JP3947623B2 - 乗用管理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、三輪型乗用管理機のサイドクラッチ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、前後方向に機体フレームを配置し、該機体フレームの前部には操向輪としての前輪を一輪配し、後部には後輪を二輪配して三輪駆動式とし、更に、該前輪と後輪との間の腹部に作業機を作業機装着装置を用いて吊設し、機体フレーム後部に載置した運転席に搭乗して管理作業を行うようにした乗用管理機は公知となっている。この乗用管理機では、前記機体フレームの前部に固設したフロントケースの下部に、前輪を支持する支持部材を回動可能に設け、旋回時にはハンドル操作で操向輪である前輪を左右方向に回動させると同時に、後二輪のうちの旋回内側車輪のサイドクラッチを切り、旋回外側車輪を駆動して旋回を行っていた。具体的には、前記支持部材にカムを固設して前輪と一緒に回動するようにし、該カムの回動軌跡上にはカムフォロアを配置し、該カムフォロアに後二輪にそれぞれ設けたサイドクラッチにワイヤを介して連動連結し、ハンドルの回動によりカムが回動されて、カムフォロアを回動し、その回動によってワイヤを引っ張りサイドクラッチを切るように構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、旋回時には、後二輪の旋回内側車輪のサイドクラッチのみが切れるため、例えば、圃場端で旋回する場合などには、旋回半径をそれほど小さくできずに未作業面積が拡大する、という問題があった。さらに、駆動中の後輪により前輪が旋回外側方に押し出されるかたちとなり、土寄せが発生し圃場を荒らす、という問題もあった。また、前記カムフォロアを複数配置したため、構造が複雑化すると共に、部品点数増によるコストアップ、の問題があった。本発明は、前記の点に鑑み、旋回半径が小さく、圃場の荒れの防止が可能な乗用管理機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、機体フレームの前下部に操向駆動輪となる一輪の前輪を配し、後部に二輪の駆動輪となる後輪を配した乗用管理機において、旋回時にはステアリングハン ドルの操作で前輪を左右方向に回動可能に支持し、該前輪の左右回動軸上にカム部を設け、該カム部の左右にカムフォロアを当接して配置し、該左右のカムフォロアを後二輪の各サイドクラッチと連動連結し、前記前輪の左右回動が第一設定角度を越えると旋回側のサイドクラッチを「断」とし、第二設定角度を越えると両サイドクラッチを「断」とすべく構成したものである。
【0006】
請求項2においては、機体フレームの前下部に操向駆動輪となる一輪の前輪を配し、後部に二輪の駆動輪となる後輪を配した乗用管理機において、旋回時にはステアリングハンドルの操作で前輪を左右方向に回動可能に支持し、該前輪の左右回動軸上にカム部を設け、該カム部にカムフォロアを当接して配置し、該カムフォロアを後二輪の各サイドクラッチと連動連結し、前記前輪の左右回動が設定角度を越えると両サイドクラッチを「断」とすべく構成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。図1は腹部に中耕ロータリを装着し下降させた状態の乗用管理機の全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は本発明の機体フレームを有する乗用管理機の部分側面図、図4は同じく乗用管理機の機体フレームの側面断面図、図5は同じく乗用管理機の機体フレームの平面断面図、図6は側部にHST式変速装置を配したミッションケースの断面図、図7はサイドクラッチの操作構成を配すミッションケースの平面図、図8はフロントケースの平面断面図、図9はフロントケースおよびフロントアクスルケースの正面断面図、図10はフロントケースおよびフロントアクスルケースの側面断面図、図11は左右後輪のサイドクラッチを順次切断可能なサイドクラッチ制御機構を示す平面断面図、図12は前輪回動に伴うカム部とアーム体の回動状況を示す平面図、図13は左右後輪のサイドクラッチを一斉切断可能なサイドクラッチ制御機構を示す平面断面図、図14はアーム体を一個とした場合のサイドクラッチ制御機構を示す平面断面図である。
