JP2773125B2 - スイッチ付き可変抵抗器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は可変抵抗器に関するもので、自動車用のスイ
ッチ付き可変抵抗器として利用されるものである。

（従来の技術） 本発明に係る従来技術としては、特開昭60−183504号
公報がある。

このものは第９図の（イ）に示すように可変抵抗器に
スイッチ構造が付加されたものである。スイッチ部は基
板12上に設けられた樹脂、ガラスなどからなる絶縁部10
と、銀−パラジウムからなる導電部11から成り立ってお
り、絶縁部10と導電部11の境界の抵抗の差が大きくなっ
ていて、その上をブラシ13が摺動する。この場合、
（ロ）に示すように角度−抵抗特性がシャープとなる。

（発明が解決しようとする課題） しかし、上記に示す可変抵抗器は （１）導電部11の銀−パラジウム電極が露出しているた
めに、たとえ少量でも水分が侵入した場合には、銀マイ
グレーションが発生し、性能が劣化する。

（２）水分の侵入を防ぐためには、堅固な密閉構造にす
る必要があり、このために抵抗器の小型、軽量化を妨げ
る一要因になっている。

（３）ブラシ13が摺動する場合、摺動面で段差がある
と、ブラシ13が劣化するために、導電部と同じ膜厚でガ
ラス、樹脂などの絶縁部10を印刷する必要がある。

（４）導電部11と絶縁部10の間に、すきまがあるとブラ
シが引っかかり、ブラシが劣化してしまう。

そこで、本発明は自動車部品に使用される二層膜構造
を有する可変抵抗器に於いて、小型、軽量でかつ信頼性
の高いスイッチを有する可変抵抗器を得ることを技術的
課題とするものである。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 前記技術的課題を解決するために講じた技術的手段は
次のようである。すなわち、 絶縁材から成り、内部に導体膜を有する基板と、前記
導体膜に電気的に接続された第１導電部，第２導電部、
第３導電部および集電部と、該集電部の表面、および前
記第１導電部と前記第２導電部間に同時印刷により形成
されたカーボン抵抗体より成る下層抵抗体と、該下層抵
抗体と前記第３導電部上に同時印刷により形成された上
層抵抗体と、該上層抵抗体上を摺動し、前記集電部と電
気的に接続するブラシとを備え、前記第３導電部の端部
上を前記ブラシが通過した時、前記ブラシにより抵抗値
が変化し、抵抗値の変化をスイッチとして利用すると共
に、スイッチとして機能する前記第３導電部から前記ブ
ラシが摺動する範囲まで前記上層抵抗体を延在させた、 ものとした。

この場合、上層抵抗体は下層抵抗体の２〜500倍の体
積固有抵抗をもつようにすると良く、 また、下層抵抗体と上層抵抗体はスクリーン印刷によ
り設けられるようにすると良い。

（作用） 上記の構成により、次のように作用する。すなわち、
第１から第３導電部を下層抵抗体と上層抵抗体で覆うこ
とにより、ブラシの動きをなだらかにする。例えば、第
１から第３導電部に銀を用いた場合には銀電極の露出を
さけることにより銀マイグレーションが防止される。

また、下層抵抗体および上層抵抗体で水分の侵入を防
ぐことが可能になるため、堅固な密閉構造にする必要が
なくなり、小型、軽量化が可能となる。

更に、スイッチとして機能する第３導電部からブラシ
が摺動する範囲まで上層抵抗体を延在させたことによ
り、従来のようなすきまが発生せず、ブラシの摩耗を抑
えることが可能となり、スイッチとしての信頼性が向上
する。

この場合、上層抵抗体は下層抵抗体の２〜500倍の体
積固有抵抗をもつようにすれば、ブラシを摺動させて上
部抵抗体層が摩滅した場合でも上層抵抗体の体積固有抵
抗が下層抵抗体層より大きいことから、電気特性が極め
て安定するものとなる。

また、下層抵抗体と上層抵抗体はスクリーン印刷によ
り設けられるようにすれば、精度良く簡単に設けること
が可能となる。

（実施例） 以下、実施例について説明する。

実施例−１ 第１図に示すように所定の銅箔形状となるようエッチ
ングされた基板２（ガラスエポキシ又は紙フェノール
製）に、第２図に示すように銀ペースト（アサヒ化学製
LS−504J）をスクリーン印刷し、その後、熱硬化して集
電部の電極５及びポテンショメータの銀電極3a,3b,スイ
ッチを構成するための導電部４を同時に形成する。

次に、第３図に示すようにカーボンペースト（アサヒ
化学製BTU−350）をスクリーン印刷し、熱硬化してポテ
ンショメータを構成するため、ポテンショメータの銀電
極3a,3bを含み、ポテンショメータの下層抵抗体６と集
電部７を形成する。

更に、第４図に示すように下層抵抗体よりも抵抗値の
高いカーボンペースト（アサヒ化学製BYU−3K）をスク
リーン印刷し、熱硬化してポテンショメータの上層抵抗
体８を形成すると同時に、スイッチの高抵抗部９を形成
する。この時、高抵抗部９はスイッチの低抵抗部となる
導電部４から、ブラシ10が摺動する範囲のすべてを覆う
ように延在している。この場合、第４図のブラシ10がＡ
−Ａに沿って低抵抗部となる銅箔を含む導電部４上を摺
動しているときには、ブラシ10は集電部７との接触で電
気的に接続された状態となる（ON状態）。また、ブラシ
10が低抵抗部から延在する高抵抗部９上を摺動している
ときには、高抵抗部９と集電部７との間は電気的に接続
されていない状態となる（OFF状態）。

