JPS6229136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は熱交換器のコア部に用いられるコル
ゲートフインを成形するための成型用ロールの改
良に関する。

例えば第１図に示すようなラジエータに於いて
は、上タンク１と下タンク２との間に多数の扁平
管３，３とコルゲートフイン４，４とより成るコ
ア部５を設け、流体が扁平管３，３内を上タンク
１から下タンク２に向つて流れる間にコア部５の
間を流れる空気との間で熱交換を行なつて冷却さ
れるように構成している。

コルゲートフイン４は、第２図に詳しく示すよ
うに、帯状の金属薄板をジグザグに形成するとと
もに、平板部４ａに片屋根状のルーバ４ｂ，４ｂ
を多数形成しており、該フイン４の間を流れる空
気の流れを撹乱し、熱交換器の効率の向上を図る
ものである。このようなコルゲートフイン４を造
るのに、従来は第３図に示すように頂部６ａが脹
らみ、底部６ｂが凹み、斜辺部にルーバ形成用の
刃６ｃを設けた歯６を周囲に多数有する歯車状の
ロール７，７を第４図に示すように２個１組とし
て使用し、帯状の金属薄板８を互いに噛合した２
個のロール７，７の間を通して、該ロール７，７
の外周形状に合致するようにジグザグに形成する
とともに、平板部にルーバを有するフイン素９を
形成し、次に該フイン素９を長さ方向に圧縮して
コルゲートフイン４を形成していた。

ところが、このような従来の成型用ロールで造
られたコルゲートフインは、第５図に示すように
上下に連なる折曲り部４ｃ，４ｃが円弧状に形成
されるため、扁平管３の側面と該フイン４との接
触面積が少なく、扁平管３内を流れる冷却水の熱
がコルゲートフイン４に十分に伝わらない。また
平板部４ａの幅αがフインの幅βよりもかなり狭
くなるため、該平板部４ａに形成されるルーバ４
ｂの幅も狭くなり、第５〜６図に示すようにルー
バ４ｂと扁平管３の側壁との間に大きな空間１０
が形成されてしまう。このためコア部５を流れる
空気の一部が該空間１０を通つて真直ぐに流れよ
うとし、第７図に示すようにルーバ４ｂ，４ｂの
間を通つて曲がりながら流れる空気の流れａと、
空間１０を通つて真直ぐに流れる空気の流れｂと
が衝突して渦流を生じ、コア部の通気抵抗を増加
させてしまう。このため、前述したフインと扁平
管との接触面積の不足と相まつてコルゲートフイ
ンを使用してもコア部の通気抵抗が増加する割に
熱交換効率の十分な向上を図れなかつた。

このため、本考案者等は先に、第８〜１０図に
示すように、円弧状に凹んだ頂部１２ａと該頂部
１２ａよりも少しく小さな曲率半径で脹らんだ底
部１２ｂとを傾斜辺で連続させた歯１２を周囲に
多数有する歯車状のコルゲートフイン成型用ロー
ル１３を発明（特願昭54−016058号）した。

この先発明に係るコルゲートフイン成型用ロー
ル１３により成型されるコルゲートフイン１１
は、第１１〜１３図に示すように、扁平管３，３
の間隔に見合う幅Ｗを有する平面部１１ａと、上
下に連なる平坦な平面部１１ａ，１１ａの間隔に
見合う高さＨを有する平坦な接触面部１１ｂとを
交互に連続させた形状となり、例えば平面部にル
ーバ１１ｃ，１１ｃを切起す場合、平面部１１ａ
の幅いつぱいに切起すことができる。このため、
コア部５を流れる空気は、第１４図に示すように
ルーバ１１ｃ，１１ｃの間を通つて曲がりながら
流れる流れｃだけとなり、渦流の発生による通気
抵抗の上昇が少ない。また、扁平管３とコルゲー
トフイン１１とは、該フイン１１の接触面部１１
ｂが平面状に形成されているため、十分な面積で
接触し、扁平管３，３内を流れる冷却水の熱がコ
ルゲートフイン１１に十分に伝達される。