【0008】
まず、本発明に係わる乗用管理機の全体構成を図1乃至図4により説明する。三輪型乗用管理機において、前後方向に延びた機体フレーム1の後部に運転部Bが配され、該機体フレーム1の後端部にはエンジン6が搭載され、ミッションケース51によって走行変速し、該ミッションケース51の下部に配するリアアクスルケース4より後輪駆動ケース5を介して後輪3・3が駆動される。
【0009】
前記ミッションケース51からは、図4のように機体フレーム1内に配置した動力伝達軸を介して前輪2に動力を伝達する構成とし、該機体フレーム1の前部にはフロントケース7を設け、該フロントケース7下部に鉛直方向を軸芯として左右回動可能にフロントアクスルケース8を装着し、該フロントアクスルケース8に一輪の前輪2を支持して駆動できるようにして、三輪駆動車を構成している。尚、前記フロントケース7上部はカバー30で被装されている。
【0010】
また、前記エンジン6はボンネット10によって被装され、該ボンネット10の前方には、ミッションケース51及び後輪3を被装する車体カバー11が配され、該車体カバー11上には運転席12が載置され、該運転席12前方の機体フレーム1上には、ステアリングコラム13が立設されている。該ステアリングコラム13の上部より上方にはステアリングハンドル14が突出され、該ステアリングコラム13の右側部には図示せぬアクセルレバーが突出されるとともに、ステアリングコラム13下部側方にサイドクラッチペダル16が配置されている。
【0011】
また、前記前輪2と後輪3との間の腹部には作業機装着装置29が配される。 該作業機装着装置29は図3、図4に示すように、前記機体フレーム1の前下部(フロントケース7の後方位置)に、左右一対のブラケット18・18が下方に突出され、該ブラケット18・18の上下に支持軸149・150が横架されている。上方の支持軸149の両端部に上リンク19・19の前部が枢支され、下方の支持軸150両端部に下リンク20・20前部が枢支されている。前記上リンク19・19は機体フレーム1の左右幅に略等しい間隔に設けられている。該上リンク19は機体フレーム1の側方に位置するまで上昇回動させることができ、作業機26を持ち上げられるようにしている。更に、上リンク19と下リンク20の途中部には連結アーム160によって連結され、平行リンクが構成されている。
【0012】
また、前記ブラケット18・18に昇降シリンダ22の基部が枢支され、該昇降シリンダ22のロッド先端は、前記下リンク20・20の途中部と、前記連結アーム160下端を連結した連結ピン164に枢支され、該昇降シリンダ22が平行リンクの左右方向の中央位置に介装されるようにしている。
【0013】
前記上リンク19の後端と下リンク20の後端に、装着部材であるヒッチ21が枢支され、該ヒッチ21に作業機26が係止される。図1に示すように、該ヒッチ21からは棒状のツールバー23が左右方向に延出され、該ツールバー23の中央部と左右側部に、取付け位置を変更可能に複数の作業機26を装着できるようにし、複数条の管理作業を行えるようにしている。尚、作業機26としてはロータリ耕耘機、雑草を取り除く熊手形状のレーキ等が配置できる。
【0014】
また、前記ツールバー23の左右方向中央位置には、動力入力ケース36が固設されており、該動力入力ケース36の入力軸には、前記ミッションケース51下部より前方に突出されたPTO軸35から、ユニバーサルジョイント、PTO伝動軸37を介して動力が伝達される。前記動力入力ケース36から、側方に動力軸38・38が突出され、該動力軸38が作業機26としての各ロータリ耕耘機の、チェーンケース25上部内に挿入され、ロータリ耕耘機に動力が伝達されるのである。
【0015】
