JPS6337226B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、橋脚、建築物のコア部などコンク
リート造で比較的高さが高く断面の小さい構築物
を対象とする塔状体構築用の型枠装置に関する。

従来、小口径の塔状体を構築するには、塔状体
の内部、外部共全面に足場をかけ、型枠は大型パ
ネルとして揚重機で吊り揚げてセツトする等の大
がかりな施工であつた。また、鉄筋、コンクリー
ト、仮設材の揚重にはクレーン類の設置が必要で
あり、そのために揚重機の稼動率が高すぎ、作業
が煩雑になつていた。そのため、滑揚型枠工法や
クライミング工法などが行われるようになつた
が、前者では型枠の連続滑揚のために労務管理上
の問題があり、後者では既設された構築物自体か
ら支持する型枠のクライミングのために複雑な上
昇機構を必要とするなどの問題があつた。

このは発明は、上述した事情にもとづいてなさ
れたものであり、小口径の塔状体内部にタワーク
レーンのマストを設置し、このマストに着脱自在
に取り付けた保持金具に支持させてスクリユーロ
ツドを設け、このスクリユーロツドに螺合された
回転軸金具を介して構台を昇降自在に設け、この
構台を使用して内部足場付型枠をコンクリートの
打設リフトごとに上昇可能に接着するとともに、
外部足場付型枠をクレーンにて吊り揚げセツト可
能に構成し、小口径の塔状体の構築におけるタワ
ークレーンの稼動効率をアツプし、安全かつスム
ーズに施工できるようにするとともに、内部型枠
の昇降機構を単純化し、クレーンも小型化でき
る、小口径の塔状体の構築に用いられる型枠装置
に提供するものである。

以下、この発明による実施例を添付した図面に
もとづいて具体的に説明する。第１図はこの発明
の構築法による実施例を示す縦断面図であり、第
２図はその要部の拡大図、第３図は第１図の要部
を示す横断面図である。図においてＡは橋脚を例
として示される断面が４辺形の上窄まりの塔状体
で、内部を中空とした外殻壁体で構成されてい
る。１はタワークレーンマストであり、構築され
る小口径の塔状体Ａの中央底部にアンカーボルト
等により固定されており、上端部にはクレーン１
ａが設置されている。２はタワークレーンマスト
１の四側面に設置される保持金具であり、マスト
１の４辺に各２個ずつ柱材に着脱自在に装着さ
れ、上下方向には所定の間隔をおいて３個設けら
れる。この保持金具２は、マスト１からの突出部
にスクリユーロツド３を着脱自在に挿通するとと
もにこれを回転自在に保持する。スクリユーロツ
ド３は、保持金具２の間隔ごとに接続して用いら
れ、マスト１に支持される駆動装置Ｍを頂部に装
備して回転させられる。

上記スクリユーロツド３には、回転軸金具４が
螺合され、各ロツド３においては下段と中段の保
持金具２の上方にそれぞれ位置させられている。
回転軸金具４はスクリユーロツド３と螺合する螺
子を垂直に内装しており、スクリユーロツド３の
回転により、上下方向に螺進可能である。上下の
回転軸金具４ａ，４ｂには横台５の上下の水平材
５ａの基端を固着する。構台５は鋼材をもつて枠
組に構成し、水平材５ａの先端部は伸縮固定自在
のスライド部材５ｂに構成するとともに固定長部
分は中間材５ｃ、ブレース５ｄによつて補強して
ある。６は構台５によつてその外方先端に支持さ
れる内部型枠であつて、その背面に設けられる腹
起し材６ａとたてバタ材６ｂとにより、常法のと
おり構台５の先端に支持される。７は構台５の固
定長部分と内部型枠６の外方にたてバタ材６ｂと
を連結する火打材であつて、この火打材７もスラ
イド部材５ｂと同様に伸縮固定自在に構成され
る。隣接する内部型枠６の入隅部は折曲げ可能と
される。８は構台５の下方に構台５の固定長部分
から懸垂支持される内部足場である。

