JPS6332743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用フロントシートのウオークイ
ン機構に係り、特に、シートを車両前後方向移動
自在に支持するレール式スライド機構と、シート
をシートクツシヨンの略中央部を中心として一定
範囲で回転自在に支持するローテーシヨン機構を
組合わせた車両用フロントシートのウオークイン
機構の改良に関する。

従来、後部座席の側方に乗員の出入り口がな
く、運転席側方のドアから出入りするようにされ
た、いわゆる２ドア車においては、フロントシー
トを前後方向移動可能に配置して、後部座席に乗
り降りする場合は、このフロントシートを最前位
置に移動させ、かつ、フロントシートのシートバ
ツクを前方に押し倒すことにより、乗員が後部座
席に乗降できるようにしている。

しかしながら、例えば、いわゆるランドクルー
ザのように、フロントシートの前方にシートレバ
ー、トランスフアーレバー、ウインチレバー等の
多くの操作レバーが配置されている車両において
は、フロントシートの前方への移動に限界がある
ため後部座席への乗降のためのスペースを十分に
確保することができないという問題点があつた。

このような問題点を解消するために、例えば実
公昭38−10303号公報に記載されるように、フロ
ントシートをそのシートクツシヨンの略中央部を
中心として回転自在に配置し、これによつて、後
部座席への乗員の乗降時に乗降のためのスペース
を確保するようにしたものがある。

しかしながら、このような構造のフロントシー
トは、実際に後部座席へ乗員が乗降する場合のみ
ならず、自動車の運転中或いは停車中に回転可能
であつて、安全性に問題点があるとともに、単純
に回転するのみであるので、後部座席乗降用のス
ペースを十分には確保できないという問題点があ
る。

この考案は上記従来の問題点に鑑みてなされた
ものであつて、後部座席への乗降用のスペースを
十分に確保できるとともに、不必要なシートの回
転を防止するようにした車両用フロントシートの
ウオークイン機構を提供することを目的とする。

この考案は、シートを車両前後方向移動自在に
支持するレール式スライド機構と、シートをシー
トクツシヨンの略中央部を中心として一定範囲で
回転自在に支持するローテーシヨン機構を組合わ
せて、シートを車両前後方向移動および回転可能
とするとともに、前記シート側部に設けられたレ
バー部材とフロア側に設けられた係合部材との摺
動自在な係合によりシートバツクの可倒位置を規
定するとともに、シート回動をも制限し、前記シ
ートが前記レール式スライド機構の前方位置にあ
るときのみに、前記レバー部材又はシート後部に
設けられ前記レバー部材と連結された足踏みアー
ムの操作により、シートの回動を可能とするロツ
ク機構を構成することにより上記目的を達成する
ものである。

また、この考案は前記車両用フロントシートの
ウオークイン機構において、前記シート側のレバ
ー部材をシートバツク可倒レバーとするととも
に、前記フロア側の係合部材を、前記シートバツ
ク可倒レバーの先端と接触可能位置でフロア側に
車両前後方向に長く設けられかつ、非作動状態に
おける前記シートバツク可倒レバーをその作動方
向およびシート回転方向に拘束し、また前記シー
トが前記レール式スライド機構に沿つて最前位置
にあるとき、前記シートバツク可倒レバーを解放
するロツク機構を形成する回転止めバツフルとす
ることにより上記目的を達成するものである。

またこの考案は、前記車両用フロントシートの
ウオークイン機構において、前記ロツク機構を、
非作動状態における前記シートバツク可倒レバー
の先端が、シート前後方向摺動自在に嵌合すると
ともに、シートが最前位置にないとき、該シート
バツク可倒レバーの先端をその作動方向およびシ
ート回転方向に規制するよう、前記回転止めバツ
フルの側面に形成された溝から構成することによ
り上記目的を達成するものである。

またこの考案は、前記車両用フロントシートの
ウオークイン機構において、前記シートバツク可
倒レバーをシートバツクリクライニング角度調節
機構と連動させるとともに、前記溝の上下方向幅
を、該シートバツク可倒レバーの、前記シートバ
ツクリクライニング角度調節機構を駆動できる範
囲の揺動を許容するようにして上記目的を達成す
るものである。

以下本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

この実施例は、図に示されるように、フロント
シート１を車両前後方向移動自在に支持するレー
ル式スライド機構２と、前記フロントシート１を
シートクツシヨン１Ａの略中央部を中心として一
定範囲で回転自在に支持するローテーシヨン機構
３を組合わせて、フロントシート１を車両前後方
向移動および回転可能とするとともに、前記フロ
ントシート１側に取付けられたシートバツク可倒
レバー４の先端４Ａと接触可能位置でフロア５側
に車両前後方向に長い回転止めバツフル６を配置
し、かつ、非作動状態における前記シートバツク
可倒レバー４をその作動方向およびシート回転方
向に拘束し、また前記フロントシート１が前記レ
ール式スライド機構２に沿つて最前位置にあると
き、前記シートバツク可倒レバー４を解放するロ
ツク機構７を形成したものである。また、前記シ
ートバツク可倒レバー４は、後部座席から足踏み
式で操作され得るシートバツク可倒足踏みアーム
１４と一体に形成されている。