更に、図3に示すように、前記ヒッチ21の後面には機体フレーム1側に係止するための係止体44が固設され、また、前記ステアリングコラム13直前方の機体フレーム1の下部にステー140・140を下方に突出し、該ステー140・140下端部に回動アーム142・142の上端部が枢支され、回動アーム142・142の他端部に係止ピン141が外側方に突出して軸支されている。該係止ピン141の一側端部に、操作杆143の前端部が枢支され、操作杆143の後端が前記ステアリングコラム13下部の側方に略前後に摺動自在に支持されている。
【0016】
そして、作業機26を最上位置まで上昇させて、前記操作杆143を前方に摺動操作して、回動アーム142が下方へ回動され、係止ピン141が係止体44の下方に移動し、係止体44と係止ピン141とが係合され、作業機26を腹部に配した状態で移動する場合に、作業機26を最上昇位置に確実に保持することができるようにしているのである。
【0017】
次に、以上のような全体構成から成る乗用管理機において、後輪のサイドクラッチ機構の構成について、図2、図4、図6、図7により説明する。図2に示すように、エンジン6の動力がプーリ、ベルトを介してミッションケース51内に入力される。該ミッションケース51の側部には主変速機構としてHST式変速装置102が配されており、ミッションケース51内に入力された動力が、HST式変速装置102によって無段変速され、無段変速した後の動力がふたたびミッションケース51内に入力され、ミッションケース51内において副変速され、各車輪に変速された動力が伝達される。
【0018】
前記ミッションケース51は、図6に示すように、HST式変速装置102を固着したミッションケース51の、一側側面より他方の側面まで貫通する第一入力軸60が軸支され、該第一入力軸60の一側端部よりエンジン6の動力が入力され、第一入力軸60の他端がHST式変速装置102の入力軸61に相対回動不能に固設されている。前記第一入力軸60の途中部に前記PTO軸35に動力を伝達するギア62が固設されている。
【0019】
また、前記HST式変速装置102によって主変速された動力が、ミッションケース51側に突出する出力軸63より出力され、ミッションケース51内に軸支されている第二入力軸64と相対回動不能に連結され、主変速された動力がミッションケース51内に伝達される。前記第二入力軸64からは、第二入力軸64上に固設したギア、副変速軸65上に摺動可能に設けた副変速ギア等を介して伝動軸66に固設する係合ギア67に伝達され、副変速された動力が伝達される。
【0020】
また、前記ミッションケース51の下部の左右両側には、リアアクスルケース4・4が固設され、内部に左右の駆動軸70・70が軸支されて、該駆動軸70・70端に後輪3・3が固設されている。該駆動軸70・70の中央側端部に駆動ギア71・71が固設され、前記伝動軸66上の係合ギア67の左右側部に配する動力断接ギア68・68と噛合されている。
【0021】
該動力断接ギア68・68は伝動軸66上で摺動自在に遊嵌され、各々の動力断接ギア68・68は図示せぬホークによって摺動され、該ホークはサイドクラッチと連結されており、前記動力断接ギア68を内側に摺動して係合ギア67の内歯と噛合されると、リアアクスルケース4内の駆動軸70に動力が伝達され、後輪3が駆動され、外側に摺動して噛合を外すと動力が伝達されず、他方が駆動されることによって旋回ができる。このようにしてサイドクラッチ機構を構成している。尚、前記動力断接ギア68・68は、通常において、係合ギア67と係合されており、左右の後輪3・3と連動する駆動軸70・70を駆動しているが、運転者によるサイドクラッチペダル16・16の操作によって、一側の動力断接ギア68と係合ギア67との係合が外れて、踏んだ側の後輪3の駆動を停止するのである。
【0022】
