JPS6244488Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は半固定式可変抵抗器、ロータリースイ
ツチなどの回転操作式電気部品に関する。

第１Ａ図は従来の半固定式可変抵抗器の絶縁基
板の正面図、第１Ｂ図は半固定式可変抵抗器の全
体構造を示す縦断面図である。

この絶縁基板１はフエノール樹脂積層板などに
よつて成形したものである。絶縁基板１の中央部
には軸穴１ａが形成されており、また、絶縁基板
１の表面には軸穴１ａと同心の半円形状に形成さ
れた抵抗体２が着装されている。この抵抗体２は
カーボンなどを用いて印刷し、着装したものであ
る。抵抗体２の両端部には電極３ａ，３ｂが設け
られている。この電極３ａ，３ｂは銀を印刷する
か、あるいは蒸着することによつて成形したもの
である。電極３ａ，３ｂの端部には端子４が固定
されている。この端子４は絶縁基板１に形成され
た取付穴に、はと目４ａをかしめ成形することに
よつて固定されているものである。また、絶縁基
板１の電極３ａ，３ｂの中間位置には、軸穴１ａ
内に連続する切欠き１ｂが形成されている。この
切欠き１ｂは、電極３ａ，３ｂを着装する際に生
じる可能性がある銀材料による電極間のマイグレ
ーシヨン（渡り）を遮断して、電極３ａ，３ｂ間
の短絡を防止するためのものである。

半固定式可変抵抗器を組立てる際には、第１Ｂ
図に示す如く、軸穴１ｂ内に回転軸５を回転自在
に取付け、この回転軸５の上部に可動接点６を取
付け、また絶縁基板１の裏面に回転軸５と導通す
る端子７を取付ける。そして、回転軸５の周囲に
は樹脂製の回転支持スペーサ８を装備する。そし
て、回転体５ならびに可動接点６を回転させる
と、可動接点６の先端部６ａが抵抗体２上を摺動
し、端子７と端子４との間に抵抗値が設定され
る。

上記の従来の半固定式可変抵抗器では、回転支
持スペーサ８が絶縁基板１と別体に成形されてい
るので、部品数が多くなり、また、組立工数も多
くなつている。また、回転軸５ならびに可動接点
６が回動する際に、回転支持スペーサ８も一緒に
回動するので、この回転支持スペーサ８と端子４
との間隔を開けなければならない。よつて、絶縁
基板１も大型化し、半固定式可変抵抗器全体の小
型化に支障をきたすことになる。さらに、従来の
ものでは、短絡防止用の切欠き１ｂの存在により
絶縁基板１の強度が低下し、外力によつて破損し
やすくなつている。したがつて、従来は端子７と
一体に成形されたコレクタの爪を絶縁基板１の両
側部の溝１ｃに係合させて、絶縁基板１を補強さ
せる必要があつた。

本考案は、上記従来の問題点を解決するための
ものであり、部品数の削減と組立作業の簡素化を
図るとともに、絶縁基板を小型化できるようにし
た回転操作式電気部品を提供することを目的とす
るものである。

本考案は、アウトサート成形などで絶縁基板に
密着成型した樹脂成型体の一部を回転支持スペー
サとして使用するとともに、この樹脂成型体の一
部によつて端子の保護カバーを形成して、端子の
取付位置を軸取付部に可能な限り接近できるよう
にし、部品全体の小型化を図つたものである。

以下本考案の実施例を第２Ａ図以下の図面によ
つて説明する。

第２Ａ図は本考案による半固定式可変抵抗器の
絶縁基板を示す正面図、第２Ｂ図は第２Ａ図のＢ
−Ｂ断面図、第２Ｃ図は第２Ａ図のＣ−Ｃ断面図
である。

この絶縁基板１はフエノール樹脂積層板などに
よつて成形されたものであり、形状は第１Ａ図に
示したものとほぼ同じである。すなわち、中央部
には軸穴１ａが形成され、また軸穴１ａに連続す
る電極３ａ，３ｂ間短絡防止用の切欠き１ｂが形
成されている。なお、第１Ａ図に示されているよ
うな両側部の溝１ｃは形成されていない。また、
絶縁基板１の表面にはカーボンなどによる抵抗体
２、ならびにその両端に連続する銀などによる電
極３ａ，３ｂが着装されている。そして、電極３
ａ，３ｂの端部には端子４がはと目４ａによつて
固定されている。