前記ロツク機構７は、非作動状態における前記
シートバツク可倒レバー４の先端４Ａが、シート
前後方向摺動自在に嵌合するとともに、フロント
シート１が最前位置にないとき、該シートバツク
可倒レバー４の先端４Ａをその作動方向およびシ
ート回転方向に規制するよう、前記回転止めバツ
フル６の側面に形成された溝８から構成されてい
る。

また前記シートバツク可倒レバー４は、シート
バツクリクライニング角度調節機構（図示省略）
と連動されるとともに、前記溝８の上下方向幅
を、該シートバツク可倒レバー４の、前記シート
バツクリクライニング角度調節機構を駆動できる
範囲の揺動を許容するようにされている。

前記ローテーシヨン機構３は、第３図〜第５図
に示されるように、ニユートラル位置にあるフロ
ントシート１のシートクツシヨン中央部を中心と
して同一半径の円周上に、シートクツシヨン１Ａ
の下方でフロア５上に、円周方向等間隔に配置さ
れた４個の回転用インナレール３Ａと、この回転
用インナレール３Ａに上方からシートトラツクロ
ーラ９を介して円周方向に相対移動可能に嵌合さ
れる４個の回転用アウタレール３Ｂとから構成さ
れ、これによつて、回転用アウタレール３Ｂが回
転用インナレール３Ａ側のストツパ１０Ａまたは
１０Ｂに当接する範囲内で回転されるものであ
る。

また、前記レール式スライド機構２は、第３図
および第６図に示されるように、前記ローテーシ
ヨン機構３における回転用アウタレール３Ｂの上
面に溶着されたインナレール２Ａと、このインナ
レール２Ａの上方から、ローラ１１を介して前後
方向相対移動自在に嵌合されるアウタレール２Ｂ
とから構成されている。

前記フロントシート１のシートクツシヨン１Ａ
は、前記レール式スライド機構２におけるアウタ
レール２Ｂの上面に一体的に連結されている。

第４図における符号１２は、前記レール式スラ
イド機構２におけるインナレール２Ａの下面に一
体的に取付けられたピンを示し、このピン１２
は、前記回転止めバツフル６のレール式スライド
機構２下方への延長部に形成された円弧状溝１３
に上方から嵌合され、これによつて、レール式ス
ライド機構２は、ローテーシヨン機構３の円周方
向の相対移動時に案内されるようになつている。

次に前記実施例の作用を説明する。

常態、すなわち後部座席へ乗員が乗り降りしな
い場合は、フロントシート１はレール式スライド
機構２におけるニユートラル位置にあり、その
時、シートバツク可倒レバー４の先端４Ａは、回
転止めバツフル６の側面に形成された溝８内に嵌
合されている。

従つて、この状態では、シートバツク可倒レバ
ー４の先端４Ａは、回転止めバツフル６の溝８に
沿つて前後方向に移動できるのみであるので、フ
ロントシート１はレール式スライド機構２によつ
て前後方向に移動はできるが、シートバツク可倒
レバー４がその作動方向に拘束されているので、
フロントシート１のシートバツク１Ｂは前方に倒
すことができない。また、シートバツク可倒レバ
ー４は回転止めバツフル６にシート回転方向に当
接しているので、フロントシート１の回転もシー
トバツク可倒レバー４と回転止めバツフル６の干
渉によつてロツクされることになる。

後部座席に乗員が乗降する場合は、フロントシ
ート１をレール式スライド機構２によつて最前位
置（第１図の２点鎖線位置）に移動させる。

フロントシート１が最前位置に移動されると、
この側面に取付けられたシートバツク可倒レバー
４の先端４Ａは、回転止めバツフル６の溝８Ａに
沿つて最前位置に至り、溝８の前端位置に形成さ
れた上方溝８Ａを通つて、溝８から上方に抜け出
すことができるようになる。

従つて、この状態で、シートバツク可倒レバー
４を上方に操作すれば、その先端４Ａは溝８から
上方に抜け出す。

従つて、フロントシート１のシートバツク１Ｂ
は前方に可倒となるとともに、シートバツク可倒
レバー４の先端４Ａと回転止めバツフル６がシー
ト回転方向に干渉しないことになるので、フロン
トシート１はローテーシヨン機構３によつて、回
転され得ることになる。