また、前記伝動軸66の側方(HST式変速装置102を配置した方)には、出力ケース72が形成され、前後方向に出力軸73が軸支されている。前記出力ケース72の後部内には、伝動軸66の端部が挿入され、その端部上にベベルギア74が固設されている。該ベベルギア74には、出力軸73後端部に固設したベベルギア75が噛合され、出力軸73に走行変速された動力が伝達され、出力軸73を車速に比例した回転数で駆動する。前記出力軸73には、図4に示す、第一動力伝達軸9aが連結されている。
【0023】
このようなサイドクラッチ機構は手動により操作することが可能であり、図7に示すように、運転者によるサイドクラッチペダル16・16の操作によって行われる。すなわち、ミッションケース51の上部には、前記動力断接ギア68・68を摺動操作する図示せぬフォークと連動した連動軸91・91を上方に突出し、該連動軸91・91上部には板状の操作アーム90・90が固設され、該操作アーム90の外側部には、リンク機構92を介して前述した運転席12下部のサイドクラッチペダル16に連動連結されている。よって、一側のサイドクラッチペダル16を踏み込み操作すると、操作アーム90が回動し、一側の動力断接ギア68を摺動して、一側の後輪3の駆動力が断たれる。
【0024】
また、前記操作アーム90・90の外側端部にはワイヤー94・94の一端を締結し、該ワイヤー94・94の他端は前方に延出して、後述する前輪2の左右回動に連動して操向を制御するサイドクラッチ制御機構に接続されている。
【0025】
ここで、前輪の駆動及び操舵機構の構成について、図1、図4、図5、図8乃至図10により説明する。まず、前輪の駆動機構の構成について説明する。前記機体フレーム1は、図1、図4に示すように、前下がりの傾斜状に前後方向に長く筒状に形成され、ステアリングコラム13を立設した前後方向略中央位置において、前部フレーム1aと後部フレーム1bとを連結し、この連結部下方に前記作業機26を位置させ、更に後部フレーム1bの後端部にはエンジン6を載置するエンジンフレーム1cが固定されている。
【0026】
前記後部フレーム1bは、正面断面視で下方が開放された「コ」字状に形成され、後部フレーム1bの後端部はミッションケース51の直前方まで延出している。該後部フレーム1b内では、ミッションケース51の上部より前方に突出される前記出力軸73がユニバーサルジョイントを介して前高後低に配置された第一動力伝達軸9aの後部と連結され、該第一伝達軸9aの前部は後ユニバーサルジョイント57を介して第二伝達軸9cの後部に連結され、該第二伝達軸9cの前部は前ユニバーサルジョイント56を介して第三伝達軸9bの後部に連結されている。
【0027】
一方、前記機体フレームの前部に固設したフロントケース7後部側面には、図8に示すように、前輪第一伝動軸161が前後方向に配設され、該フロントケース7にベアリングを介して回動自在に支持されている。該前輪第一伝動軸161の後端には、図5に示すように、前記第三伝達軸9bの前端がユニバーサルジョイント78を介して接続され、前輪第一伝動軸161の前部は、フロントケース7内に突出し、該前輪第一伝動軸161の前端には前輪第一伝動ギヤ162が挿嵌固定されている。
【0028】
図10に示すように、該前輪第一伝動ギヤ162の上方には前輪第二伝動ギヤ163が配設されており、該前輪第二伝動ギヤ163は前記前輪第一伝動ギヤ162に噛合され、該前輪第二伝動ギヤ163はフロントケース7上部で前輪第二伝動軸166に挿嵌固定されている。尚、前輪第一伝動ギヤ162及び前輪第二伝動ギヤ163はベベルギアで構成されている。このようにして、ミッションケース51からの動力が、前記第三伝達軸9bを介して前輪第一伝動軸161を回動すると、前輪第一伝動ギヤ162が回動され、続いて、該前輪第一伝動ギヤ162に噛合した前輪第二伝動ギヤ163が回動されて、前輪第二伝動軸166に駆動力が伝達される構成としている。
【0029】
該前輪第二伝動軸166は、図9に示すように、フロントケース7内において上下方向に配設され、その上端は、前記フロントケース7に回動自在に支持されている。該前輪第二伝動軸166の上部には前記前輪第二伝動ギヤ163が挿嵌固定されており、該前輪第二伝動軸166の下端はフロントケース7の下方に配設されたフロントアクスルケース8内の上部に突出している。該前輪第二伝動軸166の下端には第三伝動ギヤ167が挿嵌固定され、該第三伝動ギヤ167の下方には前輪第四伝動ギヤ168が配置され、該前輪第四伝動ギヤ168は前記第三伝動ギヤ167と噛合している。
