JPH0453459Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、リニアガイド装置、殊にそのスライ
ダの改良に関するものである。ここでリニアガイ
ド装置とは長尺のレールと、多数のボールを介し
てレール上に被せられ、ボールの転動によりレー
ル上を摺動する鞍形状のスライダとを含むもので
ある。

〔従来技術及びその欠点〕

リニアガイド装置、特にミニアチユアリニアガ
イド装置では、全体の寸法が小さいため、これを
総ボールタイプとすると、ボールとボール嵌合代
の許容差が厳しく、レール、スライダの製造が困
難である。その結果、ボールに対する嵌合み代が
僅か大きくても予圧過大を生じ易いので、スライ
ダ摺動が重くなり易い。このようなボールの予圧
過大を防ぎ、スライダの摺動時の抵抗を小さくす
るために、組立て状態でレールのボール転動溝と
スライダのボール転動溝との間に嵌合させたボー
ルに予圧をかけないようにすると、すきまが生じ
て、スライダの摺動時にこのすきまによるガタつ
きが悪影響を及ぼし、十分な精度、安定した精度
を確保することが困難である。また、軽予圧状態
で使用する場合、摺動抵抗を減らすためにスペー
サボールを用いると、モーメント荷重を支持する
ボールの数が減少するため、総ボールのものに比
べて精度が劣る。

なお、総ボールタイプのリニアガイド装置は、
隣接するボールが互いに同方向に回転し、ボール
の接触部分は反対方向に運動する部分が接触する
ので、ボールの転動即ちスライダの摺動が必ずし
も円滑に行なわれない。

本考案は、上記従来例における欠点を解消する
こと、即ちボールとボール転動溝との嵌合代の許
容差がそれ程厳しくなく、多くのボールが円滑に
転動してスライダの摺動特性が向上し、モーメン
ト荷重に対する剛性も不足することがないように
改良されたリニアガイド装置を提供することを目
的としてなされたものである。

〔問題点を解決するための手段、作用〕

上記目的を達成するために、本考案において
は、スライダのボール転動溝の長手方向中間部に
所定の長さにわたつてボール転動溝よりも溝深さ
の深い凹所を形成したのである。凹所の溝径は、
ボール転動溝の溝径（概ねボールの直径に等し
い）よりも大きくされているので、この凹所とレ
ールのボール転動溝との間にあるボールはスライ
ダに加わる負荷を支持するのに貢献しない。

凹所の形状、深さ、長さは、ボールのサイズ、
個数、スライダに加わる負荷の大きさ等を考慮し
て定められるものであるが、何れにしても、本考
案は、スライダのボール転動溝の中央部に、実質
的にボールが負荷を受けて転動しない（単に通過
する）領域を積極的に形成するものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例について図面とともに説
明する。

第１図及び第２図に示すように、本願に係るリ
ニガガイド装置は、長職のレール１０と、このレ
ール１０上を摺動可能なスライダ２０とに大別さ
れる。

レール１０は矩形状断面を有し、その両側面に
は所謂ゴシツクアーチ形状のボール転動溝１２が
長手方向全体にわたつて形成されており、また高
さ方向に貫通する複数個のボルト挿通穴１４が長
手方向に隔設されている。ボルト挿通穴１４に挿
通されるボルトによつてレール１０は使用にあた
つて図示しない基台等に固定される。

スライダ２０は本体２２と、その両端面に固定
された一対のエンドキヤツプ２４とから成り、全
体としてレール１０に被せるのに適した鞍形状を
有する。本体２２は横断面逆凹形状とされ、レー
ル１０上方に位置する基部２５と、基部２５に連
続しレール１０側方に位置する一対の袖部２６と
から成り、袖部２６の内側面には上記レール１０
のボール転動溝１２に対向するゴシツクアーチ形
状のボール転動溝２８が長手方向に形成され、そ
の背後にはボール戻り穴３０（第４図参照）が貫
通穴として形成されている。また、袖部２６の上
面には、スライダ２０を移動テーブル等に固定す
るボルト（図示せず）を螺合するボルト穴３２が
形成されている。

上記スライダ２０のボール転動溝２８の長手方
向中間部には、第３図及び第４図に示すように、
ボール転動溝２８の溝深さよりも若干深い溝がな
だらかな凹所（断面半円弧形状で、長さは本体２
２の長さの約1/3、スライダ２０の長さの約1/4）
３４として形成されている。またボール転動溝２
８のうち凹所３４が形成されていない各端部の長
さは、ボール５０の直径の約1.5〜2.5倍とされて
いる。なお、第３図中３６で示したのは、クラウ
ニングを施した湾曲部である。

