JPS6133219Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、空冷式内燃機関の冷却風取入装置に
関するもので、殊に、当該内燃機関は、小型単気
筒ガソリン機関で、塵埃の多い場所でも使用可能
な作業機用のものに関する。

従来のこの種の冷却風取入装置は、大量の冷却
風を導入するためリコイルスタータをフアンカバ
ーから突き出させて、リコイルスタータの蓋部、
および突き出したため構成された胴部の両者から
冷却風が取り入れるような構造になつている。

このうち、前記の胴部に設けた冷却風取入部材
Ａは、第１図に示すように、第２図の本考案の実
施例である第２図も借りて説明すると、空冷内燃
機関のフアンカバー１にリコイルスタータＢを突
出させて設け、その両者の間に介在させているの
である。この冷却風取入部材Ａは、フアンカバー
１にリコイルスタータＢを間隔Ｃだけ設けて突き
出させるため、スチール製のスペーサパイプ２を
複数本、フアンカバー１とリコイルスタータＢの
蓋体３のフランジ３′との間に介在させ、締結ボ
ルト４を該パイプ２に挿通してフアンカバー１と
蓋体３とを固着している。したがつて、該パイプ
２には、安全のため防護サクを設けなければなら
ず、そのため、該パイプ２には、その両端を挾持
した状態のコ字状板５をそれぞれ溶着し、これら
コ字状板５が円周状に点在しているので、これら
のコ字状板５の外周側に、複数本の鉄線材６を円
形に形成して並列させて溶着している。もち論、
該鉄線材６は隙間７を保つて並列しているので、
この隙間７より冷却風が吸引導入される。

このように、従来の冷却風取入部材Ａは、形状
複雑で部品点数も多く、その製作のための加工工
数、特に溶接工数が多くコスト高になつていた。

そこで、本考案は、従来のこれらの欠点を除く
ために案出されたもので、これを第２図および第
３図に示す実施例にしたがつて説明すれば、クラ
ンク軸８端に固着されたフライホイル９の外側面
の外周に、フアン羽根１０を一体延出し設けてい
る。フライホイル９の同内周には、リコイルスタ
ータＢを収納支持するドラム１１の底面を対面
し、複数のドラム支柱パイプ１２を介して該パイ
プ１２に挿通したドラム固定ボルト１３にて、フ
ライホイル９とドラム１１とを固定している。リ
コイルスタータＢは、ロープドラム１４のボス１
５をドラム１１の開口内に収納し、ロープドラム
１４の軸芯とクランク軸８の軸芯とを一致させた
状態で、支持片１６にて支持固定し、クランク軸
８の回転はそのままロープドラム１４の回転とな
るようにしている。

次に、このドラム１１の開口側外周には、小径
円筒部１７と大径円筒部１８とを両側に（スポツ
ト溶接にて）固着した傘状回転防塵体１９におけ
る小径円筒部１７を、嵌合し固着している。該傘
状回転防塵体１９は、全面に多数の細孔２０を穿
孔しており、塵埃特にわらくずなどを含んだ冷却
風のスクリーンの作用をする。また、該回転防塵
体１９には、小径円筒部１７と大径円筒部１８と
の間にパンチングメタルからなる傾斜部１９′が
あり、この傾斜部１９′によつて冷却風用の細孔
２０が多くとれるので、通過面積を大とするとと
もに、該回転防塵体１９が高速回転していること
と相まつて、わらくずなどの遠心力による払い落
し作用もしている。

殊に、本考案の冷却風取入部材Ａは、第３図に
示すように、従来例のコ字状板や鉄線材などを、
ポリプロピレン材で一体成形したもので、しか
も、前記ドラム１１の大径円筒部１８の周端を空
間２３を介して、嵌合する環状リツプ部２１をも
一体成形している。すなわち、大径円筒部１７の
周端内でソゴして環状リツプ部２１が挿入されて
いる。したがつて、この空間２３がラビリンスシ
ールの役目をし、回転するドラム１１と静止する
フアンカバー１の一部となつた環状リツプ部２１
との間でシール作用を果し、この空間２３より塵
埃が侵入するのを防いでいる。

