JPS6233142Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、移動農機に装備される操向クラツチ
などのように、伝動上手側のギヤと同軸上に位置
して、その伝動上手側のギヤには、軸芯方向での
スライドで側方から係脱され、かつ、伝動下手側
の別軸ギヤには、径方向で対接して常時噛合する
ように、前記スライドで側方から係脱するための
クラツチ片と径方向に対接して噛合するギヤ部と
を一体に形成したシフターを、前記伝動上手側の
ギヤを支承する回転軸に遊嵌するとともに、前記
ギヤ部と伝動下手側のギヤとの噛合い範囲内で、
前記回動軸に固定保持された別のギヤ、つまり、
伝動上手側のギヤの内歯ギヤ部に対して前記クラ
ツチ片を係合離脱自在に構成したクラツチの構造
に関する。

前記シフターは、一般に摺動させての係脱のた
めに回転軸との間にすき間をもたせて遊嵌してあ
る。そのために前記のクラツチ構造では、シフタ
ーの姿勢が後述する図面第３図イのように傾斜し
ている。すなわち、前記別のギヤの内歯ギヤ部に
シフターのクラツチ片を係合させたクラツチ入り
状態において、シフターのギヤ部には、径方向に
対向して噛合つている別軸上のギヤから離れる方
向への力が、その回転に伴つて作用し、またクラ
ツチ片部分には、同軸上に固定保持された別のギ
ヤの内歯ギヤ部に噛合つて回転軸芯と芯を合致さ
せるように位置保持する力が与えられており、し
かも、この保持力と前記離れる方向への力の作用
する位置が、軸芯方向でやや位置ずれしているが
ために、前記クラツチ片の部分を支点としシフタ
ーの姿勢は後述する図面第３図イのように通常は
傾斜している。そこでこのシフターを従来の揺動
操作フオークでクラツチ切り側に操作すると、噛
合い離脱方向の力を受けているギヤ部分とは反対
側の部分、言い換えると回転軸から離れている側
の部分がフオークのアームに先に接当し、前記傾
斜がその初期において修正されるようになる。本
考案者は、種々の考察を重ねた結果、前記の傾斜
はいわば無理のない姿勢として自然に落ち着いた
姿勢であるので、クラツチの噛合い状態において
この傾斜を無理に修正していた従来の技術では、
そのために却つてクラツチ切り抵抗が大になつて
いることを見い出した。

本考案は以上の知見に基づくもので、揺動操作
フオークの簡単な改良により、クラツチ切り操作
を軽快におこなえるクラツチの構造を提供するも
のである。

目的を達成するために講じた本考案の技術的手
段の特徴は、先のクラツチの構造において、前記
シフターに対する揺動操作フオークを、シフター
のギヤ部に噛合うギヤに近い側のアームと遠い側
のアームとで構成し、且つ、前記別のギヤのギヤ
部と前記クラツチ片との係合状態で、前記近い側
のアームの前記シフターに対するクラツチ切り方
向での接当開始点の位置を、遠い側のアームの接
当開始点の位置よりも前記別のギヤから離して設
定した点にあり、以下の作用効果を得られる。

すなわち本考案によれば、クラツチ入り状態で
の揺動フオークの姿勢がシフターの傾斜に合わせ
た傾斜姿勢になつているので、その操作初期にお
いて前記シフターは傾斜状態のままで移動するこ
とになる。したがつて、クラツチ切り操作の初期
において従来のような無理な修正は行われず、結
果的に無理のない軽快なクラツチ切り操作を行え
るに至つた。

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図は歩行型耕耘機を示し、エンジン１を搭
載してあるフレーム２の後部に、左右一対の走行
車輪３，３及び操縦ハンドル４を有するミツシヨ
ンケース５を連設するとともに、このミツシヨン
ケース５の後部には、ロータリ耕耘装置６への伝
動ケース７を連結している。

