JPS6326577Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、所謂ゴシツクアーチ状の軌道形状の
うち、垂直な両側面に対称に直線状の軌道面が設
けられている断面が略矩形状のトラツクレール
と、該トラツクレールに跨架され、前記垂直な両
側面と近接対峙する垂直な内側面が形成され、該
垂直な内側面に前記トラツクレールの軌道面と対
峙する直線状の軌道面が設けられ、前記両軌道面
間を負荷域として直線状に転動するボール群が無
限循環するごとく左右対称に収納されている無限
循環路が設けられているスライドユニツトとから
なる直線運動用玉軸受に内装されるボール保持体
に関するものであり、取付、取外しの極めて容易
で、軽量のボール保持体を提供することを目的と
する。

従来の所謂ゴシツクアーチ状の直線運動用玉軸
受は、トラツクレールとスライドユニツトがいず
れも下広がりの台形状、半円筒形状のものであ
り、またこれらの直線運動用玉軸受のスライドユ
ニツトに内装されるボール保持体は、トラツクレ
ールからスライドユニツトが取外された場合、ボ
ール群の重量を支承する必要もあり、鋼板からプ
レス成形されたものや、プラスチツク材等が射出
成形されたものや、鋼材から旋削加工された厚肉
体のものや、焼結により形成された厚肉体のもの
等があるが、いずれも方向転換路の案内板と一体
化され複雑な形状のものであり、材料費、加工費
等のコストが高く、かつ精度的にも劣ることがあ
り、問題を生じていた。

本考案のボール保持体は、方向転換路において
方向転換するボール群により負荷を印加される案
内板を別体とし、細杆状の針金素材のみにより形
成されるものであり、その構成について以下図面
により説明する。

本考案のボール保持体の取付けられる直線運動
用玉軸受は、第１図〜第３図に示すごとく、断面
が略矩形状で両側面６，６が垂直である直線状の
トラツクレール１と該トラツクレール１に跨つて
直線運動する垂直な内側面７，７を有するスライ
ドユニツト２とよりなり、第１図〜第３図に示す
ごとく、トラツクレール１には垂直な両側面６，
６に長さ方向に左右対称に、ボール３群の転動す
る半円筒状の軌道面４，４が設けられ、スライド
ユニツト２にも、そのコ字状に前記垂直な両側面
６，６に対向する垂直な内側面７，７に、前記軌
道面４，４と相対峙する位置に、長さ方向に左右
対称に、ボール３の転動する半円筒状の軌道面
５，５が設けられている。

前記軌道面４，５間を負荷或として直線状に転
動するボール３群は、スライドユニツト２の本体
１５の前後両端に取付けられる側板２，２に埋設
されているボール３群の方向転換用の案内板２３
の内側先端にすくい上げられ、軌道面４，５より
外れた後、第２図〜第４図、第９図および第１０
図に示す如く、前記無限循環路のうち方向転換路
の路面中心をなしてボール群３よりの方向転換負
荷を支承するところの前記案内板２３の円弧状の
縁面２４に沿つて方向転換せしめられ、スライド
ユニツト２の左右のそれぞれのリターン孔８を通
つて無限循環される。

第２図、第４図に示すごとく、スライドユニツ
ト２側の前記軌道面５上のボール３の内側に近接
して略ボール３中心位置にボール保持体９が設け
られている。該ボール保持体９は、第５図、第６
図、第１０図に示すごとく、主体部２０の断面に
おけるボール３群と対峙する対峙面１８の高さが
幅Ｗの略２倍に近い断面矩形状の金属製細杆状
体、あるいは第７図に示すごとく、主体部２０の
断面形状が対峙面１８の高さＨが幅Ｗの略２倍で
ある略半円体のみよりなり、いずれも平面形状に
おいて略リツプ付き扁平コ字状に成形されてお
り、直杆状の主体部２０の両端が直角に折曲げら
れて折曲片１０，１０とされ、更に該折曲片１
０，１０の先端が互に対向するように内側へ略直
角に折曲されて鉤状片１１，１１とされ、前記主
体部２０が、前述のように軌道面５内のボール３
に、該軌道面５と対向して、ボール３の中心位置
に外側から近接するように構成されており、主体
部２０のボール３との対峙面は平面状に構成され
ている。

前記ボール保持体９は、次記のようにしてスラ
イドユニツト２に組付けられている。すなわち、
スライドユニツト２の組立に際して、第２図〜第
４図に示すごとく、スライドユニツト２の本体１
５の進行方向の前後両側の取付凹所２１に、ベア
リングプレート押え１４と、本体１５の進行方向
側直立面に水平な溝１６を有する側板１３とを順
に嵌着し、次にリターン孔８および軌道面５上に
ボール３群を充填し、更にボール保持体９を、第
４図および第９図右半部に示すごとく、側板１３
の溝１６に挿入し、鉤状片１１で側板１３に繋止
し、第４図、第９図、第１０図に示す如く、側板
１３に一体に成形体とされている円弧状の縁面２
４を有する鋼板製の案内板２３と前記主体部２０
と折曲片１０との内コーナ２５で前記主体部２０
に当接せしめ、ボール保持体９の主体部２０を軌
道面５上のボール３列に当接させ、軌道面５から
のボール３の脱出を防止し、しかる後、シール１
２を前記側板１３に外接せしめる位置まで取付凹
所２１に嵌挿し、止めねじ１７により前記シール
１２、側板１３およびベアリングプレート押え１
４を本体１５に螺止し組付を完了する。

