を縦方向の鉄筋（以下、立ち上がり筋１
２）に針金等で結束するという作業の必要がなくなっ
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この施
工方法においては、横筋１１が、立ち上がり筋１２に結
束されないので、各立ち上がり筋１２は、従来のように
直線的に起立せずに、個々に傾きを生じてしまい、コン
クリートの芯材としての強度上問題が生じると共に、コ
ンクリートを流し込んだ際に、その圧力に押されて何れ
かの型枠パネル側に傾いた状態で施工されてしまうとい
った問題があった。本発明は、上記従来の課題を解決す
べくなされたものであり、上記連結具において立ち上が
り筋の保持を可能ならしめて、立ち上がり筋をコンクリ
ート内に適正に施工する型枠パネルの連結具を提供する
ことを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、対向して設置される発泡性の合成樹脂からな
る型枠パネル間にコンクリートを流し込んで固化させて
壁、柱等の構造部材を形成してなる施工構造において、
上記型枠パネルを縦方向に積み重ねる際に用いられる連
結具であって、上記型枠パネルの端部を受け入れる２つ
の受け部を背合せに備えた２つのパネル支持部と、上記
対向して設置される型枠パネルの間隔で、上記２つのパ
ネル支持部を連結する連結部と、上記連結部に設けら
れ、上記型枠パネル間に設置されるコンクリートの芯材
となる横方向の鉄筋を保持する第一の保持手段と、上記
連結部に設けられ、上記型枠パネル間に設置されるコン
クリートの芯材となる縦方向の鉄筋を保持する第二の保
持手段とを備えたことを特徴として構成されている。

【０００７】また、請求項２記載の本発明は、請求項１
の発明において、上記第一及び第二の保持手段は、それ
ぞれの上記鉄筋を嵌入して保持する複数の嵌入部からな
ることを特徴として構成されている。さらに、請求項３
記載の本発明は、請求項２記載の発明において、上記縦
方向の鉄筋を保持する嵌入部を、上記連結部に対し着脱
自在にしてなることを特徴として構成されている。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明型枠パネルの連結具
を用いて壁の施工を行う実施の形態を図面に沿って説明
する。図１は本発明の連結具の一実施形態を示す斜視
図、図２は該連結具を用いた壁の施工工法を示す斜視
図、図３は図２の要部拡大図、図４は図３の平面図であ
る。上記各図において、連結具１は、方形状の型枠パネ
ル１０のコーナー部分において、積層される型枠パネル
１０及び隣り合う型枠パネル１０を相互に連結するため
のものである。すなわち、連結具１は、２つのパネル支
持部２、２と、該パネル支持部２、２を連結する連結部
４とから構成される。パネル支持部２、２は、２枚のひ
し形平板間に４つのＬ型受け部３を形成してなり、各受
け部３、３に型枠パネル１０のコーナー部分が納まる。
そのため、受け部３の幅は、型枠パネル１０の厚みに応
じて設計されている。

【０００９】連結部４は、上記対向して設置される型枠
パネル１０、１０の間隔で、上記パネル支持部２、２を
連結するものであり、連結部の幅Ｗ１は、型枠パネル１
０の内壁間距離Ｗ２（図２）に合わせて設計されてい
る。したがって、各パネル支持部２、２は、対向配置し
た型枠パネル１０、１０の位置に対応し、そのコーナー
部分を受け入れ可能となる。壁の施工においては、各型
枠パネル１０、１０間に、壁設置面から立ち上がる立ち
上がり筋１２を、壁面に沿って多数本配置すると共に、
該立ち上がり筋１２に交差して高さ方向に複数本の横方
向鉄筋（以下、横筋１１）を配置して、コンクリートの
流し込みを行う。

【００１０】本発明に係る連結具１は、その連結部４
に、上記横筋１１、及び立ち上がり筋１２を嵌入する嵌
入部（以下、横筋嵌入部５、立ち上がり筋嵌入部６）を
備えている。横筋嵌入部５は、連結部４の上面及び下面
側に、各３つ形成された半円状凹部からなり、該凹部内
に、横筋１１を挿入できるようになっている。横筋嵌入
部５の開口側には対向側に延びる突部５ａが形成され、
これにより開口幅Ｄ１は、横筋１１の直径よりも僅かに
小径に形成されている。したがって横筋１１は、この横
筋嵌入部５に対し突部５ａを押し広げ、変形させながら
嵌入される。