【0030】
該前輪第四伝動ギヤ168は、フロントアクスルケース8の上部において左右方向に横設した第三伝動軸169の一端に挿嵌固定されており、該第三伝動軸169の一端は、前記フロントアクスルケース8の側部に回動自在に支持され、該第三伝動軸169の他端は、該フロントアクスルケース8の側部に固設されたチェーンケース183内に突出している。該チェーンケース183内において、前記第三伝動軸169の一端にはスプロケット181が挿嵌固定され、該スプロケット181にはチェーン182が懸架されており、該チェーン182を介して前記前輪2に動力を伝達可能に構成されている。
【0031】
以上の構成により、ミッションケース51からの動力が、前輪第二伝動軸166に伝達されると、前輪第三伝動ギヤ167が駆動されると共に前輪第三伝動軸169が回動され、スプロケット181によりチェーン182を介して前輪2が駆動されるのである。
【0032】
次に、前輪の操舵機構の構成について説明する。図4、図5に示すように、前記前部フレーム1a内には、操向用の回動軸43が支持され、該回動軸43後部は、中間軸46、ユニバーサルジョイント79・79を介してステアリングハンドル14のステアリングシャフト45下部に連動連結されている。一方、前記回動軸43前部は、ユニバーサルジョイントを介して、前記フロントケース7上部に前後方向に配設した第一前輪操向軸171の後端に連結されており、該第一前輪操向軸171は、図8に示すように、該フロントケース7に回動自在に固定されている。
【0033】
該第一前輪操向軸171は、前部においてウォームギヤ172に挿嵌固定しており、第一前輪操向軸171の回動に伴い該ウォームギヤ172が回動する構成をとっている。該ウォームギヤ172の側方には、該フロントケース7内において上下方向に配設した枢軸175に回動自在に挿嵌されたウォームホイール173が配設されている。該枢軸175の両端部は、図10に示すように、フロントケース7に固設されており、該枢軸175に挿嵌した前記ウォームホイール173および、該ウォームホイール173の下面に固設したギヤ174を回動自在に枢支している。
【0034】
該ギヤ174の側方には操舵ギヤ185が配設されており、該操舵ギヤ185はステアリングパイプ184の上部に挿嵌固定され、前記ギヤ174に噛合する構成になっている。ステアリングパイプ184の軸心部には、前記前輪第二伝動軸166が挿嵌しており、該ステアリングパイプ184はベアリングを介してフロントケース7に回動自在に支持されている。また、ステアリングパイプ184の下端はフロントアクスルケース8の上部に固設しており、操舵ギヤ185の回動に伴いステアリングパイプ184が回動可能に構成されている。即ち、該ステアリングパイプ184を介して前記フロントアクスルケース8がフロントケース7に接続される構成になっている。
【0035】
従って、ステリングハンドル14を回動し、前記回動軸43を介して第一前輪操向軸171を回動し、ウォームギヤ172およびウォームホイール173を回動させ、ステアリングパイプ184が回動し、フロントアクスルケース8が回動することにより、前輪2の操舵を可能に構成している。
【0036】
以上説明した機構で駆動し、前輪の左右回動を検出し、後輪のサイドクラッチの断接を制御するサイドクラッチ制御機構について、図10乃至図14により説明する。まず、後二輪の左右のサイドクラッチを順に断接する構成について、図11、図12に示す。前記ステアリングパイプ184下部に形設したカム部184aの外周部には、図11に示すように、外周半径を小さくした短径当接部184b・184bを、前両側に設けている。更に、前記カム部184aの前部位置の短径当接部184b・184bの間には、該短径当接部184bよりも外周半径が大きい長径当接部184cを小範囲に設け、更に、該カム部184aの後部位置の短径当接部184b・184bの間には、短径当接部184bよりも外周半径が大きい長径当接部184dを後方略180度の範囲に設けている。
