JPS6258230B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電力線設備の低圧電路の対地絶縁抵抗
値を検出して該対地絶縁抵抗値又は該対地絶縁抵
抗値に基いて段階的に設定した絶縁監視信号、例
えば正常信号、注意信号、警戒信号等を電力線監
視装置に伝送するための信号伝送方式に関する。

電力線設備の低圧電路の対地絶縁抵抗値を検出
する検出器としては、例えば第１図の記号８で示
す交流重畳式絶縁検出器が公知である。すなわ
ち、発振器８１で交流信号を生成して該交流信号
をアンプ８２で増幅した後、変成器（所謂CT）
６を介して絶縁監視すべきバンク（低圧電路）の
接地線５に当該交流信号を注入し、一方、上記接
地線５に注入した交流信号によつて上記接地線５
に流れる交流電流を変成器７によつて検出してア
ンプ８３で増幅後、同期整流回路８４に於いて発
振器８１からの交流信号の位相に同期させて同期
整流し、これによつて得られた信号をレベル検出
回路８５でレベル検出して対地絶縁抵抗値を得て
いる。

この交流重畳式絶縁検出器８では同期整流を行
つていることにより注入された交流信号が接地線
５及び対地総浮遊容量（以下、浮遊容量とい
う。）３、対地総絶縁抵抗（以下、絶縁抵抗とい
う。）４を経て大地に流れる成分のうち絶縁抵抗
４を経る電流成分のみを検出することができ（浮
遊容量３を流れる電流成分は位相が注入交流信号
と異なるため同期整流して得た信号には含まれな
い。）、浮遊容量に影響されない絶縁抵抗の検出が
可能である。

以上に説明した交流重畳式絶縁検出器８を使用
して電力線設備の対地絶縁抵抗値データ又は絶縁
監視信号を電力線監視装置９に伝送する場合、従
来は第１図に示すように絶縁検出器８と電力線監
視装置９との間にデータの伝送線１０を敷設して
いるが、特に電力線設備の接地個所と電力線監視
装置９とが離れて存在する場合、対地絶縁抵抗を
監視すべきバンクが多数ある場合等では伝送線１
０の敷設は容易でなく、また設置コストも高くな
る。

本発明は以上の従来の問題点を解消すべく、電
力線監視システム独自のデータ伝送線を必要とし
ない絶縁状態信号伝送方式を得ることを目的とす
る。

この目的のため本発明では交流重畳式絶縁検出
器から接地線に注入する交流信号を伝送すべき情
報、すなわち対地絶縁抵抗値データ、絶縁監視信
号等で変調することにより当該交流信号自体を情
報伝送担体とするようにし、電力線設備の接地側
電力線をデータ伝送線とするようにした。

以下、第２図により本発明の実施例を説明す
る。

第２図に於いて、１は電力線設備の受電トラン
ス、２は低圧電路、３は低圧電路２の対地総浮遊
容量を表わしたもの（以下、浮遊容量といい
う。）、４は低圧電路２の対地総絶縁抵抗を表わし
たもの（以下、絶縁抵抗という。）、５は低圧電路
２の接地線、６及び７は変成器（所謂CT）、８は
交流重畳式の絶縁検出器、９は電力線監視装置
（受信機能部分のみを示したもの）である。

また、絶縁検出器８に於いて、８１は接地線５
に注入する交流信号を生成するための変調可能な
発振器、８２及び８３はアンプ、８４は発振器８
１で生成した交流信号の位相に同期して変成器７
で検出した信号を整流する同期整流回路、８５は
同期整流回路８４からの信号のレベルを検出する
レベル検出回路であり、電力線監視装置９に於い
て、９１はインピーダンス整合等を行なう入力回
路、９２はアンプ、９３は絶縁検出器８から注入
された交流信号を復調する復調回路である。

本発明の実施例の構成で、従来の構成（第１図
に示すもの）と異なる所は次の２点である。すな
わち、第１に絶縁検出器８の発振器８１は変調可
能な発振器であり、レベル検出回路８５の出力信
号が当該発振器８１に入力されていること及び第
２に電力線監視装置９の入力線が絶縁抵抗４を検
出すべき低圧電路２と同一のバンクの接地側電力
線２ａに接続されていることである。

発振器８１で生成された交流信号はアンプ８２
で増幅されたのち変成器６を介して接地線５に注
入される。これにより接地線５には低圧電路２が
有する浮遊容量３と絶縁抵抗４の合成インピーダ
ンスに比例した交流電流が流れる。この交流電流
は変成器７によつて検出され、アンプ８３によつ
て増幅されたのち同期整流回路８４で発振器８１
によつて生成された交流信号の位相と同期して整
流される。上記絶縁抵抗４に流れる電流の位相は
上記交流信号の位相と同相であり、又上記浮遊容
量３に流れる電流の位相は上記交流信号の位相よ
り遅れていて同相でないので、上記同期整流によ
つて得られる信号は接地線５に流れる交流電流の
うち上記絶縁抵抗４に流れる成分のみを表わすも
のとなる。すなわち、同期整流回路８４の出力信
号レベルは電力線（低圧電路）２の絶縁抵抗４に
比例している。