【００１１】立ち上がり筋嵌入部６は、連結部４の一側
面側に２つ形成され、横筋嵌入部５と同様に、半円状凹
部内に、立ち上がり筋１２を挿入できるようになってい
る。立ち上がり筋嵌入部６の開口側には対向側に延びる
突部６ａが形成され、これにより開口幅Ｄ２は、立ち上
がり筋１２の直径よりも僅かに小径に形成されている。
したがって立ち上がり筋１２は、この立ち上がり筋嵌入
部６に対し突部６ａを押し広げ、変形させながら嵌入さ
れる。通常、横筋１１と立ち上がり筋１２とは、同様の
鉄筋からなるので、横筋嵌入部５と立ち上がり筋嵌入部
６とは、同様の大きさ寸法を使用することができる。ま
た、立ち上がり筋嵌入部６を、本例のような一側を開口
させたものとせずに、図６に示すように、環状に形成す
ることもできる。この場合は、立ち上がり筋１２の上端
部から立ち上がり筋嵌入部６の挿通を行う必要がある
が、一旦挿通された立ち上がり筋１２は、横方向からの
衝撃を受けても外れることがなくなる。

【００１２】立ち上がり筋嵌入部６は、連結部４に対
し、着脱自在に取り付けられている。立ち上がり筋嵌入
部６は、図５に示すように、その底部を連結部４の装着
孔４ａに対する挿着片６ｂとして構成しており、該挿着
片６ｂを内側に弾性変形させつつ挿着孔４ａに挿入して
嵌合される。立ち上がり筋嵌入部６の取付構造として
は、その他種々の既存構造が採用でき、また、連結部４
と一体成型して取外しできない構成としても良い。ま
た、連結部４側に複数の挿着孔４ａを形成して、立ち上
がり筋１２の位置に合わせて、何れかの挿着孔４ａに立
ち上がり筋嵌入部６を取付けるように構成することもで
きる。なお、連結具１は、合成樹脂によりある程度の柔
軟性をもって形成することが好ましいが、アルミ等金属
により形成することもできる。

【００１３】以下、上記構成よりなる連結具１を用いて
壁の施工を行う手順について説明する。最初に、壁を形
成する箇所の基礎面上に、一定間隔を開けて対向する型
枠パネル１０、１０を壁面方向に連続させて設置固定し
ていき、連結具１を型枠パネル１０の隣接角部にて、隣
り合う型枠パネル１０、１０の上部のコーナー１０ａ、
１０ａを、下側の受け部３、３に納めるようにして、挿
入設置する（図２のＡ部及び図３参照）。この状態で、
隣り合う型枠パネル１０、１０同士が連結されると共
に、対向側の型枠パネル１０も連結した状態となり、型
枠パネル１０は安定する。このとき同時に、各立ち上が
り筋１２を、連結具１の立ち上がり筋嵌入部６に嵌入
し、保持させる。

【００１４】連結具１を、同じ高さの型枠パネル１０の
全ての隣接角部に設置した後、横筋１１を、各連結具１
の上側の横筋嵌入部５に嵌入させる。そして、次の高さ
の型枠パネル１０を、順次隣接する連結具１の対向側の
受け部３にそのコーナー１０ａを納めることによって積
み重ねていき、上記同様に、立ち上がり筋１２、横筋１
１の固定を行って、型枠パネル１０による壁外面を形成
する。型枠パネル１０により構成される壁面を適宜補強
し、その間にコンクリートを流し込み、固化させ、型枠
パネル１０の外面側には、防水コーティング等を施し、
内装壁あるいは外装壁を形成して施工を完了する。