そして、本考案では絶縁基板１に樹脂成型体９
が固着されている。この樹脂成型体９は絶縁基板
１と異なる樹脂材料によつてアウトサート成形し
たものである。この樹脂成型体９の一部は、前記
軸穴１ａの表面周囲に環形状に成形された回転支
持スペーサ９ａになつている。この回転支持スペ
ーサ９ａの下部は絶縁基板１の軸穴１ａ内周面に
も密着している。また、回転支持スペーサ９ａの
中心部には前記軸穴１ａと同軸状に成形された支
持穴９ｂが設けられている。一方、樹脂成型体９
の他の一部は前記端子４上を覆う保護カバー９ｃ
になつている。この保護カバー９ｃは、第２Ｃ図
に示すように、はと目４ａの内部を経て絶縁基板
１の裏面に延びており、端子４の取付部を表裏両
側から完全に覆つている。同じく、第２Ｃ図に示
すように、樹脂成型体９は絶縁基板１に成形され
ている電極間短絡防止用の切欠き１ｂの内部にも
充填されている。そして、この樹脂成型体９によ
り、切欠き１ｂの両側の絶縁基板が保持されて補
強されている。

上記構成の絶縁基板１を用いて半固定式可変抵
抗器を組立てるときには、樹脂によつて成形され
た回転支持スペーサ９ａの支持穴９ｂ内に、第１
Ｂ図に示すものと同様の回転軸５が挿入される。
また、回転軸５の上端には可動接点６が固設さ
れ、絶縁基板１の裏面には回転軸５に接触する端
子７が取付けられる。なお、本考案による半固定
式可変抵抗器の絶縁基板１では、切欠き１ｂが樹
脂成型体によつて固定され、強度が補強されてい
る。したがつて、第１Ａ図に示すような、溝１ｃ
に係合して絶縁基板１を保持するコレクタは不要
になる。

この半固定式可変抵抗器を操作するときには、
ドライバなどによつて回転軸５を回転させると、
可動接点６の先端６ａが抵抗体２上を摺動する。
そして、この可動接点６を任意の位置に止める
と、２個の端子４のいずれかと端子７との間にて
所定の抵抗値が設定される。

また、第３図は他の実施例を示すものである。
この実施例では樹脂成型体の一部によつて形成し
た回転支持スペーサ９ａの支持穴９ｃを絶縁基板
１の軸穴１ａと同寸法の内径としたものであり、
軸穴１ａの内面に樹脂材料が及ばないようにした
ものである。

なお、図示の実施例では、回転操作式電気部品
の１例として半固定式可変抵抗器を示したが、本
考案はロータリースイツチなどにも実施できるも
のである。

以上のように本考案によれば、絶縁基板に樹脂
成型体を固着し、この樹脂成型体の一部によつて
回転支持スペーサを形成したので、回転支持スペ
ーサを別体に製作する従来のものに比べ、部品数
が削減され、且つ組立作業も楽になる。また、樹
脂成型体の他の部分によつて端子取付部を覆つて
いるので、端子取付強度が増強されるばかりでな
く、端子取付部が他の部品の端子やリード線に当
たつて短絡するのを防止できる。さらに、端子取
付部を覆つている保護カバーと回転支持スペーサ
は樹脂によつて一体に形成されているので、端子
のはと目による取付部を軸支持部に接近させて
も、短絡あるいは回転動作上の不都合は生じな
い。よつて、絶縁基板を可能な限り小さくし、部
品の小型化を促進することができるようになる。
また、回転支持スペーサならびに保護カバーは同
一の樹脂成型体によつて成形しているので、絶縁
基板に対し、一度のアウトサート成型などを施す
ことによつて全てを成形することができ、量産性
にも優れている。

さらに、請求の範囲第(2)項に記載するように、
樹脂成型体の一部を絶縁基板上の短絡防止用切欠
き内に充填するようにして、切欠きの存在による
絶縁基板の強度不足を補うようにすることもでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ図は従来の半固定式可変抵抗器に使用さ
れる絶縁基板の正面図、第１Ｂ図は従来の半固定
式可変抵抗器の全体を示す縦断面図、第２Ａ図は
本考案による半固定式可変抵抗器の絶縁基板の正
面図、第２Ｂ図は第２Ａ図のＢ−Ｂ断面図、第２
Ｃ図は第２Ａ図のＣ−Ｃ断面図、第３図は他の実
施例を示す第２Ｂ図に相当する縦断面図である。 １……絶縁基板、１ａ……軸穴、１ｂ……切欠
き、２……抵抗体、３ａ，３ｂ……電極、４……
端子、５……軸、６……可動接点、９……樹脂成
型体、９ａ……回転支持スペーサ、９ｃ……保護
カバー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 絶縁基板上に電極が着装されているととも
   に、電極の端部に端子が固定されており、また
   絶縁基板には軸穴が形成され、可動接点を備え
   た軸がこの軸穴に取付けられている回転式電気
   部品において、前記絶縁基板には樹脂成型体が
   固着しており、この樹脂成型体の一部は前記軸
   穴の周囲に位置する回転支持スペーサになり、
   また樹脂成型体の一部は前記端子の取付部を覆
   う保護カバーになつていることを特徴とする回
   転操作式電気部品。 (2) 樹脂成型体の一部は、絶縁基板の電極と電極
   の間に形成された短絡防止用切欠き内部にも充
   填されていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第(1)項記載の回転操作式電気部品。