一方上記塔状体Ａの外側には外部型枠９が腹起
し材９ａを介してたてバタ材９ｂに固着され、外
部吊足揚１０を装着して構成されている。

また１１は、タワークレーンマスト１の座屈を
抑えるための水平梁材であり、塔状体Ａのコンク
リート壁とタワークレーンマスト１との間に適宜
設置される。なお、上記内部型枠４の内部吊足揚
８及び外部型枠９の外部吊足揚１０には塔状体Ａ
のコンクリート壁面に沿つて滑動するガイドロー
ラ１２ａ，１２ｂが取付けられている。

上述したように構成されたタワークレーンマス
ト１において、スクリユーロツド３を回転させる
と、スクリユーロツド３に螺合した回転軸金具４
ａ，４ｂが上昇し、これと一体的に構成された構
台５及び内部型枠６が上昇する。また、タワーク
レーンマスト１に装着したクレーン１ａにより外
部型枠９が上昇させられるようになつている。

以下、この発明による小口径の塔状体Ａの構築
法について第４図ないし第８図を参照して説明す
る。

第４図は、小口径の塔状体Ａを所定の高さに構
築した状態であり、内部型枠６と外部型枠９がセ
ツトされてコンクリート打設が行なわれた図であ
る。ここでコンクリートが固まると、構台５のス
ライド部材５ｂを収縮させて、内部型枠６を離型
させスクリユーロツド３を回転させて、第５図に
示す如く、構台５を所定の高さまで上昇させる。
ここで、塔状体Ａは上窄まり状となつているが、
構台５を縮小させて内部型枠６をコンクリート打
設部分の上端開口部周縁よりも内側に位置させる
ことにより内部型枠６の上部がコンクリート打設
部分の上部開口を通過できるようにする。このよ
うに構台５を縮小できるために、上窄まりの塔状
体Ａであつても内部型枠６を順次上方に盛替えて
移動することができる。

次にスライド部材５ｂを伸長し、内部型枠６が
所定位置にセツトされると、外部型枠９の下方に
おいて既設のコンクリート部分に外部型枠９を固
定しているアンカー支持を解除し、第６図に示す
如くクレーン１ａにより外部型枠９を吊り揚げ、
第７図に示す如く上昇させて内部型枠４と対応す
る所定位置にセツトし、その下部を再び打設コン
クリートにアンカー固定する。

そこでタワークレーンマスト１に装着してある
スクリユーロツド３を次の工程に備えるために、
１段分だけ盛り替える。すなわち、まず最下段の
保持金具２を他の２個の荷重支持のもとに取外
し、ついでスクリユーロツド３の最下段の１節を
切離し、上方に移してその頂部に継足し、駆動装
置Ｍもマストに沿つて上昇させ夫々固定すれば、
スクリユーロツド３は実質的に１段分上昇させら
れる。その後他の保持金具２，２も順に回転軸金
具４ａ，４ｂの下方に移して型枠セツトが完了す
る。なお、スクリユーロツド３の移動は保持金具
２を取り付け替え、取り付け替えた保持金具２に
スクリユーロツド３を継足す作業を行うことによ
り完了できるために、スクリユーロツド３を容易
に盛替えることができる。また、スクリユーロツ
ド３に沿つて移動する回転軸金具４ａ，４ｂによ
り内部型枠６の上下位置調節ができるために、内
部型枠６の上下位置調節を極めて正確に行うこと
ができる。更に、保持金具２とスクリユーロツド
３と回転軸金具４ａ，４ｂからなる内部型枠６の
昇降機構部分に作用する荷重は内部型枠６の荷重
であり、クレーン１ａには外部型枠９の荷重が作
用するために、内外部型枠を一括して１つの機構
で昇降させる装置に比較して内部型枠６の昇降機
構を簡略化できるとともにクレーン１ａを小型化
できる効果がある。そして、内部型枠６と外部型
枠９を別々の機構で昇降することにより、スクリ
ユーロツド３を主体とする内部型枠６の昇降機構
部分と外部型枠昇降用のクレーン１ａの能力に余
裕が生じるために、各装置の作動もスムーズにな
り、作業の安全性が向上する。

