JPS6245012Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案は流体を用いて緯糸を一時的に貯留す
るようにした無杼織機の緯糸貯留装置に関するも
のである。

従来技術 機台の側方に設けられた緯糸供給部から引き出
した緯糸を、貯留用流体噴射装置から噴射する流
体に乗せてほぼＵ字状に一時的に貯留した後、経
糸開口内に緯入れする方法は従来から一般に知ら
れている。例えば、第１図に示すジエツトルーム
の場合には、緯糸供給部（図示しない）から引き
出された緯糸Ｗは貯留用流体噴射装置１を通り、
同流体噴射装置１から噴射される流体によつて貯
留板２上の貯留部に繰り出されるとともに固定の
ガイド３を通つて引き出されるために、ほぼＵ字
状に貯留される。貯留された緯糸Ｗは接離動作を
行なつて緯糸Ｗの挾持、開放を繰り返すグリツパ
４を通り、緯入れノズル５によつて緯入れされ
る。

このような従来装置においては、運転中、緯入
れが開始されると緯入れ用メインノズルから噴射
される流体の推進力を受けて、貯留中の緯糸が引
き出されることになるが、貯留中の緯糸は流体に
よつて緯糸の引き出し方向と反対方向の推力を受
けて貯留されているために、大きな引き出し抵抗
を受け、緯入れ開始初期の立ち上がり性能が悪い
という欠点を有するものであつた。また、この立
ち上がり時間の遅れにより緯入れ時間が長く必要
になるなど、織機のより高速化及び広幅化指向の
障害となるものである。

目 的 この考案は従来装置における前記欠点を解消す
るためになされたものであつて、その目的は緯糸
貯留部において緯入れ時に緯糸の引き出し抵抗を
減少し、緯入れ開始時の立ち上がり時間を短縮す
ることができる無杼織機における緯糸貯留装置を
提供することにある。

実施例 以下この考案を具体化した一実施例を第２図に
従つて説明する。機台フレーム（図示しない）に
固定される支持板１０の上面には箱状（第２図は
上壁を取り外した状態を示す）に形成された緯糸
貯留部１１が設けられている。前記支持板１０の
一端上面には緯糸貯留用流体噴射装置１２が配設
され、そのノズル１３が前記緯糸貯留部１１の幅
方向に延びる一方の側壁１４ａを、緯糸引き出し
側（第２図の右側）の側壁１５ａと対向する側壁
１５ｂ寄りにおいて貫通している。前記支持板１
０の他端上面には前記緯糸貯留用流体噴射装置１
２から噴射される流体の流れと逆方向への流体を
噴射する流体噴射装置１６が配設され、そのノズ
ル１７が幅方向に延びる他方の側壁１４ｂを緯糸
引き出し側の側壁１５ａ寄りにおいて貫通してい
る。前記両流体噴射装置１２，１６は圧力流体源
（図示しない）にそれぞれ連結され、ノズル１３
は圧力流体を常時噴射し、ノズル１７は圧力流体
を常時噴射してもよいが、例えば、緯入れ開始前
から必要な所定時間のみ噴射するように噴射タイ
ミングの調整可能に構成してもよい。

前記幅方向に延びる両側壁１４ａ，１４ｂに
は、前記両ノズル１３，１７の噴射口と対向する
位置において両ノズル１３，１７から噴射された
流体を排出するための排出口１８，１９がそれぞ
れ形成されている。又、緯糸引き出し側の側壁１
５ａには緯糸Ｗを緯糸貯留部１１から引き出すた
めの固定ガイド２０が設けられている。

前記のように構成された緯糸貯留装置につい
て、次にその作用を説明する。さて、緯糸供給部
（図示しない）から繰り出された緯糸Ｗは糸導孔
１２ａから緯糸貯留用流体噴射装置１２に挿通さ
れてノズル１３から噴射される流体により緯糸貯
留部１１に連続的に繰り出され、固定ガイド２０
を通つて引き出され、緯入れタイミングに同期し
て開放、挾持を繰り返すグリツパ２１を通り、緯
入れノズル（図示しない）によつて緯入れされ
る。機台運転中、一回の緯入れが完了すると、グ
リツパ２１が緯糸Ｗを挾持するので、ノズル１３
から緯糸貯留部１１に繰り出された緯糸Ｗは固定
ガイド２０とノズル１３先端との間でＵ字状に順
次貯留されていく。