【0037】
前記カム部184aの左右側方にはフロントケース7に固設された枢支軸105が配置され、該枢支軸105には平面視三角形状に形成されたアーム体104の一頂部が枢支され、他の頂部のうち一方は、枢支軸105より前方に位置されて、その頂部にはカムフォロア106が配設されている。
【0038】
また、残りの他の頂部には、前記枢支軸105より内側方に位置されて連結部107・107を形成し、該連結部107・107には、前述したサイドクラッチ機構を操作する操作アーム90・90に締結したワイヤー94・94の他端が締結されており、該ワイヤー94・94は途中で左右交差させている。また、ワイヤー94・94または操作アーム90・90は図示しないバネ等より成る弾性体によって後方へ引っ張られ、アーム体104が後方に回動するように付勢され、カムフォロア106・106がカム部184aの外周部に常時当接するように構成している。
【0039】
このような構成において、ステアリングハンドル14の第一設定角度内の直進時においては、図12(a)に示すように、前記左右の短径当接部184bに、左右のカムフォロア106・106が位置されて、左右のサイドクラッチ機構は「接」となっており、左右の後輪3・3に駆動力が伝えられている。
【0040】
例えば、機体を右側に旋回するために、ステアリングハンドル14を回動すると、前輪2の回動とともにステアリングパイプ184と一体的にカム部184aが回動され、第一設定角度以上回転すると、図12(b)に示すように、旋回側と反対側(左側)のカムフォロア106が長径当接部184dに乗り上げて、アーム体104を回動させ、左側のワイヤー94を前方に引っ張り、右側の操作アーム90を前方に回動させて、右側のサイドクラッチ機構を「断」として、動力伝達を断ち、機体は右旋回する。
【0041】
更にステアリングハンドル14を回動して第二設定角度以上回動すると、図12(c)に示すように、右側のカムフォロア106が長径当接部184cに乗り上げ、右側のアーム体104が回動し、右側のワイヤー94を前方に引っ張って左側の操作アーム90を前方に回動させて、左側のサイドクラッチ機構を「断」として動力伝達を断ち、その結果、左右後輪3・3ともフリーの状態となる。
【0042】
すなわち、ステアリングハンドル14の回動が第二設定角度以上となると、前輪2は平面視で機体前後方向に対して略90°回動された状態となり、しかも、左右後輪3・3の駆動力が断たれて前輪2のみで駆動される状態となると、機体左右中心線上に回動支点が位置し、前輪2の進行方向に近い旋回となり、旋回半径を大幅に小さくすることができるのである。
【0043】
又、後輪3が駆動されないので、前輪2を前方へ押し出すことがなく、前輪2による土寄せがなくなり圃場が荒らされないのである。尚、本構成例では、左右後輪3・3がフリーにある状態は、図12(d)に示すように、前輪2を右に略90度回動させるまで安定に維持することができる。また、機体を左側に旋回させるように前輪2を操向回動させた場合には、前述と逆の順番でサイドクラッチが順に切られていく。
【0044】
次に、設定角度以上ステアリングハンドル14を回動すると、後輪3・3のサイドクラッチを同時に「断」として、旋回半径を小さくする構成について、図13より説明する。
【0045】
前記ステアリングパイプ184下部のカム部184aの外周部には、外周半径を小さくした短径当接部184bを、カム部184aの後方位置に設定角度の範囲で設け、残りの外周部には、該短径当接部184bよりも外周半径が大きい長径当接部184dとしている。更に、前記短径当接部184bの後方には枢支軸105が配置され、該枢支軸105には平面視三角形状に形成したアーム体104の一頂部が枢支され、残りの一方の頂部には、枢支軸105より前方位置でカムフォロア106を設け、前記短径当接部184bの中央に位置させている。
