JPS6336211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は外筒を有するメカニカルシールに関す
る。

従来からメカニカルシールの一種として、第１
図に示すように、外筒を有する形式のメカニカル
シールが知られている。このメカニカルシール４
は、前端部にシールリング７が固定され、外周に
ケース９と係合するドライブリング１０が嵌めら
れたベローズ形のパツキン８を、外径側筒部と、
内径側筒部と、この外径側筒部および内径側筒部
を連結する径方向部とによつて環状の組込み部を
形成する外筒５に組込み、この外筒５をハウジン
グ１の内周に嵌込む固定側の構造を有している。
そして、外筒５の内径側筒部を貫通する回転軸２
に固定された回転部材３とともに回転するフロー
テイングシート６にシールリング７を圧接させる
ために、パツキン８の前端部を後方から押圧する
コイルスプリング１１が配置されている。

このようなメカニカルシールにおいては、シー
ルリング７をフローテイングシート６の動きに十
分追従させるために弾性係数の小さいパツキン８
を使用しなければならない。ところが、弾性係数
が小さい場合には、パツキン８に外筒５の内径側
筒部に対する十分な締めしろをもたせてパツキン
８と内径側筒部との間で確実な密封作用を達成す
ることができない。

なぜならば、組込み際にパツキン８の内側が巻
込まれて変形してしまうからであり、この場合の
ように比較的組込み距離が長い場合にはこの変形
は大きく、完全な密封作用が期待できなくなる。
そこで、パツキン８の後端部と外筒５の径方向部
とを接着ａによつて接着しているが、以下のよう
な欠点を有している。

前記接着剤ａには固有の耐熱限界があり、当
該メカニカルシール４の使用限界温度がこの接
着剤ａによつて決定されることになる。

前記接着剤ａは固有の耐薬品性を有し、当該
メカニカルシール４の耐液性がこの接着剤ａに
よつて決定されることになる。

前記接着剤ａによる接着強度は経時的に低下
するため、長期にわたる使用によつて、該接着
部にはがれを生じることがあり、接着部の信頼
性に乏しい。

当該メカニカルシール４の製造に当つて接着
工程があると、接着剤ａの配合、管理、塗布な
らびに乾燥等に多大な時間を必要とし、手間が
かかるとともに製造工期が長期化する欠点があ
る。

このような欠点を解消するものとして、パツキ
ン８の後端部にコイルスプリング１１の後端を抑
えるスプリング抑え環を添えて、コイルスプリン
グ１１のばね力によりパツキン８の後端部と外筒
５の径方向部との間で密封作用を行うものがある
が、シールリング７とフローテイングシート６と
の接触圧が過大となつてしまうので、大きなばね
力のコイルスプリング１１を使用することができ
ない。それゆえ、パツキン８の後端部を十分に押
圧できないので完全な密封効果を達成することが
できなかつた。

したがつて、本考案はスプリング抑え環によつ
てパツキンの後端部を十分に押圧でき、パツキン
と外筒との間の完全な密封効果を達成することを
目的とし、回転軸とともに回転するフローテイン
グシートと、ハウジングの内周に気密的に嵌込ま
れる外径側筒部と、前記回転軸が貫通する内径側
筒部と、該内径側筒部と前記外径側筒部とを連結
する径方向部とによつて環状の組込み部を形成す
る外筒と、該組込み部に組込まれ、前端部にシー
ルリングが固定されたパツキンと、該パツキンの
後端部を前記径方向部とで挟んで配置され、該パ
ツキンの前記前端部を押圧して前記シールリング
を前記フローテイングシートに圧接させるスプリ
ングの後端を抑えるスプリング抑え環とからなる
メカニカルシールにおいて、前記スプリング抑え
環は筒状部を有していて、該筒状部は前記外径側
筒部に対して固定されているものである。ここ
で、筒状部を外径側筒部に対して固定するための
手段としては、圧入による嵌着、カシメまたは溶
接といつたものがあり、スプリング抑え環が外径
側筒部によつてパツキンの後端部を押圧した状態
で保持されればよい。

本考案ではスプリング抑え環の筒状部を外筒の
外径側筒部に対して固定したので、スプリングの
ばね力によるよりも大きな力でパツキンの後端部
を押圧することが可能となる。