この間、繰り出し側緯糸Ｗ１は緯糸貯留用噴射
装置１２のノズル１３から噴射される流体によつ
て張力を受け緊張状態に保持されながらＵ字状に
貯留されていく。

所定量の緯糸Ｗの貯留が終了すると、グリツパ
２１が緯糸Ｗを開放し緯入れノズルにより緯入れ
が行なわれるが、前記流体噴射装置１６のノズル
１７から噴射される流体が引き出し側緯糸Ｗ２を
送り出すように作用するので、緯糸はＷ２側にお
いて引き出し方向の推進力を受け、ノズル１３か
ら噴射される流体によつて受ける抵抗を相殺する
ことになる。従つて、緯入れ開始時における立ち
上がり性能を向上することができる。

別の実施例 次にこの考案の別の実施例を第３図に従つて説
明する。この実施例においては緯糸貯留用流体噴
射装置１２及び流体噴射装置１６から噴射された
流体が互いに干渉するのを防止するための分離板
２２が、緯糸貯留部１１の中央長手方向に沿つて
設けられている点が前記実施例と異なつている。
従つてこの実施例においては前記両流体噴射装置
１２，２０から噴射される流体が互いに干渉し合
うことがなく、緯糸貯留部１１内で乱流が発生せ
ず、前記実施例の作用が確実に行なわれる。

なおこの考案は前記各実施例に限定されるもの
ではなく、例えば、第４図に示すように緯糸貯留
部１１を箱状に形成することなく長手方向に延び
る側壁１５ａ，１５ｂのみを設けるとともに、両
ノズル１３，１７から噴射される流体を外側へ偏
向させるための湾曲部を有する誘導部材２３を両
ノズル１３，１７の先端外側に設けて噴射流体相
互の干渉を防止するようにしたり、第５図に示す
ように側壁を設けずに支持板１０の中央に分離板
２２を設けるようにしたり、上下両壁面のみを設
けるように構成するなど、この考案の趣旨を逸脱
しない範囲において各部の形状、構成等を任意に
変更することも可能である。

効 果 以上詳述したように、この考案は緯糸供給部か
ら繰り出される緯糸を流体によつて一時的にＵ字
状に貯留する緯糸貯留部と同緯糸貯留部から緯入
れ機構に至る間に配置されて緯糸を間欠的に挟持
するグリツパとを備えた無杼織機において、前記
緯糸貯留部の一端側には緯糸貯留用流体噴射装置
を設けるとともに、他端側には緯入れ時の引出し
側緯糸に対して、前記緯糸貯留用流体装置から噴
射される流体の流れと逆方向への流体を噴射する
流体噴射装置を設けたことにより、緯入れ時にお
ける緯糸の引き出し抵抗を減少し、特に緯入れ開
始時の立ち上がり性能を向上することができるの
で、安定した緯入れを行なうことができるという
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置を示す概略平面図、第２図は
この考案を具体化した緯糸貯留装置の一部省略斜
視図、第３図は別の実施例を示す一部省略斜視
図、第４，５図は変更例を示す一部破断平面図で
ある。 １０……支持板、１１……緯糸貯留部、１２…
…緯糸貯留用流体噴射装置、１６……流体噴射装
置、１８，１９……排出口、２２……分離板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 緯糸供給部から繰り出される緯糸を流体によ
   つて一時的にＵ字状に貯留する緯糸貯留部と同
   緯糸貯留部から緯入れ機構に至る間に配置され
   て緯糸を間欠的に挟持するグリツパとを備えた
   無杼織機において、前記緯糸貯留部の一端側に
   は緯糸貯留用流体噴射装置を設けるとともに、
   他端側には緯入れ時の引出し側緯糸に対して、
   前記緯糸貯留用流体装置から噴射される流体の
   流れと逆方向への流体を噴射する流体噴射装置
   を設けたことを特徴とする緯糸貯留装置。 ２ 前記緯糸貯留部には前記緯糸貯留用流体噴射
   装置及び流体噴射装置から噴射された流体が互
   いに干渉するのを防止する分離部材が設けられ
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項に記載の緯糸貯留装置。 ３ 前記緯糸貯留部は箱状に形成されるととも
   に、前記両流体噴射装置の噴射口と対向する壁
   面には排出口が形成されていることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項に
   記載の緯糸貯留装置。