フロントシート１を、そのレール式スライド機
構２の最前位置でローテーシヨン機構３により、
例えば第７図に示されるように、フロントシート
１が助手席の場合、時計方向に一定範囲で回転さ
せると、フロントシート１の非回転状態における
乗降用スペースＡは、フロントシート１の回転に
より、符号Ｂで示される範囲で増大され、従つ
て、レール式スライド機構２によるフロントシー
ト１の前方への移動量が不充分であつても、フロ
ントシート１の回転によつて、後部座席への乗員
の乗降用スペースが十分に確保されることにな
る。

図の符号１５はシートバツク可倒レバー４のリ
ターンスプリング、１６はシートバツク１Ｂをシ
ートクツシヨン１Ａに対して前倒方向に付勢する
ためのスプリングを各々示す。

ここで、シートバツク可倒レバー４の先端４Ａ
に対して、ロツク機構７における溝８の上下方向
の幅は該先端４Ａよりも大きく、かつ、これによ
つて、シートバツク可倒レバー４の先端４Ａが溝
８内において、前記シートバツクリクライニング
角度調節機構を作動できる範囲で揺動を許容する
ようにされている。

なお、前記実施例はロツク機構をシートバツク
可倒レバーおよび回転止めバツフルとの係合によ
り構成するものであるが、本考案はこれに限定さ
れるものでなく、前記シート側に設けられたレバ
ー部材とフロア側に設けられた係合部材との摺動
自在な係合によりシートバツクの可倒位置を規定
するとともに、シート回動をも制限し、前記シー
トが前記レール式スライド機構の前方位置にある
ときのみに、前記レバー部材又はシート後部に設
けられ前記レバー部材と連結された足踏みアーム
の操作により、シートの回動を可能とするロツク
機構を構成するものであればよい。

本考案は上記のように構成したので、フロント
シートの前後方向の許容移動範囲が小さい場合で
も後部座席への乗員の乗降のためのスペースを十
分に確保できるとともに、後席乗員が足踏みアー
ムを操作することによりシートの回転を可能と
し、後席乗員の降車を容易にし、更に、不必要な
フロントシートの回転を規制することができると
いう優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両用フロントシートの
ウオークイン機構の実施例を示す側面図、第２図
は同実施例におけるローテーシヨン機構を示す平
面図、第３図は第２図の−線に沿う拡大断面
図、第４図は同ローテーシヨン機構の要部を拡大
して示す斜視図、第５図は同実施例の要部を拡大
して示す側面図、第６図は第５図の−線に沿
う断面図、第７図は同実施例の作用を示す略示平
面図である。 １……フロントシート、１Ａ……シートクツシ
ヨン、１Ｂ……シートバツク、２……レール式ス
ライド機構、３……ローテーシヨン機構、４……
シートバツク可倒レバー、４Ａ……先端、５……
フロア、６……回転止めバツフル、７……ロツク
機構、８……溝、１４……足踏みアーム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シートを車両前後方向移動自在に支持するレ
   ール式スライド機構と、シートをシートクツシ
   ヨンの略中央部を中心として一定範囲で回転自
   在に支持するローテーシヨン機構とを組合わせ
   て、シートを車両前後方向移動および回転可能
   とするとともに、前記シート側部に設けられた
   レバー部材とフロア側に設けられた係合部材と
   の摺動自在な係合によりシートバツクの可倒位
   置を規定するとともに、シート回動をも制限
   し、前記シートが前記レール式スライド機構の
   前方位置にあるときのみに、前記レバー部材又
   はシート後部に設けられ前記レバー部材と連結
   された足踏みアームの操作により、シートの回
   動を可能とするロツク機構を構成したことを特
   徴とする車両用フロントシートのウオークイン
   機構。 (2) 前記シート側のレバー部材をシートバツク可
   倒レバーとするとともに、前記フロア側の係合
   部材を、前記シートバツク可倒レバーの先端と
   接触可能位置でフロア側に車両前後方向に長く
   設けられかつ、非作動状態における前記シート
   バツク可倒レバーをその作動方向およびシート
   回転方向に拘束し、また前記シートが前記レー
   ル式スライド機構に沿つて最前位置にあると
   き、前記シートバツク可倒レバーを解放するロ
   ツク機構を形成する回転止めバツフルとしたこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の車両用フロントシートのウオークイン機
   構。 (3) 前記ロツク機構を、非作動状態における前記
   シートバツク可倒レバーの先端が、シート前後
   方向摺動自在に嵌合するとともに、シートが最
   前位置にないとき、該シートバツク可倒レバー
   の先端をその作動方向およびシート回転方向に
   規制するよう、前記回転止めバツフルの側面に
   形成された溝から構成することを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第２項記載の車両用フロ
   ントシートのウオークイン機構。 (4) 前記シートバツク可倒レバーをシートバツク
   リクライニング角度調節機構と連動させ、かつ
   前記溝の上下方向幅を、該シートバツク可倒レ
   バーの、前記シートバツクリクライニング角度
   調節機構を駆動できる範囲の揺動を許容するよ
   うにしたことを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第３項記載の車両用フロントシートのウオ
   ークイン機構。