【0046】
また、残りの他方の頂部には、前記枢支軸105より右前方位置で連結部107を形成し、該連結部107にワイヤー94の前端が連結されている。該ワイヤー94は、後方へ延出されて、途中で二本に分岐され、その後端はそれぞれ左右後輪3・3のサイドクラッチ機構を操作する操作アーム90・90に締結されている。そして、ワイヤー94またはアーム体104はバネ等の弾性体で後方に付勢されており、カムフォロア106が回動カム部184aの外周部に当接される構成となっている。
【0047】
このような構成において、ステアリングハンドル14が設定角度内の直進時においては、前記カムフォロア106は短径当接部184bに位置し、左右のサイドクラッチ機構は「接」となっており、左右の後輪3・3に駆動力が伝えられている。
【0048】
また、ステアリングハンドル14を設定角度以上回転した旋回時においては、長径当接部184dにカムフォロア106が乗り上げて、アーム体104が回動され、該アーム体104に連結したワイヤー94が引っ張られ、左右の操作アーム90・90を同時に回動して、左右のサイドクラッチ機構を「断」として、後輪3・3の駆動力を断ち、前記同様に前輪2のみの駆動となって、機体を急旋回させることができるのである。この時、後輪3・3が前輪2を押し出すことがなく、前輪2による土寄せをほとんどなくすことができるのである。
【0049】
次に、前輪2の左右回動を検出する前記アーム体104を、従来の二個から一個に減らして構造を単純化させた場合について、図14より説明する。カム部184aの外周部には、外周半径を小さくした短径当接部184bを、カム部184aの後方位置に設定角度の範囲で設け、残りの外周部には、該短径当接部184bよりも半径が大きい長径当接部184dを設けている。
【0050】
更に、前記短径当接部184bの後方には、平面視三角形状のアーム体104を配置し、その一辺は左右方向になるように配置して、その一辺の略中央部を枢支軸105で枢支すると共に、その両端の頂点部には連結部107・107を形成し、該連結部107・107にはワイヤー94・94の前端が締結され、該ワイヤー94・94の後端は左右のサイドクラッチ機構を操作する操作アーム90・90に締結されている。また、アーム体104の前部に位置する頂部にはカムフォロア106が設けられており、該カムフォロア106は、前記ワイヤー94・94の後方への付勢力により、回動カム部184aの外周部に当接させる構成となっている。
【0051】
このような構成において、ステアリングハンドル14が設定角度内の直進時においては、前記カムフォロア106は短径当接部184bに位置し、左右のサイドクラッチ機構は「接」となっており、左右の後輪3・3に駆動力が伝えられている。
【0052】
また、ステアリングハンドル14を設定角度以上回転した旋回時においては、例えば、機体を右側に旋回させるように前輪2を操向回動させると、短径当接部184bと長径当接部184dの境界部分にカムフォロア106が当接してアーム体104を枢支軸105を中心に左側に回動し、更に回動されることによって、カムフォロア106が長径当接部184dに乗り上げて、アーム体104の回動により右側のワイヤー94を前方に引っ張り、右側の操作アーム90を前方に回動させ、右側のサイドクラッチ機構を「断」として、右後輪3に動力を伝達せず、機体を右急旋回させる。逆に、左側に回動させると、アーム体104が枢支軸105を中心に右側に回動し、左側のワイヤー94を前方に引っ張り、左側の操作アーム90を前方に回動させ、左側のサイドクラッチ機構を「断」として、左後輪3に動力を伝達せず、機体を左急旋回させる。すなわち、一個のアーム体104のみで後輪のサイドクラッチの断接が可能となるのである。なお前記設定角度はカム部交換することによって変更できる。