ところが、上述のようなコルゲートフイン１１
を成型する先発明の成型用ロール１３に於いて
は、次に述べるような欠点があつた。

即ち、コルゲートフイン１１の平板部１１ａに
接触面部１１ｂとの各折曲り部は直角に折曲るの
が理想的であるが、該折曲り部の剛性が弱いた
め、ロール１３，１３の間から送り出されるフイ
ン素９ａを長さ方向に圧縮する成型時に各折曲が
り部を直角に保つことが難しく、ある折曲り部は
鈍角に、ある折曲り部は鋭角にと言う様に折曲が
り部の角度が不同になり易い。このため、例えば
第１５図に示すように折曲がり部が交互に鋭角に
なつたり鈍角になつたりした場合、コルゲートフ
インと扁平管側面との接触が不良になり、熱交換
器の効率が低下するだけでなく、このようなコル
ゲートフインにより構成されるコア部５の強度も
弱くなつてしまう。

本考案は以上に述べたような不都合を解消する
ため、平板部と接触面部との間の折曲り角度が不
同になり難いコルゲートフインを成型するための
コルゲートフイン成型用ロールを提供せんとする
ものである。

以下、実施例を示す図面により本考案を説明す
る。

第１６図は、本考案のコルゲートフイン成型用
ロールの一部を示す斜視図である。本考案のロー
ルは、それぞれ周囲に多数の歯１４を有する板状
のロール素子１５，１５を多数積層して構成され
ている。これらの技術については、例えば特公昭
42−5525号公報に見られるように従来から周知の
技術であるため、説明を省略し、以下本考案の特
徴とする部分について説明する。本考案のコルゲ
ートフイン成型用ロール１６は、該ロール１６を
構成する各ロール素子１５，１５を第１６〜１８
図に示すように、１枚置きに少しずつ角度をずら
し、周方向の位相をずらせて積層し、各素子１
５，１５の歯１４，１４の頂部１４ａと底部１４
ｂとがロール１６の幅方向に亘つてジグザグにな
るように組合せたことを特徴としている。各歯１
４，１４の頂部１４ａと底部１４ｂとを結ぶ斜辺
１４ｃは、必要に応じ、角を鋭利にしてルーバを
切起すための刃としたり、角に丸味を持たせてフ
インの平板部に凹凸を形成するための雄雌型とし
たりする。各歯１４の頂部１４ａと底部１４ｂと
はそれぞれ、先発明に係る成型用ロールと同様に
頂部１４ａが凹み、底部１４ｂが頂部１４ａの凹
みよりもわずかに小さな曲率で脹らんでいるが、
それぞれの凹み方、脹らみ方は先発明のロールと
異なり左右非対称となつている。即ち、頂部１４
ａについて説明すると、各歯１４，１４の頂部１
４ａの凹面１７と左右の斜辺１４ｃ，１４ｃとの
境界部分に形成される峰部１８ａ，１８ｂの高さ
を異ならせて、各峰部１８ａ，１８ｂが、仮空の
同一平面１９（第１８図）に同時に当接するか、
或いは外側の峰部１８ａ，１８ａが該面１９に当
接した場合に内側の峰部１８ｂ，１８ｂが当接し
ないようにしている。このため、ロールの幅方向
に亘つてジグザグに配列された頂部１４ａ，１４
ａの外側に位置する峰部１８ａ，１８ａよりも内
側に位置する峰部１８ｂ，１８ｂの高さを少しく
低く形成する。また底部１４ｂの凸面２０と斜辺
１４ｃ，１４ｃとの境界部分に形成される谷部２
１ａ，２１ｂの深さは、該谷部２１ａ，２１ｂと
噛合する峰部１８ａ，１８ｂの高さに合せて、外
側の谷部２１ａの深さを内側の谷部２１ｂの深さ
よりも少しく深く形成する。このように峰部１８
ａ，１８ｂの高さ、及び谷部２１ａ，２１ｂの深
さを不同にすることによりコルゲートフインの接
触面部が平坦に形成されるようになる。峰部と谷
部の高さ及び深さを同一にすると成型後の接触面
部に凹凸ができる。

上述のように構成される本考案のコルゲートフ
イン成型用ロール１６は、第９図に示した従来の
ロール１３と同様に上下１対に組合せられて使用
される。即ち、噛合する１対のロール１６，１６
の間に帯状の金属薄板８を送り込むと、該ロール
１６の歯１４の外面形状に合せてジグザグに形成
されたフイン素が形成されるので、該フイン素を
長さ方向に圧縮すれば平坦な接触面部を有するコ
ルゲートフインが形成される。歯の頂部及び底部
の曲率半径を、圧縮成型後のコルゲートフインの
接触面部が平坦になるように予め適当に定めるこ
とは先発明に係る成型用ロールの場合と同様であ
る。この時、各ロール１６，１６の歯１４の頂部
１４ａと底部１４ｂとはそれぞれ該ロールの幅方
向に亘つてジグザグに配列されているので、該頂
部１４ａと底部１４ｂとに挟まれて形成される接
触面部もジグザグに形成される。