エンドキヤツプ２４は合成樹脂から成り、本体
２２と同じ横断面形状とされ、各袖部には上記ボ
ール転動溝２８とボール戻り穴３０とを接続する
半円弧状のボール循環溝（第４図参照）４０が形
成されている。エンドキヤツプ２４はねじ４２に
よつて本体２２に固定される。

ボール転動溝１２及び２８、エンドキヤツプ２
４のボール循環溝４０そしてボール戻り穴３０内
には多数のボール５０が充填されている。

ここに示したものはミニアチユアリニアガイド
装置で、レール１０の横断面が９mm×5.5mm、長
さが55mm、スライダ２０は幅20mm高さ7.8mm、長
さ27mmというように小さなものである。

本実施例においてスライダ２０がレール１０上
を摺動するときには、ボール転動溝１２と２８と
の間にあるボール５０によつてスライダ２０に加
わる荷重が支持され、スライダ２０の摺動につれ
てボール５０は一方のエンドキヤツプ２４のボー
ル循環溝４０によりＵターンされ無負荷状態でボ
ール戻り穴３０を通つて他方のエンドキヤツプ２
４のボール循環溝４０に至り、再度Ｕターンされ
てボール転動溝１２と２８との間に入り負荷を支
承して転動する。

このミニアチユアリニアガイド装置ではボール
５０はすべて同一サイズで負荷支持用とされてい
る（所謂総ボールタイプ）ので、ボール転動溝２
８の端部にあるボール５０が負荷を支持すること
となり、モーメント負荷に対する剛性が不足する
ことはない。また、総ボールタイプでありなが
ら、ボール５０はボール転動溝２８の途中に形成
された凹所３４では負荷を支持しないので、負荷
を支承するボール数が少くされ、小さなボールを
用いたことによる剛性の高さを弱め予圧量のばら
つきに対し予圧力が急激に高くなることを防止し
ている。凹所３４は単なるにげであるから加工は
精度を要しない。このように予圧量の変化に対す
る予圧力の変化が大きくならないようにしたか
ら、製造誤差の許容度が大きくなり、また凹所３
４にあるボール５０の摺動特性が損われることも
ない。なお、負荷を支持するボール５０の絶対数
は減少するが、ミニアチユアリニアガイド装置の
ように軽負荷用リニアガイド装置では負荷荷重は
通常小さいので、負荷容量が問題となるようなこ
とはない。

なお、本考案は上記実施例以外にもその趣旨を
損ねない範囲内において適宜変更、改良が可能で
あることは勿論であり、レール１０、スライダ２
０の具体的な構成、スライダのボール転動溝２８
に形成する凹所３４の形状、深さ、長さ等は任意
に選択できる。

〔考案の効果〕

以上述べてきたように、本考案に係るリニアガ
イド装置によれば、スライダのボール転動溝の途
中にボール転動溝よりも溝深さの深い凹所を形成
して、この領域にあるボールがスライダに加わる
負荷を支持しないようにした。そのため、スライ
ダのボール転動溝の両端部にあるボールはすべて
負荷を支持するので、偏心荷重等のモーメント荷
重に強く、負荷が比較的小さいこの種のリニアガ
イド装置ではこれで十分である。また凹所の部分
だけ精密な加工が不要となつて加工の許容度が緩
和され、凹所の領域にあるボールは転動は、スム
ーズなのでスライダの摺動特性が妨げられること
はないという効果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図（一部
破断）、第２図は同じく側面図（一部破断）、第３
図はスライダのボール転動溝２８の詳細を示す断
面図、第４図は第１図における−線断面図で
ある。 主要部分の符号の説明、１０……レール、１
２，２８……ボール転動溝、２０……スライダ、
３４……凹所、５０……ボール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 長手方向に形成された複数条のボール転動溝
   を外側面に有する長尺のレールと：該レールの
   各ボール転動溝に対向するボール転動溝を内側
   面に有し、前記レールに被せるのに適した鞍形
   形状とされたスライダと：前記レールのボール
   転動溝と前記スライダのボール転動溝との間に
   介装された複数のボールと：を含むリニアガイ
   ド装置において、 前記スライダのボール転動溝の長手方向中間
   部に、所定の長さにわたつて、該ボール転動溝
   よりも溝深さが深い凹所を形成し、該凹所と前
   記レールのボール転動溝との間にあるボール
   は、前記スライダに加わる負荷を支持しないよ
   うにされていることを特徴とするリニアガイド
   装置。 ２ 前記スライダのボール転動溝の凹所は、断面
   半円弧形状で、前記スライダの全長の1/3〜1/4
   程度の長さにわたつて形成されている実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載のリニアガイド装
   置。 ３ 前記スライダのボール転動溝のうち、前記凹
   所が形成されていない両端部の長さは、前記ボ
   ールの直径の1.5〜2.5倍とされている実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載のリニアガイド装
   置。