JPS6325306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、いわゆる汎用空冷ガソリン機関に関
し、特に塵埃の多い場所に使用される機関の冷却
風取入装置に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

従来、この種の冷却風取入装置は、大量の冷却
風を導入するため、フアンケースからリコイルス
タータを突き出し、リコイルスタータの帽子状の
蓋部と、蓋部が突き出されたため形成される胴部
との両者から大量の冷却風が取り入れられる構造
になつている。したがつて、大量の冷却風が取り
入れられるため、当該空冷機関を、例えば牧草地
や休耕田などの雑草地で使用されるローンモアや
稲刈バインダーに搭載した場合、リコイルスター
タ内部に柔らかい草や藁くずなどの粉塵、塵埃が
侵入し、機関内を素通りせず、したがつて、リコ
イルスタータ内部に滞留し、機関を長時間運転す
れば、この堆積された藁くずなどは更に肥大化
し、その結果、リコイルスタータ内部に充満する
ようになる。したがつて、これがリコイルスター
タのロープ車にまで堆積され、機関停止後、再び
機関始動のためにロープを引張ろうとしても、そ
れが不可能となる。

一方、この種のリコイルスタータにおいて、フ
アンと一体になつて回転する多孔製の傘状防塵体
と小径の円板とを並設して内蔵し、この傘状防塵
体を冷却風取入部材内に、またこの円板をリコイ
ルスタータ側に設けるとともに、回転する傘状防
塵体の拡径端と、固定されている環状リツプ部と
を齟齬して設け、傘状防塵体で防塵するととも
に、回転する拡径端と、固定している環状リツプ
部とで、藁くずなどを切断する空冷機関の冷却風
取入装置が知られている（実開昭53−139433号公
報、実開昭55−163431号公報、実公昭55−48780
号公報の導風板、など参照）。

しかしながら、工場において機関を生産する
際、かかる傘状防塵体の拡径端と、環状リツプ部
との芯出し組付は、容易ではなく、すなわち、環
状リツプ部が冷却風取入部材と別部材で構成して
いるので、溶着する必要があり、一方、傘状防塵
体にはリコイルスタータを装着していることか
ら、これらの芯出しは容易ではない。そのため生
産性が著しく低下している。

〔問題点を解決とするための手段〕

そこで本考案は、これらの不具合を除くために
案出されたもので、簡単な工夫でもつて、信頼性
の高い冷却風取入装置を提供することを目的と
し、その要旨とするところは、フアンケースより
リコイルスタータを、冷却風取入部材をスペーサ
として介在して、突き出して設けた空冷式内燃機
関の冷却風取入装置において、フアンと一体にな
つて回転する多孔製の傘状防塵体と、前記リコイ
ルスタータの蓋部内周より若干小径の多孔製の円
板とを並設して内蔵し、この傘状防塵体を前記冷
却風取入部材内に、また、この円板を前記リコイ
ルスタータの蓋部内にそれぞれ位置せしめるとと
もに、前記傘状防塵体の拡径端に対し、ラビリン
グシールを形成するための合成樹脂製環状リツプ
部を設け、この環状リツプ部と、前記の、一体成
形した合成樹脂製冷却風取入部材とを、更に一体
成形した空冷式内燃機関の冷却風取入装置にあ
る。

〔実施例〕

本考案の構成を添付図面にしたがつて詳細に説
明する。

第１図は、本考案の実施例の断面図を示すが、
クランク軸１の軸端に固着されたフライホイル２
の外側面の外周には、フアン羽根部３が一体的に
延出されている。フライホイル２の外側面内周に
は、リコイルスタータＢを内側より支持するドラ
ム４の底面を当接した状態で、複数本のドラム支
柱パイプ５を通した固定ボルト６により、フライ
ホイル２とドラム４とを固着している。したがつ
て、ロープ車７の回転はそのままクランク軸１の
回転となるようにしている。ロープ車７の外周は
冷却風取入口を有する帽子状の蓋部１０でカバー
されている。

ドラム４の開口側外周には、小径円筒部１１を
有する傘状防塵体１２を嵌合固着している。傘状
防塵体１２は、パンチングメタルから成り、全面
に多数の細孔１３をあけており、塵埃を含んだ冷
却風のスクリーンの作用をしている。殊に、この
防塵体１２は傘状の傾斜部１２′を形成している
ので、冷却風用の細孔１３が多くあけられ、冷却
風の通過面積を大とするとともに、防塵体１２が
高速回転することと相俟つて、刈取つた藁くずな
どが遠心力によつて払い落とされるようにしてい
る。