【0053】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1においては、機体フレームの前下部に操向駆動輪となる一輪の前輪を配し、後部に二輪の駆動輪となる後輪を配した乗用管理機において、旋回時にはステアリングハンドルの操作で前輪を左右方向に回動可能に支持し、該前輪の左右回動軸上にカム部を設け、該カム部の左右にカムフォロアを当接して配置し、該左右のカムフォロアを後二輪の各サイドクラッチと連動連結し、前記前輪の左右回動が第一設定角度を越えると旋回側のサイドクラッチを「断」とし、第二設定角度を越えると両サイドクラッチを「断」とすべく構成したので、緩旋回時では、前輪と旋回外側の後輪の駆動によって、スムースな旋回が可能となり、第二設定角度以上の急旋回時では、後輪の駆動による前輪の旋回外側方への押し出しが軽減され圃場の荒れを改善することができ、従来よりも更なる急旋回が可能となり、未作業面積を小さくすることができる。
【0054】
請求項2においては、機体フレームの前下部に操向駆動輪となる一輪の前輪を配し、後部に二輪の駆動輪となる後輪を配した乗用管理機において、旋回時にはステアリングハンドルの操作で前輪を左右方向に回動可能に支持し、該前輪の左右回動軸上にカム部を設け、該カム部にカムフォロアを当接して配置し、該カムフォロアを後二輪の各サイドクラッチと連動連結し、前記前輪の左右回動が設定角度を越えると両サイドクラッチを「断」とすべく構成したので、旋回半径をより小さくすることができ、また、前輪の押し出しによる圃場の荒れについては、ほとんど解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 腹部に中耕ロータリを装着し下降させた状態の乗用管理機の全体側面図である。
【図2】 同じく全体平面図である。
【図3】 本発明の機体フレームを有する乗用管理機の部分側面図である。
【図4】 同じく乗用管理機の機体フレームの側面断面図である。
【図5】 同じく乗用管理機の機体フレームの平面断面図である。
【図6】 側部にHST式変速装置を配したミッションケースの断面図である。
【図7】 サイドクラッチの操作構成を配すミッションケースの平面図である。
【図8】 フロントケースの平面断面図である。
【図9】 フロントケースおよびフロントアクスルケースの正面断面図である。
【図10】 フロントケースおよびフロントアクスルケースの側面断面図である。
【図11】 左右後輪のサイドクラッチを順次切断可能なサイドクラッチ制御機構を示す平面断面図である。
【図12】 前輪回動に伴うカム部とアーム体の回動状況を示す平面図である。
【図13】 左右後輪のサイドクラッチを一斉切断可能なサイドクラッチ制御機構を示す平面断面図である。
【図14】 アーム体を一個とした場合のサイドクラッチ制御機構を示す平面断面図である。
【符号の説明】
1 機体フレーム
2 前輪
3 後輪
12 運転席
104 カムフォロア
184 支持部材
184a カム部
Claims (2)
- 機体フレームの前下部に操向駆動輪となる一輪の前輪を配し、後部に二輪の駆動輪となる後輪を配した乗用管理機において、旋回時にはステアリングハンドルの操作で前輪を左右方向に回動可能に支持し、該前輪の左右回動軸上にカム部を設け、
該カム部の左右にカムフォロアを当接して配置し、該左右のカムフォロアを後二輪の各サイドクラッチと連動連結し、前記前輪の左右回動が第一設定角度を越えると旋回側のサイドクラッチを「断」とし、第二設定角度を越えると両サイドクラッチを「断」とすべく構成したことを特徴とする乗用管理機。 - 機体フレームの前下部に操向駆動輪となる一輪の前輪を配し、後部に二輪の駆動輪となる後輪を配した乗用管理機において、旋回時にはステアリングハンドルの操作で前輪を左右方向に回動可能に支持し、該前輪の左右回動軸上にカム部を設け、
該カム部にカムフォロアを当接して配置し、該カムフォロアを後二輪の各サイドクラッチと連動連結し、前記前輪の左右回動が設定角度を越えると両サイドクラッチを「断」とすべく構成したことを特徴とする乗用管理機。
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