このような構成になつているので、機関運転時
には、フライホイル９に設けたフアン羽根１０の
回転で、機関冷却風は、リコイルスタータＢの蓋
体３に設けた網目（図示せず）と冷却風取入部材
ａの隙間７より吸引導入され、回転する傘状回転
防塵体１９でもつて、冷却風中の塵埃をスクリー
ンし、塵埃のない冷却風を機関のクランクケース
やシリンダヘツド（いずれも図示せ）の冷却フイ
ンに吹付け、熱をうばい機関反対側へ排出する。

なお、第３図を更に説明すれば、これは冷却風
取入部材Ａの単体で、その一部は断面で示されて
いるが、従来例のコ字状板５やスペーサパイプ２
のかわりに複数個の支柱部５′を、環状フイルタ
素子６の内側に吊設した状態で配置し、該支柱部
５の更に内側に環状リツプ部２１を配置し、これ
らを一体成形している。支柱部５′にはそれぞれ
ブツシユ２２を圧入して、このブツシユ２２に締
結ボルト４を挿入し、ボルト締めによつて変形し
ないようにしている。

以上要するに本考案の構成は、フアンケース１
よりリコイルスタータＢを突き出して設け、該フ
アンケース１とリコイルスタータＢとの間に冷却
風取入部材Ａをスペーサとして介在させた空冷式
内燃機関の冷却風取入装置において、フアン前面
に設けられ、フアンと一体となつて回転する回転
防塵体１９の端縁に対しラビリンスシールを形成
する環状リツプ部２１を設け、該環状リツプ部２
１と前記一体成形した冷却風取入部材Ａとを更に
一体成形した空冷式内燃機関の冷却風取入装置で
あるから次の効果を奏する。

形状複雑で部品点数も多い冷却風取入部材Ａ
を一体成形し、更に、環状リツプ部２１とも一
体成形しているので、部品点数が大巾に低減で
き、しかも製作のための加工工数、殊に、溶接
工数が大巾（従来の1/5）に低減でき、部品品
単価が安価にできる。

冷却風取入部材Ａは、冷却風を取入れるた
め、その取入口が開口しており、しかもリコイ
ルスタータＢの取付支持を一部担持しているの
で、強度を持たせる必要があるが、冷却風取入
部材Ａと環状のリツプ部２１とを一体成形した
ので、補強の必要性が満される。

回転防塵体の端縁と環状リツプ部とで形成す
るラビリンスシール用空間は、狭小であつて、
機関組付の際、細心の注意を必要とし、部品の
精度も高くなけれならないが、リコイルスター
タをフアンカバーへ組付の際のみ精密にすれば
よいので、その作業が簡素化できる。

なお、本考案は、防塵、防土、防草、防芝な
どに適するので、自走自脱機、土入機、芝刈機
などの作業機用内燃機関に有益な考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の一部断面側面図、第２図は本
考案実施例の断面図、第３図は第２図の要部図を
示す。 １……フアンケース、１８……大径円筒部、１
９……傘状回転防塵体、２１……環状リツプ部、
Ａ……冷却風取入部材、Ｂ……リコイルスター
タ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フアンケースよりリコイルスタータを突き出し
   て設け、該フアンケースとリコイルスタータとの
   間に冷却風取入部材をスペーサとして介在させた
   空冷式内燃機関の冷却風取入装置において、フア
   ン前面に設けられ、フアンと一体となつて回転す
   る回転防塵体の端縁に対し、ラビリンスシールを
   形成する環状リツプ部を設け、該環状リツプ部
   と、前記の一体成形した冷却風取入部材とを、更
   に一体成形した空冷式内燃機関の冷却風取入装
   置。