冷却風取入部材Ａは、ポリプロピレン材で一体
成形されたもので、第１図に示すように、フアン
ケース１４にリコイルスタータＢを間隔Ｃだけ置
いて突き出して、間隙Ｃにスペーサとして介在さ
せている。その構造は、円周上に配設した複数個
の支柱部１５を囲うようにした環状フイルター素
子１６を一体的に設け、環状フイルター素子１６
はスリツトを有している。支柱部１５にはブツシ
ユ１８が一体的に埋設されている。支柱部１５の
更に内側には環状リツプ１７を環状フイルター素
子１６の一端より延出している。更に、ブツシユ
１８には締結ボルト１８′を挿入し、その先端を
フアンケース１４の開口部周縁に設けた取付台２
０に螺合している。

ここで本実施例では、傘状防塵体１２の小径円
筒部１１に、蓋部１０の内径より若干小径で、か
つパンチングメタルからなるドーナツ状円板２１
（第２図参照）を設け、帽子状の蓋部１０の外周
金網（図示せず）および冷却風取入部材Ａのスリ
ツトより侵入した藁くずなどを、殊に傘状防塵体
１２で払い落された藁くずなどを細かく切断し、
外周へ飛散させるようにしている。したがつて、
ロープ車７内には、藁くずなどが堆積することが
ないようにしている。

〔作用〕

機関運転時には、フライホイル２に設けたフア
ン羽根部３の回転で、冷却風は、リコイルスター
タＢの帽子状の蓋部１０の外周金網と冷却風取入
部材Ａのスリツトより吸引導入され、回転する多
孔製の円板２１で冷却風とともに侵入された藁く
ずなどを切断するとともに、傘状防塵体１２によ
り、切断された藁くずなどをスクリーンする。ス
クリーンされた冷却風は機関のクランクケースや
シリンダーヘツド（いずれも図示せず）の冷却フ
インに吹き付けられ、熱を奪い機関反対側へ排出
される。

ここで、当該機関を、例えば牧草地や休耕田な
どで使用されるローンモアに搭載した場合、蓋部
１０の網目や冷却風取入部材Ａのスリツトより冷
却風とともに、柔らかい草などが侵入するが、こ
れは円板２１で切断され、細かく切断されたもの
は機関反対側へ素通りして排出される。一方、切
断されない柔らかい草などが団子状になれば、冷
却風取入部材Ａの下部開口部２２より落下し、機
関外に排出される。

〔考案の効果〕 傘状防塵体で払い落とされた一部の藁くず、
雑草などがリコイルスタータ側に侵入し、リコ
イルスタータの作動に支障を与える場合がある
が、本考案によれば蓋部の内周より若干小径の
円板でもつて、これらを切断して、ロープ車へ
の侵入を防ぎ、リコイルスタータの作動を円滑
にすることができる。

形状複雑で部品点数も多い冷却風取入部材を
合成樹脂で一体成形し、更に、環状リツプ部を
も一体成形しているので、部品点数が大巾に削
減でき、しかも生産のための加工工数、殊に、
溶接工数が大巾（従来の1/5）に低減でき、部
品単価が安価にできる。

冷却風取入部材は、冷却風を取入れるため、
その取入口が開口しており、しかもリコイルス
タータの取付支持を一部担持しているので、強
度を持たせる必要があるが、冷却風取入部材と
環状リツプ部とを一体成形したので、その強度
を持たせることができる。

回転防塵体の拡径端と環状リツプ部とで形成
するラビリンスシールの空間は、狭小であつ
て、機関組付の際、細心の注意を必要とし、部
品の精度も高くなければならないが、リコイル
スタータをフアンケースへ組付の際のみ精密に
すればよいので、しかも円板が設けてあつても
邪魔にならず、その作業が簡素化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の断面図、第２図は第
１図における円板のみの側面図を示す。 Ａ……冷却風取入部材、Ｂ……リコイルスター
タ、１２……傘状防塵体、１４……フアンケー
ス、２１……円板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フアンケースよりリコイルスタータを、冷却風
   取入部材をスペーサとして介在して、突き出して
   設けた空冷式内燃機関の冷却風取入装置におい
   て、 フアンと一体になつて回転する多孔製の傘状防
   塵体と、前記リコイルスタータの蓋部内周より若
   干小径の多孔製の円板とを並設して内蔵し、この
   傘状防塵体を前記冷却風取入部材内に、また、こ
   の円板を前記リコイルスタータの蓋部内にそれぞ
   れ位置せしめるとともに、 前記傘状防塵体の拡径端に対し、ラビリングシ
   ールを形成するための合成樹脂製環状リツプ部を
   設け、この環状リツプ部と、前記の、一体成形し
   た合成樹脂製冷却風取入部材とを、更に一体成形
   した空冷式内燃機関の冷却風取入装置。