前記組付位置において、ボール保持体９は、鉤
状片１１が側板１３の溝１６の外端寄りに凹設さ
れている係止凹所２２に繋止され、離脱すること
はない。

またボール保持体９は、第６図、第７図に示す
ごとく、主体部２０の断面形状が、高さＨが幅Ｗ
より大で約２倍の矩形または半円形とされる細い
針金状であり、ボール３との対峙面１８の高さＨ
が幅Ｗより僅かに広くされているため、ボール３
の軌道面５上からの離脱を防ぐ保持作用が確実
で、折曲片１０をより可撓とし、着脱を容易と
し、かつ取付位置でスライドユニツト２の内側方
向への突出を少なくしうる効果がある。

なお、トラツクレール１の軌道面４の奥には、
その長さ方向に細い研削逃げ溝１９が形成されて
おり、前記ボール保持体９は、第２図、第３図に
示されるごとくスライドユニツト２がトラツクレ
ール１に組付けられた場合、該トラツクレール１
の軌道面４の研削逃げ溝１９中に遊装されるよう
に構成されており、ボール保持体９の主体部２０
は、トラツクレール１と接触することが全くな
く、繋止位置が軌道面５より外方の側板１３の溝
１６内にあるため、繋止部分が軸方向で極めて小
さく、ボール保持体９の繋止部分が小さいだけ軌
道面５の軸方向の有効接触長さが充分に確保さ
れ、その結果、同じ外形寸法のスライドユニツト
であつても、負荷域がより長くなり、負荷域のボ
ール数が大となり、直線運動用玉軸受全体として
の負荷能力のより高い軸受とすることが可能とな
る効果もある。更に本考案のボール保持体の取付
けられるスライドユニツトの軌道面の設けられる
内側面は、従来のものと異なり下広がりでなく、
垂直面であり、従つてスライドユニツトをトラツ
クレールから取外した際、軌道面上のボール群の
重量は主として軌道面に支承され、ボール保持体
に支承されるボール群の重量は極めて少い。この
点もボール保持体が金属製細杆状体で充分である
一因である。

本考案に係るボール保持体は、ボール群の方向
転換負荷が印加される案内板と別体とされ、前述
のごとき断面形状および屈曲形状とされているの
で、最も単純な形状である細杆状体のみによりな
るものでありながら、スライドユニツトの軌道面
上にあるボールとの対峙面がより大でボール保持
作用が確実に得られ保持精度も高く、取付位置で
のトラツクレールの軌道面側への突出も少なく、
側板に一体の成形体とされている案内板の円弧状
の縁面によるボールのすくい上げおよび方向転換
作用を全く害することがなく、側板の溝に鉤状片
および折曲片の弾力を利用して繋止されるため、
着脱が容易で、しかも側板との繋止所要面積が軸
方向において特に少なく、該所要面積が少ない分
だけ両軌道面とボール群との軸方向への有効接触
長さをより長く確保することができるため、負荷
域にあつて直線運動用玉軸受のスライドユニツト
に印加される負荷を支承するボールの数をより多
くすることが可能となり、従つて同じ外形寸法の
スライドユニツトであつても直線運動玉軸受全体
としての負荷能力をより高くすることが可能とな
る優れた考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は直線運動用玉軸受の側面図、第２図は
トラツクレールの断面およびスライドユニツト本
体進行側立面図、第３図は左半分はスライドユニ
ツトの進行側立面図、右半分は第１図中−線
断面図、第４図はスライドユニツトの軸線方向中
央縦断面図、第５図はボール保持体の実施例平面
図、第６図は第５図中−線拡大断面図、第７
図はボール保持体の別の実施例の断面図、第８図
はベアリングプレート押え立面図、第９図は側板
立面図、第１０図はボール、ボール保持体、ボー
ル案内板の関係を示す部分斜視図である。 １……トラツクレール、２……スライドユニツ
ト、３……ボール、４，５……軌道面、６……側
面、７……内側面、９……ボール保持体、１０…
…折曲片、１１……鉤状片、１３……側板、１５
……本体、１６……溝、１８……対峙面、１９…
…研削逃げ溝、２０……主体部、２３……案内
板、２４……縁面、２５……内コーナ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 垂直な両側面にのみ左右対称に直線状の軌道面
   が設けられている断面矩形状の杆状のトラツクレ
   ールと、無限循環するボール群を介して進退自在
   に前記トラツクレールに跨架支承されるスライド
   ユニツトとからなり、該スライドユニツトには前
   記トラツクレールの垂直な両側面と近接対峙する
   垂直な内側面が形成され、該垂直な内側面にのみ
   前記トラツクレールの軌道面と対峙する直線状の
   軌道面が設けられ、前記両軌道面間を負荷域とし
   て直線状に転動するボール群が無限循環するごと
   く左右対称に収納されている無限循環路が設けら
   れている直線運動用玉軸受における、前記トラツ
   クレールに組付けられないときの前記スライドユ
   ニツトの軌道面上のボール群の逸脱落下を防止す
   るため前記スライドユニツトの軌道面と対向して
   該スライドユニツトに取付けられる直線運動用玉
   軸受のボール保持体において、該ボール保持体
   が、断面の高さが幅より大である金属製の細杆状
   体のみよりなり、前記スライドユニツトの軌道面
   上のボール群の内側に近接し、該ボール群と平行
   して取付けられる直杆状の主体部と、該主体部の
   両端から直角に折曲げられ連設される折曲片と、
   更に該折曲片の先端に内方に屈曲してリツプ状に
   連設形成された短い鉤状片とよりなる略リツプ付
   きコ字状をなしており、前記細杆状の折曲片と鉤
   状片との弾力のみにより、前記スライドユニツト
   に掛け止め保持可能とされていることを特徴とす
   る直線運動用玉軸受のボール保持体。