次に、前記ミツシヨンケース５に内蔵された左
右の操向クラツチ８，８の構造について説明す
る。

即ち、第２図、第３図で示すように、左右一対
の車軸９，９と平行に姿勢する操向軸１０の、そ
の軸芯方向中央部に位置固定状態でスプライン嵌
合した受動ギヤ１１の左右両側部に、前記車軸
９，９側のギヤ１２，１２に減速ギヤ１３，１３
を介して噛合連動するギヤ部１４Ａ，１４Ａ及
び、前記受動ギヤ１１のボス部に形成したギヤ部
１１Ａ，１１Ａに対してその軸芯方向から噛合な
らびに離脱可能なクラツチ片１４Ｂ，１４Ｂをそ
れの軸芯方向中央位置に対して受動ギヤ１１側に
変位させて形成したシフター１４，１４を摺動自
在に遊嵌するとともに、前記操向軸１０を回転自
在に支承するベアリング１５，１５と前記シフタ
ー１４，１４との間には、このシフター１４，１
４を受動ギヤ１１，１１側に移動付勢するスプリ
ング１６，１６を介装し、以つて、前記シフター
１４，１４を、前記ギヤ部１４Ａ，１４Ａが前記
減速ギヤ１３，１３に噛合維持された状態で軸芯
方向に移動させることにより、前記クラツチ片１
４Ｂ，１４Ｂが受動ギヤ１１のギヤ部１１Ａ，１
１Ａに噛合うクラツチ入り状態とスプリング１
６，１６の付勢力に抗して離脱させたクラツチ切
り状態とに切換えるべく構成している。

また、前記シフター１４，１４の下部には、前
記操縦ハンドル４の操向クラツチレバー１７，１
７に操作ワイヤー１８，１８を介して連係された
操作軸１９，１９を、前記操向軸１０の回転軸芯
方向に対して直交する前後方向姿勢で架設すると
ともに、この操作軸１９，１９に、前記シフター
１４，１４のベアリング１５，１５側端部に形成
した環状溝１４Ｃ，１４Ｃに嵌係合して、シフタ
ー１４，１４を回転軸芯方向に移動させるための
揺動操作フオーク２０，２０を固着してある。こ
の揺動操作フオーク２０には、前記減速ギヤ１３
に近い側のアーム２０ａと遠い側のアーム２０ｂ
とを設けてあつて、ギヤ部１１Ａに前記クラツチ
片１４Ｂが係合した状態で、前記近い側のアーム
２０ａの、前記シフター１４に対するクラツチ切
り方向での接当開始点の位置を、遠い側のアーム
２０ｂの接当開始点の位置よりも前記受動ギヤ１
１から離れるように位置設定して設けてある。

したがつて、クラツチ切り操作の初期にはシフ
ター１４の傾動姿勢をそのままにして摺動操作を
行うことができ、無理のない軽快なクラツチ切り
操作ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るクラツチの構造の実施例を
示し、第１図は歩行型耕耘機の全体側面図、第２
図は要部の縦断正面図、第３図イ，ロはクラツチ
入り状態と切り状態を示す要部の拡大縦断正面
図、第４図は要部の拡大縦断側面図である。 １３……ギヤ、１４……シフター、１４Ａ……
ギヤ部、１４Ｂ……クラツチ片、２０……揺動操
作フオーク、２０ａ，２０ｂ……アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツチ片１４Ｂおよび被動装置側のギヤ１３
   に噛合するギヤ部１４Ａをそれの軸芯方向巾中央
   位置に対し一側に変位させて形成したシフター１
   ４を、回転軸１０に遊嵌するとともに、前記ギヤ
   部１４Ａとギヤ１３との噛合い範囲内で、前記回
   転軸１０に固定保持された別のギヤ１１のギヤ部
   １１Ａと前記クラツチ片１４Ｂとを係合離脱自在
   に構成したクラツチの構造において、前記シフタ
   ー１４に対する揺動操作フオーク２０を、シフタ
   ー１４のギヤ部１４Ａに噛合うギヤ１３に近い側
   のアーム２０ａと遠い側のアーム２０ｂとで構成
   し、且つ、前記別のギヤ１１のギヤ部１１Ａと前
   記クラツチ片１４Ｂとの係合状態で、前記近い側
   のアーム２０ａの前記シフター１４に対するクラ
   ツチ切り方向での接当開始点の位置を、遠い側の
   アーム２０ｂの接当開始点の位置よりも前記別の
   ギヤ１１から離して設定したことを特徴とするク
   ラツチの構造。