JPS6330818Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は軌道面を形成する部材に薄肉鋼板を用
いた薄肉形無限直線運動用玉軸受に関するもの
で、該玉軸受の改良を目的とするものである。

薄肉形の無限直線運動用玉軸受としては、従来
例えば実公昭54−34093号の直線摺動ベアリング
が公知である。この種従来のものはプレス成形に
より形成した薄肉鋼板を組合せて軌道面として用
いており、事務用資料保管具の引出し部分に用い
る程度の用途に多く使われていた。しかし、情報
機器の発展にともない、小形軽量でかつ直線運動
による平行度など高い精度の軸受が望まれてきた
が、従来の軸受では運動性能の点からして最近の
要望に応ずることができない。

本考案は小形で軽量、かつ廉価な軸受を提供す
るだけでなく、一般の厚肉形に比べ、十分な剛性
と高精度を有する薄肉形無限直線運動用玉軸受を
提供することを目的とする。

本考案の薄肉形無限直線運動用玉軸受は、内側
両側面にＶ字状の軌道溝が直線運動方向に沿つて
形成された断面Ｕ字状のトラツクレールと、該軌
道溝に対向するＶ字状の軌道溝を両側に垂下した
側壁の外面に有するテーブルと、該両側に垂下し
た側壁間に介在し直線運動方向に沿つて左右に並
設された２個の逆Ｕ字状のリターン路を有し該リ
ターン路が両端において外側に転向して縦長のＸ
字状の外観を有するサーキユレータと、該サーキ
ユレータの両端に接設せられ前記リターン路と前
記相対向する軌道溝により形成される負荷路とを
連接する方向転換路をサーキユレータと共に形成
する側板と、薄板製の断面Ｕ字状で両側壁に前記
負荷路に沿う直線状の窓を有し前記テーブル、サ
ーキユレータおよび側板を組合せ内挿しこれらを
弾性力により固定する保持器と、さらに前記リタ
ーン路、方向転換路および負荷路からなる無限循
環路に充填されたボールとから構成される。

以下図面について本考案実施の１例を説明する
と、１は断面Ｕ字状のトラツクレールでその内側
両側面にＶ字状の軌道溝１ａが直線運動方向に沿
つて形成され、この溝に対応してテーブル２の両
側に垂下した側壁２ａの外面にＶ字状の軌道溝２
ｂが形成されている。トラツクレールの軌道溝１
ａとテーブルの軌道溝２ｂとの間にボール３を挿
入し、このボール群はテーブル２の側壁面のまわ
りを無限循環するようになつている。無限循環路
のうちリターン路はテーブル内側に挿入されたサ
ーキユレータ４の逆Ｕ字溝４ａによつて形成さ
れ、逆Ｕ字溝４ａの開放された個所は保持器５に
よつて密閉されている。

サーキユレータ４の直線運動方向に沿つて形成
された逆Ｕ字溝４ａの両端には、円弧路の一部と
なる断面路Ｌ字状の段部４ｂが円弧状に外方に向
かつて連続して形成されている。

サーキユレータ４は２つのリターン路が形成さ
れているため、前記段部４ｂと共に全体として左
右対称な縦長のＸ形の形状となり、２つのリター
ン路とそれに続く４つの部分的円弧路（方向転換
路）が形成されている。

サーキユレータ４の部分的円弧路と合体して１
つの円弧路を形成する様な形状を有する側板６が
サーキユレータ４の直線運動方向両端に取附けら
れ、無負荷域の無限循環路が完成する。

テーブル２と無限循環路部材サーキユレータ４
および側板６との固定は断面Ｕ字状の保持器５の
内向上縁５ａによつて行なわれる。保持器５は弾
性力を有する薄肉鋼板を塑性加工して形成し、両
側板の一部に長手方向にボール径よりわずかに小
さい窓５ｂが形成され、窓５ｂの両端には舌５ｃ
が形成されている。この舌５ｃにより負荷域にあ
るボール３を無負荷域の円弧路へ円滑に案内す
る。