【００１５】次に、連結具の他の実施形態について説明
する。図７は本発明の連結具の他の実施形態を示す斜視
図、図８はその使用状態を示した斜視図である。先の実
施形態と異なり、本連結具２０は、横方向に長尺の型枠
パネル等において利用されるものであり、その両端のパ
ネル支持部２１には、中央に仕切り壁２０ａを有する上
下２つの受け部２２が形成されている。片枠パネル３０
は、連結具２０の取付位置に切り込み３０ａを有してお
り、連結具２０は仕切り壁２０ａをこの切り込み３０ａ
に嵌入して設置される。もっとも、連結具２０は、垂直
方向の仕切り壁２０ａを設けずに構成することもでき、
この場合は、連結具２０を設置された型枠パネル３０の
長手方向における任意の位置に設置することができる。
また、その連結部２３は、断面十字形状を呈してなり、
同じ形状を有する横筋嵌入部２４、立ち上がり筋嵌入部
２５を備えているが、その機能は、先の実施形態と同様
である。また、この連結具２０は、方形状型枠パネルを
用いた施工においても、先の連結具１と共に使用するこ
とが可能である。

【００１６】

【発明の効果】以上の如く、本発明型枠パネルの連結具
は、横筋のみならず立ち上がり筋の保持構造を備えてい
るので、型枠パネルを連結支持する連結具によって、横
筋及び立ち上がり筋が保持され、立ち上がり筋を型枠パ
ネル間の適正な位置に配置することができ、従来、コン
クリートを流し込んだ際に、その圧力に押されて立ち上
がり筋が傾いてしまうようなことがなくなり、コンクリ
ートの芯材としての強度上の問題も解消することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の連結具の一実施形態を示す斜視図であ
る。

【図２】本発明の連結具を用いた壁の施工工法を示す斜
視図である。

【図３】図２の要部拡大図である。

【図４】図３の平面図である。

【図５】立ち上がり筋を保持する嵌入部を取り外した状
態における連結具の一部破断平面図である。

【図６】嵌入部の他の態様を示す図４対応の平面図であ
る。

【図７】本発明の連結具の他の実施形態を示す斜視図で
ある。

【図８】図７の連結具の使用状態を示した斜視図であ
る。

【図９】従来の連結具を示す斜視図である。

【図１０】従来の連結具を用いた壁の施工工法を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ 連結具 ２ パネル支持部 ３ 受け部 ４ 連結部 ４ａ 挿着孔 ５ 横筋嵌入部 ５ａ 突部 ６ 立ち上がり筋嵌入部 ６ａ 突部 ６ｂ 挿着片 １０ 型枠パネル １１ 横筋 １２ 立ち上がり筋 ２０ 連結具 ２１ パネル支持部 ２２ 受け部 ２３ 連結部 ２４ 横筋嵌入部 ２５ 立ち上がり筋嵌入部 ３０ 型枠パネル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対向して設置される発泡性の合成樹脂か
   らなる型枠パネル間にコンクリートを流し込んで固化さ
   せて壁、柱等の構造部材を形成してなる施工構造におい
   て、上記型枠パネルを縦方向に積み重ねる際に用いられ
   る連結具であって、 上記型枠パネルの端部を受け入れる２つの受け部を背合
   せに備えた２つのパネル支持部と、 上記対向して設置される型枠パネルの間隔で、上記２つ
   のパネル支持部を連結する連結部と、 上記連結部に設けられ、上記型枠パネル間に設置される
   コンクリートの芯材となる横方向の鉄筋を保持する第一
   の保持手段と、 上記連結部に設けられ、上記型枠パネル間に設置される
   コンクリートの芯材となる縦方向の鉄筋を保持する第二
   の保持手段と、 を備えたことを特徴とする型枠パネルの連結具。
2. 【請求項２】 上記第一及び第二の保持手段は、それぞ
   れの上記鉄筋を嵌入して保持する複数の嵌入部からなる
   請求項１記載の型枠パネルの連結具。
3. 【請求項３】 上記縦方向の鉄筋を保持する嵌入部を、
   上記連結部に対し着脱自在にしてなる請求項２記載の型
   枠パネルの連結具。