JPS6312005B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車用空気調和装置に関し、特に、
二つの吹出口例えば運転席側及び助手席側の吹出
口からの空気を個々に温度調節可能となした自動
車用空気調和装置に関する。

従来の自動車用空気調和装置は第１図に示す如
く、送風機１からの空気を蒸発器２で冷却し、一
部を加熱器３で再熱し、残部をバイパス通路４を
通した後、混合室５で混合し、車室内の各吹出口
へのダクト６，７に送り出すよう構成されてい
る。かかる構成では車室内の左右（運転席側及び
助手席側）の吹出口へ、混合室５から同一温度の
空気が供給されており、左右の吹出口からの空気
温度を個々に制御することはできなかつた。従つ
て、乗員が多数の場合、どうしても要求温度は平
均化されてしまい、個人にとつてはそれぞれもつ
とも快適な温度が選択できないという不自由があ
つた。

本発明はかかる従来技術の欠点を是正せんとす
るもので、簡単な構造で、左右の吹出口からの空
気温度を個々に制御しうる自動車用空気調和装置
を提供することを目的とする。

本発明になる自動車空気調和装置は空気加熱器
と、該空気加熱器をバイパスして空気を通過させ
るバイパス通路と、前記空気加熱器とバイパス通
路とを流れる空気の割合を調整する温度制御ダン
パと、前気空気加熱器及びバイパス通路を通つた
空気を混合させる混合室と、該混合室に連通した
少くとも二つの空気吹出口とを設けたケーシング
と、前記ケーシングに空気を供給する送風機とを
有する自動車用空気調和装置において、前記ケー
シング内に、空気の流れの方向に沿つて仕切板を
設けて前記通路及び混合室を二つに分割し、一方
の混合室には少くとも一つの空気吹出口を、他方
の混合室には他の空気吹出口を連通させ、更に前
記温度制御ダンパを、二つに分割された通路に対
応させて二つに分割し、かつ個々に独立して操作
可能なように構成したことを特徴とする。

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に
説明する。

第２図、第３図に示す自動車用空気調和装置は
送風機１０と空気調和装置本体３０を含んでい
る。送風機１０は樹脂製送風機ケース１１、その
内部に配置され、左右対称の軸をもつたモータ１
２、その軸に装着された同一サイズのフアン１３
ａ，１３ｂを有している。ケース１１の両端部に
はそれぞれ外気吸込口１５ａ，１５ｂ及び内気吸
込口１６ａ，１６ｂが形成されており、更に、内
外気切替えダンパ１７ａ，１７ｂが設けられてい
る。ケース１１には更に送風機吹出口１８ａ，１
８ｂが形成されている。送風機１０は空気調和装
置本体３０とは別体として作られており、本体３
０に取外し可能に連結されている。

空気調和装置本体３０は一体構造のケーシング
３１を有し、該ケーシング内には送風機１０の吹
出口１８ａ，１８ｂに連通する空気導入通路３
２、その全断面にわたつて配置された蒸発器３
３、その下流に空気通路の全幅にわたつて配置さ
れた空気加熱器３４、空気加熱器３４をバイパス
して空気を通過させるバイパス通路３５、空気加
熱器３４とバイパス通路３５との空気通過割合を
調節する温度制御ダンパ３６、空気加熱器３４と
バイパス通路３５を通つた空気を混合させる混合
室３７等が設けられている。空気導入通路３２の
入口部には、吹出口１８ａ，１８ｂからの空気を
蒸発器３３の全面に案内するよう、案内壁３８
ａ，３８ｂがケーシング３１と一体に形成されて
いる。

第２図に明瞭に示すように、ケーシング３１内
には、蒸発器３３の下流の空気の通路を左右に分
割するよう仕切板３９が配置されている。即ち、
仕切板３９は、蒸発器３３と加熱器３４の間の通
路４０を、左右の通路４０ａ，４０ｂに、バイパ
ス通路３５を左右のバイパス通路３５ａ，３５ｂ
に、更に混合室３７も左右の混合室３７ａ，３７
ｂに分割するように配置されている。また、仕切
板３９の挿入に伴い、温度制御ダンパ３６も左右
二つの温度制御ダンパ３６ａ，３６ｂに分割さ
れ、かつ個々に独立して操作可能となつている。

