JPH051734Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野］ 本考案は、パツキング構造に関し、例えばケー
シングの外側から袋ナツトで装置内のボルトに締
め付けて固定する際に使用する液シール兼用のパ
ツキングの構造に関するものである。

〔従来技術〕

例えばエンジンのシリンダヘツドカバーをシリ
ンダヘツドに固定する手段として、例えば、ロツ
カーアーム用ブラケツトを固定するボルトを上方
に延長し、該ボルトにヘツドカバーをナツトで締
め付けて固定するものがあることは周知である。

ところで前記ナツト締付け部分に用いるパツキ
ングは、シリンダヘツドカバー内のオイルないし
オイルミストを外部に洩らさないようにするため
のパツキングが使用されている。該パツキングの
構造を前記のロツカーアーム用ブラケツトを固定
するボルトに締付けてシリンダヘツドカバーを固
定する場合について添付の図面を対照して説明す
る。

即ち、第４図に示すように、シリンダヘツドカ
バー１を所定の位置に配置すると、該カバー１に
設けた取付け穴２の位置に、図示しないロツカー
アーム取付け用ボルト３が配置されるように予め
形成されている。次いで、弾性材から成るパツキ
ング４を孔２とボルト３との間に装着し、ワツシ
ヤ５を介して袋ナツト６を前記ボルト３に捩じ込
むことによりカバー１を図示しないシリンダヘツ
ドに固定する。

該パツキング４は、カバー１との間をシールす
るフランジ７とナツト６との間をシールする筒部
８とから形成されており、フランジ６とシリンダ
ヘツドカバー１との間のシール性能を高めるため
に、該カバー１側にはボルト３と同心円状に圧接
力を集中させるリング状突設部９を設けている。
そしてナツト６との間のシール性能を高めるに
は、ナツト６の雌ねじを設けた筒部１１をパツキ
ング４に挿入して互いに圧接することにより液密
を得るようにしている。

ところで、ナツト６はボルト３に捩じ込んで装
着するためにパツキング４を共回りさせる力が作
用する。したがつてナツト６がワツシヤ５を圧接
したのちは、ナツト６とパツキング４との摩擦に
よつて筒部１１に捩り力が作用してフランジ７と
筒１１との付け根部分Ａに応力が集中するように
なり、該部分に亀裂が発生するという問題があ
る。

前記説明のようにヘツドカバー１をボルト３に
固定する場合には、同時に振動がヘツドカバー１
に伝わり騒音の原因となる場合がある。したがつ
てこのような場合にはパツキング４は、シール性
能の外に振動を伝達させないように構成する必要
がある。そこで例えば実開昭52−166007号公報の
考案では、第５図に示すようにパツキング４の貫
通孔１０の形状が、中央に向かつて内径を狭くし
て断面が山形の突設部１２を形成し、袋ナツト６
の筒部１１との接触面積を小さくして振動の伝達
を低減するようにしている。

但しこの場合でも、十分なシール性能を発揮さ
せるには該突設部１２とナツト６の筒部１１との
接触を確実にする必要がある。もし第６図に示す
ようにナツト６を軸方向に押し込んで装着する場
合には、図の２点鎖線を示すように差し込み方向
に変形するので問題がないが、捩じ込む場合には
図の２点鎖線で示すように山の頂部を押下げるの
でＡ部に破壊力は作用しない。

しかしながら、実際は第７図に示すように捩じ
込むために突設部１２は図の矢印のように潰され
第４図と同様にＡ部に捩り力が作用しこの部分に
亀裂が発生することを防止することはできない。

そしていずれの従来例も、圧接力を小さくする
ようにパツキング１の筒部１１の内径を大きくす
ると、この種の製品の場合には高い製作精度を期
待することができないので、十分に互換性を持た
せることができないという問題がある。

〔考案の目的〕

本考案は、以上の問題に着目して成されたもの
であり、シリンダヘツドカバーなどに設けた貫通
孔を通してねじ止めする際のパツキングのシール
性能を十分発揮し、且つ捩じ込む際の捩り力によ
りパツキングが破損せず、しかも容易に互換性を
持たせて製造することができるパツキングを提供
することを目的としている。

〔考案の構成〕

以上の目的を達成するための本考案のパツキン
グ構造の構成は、締付け部材の軸部が嵌入する筒
部と、その外周に形成し、締付け部材頭部が当接
するシール用フランジとから成り、前記筒部内
に、リング状に膨出させて前記軸部を圧接するシ
ール部と、該シール部に対応する外側筒部表面に
複数の凹部とを設けたことを特徴とするものであ
る。