このように製造された可変抵抗器のスイッチの特性
は、ブラシ10により低抵抗部の抵抗値と高抵抗部の抵抗
値との差で決定される。

実施例−２ あらかじめ設置された銅箔を抵抗膜で覆うことによ
り、スイッチの導電部を形成しても同様の特性を得る。

この場合は所定の銅箔形状となるようにエッチングし
た基板（ガラスエポキシ又は紙フェノール）に銀ペース
トをスクリーン印刷し、熱硬化してポテンショメータの
下層抵抗の両端にある銀電極と集電部の電極のみを形成
する。次にカーボンペーストをスクリーン印刷し、熱硬
化してポテンショメータの下層抵抗体及び集電部を形成
する。更にカーボンペーストをスクリーン印刷し、熱硬
化してポテンショメータの上層抵抗体と銅箔上を含めて
ブラシが摺動する部分を覆うようにスイッチの高抵抗部
を形成するもので、これを第６図に示す。

従来のスイッチは絶縁部と導電部で形成されるので角
度に対する抵抗値の立上がりがシャープであるが、これ
に対し、本実施例は高抵抗部と低抵抗部で形成されるた
めに抵抗値の立上がりがなだらかで、かつON−OFF時に
於ける抵抗値の差が小さい。

しかし、適当なしきい値を設定し、それに対する大小
でスイッチのON−OFFを決定させたところ、従来のスイ
ッチとまったく変わらないスイッチ特性を得た。

又前記しきい値は高抵抗部を形成するカーボン抵抗体
のシート抵抗値より選択可能であり、第７図にシート抵
抗1kΩ／□、第８図にシート抵抗10kΩ／□の場合を示
す。

〔発明の効果〕

本発明は次の効果を有する。すなわち、 （１）導電部からの水分の侵入を防ぐよう導電部をカー
ボン抵抗体で覆うので、水分に対する信頼性が向上す
る。

（２）スイッチ、ポテンショメータともに導電部の印刷
位置により角度−出力特性が決定されるが、この導電部
は同時に印刷できるので角度ー動作特性が良く一致する
（スイッチの角度がずれた場合、同時にポテンショメー
タの角度も同量ずれるので、全体的に見て動作特性にず
れが生じない。

（３）導電部、カーボン抵抗体ともにポテンショメータ
と共通化して設けることができるので、工程を増やすこ
となくスイッチ機能が付加できる。

（４）ブラシが摺動する部分を抵抗体で覆うことにより
導体部の段差が滑らかになる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本実施例である可変抵抗器の製造工程
の説明図、第５図の（イ）は第４図のＡ−Ａ断面図、
（ロ）は実施例１のスイッチの角度−抵抗特性図、第６
図は実施例２のＡ−Ａ断面図、第７図は高抵抗体のシー
ト抵抗が1kΩ／□の角度−抵抗特性図、第８図は高抵抗
体のシート抵抗が10kΩ／□の角度−抵抗特性図、第９
図の（イ）は従来技術のスイッチ部の断面図、（ロ）は
従来技術の角度−抵抗特性図である。 １…銀箔膜（導体膜） ２…基板 3a…導電部（第１導電部） 3b…導電部（第２導電部） ４…導電部（第３導電部） ６…下層抵抗体（抵抗膜） ７…集電部 ８…上層抵抗体（抵抗膜） ９…高抵抗部 19…ブラシ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 織田 幸久 愛知県刈谷市朝日町２丁目１番地 アイ シン精機株式会社内 審査官 酒井 朋広 (56)参考文献 特開 昭62−226601（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−274701（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−76550（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−39902（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−30304（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01C 10/00 - 10/50

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁材から成り、内部に導体膜を有する基
   板と、 前記導体膜に電気的に接続された第１導電部、第２導電
   部、第３導電部および集電部と、 該集電部の表面、および前記第１導電部と前記第２導電
   部間に同時印刷により形成されたカーボン抵抗体より成
   る下層抵抗体と、 該下層抵抗体と前記第３導電部上に同時印刷により形成
   された上層抵抗体と、 該上層抵抗体上を摺動し、前記集電部と電気的に接続す
   るブラシとを備え、 前記第３導電部の端部上を前記ブラシが通過した時、前
   記ブラシにより抵抗値が変化し、抵抗値の変化をスイッ
   チとして利用すると共に、 スイッチとして機能する前記第３導電部から前記ブラシ
   が摺動する範囲まで前記上層抵抗体を延在させたスイッ
   チ付き可変抵抗器。
2. 【請求項２】前記上層抵抗体は前記下層抵抗体の２〜50
   0倍の体積固有抵抗をもつ請求項（１）に記載のスイッ
   チ付き可変抵抗器。
3. 【請求項３】前記下層抵抗体と前記上層抵抗体はスクリ
   ーン印刷により設けられる請求項（１）に記載のスイッ
   チ付き可変抵抗器。