サーキユレータ４とテーブル２との固定はサー
キユレータの側端形状であるコ字状切欠部４ｃに
テーブル２の垂下した側壁２ａが合致して行なわ
れるが、第２図における上下方向の位置決めは保
持器５、サーキユレータ４を貫通するビスクによ
つて行なわれる。

保持器５は無限循環路部材全体を被い、弾性力
によつてテーブル２と無限循環路部材とを固定す
る。そのため保持器５の内向上縁５ａがテーブル
２および無限循環路部材の外面に接衝している。

図示のものは、より強固に固定するために、側
板６とテーブル２をビスにより固定しているが、
使用条件により、側板６に凹部、テーブル２に凸
部を形成して側板６とテーブル２を固定し、無限
循環路部材（サーキユレータ４および側板６）と
テーブル２との固定保持器５の弾性力によつて行
なうことも可能である。

また、サーキユレータ４と側板６は射出成形や
精密鋳造などにより一体成形することも可能であ
り、一般には軽量化を目的として各部材とも樹脂
成形品とする。

以上の様に本考案の構成上の特徴は、テーブル
２とその内部に挿入された無限循環路部材４，６
とを保持器５の弾性力を利用して固定する点にあ
る。

本考案による効果は次の通りである。

(1) 薄肉形無限直線運動用玉軸受の多くは、テー
ブルの大きさが手の掌に入る程の小形のもので
あり、トラツクレールやテーブルの板厚が１〜
２mm程度であつて、ネジを用いる固定法でも充
分な固定力が得にくく、カシメなどの塑性変形
では軸受全体の変形につながつてしまう欠点が
ある。

本考案はこの様な欠点が解消でき、保持器の
弾性力によつてこの種の軸受にとつて最適な力
でテーブルと無限循環路部材を固定し、高精度
の無限循環路を形成することができる。

(2) さらに、弾性的固定方法であるため薄肉軌道
部材（トラツクレール、テーブル）の瞬間的な
変形に即応して無限循環路も好ましい変形が可
能であり、特異な使用条件にも充分な効果を発
揮することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案実施の１例を示すもので、第１図
は全体斜視図、第２図は一部切断正面図、第３図
は第２図の一部拡大図、第４図はＡ−Ａ線に沿う
一部切断平面図、第５図はテーブルの斜視図、第
６図Ａ，Ｂ，Ｃは保持器の斜視図、Ｂ−Ｂ断面
図、Ｃ−Ｃ断面図、第７図Ａ，Ｂ，Ｃは側板の側
面図、底面図、底面を上方にした斜視図、第８図
Ａ，Ｂ，Ｃはサーキユレータの一部側面図、一部
底面図、底面を上にした一部斜視図である。 図中の符号はそれぞれ下記部材を示す。１：ト
ラツクレール、２：テーブル、３：ボール、４：
サーキユレータ、５：保持器、９：側板、７：ビ
ス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内側両側面にＶ字状の軌道溝が直線運動方向に
   沿つて形成された断面Ｕ字状のトラツクレール
   と、該軌道溝に対向するＶ字状の軌道溝を両側に
   垂下した側壁の外面に形成されたテーブルと、該
   両側に垂下した側壁間に介在し直線運動方向に沿
   つて左右に並設された２個の逆Ｕ字状のリターン
   路を有し該リターン路が両端において外側に転向
   して縦長のＸ字状の外観を有するサーキユレータ
   と、該サーキユレータの両端に接設せられ前記リ
   ターン路と前記相対向する軌道溝により形成され
   る負荷路とを連接する方向転換路をサーキユレー
   タと共に形成する側板と、薄板製の断面Ｕ字状で
   両側壁に前記負荷路に沿う直線状の窓を有し前記
   テーブル、サーキユレータ及び側板を組合せ内挿
   しこれらを弾性力によつて固定する保持器と、さ
   らに前記リターン路、方向転換路および負荷路か
   らなる無限循環路に充填されたボールとからなる
   薄肉形無限直線運動用玉軸受。