以下、本考案の一実施例を図面にしたがつて説
明すると、第２図は第１の実施例に係るメカニカ
ルシール２１を示すものである。２２は各種回転
機器のハウジング１の軸孔段部１ａに対し気密的
に嵌着された外筒であり、外径側筒部２２ａ、径
方向部２２ｂならびに内径側筒部２２ｃを一体的
に屈曲形成してなる。２３は回転軸２に密嵌した
回転部材３の段部３ａに対し断面略Ｌ字形の緩衝
ゴム２４を介して嵌着されたフローテイングシー
トであつて、該フローテイングシート２３に対し
シールリング２５が接触して密封摺動面２６が形
成される。このシールリング２５の内周面には軸
方向に延びる所要数の切欠溝２５ａが形成され、
該切欠溝２５ａに対し、外筒２２の内径側筒部２
２ｃの先端係合部２２ｄが係合してシールリング
２５の廻り止め機構を構成している。２７は前端
部２７ａ、後端部２７ｂおよび両部２７ａ，２７
ｂ中間のベローズ部２７ｃからなるパツキンであ
る。このパツキン２７の前端部２７ａはシールリ
ング２５の後端外周に形成した段部２５ｂに気密
的に嵌合され、後端部２７ｂは外筒２２の径方向
部２２ｂと内径側筒部２２ｃに非接着の状態で接
触するとともに、該後端部２７ｂの前面に配され
たスプリング抑え環２８と外筒２２間に挟持さ
れ、前記接触部の気密が保持される。このスプリ
ング抑え環２８の外周端は軸方向前方に向けて屈
曲形成され、かつ外筒２２の外径側筒部２２ａ内
周に圧入して嵌着されている。２９は前記スプリ
ング抑え環２８とパツキン２７の前端部２７ａ側
に配された今ひとつのスプリング抑え環３０の間
に介装されたコイルスプリングであり、前記シー
ルリング２５をフローテイングシート２３へ向け
て押圧している。

上記構成のメカニカルシール２１は図上Ａにて
示す流体の機内Ｂ側への漏入を前記密封摺動面２
６で封止するものであり、前記パツキン２７の後
端部２７ｂを接着剤を用いることなくスプリング
抑え環２８と外筒２２の間に挟持する構成とした
ため、パツキン２７と外筒２２間の気密性を維持
したまま、接着剤の属性に囚われることなく当該
メカニカルシール２１の使用温度等を設定するこ
とができる。

つぎに第３図は本考案の第２の実施例を示し、
シールリング２５とパツキン２７の前端部２７ａ
を第２のスプリング抑え環３０の前端部を延ばし
てカシメ固定するとともに、この第２のスプリン
グ抑え環３０と第１のスプリング抑え環２８との
間にシールリング２５の廻り止め機構３１を構成
した。すなわち第１のスプリング抑え環２８は、
第４図に示すように、円周方向等配状に切欠２８
ａを形成され、該切欠２８ａに対し、第２のスプ
リング抑え環３０から延びる後端係合部３０ａが
係合している。このように外筒２２以外の構成部
品でシールリング２５の廻り止めをする場合、ス
プリング抑え環２８にパツキン２７を挟持する機
能だけでなく廻り止め機能を併有させることによ
り、単一部品でドライブリングとしても働かせる
ことができ、当該メカニカルシール２１の部品点
数を削減し、コストを下げることができる。な
お、前記スプリング抑え環２８は切削、鍛造、焼
結等の方法によつて製作されるが、プレス加工に
よる方法が最も経済的である。

以上説明したように、本考案によればスプリン
グ抑え環によつてパツキンの後端部を十分に押圧
することが可能となるので、パツキンと外筒の間
の密封状態が完全なメカニカルシールを提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のメカニカルシールの一例を示す
半裁断面図、第２図と第３図は本考案の実施例に
係るメカニカルシールの半裁断面図、第４図はス
プリング抑え環の正面図である。 １……ハウジング、２……回転軸、３……回転
部材、２１……メカニカルシール、２２……外
筒、２２ｄ……先端係合部、２３……フローテイ
ングシート、２５……シールリング、２５ａ……
切欠溝、２７……パツキン、２８，３０……スプ
リング抑え環、２８ａ……切欠、３０ａ……後端
係合部、３１……廻り止め機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 回転軸とともに回転するフローテイングシート
   と、 ハウジングの内周に気密的に嵌込まれる外径側
   筒部と、前記回転軸が貫通する内径側筒部と、該
   内径側筒部と前記外径側筒部とを連結する径方向
   部とによつて環状の組込み部を形成する外筒と、 該組込み部に組込まれ、前端部にシールリング
   が固定されたパツキンと、 該パツキンの後端部を前記径方向部とで挟んで
   配置され、該パツキンの前記前端部を押圧して前
   記シールリングを前記フローテイングシートに圧
   接させるスプリングの後端を抑えるスプリング抑
   え環とからなるメカニカルシールにおいて、 前記スプリング抑え環は筒状部を有していて、
   該筒状部は前記外径側筒部に対して固定されてい
   ることを特徴とするメカニカルシール。