第１９図は本考案のロール１６，１６により成
型したコルゲートフイン２２の１例を示してい
る。該フイン２２は、平板部２２ａ，２２ａと上
下に連なる平板部２２ａ，２２ａを連続させる接
触面部２２ｂ，２２ｂとから成り、各平板部２２
ａ，２２ａには多数のルーバ２２ｃ，２２ｃが切
起されている。各接触面部２２ｂ，２２ｂは前述
のようにジグザグに形成されており、該部２２
ｂ，２２ｂに両端を連続させるルーバ２２ｃ，２
２ｃはそれに合せて高低に形成されている。この
ようなルーバ型コルゲートフインを形成するため
のロール１６の歯１４の斜辺１４ｃには適当な刃
を設ける。

次に、第２０〜２１図は本考案のロール１６，
１６により成型したノールーバ型のコルゲートフ
イン２２を示している。本例のコルゲートフイン
２２は、接触面部２２ｂ，２２ｂをジグザグに形
成するとともに、平板部２２ａ，２２ａに接触面
部２２ｂのジグザグに合せて高部と底部とを形成
し、高部に凸部２３を低部に凹部２４を形成して
いる。このようなノールーバ型コルゲートフイン
を形成するためのロール１６の歯１４には刃は形
成せず、隣り合うロール素子１５，１５の歯１４
の斜辺１４ｃ，１４ｃを滑らかに連続させる。

本考案のロールにより形成されるコルゲートフ
イン２２は、以上に述べた通り、上下の平板部を
連続させる接触面部をジグザグに形成したため、
平板部と接触面部との折曲り部の剛性が高く、ロ
ールで成型後のフイン素を長さ方向に圧縮する際
に、平板部と接触面部との折曲り角度が不同にな
る事が少ない。

【図面の簡単な説明】

第１図はコルゲートフインを用いたラジエータ
の正面図、第２図は従来のコルゲートフインを示
す斜視図、第３図は従来のコルゲートフイン成型
用ロールの歯を示す正面図、第４図はコルゲート
フインの成型状態を略示する正面図、第５〜７図
は従来のコルゲートフインを示し、第５図は正面
図、第６図は平面図、第７図は第５図のＡ−Ａ断
面図、第８〜１０図は先発明に係るコルゲートフ
イン成型用ロールを示し、第８図は歯の正面図、
第９図は第４図同様の正面図、第１０図は第８図
の上方から見た図、第１１〜１４図は先発明に係
るロールで成型したコルゲートフインの１例を示
し、第１１図は斜視図、第１２図は正面図、第１
３図は平面図、第１４図は第１２図のＢ−Ｂ断面
図、第１５図は折曲り部の角度が不同になつたコ
ルゲートフインの斜視図、第１６〜１８図は本考
案のロールの実施例を示し、第１６図は部分斜視
図、第１７図は部分平面図、第１８図は第１６図
のＣ矢視図、第１９図は本考案のロールにより成
型したルーバ型コルゲートフインの斜視図、第２
０〜２１図は同じくノールーバ型コルゲートフイ
ンを示し、第２０図は斜視図、第２１図は側面図
である。 １４：歯、１４ａ：頂部、１４ｂ：底部、１４
ｃ：斜辺、１５：ロール素子、１６：ロール、１
７：凹面、１８ａ，１８ｂ：峰部、２０：凸面、
２１ａ，２１ｂ：谷部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円弧状に凹んだ頂部１４ａと該頂部１４ａより
   も少しく小さな曲率半径で脹らんだ底部１２ｂと
   を傾斜辺で連続させた歯１４を周囲に多数有する
   コルゲートフイン成型用ロール１６に於いて、該
   ロール１６を幅方向に亘つて複数のロール素子１
   ５，１５に分割するとともに該ロール素子１５，
   １５を１枚置きに周方向に少しく位相をずらせて
   各素子１５，１５の頂部１４ａ，１４ａと底部１
   ４ｂ，１４ｂとを幅方向に亘つてジグザグに配列
   し、各頂部１４ａの両側の峰部１８ａ，１８ｂの
   内、外側に位置する峰部１８ａを内側に位置する
   峰部１８ｂよりも少しく高く、各底部１４ｂの両
   側の谷部２１ａ，２１ｂの内、外側に位置する谷
   部２１ａの深さを内側に位置する谷部２１ｂの深
   さよりも少しく深く形成したことを特徴とするコ
   ルゲートフイン成型用ロール。