左右に分割された混合室３７ａ，３７ｂにはそ
れぞれ複数の空気吹出口が形成されている。即
ち、ケーシング３１内の空気の流れの正方向正面
には主吹出口であるセンタ吹出口４１ａ，４１ｂ
が、上方には、デフロスタ吹出口４２ａ，４２ｂ
が、両サイド方向には、車両の両側のサイド吹出
口へ連通する吹出口４３ａ，４３ｂ及び乗員の足
元の吹出口へ連通する吹出口４４ａ，４４ｂが形
成されている。また、混合室３７ａ，３７ｂ内に
は吹出口４３ａ，４３ｂへ適量の空気を送り込む
為に、ケーシング３１の両側よりガイド板４５
ａ，４５ｂが設けられている。

センタ吹出口４１ａ，４１ｂにはそれぞれ第３
図に示すように、開閉可能なダンパを持つグリル
４６が設けられている。デフロスタ吹出口４２
ａ，４２ｂにもそれぞれダンパ４７ａ，４７ｂが
設けられ、かつデフロスタノズル４８が取付けら
れている。乗員足元への吹出口４４ａ，４４ｂは
第３図に示すように混合室３７のやゝ下方の側面
に配置され、その出口にダンパ４９ａ，４９ｂが
設けられるとともに、第２図に示す如くダクト５
０ａ，５０ｂが連結されている。車両の両側のサ
イド吹出口へ至る吹出口４３ａ，４３ｂは混合室
３７のやゝ上方の側面に配置されている。サイド
吹出口（図示せず）にはダンパを有するグリルが
設けられている。なお、ケーシング３１内には、
内部の風の流れを良好に案内する案内壁５１，５
２，５３が設けられている。

第４図は第２図、第３図に示す空気調和装置に
組み合わされて用いられる空気制御指示パネル６
０を示している。この空気制御指示パネル６０
は、左右両系統において個々に空気吹出モードを
制御しうるよう、左右の吹出モード切替えレバー
６１ａ，６１ｂを有している。切替レバー６１
ａ，６１ｂは図示しないリンク機構等を介して、
ダンパ４７ａ，４７ｂ及び４９ａ，４９ｂに連結
され、デフロスタ吹出口４２ａ，４２ｂ及び乗員
足元への吹出口４４ａ，４４ｂを開閉する。な
お、センタ吹出口４１ａ，４１ｂ及びサイド吹出
口（図示けず）はグリル側に設けられているダン
パを個々に手動調節することにより開閉される。

空気制御指示パネル６０には更に、左右の温度
制御レバー６２ａ，６２ｂが設けられている。こ
の温度制御レバー６２ａ，６２ｂはそれぞれ左右
の温度制御ダンパ３６ａ，３６ｂに連結されてお
り、従つて、温度制御ダンパ３６ａ，３６ｂを個
個に動かすことが可能である。なお、第４図中、
６３は内外気切替えレバーであり、送風機１０に
取付けられている左右の内外気切替えダンパ１７
ａ，１７ｂを同時に切替えるよう連結されてい
る。また６４は送風機１０の制御レバーである。

次に、上記装置の作動を説明する。送風機１０
の右側の吸込口１５ａ又は１６ａより吸込まれた
空気は、まず蒸発器３３の右半分へ送られここで
除湿冷却され、次に仕切板３９により分離された
空気調和装置の内部、右半分を通り、右側の温度
制御ダンパ３６ａにより切替えられ、一方はバイ
パス通路３５へ、残りは加熱器３４へ分配され
る。加熱器３４へ分配された空気はここで加熱さ
れ温風Ａとなり、この温風Ａは混合室３７ａにお
いてバイパス通路を通過してきた冷風Ｂと合流し
所定の温度に調整される。この温度調整は、温度
制御ダンパ３６ａの開度により低温から高温まで
連続的に自由に変えることができる。従つて、乗
員は温度制御レバー６２ａを操作して温度制御ダ
ンパ３６ａの開度を変え、自分に適したもつとも
快適な温度を得ることができる。混合室３７ａに
て混合された空気Ｃは乗員によりモード切替えレ
バー６１ａにより選択された所定の吹出口へ送ら
れ室内へ吹出す。