そこで第４図にもどりコンクリートが打設さ
れ、打設コンクリートが固まると、第５図以下の
工程を順次繰り返して塔状体Ａが構築される。

またこの際全ての内部型枠６を離型してタワー
クレーンマスト１に全荷重をかけることは負担が
大きいので、４分割された１ユニツト分又は対向
する２ユニツト分ずつ離型、上昇セツトするよう
にしている。さらに型枠セツトが上昇するにつれ
て、水平梁材１１をタワークレーンマスト１の座
屈を抑えるように塔状体Ａのコンクリート壁面
と、タワークレーマスト１間に保持させれば、あ
る程度の高さまで対応することができる。

以上詳細に説明したように、この発明によれ
ば、塔状体の内部にタワークレーンを立設し、こ
れに支持される内部型枠をスクリユーロツドの回
転によつて上昇させ、外部型枠の上昇にだけクレ
ーンを用いるようにしたから、この種構築物の構
築に際し型枠の上昇に複雑な機構が不要になり、
タワークレーンの効率もよく、安全かつスムーズ
に施工ができるものである。また、保持金具とス
クリユーロツドと回転軸金具からなる内部型枠の
昇降機構部分に内部型枠の荷重が作用し、クレー
ンには外部型枠の荷重が作用するために、内外部
型枠を一括して１つの機構で昇降させる装置に比
較して内部型枠の昇降機構を簡略化できるととも
にクレーンを小型化できる効果がある。そして、
内部型枠と外部型枠を別々の機構で昇降すること
により、スクリユーロツドを主体とする内部型枠
と昇降機構部分と外部型枠昇降用のクレーンの能
力に余裕が生じるために、各装置の作動もスムー
ズになり、作業の安全性が向上する。更に、スク
リユーロツドに沿つて移動する回転軸金具により
内部型枠が昇降するために、内部型枠の上下方向
移動の微調整が可能であり、位置決めを極めて正
確にできる効果がある。加えて、スクリユーロツ
ドにより昇降する構台を塔状体の外殻壁体に対し
て伸縮固定自在に形成したため、上窄まり状の塔
状体を構築する場合に、上窄まりの塔状体の上部
開口を内部型枠の上部が通過できるように内部型
枠を縮小し、この後に外殻枠体の上部開口を通過
させて内部枠体を上昇させて盛替えることができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明による実施例を示す縦断面
図、第２図は第１図の要部拡大図、第３図は第１
図の要部を示す横断面図、第４図ないし第８図は
この発明の装置を用いる構築法を示す工程図であ
る。 １……タワークレーンマスト、１ａ……クレー
ン、２……保持金具、３……スクリユーロツド、
４……回転軸金具、５……構台、６……内部型
枠、９……外部型枠、Ａ……塔状体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 口径の小さいコンクリート造搭状体の中空外
   殻壁体を構築するための型枠装置において、 前記外殻壁体の中央に設置されるタワークレー
   ンと、 該タワークレーンのマストの周面にマストの柱
   材に着脱自在に設けられる上下３段の保持金具
   と、 該保持金具に挿通され回転自在に保持されるス
   クリユーロツドと、 該スクリユーロツドに螺合する上下２段の回転
   軸金具と、 該回転軸金具を基端部で回転自在に保持すると
   ともに先端部を前記外殻壁体に対して伸縮固定自
   在に形成し、下方に内部足場を一体に有する枠組
   構成した構台と、 前記構台の先端部に支保材を介して支持される
   前記外殻壁体形成用の内部型枠と、 前記タワークレーンによつて上昇させられ、既
   設のコンクリート部分で支持される外部型枠とか
   らなる小口径の塔状体を構築するための型枠装
   置。