尚、低圧電路２の非接地側電力線２ｂ，２ｃの
アンバランスによつて接地線５には受電した電力
による不平衡電流も流れるが、この不平衡電流は
アンプ８３が具備するフイルタ機能によつてその
大部分が除かれ、残留した成分も発振器８１で生
成した交流信号と同相でないことにより、上記同
期整流によつて得られた信号からは排除されてい
る。

同期整流回路８４からの出力信号はレベル検出
回路８５に入力されそのレベルが検出される。レ
ベル検出回路８５の構成は電力線監視装置９で必
要とする情報の形態によつて異なる。すなわち、
電力線監視装置９で低圧電路２の対地絶縁抵抗値
データを必要とするときは、当該レベル検出回路
８５は同期整流回路８４の出力信号に比例したレ
ベルの信号を出力するように構成され、電力線監
視装置９で低圧電路２の絶縁監視信号（対地絶縁
抵抗値が設定レベルに達したことを示す信号）を
必要とするときは、当該レベル検出回路はレベル
比較回路等が設けられて同期整流回路８４の出力
信号が複数設けられた設定レベル（例えば対地絶
縁抵抗値の注意状態、警報状態等に対して設定さ
れる。）に達する毎に段階的に変化する信号を出
力するように構成される。

レベル検出回路８５から出力された信号は発振
器８１に入力され、発振器８１で生成される交流
信号は当該信号によつて変調される。ここでの変
調方式はAM変調、FM変調等いずれを採用して
もよい。また、絶縁監視信号を必要とする場合に
於いて、絶縁監視信号の種別毎に異つた値だけ交
流信号の周波数をシフトさせることでもよく、こ
の周波数をシフトさせることも当該変調方式の一
種である。

レベル検出回路８５からの出力信号は云うまで
もなく電力線監視装置９に伝送すべき信号であ
り、これによつて変調された発振器８１からの交
流信号は対地絶縁抵抗測定用の信号と伝送すべき
信号の双方を含んだ信号となる。すなわち、発振
器８１からの交流信号は、「発振器８１→アンプ
８２→変成器６→接地線５→変成器７→アンプ８
３→同期整流回路８４→レベル検出回路８５→発
振器８１」のループで制御され、周知のように変
調方式がAM変調方式のときは上記交流信号のレ
ベルが絶縁抵抗４に対応したレベルに収束し、ま
た変調方式がFM変調方式のときは上記交流信号
の周波数が絶縁抵抗４に対応した周波数に収束す
る。このようにして、低圧電路２の接地側電力線
２ａ（但し、交流信号の注入接地線５が属するバ
ンクと同一のバンクのもの）には上記伝送すべき
信号が送出されていることとなり、当該交流信号
は伝送すべきデータ又は情報の伝送担体であり、
また当該接地側電力線２ａは伝送すべきデータ又
は情報の伝送媒体である。

電力線監視装置９の入力は上記接地側電力線２
ａに接続されており、絶縁検出器８の発振器８１
から出力された被変調交流信号は当該接地側電力
線２ａを介して電力線監視装置９に入力され、入
力回路９１を経てアンプ９２で増幅され、復調回
路９３で復調される。復調回路９３の復調方式は
絶縁検出器８の交流信号変調方式に合致した方式
が採られる。例えば後者がAM変調方式であれば
前者はAM復調方式が採られる。

以上のようにして復調回路９３で上記被変調交
流信号を復調して得られた信号は前記対地絶縁抵
抗値データ又は前記絶縁監視信号であり、この信
号は電力線監視装置９内で適宜に加工処理され、
例えば対地絶縁抵抗値データのプリントアウト、
警報の発生等の処置がなされる。

以上に説明した様に、本発明では絶縁検出器か
ら接地線に注入する交流信号に伝送すべき情報が
含まれているから、絶縁検出を行なおうとするバ
ンクの接地側電力線に当該情報の受信側である電
力線監視装置の入力を接続するだけで対地絶縁情
報が伝送できるため絶縁検出器と電力線監視装置
との間にデータの伝送線を敷設する必要がなく、
本発明の効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示すブロツク図、第２図は本
発明の実施例を示すブロツク図である。 主な記号、２…低圧電路、５…接地線、８…絶
縁検出器、９…電力線監視装置、８１…発振器、
８４…同期整流回路、８５…レベル検出回路、９
３…復調回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 交流信号を電力線の接地線に注入し、該接地
   線に注入した交流信号により当該接地線に流れる
   交流電流を同期整流して得られた信号に基いて上
   記電力線の対地絶縁状態を示す絶縁状態信号を生
   成し、この絶縁状態信号を電力線監視装置に伝送
   するようにした絶縁状態信号伝送方式に於いて、
   上記交流信号を上記絶縁状態信号で変調して上記
   接地線に注入するようにし、電力線監視装置には
   上記接地線から上記絶縁状態信号で変調された交
   流信号を入力することにより上記絶縁状態信号を
   上記電力線監視装置に伝送するようにした絶縁状
   態信号伝送方式。 ２ 絶縁状態信号が対地絶縁抵抗値を示す信号で
   ある特許請求の範囲第１項に記載の絶縁状態信号
   伝送方式。 ３ 絶縁状態信号が対地絶縁抵抗値に基いて段階
   的に設定された絶縁監視信号である特許請求の範
   囲第１項に記載の絶縁状態信号伝送方式。