一方、空気調和装置の左側においても、以上に
述べた右側と同じ様な作動が行われる。従つて、
乗員は左右独立して温度制御を行うことができ、
かつ吹出しモードも個々に調節可能である。

上記実施例では送風機として、左右対称の軸を
もつたモータ及びその軸に装着された一対のフア
ン１３ａ，１３ｂを具備するものを用いている
が、本発明はこのような送風機に限定されるもの
ではない。第５図は上記とは異る送風機７０を用
いた実施例を示すものであり、本実施例では単一
のフアン７１、単一の外気吸込口７２、単一の内
気吸込口７３、単一の内外気切替えダンパ７４を
有する送風機が用いられている。送風機７０の吐
出口７５は空気調和装置本体３０′の空気導入通
路３２′に連結され、空気導入通路３２′内には、
内部の空気流を左右に分割して蒸発器３３に送る
ためのガイド板７６が設けられている。空気調和
装置本体３０′の他の部分の構造は、第２図、第
３図に示したものと同一である。本実施例におい
ても、左右別個に温度調節ができるという効果を
有している。なお、第２図、第３図に示す実施例
では、両軸モータを使用することによりフアンが
２ケ使用可能であり、吹出風量を増大でき、かつ
両軸であるがゆえ、左右別々に風を導くことが可
能である等の付随的効果を有している。

また、上記実施例では空気冷却用の蒸発器３３
を用いているが、本発明は蒸発器をもたない暖房
機能のみの空気調和装置にも適用可能である。更
に、上記実施例では、第２図に示す如く、仕切板
３９を空気調和装置の中心に配置し、かつ複数の
吹出口を左右対称の位置に配置しているが、仕切
板の取付位置及び吹出口の取付位置も適宜変更可
能である。

更に、上記実施例では、左右の吹出しモード切
替えレバー６１ａ，６１ｂを設けているが、これ
に限定されず、単一の吹出しモード切替えレバー
を用いて左右の両通路での吹出しモードを同時に
調整してもよい。

以上説明した如く、本発明によれば、空気加熱
器、バイパス通路及び混合室を有するケーシング
内に、仕切板を設けて前記通路及び混合室をそれ
ぞれ二つに分割し、一方の混合室には少くとも一
つの空気吹出口を、他方の混合室には他の空気吹
出口を連通させ、しかも二つに分割された通路に
それぞれ、個々に独立して操作可能な温度制御ダ
ンパを設けたものであるので、二つに分割された
混合室への空気温度を個々に制御でき、従つて、
少くとも二つの空気吹出口からの吹出空気温度を
個々に制御でき、乗員にとつて、従来のものより
も更に自分に適した快適な温度制御が出来るとい
う利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車用空気調和装置の概略
図、第２図は本発明の一実施例である自動車用空
気調和装置の概略図、第３図は第２図に示す実施
例の側断面図、第４図は第２図の実施例に用いる
空気制御指示パネルの正面図、第５図は第２図と
は異なる他の実施例を示す概略図である。 １０……送風機、３０……空気調和装置本体、
３１……ケーシング、３２……空気導入通路、３
３……蒸発器、３４……空気加熱器、３５……バ
イパス通路、３６ａ，３６ｂ……温度制御ダン
パ、３７……混合室、３９……仕切板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 空気加熱器と、該空気加熱器をバイパスして
   空気を通過させるバイパス通路と、前記空気加熱
   器とバイパス通路とを流れる空気の割合を調整す
   る温度制御ダンパと、前記空気加熱器及びバイパ
   ス通路を通つた空気を混合させる混合室と、該混
   合室に連通した少くとも二つの空気吹出口とを設
   けたケーシングと、前記ケーシングに空気を供給
   する送風機とを有する自動車用空気調和装置にお
   いて、 前記ケーシング内に、空気の流れの方向に沿つ
   て仕切板を設けて前記通路及び混合室を二つに分
   割し、一方の混合室には少くとも一つの空気吹出
   口を、他方の混合室には他の空気吹出口を連通さ
   せ、更に前記温度制御ダンパを、二つに分割され
   た通路に対応させて二つに分割し、かつ個々に独
   立して操作可能なように構成したことを特徴とす
   る自動車用空気調和装置。