リング状に膨出させた前記シール部は、捩じ込
むことにより嵌入するナツトやボルトなどの軸を
圧接する力を該膨出部に集中させることによりシ
ール力を向上させ、またその背後に設ける複数の
凹部は、前記圧接による前記膨出部の変形を容易
にして不用に高い圧接力を生じないようにして、
特に高い製作精度を必要としないで捩じ込みによ
るパツキングの破損を防止するように作用する。

前記シール部を設ける位置には特に限定はない
が、捩り応力が集中するフランジと筒部との付け
根から遠い部分、即ち筒部の先端側に設けること
がより好ましい。

前記凹部の形状には特に限定はなく、シール部
がナツトやボルトなどに圧迫されて変形する変形
代を与えるだけの余地を提供し、且つ圧接力を不
当に低下させないものであればよい。例えば筒の
母線方向のスリツトないし溝などであるが、これ
に限定されず任意の形状のものとすることができ
る。また前記筒部はパツキングの位置決めに役立
つので、筒部の外周に少なくとも３箇所残すこと
が好ましい。

前記構成のパツキングは、第４図、第５図で説
明したようにパツキング筒部内に嵌入する筒部を
有するナツトの外、ボルトを挿通する場合にも適
用することができる。また適用する対象は、シリ
ンダヘツドカバーをシリンダヘツドに固定する場
合の外、同様にシール手段を必要とする対象に適
宜使用することができる。

〔実施例〕

以下添付の図面を対照してシリンダヘツドカバ
ーをねじ止めする場合のパツキングに適用した一
実施例により本考案を具体的に説明する。

第１図は本実施例のパツキングを装着した場合
の要部半断面図であり、第２図は第１図のパツキ
ングを一部破断して示した斜視図であり、第４図
と同様の部材には同じ番号を付して説明を省略す
る。

図においてパツキング４の筒部８の先端内側に
はリング状に膨出させたシール部１５を設けてい
る。このようにすると、ナツト６がボルト３に螺
合する最後の階段までＡ部に捩り力が作用しなと
いう効果がある。

そして、該シール部１５の反対側には母線方向
に切欠いたスリツト状凹部１６を設けている。該
凹部１６と凹部１６との間の部分１７は、シリン
ダヘツドカバー１に設けた取付け孔２接して該パ
ツキング１の位置を決めるガイドとなる。

次にシリンダヘツドカバー１を図示しないシリ
ンダヘツドに取付ける際の動作を第３図に基づき
説明する。図においてシール部１５にナツト６の
筒部１１が当接すると２点鎖線のように外側に撓
むように変形できるので、圧接力が不用に大きく
なることはない。したがつて、白抜き矢印のよう
にナツト６を捩じ込むために回転させてもＡ部に
応力が集中することがないので、従来多発したパ
ツキング４の破損を防止することができる。した
がつて十分に大きいシール部の変形を行わせるこ
とができるので、通常の製作精度で製造して十分
互換性を与えることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり本考案のパツキング構造
は、締付け部材の軸部が嵌入する筒部と、その外
周に形成し、締付け部材頭部が当接するシール用
フランジとから成り、前記筒部内に、リング状に
膨出させて前記軸部を圧接するシール部と、該シ
ール部に対応する外側筒部表面に複数の凹部とを
設ける構成としたので、通常の製作精度により十
分てシール性能を発揮し、しかも捩じ込みによる
ナツトやボルトなどを装着しても変形を吸収して
捩り力による捩り応力の集中を回避してパツキン
グを破損させることを回避することができるとい
う効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例によるパツキングをソウチヤ
クした場合の要部半断面図、第２図は第１図に示
したパツキングを一部破断して示した斜視図、第
３図は第１図に使用したパツキングの変形状態を
示す要部断面図、第４図は従来のパツキングを取
付けかた状態を示す要部半断面図、第５図は別の
従来例によるパツキングの形状を示す要部半断面
図、第６図及び第７図は第５図に示すパツキング
の変形状態を説明する要部半断面図である。 ３……ボルト、４……パツキング、６……ナツ
ト、７……フランジ、８……筒部、１５……シー
ル部、１６……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 締付け部材の軸部が嵌入する筒部と、その外周
   に形成し、締付け部材頭部が当接するシール用フ
   ランジとから成り、前記筒部内に、リング状に膨
   出させて前記軸部を圧接するシール部と、該シー
   ル部に対応する外側筒部表面に複数の凹部とを設
   けたことを特徴とするパツキング構造。